閣議後記者会見概要

H20.04.22(火)09:25~09:40 ぶら下がり

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議ですけれども、閣僚懇談会において、政府における無駄の徹底的な排除に向けた集中点検をやるという指示が、官房長官からありました。道路予算における無駄というようなことがありましたので。まず政策の棚卸しということで、ほったらかしになったままの政策を見直す。それから公益法人についても、徹底的に検証するということなので、これは早速厚生労働省についてもきちんと点検をして、しかるべき手を打ちたいと思っております。それが第1点です。 それから2番目ですけれども、例の年金記録の相談、社会保険事務所の休日相談日ですけれども、後ほど事務方に情報提供させますけれども、一応5月の土日をすべて相談に対応できるようにいたしました。ちょっと連休中はどうしてもコンピューターを他のことに使う予定がありますので、何日間かは無理ですけれども、基本的に動かすということです。それで、4日の日曜日だけは、相談は承るけれども後日回答する、そういうことで、とりあえず開けることはできると思います。それが土日の5月の開庁ということです。それから所謂ウインドマシーン、これを今700台再配備するようにして、特に待ち時間の長い首都圏をはじめとした社会保険事務所にウインドマシーンを700台再配備するということで、これは今進めております。ちょっと今日は間に合いませんので、後日皆様方に事務方よりお知らせいたします。これが大きな二つめです。 次は認知症の問題が3番目ですが、認知症の対策についていろいろ検討してきましたけれども、診断とか予防治療技術の研究開発、それから医療対策、介護対策、それから本人、家族への支援と、そういう対策を総合的に進める必要があるという認識から、厚生労働省内の会議として、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」、これを実施することにいたしまして、老健局長に対して、このプロジェクトを設置しろということを指示いたしました。7月くらいを目安にして、この認知症対策の基本方針、短期的対策、それから中長期的対策を取りまとめて、21年度の概算要求に反映させたいというふうに思っております。それが大きな3番目です。 それから大きな4番目はですね、先般も第2回の長寿医療制度対策本部を開催いたしました。通称長寿医療制度、後期高齢者の医療制度ですけれども、いろいろな誤解もあるものですから、周知徹底を今図っているところでありまして、それから総務省とも協力して、各自治体にも指導する。きちんとやってくださっている所は、やってくださっているので、そういうことを含めて、今後とも厚生労働省の中にもホットラインで休日対応を行うというようなことは、先般指示をいたしましたので、周知徹底をさらに図りたいと、以上です。

質疑

記者:
認知症に関しては、なぜこの時期にこういったプロジェクトを立ち上げられたのですか。
大臣:
これは、介護の問題というのは、非常に人材不足の問題もあります。そういう中で、認知症のまず研究、今アルツハイマーを含めて相当進んでいますから、予防ができないかと。それから診断の結果が下されたとしたら、アルツハイマー型と脳血栓とかの型で対応が違いますので、それでやはり家族は大変なので、そういうことを含めてですね、全体的な総合政策をこのあたりで見直した方がいいのではないかということで、プロジェクトチームを組んでやりたいと思います。つまり、今、介護労働者の介護改善ばかり言われて、これはこれできちんとやっていこうと思っていますけれども、では特にその介護の対象となっている方が、たくさんおられますけど、認知症の方々、こういう方々に対して、治療の効果があるとか、この前私が視察で訪れた所のおばあちゃんのように、要介護5が3段階よくなるということもあれば、それは介護する側も楽になります。そういうことを含めて、一度きちんと介護の問題を正面から取り上げたいというふうに思っております。例の「安心と希望の医療確保ビジョン」、後1回くらいでまとまりますので、私はその次に同じような、大きな枠としてやらないといけないのは介護だろうと。今国会でも問題になっておりますね。ですから是非そういう方向でやりたいと思っております。
記者:
年金の話なのですけれども、低所得層を中心にした年金の額が低い人に上積みをしようという動きを厚生労働省の方が検討しているという報道が出ていたのですけれども、その点に関しては。
大臣:
それは全くの誤報です。一切そういうことはいたしておりません。一部の報道にそういうのがありましたけれども、これは、何もやっておりません。いろいろ無年金者をどうして救うとか、今のような低所得者の上乗せというのは、いろんな方からいろんなご提案があるので、それはもう、例えば、総理の下にある社会保障国民会議、こういうところで様々な提案を議論すればいいですけれども、厚生労働大臣として一部の報道にあるようなことを指示したことはありませんし、そういう研究も今のところ行っておりません。
記者:
高齢者医療に関してなのですけれども、健康保険組合の方から4,000億円ほどの拠出を求めるというような試算が厚生労働省から出たようなのですけれども、その点に関しては。
大臣:
これは、今日も国会での議論が後ほどあると思いますけれども、要するに健康保険組合とか共済組合とか、国民健康保険とかそれぞれの分担がどうなるか、それは、当然若い人が多くて会社勤めの方々、これは健康保険組合は、今年はまさにそれから1,000億円出してもらったので潤沢なのです。ところが、国民健康保険は本当に崩壊の寸前にきている。だから、長寿医療制度も国民健康保険をしっかり守るために拠出を願っているわけですから、支援金として、それは取られる方は、減るわけです。だけど、これは、やはり国民皆保険を守るためにゆとりのあるところが、そうではないところを助ける。だから、後期高齢者の医療でも高齢者は1割です。若い人は4割です。若い人が4割というのは、まさに健康保険組合等からきているわけです。あと税金が5割。だから、いつも言うように、大体自分のお金で保険はやるはずなのだけれども、自分のお金は1割で、9割は外からくるお金というのは、保険と呼ばれるのかと言ったら、ほとんどこれは保険ではなくて、完璧な別の手段による保障制度のような感じがします。ですから、当然国民健康保険の会計は助けてもらった、助けた方の会計は苦しくなるという状況ですが、ただ、今後長期的に見ていけば、比較的健康で若くて、そして、そういう方達が払ってくれている健康保険組合の方は、どちらかというと黒字の傾向がある。国民健康保険は、どんどん高齢者が増えていけばどんどん赤字の傾向がある。それの調整なので、これは国民連帯で困っているところをお助けいただきたい。皆さんご承知のように、今年の2,200億円のマイナスシーリングのうちの半分はそこに助けてもらって、本当にありがたいというか、申し訳ないというのでもう何度もお願いに行って、健康保険組合の方々にはご迷惑をかけておりますけれども、これは、国民皆保険を守るためにお願いしますということです。最終的には、厚生労働関係の予算をどうするのかというのは、国民的な議論をして、いつまでも2,200億円のマイナスは続けていけるのだろうかと私がいつも申し上げていますが、限界だというのは、今のいろんな方々に対してお願いをして支えていますけれども、やはり正面から堂々と議論するべき時期にきているのではないかという感じを持っております。
記者:
山形で、58歳の息子が、87歳のお母さんを殺して無理心中した事件があるのですが、その息子が、死ぬ直前に後期高齢者医療制度が始まって、保険料が上がるし、母親の医療費もかさんで、生活が非常に苦しいというのを周囲に凄くつらそうに話していたと。高齢者に対する将来の不安感みたいなのが広がっているような気がするのですが、それについて何か。
大臣:
それは、私たちも相当説明はしていますけれども、やはり基本的なことは、保険証一枚で病院にかかれますよという国民皆保険が守れますよ、年を取ればどんどん病気になる率が高くなるわけですから、これをしっかり基本の所はやる、そのための長寿医療制度をいれたわけです。そして、後は、きめの細かい手立てをするということなので、市町村の窓口に相談に来ていただければ、生活保護ももちろんありますし、減免措置もあります。それは、今後この長寿医療制度、市町村によっては若干ミスが出てきていますが、政治の決断で凍結措置等をやりました。それで若干プログラムを組んだりするのに面倒をかけている市町村があると思いますが、そういうことをやっているのも基本的には、将来不安でということが無いようにするということなので、全体の大きな制度設計として国民皆保険を守るんだということが第一で、しかし、それによって極度に負担が増えないようにする。そういう場合には、細かい手当をするという方針でいきたいと思います。是非これは、安心のためにむしろやっているわけで、そういう議論もきちんとやるべきだと思っております。
記者:
無理心中の話は極端な例かもしれませんけれども、そういう人はもっと相談に来て欲しいということですか。
大臣:
それは、先程、認知症の問題で話しましたけれども、毎日のように認知症の親を殺めて自分も自殺するなんて悲劇がこれまで続いています。老老介護で老老夫婦の場合もそうです。こういうことのためにもやはり相談体制をしっかりする。それはやはり地域のコミュニティの再生ということも必要だと思います。独居老人、誰もいないで何日間も死んで放置されていたということがないようにするには、民生委員だけがやるということではなくて、やはり地域全体の介護力を高める、それで総合支援の力を高める。だから、私はこういう問題というのは、ただ一つ制度を右から左にしたから良くなるとか悪くなるとかいう問題を越えて、やはり日本の戦後が抱えている地域社会の崩壊という問題にも繋がっていくので、無理心中なさったり自殺なさったりする方々、もう少し事前に相談をして下さればなという気はします。
記者:
昨日の健康保険組合連合会の会見では、9割の組合が赤字になると。それから、141の組合で保険料の値上げをすると。サラリーマンの負担も増すんだということについて、サラリーマンへの説明も足りないような気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。
大臣:
それも例えば、一つ例を挙げますと、息子の被扶養者になっている方が今度長寿医療制度に独立して入るということになります。これは、2年間のいろんな凍結措置をとっておりますけど、しかし、その後ご自分で保険料を負担されることになる。窓口の負担も1割でありますけれども、そうすると、そこをどこでその方が増えた分が軽減されるかというと、若い人達の、つまり息子さん達の保険料が下がることになるわけです。論理的には。全体的にですよ。なぜかと言ったら、息子にとっては、いわば親の保険料を負担しているわけです。その分、例えば、後期高齢者が自ら負担するようになると、その分の負担は、若い人は減るわけです。ただ、現実に自分の保険料が増えるか減るかについては、それは、全体の赤字調整とかいろんな問題がありますから、論理的にそうであっても、個々については違うケースが散見されます。だから、ここはどういうふうにして世代間の公平を図るかというのは大問題なのです。例えば、介護保険料にしても40歳からしか払っていません。20歳からにすれば、もっと若い人の負担が増える。私はだから、世代間の公平ということももう少し考える必要があるので、そういうことを考えれば、じゃあ今高齢者1割負担していただいていますけど、これを2割にするのですか、3割にするのですかというような話もあるし、それから、現役並の稼ぎがある人は、窓口で3割払っていただいているのです。だから、何度も申し上げますように、天からお金は降ってこないので、誰かが負担をしないといけない。その時になるべく世代間の公平も考えないといけないし、やはり経済的に困窮していれば皆で支援する必要があるということは、経済的に裕福な方は、たとえ高齢であっても若い人並に支払っていただくというコンセンサスをやはり作っていかないといけないと思います。こういうことのためにやはり社会保障の国民会議があるのだと思っております。

(了)