閣議後記者会見概要

H20.09.09(火)10:36~10:52 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は閣議に先立ちまして年金記録問題に関する関係閣僚会議を行いまいした。現在の進捗状況、それから、標準報酬・資格喪失の遡及訂正事案などについてご説明を申しあげました。それから閣議につきましては特段ご報告することはございません。
それから、もう一点労働の分野ですが、いわゆる名ばかり管理職に対する対応ですが、小売業、飲食業などのいわゆる小規模なチェーン店の店長などについて十分な権限、相応の待遇などが与えられていないにもかかわらず、労働基準法上の管理監督者であるとして長時間労働を行わせるなど不適切な事案が、このところ続いております。この問題につきましては先の通常国会においても質疑がありましたが、その時に実態調査の上必要な手を打ちたいということを申し上げております。そこで労働基準監督署の監督指導において把握した実態を踏まえまして、裁判例も参考にしながら、店舗の店長等の管理監督者性の判断に当たっての具体的な判断要素を取りまとめて本日労働基準局長から都道府県労働局長宛に通達をいたします。これでいわゆる名ばかり管理職ということに対して適切な指導をしていきたいと思いますが、細かい要件その他につきましては事務方の方から後ほど説明いたします。私のほうからは以上です。

質疑

記者:
標準報酬月額の改竄の問題ですが、調査結果がまとまりまして関与した職員が1件認定されたのですが、その他は関係書類がなかったり、証言がなかったりで関与があったが判然としなかったのですが、実態解明には遠い気がするのですが大臣としてはどうのようなご見解をお持ちですか。
大臣:
17件これは徹底的に調査していましたが、確実にこれは法治国家ですから法と証拠に基づかないと告発ということはできないものですから、そういう形で詰めていった結果、一人についてはこれは明確にできたということです。他は特に文書での形のものが残っていない。ご承知の用に役所は5年、一般の企業の場合は7年間しか保存義務がありませんので、それより前の案件についてはデータがなくなっているとかそもそもそれに関わった中小企業そのものがなくなっているとか、それから、事業所がなくなっているとかいろいろな事業がありまして、非常に解明が難しい事案でありますので、17件はそこまでですが、これから後どうするかということについても引き続き努力していきたいと思います。これを簡単に説明しますと今までのねんきん特別便と同じように、二つの車輪を回して二つの方法でやっていくしかない。一つは個人個人に標準報酬月額をお知らせする、これは来年4月から定期便で送りますし、受給者についても同じことを行います。それでご覧ください、見てみてくださいというのが一つ。そしてもう一つは残っているデータ、いろいろな明細書などは残っていないケースもありますが、残っているデータから肉薄して行くという方法があって、普通は毎年給料が上がっていくのが日本の常識ですが、ある時ガクッと下がった年があった時に、それはひょっとしたらということが言えるかもしれない。本当に景気が悪くて給料が下がったのか、そうじゃなくて改竄したのか。いろいろなケースがあると思いますので、そちらのデータの方から肉薄していって追いつめていく。これもどの方法がいいのか私の下にある作業委員会で専門家が検討し、そのダブルトラック、二つの道でこの問題についてもきちんと対応していきたいと思っております。いろいろなケースがあるので本当に困難な課題ですがきちんと一歩一歩解明の努力を続けて行きたいと思っております。
記者:
関与がはっきりしなかった16件については再調査等の必要性は感じられますか。
大臣:
何度も申しあげますように例えば外部の方、私たちのいろいろなチームも作業委員会を含めていろいろな角度から調べている。それから、今作業委員会の方でこういう手があるのではないか、こういう手はどうだという形で検討頂いておりますのでそういう意味での再調査はあり得る。ただ、正面から行ったら、あれしか出ないので、他になんらかの資料とか、なんらかの手がかりがないか、それを今あらゆる観点から作業委員会で検討しているところです。ですから、さらなる努力を続けて行きたいと思っております。
記者:
民主党の小沢代表が昨日政権構想を発表いたしました。後期高齢者医療制度の廃止ですとか、年金制度の一元化を打ち出されていますが、大臣としてどのようにご評価されていますか。
大臣:
それはそれぞれの政党がマニフェストという形で公約を発表なさいますが、後期高齢者制度について廃止ということであればそれに代わる制度はどうなのかということをきちんと出さないと責任のある対応だとは言えないと思います。それから、年金制度、これはどういうプロセスで一元化をするのか、その時のプラス、マイナスということを考えないと。最終的には30年後とか20年後とかそういう姿を描けば一元化ということも当然考えられると思いますが、例えば、公務員と普通の民間のサラリーマンの一元化をすることから我々はまず第一歩として始めたいと思っております。国民年金の方は制度が違いますし、企業主の負担もありません。そういう違う制度を同一にすることに伴う問題点、これは細かい点は避けますが、すでに指摘した通りでございますので、そういうこともきちんと念頭に置いた形での政策立案でないと現実性がないと思っております。
記者:
名ばかり管理職の件ですけれども、大臣はこの問題をどう認識なさっているのかという点と、今回の通達は、サービス業が中心になると思うのですけれども、外食チェーンとか、一般の普通の会社でも名ばかり管理職の問題はあると思うのですけれども、一般企業に対してどのような形で指導していきたいと考えているのかこの2点をお願いします。
大臣:
私は、名ばかり管理職、これはよくないと思っておりましたから、前の通常国会でもこういうことについてはきちんと対応する、それは日雇い派遣の問題と同じで、やはり厚生労働大臣というのは、働く人達の権利をしっかり守るということでありますし、そういう意味で、労働基準法、その他の労働者の権利を守る法律に背反するようなことがあればきちんと指導してこれを改善していく、更に法律の不備があれば新しい法律を制定していく、そういうことでなければいけないと思っております。片一方でワークライフバランスということを一所懸命言っておきながらこういう形で本当に現実的には単に安い賃金で長時間労働を強いるというようなことがあってはいけません。だから、かなり厳しい態度で臨んできたと思います。その過程で大手のチェーンを含め、かなり改善はしてきたと思いますから更に改善を進めたいと思います。これは、訴えられた方々が食品等のチェーン店であったことがありますけれども、今おっしゃったように、そうではない例えばメーカーとか普通の企業であっても、そういうことであればこれは経営者と同一と見なすことが出来るとかいろんな要件があります。そういう要件をきちんと当てはめてそれに違反していれば、そのために労働基準監督署があるわけですから、そういうルートを通じてきちんと指導していきたい。やはり、今の日本に少し閉塞感が出ているのは、そういう基本的な働く人の権利をしっかり守っていくんだ、それから、やはり、ゆとりのある豊かな生活を送っていくんだということがなくて、ただ景気が悪かったら長時間サービス残業すれば良いというものではないと思いますので。本当に先進国というのは、21世紀の先進国というのは、どういう国でなければならないかということは、私は、この名ばかり管理職の問題等についてきちんとした対応が取れる国がそういう国だと思っております。医療や介護の面ではいつも申し上げているとおりですけれども、そういう国を目指すべきだと思っておりますから、労働大臣としては、その職責をそういう意味で果たすべきだと考えております。
記者:
今回の改竄の性質上、他にも社会保険庁の職員が関与した可能性があるのかないのか、大臣としてはどういうふうにお考えですか。
大臣:
これは、ケースバイケースで、一つ一つの具体例を見ていかないと分かりません。しかしながら、関与した例もあるだろうし、それは、証拠がないですから、何十件あるとかいうことはできませんけれども、今申し上げたように、証拠は無いけれどもデータで肉薄していった場合にそういうケースが出てくる。そして、軽々に私はそういうふうな感じを持っているということを言うのはちょっと差し控えたい。というのは、それは法と証拠に基づいて言わないと、違っているといけませんから。ですから、とにかく具体的にこういうケースがあって、そして、どういう人が関与して、何月何日にどういう談合が行われてそこで社会保険庁がどうだっていうのがあるということをきっちりと言ってもらいたいと思いますから、今テレビに出ている、かつて、尾崎さんという、名前出しているから、その方については、何度も連絡を取っております。それで内容証明も電話も入れておりますけれども、向こうから返答がありません。有り次第きちんと調べたいと思っております。それでその方の記憶が正しければ何年頃でも良いから、滋賀県なら滋賀県で何という鉄工所、何というお店、これについてやりましたよ、何人の従業員についてやりましたよ、それが一番欲しいのです。今何をやらないといけないかというのは、処分もやらないといけないのは当然ですけれども、被害を受けた国民の年金を取り戻すのが私自身の仕事ですから、それが欲しいのです。ですから、テレビに出ておっしゃるのだったらそのことをまず第一におっしゃって欲しいのでそれを調べたいのだけれども本人から全く連絡がないという状況なのです。是非、そういうことがあれば、かつての職員であれ、現職員であれ今ヒアリングをかけていますから、そうしないと、感想で言うわけにはいきません。だから、一つ一つそういうデータを確認していきたいと思っております。だから、あの方も共同正犯です、犯罪行為の共同正犯ですから、共同正犯をなさったということを自らおっしゃるなら私は然るべき対応をとりたいと思っております。そして、なによりも大事なのは、被害者を救うことですから、そのためのデータが欲しいのです。そういう意味で全力を挙げて今調査をかけているという状況です。
記者:
健康保険組合の解散の件で、今日も京樽が解散していたということが明らかになったと一部報道があるわけですけれども、高齢者医療制度を含めた税投入の在り方とかいろいろな問題を提起していると思うのですが、そういうことについて今後見直していく考えとか、そういう検討していく考えというのはあるのでしょうか。
大臣:
この前西濃運輸の例がありました。その時も申し上げました。それぞれの会社の経営状態であるとか健康保険組合の状況によりけりでありますけれども、その中で今度の後期高齢者医療制度に対する支援ということが重くのしかかっていることも事実です。ですから、むしろこういうことについて国民的な議論をする。1割、4割、5割ということで負担を考えました、その後期高齢者、4割は現役に負担ですが、それが重くのしかかってきているのがこういうことになっているので、例えば、こういう件について、国民の間できっちり議論をする。私は国会でも相当そういうことを申し上げていたのですが、そうすると世代間の対立をあおるのかという反論が出てきたので、そういうことを言うつもりではなくて、ファクトとして皆で支えるのです。現役が4割支える、後期高齢者は1割ですよ、公費が5割ですよ。それは結果としてこういうことになる。西濃運輸にしろ京樽にしろ、様々な事情があると思いますから、これを一般化できないと思いますけれども今おっしゃったようにこの点については、やはり誰がどういう形で負担をするのか。私は国民皆保険というのは絶対守るべきだと思っております。そのためには財源の議論は避けて通れません。それで、後期高齢者の医療制度も3つか4つくらいのパターンを提示して国会での議論の上、今の形に落ち着いたわけです。従って、今後とも誰がどういう形で負担して国民皆保険を守るのかという議論は有り得ると思いますから、従って、そこは、常に私は申し上げておりますけれども、やはり高度の福祉は維持すべきだと私は思っておりますので、そのためには低負担では不可能です。高負担でなければならない。それは、我々政治家がきちんと国民に説明し、そして理解を求めていくべきだと思っておりますので、今後とも理解を求めていきたいと思っております。
記者:
後期5割負担の5割というのをもっと増やすという議論もはずすべきではないということでよろしいでしょうか。
大臣:
そうしますと、介護保険も保険と公費の負担がフィフティーフィフティーなのです。その時も、介護の現場が大変だから5、5ではなくて、4、6にしたらどうかという議論があります。その時私は、医療も5、5ですから、これを変えるというのは、やはり相当な国民的な議論をしないといけないと思いますから、その可能性は排除はしません。だけど、他の種類の保険制度との絡み、とりわけ介護保険制度との絡みをどうするかという問題があると思います。
記者:
非食用の事故米の不正規な流通について大臣いかにお受け止めか、それから、食品衛生法を所管する省庁として今後の対応についてご所見をお願いします。
大臣:
極めてけしからんと思います。これだけ食を巡る、消費者庁を造ろうという話をしている時に、工業用でしかも残留農薬の量が多いと分かっているものが焼酎の原料になっていて、それは、焼酎を造っている会社も大変な迷惑だし、そういうものが我々の口に入るということは絶対阻止したいと思っておりますので、農林水産省ともきちんと協議をして食品衛生法に違反していることがあればこれは厳正に対処したいと思っております。

(了)