閣議後記者会見概要

H20.05.9(金)09:16~09:28 ぶら下がり

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議ですが、特段ご報告することはございません。 私の方から一点、例の「人生85年ビジョン懇談会」の報告書を今日の午後公表いたします。皆様方も会議に出ておられたと思いますけれども、みんなが長生きする時代になってどういうふうにして人生を過ごしていくかということで、子供の頃から文化を学んでみんなで相互協力しながら自分作りに努めるということ、それから何度でも若い頃から性別、年齢に関わらず働き、学びそして世代を超えて交流すると。それからワークライフバランス、仕事と生活のバランスを実現しようと。特に女性の力も存分に社会のために使っていただきたいと、それを発揮できるような社会環境をつくる。それから世のため人のために、みんなで知恵を働かせて努力をしましょうと、そういうようなことを柱にして少し夢のある形でいろいろな提言、例えば、長期休暇を取ってリフレッシュしましょうというようなこと、それを提言しておりますので。これは長期的に厚生労働省の政策の中に取り込んでいきたいというふうに思っておりますので、午後公表いたします。取り合えず概要の方だけ説明しておきます。

質疑

記者:
昨日民主党の部会で、後期高齢者医療制度に関して国保との保険料の比較をもう一度やり直したというふうな話が出ていたのですけれども。
大臣:
6月13日に2回目の特別徴収、年金からの天引きがありますから、それまでの間にすでに調査をするよう指示しておりますので。その上でどういう形でやれるか、本当にこれは市町村独自でいろいろなことをやっておりますので。個々人の立場からみたら、今まで払っていた保険料よりも高くなったじゃないか、それの原因はどこにあるかといったら、実は市町村の補助金がカットされたという理由もあるわけなので、できるだけ広範に資料を見て実態の解明に努めたいというふうに思っております。
記者:
今日の諮問会議で外国人労働者の話があるかと思うのですが、他にも自民党の中で移民省というものを検討するという話がありますが、厚生労働省所管の一部の分野から外国人労働者を求める声が強いと思うのですが、大臣の考えをお聞きしたいのですが。
大臣:
今日文部科学大臣も出席して教育の国際化のような話も行います。東京大学で先生をしておりましたから、ずっと私自身がそういうことに携わってきております。それからヨーロッパでの生活が長いので、ヨーロッパにおける移民政策も研究してきておりました。だからこの点につきましては、私もずっといろいろな考え方を持ってますが、単純労働者についてそう簡単に門戸を開くわけにはいかないと思います。移民を巡る様々な社会問題、今ヨーロッパでサードジェネレーションまできています。そうすると自分はドイツ人なのか、トルコ人なのかそういうアイデンティティクライシスに悩む若者がいるわけですね。開かれた国にしていろいろな文化が入るのは結構だと思いますけれども、そういう社会的コスト、そして第3世代まできたときにアイデンティティクライシスに苦しむ若者達をどうするか。こういうヨーロッパの先人達の経験を、きちんと学ぶ必要があります。それが一つ。それから、高度人材を入れるといいますが、「高度」というのはどういうことを意味するのですかと。要するに人手不足になる、そうすると安い賃金で外国人を使えばいいじゃないかと、そのレベルの発想で企業の方がおっしゃっているのであるなら、私はこれは失格だというふうに思っております。ただ単に高度人材を倍増計画なんて言っても、「高度」とは何を意味するのですか。明治維新の時には、時の総理大臣以上の給料を払ってお雇い外国人を雇ったのですね。それは必要だったからです。今ある会社の社長の給料の倍を出してすばらしい外国人を雇いますかと、それだけの覚悟はありますかと。だからそういうこともしっかり考えてもらわないといけない。ただ倍増計画を立てればいいというものではありません。英語が通じるようにすればいいじゃないかというのは結構です。だから、私は東京大学の先生の時に英語で授業をやってやろう、フランス語でやってやろうと言ったのだけど、今の東京大学の先生の中で何人英語で授業できますかというようなことも含めて現実をよく見て、外国の人達が生活しやすいようにする生活環境を作る。例えば、新宿駅に降り立った時に「SHINJUKU」とローマ字で書いているけど、小田急とか京王に乗り換えの案内というのは英語で書いていないです。例えばそんなことをよくするというのは、それは当然やるべきこと、外国の人が生活しやすいようにすることもやるべきことなのだけれども、単純に安い労賃で人を雇いたいからくらいの発想で、もしおっしゃる方がいれば私は絶対反対なのです。それで、すばらしい世界から求められるような方が、家族もいます、子供の教育もあります、日本で生活しても良いと思うならば、それなりの処遇がなければ、それは相当高給でないと来ません。それと、その方達を3年なら3年雇って「はい、さよなら」にするのですか。それともずっと定住させるのですか。定住させることはもの凄く大変です。だから、そういうことを総合的に考えて定住化政策か帰化政策をやるのか、それだけの大きなビジョンがないとそう簡単ではないです。私は、だからそういうことが原因で実は東京大学に辞表を叩き付けたのです。こんな閉鎖された大学では駄目だといってやったわけです。それ以来ずっとこの問題を考えてきていましたけれども、そう簡単ではありません。ですから、そういう申し上げるべきことは申し上げる。例えば、企業の中で、総合職に何人外国人を入れていますか。道具として使うのではないのです。やはり、世界中から優秀な人に来ていただくならそれなりの処遇をしないといけないし、それなりの社会にしないといけないです。だから、それは全く賛成ですけれども、絵空事に終わる、そして、本当に定住し、帰化するまでにやれるのだったら、例えば、フランスでは、サルコジさんという大統領、国家元首です、この方のお父さんはハンガリー移民です。だから、例えば、近隣の諸国だと中国や韓国あたりかた来られている方、次期大統領日本国籍のパクさん、日本国籍のオンさんというようになるというのは、フランス国籍のサルコジさんというのが生まれているのと同じなわけです。アメリカは全部そうですから。だから、そこまで開かれた国で実は良いと思うのですが、そうしますと、例えば、フランスは、フランス語を話すことが当然だと思うのです。フランス人になるならフランス語を話すのは当然だ。日本で仕事するなら日本語話すのは当然だ。だから、フランスで、例えば、フランスの博士号を取ります。国家博士号を取るというのは、普通のフランス人よりもフランス語でよく論文を書けるということですから、フランス語が上手いということなので、取った瞬間にフランス人になれるのです。そうすると、日本の国家博士号を決めて、普通の日本人よりはるかにすばらしい日本語の論文を書ける、その瞬間に日本国籍をあげるというくらいの発想が全くないのです。英語で教える先生だって、30の拠点大学で英語で教えるというけど、それだけの先生を探してごらんなさいと思います。ですから、それなら逆にやはり日本語をちゃんと学んでいただけるようにして日本文化の良いところを学ぶ。そうでないと、例えば、介護士、看護師さんにしてもフィリピンの方々は、英語を話せます。だから皆アメリカ、イギリスに行きます。なぜ日本に来るかというのは、やはり日本が好きで日本語もこれだけ話せてという人材でないといけないので、そういうことについて私はずっとこの問題で苦労してきて、何十年も格闘してきたし、経験もあるので、それは今言ったようなことを堂々と今日夕方言おうと思っております。
記者:
財務省が社会保障費の削減のために雇用保険の国庫負担の廃止を検討しているということがありますけど、これについて。
大臣:
要するに、これは根拠があるかどうか今調べてみないと分かりません。財務省のブラフかもしれませんが、要するに、2,200億円をどうするかという話なのです。だから、福田内閣の一員の大臣としては、それは骨太の方針を決める、骨太の方針があればそれは全体の歳出を抑制して財政再建に資するということはやらないといけない。しかし、何度も言っているように、目の前で産科婦人科の医師が足りない、皆が命の問題に苦労している時に、もうそろそろ限界に来たのではないか。従って、今年も薬価を切り下げる、保険組合に理解いただく、では来年はどうやりくりをするのですかというのを考えないといけない時期なのです。一つは、雇用保険、積立金がいっぱいあるというようなことになれば、そういうのに目をつけてくるだろう。ただ、これは失業者が増えた時どうするのですかという話があります。それから、介護保険料の話にしても介護保険料率を上げるのは、介護の現場で働く人の処遇をよくするためと私は申し上げてきた。しかし、それは国庫負担を減らすためというのとはまた別のことですから、これはよくよく議論をしてやるべきだと思います。そういうこともありますから、近いうちに日本の医療体制を再構築するために「安心と希望の医療確保ビジョン」の報告が出ますから、それを元に抜本的な改革策を出して、従ってこれだけお金がいります、その財源の問題は、これから今から政府内でまた与党と協議をして決めましょうということであるわけです。そういうことを含めて。それは必要な道路は必要です。だけど、やはり目の前の命の方が大事でしょう。やはり財源の配分ということもいろいろ考えるべき時期にきているので、そういうきちんとしたビジョンを基にして国民のご理解をいただければ、それはやはり優先順位を予算付けてもらわないといけないですから、人の命の方が私は優先順位だと思います。これは全力を挙げて頑張りたいと思います。

(了)