閣議後記者会見概要

H19.12.24(月)10:39~10:59 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
閣議の報告ですけれども、独立行政法人の整理合理化案についての会議が閣議前に行われまして、これは既に皆さんご存じのとおりの案が了承されました。閣議は、特別に強調すべきことはございません。

質疑

記者:
予算案に関連してなのですが、例の社会保障費の2200億円の圧縮でなんとか政管健保の肩代わりとかでなんとか今年は暫定措置としてやりくりした形ですが、それについての評価を。
大臣:
片一方では、やはり効率化ということはやらないといけない。しかし、社会保障、例えば、医療にしてもそうですけれども、これに対する国民のニーズが非常に高まっています。そういう中で、今年度は薬価の引下げと今の政管健保の上手な話し合いということでなんとか切り抜けたわけですけれども、やはり非常に限界に来ているなという感じがしますので、消費税含めての税制の議論もきちんとこれは避けないでやった上で、そして来年度に向かってどういう社会保障像を描き、そのコスト負担をするかはやはり考えないといけないと思います。社会保障の在り方を検討する国民会議というのも総理の主導の下に打ち立てられましたので、こういう中できちんと議論をしたいと思っています。私の方でも、一つは、人生85年ビジョンの懇談会を既に始めました。それとともに、近いうちにこの日本の医療をどうするか、医療についての長期的なビジョンを作る会議も私の下で近々始めたいと思っています。こういうところで国民的な議論を巻き起こした上で、例えば、お医者さんの数というのは本当にどれくらい必要なのだろうか、どういう医師の養成をすればいいのだろうか、こういうことを総合的に判断して、国民にとって一番大事なこの社会保障についてきちんとした答えを出していきたいと思っています。
記者:
肝炎の問題なのですが、今後法案にどう国の責任を明記するかというのが一番の問題になると思うのですが、原告側は法案に責任を明記して欲しいのが一番ではあるけれども、その前にその土台となる基本合意というのを国との間で交わして、そこで入っていればそれでもいいような話を言っているのですが、その基本合意というのを取りまとめるというか、そういうのを作るお考えがあるのか、ちょっと議員立法なので聞きづらいのですが。
大臣:
少し問題の整理をしないといけないと思います。一つは、大阪高裁での和解は、まだ着々と進んでいるわけです。ですから、20日の決定も大阪高裁の線に則って、ルールに則ってやったわけです。そしてまだこれは現に動いていて、昨日あのように総理の政治的なご決断があった。それを踏まえて大阪高裁がどういう和解案を提示なさるのか。これはこれできちんと待たないといけないし、我々だけではなくて原告の皆さん方もそれをお待ちになっている。ここの場をどういうふうに活用して、例えば、今おっしゃった基本的合意のようなものをそのルートに基づいてやるのかどうか、これも一つきちんと議論をして、整理をしないといけないと思います。片一方で、司法、行政の枠を越えて立法府でやるということであれば、司法の裁量権の範囲を超えるということにもなります。これは例えば、違憲立法審査権についていろんな判決が過去ありましたけれども、そういう司法の裁量権の範囲ということもありますので、これは少し大阪高裁の動きを見た上で、そしてまた、立法府の方の議員立法の動きを見た上で、総合的にどういう案がいいのか、これは総理、官房長官とご相談をしながら決めていきたいと思います。ついでに申し上げると、法律を作るのは立法府の仕事なので、基本的にはそちらにしっかりやっていただきたい。ただ、我々としてできるだけのサポートはこれはきちんとやらないといけないと思っています。そして、精神というか哲学というか決意というか、それはやはりこの再度、薬害を発生させたということに対してやはりこの反省をきちんとしてそして、二度とこういうことを起こさせないんだという決意がきちんと貫かれたような法律であって欲しいなという気はします。最終的には、立法府の仕事ですから、そういうことを前提した上でそこまで申し上げておきたいと思います。
記者:
今のお話なのですが、反省を、二度と起こさせないという決意はきちんと貫かれた法律であって欲しいということですが、その前段には責任を認めて反省することが一つだと思うのですが、その責任という部分について法案の中に明記すべきだとお考えでしょうか。
大臣:
それは何度も申し上げているように、私がこうすべきだとかすべきでないと言うわけにはいかないので、基本的には立法府の仕事ですけれども、ただ、先程記者の方からもご発言ありましたように、いろんな形での基本的な合意であるとか、それから政府声明であるとか、法律であるとか、いろんな形の手法はあると思います。しかし、基本は、二度と起こさないんだ。反省すべきは反省し、謝罪すべきは謝罪し、償うべきは償って、二度とこういうことを起こさせないんだ。ずっと私は一貫して申し上げてきたことですから、それはやはり今度は、内閣が作る法律ではありません。しかし、敢えて今の私の気持ちをいえば、そういう精神が貫かれて欲しいなという気はします。これは与野党の皆さんが協力して是非そういうものを仕上げていただきたいということで、後は、私がさしでがましくこうすべきとか、こうしてはいけないとか言える立場にはありませんが。ただ、法案作成についてできるだけのサポートはいろんな意味でいたします。
記者:
閣議の後に総理とお話しされたということなのですけれども、改めてどういう指示があったのでしょうか。
大臣:
総理は、閣僚の皆さん方にこの決意に至った経緯をきちんとご説明をなさって、そして、立法府の仕事であってもやはり政府与党きちんと協力してやらないといけない面があるので、引き続き努力をせよというご指示でありました。それはきちんとお受けして、今後もしっかり対応いたしますという答えです。
記者:
先程、医療の長期ビジョンの会議というのは、具体的にもう少しどんなイメージなのでしょうか。
大臣:
実を言うと、年金も肝炎もいろんな問題もそうなのですけど、今、目の前にある大きな問題を一つ一つ対応していって、全力を挙げてそれをやっていますが、しかし、やはり長期的なビジョンがあって初めて目の前の短期的な問題にも対応できる。ですから、先般、人生85年時代のビジョンの時に申し上げましたように、例えば、まさに今日、独立行政法人の改革が決まる、そこは天下りの問題が非常に大きい、じゃあ天下りということを考えた時に、人生60年時代で定年退職60歳ということなのでそういう問題が起こってくる、そうすると、人生85年時代で新しいビジョンを作れば、迂遠のようではあるけれどやはり今の直面している問題にも対応できることになる。また、例えば、お医者さんの数というのは、10年がかりで養成するのですが、もう医者が余ってしょうがないというのでこれまで抑制してきたら今度は足りなくなる。一方、歯医者さんの方は多いくらいなのです。そうするとやはり、長期的にどれくらいお医者さんの数があればいいのか、そして、この医療体制は、例えば、国民の皆さんに努力をお願いするとすれば、まさにメタボリックシンドロームではないですけれども、こういう点はどうだとか、いろいろあると思います。それで今私が考えているのは、日本でいえばやはり江戸時代の経験、それから、ヨーロッパの経験も非常にあります。そういう諸外国の歴史や体験というのをまさに長期的に哲学的に見てみる、ですから、ここには歴史学者の方にも来ていただいて、お話を賜りたい。一つのポイントは、人文科学全体の広い識見からこの問題を考える。まさに哲学とか歴史とかそこに入ってきます。それから、もう一つは、現場重視で、例えば、研究会をやるんだったら、私もできるだけ参加しますけれども、3回に1回くらいは現場を見てみる。今医療現場がどうなっているのか、それから、介護の現場がどうなっているのか、生の声を聞いて、その現場を見るという作業が非常に少なかったので、それを入れて、年明け早々にやりたいということで今メンバーの人選、そして、どういう形で現場を見るか、それを一所懸命詰めているところです。
記者:
大臣の諮問機関みたいな形になるわけですか。
大臣:
ちょうど人生85年ビジョンと同じような位置付けにしようかなと思っています。私の直属でやります。
記者:
メンバーとしては、そうすると歴史学者とか哲学者とかを。
大臣:
パーマネントのメンバーで入れるかどうか、パーマネントのコアは非常に少ない方々で良いと思うのです。そうしないとその人達の意見になってしまいます。むしろ、例えば、今日は、フランスの中世の医療の問題から見てどうかということなら、その時はフランスは中世の歴史の専門家を呼ぶ。日本の江戸時代の医療で、例えば、貝原益軒の養生訓みたいな話はどうなのかとなったらその専門家を呼ぶということで、むしろそのメンバーを余り固定しないでお招きしてというような案を持っているので、今それを具体化している最中です。
記者:
肝炎の和解協議が始まった頃に、大臣はできれば11月中に解決したいということをおっしゃっていて、その後、できれば年内にというご発言もあったと思うのですが、大臣お一人で解決できる問題ではないですし、一所懸命やられた結果だとは思うのですが、結果的に年内までに訴訟の解決ができないとなると、当事者の方とか、あるいは国民の方は、どうしても約束を言った期限までに間に合わなかったと感じることがあると思うのです。ですから、そういった先のいつまでにということを積極的にお話しされることとか、肝炎の問題が年末になっても片付いていないということについてどういうふうにお考えでしょうか。
大臣:
これはいろんな政治手法があると思います。そして、今おっしゃって下さったように、私一人でできるわけではありません。いろんな援軍も必要です。その時に、根回しをしていって、次は法務省、次は官邸と根回しをする。それから、原告側の皆さん方のお声も聞くといって、それで全部コンプリートになって、はい、じゃあ1月までとかいうことも可能なのですけれども。これはいろんなご批判もあることも十分分かっていますけれども、ある意味でこの若干孤立無援的になったり、いろいろ壁があった時の、私は一つのやり方として、自分の決意を含めてどうしても11月中にやりたい、そして年内解決を目指したいという言い方をいろんなところでしました。しかし、それをやることによって少しは進んだ面もあると思うのです。他の問題についてもそうなのですけれど、例えば、この投薬証明がなくてどうしても救われない方とか、それこそ入れ墨でなった方もおられる、350万人おられる、こういう方をなんとか全体的に救わないといけない、それでちょっと先走って7年計画をやりますということを申し上げた。それはその時もご批判はありましたけれども、大臣言ってしまったなと、あいつは勝手でああいうことを言うのだけれどもしょうがないなと言ってついてきてくれたところもあります。ですから、いろんな手法がありますが、私は軽はずみに言っているということではなく、むしろ目標を設定してそのために自分も全力を尽くす。ですから、どうか今反対している皆さん方も賛成してもらいたいという思いが実はあって、計算して言っているわけではありません。そういうことで一所懸命頑張ってきましたけれども、それならできると、例えば、原告の皆さん方が期待されてそれを裏切られたなって感じられるのは非常によく分かるので、それは申し訳ないと思いますが、敢えて言えば、そうしてある意味で目標を掲げてそれに向かって全力を挙げるということ、それで少しは事態の打開に役に立ったのかなと、反省も込めまして思っております。例えば、この問題もいや法務省との話がまとまらないと駄目です、総理官邸との話がまとまらないと駄目です、こういうのを全部やるまでいつになるか分かりませんということになると、こちらもいいや、いつになるのか分からないのだからゆっくりやる、ということになりますが、やはりこれは年内になんとか解決したいということを、その段階では。例えば、11月中というのは、ほぼ11月中にいろんなことがまとまるだろうとある意味で頭にあって申し上げた。12月中にって、これからまだ立法作業でそれは超スピードであと数日しかありませんが、これで法律が通過すれば一応年内になるわけです。だけどもうここまでくれば、まだまだ乗り越えないといけない障害はありますけれども、臨時国会ですから、1月中旬までになんとかできるかな。ですから、本当にそういう意味で過剰な期待を持たせて皆さんに失望させたということはそれは非常に申し訳ないと思っていますが、なんとか前に進ませたい、そのための一つの手法としてやったということもありますので、是非ご理解いただいてなんとか一日も早く良い結果を出したい。引き続きまた努力をしていきますのでよろしくお願いしますということです。
記者:
肝炎の国の責任について先程、二度と薬害を起こさないという決意がきちんと込められたような法律であって欲しいという言い方をされましたけれども、原告側が言っている基本合意というのは立法だけの問題ではなくて行政を含めた基本合意を指しているのだと思うのですが、厚労省としてはどういう姿勢で臨むのでしょうか。
大臣:
それはやはり総理もこの問題について全面的に解決したいというご指示でありますから、それはきちんと原告の方々とも話をして、ここまできましたから、それで、私がずっと申し上げているように、またこの問題を起こしたというのはきちんと反省をしなければならない。謝罪すべきは謝罪する、償うべきは償う。これは一貫して申し上げてきましたので、そういうことをきちんと盛られた形にしないといけないなと思っておりますから、これは必ず合意に達することができる。また、その時に必要な指導力を発揮したいと思っております。
記者:
基本合意の中に国の責任を明記するということで良いのですか。
大臣:
細かい点はどうするかということですが、今、私が申し上げたことがきちんと実るようにというように思っております。
記者:
おそらく議員立法であれば、線引きせずに一律で特別給付金などが支給されると思うのですけれども、やはり政府案としてはそこまで行くのは難しかったのでしょうか。
大臣:
何度も申し上げているとおり、大阪高裁の和解提案に対して、それぞれ案を出しあってやっていくという土俵の上でやるしかありませんでしたし、その中で最大限やった。そして、何兆円も掛かるという話に対しては原告の方々も1,000人ですよという数字を出していただいた。それならばその枠であればこうだという数字を出した。私は司法、行政のルールに則ってやるのであれば、あれで最大限だったと思っております。それで今回、それを乗り越えるという本当の意味での政治判断ということになるのだろうと思います。
記者:
年内にねんきん特別便の発送が始まったんですけれども、年明けから重点的に取り組む作業と全面解決に向けた意気込みを伺いたいのですけれども。
大臣:
第一次名寄せの結果を少しずつ発送してます。これは続けていきます。それから第二次名寄せも平行して行いますし、例えば、どうしてもそれでも見つからない方は台帳を見て見つかるケースもありますから、台帳にあたって、あらゆる手段を使って国民のご理解もいただいて行っていくということで、経過を着実に報告して行っていきたいと思っております。少なくとも一月に一回は今の進捗状況をお知らせして、何が困難で、何がすぐできる話か、そういうこともきちんと行いたいと思っております。その過程でみなさんのご意見も国民の皆さんのご要望も賜るということです。今度のねんきん特別便に対しても色々と分かりにくいことがあればそれは改善していきますので、そういう思いでこの問題にも真摯に取り組んでいきたいということでございます。

(了)