閣議後記者会見概要

H21.05.22(金)08:30~09:07 省内会見室

広報室

会見の詳細

運用方針について

大臣:
まず新型インフルエンザ関連の御説明を申し上げます。本日7時半より官邸において新型インフルエンザ対策本部が開催されて、今回の新型インフルエンザの性質についての知見、国内での発生状況を踏まえ、新たに「基本的対処方針」を決定し、これに基づき「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」については厚生労働大臣が定めることとされましたので、ご報告します。
国内の患者発生状況ですが、5月16日に国内初の新型インフルエンザ患者が確定して以来、本日6時時点で兵庫県において152名、大阪府において131名、滋賀県において1名、京都府において1名の患者が判明しており、兵庫県、大阪府等で患者が急増している状況にあります。また、一昨日以降、首都圏においても、アメリカから帰国された方で東京都において2名、神奈川県において1名の患者が判明し、さらに埼玉県では渡航歴のない方で1名の患者が確認されました、この方は関西方面に出張してお帰りだということです。これらにより合計289名の方が感染されたことが判明しております。
以下、厚生労働大臣が定める運用指針の内容についてご説明します。
今回の新型インフルエンザの性質と今回の基本的な考え方ですが、感染力は強いが、多くの感染者は軽症のまま回復しており、抗インフルエンザ薬の治療が有効であるなど、季節性インフルエンザと類似する点が多い状況です。
一方で海外の事例では基礎疾患、糖尿病とか、ぜん息等、それから妊婦さんもそうですが、こういう方々を中心に重篤化し、一部死亡することが報告されておりますので、この点はご注意いただきたいと思います。
また、現時点での国内の発生では、患者は高校生と中学生が中心という特徴があります。
今後の新型インフルエンザ対策の目的は、二点に集約されます。一つは、感染のさらなる拡大を防ぐこと、もう一つは先ほど申し上げましたように、特に、基礎疾患のある方など重症化しやすい人が新型インフルエンザに感染して重篤な状況になることを絶対に防止しなければいけないということです。
また、兵庫、大阪等の経験で得られた疫学的知見において言えますのは、各地域の感染レベルが異なる現時点では、「新型インフルエンザ対策行動計画」をそのまま適用するのではなく、第三段階、感染拡大期及びまん延期にとるとされている対策を弾力的に行うということで、運用においては、二つのグループに分けます。感染者・患者の発生した地域を「感染の初期、患者発生が少数であり、感染拡大防止に努めるべき地域」。具体的に言いますと、滋賀県で一名、京都、埼玉も出ましたのでこういう状況です。それから二つ目が「急速な患者数の増加が見られ、重症化の防止に重点を置くべき地域」、今で言いますと兵庫とか大阪ですが、この二つのグループに分け、厚生労働省と相談の上、各都道府県、保健所設置市等が判断することといたします。
次に、医療の確保について申し上げます。まず、運用方針における医療の確保について申し上げますと、感染の初期にある地域においては、インフルエンザ様の症状が見られた場合には、発熱相談センターに電話で相談し、指示された発熱外来を受診していただくこととしております。実際に滋賀県や埼玉県や神奈川県、東京都で行われております。
一方、急速な患者数の増加が見られる地域においては、患者の増加に伴い発熱外来の医療機関数を増やすとともに、一般の患者と新型インフルエンザ患者の入口等を分ける、あるいは診療時間帯を分けるなど院内感染対策を十分講じた上で、関係者の協力の下に、対応可能な一般の医療機関でも発熱外来の機能を果たすとともに患者の直接受診も認めることといたします。
次に学校、保育施設等の臨時休業については、感染の初期にある地域においては、患者が学校等に通う児童、生徒等である場合などに、市区町村の一部又は全部、場合によっては都道府県全部での臨時休業を要請することとしております。これは中学、高校に行く際に電車で広範に移動する場合などを想定しております。
一方、急速な患者数の増加が見られる地域においては、いわゆる大阪、兵庫、神戸などの地域では、広範囲の地域で学校の臨時休業を行うことは感染拡大防止には効果が薄いのですが、学校内で患者が多く発生した場合、その学校内の生徒等を感染から守るために、学校の校長先生等が臨時休業を判断するということです。この場合は、季節性インフルエンザと同様の扱いをするということです。
検疫方法の見直しについては、先ほど8時の決定から見直し体制に入っておりますが、入国時の検疫対応等については、健康状態質問票に基づく確実な健康状態の把握に力点を置いた検疫を行います。具体的にはブース検疫を行うこととし、検疫前の通報において、飛行機内に明らかに症状を発している人がいる場合には、状況に応じ、機内検疫を行うこととします。
なお、患者については、引き続き隔離措置としますが、いわゆる濃厚接触者、二メートルの範囲内に座っていた方については、停留を行わず、外出自粛を要請するとともに、より慎重な健康監視とし、何かあれば居住地の都道府県等に対して速やかに連絡をとることを徹底したいと思います。
また、その他の同乗者については、健康監視を実施するのではなく、健康状態に異常がある場合に、ご本人から発熱相談センターへの連絡をいただくことを徹底したいと思います。
以上が、厚生労働省として決めました運用方針であります。引き続き、適切な情報提供を続けてまいりたいと考えておりますので、国民の皆様におかれましては、繰り返し申し上げておりますように、警戒を怠ることなく、正しい情報に基づき冷静に対応していただきたいと思います。

大阪府における新型インフルエンザの臨床像

大臣:
続きまして、大阪の患者さんの臨床像調査結果が届けられましたので御報告いたします。先般神戸市の43例について分析した結果がありますので、大阪の患者についても同様に5月20日まで大阪府内で確定例となった69名を対象として実施した調査結果を御説明申し上げます。調査は二ヶ所で行われました。中学・高校では64名、小学校で5名、圧倒的に高校生が多いです。
まず、中学・高等学校における調査の結果ですが、患者の年齢が13歳から53歳、これは先生も含まれます。61名が学生、教職員が3名。患者は、男性が49名、女性15名。入院加療18名、自宅療養者が49名です。
入院時の臨床像を見ますと、この前の神戸と非常に似ております。38度以上の高熱が83%、それから60から80%の患者が倦怠感、熱、せき、のどの痛み。それから50%から60%の患者が、鼻水が出る、鼻が詰まる、頭が痛い、10%前後が下痢とか吐き気と全く神戸の症状と同様ということです。
次に治療の概要ですが、抗インフルエンザウイルス薬を投与したのが18名、その内訳はタミフル12名、リレンザ6名です。これらの治療によって入院患者は全員、諸症状が比較的速やかに改善したとのことです。入院患者全員に投与したということです。
次に小学校の例を見てみますと、これは5名だけですが、男の子が2名、女の子が3名、5名全員が自宅で療養ということです。臨床像を見てみますと全員に、せき、のどの痛み、悪寒、熱。80%に倦怠感、頭痛、60%に鼻水が出る、鼻が詰まる、関節痛が見られました。嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状を訴えた方はおられませんでした。
次に治療の概要ですが、抗インフルエンザウイルス薬は全患者に投与され、その内訳はタミフル2名、リレンザ3名です。これらの治療によって患者は全員、諸症状が比較的速やかに改善したとのことです。
この報告のまとめとして、今回も神戸の調査結果と同様に中学・高等学校の64名、小学校の5名の計69名は、いずれも臨床的に入院を要するとは評価されず、抗インフルエンザウイルス薬の投与後比較的速やかに諸症状の改善が見られました。今後ともこういう臨床像についてはWHOに対しても知らして行きますが、国際的な貢献にもなりますし、今回の新型インフルエンザの特徴を掴んでいって、適切な対応ができることになろうかと思っております。細かい点についての医学的なことについて御質問がありましたら、後ほど事務方から方からお答えさせていただきたいと思います。

質疑

記者:
今の関係で確認なのですが、新しい対処方針は今日から適用されるということでよろしいでしょうか。
大臣:
はい、本日から適用ですので、8時の決定をもって、今、例えば、成田空港で検疫をこういう体制にしております。昨日、韓国籍の方が一人、成田空港で新型インフルエンザに罹っているというのが見つかりました。この方は隔離いたしますが、濃厚接触者については、今までのような停留をもうしないということで、本日から決定を実行いたします。
記者:
この対処方針、これまで各自治体、いろいろと混乱が見られましたけれども、この対処方針を適用することによって、かなりその混乱という部分は抑えられるというふうにお考えでしょうか。
大臣:
基本的に、感染者のいる各自治体の知事や市長と昨晩も連絡をとりまして、すでに8時に決まりましたから、8時の段階で、全ての自治体にこの対処方針が行っております。例えば、大阪も兵庫も、これを受けて、この後、対策本部を開き、今後どういう方針にするかということをお決めになると思います。ただ、基本的には、やはり現場の方々の声が一番大事ですし、現場で指揮を執られている知事や市長が一番そこの状況をおわかりになっているので、大きな方針を私たちはお示しいたしますけれども、現場の方々がきちんと判断していただければと思っております。
記者:
現在の行動計画の適用なのですが、このまま第三段階に移行することはなく、しばらくはこの状況で様子を見るというような考えでよろしいでしょうか。
大臣:
先ほどご説明しましたように、第二段階をブレイクダウンして二つの段階に分けたというか、一気に、今おっしゃったように、そのまま行くわけではなくて、この状況を見ると、H5N1と違いますから、これで感染初期の段階と、つまり、埼玉県とか滋賀県とかいうのと、大阪、兵庫は違うだろうということで、きめの細かい対応の違いを示したということです。
記者:
これまでどおり第三段階に移行するのは、行動計画にあるとおり、積極的疫学調査のリンクが切れた時点でということ。
大臣:
基本はそうです。ただ、例えば、今日、これを決めましたけれども、ウイルスが突然変異したら、また変えないといけません。毎日ウォッチしていって、観察していって、必要に応じて、また対策本部を開いて、専門家の御意見をいただいた上で、それをまとめて、こういう形で決めていくということです。あくまで柔軟に対応したいと考えております。状況に応じて、インフルエンザの今後の変化に応じて、というふうに思っております。
記者:
今回は基本的対処方針という形で出ましたけれども、大臣一度おっしゃっていましたけれども、行動計画の見直し、弱毒性に対応したもの、こちらもまだ捨てているというわけではないのでしょうか。
大臣:
これは何度も申し上げていますけれども、一番迅速に、一番効果的な形で、国民の生命を守り、国民の利便性を守っていくにはどういう方法が良いかということですので、紙を書き換えてもよいし、行動計画を書き換えてもよいし、そういうことには全く拘泥しません。そういうことが問題ではなくて、どうすれば一番国民にとって良いかということですので、そのオプションがどうであっても、私は結果が良ければよいと思っています。あらゆるオプションがありますというのが答えです。
記者:
ざっと見た印象なのですが、これまで大臣は季節性インフルエンザとほぼ同様と考えてもよいということで、大阪府知事ですとか、そういった要請に対しても、そのようなお考えを示されていましたけれども、こちらを拝見しますと、性質について、季節性と同様だというような表記、ちょっと踏み込んだ表記がないのではないかなと感じたのですが、これについてはいかがでしょうか。
大臣:
これはずっと、昨日の国会でも、一昨日の国会でも、あらゆるところで、どういう特色があると、症状を全部説明しております。今、大阪のを説明したように、症状から見ると、季節性インフルエンザに類似をしています。しかも、タミフル、リレンザですぐ治ります。ただし、慢性疾患を持った方は重篤化しますから、全く同じだとは言っておりません。季節性インフルエンザと同じ部分については、季節性インフルエンザと同じ対応をすればよいのですが、そうではないのです。新型であって、未知なものであって、では今までと何が違うかというと、冬の普通のインフルエンザの場合はお年寄りが罹って、亡くなられる方が多いのですが、今回のは、一つは若い方が罹っていることです。これも特色です。何よりも、今までの世界各国の例を調べてみると、慢性疾患の方が罹ると重篤化しています。これは注意しないといけないことです。そういうことを申し上げているわけで、大阪や兵庫で学校をどうするのだろうかと今からご議論なさる時に、また来週も同じように休校するのですかという答えに対しては、これは季節性のインフルエンザと同じような対応でよろしいと明言をしているわけです。
記者:
確認ですが、機内検疫なのですが、これは今日の8時の決定をもって、成田空港も関西空港も原則取りやめるということでよろしいのですか。
大臣:
先ほど言いましたように、全てブース検疫に代える。しかし、だからといって手を抜くのではなくて、きちんと質問票を正確に書いていただく。それから、すでに機内に発症者がいると、高熱で苦しんでいる方がおられると、これはパイロットからでも何からでも、ちゃんと空港に連絡がありますから、その場合は機内検疫をするということです。人的資源が限られておりますから、たくさんのお医者さんを動員して、今、お医者さんは、市内で、国内で発生している患者の方の治療に当たってもらう方がより有効であるということで、そう決定いたしました。
記者:
今回、第三段階への引き上げということではなくて、こういった対処方針で対処されるということですけれども、先ほどの質問でもあったのですが、疫学調査のリンクが切れた段階では基本的にはそうだと、第三段階に引き上げるというのはそのタイミングだという、この疫学調査の結果は明らかになっていないと我々は思っているのですが、何か終えているのでしたら、どこまで終えているのだと、そういった情報が出てこないのですが、どこまで把握されていますか。
大臣:
これは、今、一所懸命調べています。例えば、神戸で、最初、高校生が出ました。これがどこからウイルスをもらってきたかというのは、まだわかりません。そういう調査もやっています。WHOもそうなのですが、世界中がH5N1を前提とした計画を立てていました。昨日のマーガレット・チャンさんの言いぶりにしてもそうなのですが、今まで前提としていたことが違うのです。ただ地域だけで見るわけではありません。症状も含めて見ますというようなことを言っているのです。行動計画とか基本的な対処方針は政府決定ですから重いものです。しかし、その一言一句に拘泥するということではなくて、今回のように柔軟に対応する。そして、そういうことの決定は、やはり現場からの情報が一番貴重ですし、それが判断基準になると思います。今の疫学調査について言うと、例えば、先ほど埼玉県の上田知事とも話しました。もう一所懸命これは調査するということです。それから、京都市長とも昨晩深夜にお話ししましたけれども、全力を挙げて、今、調査をしているということです。ただ、いかんせん、例えば、埼玉の方だと、関西に出張して帰ってきたと、そこから先は、帰ってきて、翌朝、発熱したので、もうほぼ途中の接触はありませんよというようなことを聞いているわけです。では、その出張された埼玉の方が、今、調べていると思いますが、明確に感染源がわかれば良いのですけれども、やはり非常に難しい。特に、大阪、神戸については、もう200名を超えていますので、非常に難しいと思います。従って、そこを柔軟に分けたというのは、国内感染でも1人とか2人とか出ている場合と、大阪、神戸はやはり対応が違うだろうということなのです。また、これやってみる。誰もやったことないですから、いつも申し上げているように、100%成功とか100%失敗とか100%これで完璧というのはないことは当たり前です。ウイルスだってどこで変異するかもわかりません。ですから、毎日、情報を入れながら、微調整をしていかないといけません。そして、今回はかなり大きな変更なので、これは対策本部でみんなで議論して決めることです。今回の件も、諮問委員会の先生方が、もう本当に一言一句、この運用方針を見ていただいて、細かい手を入れていただいて、専門家の知見が全部入っています。それから、セカンドオピニオンをいただいた先生方の意見も全部この中に凝縮しておりますので、そういう意味での決定だとご理解願えればと思います。
記者:
慢性疾患の方の感染防止には何か具体的に強化する部分はあるのでしょうか。
大臣:
例えば、今、神戸でおやりになっていますが、一般の病院でもやっている物理的にスペースを完全に分けるやり方がありますね。新型インフルエンザの疑いのある方は別の棟でやるとか、診療時間をずらして、午前中はそのような方、慢性疾患の有る方は午後にやるとか、そういうことで分けてやる。そういうことを各地の病院、医師会、今、神戸は神戸市当局と、医師会が非常に連携してやっていただいてるので、これが一番大事だと思います。「警戒を怠らないで下さい、油断大敵です」と私が申し上げているのは、昨日の国会の論戦ではないですが、「普通の患者と同じだからいいじゃないか」では済まされないということです。完全に健康体の人は、先程申し上げたように、幸い大阪の69例の方々にしても入院が必要な人は一人もいなかったということ、これは幸いなのです。だからと言って、自分が人にうつしたときに、うつされた方に慢性疾患の方がおられたら大変なことになります。ですから、ただの季節性では無いのです。そこは皆さん注意していただきたいということを強調して対策を取りたいと思っています。
記者:
今回、新しい対策方針ではかなり厚生労働大臣に委ねられる形になっていると思いますが、その効果はどのように期待されていますか。
大臣:
例えば感染症法や検疫法は決定する権限は厚生労働大臣にあるのです。ただ、そうはいっても独断専行するわけでは無いし、私は医者でも感染症の専門家でもありませんから、様々な専門家の意見を聞きます。そして、何よりも大事なのは現場なのです。我々を含めて霞ヶ関にいてもわからないのです。やっぱり神戸がどうなってる、大阪がどうなっている。「是非大臣会ってくれ」と言って市長さん達が来てお話をして下さって、先般、岩田先生といって神戸大学で、現実に患者さんを治療している方にお話を聞くのが一番良いのです。そういうことに基づいて対応します。その際、迅速性を要する時は厚生労働大臣が法律に基づいて決定を下すということは迅速性という意味ではいいと思います。ただ、これは政治的判断ということであってはいけません。国民の健康を守るために何が必要かというのはあくまで専門家の意見、感染症の専門家、今患者さんを診ている人、こういう人の意見が大事であって、しかも現場の方々の意見が大事であります。昔ハーバードで勉強されていたかもしれないけども、ずっと臨床やってなくて患者さんを診ていない方の意見よりも、私は神戸で患者さんを診てきて治療してきた方の意見を聞きます。そういう意味で、色々な意見があっていいと思います。少し長くなりましたが、迅速性ということでありますし、そこから先は各省と連携をして、全政府を挙げてやるということなのです。
記者:
一部のスーパーとかでは、食料の備蓄の為に買いに来る人が結構いるのですが、備蓄という点では特に国民的には用意をしなくても良いのでしょうか。
大臣:
基本的には、事業者の方々にそういう点についてはきちんと配慮して下さいということは申し上げております。パニックになって買い占めということが起こらないように、事業者の方々にも要請しますし、国民の皆さんもそういうことがないように日常の生活必需品というものはちゃんとやりたいと思います。今、マスクを買えないということが色々なところから苦情が出ていますから、メーカーさんにはお願いをしています。海外から贈与してくれる国もありそうなので、そういう努力は致しますが、すぐ増産が間に合わないということで御不便をおかけしているので、何とかしたいと思っています。
記者:
今回は、基礎疾患のある方など重症化しやすい方への注意喚起に重点を置いておられると思いますが、それ以外にも健康で若い人でも一部重症化する例があるという報告もありますが、その点については今回のメッセージではあまり触れられていませんが、そこを強調する段階ではないということでしょうか。
大臣:
先程申し上げたように、大きな目的は感染の拡大防止。もう一つは重症化する危険性のある方々に対して御注意申し上げるということです。慢性疾患等としか書いていませんが、先程私が口頭で申し上げたように、世界の例を見ると、どこが違うかと聞かれたら、お年寄りや体の弱い人は普通の季節性だと罹る可能性が強いのですが、今回は若い人が罹ってます。これは、やはり強調しておいていいことだと思います。是非、注意していただきたいと思います。「何故高校生ですか」と言うときに専門家の方々の中には、集団行動をする、集団行動をして、しかも高校生位の年代というのは、小学生と遊んだり、大学生と遊んだり、高校生同士でひっつくからそうなるという説もあるのです。世界中、アメリカの高校生の行動パターンと日本の高校生の行動パターンがどう違うかという分析まではしていませんが、ただ、先程の大阪、神戸を見ても、日本の例を見ても圧倒的に高校生が多いのはなぜかわかってません。そういう意味で、一つの疫学的な認識を専門家に聞いたら、ウィルスは繁殖したいから若い人に取り付きたいという方もいます。当たり前のことで、高齢者よりもですね。そういう意見をおっしゃるお医者さんもいました。ただわかりません。おっしゃって下さったように、若い人が罹る、特に高校生というのが現状ですから、やはりこれは若い人特に注意してもらいたいと思っています。
記者:
今回、機内検疫からブース検疫に移行するという形に動かれると思いますが、これによりお医者さんを国内体制に移行されるという点に関してはどの程度効果が見込めるでしょうか。
大臣:
我が省について言うと、国立病院機構とか社会保険病院から相当お医者さんや看護師さんを差し向けています。自衛隊からも来ていただいてます。この方々がそれぞれの持ち場に戻ってそこで患者さんも診てくれるということです。国内の患者数はもう300名に近いわけですが、この前矢田市長さんが陳情に来られたように、野戦病院化してるくらいに神戸の病院は大変だということで、一般病院での診察も受け付けるようにしたわけです。やっぱりお医者さんが全体的に足りない中で、こういう状況でありますから、水際対策から国内感染対策に重点を移していくということは医療資源をそちらに移せるので、それなりの効果はあると思っています。
記者:
先程大臣は神戸、大阪の疫学調査が非常に難しい状態になっていると御認識されていましたが、仮に疫学調査で、いわゆる疫学的リンクが切れている状態、あるいは感染源の特定が難しいという結論が出た場合でも、今回の対処方針によると、あくまで地域は地域として国内全体を第3段階に引き上げるということは想定されない。そういうことでしょうか。
大臣:
今後の推移を見て、やはり専門家の先生方が諮問委員会なり色々なところにおられますから、その御判断を待ちたいと思います。ちょうどWHOが二つ以上の地域にまたがったらフェイズを上げますと言っていましたが上げていません。それは地理的な状況だけではないでしょうということで柔軟に見ているわけです。WHOもそういう方針です。我々も臨機応変にということであります。幸いといいますか、関東の地域と関西の地域だけなので、今後の推移を見ながら時々刻々と判断をしたいと思います。予見を持ってこうするということはやめたいと思います。
記者:
確認ですが、18日の会見で、兵庫や大阪だけでなく全国でウィルスが蔓延している可能性があるとおっしゃっていましたけれども、それを前提にした上で、今回は兵庫、大阪以外の東京とか滋賀とかは感染の初期で患者発生が少数だという認識で対策を立てられているのですが、そこの認識にあまりズレはないでしょうか。
大臣:
ズレは無いと思います。きめ細かいというのは、例えば、滋賀と京都はまだ一人ずつですが、大阪、兵庫は同じ地域でもこれだけ数が多い。これはやっぱりきめ細かいことをやらないといけないということで、二つに取りあえず分けた。これは三つに分けようか四つに分けようか色々と議論をしましたが、取りあえず二つに分けました。感染力も非常に強い、ただ重篤化しないということ。それから、アメリカの研究だと1957年より前に生まれた人は大丈夫だということ。私は年齢が60歳なので、私は大丈夫なはずなんですけどね。そういうことを考えると、やはりウィルス自体が今言った地域だけに留まっているのではなくて、基本的には何度も申し上げているように国内に広まっている可能性は想定しないといけない。したがって、「人混みを避けて下さい」「マスクをして下さい」「手洗いやうがいを励行してください」「体の抵抗力を付けるために色々なことをやって下さい」ということを申し上げているのはそういう意味であって、そこは矛盾はしないと思っています。一般的な注意喚起はやってもらわないといけない。しかし、感染者が出たときは積極的な疫学調査をやり、色々なルートを解明し、濃厚接触者に対しては然るべき手をとるということでやるしかない。それから、このような大きな決定をしたということは机上の空論であっては駄目なので、「神戸はどうでしょう」「大阪はどうでしょう」そこから出てくるものが相当基礎になってやっているわけですから、今後、当然これで終わるのではなくて、やはり他の地域からも出てくることを想定しなくてはいけない。ただ、そうなることを願っているわけではなくて、感染防止はやはり最大限の努力をしなくてはいけない。第一の目的ですから感染防止に国民の皆さんにも協力してもらいたいと思っています。
記者:
感染の拡大防止の目的として、慢性疾患の方の重症化するということをおっしゃっていましたが、その中に、感染が拡大していくことによって、先程もおっしゃっていましたが、季節性と違うのは、ウィルスがどこで変異するのかわからないという点について。
大臣:
感染防止というのは他の言い方をすると、感染の拡大を少しでも遅らせるということです。おそらく7月位から世界中でワクチンの開発を始める。秋位にはワクチンが出来る。そうすると相当予防が出来るようになりますから、今から秋までの間如何に感染を遅らせていくかということで、その間にワクチンの開発をやっていく。そして必要なら新たな治験をやらないといけない。先程の御質問で「何故季節性インフルエンザと同じ対応では駄目なのですか」ということに対して、重篤化するケースがありますということを申し上げました。先程申し上げた若者ということもあります。私が申し上げたいのは、昨日の国会論戦でもありましたが、「何も心配無いじゃないか、普通の風邪と同じで何で大臣そんなに騒ぐんだ」ということには正面から反論していきたいと思います。感染防止を絶対にやらないといけません。自分は罹ったって「俺は元気だからタミフルで治るんだろ、何騒いでるんだ」という人には、その反論として、「あなただけのことではありませんよ。あなたの健康は守らないといけない。だけど自分の健康を守る、人にうつさない、うつされる人のことを考えて下さい。その中に慢性疾患の方もおられるし、若い方ということもあるので、国民の皆さん、冷静に対応しないといけないけれど、感染防止ということは非常に重要だ」ということを強調しておきたい。努々油断してはいけないのは、新型だと言っているのはわからないからなのですよ。だから、4月の後半の段階での対応とは政府も変えてきています。最初はわかりませんでした。今からこうだとわかっていれば苦労はありません。変異するかもしれません。やはり日々刻々状況を見ながら適切な意見を専門家にいただいて、それも出来るだけ多くの専門家にいただいて、現場の知見を生かして、それを政策に落としていくということが必要なので、そういう方向でやりたいと思います。メディアの皆さん方に対しても「報道は過剰じゃないか、だから皆不安になるんじゃないか」という批判がありますが、そうでは無いと思います。皆さん方だって、報道に携わる人だって、真夜中に起こされたり大変だけど、これは国民に正しい情報を伝えることによって国民が対応できるのです。埼玉は健康ですよ、京都は健康ですよとすぐに報道が知らせていただく。そのことによって国民は例えば「じゃあ神戸の三宮の駅周辺ではマスクをしよう」とか対応が出来ると思うので、私は決して過剰とかではなくて、正しい情報を報道の皆さんがきちんと迅速に伝えていただく。それは報道の場にいる方も本当に体がクタクタだと思います。そのことによってきちんと国民が対応できる。国民は大変感謝していると思います。そういう報道機関の重要性を国民は理解して感謝していると思いますし、我々も同じように正しい情報を国民と共有したいし、一刻も早くこういう情報を、先程の大阪の症例研究なんかもお伝えしたいと思います。

(了)