閣議後記者会見概要

H20.06.20(金)09:46~09:57 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議については特別ございませんが、そのあと地方分権推進本部の会合がありまして、第一次勧告に基づく第一次の要綱を発表いたしました。保育所、幼稚園の問題、その他基本的に厚生労働省が関係するところも、増田総務大臣ともきちんと詰めて、ほぼ第一次勧告案どおり出ており了承されて今戻って来たところです。

質疑

記者:
昨日の年金業務再生会議で、社会保険庁の職員についての新しい考え方が出ましたが、契約期間が切れると、辞めざるを得ない人も出てくるという、非常に厳しい内容にも受け取れるのですが、大臣はこれを再生会議の議論に一歩踏み込んだ形で厚生労働省として提示された思いなどを伺えれば。
大臣:
まず一つは、社会保険庁に対する信頼がまさに地に墜ちておりますので、新しい日本年金機構を作るときには、そういう信頼の回復ということからやらないといけない。そうすると襟を正すということで、一度でも懲戒処分を受けた者については原則として採用しないということをきちんとやります。しかし、これは国家公務員法上の問題があり、分限措置をどうするかということもありますから、そういう意味では、仮に採用するにしても、有期契約という形でやりますということです。もちろん有期というのは、労働法制上は3年以内と決まっていますから、3年経って更新することも理論的には可能です。それから極めて成績優秀、しかも処分を受けた理由は、誰が見ても本当に、例えば組織を代表して詰め腹を切らされたみたいなことであって、しかも改革の意欲に燃えていて非常に仕事ぶりがいいというような時には、例外的に正社員への道も閉ざしてはいない。しかしそれも社会保険庁が決めるのではなくて、全く中立的な第三者が、そのことがいいかどうかを審査する形にしております。 それから、有期契約にするのは要するに抜け道を作ってあげている、つまり正社員にしないということで厳しい方針を立てながら抜け道をわざわざ作ってあげているという誤解がありますが、これは全く違います。庁からの採用は一万人以下という数字を決めているわけです。要するにいろいろな業務がありますから、きちんと日本年金機構の業務がスタートするまでの間に、残務処理をしたりするために、いわゆる余分な人員がいる、その余分な人員に有期契約の人員を当てるわけですから。例えば、それが千人必要であったら、その千人はどんどん残務整理が終わっていくと、必要がなくなるわけです。したがって自動的に有期契約というのは、無くなっていくわけです。ですから残務整理が、3年で終われば更新する人は一人もいないことになります。しかし、4年掛かれば一部は更新するということもありますので、何か抜け道を作るということではありません。しかし、ここは新しい組織が生まれ変わったんだということを示すためにも、それをやりたいし、外部からの登用を増やす。外部から登用する人達も非常に重要な任務につける、採用するということですから、新しく生まれ変わって、国民の信頼をいただける組織にするための荒療治でありますが、それは必要な改革だと思っております。
記者:
今日事実上通常国会が閉会しますが、厚生労働省が提案していた法案で参議院に回っていたものが、廃案になることが決まったりだとか、ねじれ国会の影響が出ている部分も非常に多いと思いますが、通常国会を振り返られて、後期高齢者医療制度の問題などもありましたので、ご感想をいただければ。
大臣:
児童福祉法の改正、これは衆議院で議論して、参議院に送られながら出来ないというのは非常に残念で、先般児童虐待の問題で、関係者を集めて訓示をいたしましたが、この法律があるのとないのでは、相当子供達を守るときにどうあるかということなので、大変残念に思います。ですから、国民生活に関わりのある法案については、党利党略をしないで、やはり協力してやるということが必要だと思います。 しかし、前後を振り返って見たときに、これだけのねじれ国会でしかも厚生労働省関係のテーマ、つまり肝炎、医療制度改革、年金、後期高齢者の問題であれ、たくさんの対立点があり、国民の関心がある中で、例えば、労働関係の法律とか、最低賃金法とか様々な法律が、与野党で知恵を働かせ成立を見たということは、私はそれなりに衆参両院の厚生労働委員会の皆様方が、大変がんばっていただいたと思っておりますので、むしろ、こういうねじれ国会でありながら、国民のために必要な法律については、一部実現しなかったものもありますが、総体的によくまとめていただいたと思っておりますので、国会の方の皆様方のご苦労を多としたい。
記者:
年金業務・組織再生会議の件ですけれども、先日のラジオで一回でも処分を受けた人間は採らないと説明されてたのですが、先程も説明あったように例外もあるということですけれども、それで国民の理解が得られるとお考えでしょうか。
大臣:
十分得られると思います。基本的に採らないのです。しかし、今申し上げたように、極めて例外的です。800人の内500人採ったら例外になりません。しかし、その例外を定めるのも厚生労働省や社会保険庁が決めるのではなくて、外部の機関がきちんと審査をして面接までやって国民に納得いく形で、透明性を持ってやります。従って、AさんBさんはかくかくしかじかの理由において採用する、有期契約にして正規の道を歩ませる、それはこれだけの理由がある、それを国民の前に明示して、それが不合理であればその段階で国民が理解しないということですから、二重三重のハードルを高くしてあります。そこは心配ないと思います。
記者:
退職金の規程が、ずっと社会保険庁時代からの有期職員も通算されるということで、また正規職員に戻るのを前提にしたような制度設計になっていますけれどもそこら辺は。
大臣:
これは、国家公務員法上のいろんなルールがある。まさに例えば、有期契約でやることもいろんな今の法制上の中で最大限できるということを考えているわけです。従ってこれはまた、公務員の制度を担当する渡邉大臣ともよく協議をしながらどういう法改正をすればいいか、どういうルール改正をすればいいかということを考えながら将来的にこの改革をやっていきたいと思っております。実際には、これは今後設立委員が正式に決まり、その中で揉んでいく問題だと思っておりますけれども、改革の方向としてはそのことも含めて検討したいと思っております。
記者:
今日の夜に政府の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」が開かれて中長期的な最低賃金の目標について話し合われます。未だ労使の隔たりが大きいと伝えられていますけれども、どういったことを大臣として円卓会議に期待されますか。
大臣:
まず、最低賃金法の改正が決まりましたから、まずこれをきちんと実施をしていく。そして、やはり労使の皆さんとよくこれは話し合いをしないといけない。政労使で。やはりこの最低賃金というのは最後のセーフティーネットなわけですから、これが非常に低いということは、そういう認識を持たれているということはやはり格差社会の一つの原因になりますから、そこについてはやはり労働側の言うこともきちんと聞かないといけないと思っております。ただ、最低賃金の決定の仕方は、各地域によって客観的なデータに基づいてそれぞれ積み上げたものですから、それはそれの一つの合理性があります。それから、使用者側からいくと、あまりに最低賃金を上げることによってむしろ雇用できなくなる、そうすると却って失業者を生むのではないかという議論があります。それぞれ理のある論理を皆さんおっしゃっているので、ここはなんとか議論を今日もう少し煮詰めていただいて、できれば今月中に具体的にそれを決める審議会とかそういうものを立ち上げるところまで持っていきたいと思っております。

(了)