大臣厚生労働記者会挨拶及び共同会見

H20.09.25(木)13:25~13:57 省内会見場

広報室

会見の詳細

挨拶

大臣:
引き続き厚生労働大臣の職を務めますのでよろしくお願いいたします。今までどおり国民に安心と希望を与えて、そして国民の幸せを確保していくためにどうすれば良いか、そういう視点で仕事をして行きたいと思っています、以上です。

質疑

記者:
今回の閣僚の中で唯一安倍政権から4期連続で大臣を務められますが、それについてのご感想は。
大臣:
特別に感想というよりも、いろいろな問題を抱えておりますから、とにかく一日一日一生懸命やってきましたので、引き続ききちんと仕事をして行きたいということです。4回連続であってもまだ一年ちょっとしか経っておりませんので、自分の感覚としては何年も働いているような気持ちになることもあるのですが、まだまだ積み残した問題がたくさんありますから、一生懸命がんばって行きたいと思っております。
記者:
福田内閣では特に医師不足ですとか、医療崩壊の対策に力を入れていたように感じられたのですが、今回の内閣での最重要課題があれば教えてください。
大臣:
直接私の管轄ではありませんが、緊急経済対策、今、経済情勢が悪いですからそういうことが内閣全体の大きな課題なので、その中で厚生労働大臣としては雇用を、特に若者、フリーター、それから、非正規雇用者という方々の常用雇用化をして行く。やはり、雇用の面でいろいろな手当をするということが大事だと思っております。
それから、医師不足についてはまだまだ大きなデザインを描いたところですから、例えば、臨床研修制度の見直し、こういう文部科学省と一緒に行う検討会、それから、部内の研究班が動いておりますから、これもきちんとやりたい。それと介護の問題。これは年末に介護報酬の見直しがありますので、介護の現場で働く人が非常に困難な状況になっておりますので、これは是非実現したいと思います。
それから、年金記録問題。7月末現在でねんきん特別便を4千5百万通送付しました。約3千万の人から回答が訂正なしであったり、実際に訂正がすでに行われておりますから、個々人で言うと7月末で約3千万の方々の問題が解決したという感じです。それから8月、9月と時間が経っておりますから、もっと解決して行くと思っておりますから、10月末までにねんきん特別便を送付してアプローチして行くやり方も続けますし、データからアプローチするやり方も続けて行きます。そういう中で様々な問題が出てきていて、今取り組んでいますのは、標準報酬の改竄の問題です。ご理解いただきたいのは、コンピューターの犯罪、つまり1986年3月にオンライン化されてから起こった犯罪です。なぜかと言いますとそれまでは紙ですから、改竄の後が残るのですね。古い紙を残さないといけない。鉛筆書きではないですから、消しゴムで書き換えるわけではありません。改竄の証拠が残りますのでこれがなかなかできない訳です。ずっとデータから調べて見ますと、やはり、1986年3月から増えて、特に不況の時に増えている。それで、この前話した3条件で6万9千件を抽出しました。その中に当てはまるものもあれば、当てはまらないものあります。そして、さらにあの3条件の網に掛からなくて実は問題なケースもあります。もう一つご理解いただきたいのは、例えば、事業主が勝手に加入期間を変えた、これは事業主と従業員との間の話です。一番の問題は社会保険庁がそこに関与した、これは滞納したところに遡って行うケースが非常に多いと思います。そして、当てずっぽうで組織的関与があるということを言ったわけではなくて、きちんとデータを精査しながらそういうことを言っておりますから、やがて明確にそのこともできると思います。特にこれは麻生総理大臣のご意向でもあり、不祥事を働いた人間は厳しく処分するというご指示でありますから、徹底的に膿を出して行きたい。何度も言いますが、法と証拠に基づくということが法治国家日本の在り方ですから、一人については証拠が見つかったから特定できました。証拠がなく人を訴えることはできませんから、後は今特定する作業をして、特定することができれば、きちんと対応したい。ですから、この社会保険庁を含め役人の不祥事に対する対応は、昨日、麻生総理と個別にお話をいたしましたが、もちろん福田総理の時もたいへん厳しかったですが、それよりも遙かに厳しい態度で麻生総理は臨まれるということですから、私もその意向を体してこの問題の処理をきちんとしていきたい。ですから、年金記録問題を着実にやりながら、いろいろな不祥事が出てくる、改竄問題のようにいろいろ出てくる、これに対しても一つ一つ着実に答えを出して行きたいと思っております。
それから、後期高齢者医療制度の問題ですが、これは何度も説明しておりますように単に廃止して問題のある老健制度に戻ると言ったことは一度も言ったことはございません。相当な改善を加え、10月15日の天引きの時には470万人の人が一円も払わなくなる、3,500円の保険料が350円になる、こういう方々もたくさんおられるので、こういう改善したところはきちんと守っていこうと思います。しかし、ご高齢の方で、なんで75歳の誕生日になったら切り離すのですかとか、なんで天引きをするのという不満がありますので、そういう不満に対してはきちんと改革をやりますということです。これは本日17時からご案内が行っていると思いますが、緊急に賛成論、反対論を持っておられる有識者の方々にお集まりいただいて、塩川正十郎元財務大臣に座長を務めていただいて、広く国民と共にまず議論をする。やはり、社会保障の審議会や部会でやってもなかなか国民に浸透しない。ですから私は一つの問題提起をやりました。それから例えば、テレビのワイドショーでも「突き抜け型」と「分離独立型」と「リスク構造調整型」みたいなあんなに難しいことをフリップに出して書いていただけるようになりました。これだけでもきちんともう一度議論していいと思います。10年間議論をしたから完璧ではなくて、やはり、先ほど申しあげましたように国民が何を求めているのだろうかと。皆さんの不満があるところに対しては、政治家としてはきちんと対応しなければいけませんので、いろいろな皆さんの意見をいただいて、国民の皆さんのそういう感情に対応できるような改革案を作りたいと思っております。
それから、大事な問題として、先ほど労働の問題を言いましたが、雇用が非常に厳しい状況にありますので、特に若者、それから中高年のフリーターについてもきちんと対応したいと思っております。その他も様々な問題があると思いますが、基本的な原点は国民の目線に立って、どうすれば国民が幸せになるか、その1点を基本原則としてやれば必ず良い政策ができると思います。ですから皆が知恵を働かせれば、先ほど後期高齢者医療制度の話をしましたが、そういう国民の願いに対してどういう案を作ればいいかというのは我々の仕事でありますし、役人もいるわけですから。そういうことで今後とも一生懸命仕事をして行きたいと思っております。
記者:
後期高齢者医療制度の見直しについては、大臣は新しい家を建ててそこに移るというような表現をされておりましたが、これは新たな制度を作るという認識でよろしいのでしょうか。
大臣:
これはまさに今日の夕方「第1回高齢者医療制度に関する検討会」をやります。私もこれについては相当知識がありますし、日本全国いろいろ歩いてみて、いろいろな高齢者の方々の意見も聞いております。ただ、もちろん何度も言っておりますようにあの制度が悪いからとは言っておりません。良い面がたくさんありますよと。良い面がたくさんありますが、感情的に嫌だという声にどう答えるかということですから、それは制度改革で応えることが出来るかもしれません。あるいは運用という形で応えることができるかもしれない。それを先ほど言ったように知恵を働かせて良い制度を作りましょうと。それは、今議論して今日結論ということではありません。一年くらいを目途にというのはそういうことですね。ですから、そういう意味で広く国民の意見を聞いて、国民の特にご高齢の方々の不満を解消する道はなんなのかという一点で良い結論を出したいと思っております。
記者:
そうすると会議の結論によっては、全く新しい年齢での線引きもない制度になる可能性もあると。
大臣:
会議では私の直接の諮問機関として賛否両論を聞きます。この会議の結果などもオープンで傍聴もできますから皆様方にも是非出ていただいて、国民に広く発信していただいて、国民のご反応をいただいて、直すべきところは直す、守るべきところは守るということでやりたいと思いますし、そこで決める訳ではありません。最終的には法律改正も必要ならば国会の場で国会議員がきちんと議論をして、一つの成案を得ればと思います。今のこういう解散総選挙という声が出ている時期ですから、どうしても政局とか政争の具になりがちですが、私はこれまでの厚生労働委員会などの審議も、相当与野党でいろいろな議論をして修正を加えた法律が成立して来ていると思いますから、そういう意味では与野党を超えて、何が国民のために良いかというのは虚心坦懐に議論をして、できれば皆で合意できるような案にしたいと思っております。これからの議論だと思います。
記者:
健康保険に関連して、政府管掌健康保険が10月から新しい組織に移行しますが、都道府県ごとに保険料率の差が出たりして課題も少なくないと言われているのですが、新たな制度について大臣はどう思われますか。
大臣:
元々は社会保険庁という組織に不祥事があるということで二つに分けて、健康保険の方と年金の方に分ける。とりあえず健康保険から始めようということなのですが、最終的には国民皆保険を守るためにはどうすればいいのだろうかという視点が必要だと思います。今ご承知のように後期高齢者の支援金の問題があったりして、西濃運輸だとか京樽だとか、そのほかの会社も自分の健保組合をたたんで政管健保の方に入ってくるとなると、保険料率をどうするかという話が出てきます。それで、企業の保険組合もNTTでしたか、上げるということも出てきている。やはり、最終的にはどういう財源の負担を誰がどういうふうにしてやるのかということになり、そのことは当然後期高齢者医療制度とも関連してきます。ですからそこの負担の議論というのは相当じっくりやらないといけないと思います。ただ、私が前の老健制度に戻るのではないと言った最大のポイントはこういうことです、市町村ごとにやっている国保では、1対5という保険料の差がありました。都道府県単位の広域連合にしたために財政基盤が広くなりましたから格差が1対2に狭まった。しかも、安定して財源を徴収する主体と、実施する主体が同じになったという基本線の良いところを守って行く形での制度設計を行う。つまり、前の市町村単位に戻るのではないということは、今の私の考えの中では、例えば、後期高齢者医療制度を変えるにしても、やはり、広域、地域の医療を確立するのだという観点から行えば、3つか、4つの型の悪く言えばいいとこ取りなのですが、よく言えば利点を上手に組み合わせることは、制度設計としても可能であろうと思っておりまして、シュミュレーションもやっているところです。こういうことを議論して行く。そして、今おっしゃった問題もそこに繋がって来ますので、10月から新しく生まれる健保協会はとにかく職員が不祥事をしない、そして、国民が信頼できる保険システムの一翼を担うという思いで、経営する側の委員会も、運用を監視する委員会もそういう人選をしたつもりですので、しっかりと督励してやって行きたいと思っております。
記者:
最後の年金についてですが、基礎年金の国庫負担2分の1の引き上げについての時期と、それから財源について大臣のお考えを。
大臣:
今、法律で決まっていることは、来年度行うということで、それだけが決まっています。そういう意味では、普通来年度というと4月からということになるのですが、紙の上では来年度なのです。だから、正確に言うとそういうことで、当然来年度ですから4月に耳を揃えてなっておれば良いのですが、そこが政治的な状況を含めてできるかどうかという議論はあると思いますが、政府の立場としては来年度きちんとやりますよということはきちんと申しあげないといけない。そして、まず第1にやらなといけないのは、今年の2,200億円の政管健保の中で考えてやりましょうと言った1,000億円もあります。これはまだ法律が通っていませんから、私の責任はなんとしてでもこの法律を通して2,200億円の決められていた額を調達することが必要です。来年度についても何度も申しあげますが、いろいろな努力をする。その中で一応政府の大方針だということで2,200億円の枠は決まりましたし、それは我々も呑みましたが、しかし、3,300億円という別の枠がありますから、もし厚生労働省がその中で満額取れるとするとそこで1,500億円生まれます。それから2,200億円についてもこれからの税制改正や何かで財源の調達が可能であれば補填できると書いてますから、仮にたばこ税のようなものが入って、我が厚生労働省としてそこから700億円持ってこれますということになれば、そこからの700億円とさきほどの3,300億円の1,500億円で2,200億円になります。こういうことを今年度についても一生懸命やって確保したいと思っております。来年度については、政権も変わりましたからどういう形でやるか、麻生新総理は2,200億円は限界であるとの認識が、私と同じだということを明言されておりますし、そして、この2,200億円については今まで通り続けていくということではなくて、おそらく柔軟に考えるということをおっしゃったと記憶しておりますから、そういう線で麻生内閣の下で今後の方針を決めて行きたいとのことなのです。まだ今年の2,200億円についてもまだまだ今後紆余曲折があると思いますから、来年度についてはまたしっかり考えたいと思います。
記者:
年金の引き上げについてもまだこれからと。
大臣:
3分の1、2分の1ですね。これもこういう情勢ですからいろいろ議論がありますが、来年度についてはきちんと行うという、それは紙に書かれたことですから厚生労働大臣としては堅持する方向で努力して行きたいと思います。
記者:
年金記録問題の最後の一人、最後の一円まで支払うという公約は、麻生内閣においても引き続き公約として続けられるということでよろしいですか。
大臣:
少なくとも私は、その思いで今も一所懸命やっております。だから、途中で諦めて、「ああこれは困難そうだからやめる」ということではなくて、目の前のデータ、それは先程申し上げたように一気にはできません、。それから、改竄問題もありますから。少なくとも私はその方針でいきます。この点についてまだ麻生総理と細かい意見交換をしておりませんが、しかし、麻生総理が私を任命したということは、そこは、同じ考えだと思っております。ニューヨークからお帰りになって来週にでもこの問題はきっちりとお話しをしたいと思っております。
記者:
先程、医療制度の改革で与野党超えてとおっしゃっていましたが、今回、仮に見直すことになれば、野党に制度改正を一緒にやりましょうという呼びかけをされる考えはないですか。
大臣:
それは、まず、私が与野党超えてというのを申し上げたのは、今の国会の状況では、予算関連の法案ではありませんから、ご承知のように、政府与党の案は、対決法案であれば衆議院で通っても参議院では否決されます。それで今までも相当な苦労をしてきて、実現、法律化できなかった法案もたくさんあります。しかし、これまで私が大臣になって、このねじれ国会の中で成立した過程をみると、対決型であっても話合いをして、そして、修正を加える。あるいは、付帯決議という形で処理をする、場合によっては、議員立法、これはC型肝炎の場合そうですが、そういった処理をするという形でやはり最終的には与野党がきちんと協議をし、修正をやり、やったものがきっちりとした法律の形になっているという認識を持っております。ですから、今先程申し上げましたように、こういう選挙前にする、熱い政治の季節の時にそれは不可能かもしれませんが、しかし、そういう状況でなくなった時には、やはり、政争の具にするような話ではないので、しっかり議論をして、そして議論を煮詰めたところでいくつかの案が出て、最後は採決ということになるのは仕方ないと思います。だけども、やはりできればこういう大きな制度設計については、与野党が相当な所で歩み寄れた方が良いのだろうと思っておりますから、ここから先は、国会召集されたばかりですから、今後の動きを見ながらですけれども、私の過去一年間の経験からすると、やはり与野党の間の協議が無ければねじれ国会で国民のための法律を通すのは非常に困難だという認識を持っているということがあるから先程の発言になりました。
記者:
後期高齢者医療制度、ちょっとわかりにくいので明確におっしゃっていただきたいのですが、大臣が先週おっしゃった時には、今の制度、良いところもあるのだけれども、国民に受け入れられていないと、こんなのでは続けていけないので新しい制度にしますというニュアンスがかなり強く出ていたと思うのですが、今週に入ってからのいろんなご発言を聞いていると、今の制度は、やはり維持しながらより良いものに改善していくのだという所に、また戻っているように思うのですが、そこはどうなのですか。
大臣:
そこは、廃止するとか、維持するとか、どうしてもそういう表現になります。私は、例えば、廃止するなんて一度も言っていない段階で、新聞の見出しに「廃止」というのが書かれる。それは、もうそう書くと簡単ですからなります。結果としてそうなるかもしれません。ただ、はっきり申し上げましたように、一所懸命定着の努力をし、良い点は、先程言った1.5倍が1.2倍になるとか、広域連合が守る、それはもうずっと申し上げてきた通り、それを否定することではありません。そちら側を強調すれば、では根幹を維持していくということになる。しかし、私が申し上げたのは、高齢者にどこに不満の原因があるのですかと聞いて回るわけです。すると一番多いのは、「私が75歳の誕生日になったとたんに向こうに連れて行かれた。有無を言わさずに連れて行かれた。」これがあるので、では、これはどういうふうに是正すればいいかということなのです。ですから、そこを、制度を抜本的に変えるやり方があるかもしれない。そうではなくて、今の基本的な制度を守りながら、運用でやる方法があるかもしれない。そういう意味でいろんな専門家の意見も聞きたいということで、今日17時から意見を聞いて、そういうことを積み重ねていきたいと思っておりますから、まず第一がそれ。それから、第二について言うと、「有無を言わさず天引きのみを押しつけた」というのが怒られてきているので、では、天引きというのは、実は、介護保険法を踏襲してこのようになっていますから、介護保険法に特別徴収というのは書いてあるわけです。そうすると、普通徴収も認められる例があるわけですから、それは、銀行の振替、銀行口座から自動引き落とし、これもできるようになっています。そういう意味では天引きのみというのは実は終わっておりますが、10月15日からの天引きについて、これは全部アンケートを取ったわけではないですが、大体アンケートをとってみると、5%の方のみが特別徴収ではなくて、普通徴収をお選びになった。ただ、その時に、本当に制度を熟知してて選ばれたのかそこはまだ分かりません。それは、我々の周知不足ということもあると思います。ですから、こういう点についてもう少し周知徹底をする。それから、これから先は、法律改正の話になりますけれども、法律をやらなくても、今言った特別か普通かの選択肢ができた。しかし、もっと選択肢を緩めて様々な支払い方法というところまでいくならば、これは、そこの法律の条項を変えて、支払い方法についての記載をなくすことにすればできるわけなのです。だから、私は、実は、どういう改革であるとか、それをどういうふうに名付けるかとか、運用なのか、制度なのか、廃止なのか、見直しなのか、改革なのか、そういう問題意識ということではなくて、今率直に申し上げた一番目の75歳だけ何か差別されているのが嫌だという感情にどう応えるか。それから、今天引きのみ、これは応える。それから、西濃運輸とか先程言った京樽みたいな例がありますから、あんまり若い人の負担が大きすぎてというのもいかがなものか。これだって1割、4割、5割と決めたのは、このままいくと4割どころか若者の方の負担が5割、6割、7割って行く可能性があるから4割に留めたということではあるのです。だけれども、これは全体の費用負担の中で、では、4割というのは本当に、若者、現役の人達に理解されるのかどうなのか、こういうことをじっくり議論して、今言った不満に「あ。これで不満に応えられた。」「これで自分の不満は解消した。」ということであれば良いわけですから、その道を探りたい。その時に3つか4つある型、この型でいかないと駄目ですよ、この型ならばこうですよというだけではなくて、それは4つ型があったなら融合型というのを探し出すことができるかもしれない。そこは非常に柔軟に考えたいということを申し上げたので、何かもう議論が「廃止ですか」とか、今おっしゃったように「どういうトーンですか」とかありますが、私は、もうそうではなくて、「ご不満に対してお答えを出す」ということに尽きます。
記者:
大臣がおっしゃった3条件の年齢で切る切らないというのは、まさにこの制度の根幹であって、独立型と言われている所以もまさにそこにあるわけですよね。逆に今度この独立型をやめるということになると、大臣がおっしゃった3番目のところ、むしろ健保等が騒いでいるのは、前期高齢者のところの負担の話ですよね。そこは、むしろ独立をやめて保険者間で財政調整をするということになるとむしろそこが余計強まってしまうということになるのではないですか。
大臣:
ですから私は、非常にこれは論理的によくできた制度です。論理的に。では感情的にどうかなと言ったのは、論理的にできているからといって今いったような矛盾が無いからそうなるわけです。だから、感情的に応えようとすると論理的な矛盾が起こる面があるのです。しかし、これはやはり国民、説得してどうだっていう話ではなくて、嫌なものは嫌だということですから、それをどう解決するかということを考えればいいのです。その時に、例えば、75歳以上という年齢だけの条件だけにしないで、そこに例えば、寝たきりであるとか、介護が必要な認知症にかかったということがあるだろうし、それから、まさに65歳から74歳の人達も広域の中でやるという逆の方の選択肢もあると思います。議論を聞いていると、本当に皆いろんな制度についてご理解できているのだろうか、では、その3つか4つの型以外何もできないのか。私はそうではなくて、いろんな可能性があって、今高知県が模索しているのはそういうことなのです。だから、そういうところも実情を見て来たりということで、今日から早速始めるということで、広くいろんな意見を求めていく。今申し上げたように、感情に配慮すれば論理矛盾が起こることは重々承知しています。しかし、その論理矛盾を克服する道が無いのだろうか、無くはない。今高知県がそれをやろうとしているので、そういう良い例をたくさん参考にしながら考えていきたいと思っておりますので、ちょっと時間をいただければと思っております。
記者:
確認なのですけれども、大臣のおっしゃった3原則というのは、現時点でも維持されるということなのでしょうか。といいますのは、先程、大臣もご出席なさっていた与党のPTの最終的な確認事項としては、制度の根幹は維持されるのだというところで落着しているように我々伺っているのですが、そうすると原則1の部分と若干齟齬を来すような気がしますが、この点いかがでしょうか。
大臣:
先程いろんなPTのメンバーの方の意見を聞きました。それで、そういう意見もありました。そうでない私のような意見を言う方もありました。だから、そこは、先程申し上げましたように、まだまだこれから議論して具体的にどうするかということを考えないといけないのです。論理矛盾を来たさないようにするとそういうことになる可能性がありますが、しかし、やはり私の問題提起は、論理はしっかりしているし、これはきちんとした良い制度でいろんな改善もしました。ただ、嫌だという感情がどこからきているかということで3つくらいのことを分析したので、それに対する答えが出れば良いという立場ですから、これはちょっと議論をしてきちんと対応を決めたいと思っております。
記者:
雇用の関係なのですけれども、昨日、派遣法の改正に向けて労働政策審議会の意見がまとまりました。労働側は、まだ不十分だという声が強いのですけれども、さらなる規制強化の必要性についてどうお考えになりますか。
大臣:
昨日、ああいう形でまとまりましたからあれは一つの立派な結論だと思います。私が日雇い禁止法案を出すと言った途端にたくさんいろんな方から手紙をいただいて、「もうそれをやられると、せっかく仕事を持っているのに、この良い制度を守ってください」という例えば、主婦の方がおられる。その時に、パートの直接雇用と日雇い派遣を混乱されている方もいるのですが、でも、ちゃんと本当に日雇い派遣で登録があってやっている方でもそういう意見もあるのです。ですから、これは、様々な意見がある中で、皆さんご苦労いただいて、労使とも、一つの集約点を出していただいたので、そういう線に沿って、もう早く一つの法律という形で決めていただいて、その上で実際にやってみてまたふるいに掛けて穴があって、こういう問題があるよということであれば、それはまた改善することはやぶさかでは無いと思いますけれども、私は一つの良い結論が出ていると思っておりますので、これをできるだけ早く法律の形にしたいと思っております。
記者:
全国健康保険協会の件なのですが、年金機構と違って懲戒処分者の再就職を認めていて、野党から不祥事体質が抜けきらないという指摘もあるのですが、引き続き今後の協会けんぽの組織のガバナンスへの影響についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
これは、確かに二つの、社会保険庁を二つに分離した時の採用基準が違っています。特に年金機構の方については、いろんな、特に与党の意見も入れてああいう形の一つの基準にして、それは厳しすぎるという意見もあります、しかし、そういう結論が出ました。どういう基準であれ、不祥事は絶対に許さない、ガバナンスをしっかりやるということについては、変更ありませんので、それはしっかりやっていきたいと思っております。
記者:
全国健康保険協会の件なのですが、やはり都道府県によって保険料率が今後差がついてくるということで、負担、都道府県ごとに保険料率に差がつくわけですけれども、負担増になるところからはまた反発もあるかと思いますが、逆にそういうことがあることがあまり周知されていないという感じもするのですが、今後どのように説明等をしていく予定でしょうか。
大臣:
それは、今おっしゃったようにもう少し周知徹底をする必要があると思いますし、ちょっとここのところこういう政治状況なものですから、健保の話と知事さんの話は違うのですけれど、広域連合の都道府県ごとの単位にしていること、後期高齢者医療制度も含めてですが、いろんな問題があるので、できるだけ早く知事会との協議を再開させながら今の問題についても知事会と少し協議をし、それで周知徹底も図っていきたいと思いますし、問題が出てきて皆さん方からまたご指摘いただければ、改善すべき点は改善したいと思っております。
引き続き定期的に会見をやりますし、今後ともよろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。

(了)