閣議後記者会見概要

H20.12.12(金)09:24~09:39 ぶら下がり

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
本日の閣議では雇用の問題を発言しましたが、まず経済団体への要請を今後行いたいと思っております。先般、12月9日に新たな雇用対策に関する関係閣僚会合でも私の方から経済団体に対して、雇用の問題を要請しておきました。私ないし副大臣が日本経団連等の経済団体に直接出向いて、派遣労働者、請負労働者、有期契約労働者の雇用安定の確保、更に、これらの方々の離職後一定期間の社員寮などへの配慮、内定取り消しの防止、非正規労働者の雇用の安定の確保について早急に要請したいと思います。その旨各大臣にも協力要請いたしました。
それから、住宅確保対策ですが、職を失うとともに、社員寮などから退去させられた方々に対して、雇用促進住宅での受入などを盛り込んだ政策を今一生懸命作っておりまして、来週の15日月曜日から雇用促進住宅への入居相談と斡旋、住宅生活支援の資金貸し付けの相談、更に、住宅確保に関する相談支援窓口をハローワークなどに開設するということで、相談窓口は全国187カ所のハローワークに開設したいと思います。細かい具体的な内容、特に住宅にかかる雇用促進住宅一万三千戸を使うことや、入居初期費用の上限50万円まで貸し付けることですとか、生活・就職活費上限100万円まで貸し付けることですとか、その他については事務方に説明をさせますので、資料を要求してください。
さらに、来週、渡辺副大臣が派遣労働者が来集している新宿ハローワークを視察することになっております。私もハローワーク、それから雇用促進住宅などの現状を見たいと思っておりますが、国会期間中でほぼ毎日委員会がありますので、時間をなんとかやりくりできれば来週に可能な限り各地を視察して、雇用政策に反映させたいと思っております。さらに、本日、緊急に全国職業安定部長会議を招集しておりまして、この後10時過ぎになると思いますが、そこで私の方から直接訓示をして雇用対策を全国各地で全力を挙げてということを申し上げるつもりです。こういう形での雇用についての政策というものを緊急に展開して行きたいと思います。

質疑

記者:
例の社会保障費の2,200億円の抑制幅を圧縮する問題ですが、たばこ税が見送りになって代わりの財源ということで今調整しているのでしょうが、難航も予想されます。改めてこの問題について。
大臣:
今、閣議後にちょっと総理と二人でご相談をして参りました。たばこ税については、様々な要因があってあのような結果になりました。しかしながら予算編成過程において、安定した財源を確保すること、そしてこれを社会保障に優先的に振り分けるということが決まっているわけですから、予算編成までまだあと1週間以上ありますから、この間最大限努力をしてきちんと安定的な財源を確保する。これはその方向で様々な知恵を働かせて努力をして、その点については総理と私と先程完全に意見が一致しております。
記者:
大臣の方から具体的な財源について何か言及しましたか。
大臣:
例えば、様々な特会とか、道路の財源とか、いろんなアイディアが様々な方から出ています。しかし、それはまた今から検討する。まだ1週間以上ありますから、精力的に検討していきたいと思っております。
記者:
総理からは具体的にはどういうお言葉が。
大臣:
とにかく予算編成過程がまだあるわけですから、これは総理も私も努力をして社会保障財源についてはきちんと確保するということですから、まだまだいろんな知恵を働かせる、いろんなアイディア、内外のアイディアも受けまして、それはもちろん財源的にも話を詰めてやっていきたいと思います。
記者:
基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げの関係なのですけれども、4月からの実施ということで固まっていますが、一方で与党の税制改正大綱の方では、消費税の引き上げ時期が明記されないということで将来的な安定財源が期待されていると思うのですけれども、それが決まらない中でやや引き上げの方だけ見切り発車的な形になってしまうかと思うのですが、その辺については。
大臣:
来年度から3分の1を2分の1に引き上げるというのは法律できちんと決まっていることですから、これはちゃんと実行しないといけません。しかしながら2兆3千億円ないし2兆5千億円というお金をコンスタントに継続的に調達していくということから考えると、例えば、消費税のようなきちんと安定した財源を確保する必要があります。しかし、当面、来年度から、とりあえず4月1日から実施するということになれば、それはどこからかお金を持ってこないといけないわけですから、まさにここもまた様々な知恵を働かせるということです。しかし、いつまでもそういうことであるわけにはいきませんから、一度2分の1にすれば来年だけではなくて再来年、さらにその先もやっていかないといけない。ですから、早晩消費税の問題を含めてきちんと議論をすべきと私は思っております。
記者:
やや技術的なことなのですけれども、来年の通常国会に2分の1へ引き上げの法案を提出されると思うのですが、その消費税の引き上げ時期が決まらないことでその法案の書きぶりとかややちょっと影響が出るのかどうか。
大臣:
基礎年金部分を3分の1を2分の1に引き上げるというのは既に法律で決まっています。もう2分の1に上げるのは決まっているので、細かい技術的なことをやるための法案は必要だけれどもそのことについて改めて立法措置は必要ありません。財源の手当だけです。
記者:
本来的には2分の1への引き上げと共に何年度までに安定的な財源を確保してというようなことが書けると一番良いとは。
大臣:
それは総理が3年後という消費税の引き上げ時期を明示したいとおっしゃってきたことは、そういう意図の現れだと思いますし、私もそういうことには賛成です。当然、責任持って政策を実施するためには。しかし、税制については党の税調の意見もありますし、議院内閣制ですから政府・与党一体となってやらないといけない。だから、今の政治の状況、それから近々選挙がある、いろんな様々な状況を判断して党は判断をなさっているわけですから、それはそれで尊重していかないといけないので、今後とも安定的な財源の確保のために来年度のみならず更にその先を目指して努力をしていくということをやらないといけないと思います。
記者:
たばこ税を含め、与党側、選挙が近いということも含めて、かなり増税、負担に対してかなり消極的な感じがしますが、そのことについて大臣としてはどのようにお感じでしょうか。
大臣:
私はいつも申し上げているように、給付と負担ということはきちんと皆で考えないといけない。毎回、これは全く意見が変わらないので、同じことの繰り返しですが、お金が天から降ってくるのなら誰も苦労はしません。国民の皆さんが一所懸命働いた中から税金や保険料を負担して支えていかないといけない。自ら支える自助があって、それから困った人を皆が助ける共助というのがあって、そして最後は、公助という公的な支援をやらないといけない。この3本柱で成り立っているわけですから、高いサービスを要求するなら、例えば、医療にしても介護にしても、それは高い負担にならざるをえないのです。サービス水準だけ上がって、負担はといったらどこからお金が出てくるのですか、それはきちんと議論をしていく必要があります。サービスのコストはかかります。給付があれば負担は必要なのです。その負担がどの程度であれ、その前提として給付にいろんな無駄があれば努力をして効率化をしないといけない。しかし、その上でももう限界に達している。私も大臣になって一所懸命努力してきましてけれども、医師不足の問題、これも結局、財源どうするかという話です。勤務医の皆さん方の給料が低い、これも財源の話です。介護報酬、これも今度補正で手当をしたにしろ、3%上げましたけれども、これも財源の話。今また雇用情勢が非常に厳しい。それで住宅の手当まで考えないといけない。全部お金なのです。私はやはり高い福祉を望むなら高い負担が必要だろうと考えています。低い負担しか出さないのなら低い福祉にならざるを得ません。それを何かミラクルがあるようにやろうとすれば、先の世代、将来世代のつけを先に送る。自分たちは今良いけれども、全部将来世代に担わせて借金でやってもらうということは責任のある政治家のやることではないと思いますから、給付に見合った負担ということをきちんと議論をする。国民には十分分かっていただけると思います。そういう意味で私は前から高福祉高負担の方が良い、つまり、安定して老後も過ごせる、医療についても心配ない、失業の時もちゃんと助けてもらえる、住宅も確保してもらえる、こういう安心感があって初めていきいきと生活して仕事ができるわけですから、そういうセーフティーネットをきちんと張り巡らせるコストは財政の重みではないのです。ここのところ国会答弁でいつも申し上げているように、何か医師を増やしたら財政の重みになって足を引っ張るというレベルの話になる。そうではなくて、ちゃんと医療体制をしっかりやる、雇用体制をしっかりやる、介護もしっかりやるということがまさに人間の価値を高めるという大きな国民の夢と希望に対する将来への投資なのです。ですからその投資は必ず実を結ぶという思いで今後とも必要な発言はやっていく。私は高福祉高負担ということで国民のご理解をいただく。多くの国民には理解していただけると思います。たばこ税についても、あれは何か特定財源ということで言っているわけではないです。一般財源です。しかしよく考えたみた時に、この前、たばこの被害にあわれた方々が来られて、本人も、ご主人がたばこで亡くなった奥さんも来られて、「健康を害するからなんとか大臣、値段を上げて抑制してくれませんか。」国民の健康のためなのです。そして世論調査を見ても引き上げの方が多いわけです。そして、これによって、たばこの消費が減るということになったら国民の健康が守れるわけですから。肺ガンになる人が減る、医療費が減る、結局国民は助かるわけです。だから何もその財源のために言っているのではなくて、これは国民の健康をどう守るか。そして300円を500円に上げる、そして「危険ですよ。」と言っても吸う方がおられて、結果的にわずかでも財政の足しになればそれはやはり国民の健康を守るために使うというのは当たり前ではないかという議論がなくて、報道を見ても健康という観点が全く議論されていない。私は党税調の中にいたわけではないですから分かりません。だけどそういう議論もきちんとやるべきです。それが世論調査でたばこ税は上げて良いのではないかという声があるということだと思います。少し選挙が近いにしろ、ですから様々な政治的配慮を働かせないといけないのは分かります。しかし、長期的にこの国をどうするのか、社会保障体制どうするのか、国民の健康をどうするのかという議論はきちんとやるべきだと思っておりますので今後ともそれは続けていきたいと思っております。
記者:
そういう意味で「3年後」というのをしっかり明記すべきだったと大臣はお考えでしょうか。
大臣:
それがなければ、時期をきちんと明示することがなければ将来に対して責任が持てないじゃないですか。それは今は分かります。これだけの雇用情勢が悪い、経済情勢が悪い時にすぐ増税かという形で反応されるとこれはなかなか政治的にきついということは分かります。順繰りの問題があると思いますけれども、やはり長期的には、今回の予算編成でこれだけ苦労しているわけですから、私はだからきちんとやはり社会保障費というのを確保できるように不退転の決意で臨んでいきたいと思っております。
記者:
総理との話の中で、新たな財源、安定財源を確保することに関して総理から担保をいただいたという感じになりますか。
大臣:
担保とかそういうことではなくて、たばこ税がああいう結果になったけれども、今後きちんと社会保障財源を確保するために全力を挙げて様々な知恵を働かせるということでやりますということで、総理にも私の認識についてはきちんと理解していただいたと思っております。その認識では駄目だということはおっしゃっておりませんから、そういう方向で総理以下一所懸命頑張っていきたいと思っております。

(了)