川崎大臣記者会見概要

H17.11.29(火)19:03~19:22 省内会見場

広報室

会見の詳細

三位一体改革関係について

大臣:
遅くなりましたけれども、今日の4大臣とのやりとりについて説明します。一番最初は総務大臣と私が官房長官に呼ばれまして、お互いの主張をしました。いずれにせよ、官房長官に、御一任いたしますということで昼別れました。それに基づきまして、官房長官の所へ4大臣と私が呼ばれまして、裁定案が示されました。一任をいたしましたので、お受けをいたしたところでございます。厚生労働省として、5,040億円の財源を出してこいということでございましたけれども、結果として5,292億円となりました。内訳は、お手元に配ってあると思いますけれども、既に出しております109億円、それから児童扶養手当1,805億円、児童手当1,578億円、それから施設整備費500億円、これには運営費が一体であるという主張をずっとしてまいりましたけれども、国が25%、都道府県が12.5%の負担であるのを5%を都道府県に持ってもらうという調整で、国が20%、都道府県が17.5%という中で、1,300億円、合わせて5,292億円ということになります。この中で、児童扶養手当の考え方は、ここでも何回も申し上げました。新しい法律体制も整備されており、平成20年以降から動き出すといった中で、母子家庭に対する若い奥様方ですから、就労支援というのが一番大きな決め手になっていく。その中におきまして、就労する気持ちがないということならば、ストップをかけることも出来る、また5年以上たっても、なかなかという場合は、2分の1、これはまだ決めておりませんけれども、のところまで出来るという1つの体系になっておりますので、そういう意味では、まさに実施主体が様々な政策を使いながら、1つ1つの母子家庭に対応することが出来るということで、地方に移譲するということについてはなじむものであると思っております。生活保護とこれを一体で、地方と論議をしてきたわけですけれども、その中で、児童手当について、児童扶養手当を2分の1にして、こちらを3分の2のままではないだろう、ということで地方からもご指摘をいただいた問題でもありますので、そうしたものを合わせて、今回3分の1に合わせようということで、裁定がきたものだと思っております。生活保護につきましては、今日も官房長官のところで最後の議論を竹中大臣といたしました。これについては、15年の暮れの政府・与党合意、16年の暮れの政府・与党合意、また改革の内容については、残念ながら合意を見ることは出来ませんでしたけれども、生活保護については、適正化を図らなければならないという合意も地方とあったわけでありますので、そういった意味では、出来るだけ地方の皆さん方に手段と、そして実際の財源とを移譲しながら何とかやっていただくことによって、より適正化が図れるのではないかということで議論をしてまいりましたけれども、残念ながら話し合いはつきませんでした。その結果として、今日裁定をいただいたわけであります。そこで、生活保護の適正化については、国は関係者協議会で地方からの提案があり、両者が一致した適正化方策を速やかに実施するということになっています。例えば、これは年金を担保として貸付を行う、それで、借りるだけ借りてしまってから、生活保護に入ってきてしまうというような問題について地方からの提案がありましたので、こういう問題を1つ1つ我々も努力をしていこう、もちろん金融という部分、これも一種の金融ですけれども、部分でいろいろ問題点がございますので、我々がそれは誠意を持って詰めながら地方とやっていく。それから、地方は、適正化に取り組まなければならないという合意があるわけですから、生活保護の適正化について、真摯に取り組むという合意の確認が必要になります。その上で、適正化の効果が上がらない場合には、国と地方が必要な改革について早急に検討し、実施する。何ヶ月以内にとか、1年以内という文書はあえて入れておりません。これはまさに、国と地方がいろんな経過の中で議論をしてまいりましたけれども、誠意を持ってやっていこうということの官房長官の裁定だろうと思います。それを受けまして、私の方から、この合意について、官房長官のご指示に従います。一方で、地方と長い間協議をしてまいりました。前任者の尾辻大臣と私で、9回議論をしてまいりましたので、地方の代表とこのことについて合意をしたい。要は、政府・与党合意+厚生労働省と地方の代表との合意にしておきたい。官房長官にも、その合意文書にお入りをいただいきたい。その場の設定についても力を貸してほしいということでお願いをして、4大臣がいらっしゃる前で、ご了解をいただきましたので、その対応に入るということになります。一応、そういう形で、三位一体に関して、私も就任してから約1ヶ月ですけれども、この問題に取り組んでまいりまして、結果として厚生労働省としては、生活保護の問題が、数字的には入らなかったということで大変残念でありますけれども、一方で、官房長官から最終的にこういう適正化についての指示もいただいた。また、地方ともこれを受け止めながら、先程言いました、厚生労働大臣と6団体の長と合意していこうということですので、ある意味では半歩前進したのかなと思っております。そして、三位一体全体といたしましては、他の省庁がまだでございますので、そこの詰めをしていくと同時に、まだ与党内手続きが終わっておりません。したがって、これはあくまで4大臣と私、厚生労働大臣の合意、これを受けながら今度は完全な政府・与党合意に明日までに詰めていくということになってまいるだろうと思います。以上です。

質疑

記者:
新たに児童手当が入ったようなんですけれども、これ一応、少子化対策の柱でもあると思うんですけれども、これを地方にすることによって、例えば、地方の裁量とか、どのあたりまで。
大臣:
というよりも先程申し上げたように、児童扶養手当が4分の3で、今児童手当が3分の2であります。それに対して、こちらが児童扶養手当の国の責任を2分の1にしようと提案をした時に、地方から、児童扶養手当と児童手当の整合性問題が、私になってからですけれども、私自身が質問をいただいたテーマなのです。ですから、児童扶養手当、児童手当、もちろん性質は違いますけれども、まさに子どもに対する1つの施策、そこの支援を国・県・市がどう負担を持ちながらやっていこうかという話ですから、これを軽視したとか何とかという話ではない。そこは是非ご理解を頂きたい。国がやっていればこれは重要施策であり、県がやったらこれは重要施策ではないというのは、これは誤った見方であろうと思いますので、基準は合わせるというふうにご理解を賜りたいと思います。
記者:
(2)のところで施設整備費とこれと一体の措置という記述があるんですけれども、「これと一体の」という意味を教えていただきたいのですが。
大臣:
要するに、施設整備費を500億円出します。結果として各県が自分たちの判断で施設整備はしていきます。しかしながら施設整備をすれば、それについて税なり保険者の負担がついてきますという中で、施設整備の主体になる、これから国ではありません、もう県が主導権をお持ちになるわけですから、特別養護老人ホーム等について。この問題について「どうぞ県でおやり下さい」というときに、運営費というものは当然ついていくものですよ。ですから一体という表現が使われているのです。
記者:
この案は官房長官が全く新しく示されたものなのか。それとも厚生労働省としての案として示されたものかというのはどうですか。
大臣:
基本的には総務省の主張と厚生労働省の主張というのがあるんです。そこをお互いが詰め合っていく中で、やはり詰め切れない部分がどうしても出てきたときに、私どもはこういう考え方でございます、総務省はこういう考え方でございます。大体ここまで詰まりましたが、後は官房長官の裁定に従いますということです。全く両者話し合いしないで離れたまま官房長官に「どうぞ勝手なことを言ってきましたからやってください」という話では、政治というのはそういうものではないですね。
記者:
生活保護が入らなかった理由について、大臣はどのようにご覧になっていますか。
大臣:
地方の声もあります。それから私も竹中さんに言われたときに私どもはこうして移譲していくことが一番大事だと思うと申し上げましたが、しかし一方で地方が我々との中で、どうしてもそこについては大きな隔たりがありました。我々との中で。無理に押しつけることによって、結果として適正化が図られるのかということになると、本当に議論していて自分としてもこれについては議論があるなという中で、官房長官からここは半歩前進でいいのではないかというご示唆をいただければ、我々もそういう理解をしたと考えております。
記者:
半歩前進の部分ですけれども、残りの半歩の部分は今回はこういう形で終わったんですが、これから先にまた移譲を求めていくようなことは。
大臣:
先ほど言いましたように、お互いに適正化をしなければならないというのは、今年半年の議論の中で合意には達しました。方法についてはまだいろんな差がある。しかしここに書いてあるように、既に一致した点については、私ども努力しますから、その努力を生かしていただきながら、地方は真摯に適正化に向けて努力してくださいということです。他は官房長官裁定で、かつ先ほど言いましたが、私と知事さんや市長さんの間で、この裁定を合意していこうということも4大臣が了解してくれたということでありますので、総務省にも、また官房長官にもお力をいただきながら、知事や市長と私の間のそういう場を作っていきたい。それによって正直言ってお互いの理解が半歩前進したのかなと思っております。皆さん方がどう評価されるか分かりませんが。私は半歩は前進したんだろうと思っております。
記者:
確認ですが、施設整備費の中身というのは具体的にどういった施設があるんでしょうか。
大臣:
特別養護老人ホーム等の広域介護施設、400億円。これも前に言いましたように、ある程度各地域に整備が出来てきたというものです。それから公立保育所や保健所の市町村保健センターの約100億円、併せて500億円。特別養護老人ホーム等には老健施設も入ります。
記者:
児童扶養手当、協議会で2分の1まで提案されていたと思うんですけれども、それをさらに下回る、幅としてはもっと大きな引き下げをした理由は。
大臣:
両者の話し合いの中で感触があったことは事実でしょう。総務省さんのご主張、私どもの主張の中で、何となくあったことは事実です。もちろん数字もあります。今日の議論のこのペーパーを見ていただくと分かるんだけれども、施設整備費の財源移譲割合50%ということなんですよ。そうすると500億円だけれども、250億円を税源移譲をする。すると税源移譲としては5,042億円ということになります。そこまで計算されてお出しになったのではないだろうけど。もちろん各省に割り当てた額の総額は6,300億円。300億円は多少余裕を見ていたということもあるんでしょうけれども、うちはたまたまそういう数字になったと。一方で先ほどご質問した方に答えれば、5,040という数字があったことも事実です、そこを何とか歩み寄っていかなくてはならない。
記者:
確認書の後段の方ですけれども、ここは例えば三位一体改革も第二改革というのがございますが、この期間の中で、例えば適正化の効果が上がらないという場合にはその中でもう1回移譲があるということですか。
大臣:
基本的には三位一体改革とは切り分けております。生活保護というものが適正化を図らなければならないということは、国も地方も一致できた点であると。したがって、この問題については、地方と厚労省が一緒になってしっかり詰めていくということです。
記者:
今回児童手当が入りましたが、与党内には児童手当は少子化対策として拡充してほしいという声がありますけれども、その流れと今回の移譲とは何か影響は出てくるのでしょうか。
大臣:
ないですね。基本的には要するに先ほど言いましたように、少子化対策として子どものために、家庭に対して何をやらなければならないかというイメージの中で、国がやっているから重要施策で、県がやっているから重要施策ではないということではないです。お互いが協力し合いながらやっていくということですから、そういった意味では与党の理解、特に公明党の理解は得られてきていると思っております。当然小学校6年生まで目指して、年末の予算編成の中で公明党の大きな政策テーマであるということは厚生労働省もよく理解をしておりますし、またお願いも続けています。

(了)