閣議後記者会見概要

H20.10.31(金)09:51~10:07省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議の前に自殺総合対策の会議がありました。厚生労働省としても、特にうつ病以外の精神疾患等によるハイリスク者対策の推進をやりますということをしっかりと明言いたしました。
それから、このオレンジリボンがあるように、児童虐待防止推進月間、毎年11月に行っておりますので、この問題を国民の皆さん理解していただくとともに対策をやるようにということでお願いをいたしました。
それから有効求人倍率について、若干雇用失業情勢が下降ぎみでありますし、昨日の生活対策の中にもいろいろ雇用セーフティーネットの強化というようなことが含まれておりますので、そういう状況を見ながらきちんと対応したいということを申し上げました。その他特別に閣議関係でご報告することはございません。以上です。

質疑

記者:
昨日、緊急経済対策が発表されて、雇用保険料の引き下げとか介護報酬引き上げ等関連する項目も含まれました。この点と、社会保障費の増大を見込んで総理が3年後に消費税を引き上げるということを言明しましたけれども、この2点についてご所見を。
大臣:
まず、様々な生活対策の施策については、介護保険料3%、ラフに言うと、恐らく現場で働いている方の月給が2万円くらい上がるかなという感じですので、これは一つの介護の現場に対する答えだと思います。それから雇用保険料の問題は、「国庫負担をやるのは無駄ですよ。」みたいな報告書がありましたから、先般、無駄だという考え方は労働省がいらないということになりますから、近代国家ではあってはいけないことであるということを、そういう考えに基づくような施策に私は署名することはできませんと申し上げました。しかし、雇用保険料をどうするか、4兆9千億円の積立金は非常に大事な積立金で今後経済情勢が悪くなれば更にこれを使わないといけなくなりますけれども、ただ、その懐ということから考えますと、これは労使折半で拠出するわけです。よって、一人一人のサラリーマンにとってみれば雇用保険料が安くなるというのは手取りが増えることになるわけです。そういう意味でのプラス効果がある。それから、企業にとってもその分払わないで良いわけですからプラスになる。それをどれくらいの規模にするのか、効果というようなことも含めて、ただはっきり申し上げているように、セーフティーネットの機能の強化ということもしっかりとやらないといけないので、全体的に今後恒常的にあまり大幅に引き下げると、今度はセーフティーネットの機能が弱化しますから幅を0.4%くらいというくらいに限定しているということであります。しかし、総体的に、特に強調したいのは、妊婦健診無料化。これはやはり1回1万円くらい、平均して9千円くらいかかると思います。特に妊娠末期だと健診頻度が多くなりますから、例えば、月に2回行くとすると2万円入るわけですから、それは非常に心理的に大きいし、少子化対策としても大きな意味があると思っております。出産、育児一時金の話も前から言っているように、地域の実情に合わせて50万円かかったものは50万円に。つまり、1円も懐に無くとも妊娠し、健診を受けて安心して出産できる体制にすることです。こういうこと含めてこれまでずっと国民の生活を支援するということで進めてきた雇用にしろ少子化対策にしろそれらがある意味で前倒し的に具体化したわけですから一定の評価をしていただきたいと思っております。
それから、消費税について総理がお述べになったことについては、消費税議論を抜きにしては駄目で、財源の議論をきちんと議論しましょうと私はずっと前から申し上げています。総理はいみじくも中福祉中負担で、低負担で中福祉はあり得ないよということをおっしゃっていて、それはこの前私がどこかで申し上げたと思いますが、私は高福祉高負担と言っている。つまり負担が無ければ福祉は無いのです。それはそういう言い方をして、中福祉なのに低負担なのを中負担にやるということで、つまり受益と負担の関係をきちんとして財源についてきちんと議論をしようということをおっしゃったので、これは当然早晩議論をしないといけない。ただ、3年間というのは、やはり今のような経済情勢を見ると、景気の回復のことを考えて3年ということをおっしゃったのだと思いますので、私は適切なご提案だと思っております。
記者:
この後、産婦人科学会の先生方とお会いになると思うのですけれども、大臣の方から特に今回の妊婦死亡問題を受けておっしゃりたいこととかお願いすることはあるのでしょうか。
大臣:
今日来られる産婦人科学会の会長、慶應義塾大学の吉村先生を含めて、ずっとこの1年余にわたって産科・小児科の問題、日本の医療体制の再構築の問題に関わってきた先生方なので、今回墨東病院の件がありましたから電話ででも相談をし、向こうからも電話をいただいております。そして、具体的にどういう提案があるか、今後どうするか。「安心と希望の医療確保ビジョン」はあらゆる分野をカバーしておりましたので、今回は産科の問題に特化して、しかも、救急医との絡みがありますから、産科、そして救急の両方の分野の専門家の方々にお集まりにいただいて、少し懇談したり検討する機会を設けてそこから具体案が出ればというように思っております。そういうことで、おそらくご提言をお持ちになってお見えになると思いますので、これはまたその時に議論をして決めたいと思っております。
記者:
消費税の話に戻りますけれども、消費税が仮に上がった場合に、特に重点的に配分する分野という、個別のものをこの辺が良いのではないかということをお持ちかということと、もし消費税が上がった場合に年金の給付額自体を上げるということは検討されますでしょうか。
大臣:
まず、やはり国家予算の4分の1くらいが社会保障ですから、やはり社会保障を重点的にと思います。ですから、国民の皆さんにご理解いただくためには二つくらいの方向があると思っております。一つは福祉目的税化するかどうか。これは議論があって良いと思います。それから、もう一つは複数税率です。消費税は今5パーセントですが、10パーセントを超える、つまり二桁になったらやはり複数税率を行うべきであると思います。奢侈品と日常の必需品。それから、この消費税が上がった場合の年金の支給額ですが、例えば、物価スライドとか、マクロ経済スライドということを入れており、そういうことをきちんと議論する専門の会議がありますから、そういうところに諮りながらどうするのか、消費税を上げることによって物価水準が上がるということになれば、当然その観点からスライドということになると思いますので検証した上で今までのルールに基づいてマクロ経済スライド及び物価スライドを行っていくということに尽きると思います。
記者:
先程の有効求人倍率なのですけれども、8ヶ月連続で減少しましたけれどもこれについて大臣はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
大臣:
今の状況は、職を探している方もおられる中で、職をオファーする側が景気が悪くなるとだんだん縮んでいっているということで、細かい分析をしないといけないというのは、どの分野、メーカーさんなのかサービス産業なのか、そういう細かい分析もしないといけないと思います。それからフリーター含めての正規か非正規かということも含めてよく現状を見ないといけないと思いますけれども、やはりこの夏以降、サブプライムローンの問題から始まってアメリカ発の経済不安というのが起こっておりますから、その延長線できていると思います。ですからそういう意味では雇用対策というのはしっかりやらないといけない。特にフリーター対策。これは予算もとって行っておりますのでそういうことで決して楽観して良い状況では無いと思っております。
記者:
例の墨東病院に絡んで、東京都が産科医を墨東病院に派遣することを決めたということなのですけれども、それ以前から都に窮状を訴える声が届いていたわけで、この対策について派遣することは良いと思うのですけれども、対応をとるのが遅かったとかそういうような、どういうふうに思われますでしょうか。
大臣:
これは東京都だけでなくて全国各地で起こっていることなので、遅きに失したと言ってもきちんとおやりになることは大変評価したいと思います。ただ、こういう不幸なことが起こって、そして報道を通じて世間の耳目を集めないと動かないという意味では、これは困ったことなので、それは我々の反省も含めてですけれども、2月から地元の医師会はおっしゃっていたことなので、これをもう少し早く正していただいていればとは思います。ただ、今全国の総合周産期母子センターについて調査をしていますけれども、基本的にはどこも大変厳しい状況なので、11時から産婦人科学会の先生方がお見えになりますので、恐らく短期的にはこうだ、長期的にはこうだというようなことのお話ができると思います。そして、週明けにでも、先程申し上げた緊急医の先生方、産科の先生方に10人程度お集まりいただいて、短期集中でお話をしたいと思います。ただ、いつも申し上げておりますけれども、例えば、千葉県の銚子の市立病院が閉院いたしましたが、まさに市立病院、都立病院、町立病院は一義的にはその市町村が運営しているわけですから、そこの首長さんと議会とがお決めになることです。今回都議会は都議会で補正予算を組むことによって対応なさったわけです。ただ、東京都というのはこの話があった時、他の自治体で「東京都は財政的に豊かなはずなのだけどなあ。」ということをおっしゃる方がおられたのは、他の地域の首長さんは、したくてもお金がないという非常に困った状況にある。そういうことを含めて、やはり行き着くところは先程どなたかの質問にあったように、社会保障財源というものが無いと限界に来ておりますから、これは消費税議論も含めて、やはり命を守るために必要なコストを払う。当然その前にもちろん行政の効率化とか行政改革の努力はやりますけれども、もう限界にきていますので、国民にご理解していただける中で国としても地方自治体と協力し、また各地域のボランティアの皆さん方含めて一所懸命頑張っておられる、柏原病院の小児科のお母さんの会のような方々も頑張っておられるので、これはオールジャパンで皆で力を合わせて前に進めるしかないと思っております。今回の都の対応は高く評価したいと思います。
記者:
解散が当面先送りされそうですけどそれについて。
大臣:
これは内閣総理大臣のみが決める権利がありますので、一閣僚である私がとやかく申し上げることではありません。閣僚としては、日々自分の仕事に邁進するということに尽きると思います。そういう覚悟で仕事をしたいと思っています。
記者:
改めてお伺いしたいのですが、一連の年金の問題で、年金の再裁定の手続きの滞留が多くて7月末現在で47万人くらいのが滞ってしまっているのですけれども、これについてはスピードアップを図る何らかの手立て等をお考えでしょうか。
大臣:
そういうことも含めて年金の作業委員会を開いてそこで対策を考えてもらっています。最終的にはとにかく人を確保しないといけない。今、社会保険労務士の方々にもご協力をいただいている。それから端末もいろんな所において社会保険事務所に行かなくても市町村でもできるようにするなど対策を続けてやっておりますので、更に努力をしてまいりたいと思います。本当にこれは事務量が多くて皆さん方には滞留ということでご迷惑をおかけしておりますけれども、今言ったような施策を通じて改善を図りたいと思っております。
記者:
先日、ポリティクセンターの地方移管についての反対の協議会ができましたけれども、それに関連して、雇用・能力開発機構の存廃について改めてご見解をお伺いできますか。
大臣:
地域、地域の事情があります。魚津と舞鶴の市長さんが来られてそれぞれの事情をお話になりましたので、きちんとやはり各地域についてきめの細かい実情を把握した上で対応したいと思っております。雇用・能力開発機構については年末を目途に、いろんな検討会がありますから、今担当は甘利大臣なので、甘利大臣とも協議をしながら、いろんな関係の方のヒアリングも聞きながらやっていきたいと思います。ただ、問題は、民間に移したり、他の組織、つまり地方に移したり出来るものはやればいいし、不要なものは変えていくという改革の大きな看板は掲げて良いと思います。一方、魚津や舞鶴の市長さんがおっしゃったように、例えば、ポリティクセンターを国がきちんと管理してやってもらわないととても地方ではやる財政能力がないですし、地方の雇用に非常に大きな影響を与えることであるのでということですから、そういうことについてはまた特に今からしばらくは金融危機ということで実体経済に影響を与えれば雇用問題が起こってきますから、そういうものにきちんと対応できる事業をやっていく限りにおいては、この雇用・能力開発機構の仕事はきちんと続けていけば良い。そういう感じで改革の旗は降ろしてはいけないと思いますから、状況を見ながら年末を目途に一定の評価をしたいと思っております。

(了)