閣議後記者会見概要

H20.07.04(金)10:29~10:51 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議の閣僚懇談会におきまして、内閣総理大臣から政府における無駄の徹底的な排除をするようにというご指示がありました。例えば、随意契約の廃止を原則とする見直し計画を速やかに完全実施する。それから公益法人の支出についても無駄を根絶するということで、公益法人への支出を3割削減することを目標としたい。来年度予算の概算要求についてもそれを念頭に置きつつ、また、20年度の予算執行に当たってもそのことを念頭に置いて欲しいということで、自民党の方も同じような取組をやっているところであります。それを受けまして、厚生労働省においても今度公益法人について集中点検を行い、その状況について取りまとめをしているところですので、後ほど詳細な資料をお配りしたいと思います。

幹部職員の人事異動について

大臣:
続きまして幹部職員の局長級の人事異動について申し上げます。人事につきましては内閣の承認を得る必要がありますので、7月11日予定の閣議にお諮りし、ご承認が得られれば同日付で発令することになります。異動の内容について申し上げます。まず、健康局長西山正徳の勇退を認め、その後任に大臣官房技術総括審議官上田博三をおきます。次に医薬食品局長高橋直人の勇退を認め、その後任に内閣府大臣官房政府広報室長高井康行をおきます。労働基準局長青木豊の勇退を認め、その後任に大臣官房長金子順一、大臣官房長に雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫を、雇用均等・児童家庭局長には大臣官房審議官村木厚子をおきます。次いで、職業能力開発局長新島良夫を勇退を認め、その後任に大臣官房審議官草野隆彦をおきます。さらに、社会・援護局長中村秀一の勇退を認め、その後任に老健局長阿曽沼慎司を、老健局長には、大臣官房総括審議官宮島俊彦をおきます。そして、政策統括官薄井康紀を日本年金機構設立準備事務局長、これは社会保険庁総務部長が兼任、に配置換えをし、その後任に大臣官房審議官間杉純をおきます。そして、最後になりますが、中央労働委員会事務局長浅野賢司の勇退を認め、その後任に大臣官房総括審議官松井一實をそれぞれ任命するものであります。

質疑

記者:
人事の関係なのですが、福田総理が「5つの安心プラン」ということを言われていまして、厚生労働省の信頼回復も言われていますが、厚生労働省改革と言うには非常に人事としては小規模と言いますか、守りの姿勢を滲ませたように受け止められるのですが、その辺の狙いについてのお話を。
大臣:
今回の幹部人事をどういう考え方で行ったかということですが、社会保険庁の改革、特に年金記録問題、それから今後の新しい組織への移行、そういう課題が今継続中であります。それから長寿医療制度、これについても見直しを含めて今から作業をしないといけません。そういうことで山積する問題を、私を含めて今一生懸命取り組んでいるところです。それから江利川次官と坂野社会保険庁長官の2名、それから上村厚生労働審議官、これは留任いたします。つまり年金記録問題がありましたので、江利川次官、坂野社会保険庁長官を異例の形で呼び寄せたのが、昨年の人事でしたので、一定の目途がつくまでこの体制で、きちんと国民に対して課題を終わらしていくということを最大の眼目におきました。しかしながら、今後いろいろな意味で改革をやらなければならない。特に総理からの「5つの安心プラン」の最後が、厚生労働省改革でありますので。先ほど申し上げましたが保険局は今言ったことも含めて、政管健保の国庫補助特例法案を予算関連で通さなければならない。それから年金局も予算関連法案が控えていますので、継続という形にした極めて異例の形の人事でありますが、ただ、体制強化を図り適材適所の人事を行うということで、まず、社会保険庁については、設立準備のため事務局長に政策統括官である薄井を起用したということで、新しい体制に向けての補強をいたしました。それから保険局につきましては、医療保険、医療行政の経験の深い幹部を配置すると共に、特に広域連合、市町村との連携がうまく行っておりませんでしたので、これに企画官を配置する人事を行います。 それから職業安定局、これは日雇い派遣の問題を含めていろいろ変えないといけない問題がありますので、局長、次長、担当課長を留任させる他、偽装請負対策にあたる省令職を新たに設置したいと思います。詳細はいずれ発令の時にきちんと申し上げます。 それからもう一つ、私の直属の改革準備室を近いうちに改革推進室に格上げさせて、スタッフを強化して改革を加速させたいと思います。 それから子育て支援、少子化対策、ワークライフバランスこういう雇用均等・児童家庭局の局長に女性の局長を今回登用いたしました。これも一つの特色であります。そういう形で、改革の方向をきちんと付けたいと思っております。 それから人事制度、厚生労働省の改革の人事について言うと、今日明日に変わるわけではないので、そういう意味ではきちんとこれからの人事について、どういう方向を目指すかということ、特に技官の人事については少し透明性を持たせたいと思いますし、先般の病院の視察でも申し上げたように、現場を何年間か経験させるということも含めて、大きな改革をやる。そのために名前もまだ決めておりませんが、人事を検討するチームを作って、早速作業に取りかかりたいと思っておりますので、厚生労働省改革の一環としての人事改革の構想はあります。しかしながら、直面する課題をきちんと片付けるということが一番大事ですので、それを一番優先させて、改革の芽を伸ばしていくという二つの目的を同時に叶えようということで、大変異例ではありますがこういう人事をやったということです。
記者:
年金の資金運用が、サブプライムローンの影響で5兆円を超える赤字になっているのですが、その辺についてのご見解を。
大臣:
サブプライムローン問題で、各国とも赤字が出ている。これはある意味で当たり前なのでこういう状況でなかなか黒字は出ないと思います。例えば、ノルウェーなどでは、ほとんど外国の有価証券で運用していますから10%くらいの赤字幅が出ております。ただ問題は、日本は6%くらいで、やはりスウェーデンとかカナダとか、それからカリフォルニアのカルパースに比べても数字が良くないです。ハイリスク・ハイリターンの典型的な例はノルウェーですね。日本はローリスク・ローリターンで堅実な安全運用を図ってきて、それでも6%を超える運用のマイナスがあるということは、国際比較をしたときに必ずしもほめられる状況ではない。したがって、この運用のあり方についてもやはり国民の掛け金ですから、国民の財産を増やすという視点からどうすればいいかという視点も忘れてはいけない。それと共に大事な財産を安全に運用するという視点も必要なので、どこにそういうバランスを置くかということが最大の問題だと思っております。年金運用委員は私に任命権がありますから、今回刷新をして現場の感覚、現場の実務に詳しい方々を補強するという形で改革をやりたいと思っております。
記者:
世界的に株価の下落が続いているのですが、現在の年金積立金の基本ポートフォリオから、株式の資産構成割合を減らすというお考えはありますでしょうか。
大臣:
昨日自民党の山本有二さんのチームが、150兆円の内の10兆円をとりあえず新たな考えで運用したらどうかという意見が出ました。私は昨日の会見でも申し上げましたが、150兆円の15分の1ですからそういう意味でリスクをそこに若干賭けても、残りの140兆円でカバーすればいい話なのですね。だから、今何が異常かというと150兆円というファンドを、一つの組織が動かしていることが「いいんですか」と言う問題意識がないといけない。例えば、私たち個人が1億5千万円持っているときに、一つの金融機関に預けますかと。ポートフォリオの選択というのは危険の分散ということですから、それだけのお金があれば不動産も持つ。大体不動産3分の1、キャッシュ3分の1、有価証券3分の1というのは普通のポートフォリオの選択です。その中で、不動産やキャッシュを除く有価証券についての運用を考えた中で、その中でもポートフォリオの選択をしないといけないですね。まさにどういう選択をするかということを、年金の運用機関がやっている。運用委員がやっている、それについて改善の余地がないかということで自民党の方でそういう意見も出されたたわけですから、そういうことも参考にしながら国民の大事な年金をどう増やして行くか。あまりにハイリスク・ハイリターンで危険にさらすということは良くありせんが、国際的な比較をした時に、運用実績が相対的に低いことは確かですし、改善努力をすることは当然考えてしかるべきことですから、検討課題とすることはあっていいと思います。だから、いろいろな面で国際的な常識から見てノーマル、正常ではないことが行われていることについては、問題意識を党だけはなくて、政府も持つ必要があると思います。少なくとも私は厚生労働大臣としてそれを持っております。150兆円という巨額のお金を一つの組織が運用しているなんて常識では考えられない。神様ではありませんので、人間のやることですので、成功もあれば失敗もある。分散というのは当然なので、もう少し現場の経済学の知識、金融の知識、金融工学の知識があり、現場経験がある人がやるような方向に改善していくことが議論されていいと思います。最初からタブーであってはいけないので、そういう意味で試行錯誤を繰り返しながら、そして、国民の大事な年金をどう増やして行くかということを、そろそろ考えるべき時期に来ている。そういう中で今のご質問についていうと、そういう検討を始めるべきだろうと思います。
記者:
人事検討チームについてもう少し詳しく教えていただきたいのですけれども、いつ立ち上げる予定かというのと、いつ頃を目途に方針を出すのかというのと、それが来年度からの人事から適用されるのか、後、構成員がどんなメンバーで何人くらいでやるのかというのを教えて下さい。
大臣:
まだ完全に固めているわけではありませんけれども、「5つの安心プラン」の最後に厚生労働省改革を総理がおっしゃった時に、その後のフォローの会見で総理がおっしゃったのは、民間の有識者も入れる形で改革をやりなさいということをおっしゃった。人事についても例えば、そういう方の意見も聞かないといけないだろうと思っております。そして、その「5つの安心プラン」については7月いっぱいに作成せよということですから、もう7月になりましたから、出来るだけ早く策定をして、大きな方向付けだけでも7月の終わりにはやりたいなと思っております。ただ、当然、それが委員会という名前だったら委員長は私になる。その次のナンバー2は事務次官になります。それは当たり前のことです。それで、例えば、技官の人事をやるということになると医政局長とか健康局長とかいうのは技官がなることになっておりますから、そういう関連の内部の人間を配置した形でどういう形であれ、やはり外の意見も聞く。ただ、人事というのは、中の組織の事を良く知っている方でないといけませんから、例えば、長い間厚生労働省を担当なさったジャーナリストの方とか新聞記者の方がおられて、その方がもう勇退なさってて、少し教えを拝借というのは、例えば、ヒアリングというのはあると思いますけれども、今はまだ構想中であります。そんなに大がかりな形ではなくて、実質的に答えがでる形にしたいと思っております。むしろ、ヒアリングを多くする形で、取りまとめは月末ということですから、もう逆算すれば日にちが残っていないので、来週にでもなんとか立ち上げたいと思っております。
記者:
結論みたいな、人事方針みたいなのは何ヶ月後かに検討して出すということなのでしょうか。
大臣:
いえ。とりあえず大きな方向は7月末という答えがありますから。
記者:
その人事検討チームで何か新しい人事方針みたいなのを打ち出したりとかあるのでしょうか。
大臣:
それはやってみないと。軽々に拙速主義で出してどうだということでもないので、大きな方向付けをどこまでやれるかの話だと思います。そして、ヒアリングしたりして、要するに人事は、ちょうど一年後になりますから、それまでに固めていくというふうになると思います。
記者:
来年度からの人事に適用されるというイメージで。
大臣:
基本的には。途中で何か人事をやらないといけないような、突発的な事が無い限り、定例の人事異動に間に合わせるようにということです。
記者:
先程の話ですけれども、5兆円の赤字ですと、一般の加入者や受給者が不安に思う方もいると思うのですけれども、年金体制への影響の方を。
大臣:
それは、過去のプラスも積み上がっておりますから、一年でみるわけにいかないのです。特に株式の運用というのは、最低10年単位でみるというくらいの形でなくて、デイトレーダーでその日のうちに何回も買える人もいます。しかし、こういう年金の運用は、先程申し上げた、サブプライムで誰がやっても今マイナスになる。そこだけではなくて、プラスの時とあわせていって、どれだけの運用実績をあげるかということです。150兆のうちの5兆ですこれは30分の1です。大変大きな額ですけれども、これはまた景気が好転する、そして先程申し上げましたように、いろんな改革をやって、いい運用実績が上がるような方向に持っていく。そういうことによって十分リカバーできると思いますから、国民の皆さん方の大事な年金を今回の5兆円を超えるロスということが直ちに響くわけではありません。だから、そこは是非ご安心いただいて。ただ、慢心するのではなくて、要するに、そういう運用というのは、ファンドにしてもどの機関がやるにしても、僥幸だけで、つまりくじとか博打とかいうような話ではなくて、きちんとした基礎知識があって、その上に成り立ってやる話ですから。従って、今私が申し上げたようなきちんとした組織が本当にあってやっているのでしょうか。ですから、ピラミッドでいうと、3分の2くらいの所まではきちんとした金融工学の基礎知識があれば大体皆さん到達できる。そこからは、いろんなファクターが入って、それは運というものでも入ってくるかもしれない。しかし、3分の2までの土台までがしっかりしていないのではないかという認識を暫く金融の問題も私はやっていたものですから、そういう改革の方向を目指して、更に運用実績を上げるにはどうすればいいかというのは考えたいと思っております。
記者:
日本年金機構の基本方針というのは、閣議決定を今日されましたでしょうか。
大臣:
今日はしておりません。それはやはりこれだけ大事な改革ですから、与党の方にもきちんとご説明をし、与党のご了承ももらう必要があります。今たまたま国会が閉じておりますから、そういう会議を開くのに人が集まりにくいとうい状況もありますので、今のところ来週の火曜日になるのではないかと思いますけれども、厚生労働部会を開く形で、そこできちんと自民党の方ですけれども、そして、政審、総務にかけて、党の方でもこれはこういう形でよろしいというお墨付きをいただいた上での閣議決定になると思います。ちょうど前後してサミットがありますから、これは正式に決まったわけではありませんけれども、恐らく1週間後の金曜日になるのではないかと私はみています。後は党のご議論でもう少し変えなさいという議論がでるからもしれません。それから、与党の方で公明党さんの方は、党内の手続きは終わっていると聞いております。
記者:
年金業務・組織再生会議の議論の過程をみていると、まずやはりどうしてもベクトルとして、まず人を減らせと。それで社会保険庁から移行する人を減らそうと。外部委託を増やそうという方向の議論が先行しがちで、では新組織できちんと年金の管理業務、これが一番大事なところだと思うのですけれども、それができるのかと。先程申し上げたように、記録問題の解決をして図っていかなければならない中で、人を減らして大丈夫なのかというような意見はやはり聞くのですけれども、その点について大臣どうお考えでしょうか。
大臣:
それは大変良い質問だと思います。というのは、新しい日本年金機構が国民のためにどれだけ良い仕事ができるかというのが最終的なゴールです。そこで、ただ闇雲に減らせばいい、ただ外からの運用を増やせばいいといっても、逆に非常に専門的な知識がないと出来ない分野もあります。他方、やはりこれまでいろんな不祥事をやってきた事に対して、「あの人がやるなら私は信用しませんよ」という国民の声もあります。しかし、極論を言えば、その方が省内でトップ水準の専門知識を持っているときにそれをどう活用するかということをもう一つ考えないといけない。だから、そのバランスを上手に取りながら、一番良い体制にもっていきたいと思っております。だから、そのせめぎ合いというか、おっしゃった意見の2つのベクトルのせめぎ合いで押したり引いたり押したり引いたりということであるわけですけれども、あまりポピュリズムに走って、ただバッシングすれば良いということでもありません。しかし、原則は採用しないという厳しい態度をとったのは、やはり国民に対して示しをつけるということがあります。これは、社会保険庁の中について言うと、本当にその人が罪があるのかというのは分からないシステムに実はなっていて、確実に、言葉悪いけれども、誰が不祥事をはたらいたのだというのは分からなくて、例えば、組織全体で誰かを責任者にしないといけないというような例もあると聞いております。従って、その方にしたら濡れ衣であって、しかし、その人は非常に優秀で能力がある。だから、そういう場合には、有期で、1年ですけど、そこで仕事を発揮してもらって、非常に優秀である、しかも私達ではなくて、外部の人にみてもらって、しかも改革意欲があるという時には、仕事をしてあなたの能力とあなたの改革意欲を国民の為に使って下さいという道を開いたのです。それからご承知のように、もちろん公務員というのは基本的に首を切れないことになっていますから、これは配置転換をしないといけないということの絡みでいろんなベクトルがある中で、大体こういうバランスかなという感じです。だから、今おっしゃったような意見の方、ちょっと厳しすぎるという、これでできるのだろうかという意見はあると思います。逆のベクトルの方は「なんだ」と、こんな有期だって抜け道を残して良いのか。ただ、私は相当そういう意見をお伺いして、このバランスなら良いだろうという形で基本計画を提示しているところですので、自民党の仲間の皆さんのご意見をいただいて、政審、総務の決定を待って、その過程でまた他の意見も出てくるかと思いますけれども、それは今おっしゃったようなポイントは面と向いてやりたいと思います。
記者:
記録問題の対応は、先日の閣僚会議で賃金職員を増やすということで対応するというようなプランを出されていると思うのですけれども、今のお話ですと、いろいろ対応が必要になれば正規職員を増やすなりの人員計画の見直しもあるというような。
大臣:
そういう意味で申し上げたのではなくて、もう決めました。1万人を切るという、9千何人という。そういう数字はもう動かさないわけです。だから、記録問題があって、新たな組織についても私がエンドレスと言っているのは、今後どんなご要望があってもちゃんと対応しますよという意味で、もうそこで幕引きするのではありませんという意味ですし、それに対応できる体制をやるということですから、いろんな人事の配置の仕方があると思います。非常に優秀なトップがいて、中に内部の人間がいて、後賃金職員でやれるかもしれない。それはまた臨機応変に考えていく。ただ、この基本計画はそれで動かしません。
記者:
基本的に年金記録問題の対応は賃金職員を増やすということでやるということでよろしいですか。
大臣:
ですからそれはその時のどういう対応が必要なのか、どれだけのことが必要なのか、それは今の作業をやりながらでないと答えが出ません。そういう形で国民に対して一番良い答えが出る形で体制を整える。
記者:
またその時に判断するということですか。22年度とか。
大臣:
その時々、毎月、毎回状況を発表する時に今度はこういう新しい問題が出たからこう対応するという方向でいきたいと思います。

(了)