閣議後記者会見概要

H20.10.24(金)09:24~09:44 参議院議員食堂

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
まず、例年の資産公開の話がありますが、これは昨年と全然変わっておりませんし、お配りしていると思いますので、そのとおりであります。
閣議については、特別なことはありませんが、昨日総理からの緊急経済対策の追加指示ということで住宅ローン減税の拡大とか、省エネ新エネ設備の初年度即時全額損金算入であるとか、道路特定財源の一般財源化に際し1兆円を地方に渡す、それから、地方自治体一般会計に長期経理の資金を融通できる共同の金融機構の創設、更に税体系について抜本改革のプログラムを組む。これは昨日の指示の確認でありまして、既に報道されているとおりです。閣議及び閣僚懇談会についてはその程度です。
私の方から一つは、日本年金機構の設立委員。日本年金機構は、平成22年1月に設立されます。設立委員は、この一覧表にありますように、社会保険庁問題に対して厳しいご意見を持っている方も含めて様々な分野からご参集いただいております。これはあいうえお順ですけれども、磯村さん、岩瀬さん、それから充て職で我が省の次官、それから朝日新聞論説委員だった大熊由紀子さん、それから大山さん、トヨタの奥田さん、毎日新聞の岸井さん、連合からもこれもある意味で充て職で古賀さん、小嶌さん、地方の志木市長の長沼さん、それから今私の下で標準報酬の改ざんの調査をやってもらっています弁護士の野村さん、間瀬さん、それから山崎さん、こういう方々に入っていただいて、厳しい目でこの新しい組織のスタートの準備をしたいと思っております。この紙はまた後ほど事務方から皆さん方にお配りしたいと思っております。
それから、今日この後、本会議がありまして、本会議の後都立墨東病院に緊急視察に入ります。この視察後に現場を見ての緊急医療体制、産科の問題については現場でお話をしたいと思っております。私の方からは以上です。

質疑

記者:
資産公開の件ですが、大臣ご自身の評価と、資産公開制度そのものについての意義と改善点についてどのようにお感じになっているかについてお聞かせ下さい。
大臣:
これは昨年も申し上げましたように、一所懸命仕事した結果ですからそれ以上のものでも以下のものでもないと思います。資産公開制度、これは特に閣僚や政治家になった前となった後で透明性があった方が良いと思います。つまり、今不正があったり、いろんな献金問題等が与野党含めて問題になっておりますけれども、こういうことについてきちんとけじめをつけるためには、こういう制度は、私はあって良いと思っております。ただ、例えば、定期預金という形は出ますけれども、普通預金という形で出ない場合に、どこまで正確に捕捉できるのかという改善点もありますけれども、当座なら駄目で普通なら良くて、定期ならどうだというのは、それの区別もまた難しいので一応そういうことになっていると思います。今言ったような細かい点は問題あると思いますけれども、基本的には公職についている間は透明性を確保するということで意義のある制度だと思っております。
記者:
昨日、医療介護のシミュレーションが出まして、将来的には消費税率に換算して3%~4%の新しい財源が必要だという指摘がなされましたけれども、これは大臣どのように評価されていますでしょうか。
大臣:
これは一つのシミュレーションなので、たたき台としていろいろ検討して良いと思っております。その数字自体についても計算の仕方や何かが違ってくると思いますけれども、やはり今までの日本の仕組みを考えると、低負担で中福祉だったのだろうという感じがします。OECD諸国を見ても日本は非常にランキングで下の方にあります。だから、社会保障費というのは非常に低い負担で、しかしそこそこの中福祉を実現してきた。したがって、世界最高の長寿社会を作った、いろいろな意義があると思います。ただ、何度も申し上げていますように、これはほぼ限界がある。そうすると、おそらく総理が中福祉中負担とおっしゃっているのは、やはり負担を中程度にあげる、そして、福祉を中程度。私はやはり方向としては今低負担中福祉ですけれども、このままいくと低負担低福祉になる危険性があるので2,200億円の問題等で警鐘を鳴らしているわけです。ですから、やはり相応の負担はする。しかし、それに見合っただけの高い福祉水準を設けるということが必要だと思いますので、時期的にいつやるかは別としてこういう議論をきちんと始めることは意義があると思っております。北欧なんかは25%ですから、消費税換算にしてどうかと。そしてその時に長期的には国民のご理解を得るために4%上げるということは、現在の5%が9%になるわけですから、社会保障の目的税化というのが一つ。もう一つは、2桁、つまり10%以上の消費税ということになれば、やはり複数税率を設けるべきだと思っております。つまり、生活必需品には、非常に低い税率で、しかし、奢侈品には高い税率。こういう工夫も必要になってくると思いますけれども、昨日のシミュレーションは一つのたたき台として評価したいと思います。
記者:
資産公開の関係ですが、大臣とご家族で上場企業の株を保有されていますが、株価下落の影響というのは受けていらっしゃるかどうか。
大臣:
恥ずかしながら2株くらいしか持っていないものですから、ほとんど。元々少ないので。どれくらいになるのだろう、200万円が半分になったら100万円ですからそんなものだと思います。
記者:
実感という感じでもない。
大臣:
全くありません。
記者:
資産公開の関連ですが、麻生首相が、平成以降の総理の中では最も資産が多い総理になりそうなのですが、夜日程がいろいろ議論にもなっていると思うのですが、こういう資産家が総理になることについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
政治家として総理としての能力に全てがかかっているので、お金持ちだったら悪いとか、貧しかったら悪いということでは無いだろうと思います。それから、どういう形で自分の生活、ワークライフバランスを組み立てるかはご本人の自由ですから。散歩しようが一杯飲もうが、やはり朝9時から5時まで委員会で質疑応答をやっていますと、我が厚生労働委員会を見るとよく分かると思いますけれども、私のような人間でもかなりストレスが溜まるのです。そうすると、私は、家で子どもたちと遊ぶのが一番ストレス解消なのでそういうことをやっておりますし、一杯飲むこともあります。それぞれの人のワークライフバランスで良いので、それで翌日はつらつとして出てきて、きちんと国会での対応をできる、公務を遂行できればいいのです。翌日の公務に差し障りがあるような、極端に言うと、二日酔いでべろべろになって出てきて仕事出来ないというのでは困りますけれども、一杯飲むことによってストレス解消して明るい顔で出てこられるのなら、それは自由だと思います。特に我が省はワークライフバランスということを言っているので、個人が自由にワークライフバランスをおやりになって下さいという立場です。
記者:
資産公開の関連なのですが、項目に「公社債3億円」とあり、昨年も説明されたかもしれないですけれども、改めて説明をお願いします。
大臣:
私が政治経済研究所というのを主宰しています。今は閣僚になりましたから役職は離れましたけれども、そこを運用していかないといけないですから、そこの会社の社債です。したがって、いろんな形で借金、銀行からやるからもよし、自分の持っているお金をその運営資金に回すもよしという形でしているということであります。
記者:
薬害肝炎問題で、田辺三菱製薬が一部の原告について和解に賛同できないという意思表示をしているということですけれども、原告さんにとってみれば、それによって国が態度を保留したということで、原告にとっては救済が遅れるということになると思いますが、その点に関してはどうですか。
大臣:
今おっしゃたのは名古屋の地裁の件だと思いますけれども、国は基本合意書で和解をしました。そして、先般、メーカーさんも和解したという報道になっておりますが、よく見ると、訴訟放棄をしたというだけなのです。したがいまして、6人の内の5人について保留をなさったわけです。今私が見ているのは、きちんとどういう理由で和解を保留するのかという意見書が裁判所に出されていないのです。ですから、私たちは、やはり和解というのは司法の場でやりますから、まずは、田辺三菱製薬から裁判所の方に書類を提出していただくことが必要だと思います。地裁で、確か東京と福岡などだと思いますけれども、これまた同じことをおやりになるならば、「かくかくしかじかの理由で保留します。」ということを正式に裁判所に文書を出していただく必要がある。それを受けた上で、私たちとしてどういう態度をとるかということをきちんと決めたいと思います。製薬会社は製薬会社でいろんな言い分があるということですけれども、私たちに言われるよりも、まずは和解の場を設定しているのは裁判所でありますから、裁判所に対してきちんと文書で出していただかないと困りますので、まずそれを出していただく。それを見た上で私たちもきちんと態度を決めたいと思っております。それが今の状況です。ただ、基本的に国としては、原告、被害者の方々を少しでも救いたいという思いがありますので、そういう方向で今後ともメーカーの態度を見ながら対応していきたいと思っております。
記者:
脳内出血を起こした出産間近の妊婦が複数の病院で受入を断られたという事故があったのですが、それについてのお受け止めと、今回視察に行かれる墨東病院、東京都監督下にあると思うのですけど、今回行かれる意味というか、その辺りを。
大臣:
一番進んでいると言われている東京都でこういうことが起こったということを非常に重く感じてます。もちろん亡くなられた方、ご家族にお悔やみは本当に申し上げないといけないと思います。まずいろんな点があるのですが、一部週刊誌や何かの報道で私も知りました。2週間もこういう事故について厚生労働省に上がってこないというのは何なんだということ。情報伝達。私は知らなかったのです。報道で初めて知りました。今までこの問題に私が関わってこなかったならあれですけれど、就任して以来最も力を注いできたことの一つが産科小児科医問題、緊急医療の問題で、皆さんご承知のとおり相当いろんな手を打ってきました。総合周産期の母子医療センターにしても、あと2つの県を残すところまで整備をしてきました。そしたら週末に当直医が一人しかいないということで、これは周産期センターと言えるのか。羊頭狗肉ではないか。それならもっと早く私のところにくればいい。都立病院、都も大きな責任がありますよ。「大臣こういう状況です。都も頑張っていますけれども何とかなりませんか。」と。現場のお医者さんを責めても仕方がないです、お医者さんが足りないのだから。そうすると、こちらも今いろんな手を打つことが出来る。各地から「産科を閉鎖しないといけないから何とかしてくれ。」という声があります。一所懸命探してその各地にある大学に何とかお宅から研修医を回してくれないかと相当しのいできています。例えば、長野の飯田市立病院もそういうことをやった。そういうことをやって手を打っているのに、全く情報が上がってこない。そういうことがあります。それで私はとにかく、これは一刻も早く、しかも現場は東京ですから、いろんな各地を見ているので、今すぐでも行けるので、ちょうど本会議2つの間の時間を取れますから、車で行けば30分で行けますから、とにかく私が現場を把握してどういう状況であるか現場を見る。産科病棟はどうなっているのか、NICUはどうなっているのか、何故そういうことが起こったのか。細かい調査は、拒否した8つの病院も含めて全部やらせます。そこから反省する材料をやらないと。これだけ一所懸命一年間やってきてのことがこの結果だったら、やはりもう一回一から見直さないと。イマージェンシールーム、ERの設置の仕方。あそこの病院はああいう形でやることが良いのかどうなのか。今皆さんも気付いているような問題が山ほどあるのです。東京都に改善してもらわないといけない問題も山積している。だから、私は一刻も早く現場に行って、きちんとやる。今日見た結果、それはお話ししたいと思います。まず、情報が上に上がってこない。文句言う時だけは、厚生労働省しっかりしろと言うけれど、こんな事故の情報も私のところに上げないで言われても仕方ありません。だから、週末であれ、いつ赤ちゃんが産まれるかは分からないのですから、例えば、「かくかくしかじかの条件」、つまり、「何人産科医がいないと駄目です。」、「どれくらいNICUのユニットが無いと駄目です。」という条件をきちんと決めて、一つでもその条件が欠けたらすぐ知らせてもらう。そしたら手が打てるのです。大体そんなことは地方自治というのだったら地方がしっかりしないといけないのです。私が今日行くと言ったら、都の方は忙しいから対応できないと言うので、別に都の役人なんか一人も来ないで良い。私が見ることに意義がある。それで行けと指示しました。私が行けと言ったら都が対応出来ないというので、都の職員はいらないから、私自ら行きますから、対応出来ないなら出来ないでかまわない。それくらいの覚悟できっちりやらないと。人の命がかかっているのだから。ですから私は精魂傾けてこの問題に取り組んできて、11年ぶりに閣議決定で医師不足は無いって言っていたものを医師不足だというのは変えたわけです。そして今ビジョンの検討会もやり、研修制度の問題も一所懸命やっている最中にこんなことが分かったので、非常にショックだし、非常に重く受け止めますし、とてもじゃないけど都に任せきれない。そういう思いで、怒りを込めてます。それは自分のやっていることは完璧だとは言いません。努力はしてきていますけれども、その努力をしてこういうことがあるのだったら、やはり都立病院を含めて公立病院のお医者さんの待遇が悪いのです。そういう問題も山ほどある。だから、これは徹底的にその問題を国民の前にさらして、皆の力で解決するしか無いと思っておりますから、そういう思いで現場を見たいと思います。私が行けば全て見られるわけではないので、フォローアップは厚生労働省の職員にやらせますけれど、とにかく陣頭指揮をやるという覚悟でやります。
記者:
社会保障国民会議のシミュレーションの関係でお伺いしたいのですが、介護の職員の大幅増を増やしていくということが求められるような結果になったと思いますが、それに対して厚生労働省としてどのような手を今後打たれていくのか。
大臣:
その前提として医療と介護のシームレス化をどうするかということがあります。医療保険と介護保険の2つの保険の運用の仕方の問題もあり、介護だけではなくて、医療の分野もまさに今の問題、医師不足あり、介護の人材が不足し、定着率が悪い。したがって、緊急経済対策でも、緊急経済対策の前からやはりこの報酬改定をやろうということを言っていたわけですから、やはり処遇を良くしないといけない。いくら人数を増やしてどうだと言ったって、そこの職場に人が来てくれなければ仕方ないのです。待遇改善をやるけれども、今EPAでインドネシア含めて外からの人も来ているという形になっております。それから、今経済産業大臣ともにやっているのは、いずれこれデモンストレーションをやりたいと思いますけれども、介護ロボットの開発をやっています。今、食事を口まで運んでくれるところまでロボットができるようになったので、あらゆる手を使って。しかし、介護はロボットでできることはやらせれば良いのですけれども、最後は人間なのです。フェーストゥーフェースのところがありますから。だから、そういう人を増やすこと、そのためには条件を良くするということは、最終的には、社会保障費は膨らまざるを得ない。だから、何度も言うように、高福祉高負担という方向にならざるを得ないのではないか。それは国民のご理解をいただいて、無駄を省き、行政がきっちり努力をして、そして、良い医療、良い介護、そのために必要なお金と人材は手当てするという方向での改革にしたいと思っております。
記者:
与党の対策の方向としては、保険料据え置きという軽減策を打ち出した中での介護報酬の改定というのを睨んだ対策なのですが、その方法論の是非というのは大臣どのようにお考えなのでしょうか。
大臣:
私は基本的には、介護保険料を上げることによって介護報酬を上げるというのは、正論だと思います。というのは、フィフティーフィフティーで医療も介護も50%は税金、50%は保険料。あまり税金のシェアを大きくするのも保険ということの意味が無くなる。そこのバランスがありますので、そういう問題も超えて一つの政治決断を与党の方がおやりになったらそれに対してどうするかまた考えたいと思います。
記者:
社会保険事務所でのレセプトの抜き取りについてなのですが、現在までの調査の状況、大臣のところに上がってきている報告等と、それから組織的な関与があったかどうかについてのご認識を。
大臣:
今まだ調査を始めたばかりで具体的なものは来ておりませんけれども、今標準報酬の改ざんのチームにそのことも同時に調査するようにということも言っていますし、もちろん社会保険庁にもやらせていますので、でき次第また公にしたいと思っております。

(了)