閣議後記者会見概要

H20.03.25(火)09:26~09:44 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議については、今日、年度末でサインする案件が山ほどあったので、政令の処理とかいろんなことで。それで若干時間を余分にとりましたけれども、内容については、特記することはございません。 私の方から一つ、産科医療機関についてのその後の件をお話しいたします。これは、分娩の休止、制限を予定している産科医療機関にどう対応するかということで、1月19日に長野県の飯田市で国民対話を開催しまして、その時もこの問題が出ましたので、それを受けまして、厚生労働省としても全国的な調査を実施いたしました。それから、私から直接、日本産科婦人科学会の方にも独自に調査をやってもらうように依頼をして、両方のこの調査結果が出て参りました。これは、今日10時半から地域医療に関する関係省庁連絡会議を総務省等と開きますので、その場で全て資料を公開して詳細はそこで皆さんに資料をお渡しできますので、10時半にこれを出せると思います。 私からは、まず、厚生労働省の調査の結果、本年1月以降分娩の休止または制限が予定されている医療機関が全国で77ヶ所ありました。これを更に細かく見たところ、このうち70ヶ所は、産科医療機関の集約化に伴う休止とか、近隣の医療機関で対応が可能というようなことで、地域全体で対応できる。つまり、77のうち70は、それぞれの地域で、大変なのですけれども、なんとか頑張ってやってもらって地域で対応できる案件であったと。その他の7つなのですけれども、その地域や都道府県だけでは産科医療を確保する手立てがたてられないということで、7つ赤信号が点ったということですが、この7機関について対応を今までやってみて、今日段階で対応できたところを申し上げます。 まず、福島県の県立南会津病院ですが、これについては、4月から近隣の医療機関の協力で妊婦検診を継続すると、更に防衛省及び愛育病院より後期研修医の近隣の機関へのいわゆる玉突き派遣を実施予定で、ここは従って継続できます。それから、長野県が2つありまして、長野県の飯田市立病院、これはこの前訪れたところですが、これは4月から信州大学が派遣してくれるということで分娩を継続し、里帰り出産も継続できる。それから、同じ長野県の3番目ですけれども、伊那中央病院、これも同じように4月から信州大学から派遣してもらう。それから、4つ目ですけれども、沖縄県の公立久米島病院については、4月から県立病院が週1回派遣することによって妊婦検診が継続することとなりました。今4つ目まで申し上げましたけれども、その赤信号の7つのところのうちの、2つはこれはまだ8月くらいまで時間の余裕がありますから、これは継続してやります。従って、残りが3つで、今申し上げた4つの例は手立てがつきました。では5番目はどこかというと、これは群馬県の富士重工業健康保険組合綜合太田病院、実はここも手当が出来ていたのですが、お医者さんの都合が急につかなくなりまして、これは、今の体制は、スバルですけど、富士重工業の綜合太田病院は、退職予定のお医者さんが当面継続して勤務すると共に、4月から慶応大学より週2回の派遣を確保しましたけれど、ちょっとそれでは分娩を継続して実施するまでには残念ながらいかなかったということで、引き続き再開すべく、県、大学、病院間で今検討中でなるべく早くここを手当てしたいと思います。それから、7つのうちそれで5つ目ですが、6番目と7番目は、これは、後数ヶ月はまだ余裕があるというところなのですが、1つは、長野県の国立病院機構長野病院、それから、静岡県の藤枝市立総合病院。これは、今申し上げたように、もう少し時間が後数ヶ月ありますので引き続き調整をするということで、これは緊急措置ですけれども、とにかく分娩の停止ということがないように研修も行えるようにそこまでなんとか手を打ちました。 それから、先程申し上げましたように、日本産科婦人科学会にこの医師派遣が必要な病院ということを現場に直接聞いて尋ねてみてくれということでお願いしたところ、100を超える病院についてこれは必要であるというようなご報告を頂きました。先程の報告は、4月から分娩休止に至るというようなことで赤信号と申し上げたのですけれども、産婦人科学会のものは、要するに、「今問題があるよ」というところは、とにかく総ざらい挙げてくれということで100を超えるということなのでありますけれども、今日、取りまとめいただいた北里大学の海野教授も10時半からの会議にお出ましになりますので、そこでもご報告があると思います。 そこで関係省庁、それから大学、関係学会等とこれは協力していますけれども、皆さん大変良く協力していただきましたので本当にありがたいと思っております。今後、これは本当に緊急策でとにかく4月に閉鎖しないようにということでやりましたけれども、やはり抜本的な構造的な改革が必要だと思います。それについてもう一つ申し上げたいのは、勤務医の労働条件が非常に過酷であるということで、診療報酬の改定というような形で手当はしたのですが、これは病院にお金がいくが、現場のお医者さんに聞くと自分たちの給料に跳ね返らないという不満が非常に高いのです。これは我々がなぜそれをやったかというと、勤務医の皆さん方の待遇が改善される、そして給料も上がる、そういうためにやっているわけですから、病院の経営者止まりでということは、これはそういう意図ではありません。ですから、病院の経営も考えないといけないのですが、病院の経営者の皆さん方にお願いしたいのは、現場で働いているお医者さんの待遇改善、処遇を良くする。そして、診療報酬が上がった分は、お医者さんにきちんと配分するということを是非お願いしたいと思います。これは、現場のお医者さんの一番の不満なのです。大臣が一所懸命頑張って診療報酬上げてくれても自分たちのところまでいきませんよでは困りますから是非病院の経営者の方々、そこはきちんと対応していただきたいと思います。いずれにしても、これは、産科だけでなく小児科もそうだし、緊急医療体制をどう構築するか、今はとにかく緊急措置をやっただけですから、構造的な改革についてはいつも申し上げているような抜本的な改革に向けて着実に歩を進めていきたいと思います。

質疑

記者:
各社の世論調査で、福田内閣の支持率が大分下がっているようなのですが、これについて大臣はどうお考えでしょうか。
大臣:
いろんな困難な問題も起こっていますけれども、やはり最大の問題は、衆議院と参議院のいわゆるねじれ国会ということであります。それで、今まで経験したことがない、参議院では民主党が多数党であり、自民、公明は少数党であるということが国会運営を非常に難しくしています。ですから、例えば、ねじれていなければ日銀総裁の人事もそれは順調にいっていたでしょうし、それからまた、今問題になっている道路特定財源の問題、その他の日切れ法案の処置、これも全て国会運営が大きな一つの支持率を下げる要因になっていると思います。これは一内閣の支持率云々ということよりも、国民のためにどういう政治をするかということで、与野党含めて国会をちゃんと機能できるような体制というのは、やはり話し合いをきちんとして早急に組むべきだと思っております。
記者:
間もなく新年度なのですが、改革元年にすると前におっしゃっていたと思うのですが、特に、薬事行政に関して、官僚の中でも、薬科大学を出た人ですとか、専門性の高い人がたくさんいらっしゃって、人の入れ替わりがあまりないという問題があると思うのですが、どのようにこのへん改革をしていかれるおつもりなのでしょうか。
大臣:
特に、薬事行政につきましては、先般、薬害肝炎の原告団、弁護団の皆さん方と第1回協議を開きまして、そのフォローアップを行って、3つぐらいの作業部会を打ち立てようということで、今、検討が進んでおります。その一つは、肝炎の薬害の問題についての検証をするチーム、それから、もう一つは、薬事行政全体の薬害再発防止のためにどう立て直すかということを考えるチーム、それから、特に、血液製剤について考えるチーム、これを今、何とか一日も早く立ち上げようということでやっておりますので、そういう過程の中で問題を解決していきたいと思います。そして、今おっしゃった点は、これは薬事行政だけではなくて、この厚生労働省は医系の技官がいたり、今の薬学系がいたりと、いろいろいます。それから、改革のための、大臣に直通するホットメールには、毎日、非常に建設的ないい意見がたくさん来ています。何ページにもわたって、きちんと皆さん、部局と名前を書いて、こう改革した方がいいという前向きな提案が、まさに薬事行政の担当者、これはキャリア、ノンキャリ含めて、きちんとそういうのが来てますので、こういうのも参考にしたい。ホットラインで来るメールの比率からいくと、ノンキャリの方が多いです。したがって、ノンキャリの方々が非常に不満を持っているなと、そういうことを組み入れて、組織全体を変える、人事を変える。本丸に切り込む前に、周辺の審議会とか委員会、こういうところから攻めていくということで、今、既に、審議会その他の人事については抜本的な改革をやっていくと、安易な天下りは許しませんよと、国民が見て不透明であり、不信をいだくような人事はやらないということをやっていますから、それがいずれ本省の大改革につながっていくということです。しかし、過去の反省の上に立たないといけないですから、薬害肝炎の原告、弁護団の皆さんも全部そこに入っていただいて、そして、議論すると、今、こういう体制をやりたいと思っています。
記者:
年金記録問題に関連してなのですが、標準報酬月額を、社会保険事務所の方で主導するなり、指南して、少なくして、双方に利益があるようにということをやったという事例が報道等でも出ていまして、私たちの取材の中にもそう証言している事業主さんがいらっしゃるのですが、このことについて大臣が受け止めていらっしゃるかということと、社会保険庁の中で、その調査等々が進んでいると思うのですが、その現状がわかりましたら教えてください。
大臣:
標準報酬月額を改ざんするというようなことがあって、それは景気が悪い時に、とてもではないけれども保険料が払えないと、そうすると、収納率を上げるためにも、そういう不正を見逃したのではないかという、それで、実名でそういうことをおっしゃった方もおられるので、これは今、調査中です。そういうことはあってはいけないと思いますので。ただ、調査して、そういう件が実際にあるか、特に、新聞に報道されたのは、そういうことをやったというご本人が、それで証拠も出されたわけですが、これは今、調査をして、もし本当にそういうことがあれば、厳重に処分し、対処すると、そういうことです。
記者:
同じく年金問題なのですが、今朝の民主党の会議で、社会保険庁の方から、5,000万件の全体像で、死亡の届け出が出されているのと、あと、それと同一人物、最高齢超の記録を分類し直して、今後新たな給付に結びつくことは皆無ではないが、可能性は低いという分類にしたのですが、それは大臣がおっしゃっていた6割は解明されたということとの整合性はいかがなのでしょうか。
大臣:
それは経緯を言いますと、昨日の参議院の予算委員会で津田弥太郎委員が、この空欄を埋めてくださいということで、既に統合済みのもの、それで、統合する必要があるかどうか不明なものというようなのを書いてこられました。ただそれでは非常に曖昧過ぎるので、むしろ私たちの分類で、解明したもの、解明した中で特別便で送ったもの、今から解明が必要な2,025万件とした。ただ、要するに、死亡したということはもうこれ確定したというふうにみなしているのですけれども、例えば、こういうケースを考えてもらえばわかるのは、80歳なら80歳でお亡くなりになった、しかし、60歳から20年間は年金をずっともらっていましたよと、基本的にはもらう時に裁定をして、きちんと額を確定して、20年間もらって亡くなった。だけど、その裁定の計算の時に間違っていた可能性だってあるわけですよね。しかし、その比率が非常に高いかといったら、比率は非常に低いですよということで、5,000万件のうちの一応どういう理由であったかと解明した3,000万の中に入っているのだけれども、要するに、厳密に100パーセント何もありませんかといったら、そうではないでしょうという感じで、参議院の予算委員会の理事会に出すべき資料にそういうことを細かく書いたので、それはその計算の仕方であり、全く新しい数字ではありません。解釈の仕方で、例えば、2つ年金番号を持っている人がいて、片一方で確定すれば、もう片一方はいらないわけですので、これはもう100パーセントですね。だけど、お亡くなりになったのに、遺族がそういうことをやることを知らないで、ほったらかしていたというケースがあった時は、これは解明しないといけない。だから、全てについて、それは今、届け出をしているのだって、窓口の人がインプットする時に間違う可能性だって人間だからあるわけです。そこまでいっていれば、それも全部なのですが、ただ、物事は優先順位があって、可能性の高いところからやっていくということです。そういう亡くなったけれども、遺族が申し出なかったようなことについても、後で申し出があれば、もちろん調べます。だけど、それを一緒くたに全部計算して、やれ数が増えたというのはちょっとこれはミスリーディングなのです。可能性と優先順位の範囲だと思いますから。おそらく、これは私の想像ですが、昨日はそういう形で整理をして、津田委員のお出しになったものをそのまま出すよりも、もっと詳しく、これはこういうことですよと書いた方がわかりやすいといったことを出したわけですね。だけど、私はこういうことについても、やはり情報管理はきちんとしていただかないと、予算委員会に出せと、理事会に出せといって出すわけですから、それで、まだ予算委員会の中で、これはきちんと議論がなっていないので、国会での議論を中心にすべきだと思っておりますけれども、中身はそういうことです。

(了)