閣議後記者会見概要

H20.10.03(金)09:11~09:27 ぶら下がり

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日はまず年金の不適正な遡及訂正処理の可能性のある事項ですが、この前三つの条件に絞って6万9千件というのを申し上げましたが、まず、条件1「標準報酬月額の引き下げ処理と同日もしくは翌日に資格喪失処理が行われている」ものが約15万6千件。条件2「5等級以上遡及して標準報酬月額が引き下げられいる」ものが約75万件。条件3「6ヶ月以上遡及して標準報酬月額が引き下げられている」ものが約53万3千件。これは要するに第三者委員会に出てきた88件の、いわゆる標準報酬の改ざんについて分析した結果、この三つで絞りました。一番のポイントはやはり、条件1です。ただ、これはこういう処理を正しく行ったものもある。5等級以上といっても本当に経済情勢が悪くて引き下げた例があったり、中小企業等で忙しくて、とても賃金台帳や何やかやを変えたのをいちいち換える暇がなかったということで、後でやったりとかです。これは6ヶ月以上も同じなのです。正規にケアレスミスであったり、正しい処理でこう行ったものもあるので、絞ってみて6万9千件ありますので、とりあえず、しかもこれを絞って2万件が65歳以上なので、優先順位を付けて行う。まず2万人にできれば10月の中旬からでも訪問をして、しらみつぶしに当たって行きたいと思います。そして、その後4月から現役の人には皆標準報酬月額の知らせが行きます。もちろん、例えば、この条件に引っかからなくてもどれかの条件に引っかかっているので本当に問題のある可能性のある記録がありますから、それはおいおいに追って行くと。88件の分析では九十数パーセントの確率でこれが一番高いわけですから、そういう形で順を追って行きたいと思っております。それから、これはいろいろ情報をもらわないとできないので、厚生労働省のホームページに私だけが見る「厚生年金の標準報酬問題大臣あてメール」をホームページを開いてクリックすればパッとつながるようにしております。これで例えば、職員の人で「こうだった」とか、中小企業の事業主で「実は私はこういうことをやったのだ」ということがあれば、情報を取るということもやって行きたいと思っております。これについては後ほどまた細かい資料について事務方からご説明申し上げたいと思います。
それから次に原爆症の認定ですが、これは関係省庁と協議をした結果、今回の判決を精査した結果、高裁の判決を仰ぐことが適当であると判断して、先ほど控訴いたしました。その理由は、放射線と関連するとの知見が確立していない高血圧症について放射線起因性を認めているということ、また、一部の疾病について他の地裁と判断が分かれていること、さらに、最新の科学的知見に反するものがあることなどで、高裁の判決を仰ぐことが妥当ということで、先ほど控訴いたしました。なお今回の判決に当たりまして、肝機能障害と甲状腺機能低下症につきましては、前者について与党PTの提言が、また、後者につきましては大阪高裁判決があったことから、今月から原子爆弾被爆者医療分科会においてその取り扱いを専門家に議論していただくことといたしました。さらにもう一つ申しあげますと、原爆症の審査方針に関しましては本年3月に「新しい審査の方針」を策定して、4月からこれに基づく認定作業を迅速に進めております。現在まで原告164件を含む1,021件が認定となり、昨年までの約8倍の認定件数となっておりますので、今後ともこれをスピードアップして行きたいと思っております。これが2点目です。
それから、第3点ですが、先般の記者会見でどなたかがご質問なさった名ばかり管理職に関する通達と批判に対して様々な誤解があるようですので、まず、事業主向けの説明会などで周知徹底するように注意すべきことを都道府県労働局宛に通知する。それから、寄せられた疑問、意見で代表的なものについてクエスチョン&アンサーのような形で解説したものを厚生労働省のホームページに掲載するということで、この通達の名ばかり管理職をきちんと改めよという適正化について、私の趣旨が貫徹するようにそういう手を取ったということです。以上が私からの説明ですが、何かございますか。

質疑

記者:
原爆症訴訟の件ですが、結局分科会でもう一度有識者でということは、認定の見直しなども考えうるということですか。
大臣:
要するに、科学的知見がないと政治的な判断だけではなくて、専門家がきちんと議論をして、こういう理由で例えば肝機能障害について認定しようということを受けていつもやって来ているわけなので、それをスタートさせるということです。その結果を待って、さらに一歩前に進めればというように思っております。いろいろ法務省を含め関係省庁と精査した結果そういう結果に達しました。
記者:
別件ですが、与党国対から野党側の資料の要請について厚生労働省を含め全省庁に事前に相談するようにという通知があったと、これについての大臣としてのお考えは。
大臣:
基本的には、与野党を問わず必要な資料はできるだけ提出したいと思っておりますが、行政の長として私自身はどういう資料を出すか、出さないか、それは与党に対しても出さない資料はありますので、いろいろな意味で私の判断です。それから、これは議会制民主主義ですから政府と与党が相談するのは何の問題もないと思います。そういう中で、資料要求がたくさん出てとてもじゃないけれども省庁は対応できない、与野党でこの資料の提出要求については議論しようとルール作りを行っている最中でこういうことだということなのです。私はできるだけ出した方が良いと思いますが、与党に対して出さないものもあります、野党に対して出さないものもあります。最後はそれぞれの省庁の、もっと言えばそれぞれの大臣の最後の判断なので私はそういう方針で行いたいと思います。
記者:
標準報酬月額の件ですが、先ほど三つの数字を単純合計して6万9千件を。
大臣:
単純合計ではありません、正確に言ってください。3つの条件にかなったものということです。合計ではありません。
記者:
すべて足し上げて、6万9千件を差し引くと130万件くらいになるのですが、その中に適正なものが含まれているというのは分かるのですが、ただ、可能性という意味では改ざんされている可能性というのはないのでしょうか。
大臣:
もちろんあります。ありますから先ほど言ったように、優先順位を確率の高いところからやって行きますよということです。もちろんこれ以外にもあるのです。何度も申しあげますが、コンピュータ上の犯罪です。1986年3月以前で一件あった、まさに改ざんしているわけですね。紙に線を引いて改竄していますから分かるわけです。だからこういうことまでやるかと思ったのですが、基本的には証拠が残ることはやりたくない。我々が今パソコンで文章を作文してデリートすればすべて消えて前のは分かりませんね。ですからこれはコンピュータ上の犯罪で基本的にはそう思っていいですから、1986年以降なのですね。そして、もちろん個々にこの3つの条件を満たさなくても、それぞれについておっしゃるように可能性はあります。ただ、優先順位をやると今88件くらいを調べた時、この3条件というのはピタッと来るわけです。99パーセントくらい当たる案でやって行くべきだろうと。それでその中で若い人はまだ時間がありますから、とにかく今ご高齢で65歳以上で年金をもらっている方に一日も早くということで、できれば本当に10月中旬から始めたいと思っております。約2万人くらいでしょう。それで、社会保険事務所が全国300くらいありますから、1カ所平均で70人ですから。郵送も同時にしますが、できれば資料を持って行って「おじいちゃん、おばあちゃんこれはあなたのだけれどもどこか改ざんされてませんか」ということで行っていく。そういう形できちんと証拠が固まればそれは刑事告発をするなり、厳正な処分で臨みたいと思っております。順番にやって行きます。いつも申し上げているように年金問題は一気にできませんから、やはり、確率の高いところから行っていく。そしてねんきん特別便を10月いっぱいまで1億1千万枚くらい送りますが、今のところ処理が済んだ、自分にとって年金記録問題終わったよと、もう訂正なしだったとか、それから訂正してもらったと、これが約4千万件にのぼりました。そういう形で昨年7月5日の政府・与党方針で着実に一個ずつ積み上げていって4千万まで行ったということは一つの成果だと思いますから、やはり、優先順位を付けて行うことでやり方は間違ってないと自信を持って言えると思います。
記者:
数字という意味だけでは、6.9万件という数字が出たり、今回出たような数十万件という数字も出たりして、国民からは、一体改ざんというのは、何万件あるのだという、不安になると思うのですけれども、その辺は。
大臣:
ですから申し上げたように、1986年以前はほとんどありません。コンピューターが入ってからです、オンライン化されてからです。もちろんそういう不安があるからこういう数字を説明して一つ一つしらみつぶしにやっていくけれども、確率の一番高い所からやりますよという優先順位を言っているわけです。だから、それは、やらないともなんとも言っていないので、きちんとデータを出し、きちんとやっていく。着実にやります。ただ、一気呵成に今日全部片付くというものではありません。昭和17年から厚生年金を始めて、65年間の積もりに積もった社会保険庁の不祥事の山ですから、懸命になってやっておりますからそこはご理解いただければと思っております。
記者:
この間おっしゃっていた県民健康保険ですが、これは県側の反発というのも当然多いと思うのですけれども、実際に実現性みたいなものというのは、どういう認識でいらっしゃるのですか。
大臣:
これは、一番実現性が高いと思っております。それは今から議論をしていきます。県との財政負担とか運用のやり方、県と市町村と国、こういうものについて今から議論する。今日からできるのならばそんな簡単なことはありません。
記者:
これは、選挙の時には、自民党の公約に入るような種類のものなのですか。
大臣:
自公政権合意は、高齢者の心情に配慮してより良いものについて改善していくということですからそれに尽きると思います。「何も案が無くて言うのではないか」と言うから、「いや、私はこういう案を持っていますよ、この案の良いところはこうですよ、それで今から詰めるべき点は、こうですよ」ということを申し上げています。今おっしゃったことも、県の役割、県がなかなか嫌だということで、今は県ではなくて広域連合がやっているわけですから、そういう理由があるのです。では、それをどういうふうに改善すればいいか。これは、政府与党できちんと議論をして今から詰めていきますということです。だから、私の案は、フィージビリティが高いと思っております。またそれは説明する機会があればきちんと説明していきます。ただ、もちろん解決すべき課題は山積しています。それは、今から一年、最低一年かけて議論しようということです。
記者:
まず案として出した。
大臣:
案として出したと言ったって、それを何も思案が無くて言っているわけではありませんから、そういういい加減なつもりでは出しておりません。言葉尻を捉えて悪いけれども。要するに、民主党は、まず廃止をする。一元化と言われますが、どうやって一元化をするのですか。案があるのですか。私に何も無いって言っていて、では、君らあるのですか。もっと無いじゃないですかということです。
記者:
原爆症の関係ですけれども、分科会に審議をしてもらうということなのですが、分科会のメンバーの入れ替えというのはお考えにはならないのでしょうか。
大臣:
それも場合によっては検討の対象になるかもしれませんけれども、当面まだそういうことまでは考えておりません。
記者:
現メンバーにもう一回審議をしてもらう。
大臣:
それぞれきちんとした科学者ですから、科学者の良心に基づいてやっていると思いますので、それをメンバーを替えてどうするという政治的にそういうものを替えるべきものではなくて、これは、政治が入らない分野です。科学者として、医学者として、お医者さんとして、専門家として、きちんと良心を持ってやっていただくということですから、今のところそういうことの議論はありません。
記者:
どのくらいの期間で結論を出して欲しいということは。
大臣:
それは、科学者の知見ですから、それは、こちらが政治的に強制するべきものではないので、そこは、専門家の良心に任せることの方が公平であると思います。
記者:
原爆症は、審査の方針は、現状のまま変えることなく、肝機能障害と甲状腺機能障害については分科会の総合判定で判断してもらうということですね。
大臣:
違うのです。今だと、今日判定しろということになるとそうなるのです。ですが、肝機能障害と甲状腺機能障害については、新たな認定の中に入れるのかどうなのかということについて分科会で議論をしてもらう。今、ご質問にあったように、それは、いつまでにやれということは、それは科学者に対して言うのは失礼ですから、きちんと議論をして、例えば、何ヶ月後に、ではこれを入れましょうという新しい認定基準がその専門家の会議で決まれば、それは、それに従ってやるということです。ですから、今おっしゃった質問は、それまでの間は、今の認定基準が、この前作ったものがあり、総合判定するというものがありますから、これを活用しながらやっていくということです。
記者:
控訴は、今日、4人が対象ということになりますか。
大臣:
控訴をしたということなので、細かいことはちょっと後で事務的に聞いてください。
記者:
原告が高齢化する中での控訴に対してやはり批判もあるかと思いますが、その点。
大臣:
ただ、これは、今言った肝機能障害とか甲状腺機能障害についてもきちんと対応しようということでやっておりますし、これまでの地裁の判決があったり、いろんな法律的な問題を全て勘案した上であって、また、訴訟法上クリアしないといけない問題もあって、C型肝炎の場合と全然違うのです。そういうこともありますので、細かい法技術的な質問があれば後で事務方にお答えさせます。まさにそういうことを考えた上でです。常に私が申し上げているように、ご高齢になっているのでなるべく早く救いたいという気持ちは全く変わっておりません。それに向けて少しでも前に進んでいくということで今回の決定をいたしました。

(了)