閣議後記者会見概要

H17.11.15(火)10:37~11:03 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日の閣議は、厚生労働省に直接関係する案件はございませんでした。「総合物流施策大綱」が発表されました。私が党の物流調査会長をやっていたものですから、私の最後の仕事が今日報告されたということになります。
それから、中川農林水産大臣の報告、それから、三位一体改革の取りまとめについて、閣僚懇で官房長官からご発言がございました。「取り組んでいただく必要があると考える額に具体的に達していないなど問題があると考えており、内閣として一層精力的な調整が必要です。このため、本日4大臣として、関係大臣からご説明を伺った上で、各省ごとに改めて具体的な検討をお願いします。」こういうことでございます。今日、4大臣と私との会合がもたれるということになります。
それから、総人件費改革の基本方針の決定ということで、各大臣からご発言がございました。いずれにせよ、5年間で5%以上の国家公務員の純減目標を立てるということでございます。その中で、私どもの省として多少関係することとしますと、1つは国土交通大臣から出たのですが、これは必ずしも役人の社会に適用いたしておりませんけれども、62歳、63歳という形でだんだん高齢者雇用と言いますか、定年の時期を延長させていこうという中で、各省とも肩たたきの年齢をだんだん上げていこうという話が進んでおります。そうなりますと、逆に言えば、比較的給料の高い方々が省内に残っていく、必ずしも総人件費を少なくするという方向ではない方向に物事が向きます。一方で肩たたきをなるべく遅らせろということは、天下りをやめさせよということにつながってくるだろう、しかし、総人件費を抑制していく、人数を減らしていくこととの整合性をどう合わせていくのかというのはかなり大変な作業ですというご発言がございました。今、申し上げたように、公務員の社会では、まだ65歳定年制を考えた動きはしておりませんけれども、民間には、62、63歳という雇用というものをどうぞよろしくとお願いしている立場にありますので、そのようなものをどうこれから議論の中で整合性を合わせていくかということが1つの私どもの仕事だろうと思っています。また一方で、独立行政法人について出来るだけ公務員型から民間型に変えていくようにという話もございました。したがって、この問題について、これから積極的に取り組んでまいることになるだろうと思います。
それから、所在不明となった仮出獄者及び保護観察付執行猶予者の所在調査に関する法務省と警察との協力についてというご発言が法務大臣と国家公安委員長からございました。これは要するに、保護観察中の方々で仮出獄された方々が、再び犯罪を犯した時その居場所がしっかりしていなかったことについて、確認作業はどちらの仕事だという中で、法務省と警察でお互いになんとなく押しつけ合っていたものを協力し合ってきちんとしろということで、総理大臣から特にご発言がございまして、何もこのことだけではなくて、各省間でこういうことは結構ある話ではないか。それはお宅の方の仕事だよね、うちには関係ないよみたいな。そういうことでその間に残ってしまったものが結構あるのではないかと。そういう意味では、これを1つの例としながら各省間で問題点があれば話し合って1つ1つ解決してほしい。具体的に厚生労働省で何があるとは考えておりませんけれども、そういう問題があればやはり解決していかなければならないという認識に立って、これから仕事を進めてまいりたいと思っております。

政府・与党政策金融改革協議会について

大臣:
それから、今日閣議を挟みながら3つの会合がございましたので、これも併せてご報告申し上げます。一番最初にありましたのは、政府・与党政策金融改革協議会がございまして、政府系金融機関の問題について基本的な作業過程を与謝野大臣からご報告があり、また自民党・公明党からそれぞれの考え方が示されました後、各大臣から発言がございました。私からは、理容・美容、公衆浴場等の生活衛生業は全事業所の約2割を占めており、622万人が就労するなど我が国の大きな役割を果たしている。しかし一方で、小規模・零細企業である。したがって、必ずしも民間から金融というものが出来ていない、逆に言えば、非常に難しい。したがって、この生活衛生関係業に関する融資は公益性が高いことから、引き続き政策金融としての存続をお願いしたいということを申し上げました。なお、組織形態のあり方については、これからの議論でありましょうけれども、少なくともこれらのものに対する利便性と融資体制の専門性というものに十分留意をしながら、組織形態のあり方を詰めてくださいということで申し上げたところでございます。公明党さん、自民党さんからも基本的に中小企業、そして零細企業の融資という政策金融部分は残さなければならないというご発言もありました。また、今はどこがどういう政策金融をしていてるかというアプローチの仕方になっているけれども、政策金融として何をしなければならないかということを先に決めて、それに対する対応をどうするかということを一度見直してみたらどうかという党側から強いご発言がございました。

鳥インフルエンザ等対策に対する関係閣僚会合について

大臣:
それから、昨日厚生労働省として新型インフルエンザ対策推進本部の第2回目の会合を持ちましたけれども、今日、鳥インフルエンザ等対策に対する関係閣僚による会合を持ちました。これは、私の方から、新型インフルエンザ対策行動計画について、まずご説明を申し上げました。新型インフルエンザ対策の目的は、新型インフルエンザの出現を可能な限り防止し、発生初期の段階で封じ込めを行うとともに、流行時における感染拡大を阻止し、健康被害を最小限にとどめ、社会経済の機能を破綻に至らせないことにあります。厚生労働省としては、関係省庁のご協力を得て、発生の段階ごとに取るべき対策をまとめる、フェーズ1からまとめましたけれども、それにしたがって、皆さん方のご協力をお願いしたいということでございます。例えば、今現段階では、外国で鳥から人へ移ったという症状が出ておりますので、どのような発生状況なのかの情報収集をいたします。それから、インフルエンザウィルス薬の2,500万人分の備蓄、2,100万人については国と地方で、そして400万については、今1,500万程の市中在庫と言われていますけれども、これから流行時期になりますので、最小400万という見積もりをさせていただきますので、併せて2,500万の備蓄をしたい、それから、ワクチンの開発体制の準備をしたい。人から人への感染が発生した時点、まさに赤信号に変わった時でありますけれども、検疫体制の強化、大規模集会の自粛を、それから人から人へ移った段階で、そのウィルスが確定をいたしますので、そのウィルスをとってワクチンの製造着手に入ります。ただし、製造所要期間については、6ヶ月を要すると思います。既に準備に入ったという報道もありますけれども、それは鳥から人へ移ったウィルスを使ってのある意味では実験でございます。基本的に、人から人へというウィルスが本当に出たときに、それを使ってワクチンを作りませんと効能があるかどうか分からないということになりますので、そこは是非ご理解をたまわっておきたいと思います。国内で大規模な流行が発生した段階において、非常事態宣言、重症者の優先的な入院、それから、抗インフルエンザウィルス薬の優先順位に充てる。こういう段階を、今申し上げたように各省にご協力いただくことが多々ございますので、そのための関係閣僚会議を今日立ち上げて、ご協力をご了解いただいたということでございます。いずれにせよ、今一番大事なことは、きちんと情報を把握しながら、そして、即応性を持った体制、小泉内閣の1つの方針は、すべてのことにスピーディーに対応するということになろうと思いますので、どうぞご理解の程をお願い申し上げます。

郵政民営化推進本部について

大臣:
それから、郵政民営化推進本部が今日立ち上がりました。法律が通って、いよいよ準備企画会社の設立準備に入るということで、私どもからは幹事に事務次官が入っております。その中で、厚生労働省として協力すべきことはしっかり協力をしていただきながら、また、いずれにせよ最終的な民営化でございますので、厚生労働省の労働部分としての対応はしっかりしていかなければならないと思っています。以上でございます。
《質疑》
記者:
閣僚懇で、公務員の総人件費についてそれぞれの大臣からご発言があったということですが、大臣から何かご発言はあったのでしょうか。
大臣:
いや、申し上げませんでした。私この問題に昔から取り組んできました。3月のボーナス、これは民間ではない話だ。それから地域手当のような特殊手当、こういった問題をずっと国会で発言しながら、部会でやりながらやってきたので、自分なりに考えたのはやっぱり公務員の生涯所得。これは年金問題も始まっていますように、給与という一面だけで捉えるのか、公務員の生涯所得という面で民間とのバランスというものをまず考えていかなければならないのではなかろうかと。そういう意味からすると給与の特殊性というのは随分変わりました。この4、5年間の中で随分変わりましたね。しかし残されている年金問題と退職金の問題についてはもう少し早く詰めないとならないのかなと。そういう意味では年金問題については我が省も責任を負っていると、こういう感じでおります。
記者:
今日も三位一体で4大臣会合に呼ばれているということですが、今後の対応についてはどのように考えていらっしゃいますか。
大臣:
生活保護等の取扱いについて、また今週地方の石川県知事さん、高知の市長さんと話し合う機会がございます。そういうものが詰まりきっていないという前提の中で、お示しいただいたものの中で、我々として協力し得るものを今回第1段階として出したということが正しいでしょう。生活保護の問題をどう考えていくか。2番目に施設整備の問題はどうかということ。施設整備の問題は各省横並びの問題でございますので、全体の状況を見ながら判断していかなくてはならないだろうと思っております。それで今回私どもの政策手段の中で判断いたしましたのは、厚生労働省として責任を持って様々な対策を進めていかなきゃならない。例えば少子化にどう対応するか。また高齢化にどう対応するかという1つ1つのものがありますし、そういうものに対して厚生労働省が責任を持ってやりたいと思っている分野の中でも、既に公的部分、特に地方自治体が「それは私どもに譲って下さい」と「我々でやりますよ」と言われている部分はあるわけですから、そこは今回の縮減案の中に盛り込ませていただいたということで、民間部門に政策を浸透させるための手段としては、私どもはもう少し残しておきたいという感覚を思っております。
記者:
かつて小泉政権時代では、塩川元財務大臣が定年延長問題というのはかなり強く主張された時期がありまして、先程、大臣からご指摘があったように、肩たたきの年齢を上げていくことによって天下りを阻止するという観点があのころ重視されたと思うんです。それで今まさに反対のことが、人件費をむしろ上げる効果になってしまうというところで、この問題について厚生労働省ないし川崎大臣のお役割というのはどういうことになるんでしょうか。
大臣:
まさにそれを今日閣議で議論したことを私もわざわざご披露申し上げたんですけれども、正直言ってかなり難しい問題です。そうすると公務員の給与体系全体にもう少しスピード感を持っていかなければならないのかなと感じます。今年の人事院勧告で、一部退職金のあり方を変えました。というのは、退職金というのは今まで辞めた時の最終月額掛ける何ヶ月、こういう形で退職金を出してきた。それを違う制度に変えた。要するに昇っていく時の時代の話と、その後残って事務次官か何かに残るか知らないけれども、残ってその時の給与というものの月数割りを掛けてやる制度に変えました。民間で言えば、ポイント制に近い形のものに変えてきました。そのスピードを全体的にどうするのかと、退職金だけでなくて全体の制度としてどう整合性を合わせていくのかというところになってくるでしょう。要はなるべく熟練の皆さん方を早く肩たたきして、若い人を入れた方が総人件費は抑制できますよねという、1つの考え方。一方で、もう民間は65歳雇用というものをお願いしたいということで我が省は取り組んでいるわけですから、まさに年金の支給もそうなるわけですから、そういった意味では、公務員全体の給与体系をどうしていくんだというところまで踏み込んでいかないと、この問題の解決は出てこないかも知れません。そこはちょっと我が省の対応と違うので、我が省は公務員給与は担当しておりませんので、ものは言いにくいですけれども、閣僚として言うならば、そういうことを考えていかなければならないだろうと思っています。
記者:
昨日の経済財政諮問会議の話なんですけれども、与謝野大臣が終わった後の会見で、医療費の伸びについて管理目標を作るということに関して、川崎大臣以外のメンバーは何らかの導入をやるということに対してコンセンサスがあるのではないかという話をなさっていたんですけれども、大臣が総額管理の目標についての議論の中で、昨日こだわられた点、そこをもう少し詳しく教えていただければと思います。
大臣:
ちょっと長くなるから申し上げますと、まず我が国の今の医療というものをどうとらえるかということになると、これは吉川議員も評価していただきました、国民皆保険制度も含めて。少なくとも1人当たり医療費ということでは世界で9番目、GDP比で17番目という位置づけの中で、これだけの長寿社会を作り上げてきたということについては、現状の医療の質、また価格というものについては、ご評価をいただけるだろうと思います。しかし一方で、私ども団塊の世代は20年後には、まさに後期高齢者、75歳を越えることになる。このときに後期高齢者が、今は1,000万人ですけれども、20年後には2,000万人ですよ。その時に今の医療をトレンドで引っ張っていくと56兆円という数字になります。そこは国民が持続的に負担しうる医療でしょうかということになると、国の財政も含めて少し厳しいという認識の中で、抑制を医療費の適正化、抑制を図らなければならないですねというのが、共通認識、これは経済財政諮問会議も我々も共通認識です。ただ数字的に多少違います。我々は49という数字を示しているし、経済財政諮問会議は42と示している。ただ我々はこれから医療費の問題、診療報酬の問題とかいろいろありますから、いずれにせよ56という数字はあまりにも過大ではないかという中でお互いに適正化をしていきましょうと言っているわけです。その目標として、入院という問題と予防という問題を大きく取り上げて、そして昨日あたりの議論の中で、医療機関のIT化、オンライン化、要するに事務の効率化という問題も取り上げられて、大体そこはコンセンサスができているんだろうと思います。民間議員が強く主張されたのは、これから25年後の目標は分かるけれども、財政当局からするとプライマリーバランスの回復という大きな問題があるので、それをきちっとやるためには5年後の目標をきちんと持って、それにPLAN、DO、CHECK、ACTIONのQCサイクルを回してくれという話がありました。私は正直言って松下電器の企画の出身でございます。その時申し上げなかったけれども、これは松下通信工業の唐津さんという人が外国から導入してきた制度で、松下が先鞭を付けてずっとやっていた制度なんです。クオリティコントロール、品質管理の手法ですから、少なくとも現場で何回かトライしながらPLAN、DO、CHECK、ACTION繰り返しながら、より良き生産工程というものを作る手法を営業部門なりにいろんな管理手法として持ってきたというのがQCサイクルです。そうなると私どもの場合には、基本的に1つの目標を指し示すことはできたとしても、現実におやりになる都道府県の協力を得なければなりません。入院の話にしろ、予防の話にしろ、都道府県の皆さん方としっかり話し合いながら、やっていかなければならないという課題が1つあります。もう1つは、現場を直接担当される医師の皆さん方や看護師の皆さんともある程度共有していきませんと。PLAN、DO、CHECK、ACTIONというのが、上だけでぐるぐる回るような話かと思います。したがって必ずしも目標管理の手法になじむとは言い切れませんねということを私は言いたかった。その時にはこのことをもうちょっと短縮して申し上げましたが。したがって5年後の数値を示せということなら私どもも出しましょうと。少なくとも20年後の数値は今我々は出しているわけですから、20年後のものがあって、5年後はないという話はないから、数値は出しますけれども、これによってPLAN、DO、CHECK、ACTIONをかけて、ぎちぎちやっていくことについてはどうかと。現実問題、吉川議員の発言もそれをしないと。企業だったらそれをかけてうまくいかなかったら、何かがくるわけです、CHECK、ACTIONという何かがくるわけですが、医療というものに対してそんな手法は考えておりませんと。要するにペナルティ的なものは考えていません。激変させるようなことは考えておりません。しかしチェックする必要はあるんじゃないですかということで、言い方はかなり似ているんです、文章を読んでみると。文章を読んでみるとそう大きな差異はないんだけれども、片方は目標管理論であり、我々はやはりこれから都道府県や業界の皆さん方と話し合いながら、1つの目標に向かって歩んでいきましょうと、そういうものを大体の概要として示すということについては、別に問題ありませんよと申し上げた。きちっと数字を決めてしまうか、1つの目標数値にするかという違いだけで、議論として大きな差があるとは思っていないです。その辺は厚生労働省と一度詰めましょうという話になっていたように思うんですけれども、まだ正式に昨日のご発言が、与謝野大臣の最後のご発言、どういう意味を指したのかよく分からない。民間議員の皆さん方と話していたので。民間議員の皆さん方からも逆に大臣の言っていることと、そう開きのない話になっているんじゃないかという話をいただいたのは事実です。

(了)