閣議後記者会見概要

H21.05.26(火)08:46~09:10 ぶら下がり

広報室

会見の詳細

閣議等ついて

大臣:
閣議については特別にご報告することはございません。

質疑

記者:
北朝鮮が二度目の核実験を行いまして、国連安保理も非難決議を採択したようですが、その受け止めをお願いいたします。
大臣:
こういう時期に、いつもの瀬戸際政策を行うのは、これまで核実験ですとかミサイル発射とかを行うことでアメリカを対話の場に引きつけておきたいわけですが、北朝鮮が相手にしているのはアメリカしかいません。そのアメリカでオバマ政権が核軍縮の方向に舵を切った段階で、こういうことを行うことはあまり理解できません。それから、盧武鉉元大統領がお亡くなりになったということで、金正日主席が哀悼の意を述べたわけですが、「盧武鉉的な融和外交がいいよ」と言ったその翌日に核実験を行ったら、韓国国民は「李明博風の強行姿勢が正しいではないか」ということになりますから、外交的なカードとしてもいかがなものかと思っております。相当、北朝鮮は時間との戦い、つまり、焦っているのではないかと思っております。これはアメリカも中国も日本も、ロシアも含めて国際社会が一致して非難をする、どういう形の声明になるかは別として、国連安保理でもきちんとした議論が行われるので、やはり、「国際社会の意向と違います」という明確なメッセージを出す必要があると思います。それから先の具体的な方策というのは、アメリカ、韓国、中国、ロシアと連携を取りながら行っていかないといけないと思っておりますが、これは困ったことだと思っております。
記者:
厚生労働省の分割論についてですが、昨日、官房長官と甘利さんが会って、今週中にも素案をまとめるという話しがあったようですが、大臣はどういった議論を期待されているかということと、大臣のお考えとして、こういう分割のあり方があればいいのではないかということをお聞かせ願いたいのですが。
大臣:
本日の昼に、私や小渕少子化担当大臣や塩谷文部科学大臣も入って議論をいたします。私は内閣の一員ですから、最終的に麻生総理の指示が出ればそれに従いますが、一環して同じことを言い続けております。まず、第一は、この役所の仕事が大変だということでいつも言っておりますように、フォローする記者さんも大変なので、その辺はよく分かっております。ただ、いつも言っているのは省庁の再々編成を行うべきであって、一厚生労働省の問題ではありません。図体が大きくなっているのは、国土交通省、総務省もそうです。例えば、地方税を所管する省庁と地デジを所管する省庁が一緒にあるわけですから。そういうことを考えれば、悪いものばかりではないのですが、橋本行革の省庁再編成を振り返って、「何故、行ったか」と言えば、今までの制度が行き詰まっていたから橋本元首相が大鉈を振るったのであって、それは一定の評価があります。ですから、その時の理念がどう生かされ、プラス、マイナスどうなるかということをじっくり検討した上で行うべきです。私は、たとえ党のマニフェストに入れるにしても、国の形をどう考えるのか。厚生労働省だけではありません。例えば、政府のあり方がどうなのか、ただ単に小さな政府で行っていいのですか、大臣の数を少なくしていいのですか。例えば、大臣の数を少なくしたからといって、特命大臣の在り方は考えないといけません。特命大臣もかわいそうで、小渕さんは少子化担当大臣ですが、国会の質問だって私に来ますが、私は少子化担当の手足を持っております。一方、小渕さんは持っていないのでかわいそうです。自殺対策担当は私にもありますが、自殺対策担当野田さんも、手足がありません。そうしますと、国会でも、自殺対策を私に聞いて、野田担当大臣に誰も聞かないということがあります。昨日だって、小渕さんに聞いて、私にも聞いてということがあります。担当大臣も手足がなくてやらせるのは大変だから、きちんと手足のある省庁を作った方がいいのです。大臣の数が少なくなったから、国が良くなるのではありません。三十人必要であれば三十人大臣を作ればいい。なんでもかんでも特命にして、それが行き詰まっているわけです。大臣の数が多いから、少ないからと決めるべきではなくて、大臣の数が少なくて、国民が困っているのであれば大臣の数を増やせばいいので、ただ単に大臣の数を特命かなんかで増やすのではなくて、やはりきちんと手足を持って仕事ができる省にするべきなのです。私は国の形を変えるために省庁の再々編成を行うこと、これは一環して申し上げており考えは全然変わっておりません。これだけ情報通信が大変であれば、情報通信省を作ってそこで行えばいいのです。まずそれが一つです。
それから、厚生労働省だけについて言えば、それはプラス、マイナスがあります。一例を挙げると、医師不足の問題がありますが、勤務医の勤労条件はひどいです。そうすると、労働大臣として、この前の赤十字の話しにしても、広尾の病院にしてもそうですが踏み込んだわけです。労働大臣として勤務医の労働条件を良くするための踏み込みができる。片一方で、医師不足でお医者さんの数を増やすことができます。ですから、一人の大臣が行っているメリットもあります。ただ、仕事量が多いということは問題ですが、仕事量が多いのは何から来ているかと言ったら、副大臣、政務官を活用させないからなのです。「副大臣を作ってやれ」と言ったのは、小沢一郎さんです。ところが大臣じゃないと答弁させない、「失業者の数が何人ですかとか、年金の何とかの数は何人ですか」ということをどうして大臣が答えないといけないのですか。役人が答えたらいいじゃないですか。大きな政策については私が答えます。それからこの前のWHO総会だって行けませんでした。イギリスのジョンソンさんも、中国の私のカウンターパートなど、私の顔見知りが皆その場に集まっていました。あそこに日本の大臣が行って、「インフルエンザ対策をWHOはどうするんだ」ということを、イギリスや中国と組んで発言して、三大臣の決議を出すということを大臣であればできるのです。渡辺副大臣も大変で、彼ばかりに行ってもらっています。国益を大きく損なっているのです。一度暇だったら私の答弁回数を数えて見てください。おそらく全大臣の中でトップだと思います。国会には行きますが、緊急事態であるとか、行政を動かさないといけない時に、今言ったようなことで副大臣や政務官を国会で活用してくださらないのであれば、民主党が政権を取っても同じことをこっちが繰り返して行えば、同じことになります。行政府が三権分立でそれを言っては駄目だと言いますが、私が忙しいことの一端は国会運営のあり方にもあるのです。私は参議院議員として、国会議員ですから言いますが、そういう全体を見ないで厚生労働省を二つに分割すれば片付くわけではありません。要するに私が千回答弁したら、二人大臣ができたら五百回だけ答弁するだけの話です。分割の仕方にしてもよくよく議論をしないと、どんな分け方でもプラス、マイナスがあります。国民的な議論をして、国民の立場に立って、「これなら医療行政がうまくいくな」「これなら派遣切りにあった人が労働者としてうまくいくな」と「それならインフルエンザ対策もいいな」というようなことでなければいけませんので、私は議論不足だと思います。やるとすれば今まで言ったことについて全然考えを変えておりません。私は持論をそのまま申し上げますし、最後は総理の御決断ですから、内閣としてはこうだと決定すればそれに従います。
記者:
官房長官とお会いになってそういう話しをされるということですか。
大臣:
六大臣が本日の昼に会いますから、私は私の意見としてきっちり申し上げたいと思います。
それと、敢えて言えば、厚生労働大臣を経験した方がおられます。私は今現職ですが、柳澤さんも、川崎さん、尾辻さんと何人かおられます。この方達に「あなたは厚生労働大臣としてどこを苦労しましたか、どうでしたかと」最初に話しを聞かないといけないと思います。私に最初に話を聞いてどこを苦労しましたかということを本日聞いてくれるそうですが、こちらはまな板の上の鯉です。一番尊重しないといけないのは、やはり、厚生労働省になってからの経験者の意見を聞いて欲しいということと、もう一つは厚生労働省の職員にアットランダムでいいから聞いて欲しいということです。厚生労働省になってから職員になられた方もいます。再編前の人もいます。「再編の前の方が良かったよ」とか、厚生労働省になってから入った人は「厚生労働省になってから来たのだ」という人もおります。現場で働く人の意見もよく聞いて欲しいのですし、課題が山積しておりますので、拙速で行うべきではないと思います。一番仕事が大変でがんばっている人が言うのが説得力があると思います。私が一番早く楽にしてもらいたいのですが、「私の仕事が減るからです」とかそういうレベルの話しで行っては駄目です。国民のために何を行えばいいかという視線がない限り、国民はついて来ません。それは本日の昼に、今申し上げたことを繰り返そうと思います。
記者:
関連ですけれども、今、大臣が「拙速に議論するべきではない」とおっしゃいましたけれども、「まず厚生労働省を分割するんだ。」という結論ありきで物事が進んでいるという指摘もあるのですけれども、その点についてはどう思われますか。
大臣:
国の形を考えるべきであると思います。10年も経てば世の中変わっているのです。霞が関のあり方も変えないといけないので、省庁再々編成が必要だとずっと申し上げているのです。それは我が省だけではありません。それはやるべき時期なのです。やるべき時期だけれども、例えば、医師不足をどうするか。今、私がやっているのは、文部科学大臣とともに、両方に係っているから。臨床研修制度は両方でやりましたね。ああいうやり方も一つなのです。だから文部科学省をどうするかというのは医師不足については係ってくるわけです。それから、例えば、男女共同参画というのを厚生労働省に持ってこようとしているみたいですけれども、厚生労働省だけではないのです。男女が共同に参画するというのは、全省庁だから内閣府の下にあるのです。野中さんが官房長官の時に苦労をして、私は、男女共同参画の党の役員をやっていましたから、一所懸命やっていました。あらゆる分野で男女共同参画をしないといけないのです。なぜあの時に男女共同参画を内閣府に置いたのかという意味をよく考えて、厚生労働省に置くか内閣府に置くか。内閣府に置くべきで、厚生労働省だけではないでしょ女性の話は、というようなことがいっぱいあるから、やはり全体を見ていただきたいと思っております。
記者:
熊本県の慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」についてなのですが、昨日、2年目の利用状況が公表されました。1年目の17人を上回る25人が全国から預け入れられたということなのですが、まずはこの率直な受け止めをお聞かせ下さい。
大臣:
失われないで済んだ命があった、つまり、命が救われた面もあるのでそれはよかったなと思う反面、熊本県以外からがほとんどだったような記憶があり、全国各地から来ていると聞いております。細かいこと、どこから来ているかまではよく分かりませんけれども。安易な子どもの遺棄、子捨てということにつながっては困るなというのがありますから、そういう両方をよく見て、今後のあり方を考えていきたいと思っております。これは国が勧めるとか勧めないという話ではなくて、一つの病院がボランティア的にやっている話です。ただ、今言った2つの面がありますよということです。
記者:
全国から預け入れられていると。いわゆる棄児、捨て子というのが熊本県に集中しているという状況があるわけです。もはや熊本県だけの問題ではないと。全国レベル、国レベルの問題だと。国の積極的な関与、議論への参加を求める声があるのですが、それについてはどのように。
大臣:
国営で、全国一つのものを作ることについて良いかどうかというのは、議論をしないといけないと思います。一つの病院の意志でやっている話であって、先ほど言ったように、命を救うという面もあるけれども、安易に子どもを捨てるということに繋がってはいけません。そこのことはよく議論をして、もう少し国民的にやる必要があって、厚生労働大臣が「では全国に広めよう。」というようなことを言うべき類の話ではないと思っております。
記者:
国が議論に参加するという考え方でしょうか。
大臣:
国民的な議論、こういうのはまさに臓器移植法ではないけれども、国会での議論をやれば良いと思っております。
記者:
障害者団体向けの郵便割引制度を悪用した件で、厚生労働省が発行していた障害者団体の証明書が使われていた疑いが浮上しているのですが、職員の関与を疑われていますが、その受け止めと内部で調査をする予定があるかどうかお聞かせいただけますか。
大臣:
まず状況がどうであるかというのをつまびらかにする必要があるので、調査をしてみてから考えたいと思っております。
記者:
BSE検査なのですけれども、24日から開かれています国際獣疫事務局で準安全国に日本が指定されるのではないかということで、それを受けて月例21ヶ月を31ヶ月以上に緩和できるのではないかという見解がありますけれども、これについての大臣のご見解を。
大臣:
これは農林水産省、外務省、関連省庁、食品安全委員会とも議論をしておりますけれども、基本的には科学的知見に基づいてやるということで良いのだろうと思います。国際的な評価、そして、これはまさに今から消費者庁ができるわけで、消費者がどう考えるかとか、厚生労働大臣が一人で決めるとか、我が省がどうかということではなくて、いつも食品安全委員会と農林水産省、外務省、国際的な余波がありますから、こういうもので議論をしていきたいと思いますので、一つの提案として受け止めて今後検討したいと思っております。
記者:
医師の労働の問題に関してなのですけれども、日曜日に全国の救命救急センターで、労働基準法違反のおそれがある措置が5割を超すという報道があったと思うのですが、こうした実態についてどうお考えになるか大臣のお考えを。
大臣:
それはもう前からそういう実態があるのはよく分かっております。片一方では勤務条件をよくするための努力をしていく、それで緊急、直接的な支援もやっていく。しかし、片一方では労働条件を守って下さいよ、三六協定をしっかり守ってもらうとか、いろんなことをやっております。先ほどの話ではないけれども、医師不足対策をやるとともに労働条件の改善というのをやっていきたいと思います。このことはよく認識していますので、努力をしていきたいと思います。

(了)