閣議後記者会見概要

H18.05.30(火)09:22~09:44 参議院議員食堂

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は、インフルエンザ(H5N1)を指定感染症として定める等の政令及び検疫法施行令の一部を改正する政令、それから、前にもこの場でお話し申し上げました予防接種法施行令を改正するということで、単味でもできるということでございます。閣議では、防衛庁長官から、在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組についてご発言がございました。同様の主旨で、外務大臣及び沖縄担当大臣からご発言がございました。それから、国土交通大臣から、17年度首都圏整備に関する年次報告について、環境大臣から、環境白書について、それから、総務大臣から、労働力調査結果及び家計調査結果について、ご発言がございました。私の発言は後でまとめてお話しします。それから、憲仁親王妃久子殿下のドイツ国御旅行について、それから、食育月間について、担当大臣からご発言があり、同様の主旨で文部科学大臣、農林水産大臣、食品安全担当大臣からもご発言がございました。それから、平成19年度に日本学術会議が共同主催する国際会議について、科学技術政策担当大臣からご発言があり、豪雪地帯における安全安心な地域づくりに関する懇談会について、北側国土交通大臣からご発言がございました。それから、私の方から、まず、有効求人倍率(平成18年4月)が1.04倍と前月比で0.03ポイント上回りました。総務大臣のご報告も含めて雇用失業情勢は、厳しさが残るものの、改善が進んでいると、いつもと同じ見解を示しております。いずれにせよ、少しづつ良くなってきておりますので、前から申し上げているとおり改善が少し遅れている地域について、予算執行面でできるだけの配慮をしてまいりたいと思います。それから、新型インフルエンザ対策について、本日の閣議でインフルエンザ(H5N1)を指定感染症と定める等の政令及び検疫法施行令の一部を改正する政令を決定しました。現在、世界的にはH5N1の鳥インフルエンザの患者発生が拡大しており、トリからヒトへ感染しやすくなってきていると考えられ、ヒトからヒトへの新型インフルエンザの発生が懸念されているところであります。そこで現時点では、ヒトからヒトへの感染の流行が始まる段階ではありませんが、これに備えて事前予防に万全を期す観点から、迅速なまん延防止対策をとれるよう法的な体制を整備するため、インフルエンザ(H5N1)を指定感染症及び検疫感染症として政令において指定しました。今後、検疫において入国者の健康診断等を実施することによる水際対策、患者の入院等の措置による国内のまん延防止の対策の強化を図ることになります。この新型インフルエンザというと、風邪と間違えられますが、風邪ではございませんので、暖かくなっても全く関係なし、したがって、今後、十分注意をしていく必要があるということでございますので、国民の皆さん方にもご理解を賜りたいと思っております。それから、世界禁煙デーということで、来る5月31日は、世界保健機関(WHO)が定める「世界禁煙デー」でございます。WHOでは、毎年この日一日、喫煙者に対してたばこを吸わないよう促すとともに、人々がたばこのない生活習慣を身に付けられる社会が実現するよう、世界中に呼びかけることとしております。本年のWHOのスローガンは「たばこ:どんな形や装いでも命取り」と、なかなか厳しい評価ですけれども、そういうことでございますので、ご理解をお願いしたいということで、これは昨年2月に「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」が発効し、我が国も、たばこ対策の充実強化に向けた体制整備を行っており、本年4月から、禁煙治療に対する保険適用が開始されるというようなこともございます。各省庁閣僚にも協力を求めたところでございます。それから、食育月間について、厚生労働省といたしましても、健康づくり、生活習慣病予防、母子保健や食品安全の観点から食育を推進してまいりたいという発言をしました。以上です。

質疑

社会保険庁の調査結果について

記者:
昨日の調査結果の報告の件ですが、大臣はかつてこの会見の場で、公務員が法令に反するようなことを指示することはありえないという趣旨のことをおっしゃっていましたが、今回社会保険事務局が主導する形での事案が数多く出てきたわけですが、これについてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
大臣:
京都が2月の時点で本庁の調査でみつかった。3月にその改善を求めて、また、人事的な異動及び処分も行ったところでございます。それに併せて、他の機関へ、他の県へ問い合わせをしたところ、一部事実関係を言ってきた県もございますけれども、大阪を始めとして報告のなかった県が多い。その後、実態がだんだん明るみに出るにしたがって、また報告が増えると。したがって、3月時点で、しっかり各県の担当者が調べて事実関係を報告しなければならないことを報告しなかった。また、所長や現場の者がそれを隠すような体質が依然として残されているということが明らかになったのだろうと思っております。
まず、第一にしなければならないことは、年金免除の通知を受けた方々に対して、これは法律で規定されている手続きではないわけですから、取り消しという処分を行い、理解を得て改めて書類申請をしてもらうということを第一に取り組まなければならないだろうと思います。第二番目に、この問題が尋ねていくにしたがってぼろぼろぼろぼろと出てきた。したがって、昨日の調査発表で全てが終わったとは思っておりません。これから、まず、県の責任者から報告があったわけですけれども、何故にこういう行動が行われたか、法の規定と違う行為を所長が一人でやったわけではないでしょう、県の責任者一人でやったわけではないでしょう、多くの者がそれに関与していながら、全くその情報が本庁に上がってこなかったのかということを含めて、全容を1つ1つの事務所、1つ1つの県で明らかにしていかなければならないと思っております。そういった意味では、村瀬さんを先頭にしながら、きちんとした事態の解明に移る、内部調査は第二段階をこれから迎えるのだろうと思っております。それについて、まず明らかにして国民に対してお詫びを申し上げるとともに、年金の信頼性というものが損なわれることがあってはならないと思っておりますので、しっかりした対応をしていかなければならないだろうと思います。その後に、処分を行い、そして、その後に、二度と起こらないような体制整備をしていかなければならないだろうと思っております。もちろん、同時に並行しながら二度と起こらない体制整備をしていかなければならない。したがって、コンピュータ処理等の一元化と言いますか、各事務所単位でできる体制を改めなければならないというのもありますし、人事異動も行わなければならないだろうし、また、監査機能というものを、今出している法案で予定されておりますけれども、それを前倒しでやらなければならないなという感じを受けております。それが、内部調査に対する第二段階です。同時に、なるべく早く作りたいと思っておりますが、社会保険庁の内部調査ではなくて、官房の下に外部の人も入れた検証機能を持とうと思っております。西川、岡田両政務官をトップにして、法律の専門家、会計の専門家、そういう方々にも入ってもらい、場合によっては監査会社の協力もいただきながら、外部から今度は社会保険庁全体の今回の問題を検証しようと、この作業をできるだけ早く始めたい。そういうものを総合的にやって、できるだけ早い時期にその結果を、先程申し上げたように、国民の前に明らかにしていかなければならないと思っております。
記者:
今回の調査で、これまでの報告とは違う報告ですとか、新たに出てきたところなどがかなりたくさんあるんですが、そういう県の局長の処分というものについては、いつ、それから、どれくらいの規模で行うんでしょうか。
大臣:
今やっているのは処分ではないんです。更迭。何ですかと言ったら、その人がしっかり調べて報告しなさいということに対してやっていない。その報告があって、事実関係が明らかになった上で、こういう法律違反をしました、こういうモラル違反をしましたということで、処分に移るわけですから、まだその前段階。したがって、調べるに値する人か値しない人かというところを今選り分けをしているんだろうと思います。私も、全部の事実を細かく見ているわけではないから、そこは、村瀬長官以下に任せています。大阪の場合は、私の方から指示したけれども。当然あとは、1つ1つ直接長官なり、担当者が聞いているわけですから、事案をはっきりして的確な人事異動、更迭を行っていこうと思っています。
記者:
調査結果が、6月中、もしかしたら7月にもかかるかもしれないというふうに村瀬長官の方、会見であったんですけれども、いわば今国会中は、なかなか調査結果が出るのは難しいかなということですか。
大臣:
分かった段階で出来るだけ公表しますよ。昨日の発表でも、はっきり言ったら、全貌が明らかになったわけではない。しかしながら、第一段階で皆さん方にご報告をした。もちろん、厚生労働委員会の理事さん方にもご報告したんだろうと思います。そういう意味では、明らかになったものから順番にやっていきますから。最終段階をいつ迎えるかというのは今の時点で、はっきり申し上げるのは難しいと、こう申し上げている。
記者:
法案に与える影響というのは、どういうふうに見ていらっしゃるんでしょうか。
大臣:
これは、正直言って、答弁で何回も申し上げているとおり、社会保険庁全体の体質、組織的体質の問題にあるので、法案自体は、これを改革しなければならない。2年前に、様々な不祥事を起こして、この社会保険庁、役所を手直しをして、進めていくんですかという議論、民営化までやりましょうかという議論、様々な中で、解体的な出直しをしようということで、政府・与党としては決まったわけです。その方針に従いながら、法律を提出し、このものを改革すると言っているんですから、その改革というものを遅らせるような判断は私としてはしてはいけないんだろうと思っています。
記者:
あくまで、今国会での成立を目指していくと。
大臣:
私としては、お願いをしていきたいと思っています。ただ、それは、国会対策上の話になりますから、それ以後の進め方については、もう私が口を出すべきではない。
記者:
一部報道では、新たに局長さんの更迭指示を出されたというものが。
大臣:
出していません。
記者:
出していらっしゃらない。
大臣:
はい。大阪・三重の問題については、全容というか、この一次調査が終わる前でしたから、指示をしましたけれども、後の問題については、もう村瀬長官の下で、しっかりとした対応をされたらいいと思っていますから。細かい1つ1つの事例については、私は申し上げておりません。
記者:
このようにですね、実態解明が日々刻々と変わっていく状況の中で、それを起こした組織を改革する法案を審議するというのは、なかなか国会で難しいのではないかと思うんですが、そこはいかがですか。
大臣:
それは国会なり、委員会でのご議論です。しかし私どもとして、その改革を結果として遅らせるということについては、誠に残念としか言いようがないので、出来るだけの努力はしていきたい。
記者:
それから、先ほど、官房の下に検証組織を置かれるというお話でしたが、これは、スピード感、スケジュール感はどのような。
大臣:
今日中に人事を発表したいと思ったんだけれども、やはり民間の人を入れるものだから、役所の中でやるならスピード感、今日でも決めてしまうけれども、民間の皆様方の協力を得なければならない。また、その人にも現場を見てもらわなければならないので、ある程度時間的余裕がある人を捜し出さなければならないという問題もあるので、しかしながら、そんな時間をかけられる話ではないと思っています。
記者:
外部監査、具体的にはどういうところを、どういうふうに見ようという。
大臣:
まさに、その人たちで議論してもらったらいいので。
記者:
大臣としてはどういうところを見てもらいたいと思っておりますでしょうか。
大臣:
基本的には、先ほど言いましたように、まず、問題のあるところが、どうしてこういう問題が起きたかということを、しっかり検証してもらわなければならないでしょう。何人が寄って、どういう会議をして、どういうことをやってきたのか。部下に対してどういう命令をしたのか。この問題がトップダウンでやっていたのか、ボトムアップできたのか。こういう問題も含めて、しっかりと各事務所、各都道府県とも検証しなければならない。これは、内部検証でもやる。しかし、内部検証が正しいかどうかというのを見てもらうわけだから、当然そういうものをなぞるということもあるでしょう。それから、当然、ご指摘いただいている本庁との問題も、これは、社会保険庁全体の問題として見ますよと、私どもは。それは始めから、本庁は関係ありませんでした、全部下部機関がやりましたという断定をするつもりはない。

有効求人倍率について

記者:
失業率や有効求人倍率が、有効求人倍率が今回は1.04ということで、だんだん改善傾向が続いているんですけれども、中身を見ると数字を支えているのは、非正規社員の方が増えていたり、若者の失業率が高い、地域間の格差が大きい中で、ゆがみがあると思うんですが、これについてどう捉えていますか。
大臣:
今の数字だけで言うと、正規雇用がやっと増加したのではないかな。正規雇用が、やっとプラスに転じたという数字になっている。具体的に申し上げますと、17年で3,333万人が3,340万人でプラスに転じたということ。これは、去年の暮れから私ずっと申し上げているけれども、暮れあたりから少しずつ正規雇用という手応えが出てきていますね。それから、皆さん方の新聞報道を見ていましても、正規型の雇用に大手メーカー、自動車や電機メーカーが変えてきている。そういうものも個別の情報としてもありますので、そこは少しずつ変わりつつあるんだろうと、しかし、今ご意見があったように、大幅にそこが動いてきたという段階にはまだなっていない。したがって、そこに対して、私どもは強い主張をしているというのが今日だろうと思います。
記者:
若者の問題や地域の問題については、改めてお考えを伺えないでしょうか。
大臣:
若者の問題については、今年の卒業された大学生・高校生については、かなり改善が進みました。そうすると、企業が極めて厳しかった時代に就職がうまくいかなかった者に対してどうしようかと、それはある意味でフリーター対策と言われるものと重なってくるわけですけれども。そこは、安倍長官の下でも再チャレンジということで、いろんな計画を練っていただいていますけれども、例えば、公務員の中途採用をもう少し増やしたらどうという議論もある。民間にも、もう少し中途採用を増やせないかということで、実際具体的にお願いしていくことになる。ということで、その段階に移ってきたということではないでしょうか。単年度で見れば、今年の卒業者ということになれば、かなり改善してきました。それでは、過去に厳しいときに就職がうまくいかなかった人たちに対して、社会全体で手を差し伸べてもらいたいということだろうと思います。

(了)