川崎大臣記者会見概要

H18.07.27(木)13:30~13:47 省内会見場

広報室

会見の詳細

米国産牛肉の取扱いについて

大臣:
米国産牛肉の取扱いにつきまして、先ほど、厚生労働省内の会議、それから、農林水産省におきましてのBSE対策本部決定、これは宮腰副大臣から私にご報告がございました。両省の意見が揃い、それを受けて、中川大臣は海外出張中で、私が農林水産大臣臨時代理でございますので、最終決定をさせていただきました。それを受けて、先ほど、官邸の方にご報告をして、発表とさせていただきます。米国産牛肉については、本年1月20日以来、輸入手続を停止し、その後、再開に向けた措置を進めてきたところでございますが、6月24日から7月23日まで実施された米国における現地調査を踏まえ、輸入手続きの再開を認めることとし、本日、農林水産省と連名で、輸入再開を決定した旨、米国政府に対し通知することといたしました。1月20日の脊柱混入事案発生以来、米国側に対し、原因究明と再発防止策を求める一方、本事案が、米国側の輸出プログラムの信頼を損なったものであることを重視し、4月、6月には、それぞれ全国10か所で意見交換会を実施し、国民との意見交換に努めてまいりました。このような手続きを経る中で、政府としては、米国側との協議等を通じて、輸入手続再開前の現地調査の実施、対日輸出製品リストの作成及び日本側への提供、米国による抜き打ち監査への同行、輸入時検査の強化等、国民の皆様から頂戴したご意見を反映したところでございます。6月から先週末まで行った輸入手続再開前の現地調査においては、米国側の対日輸出プログラムの遵守体制を検証し、35施設中20施設においては問題は発見されなかった。また、指摘事項があった15施設のうち、13施設については、本日までに改善がなされ、企業合併によりマニュアルを大幅に変更中の1施設は、米国が査察を行い、日本が確認するまでの間は、対日輸出リストに掲載しないこととし、また、対日輸出認定前にと畜された牛肉を輸出した1施設については、内容に問題ないことを確認いたしましたが、念のため、本来常駐しない米国農務省の職員を、一定期間常駐させ、監視を行うという条件付き認定という扱いにいたしたところであり、輸入手続再開の対象は、したがって、35マイナス1で34施設となります。一方、昨年12月12日から本年1月20までの間に、米国から輸出された未通関牛肉等は、米国側調査で問題がなかったとされ、日本側現地調査でも問題がないことを確認いたしましたが、念のため、今後新たに対日輸出される牛肉等について、一定期間問題がないことを確認の上、輸入を認めることとし、その際、輸入業者の協力を得て、全箱を開梱し、SRMが含まれていないことを確認する。本日、輸入手続を再開することといたしましたが、今後とも、米国側の輸出プログラムの遵守状況の検証を継続することとしており、日本側では、定期の現地査察の実施、米国側の抜き打ち査察への同行及び輸入時検査の強化を行うこととしております。特に、本日より、輸入業者の協力を得て、当面、全箱を開梱の上、確認することとし、検疫所長に対して、その旨指示をいたします。一方、米国側においては、今後6か月間は、輸出プログラムの改善及び実施の検証期間とすることとし、調査対象35施設以外の新たな施設の対日輸出認定は行わないことといたしました。なお、香港、台湾における骨片混入事例については、米国に確認したところ、米国と香港、台湾との間において、骨片の取扱いについて、あらかじめ決められておらず、特定危険部位ではないため、両国とも当該施設からの輸入停止にとどめておりますが、我が国と米国との間では、これらのような骨片混入については、従来から問題ないものと扱っており、この間の協議において、その取扱いを再度確認いたしました。最後に米国産牛肉に関しては、この間継続された一連の措置、例えば対日輸出適格品リストの提供、農務省職員の研修の強化等も含め、対日輸出プログラムが遵守される限り、安全性が確保されることが可能と考えており、米国側において、確実に対日輸出プログラムが遵守されるよう対応することが強く望まれます。我々としても、現地査察、輸入時検査等を適切に実施し、その結果を情報提供することとし、国民の不安解消に取り組むことといたしております。以上のとおり、政府としては、国民の健康確保と国民の不安解消を最優先として、必要な手順を確実に積み上げ、本日に至ったものであります。今後とも、米国産牛肉を含めた食品の安全確保対策に全力を尽くしてまいりたいと考えております。農林水産省で付け加えることがありますので、宮腰副大臣から付け加えます。
農水副大臣:
輸入牛肉再開につきましては、ただ今、川崎厚生労働大臣並びに農林水産大臣臨時代理の方からご報告があったとおりでございますが、私ども農林水産省におきましては、厚生労働省と共同で行いました対日輸出認定全35施設に対する調査に加えまして、独自に7月6日から7月23日まで農場及び飼料工場における生産記録の受け渡し、及び飼料給与実態等を確認するために、農場5施設、飼料工場2施設及びレンダリング工場1施設を対象に現地調査を行って参りました。そのご報告を簡単に申し上げたいと存じます。
その結果、1つには、調査の対象となりました全ての農場におきまして、牛の生年月日が適切に記録され、伝達がされていることが確認をされまして、輸出プログラムで求められております月齢確認が農場段階で適正に行われていること。2つには、調査の対象となった農場、あるいは、飼料工場、レンダリング施設におきまして、米国における飼料規制への違反がないことが確認されております。その結果、対日輸出認定施設におきましては、一部調査結果を踏まえ改善を求めている施設はあるものの、その他の施設につきましては、対日輸出プログラムが遵守されていることが確認されているとともに、農場等において適正に月齢確認が行われていること等が確認されました。その点だけ付け加えてご報告をさせていただきたいと思います。
大臣:
すなわち12月12日の日米間の合意の時点に戻ったことになります。従いまして、両省といたしまして、15時には食品安全委員会に今回行った処置についてご報告を行うということになります。手続きとしては、米国への、これは場所は農林水産省で行いますけれども、大使館を呼んでの連絡というのですか、通告と言いますか、それと食品安全委員会への報告というものをもって、一応手続きは終わることになります。

質疑

記者:
各紙の世論調査では、依然この牛肉の再開ということについて厳しい見方があるようでして、食べたくないという数字が7割くらいにのぼるという点があります。その点を含めて、大臣どのようにお考えになるかということをまずお聞かせ願いします。
大臣:
これは、国会の答弁でも、また昨年の12月時点でも申し上げてきていますとおり、食品安全委員会で様々な議論をいただき、その答申を受けて科学的知見に基づいてやらせていただく。したがって、こういう対応をすれば間違いがないであろうということで、12月12日の合意になったわけでありますけれども、残念ながら、アメリカがその約束を守れなかったということから、1月20日に輸入を停止し、早いという見方と随分時間がかかったなという見方といろいろあると思いますが、私どもは、順々に、順々に、そして、米国側との協議も5回にわたったでしょうか、そして1ヶ月間の査察というものも含めて今日まで議論を重ね、検証を重ね、そして日米間の1つの合意に戻ったということでございます。そういった意味では、国民の皆さん方に安心をしていただきたいというメッセージを両省ともしっかり出して参りたいと思いますと同時に、一方で不安が残るという声もあるわけでありますから、12月の12日の時点とは違う処置、すなわち、全箱を調べさせてもらう、日本側の対応は強化した。アメリカはある意味では、日米合意に基づいて同じルールについてもやるけれども、日本側の対応は、より強いチェックを行うということにさせていただいたということでございます。あとは、これはもちろん様々なルール、これはアメリカ産の牛肉ですよということが日本の方々に分かるようなシステムを少しずつ構築していく。もちろん、直接買われるものについてはそうでありますけれども、加工品等についても業界の皆さん方に、これは農林水産省の指導になると思いますけれども、話をしながら、情報開示というものがなるべく進んでいくような方策をこれから詰めていくということになるだろう、また要請していくことになるだろうと思っております。
記者:
もう1つ確認します。違反が起きた場合の対応についてですが、1月20日の対応については、米国側からは過剰ではないかというような意見、国内では結構ありました。それについて、半年経って総括してどのように思われるのか。そして、今後の対応なんですけれども、また再び同じような違反があった場合について、これはどのようにお考えになるのか。
大臣:
12月12日に始まったときに、両大臣、中川大臣も私もそうだったが、どういうことが起きたらどういうことをしようということは考えていたわけではありません。ちょうど1月20日、参議院の本会議場でしょうか、本会議場に入る寸前に二人がメモをもらいまして、お互いに厳しい決断を下さなければいけないなという中で、別れまして、その後電話で、やりとりをする中、やはり全面的に停止ということを二人で決めました。今後どういう事案が起きるか分からない。我々はないことを願っていますし、ないようにやれるんであろうという思いはあります。しかし、一方で全くないのかと言われれば、それは、お互いに人間がやることでありますから、したがってその際に、どういう決断をするかというのは、トップに立つ者がしっかり見ながら判断をしていかなければならないだろう。今から、去年の12月もそうですが、どういう判断をするかということについて、あらかじめこうやって決めておくということではなかろうと思っております。
記者:
同じような違反があったら全面停止はあり得ますか。
大臣:
今回としては、100%同じならばそうでしょね。私の決断としては。
記者:
今おっしゃった違反が起こった場合の対応なんですけれども、当初、米国と日本の間で明文化しよう、こういう場合は止めて、こういう場合は止めないとうのをルール化しようというお話があったと思うんですけれども、結局、そういうのはなくなってしまったんですが、ルール化の是非について大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
というよりも、そこまでルール化していなくても、我が国のリスク管理機関で判断を致します。正直言って、アメリカに言われることではないと私は思います。少なくとも、あの時はアメリカに相談したわけでもない。両大臣が責任を持ってやった。いろいろな意味でのご意見はあったけれども、私と中川大臣が採った全面停止ということは間違っていないと今でも思っております。
記者:
大臣では、輸入が再開された場合に、アメリカ産牛肉が食べたいですか。
大臣:
私ですか。立場上、食べます。
記者:
食べたいわけではないという。
大臣:
私の地元は松坂肉の産地なのでね。あまり大きな声で、川崎さんが米国産ばかり食べているという話が出ると困るし。だけど、立場上食べます。
記者:
今、冷凍庫にある牛肉を一定期間置いてから流通させるということなんですが、今でも別に全部検査をして、安全が確認されれば別にできると思うのですが、業者の方からはそういう経費もかかるし、損害も膨らむという批判もあるようなんですけれども、それについてはどのように思われますか。
大臣:
自民党の議員の方々から、事前査察という行為を今回初めて行った。その検証の結果、問題ないねということで入ってくるのだろう。これについては、100%信用する。しかし、100%見ているわけではない話のやつだねと、議論としては。しかし、私どもは、決められたルールでやってきたのだから、大丈夫です。またそれに基づいて1月20日までは、入ったお肉は流通しています。だから、大丈夫です。こういう議論をしてきたのですけれども、しかし、今回がやはりルールに基づいたものが、アメリカが誠意を持ってきちんと守っているのかということ、もう1つの信頼の、先ほどから出ているいるように、少しみんな国民が思っている中で、その信頼を得るためには、少し様子を見てくれないかという要請もございましたので、私ども最終的に、それでは米国側がきちんと約束を守って、このルールの中で動いてきているという中で、機を見て、我々は問題がないと考えているけれども、しかし我々も全箱調べるよという新しい処置も加えていますので、そういう意味では二重・三重に、念には念を入れた上で、国内に出荷するという手続きに入ろうということで、念には念を入れた処置というふうにご理解いただければ有り難い。
記者:
今回と100%同じなら、全面停止されると先ほど大臣のお言葉ですけれども、つまり、特定危険部位の混入が見つかった場合は、全面停止するという理解でよろしいですね。
大臣:
そうですね、私の責任も重いと思っています。それだけ、6か月間詰めていて、同じことが起きてしまったら、大臣お前何をやっていたんだというご批判をいただくことは間違いないと思っていますので。そういう意味では、今日の決断というのは、私の責任は、極めて重いと思っております。
記者:
これは、直近かどうかに関わらず、時期についてはこだわらず、そういうご判断があり得るということですか。
大臣:
ありますね。私の立場としてはね。
記者:
ここまでやって、また同じようなことが起こるという場合、日本政府の責任も問われることになると。
大臣:
だから、私の責任は問われると思っています。
記者:
昨年12月は、事前検査しなくて、今回事前検査に行って、35のうち15で発見されましたよね。去年、やはり、そういったことを調べておいた方が良かったと思いませんか。
大臣:
まあ、様々な議論の中で、より確度を高めた方がいいんだろうと。例えば、私どもが、去年からやってきた、まさに検査という1つの理屈の世界の中で、このぐらいのロットを調べれば、大体大丈夫ですというのがある。しかし、そういう答弁したけれども、全部調べろと私が逆に命じたわけです。それはやはり、先ほどから出ています、我々は大丈夫だと思うけれども、国民はどう考えているんですか、ということがありますので、そこは最終消費者である国民の声というものを聞きながら、より重ねてのチェック機能を設けたということです。そういう意味では、今回の査察、事前に全部見に行こうというのは、国会の中での議論なり、また様々なところの議論の中で、やはり事前に見ておくべきだと。いや、我々は、こういうルールでやっているから、大丈夫だと思うし、アメリカを信用したいと言い続けてきたけれども、まあそうは信用するなというのが大勢の声だと思うから、敢えてやらしていただいたということです。
結果としては言われるとおり、問題が出てきて良かったと思いますよ、国民の声が正しかったかもしれない。

(了)