閣議後記者会見概要

H20.08.22(金)10:40~11:05 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議の報告は特別ありません。その後薬物乱用対策推進本部会議がありまして、これは政府全体をあげて青少年に対する薬物乱用防止の啓発キャンペーンを行っていこうということです。
それから、「安心と希望の医療確保ビジョン具体化に関する検討会」ですがいろいろなご批判もありましたので、湯河原で行うことはやめますが、今都内で場所を手配中でありまして予定通り行ないたいと思います。
それから、人事についてですが「改革推進室」のメンバーとして新たに本日付で発令を行います。これは大臣直属の組織で、厚生労働省の改革を中心に行うということで、すでに福嶋室長以下4名の体制となっておりますが、本日新たに経済産業省から大臣官房総務課企画官の八山幸司さんを迎えることになりました。八山さんは平成4年に入省されて、基礎産業局、中小企業庁などの勤務を経て、平成18年から約2年間製造産業局の課長補佐、室長を歴任されております。こういう方を迎えることによって、厚生労働省改革をさらに進めたいと思っております。今後とも様々な省庁から人事交流を含めてこういう人事を行い、改革の実を挙げたいと思っております。
それから、20日に福島県の大野病院事件の判決があり、その時私もコメントいたしましたが、やはり、誰もが安心して妊娠して出産できる対策を政府全体で講じて行くことが重要であると思います。今回の事件を見ましても、私が着任して早々に起きた奈良の妊婦のたらい回し事件、大阪の高槻まで行ったということがありました。奈良の場合は妊娠しているということも知らないままであったので、処置が遅れたということで、こういうことを考えますと妊婦健診は非常に重要でありますが、できれば14回健診を受けるとパーフェクトなのですが、今、国が補助しているのは平均5回無料でやれるようになっています。これについて必要な回数が受けられるような形での改革を是非行いたいと思います。
それから、分娩につきましても出産育児一時金を一昨年35万円にまで引き上げましたが、これは建前はまず自分で払って、赤ちゃんが生まれた後で一時金が出るという形です。市町村によっては立て替えで最初からやってくれる所もありますが、一時金がないということで赤ちゃんを作るのを思いとどまる方もいると聞いておりますので、とにかく出産費用を心配しないでいいように負担がない形で、仕組みの方は今から工夫をいたしますが、措置をしたいと思います。特に例えば、東京ですと50万近く費用が掛かると思います。若い夫婦で、今のこういう経済状況で50万手元にない、その前にもちろん健診もあります、一回の健診は5千円から1万円が掛かって、平均でそのようなものだと思います。そのお金がないから健診しないということもあるので、いずれにしてもそういうお金のことを全く心配しないで健診も受けられる、分娩費用も出るということの検討を開始したいと思います。これは財務大臣、総務大臣とも協議を重ねながら、誰もが安心して妊娠、出産できる仕組みを早急に組み立てたいと思っております。

質疑

記者:
茂木大臣が「雇用・能力開発機構」、「私のしごと館」を含めて基本的に廃止するという方向を示したわけですが、厚生労働省内の検討会と方向性が違うような気がするのですがこれはどう調整して行くのですか。
大臣:
まず、検討会の前に茂木大臣と私との話し合いについて言いますと、茂木大臣が着任された後、この問題についてよく検討していきましょうということで一致しております。それで、個々の見直しをやり必要なものは残す、必要でないものは廃止するなり、どういう形で改革するかを含めて検討しようということの準備作業として、双方の大臣の事務方できちんと準備が出来るというところまで来ております。その後、茂木大臣と私の間で議論をする機会がございません。しかし、これはいずれやりたいと思います。
それから、いろいろな検討会がありまして、「在り方検討会」というのが私の所にあり、それから「有識者会議」というものがあります。これをご説明させていただきますと、「在り方検討会」というのは「雇用・能力開発機構」について専門的な立場からどうするのか検討していただく、それから「有識者会議」については、100以上独立行政法人がありますが、これの在り方をどうするのかということを検討していただくということですので、政府全体の独立行政法人を見るのと、「雇用・能力開発機構」を見るのに分かれているということで、それぞれの専門家の意見も頂戴した上で最終的には茂木大臣と私で協議をし、それに総理、官房長官の意見もいただいた上で決定したいと思います。
記者:
西濃運輸が健保組合を解散して政管健保に移るということですが、今後こういうことが続くと国庫負担が増えて行く可能性がありますがそれについて大臣はどうお考えですか。
大臣:
国民皆保険をどうやって守るかということで、例えば、大企業が自ら組合を持っているということは政管健保よりもさらに良い給付ができるということで、例えば、先ほど出産一時金の話をしましたが、普通35万円だったらうちは潤沢だから40万円にしようというようなことができていたのですが、後期高齢者医療制度の負担が増えたりとか、いろいろな経済情勢が悪くなっておりますからこういうことになっております。ただ、それは個々の健保組合の判断ですから、その上で例えば、中小企業もすでに皆政管健保に入っているわけですから、全体として財源の問題をどうするのかこれは政府全体として考えないといけないと思っております。原油の価格を含めて、経済情勢のこれからの展開次第なので、基本的なことはやはり国民皆保険をなんとしても守る、これだけは財源問題も含めてきちんと守っていきたいと思います。
記者:
湯河原での「安心と希望の確保ビジョン具体化に関する検討会」を中止された理由を詳しくお聞かせ下さい。
大臣:
いろいろご批判がありました。また、いろいろな誤解もあると思います。例えば、食事は最初から会費制にしておりました。それから、土日ですからどこかで籠もって行うというのは、政府やいろいろな組織でもそういうことがあります。やはり、結果が問題であり国民のために良い医療制度の改革が出来れば、それはお金に換えがたいものだと思いますから、コストとパフォーマンスの問題だと思います。なぜ私が合宿をしようと言ったかというと、検討会に出席されている方は解ると思いますが、2時間やったところで議論が尽くせないのです。あれだけの方々で、大学病院の理事長をやっていたり、全国各地からこられています。やはり、来年度予算編成に向けて良い医療制度改革の具体案を出していただくということは国民にとって良いことです。それで、通常缶詰状態にして10時間も検討会をやるというのはなかなか難しいです。ですから、なるべく経費を抑えて行う、しかし、いつも厚生労働省の会議室でやるのとは気分も転換して行う、そして、しかもエクストラのお金を使っているのではなくて規定外はすべて自分達で払う訳です。それから会議場も湯河原の町長さんにお願いして町役場を借りていたわけですね。ですからそこもお金が掛かっていないわけです。それから、私の女房の実家がありますから私の宿泊代は掛かりません。そういうことを考えて、私は、それだけのコストを掛けても十分な成果が上がるだろうという判断で行いました。すべては結果です。大野病院の判決もありましたが、医療制度改革をどう改革すればいいかという答えが出ればいい、というとこでやっているわけです。そういうことできちんと議論しようとしている先生方にもご迷惑が掛かったり、本質的な議論に些かでも差し障りがあるのであればそれは良くないという判断です。ですから合宿はそういう批判があればやめます。しかし、議論をしたいということなので、それはあれだけの方々が2日間も潰してやってくださるのですから、今都内でなかなか土日というのは場所を探すのが難しいですが探しております。そういうことで是非良い成果を上げてそれを国民に問いたいと思います。
記者:
数日前の話、大野病院の話なのですけれども、あの直後にコメントはいただいたのですけれども、あの後判決要旨とか詳しい情報、それぞれの立場の方が会見をされて、更に昨日の検討会でも資料に遺族のお父さんの言い分みたいなのが書かれていたのですが。
大臣:
大熊由紀子さんが出された資料ですか。
記者:
そうです。そういうのもあって、大臣、直後のコメントでこれからの真相究明の在り方に判決を反映させたいというようなことをおっしゃったと思うのですけど、あれから新しい情報を得て、何か具体的なイメージとかご意見ありますか。
大臣:
もういろいろ言いたいことは山ほどありますけれども、産科医の先生の立場もあります。あの加藤先生、たった一人であれだけの、本当はチーム医療がないとできないことでご苦労なさった。それが警察に逮捕されるということはいかがなものかなという意見はそれであると思います。医師法21条の問題もあります。しかし、やはりお父さんのコメントが出ておりましたけれども、本当にそうだろうな、なんで娘が死なないといけなかったんだと、とにかく真実を知りたいというのはあると思います。あの場合に、私もコメントを読まさせていただきましたけれども、あそこの病院でなくて、もっと大きなチーム医療ができる所に移っていればこうならなかったのではないかなという思いがあったと思いますし、それから、十分な説明がされなかった。これはとてもご指摘のとおりだと思いますので、私は、両方それぞれ意見がある、そういうことがそれぞれの立場をしっかり踏まえた上で、良い紛争処理のシステムをやりたいと思っております。ですから、第三者委員会とか事故調査委員会、名前はどうでもいいのですけれども、これは、まず司法や警察、特に警察権力が入る前に、真実を解明するためには何が一番良いかということを考えていきたいと思っております。それから、昨日の医療ビジョンの委員会でもいろんな方がおっしゃったように、医療メディエーター。みていますと、やはりお亡くなりなられた妊婦さんのお父さんの気持ちと医療側とで、本当に相互不信があるなという感じがしますので、そういう不信感を取り除くためになんとか医療メディエーターを更に増やしていき、確立してきたい。これは、もう私は着任以来、いろんな病院を見るときからこの医療メディエーターの話はしております。それとやはり、ノーフォールト、無過失補償制度。これは今脳性麻痺のお子さんに対してしかないのですけれども、できれば、モラルハザードになってはいけないですが、少しずつ拡充していって、いろんな疾病についてもそれがある。そうするとお医者さんもちゃんとそういう訴訟リスクや補償リスクを考えないで一所懸命腕をふるうことが出来る。それで国民の側もそういう時には、きちんと説明をしてもらう。こういう、第三者委員会だけでは片付かなくて、無過失補償制度、そういうのを総合的にどうするかを是非、私は、あまりのんべりだらりとやるべきでないと思っておりますので、今度の臨時国会でなんとかこういうシステムを前に進め、そして、進めてみてもし何か問題があればまた変えればいいのです、国会で。だから、双方の意見を聞くと双方とも正しいのです。だけど、ちょっとそれは医療側の方々もご配慮いただく、我々患者、国民側もいろいろ配慮して、やはり相互信頼を勝ち得た上できちんとやっていくのが非常に大切だと思っておりますので、できるだけ早くそういうことをやりたいと思っております。ですから、医療ビジョンのあの検討会もお医者さん達の生の声を聞くということもありますけれども、大熊由紀子さんとか丹生さんのように、国民の側の立場の方も入っておられて、昨日は、私は公務で途中退出して聞けておりませんが、資料は全部読んでおりますから、大熊さんは恐らくそういう立場でおっしゃったんだろうと思います。そういう思いでこれも医療体制の再構築の大きな一つの柱だと思いますので全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
記者:
予算支援ですけれども、これは、新年度の予算で実施したいということなのでしょうか。それとも補正もありますけれども、そういう所での。
大臣:
これはまだこれから、財務大臣、総務大臣と詰めたり政府全体で検討しないといけないわけですけれども、できれば4月1日からできるような形で努力をしたい。ただ、制度設計や何かで時間がかかるかもしれません。それで、いろんな考え方があります。35万円のこれをどういう形でやるか。具体的には、例えば、20万円しかかかっていない所もあります。分娩費用の平均値ですから。東京のように50万円近くかかっている所もある。だから、こういう地域の実勢を反映した形で現物給付、お金の給付なのですけれども、それをやる。そして、何よりもポイントは、どういう制度にするにしろ、後から出産、育児一時金をもらうのではなくて、つまり、自分で最初から35万円とか払わなくていいようにするということがポイントですから、いろんな制度設計ができると思います。既にいろんな案を考えておりますけれども、できれば、予算措置についていうと、補正ではなくて、本年度予算の中に入れる。そして、それは、社会保障とか医師不足と共に子育て支援という大きな項目があります。その中でシーリングではない枠でも十分出来ると思います。それは、いろいろ今から財務大臣、それから総務大臣とご相談しながら決めていきたいと思いますが、お金がないから妊娠も出産もしないということでないようにしたいということであります。
記者:
その際、医療保険に適用するということもお考えの中には入っているのでしょうか。
大臣:
私自身は、長期的には保険というのも一つの考え方だと思っております。今までなぜ駄目かというと、病気ではない、正常分娩だ、ということで保険の枠外になっておりましたけれども、国民の目線に立ってやるということから考えれば、一番簡単なのは保険証一枚持っていさえすれば一円もなくても、極端に言えば、それを出せばかかれますよというのが本当は一番良いのだろうと思います。ただ、問題は、保険証でかかるときには、3割負担が窓口であります。そうするとどういうことが起こるかというと、今35万かかったら35万もらっているのが、保険証を持っていくと、7割は保険でカバーするけど、残りの約10万ちょっとを窓口で払うことになってしまいます。従って、これについては、そうならないように、その3割分を国庫が負担しないといけないことになります。そうすると、これ今年間110万人の赤ちゃんが産まれています。そうすると、1,150億円くらいの国庫負担になるわけです。その分何が起こるかというと、保険者の負担と市町村の負担が減るわけです。だから、国民経済的にマクロで見たときには、全く変わりません、35万円であるならば。ただ、負担の度合いが、国の負担が増え、保険者と市町村の負担が減る。ところが、それをやると問題は、まだ法律は通っておりませんですけれども、今年度2,200億円を生み出すために半分の1,000億円は健保組合からお金が足りないから下さいと言ってもらおうとしているわけです。それなのに今度はこっちが「いや、1,000億円健保組合に差し上げるだけの余裕がありますよ。」ということになるのです。こういう今の財政状況では非常に例えば今言ったような理由で難しいだろうと。ただ、今おっしゃったような保険の適用と言うことは、長期的な課題としては、考えて良いことだと私は思っております。
記者:
すぐできるような話をすると、今の保険の給付に何か市町村、国一緒になって上乗せしてあげるというような。
大臣:
というよりも、今すぐ出来る形にすれば、産まれた後に一時金を差し上げるのではなくて、もうその前からというか、つまり、そのお金が強制的に病院の方にいくと、産院の方にいくという形の義務化規定を設ければできるのではないかと思っておりますが、細かい制度設計は今から検討したいと思っております。
記者:
改革推進室の方ですが、わざわざ経済産業省の方を入れたというのはどういう。
大臣:
これは、今医療ビジョンについて言うと、医療の専門家がおられますけれども、実は、薬、それから医療機器ですね。今回の八山さんは、バイオテクノロジーの専門家です。そうしますと、省庁交流を含めて、国民全体のためになる改革をしないといけないので、やはり私は日本の薬の値段、医療機器の値段は、例えば、アメリカに比べて安いかというとそうでもないと思っております。それから、今からバイオテクノロジーを含めて国際競争力をもつ産業に育てないといけない。そういう視点が我が省には足りません。従って、そういう視点を持った人を入れてやるということは、いろいろ薬害の問題があったりしますが、薬品とか医療機器という面についても他の発想を入れてこの厚生労働省を変えることが出来るということで入れました。だから、今後とも数名、他の省から入ってくると思いますが、それぞれの理由があります。そして、私に直属でそういう仕事をしてもらうということを考えております。
記者:
今言われた出産支援は、おおざっぱな所要財源というのは、はじいておられますか。
大臣:
まず、出産一時金は、今言った35万円の配り方が前か後かの話でこれは変わりません。検診の方ですが、今5回無料にしています。その5回の分は、地方交付税、地財措置でやっておりますけど、国庫から地方にお金を流す形でやっていますが、これに460億円既にかけております。もし妊婦の皆さんが年間110万人ベイビーが産まれる前提として14回全部検診をおやりになるとすると、1,300億円かかります。既にその内の5回分は460億円を既にもうやっておりますから、差し引き840億円、全員が全て係ればということです。ただ、全員が14回かかるか、自分は8回でいいかというのは、それはもうその人のご自由ですけれども、大体ですから、今私が申し上げたものを財源的に担保するとすると840億円くらいになるという計算です。ただ細かい仕組み、それからもう一つついでに言いますと、各地で実際に分娩費用がいくらかかっているのかということは、今から再調査をやってみます。今全国平均35万円と出していますが、平均して例えばそうでないと、現実を見ると平均して40万円になっていたとしたら5万円増えるわけです。110万人ベイビーが産まれるわけですから、それに5万円をかけると550億円の負担になります。現実に今度調査して35万円もかかっていなかったんだと、30万円だったとします、そうすると逆に5万円が減る。その調査の結果で動く範囲はありますが、あえて付け加えるとそういうことです。
記者:
医療ビジョンの会議なのですけれども、既に27日にやるということがアナウンスされているのですが、そうではなくて。
大臣:
27日も予定通りやります。
記者:
それと別に土日に場所を変えて。
大臣:
場所を変えるということだけです。
記者:
泊まりがけでやるということですか、土日に。
大臣:
泊まろうがどこから通ってこようがかまいません。都内でやるということですから。今場所を調整中です。
記者:
今度の土日もということですか。
大臣:
そうです。それは予定通りで、泊まりがけで朝早く来れるけど来れないようなこともあるのでそこの微調整はあると思いますけど、基本的に予定通りやりますということです。

(了)