閣議後記者会見概要

H21.03.03(火)10:04~10:25 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議については特別御報告することはございません。

質疑

記者:
昨日麻生総理が定額給付金の受け取りを表明されましたが、大臣はどうされますか。
大臣:
自民党全体で所属の国会議員が受け取って有効に使うようにという指示が内閣全体として出ましたのでそれに従います。
記者:
どのようなことにお使いになりますか。
大臣:
まだ決めておりません。
記者:
定額給付金の関係ですが、政府が二次補正という形で経済対策を打ち出したにもかかわらず、定額給付金というあまり国民に理解されないものを盛り込んだために政府全体としての経済対策に対する信頼が揺らいでしまったと思うのですが、今回の教訓というのをどのように今後の経済対策に活かして行きたいと考えておりますでしょうか。
大臣:
今日、明日で確実にその前提となる法案が通れば、後は実施するだけです。実施するのであればそれはきちんと成果が挙がるようにすればいいのです。2兆円ものお金がマーケットに出て行けばそれなりの効果があると思いますが、いろいろ去年の夏からの経過を総理の御発言を含め少し振り返ってみれば、最初は減税という形でやっていたが、そうすると税金を払っていない方々に恩恵が行かないだろうということで給付という形に切り替えた、そういうプロセスにちょっと時間が掛かり過ぎたのかなということがありますから、一旦決めたら断固として行うと一視同仁というか、すべて遍く方針を今度はきちんと行わないといけないと思っております。それときちんと広報というか、趣旨をよく説明するということもあると思いますので、様々な反省をしながら全体の経済政策を進めるべきだと思います。
記者:
東証株価指数がバブル崩壊後最安値を更新したのですが、近々官邸の方で有識者を招いて新たな経済対策などを検討するという話もありますが、厚生労働省として今の景気の悪化が止まらない中でどのような新たな経済対策、また雇用対策をすべきだとお考えでしょうか。
大臣:
AIGの問題がありますから、ニューヨーク株式市場で6,800ドルを切ったというようなアメリカの影響があると思います。そういう中で、基本的には雇用を守るということが第一です。しかし、その受け皿が必要ですから新たなる雇用を創出するということが必要ですので、厚生労働省としてそういうことをやっていくし、それから最終的には生活保護を含めてセーフティネットをきちんと機能するようにすることにつきると思います。政府の一員としては、それに加えて経済成長戦略をきちんと考えておかないといけない。今約1,500兆円という個人金融資産がありますからそれを放出することによって一時的な凌ぎはできるかもしれませんが、基本的にはこの日本がどうして生きていくかということを考えれば、資源小国で、石油を含め食料資源を輸入しないといけない、輸入するためにそのお金をどこかで稼いでいかないといけない。ですから、「輸出依存型から内需型へ」と口で言うのは簡単ですが、内需だけで生きていける国ではありません。アメリカとは違います。ですから、そういう国際社会における日本の経済的地位と資源小国で加工貿易で食べていかないといけないということを前提にした時にどういう国家としての大戦略が立てられるかということをすべての大臣が考えないといけません。予算委員会で「厚生労働大臣として労働のことだけを集中しておけばいいのに、経済成長を考えるとは何事だ」という意見がありましたが、私はそれに与みしません。一人の政治家としては、この国の将来をどうするかということを考えないといけないので、それを含め早く経済を復活させる、早く景気を回復するようにしないと雇用を守るだけでは駄目です。新たな雇用を生み出していくという戦略を持っておかないと。一時凌ぎは可能かもしれません。例えば、2万6千人に介護労働者の訓練を行う、これはこれで意義があると思います。しかし、では国全体から見たときに、どういう意識で富を生み出すかという視点でのセーフティネット論の一つの落とし穴はその視点が欠けていることなのです。それで有識者会議もあるでしょうし、今日の経済財政諮問会議でも議論があるでしょうから。ITを使って何かできないだろうかと私が言うのは、例えばIPS細胞を含めてこれだけすばらしい薬を作っているのであれば、薬というのは戦略産業になります。これで外貨を稼ぐということはありえます。そういうことを総合的に行い、厚生労働省が管轄している医療とか医療機器とか様々な分野でIPSを含めて成長戦略に繋がりますので、そのことも今日は強調しておきたいと思います。
記者:
2月の厚生労働省の調査で中途解除された派遣労働者の雇用状況がどういう結果になっているのかという初めての調査があったのですが、そこで常用型派遣の労働者の8割が今回失職しているというのが明らかになったのですが、厚生労働省は今度の派遣法の改正案で常用型派遣は安定しているので常用型派遣への誘導ということを法改正の大きな中身で事前面接の解禁というところに盛り込んだのですが、今回、その安定していると厚生労働省が言っていた常用型派遣が8割切られていたということについてどう思われますか。
大臣:
今度その次は正規です。正規の労働者の首切りというのが既に始まりかかっている。非常にそこまで深刻であると思います。法律の審議は審議で、基本的には登録型から常用型へ、派遣労働という枠組みの中では、それは方向は間違っていないと思います。ただ、今後はそれを超えて正規労働者まで整理の対象になるという事態が来つつある。それは極めて深刻なので、そういう意味では、持てる政策をフル稼働してセーフティーネットを張り巡らせるということは当面やらないといけないと思っておりますので、そういうことを含めてこれは是非国会審議の場でよく議論をし、更に新しい展望が開けるような道があれば与野党でよく議論すれば良いと思っております。
記者:
石破農水相が閣僚の中で選挙用のポスターに大臣と一緒に写りたいという話がありました。また依然として総理総裁候補に大臣を推す声というのは非常に高い。それについて今一度お願いします。
大臣:
石破さんは昔からの友だちなので。とにかく今3月11日以降は単独ポスターができないので、皆さん工夫をするということです。私は参議院で、選挙関係ないですから、一緒に写っても差し障りないですから、そういう意味では、ということで頼まれたので、それは友人であるし、選挙は総力戦ですから、どなたから要請されようと喜んで同じ党の仲間ですから、やるということにつきます。いろんなコメントは外の方がおっしゃっているので、私はとにかく今は大臣としての仕事に全力を挙げる、それ以上でも以下でもありません。
記者:
臨床研修なのですけれども、昨日の医道審議会の部会で見直し案が大筋で了承されてパブリックコメントをこれからかけるという段になったのですが、現時点での大臣の見直し案への評価を。
大臣:
これは私が全部決めたわけではなくて、皆さん御承知のようにずっとこの検討会を開いてきた。その中でも皆意見が違うのです。同じ医学部の先生でも、ある先生に聞いていると右の方に行け、こっち側の先生は全く左の方に行く。どっちが正しいのだろうか。現場の学生のアンケートを取ったりもしましたけど、一つは、元々ああいう制度を、新しい制度を入れて理想としてはいろんなことを総合的に検証するということのプラスはあったけれども、しかし、それで良いのだろうかという声も前からあった。だから弾力化していって、選択必修の科目を設ける。それはそれで一つの方向であると思うのです。例えば、自分は絶対に外科をやりたいんだと決めた学生にとって、「産科なんて興味がない。わずか三ヶ月くらい産科やっただけで何になるか」と言った時に真面目に勉強する意欲もない、教える方も三ヶ月ではとてもということになるから、では産科の人は、例えば六ヶ月とか集中的にやってその他の人は選んでも良いですよと変えた。これは一つの方向だと思いますが、もう一つの考え方から言うと、ちょうど大学の教養学部というのは何のためにあるのかねというのと同じで、何故理科系に行くのに文科系の科目を1、2年生で学ばないといけないかというのが常にあるのです。だけど、振り返ってみて、私なんかも一所懸命、数学をあの頃やっていたのです。何か役に立っているのかなと思うけれど、今振り返って見れば様々なことをやったことは、それはプラスになっているよというのがあるとともに、最初からもう少し専門のところをやっておけば良いというのもあるので、これは学生さんにしても教える方にしても賛否両論あると思います。ですので、一つの方向付け、弾力化ということで、しかも2年を1年にしてしまうという乱暴な話ではなくて、2年は2年で残した中でやっていくわけなので、これはパブリックコメントを含めていろんな意見を聞きながら試運転をしながらどうしてもこれは良くないよということであればまた変えていけば良いと思っております。一番大事なのは、良い医者をどうすれば育てられるかということが最大のポイントであって、研修医を連れてくることによって今近々の課題である医師不足を解消する切り札だということであってはいけないと思っております。もちろん研修医を上手に活用することが医師不足にプラスになることはあります。だけど、本来は国民が安心して診てもらえるような良いお医者さんをどう育てるかというのが最大の眼目なのです。研修医制度だけではなくて、要するに、18歳で大学に入って、医学部1年生になってずっと6年、7年、8年、10年くらいで一人前のお医者になる、その全部のプロセスを一所懸命検討しようということを言って、そのために文部科学省と一緒にやっているのです。文部科学省の方の委員会にまで私は口を挟む権限はありませんけれども、これは文部科学大臣にもきっちり申し上げていますけれども、少なくとも今言った趣旨を貫徹して文部科学省の中の内部の委員会をやる時もやって下さいよということは申し上げています。
記者:
そうすると今の見直し案について医師不足対策としては効果は限定的というのではないかという意見も出ているのですけれどもそれはやむを得ないと。
大臣:
本来的にはきっかけは確かに乱暴な意見ではあるのだけれども、1年を2年にしたから不足したのだ、2年を1年にすれば8千人医者が増えるじゃないかという意見があったので、そういう意見も踏まえてこれを見直そうとなった。ただ、私がずっと申し上げているように、一貫してどうお医者さんを育てるかというのが最大の眼目なので、医師不足に対応するためという目的が最大限あってということではありません。ですからそこは主従関係というのは、よくお考えいただければと思っております。きっかけは確かにそうですけど。
記者:
医療費の未収金問題、平成17年度一年間で219億円と。結局、市区町村に回収の権限を現行法政上与えられると。ところが平成18年度で回収できたのが33万円という数値がある。かなり深刻な問題だと思うのですけれども、例えば、無銭飲食のような形に近いようなケースもあると。そういったものに刑事罰を与えるとか、今後どういうふうに強化していくのか改めてお伺いしたいのですけれども。
大臣:
これは非常に難しくて、一般刑法でいってもサービスに対する対価を払わないというのは罪にあたるわけです。ただ医療ということで、生活保護家庭は完全に免除されていますから、そこまでいかない困った人をどうするか。一番良い例は、お産をした時に、払わない。産科が非常に困っていたのは、取りはぐれてしまう。40万円でも50万円でも今度出産一時金を直接支払に変えました。これは産科の先生方はそれが無くなるということを非常に喜んでいます。これは一例ですけれど、いろんな制度を工夫してということなので、これはおそらく医療サービスの対価を正当な理由が無くて払わないということになれば、病院がその患者を告発すればそれは刑事事件になりうるというふうに一般刑法でもなると思います。ただ、今、こういうご時世で非常に経済情勢が悪いですから、セーフティネットでどこまで張り巡らされるか、そのこととやはりモラルハザードの絡みが非常に難しいです。セーフティーネットの機能を高めるのは良いのですけれども、今おっしゃったような問題が出てくるのも困りものなので、これは一般的にどこまでセーフティーネットを張るかという議論を野党もし始めています。そういう中で検討課題にしたいと思っております。
記者:
医療機関のレセプトのオンライン化の義務化を巡って自民党内で見直し論が出ているのですが、これを大臣としてはどのように受け止めていらっしゃるかということと厚生労働省としてその見直し論に対してどのように対応していくのかをお聞かせ下さい。
大臣:
これは与党の方に医師会を始め、歯科医師会などから「レセプトのオンライン化を今強行されると地域で御高齢のお医者さんがそれについていけない。」ということで「それくらいならもう病院を閉めますよ。」ということで医療崩壊を更に進めるのではないかという議論が出てきたことを受けて、自民党、公明党の中で今議論が進んでいると思っております。いろんな案が出ているというのは分かりますけれども、今言った地域医療を崩壊させないという観点も必要ですけれども、やはり医療の効率化ということもまた必要なので、そこのところの折り合いをどう図るかということはよく与党と議論をしながらやっていかないといけないと思っております。とりわけ2,200億円の社会保障費の削減を強硬に主張する方々が常にシンボリックに取り上げる問題がこの問題であって、「レセプトの電子化、オンライン化、こういうこともまともにやらないで2,200億円を元に戻せなんてというのはとんでもない。」と言われる。歴代の担当大臣、例えば、大田弘子さんが大臣でやっておられましたけれども、常に骨太の議論をする時もそのことをおっしゃったので、逆に言うと非常に政治的な構造改革のシンボルになっている。「これくらいやらないで2,200億円を言うな」と言ってくる声に対して、最低それくらいはやりますよということを政治的にも言わないといけないという面もあるということをついでながら付け加えておきます。これは与党との中でよく議論をしながら、特にこういう経済情勢なので、なかなか病院経営も苦しいでしょうから、必要なら何らかの結論を与党と協議しながら出したいと思っております。
記者:
先程、派遣の話が出ていましたけれども、その派遣法の審議の目途が、まだ厚生労働委員会の方でたっていないのですが、年末年始に派遣村騒動がおきて、だんだん事態が深刻になって大臣が先程おっしゃられたように正規の社員まで切られるという状況になった。事態が変わってはきているのですが、あの派遣の問題というのを今社会としてどのように受け止めて国会論戦にないし社会的に議論していけばいいのかということに対して大臣のお考えをお聞かせいただければ。
大臣:
これは基本的には労使の間でまず議論してもらわないといけない。今日午後、労使の間でまた申し入れにいらっしゃいますけれども、基本的には、労使の間できちんと議論をし、その議論を受けて政府としてそれにどうお応えをするか。11年の改正、15年の改正、その時の経済情勢でとにかく失業率が高い、これを何とか埋めるためにという時代、時代の要請があるので、恐らく今の時代の要請もまたあると思います。だから、まずは労使の間でよく議論をしていただいて、労使の協議の参画がないところで政府が独りで旗を振る問題ではないと思っております。それがまとまった段階でそれは政労使で議論をすれば良いと思っております。本当に極めて経済情勢、雇用情勢が深刻なので、そのことを踏まえて適切な対応を取れればと思っております。

(了)