閣議後記者会見概要

H20.03.18(火)09:13~09:24 ぶら下がり

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議で特別な報告事案はありません。私の方から一つ。先日、厚生労働省のコーポレートガバナンスを高める、そして職員の意志を改革するという一環で、我が省のロゴマークを作成したいということを発言しましたけれども、一般公募で行うことを決定しました。ロゴマークの選考にあたりましては、その審査を人生85年ビジョン懇談会のメンバーにお願いしたいと考えておりまして、明日のビジョン懇談会終了後にメンバーにお諮りしたいと思います。それでご了解いただければ、直ちに募集手続きに入り、連休明けくらいまでに案を募って決めたいと思っております。こちらからは以上です。

質疑

記者:
原爆症に関してなのですが、新しい審査の基準が決まりましたが、その直後に原告団、弁護団が強い反発を示す会見を開いたのですけれども、大臣ご自身としては今回の新しい基準に問題はないとお考えでしょうか。
大臣:
これはずっと与党の皆さん方が詰めてこられて、相当原告団の方々ともお話をしたとのことです。それで、新しい認定基準で認められる人は、大体今までの10倍、1,800人くらいになると思います。今回、訴訟なさっている方も相当な数の方がこれで認定されるということですから、最大の問題は、じゃあもう一回認定基準を全部作り直すのかというと、今までのプロセスからいって非常にこれは問題があるし、時間もまたかかってしまうということがあります。ですから、取り敢えず、認められる方は訴訟はなくなるわけですね。残された方々に対してどうするか。これは、4月にまた判決が出るように聞いていますから、そういうのを見据えながら認定基準、これを柔軟に運用するとか、いろんな考えができると思います。そういうことをにらみながら、慎重かつできるだけ多くの人を救いたいという原則は変わりませんからやっていきたいと思います。今回は、厚生労働省が、こうなのでビシッといきますよということであるというよりもむしろ、議員の方々の話し合いによって先にまとめられた案ですから、そのことも踏まえた上で、ちょっと肝炎対策の場合とは違ったアプローチが必要かなと思っております。ただ、できるだけ救いたいということで、知恵を働かせていって、今後引き続き、ご高齢になっておられますし、時間の限りもありますから、そういう観点から対応して参りたいと思っております。
記者:
判決を踏まえて柔軟な運用もあり得るというのは、随時認定の見直しも考えるということでしょうか。
大臣:
いや。例えば、いろんな病気、これを原爆症の関連で認めるかどうかという議論があります。だけど、特定の疾患の名前も挙がっていますけれども、総合的に判断することができると書いてあるわけですね。だから、明確に白血病であるとか、そういうのでなくても今回のこの見直し案というのは、総合的な判定によって認めるというのは可能ですから、そういうことも踏まえて。4分の3くらいの方が認定で救われるわけです。そうすると訴訟をどうしても続けないといけない方というのは4分の1くらいですから、そういうことも勘案しながら、運用ということもあり得る。というのは、認定基準を根本的にもう一度見直すというのは、これまで一所懸命積み重ねてきたことが、灰燼に帰すことにもなりかねない。だから、前向きに今のような条項、つまり総合的な判断を使ってできるのではないかと今考えております。
記者:
原告の中には、訴訟で勝訴しているのに今回の認定基準から外れてしまう人が出てくるのではないかと。そうすると、ダブルスタンダードになってしまう可能性もあるという指摘もあるのですけれども、大臣それについては。
大臣:
それは非常に前からそうだったので、例えば、今度新しくできた認定基準の方がより厳しくなっている人がいます。昔の基準だったら救われるのに、今度の基準だと救われないという方が出てくるわけです。だから、一つの基準を決めてしまうと、プラスマイナスあるわけです。それと同じで、今度は司法の判断と、議員の方達がおまとめいただいて政府与党でまとめた今度の認定がずれてくる問題がある。これをどう解決するかというところにやはり政治の知恵が働かないといけないので、そこはやはり政治家としての決断が必要だと思いますから、私もその形の決断をやるか、しかし、その前にやはり与党の、一所懸命まとめてくださった議員の方達と相談をしてということになると思います。
記者:
今後政治的なそういう決断とかも。
大臣:
少し状況をみて、またいろいろ話し合いを重ねながら。おっしゃるように、勝訴しているのになんで救われないのだというのは本当によく気持ちは分かりますし、もうお年も召されていますし。どういう形でそれを救えるのか。なんとか救いたいという気持ちで頑張ってみるということです。
記者:
聴覚障害者の手帳が不正にちょっと取得している可能性があるということで、今新聞に出たりして、障害年金も中には取得していた人がいると。実際、耳が聞こえるのにということがあって、非常に制度の根幹を揺るがすようなことになっているのですが、大臣の受け止め方と今後の対策、厚生労働省としてできることが何かあればお聞かせ下さい。
大臣:
社会保障というのは、皆の税金でやっているわけですから、厳格にルールに基づいてやらないといけないので、不正があってはいけない。この前の介護タクシーを使って札幌まで往復何億というお金の問題もありました。こういうことがあってはいけないので、それはきちんとやはり指導をして見直していきたいし、処罰すべきは処罰するという形でやっていきたいと思います。納税者の立場から見た時に制度がきちんと運用されていなくて今おっしゃったような話とか、さっきの介護タクシーの話とか、そういう不正があれば制度の根幹に関わりますから、それはきちんとやっていきたいと思います。
記者:
どこに問題があったと思っていますか。
大臣:
それは少しよく調べてみないと分からないと思いますけれども、現場の窓口での対応が悪かったり、それは現場は地方自治体ですから、そこに我々も指導していくし、現場もしっかりやってもらわないといけないし、そういう意味で少しこれは根本的な原因がどこにあったかみて、また判断したいと思います。
記者:
年金問題ですけれども、3,000万件は大体解明されたというふうに大臣おっしゃっていましたけど、その点、死亡とかで解決していないものがあるのではないかと野党側が主張していますけれども、そのことに対してどうお考えですか。
大臣:
これはもういろんな問題が出てくると思います。ただ、基本的に裁定が終わっている。例えば、亡くなった方がおられて、それは例えば、75歳で亡くなったとしますね、そうすると60ないし62、3でもいい、とにかく年金の認定の時に裁定をしているわけです。ちゃんとチェックしてこれでやりますよということでスタートしたわけですから、論理的に言えば無いはずなのです。しかし、どこかでミスがあるかもしれない。だからそれを言い出すと全てもう一回見直さないといけなくなります。それはしかし、引き続き努力はしていきます。そのために年金の特別チームを作って、そういうことも含めて全部検討はします。だけど、優先順位があるので、どこから始めるのが、一番多くの人を救うことができるのかということからいかないといけないので、そうすると今の優先順位だろうと思います。だから、コンピューターで名寄せをした人達、それからねんきん特別便を送る人達、今亡くなっている方々は、基本的に裁定が終わっているからそこできちんとチェックしている建前になっている。それだってミスがあるかもしれない。しかし、これはもっと先にやることがあるという優先順位を付けているのです。あらゆるそういう問題に対して疑問に答えられるように、年金の特別チームが今全部調査をしているというところです。
記者:
医療メディエーターについて、以前、お話しになったことありましたが、今月の20日に協会が立ち上がって育成とか認定の制度ができるのです。その協会に期待されることがあればと、もし厚生労働省の中で検討が進んでいるのであれば、どういう状況か教えて下さい。
大臣:
外でそういうメディエーターの協会を作られるということは、医療崩壊といわれているような状況に対する一つの答えとして大変ありがたいし、連携して進めていきたいと思います。お医者さんの話を聞くと、「訴訟リスクでもうとにかく大変だ。」という話ばかりです。しかし、国民の側、患者の側から見ると、どうもお医者さんは信用できないなとなる。この間をつなぐ、つなぐ人は素人ではなくて、やはり病院の経験があって、よく分かっておられる方、別にお医者さんを免罪するためではなくて、本当に患者さんと医療提供者側との間に立って、しかもチームをもって、それで取り組んでもらうということは、訴訟リスクを恐れるお医者さんにとっても、患者さんにとってもいいことなので、こういう一歩一歩の皆の努力の積み重ねが新しい医療体制を作ると思います。横文字でメディエーターというのは何て訳せばいいかと思いますけれども、要するに、患者さんとお医者さんの間をつなぐ努力をして下さる人、それの一つの協会ができてやられるということは、これは連携して頑張っていきたいと思います。
記者:
原爆症で今回、原爆投下後に市街に入った人達にも認定の道を開いたということは大きいと思うのですけれども、それはつまり、厚生労働省として残留放射線の影響を認めるということでよろしいのですか。
大臣:
だからもう科学的知見に則って基本的には言っています。しかし、科学というのは神様ではないわけです。だから、個人差によって、例えば、半径3.5キロなのか、じゃあ3.6キロだったらどうするのか、1時間以内に入った人と、じゃあ1週間後に入った人は残量放射能がどうであるかというのは、それは正確には出ないと思います。人間の体は正確には分かりません。だから、そうではなくて、原則的に今本当に苦しんでいる人を救うという前提に立った時に何ができるかという発想でいきたいと思っていますから、そこはそういうことだとご理解下さい。

(了)