閣議後記者会見概要

H17.10.07(金)8:50~9:19 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
本日、閣議における大臣発言はございませんでした。閣僚懇談会での発言は、三位一体の改革について内閣官房長官から発言がございました。閣僚懇談会における大臣発言もこの1件のみでございます。

福岡高裁判決への対応について

大臣:
去る9月26日に在外被爆者に関する福岡高裁の判決がございましたので、これにどう対応するかということで関係省庁と協議をしてまいりました。その結果についてご報告を申し上げたいと思います。あらかじめ、今日申し上げることの要旨をまとめてございますので、今お配りをいたします。
述べておりますことをご説明を申し上げたいと思います。まず、1と2で最初に経緯を述べておりますけれども、これはご案内のとおりでございますから、改めて申し上げません。3と4で今回の判決にどのように対応するかということを述べております。3に述べておりますように、今回の判決には、政府の私どもがこれまで述べてきた見解と異なるところがある、ということを改めて述べてあります。3で書いてありますように、これまでの私どもの見解と判決で述べられておることは相容れないところがありますけれども、しかしながら、として4でございます。まず、今回の判決の結論が法律が明文で「居住地の都道府県知事」と規定していないこと、-すなわち、法文に居住地という言葉が入っていないという意味であります-ここから導かれておるということが1点。それから、直接の当事者であります、被告は長崎市でございますから、そういう意味で直接の当事者である長崎市からも上訴しない方向で進めたいという考え方が国の方に伝えられておりまして、そのご意向が強いということ、これが2点目であります。さらに、3点目として、この後ご説明をいたしますけれども、国外からの申請について適正に審査できる新たな仕組みを設けることが可能になりました。このことが3点目。そして、4点目として、このことも非常に強い私どもが今回の決断をしたことの理由なのでありますけれども、在外被爆者の方々の高齢化に思いを致す必要があること。以上4点を申し上げましたけれども、こうしたことを総合的に勘案致しまして、国の意見として長崎市に上訴を促すことはしないということに決めました。まず、上訴しないということを申し上げているところでございます。今後どうするかということについて、5と6で述べております。健康管理手当等の国外からの申請の取扱いであります。これは、可能とすることにいたすということであります。健康管理手当等の国外からの申請を可能とする、ということにいたしました。これは、先ほど申し上げましたように、そうした取扱いとする仕組みを設けることが可能になったことを上訴しないことの理由の1つにしておりますけれども、具体的に申し上げますと、在外公館の活用について、このところ外務省と協議を進めてまいりました。このことは、ご報告を申し上げてまいったとおりであります。この協議が実を結びまして、国外から健康管理手当等の申請は在外公館を経由することとし、在外公館は一定のチェックを行った上で申請先の自治体にこれを送付するという仕組みを設けることにいたしました。上訴しない理由の中でも申し上げましたけれども、在外被爆者の方々大変高齢化しておられます。この新しい仕組みは一日でも早く実施したいと考えておりますので、事務方には来月中の実施を目指して準備作業を急ぐように指示したところでございます。今日、ご報告申し上げようと思っておることは以上でございます。

質疑

記者:
三位一体の関係なんですけれども、官房長官からのお話をもう少し詳しく教えていただけませんでしょうか。
大臣:
官房長官からは、一番のポイントは政府与党合意及び累次の基本方針を踏まえ、地方の改革案を真摯に受け止めて、地方自らの創意工夫と責任で政策を進められる幅が拡大する4兆円程度の補助金改革、3兆円規模を目指した税源移譲の実現に向けた改革案の検討を進め、ですから私どもへの指示は、改革案への検討を進めてその結果を10月17日までに提出するようにと、こういう指示であります。
記者:
厚生労働省の関係では、生活保護費の取扱いとかですね、取り組んでいると思うんですが、地方との協議もなかなか進まない状況が続いておりまして、与党内でも慎重に取り扱うべきだという意見は根強いかと思いますけれども、その17日と日にちも切られているようですが、生活保護をそろそろテーマから取り下げて他のものに替えるという考えはあるんでしょうか。
大臣:
今生活保護についてどうするかというのは協議会で検討中であります。これが続いているところでありますから、あくまでもこの検討は続けていく。そしてまた三位一体の改革の中で、生活保護の問題というのはその協議会の結論にもよりますけれども何らかの形であれ、盛り込むべきだと私は考えております。ただ、協議中でありますし、まだこの結論も出ていないところでありますから、その辺のところを17日に明確に述べるということは無理でございます。従いまして、17日の私どもの改革案をどういう形でまとめるかというのは、今日ご指示いただいたばかりでございますので、早急に間に合うように検討をしなくちゃならない、そして出さなければならないというふうに考えております。
記者:
確認ですけれども、生活保護の部分がやはりメインになるということに変わらないということですか。
大臣:
それも含めて今日のご指示にどう対応するかというのを検討したいというふうに考えております。
記者:
在外被爆者の関係なんですけれども、先ほどの理由のうちの「居住地の都道府県」と規定していないことからという部分なんですけれども、これは要するに、これ以上法律論で争うことはかなり難しい、そういう判断だと理解してよろしいでしょうか。
大臣:
難しいというよりも判決文に「居住地という言葉が抜けているじゃないか」ということの指摘でありまして、これは援護法を作ったときのいろいろな経緯があるんですけれども、今更これを言っても仕方がありませんし、ある程度、言うならば「受けざるを得ない部分」かなというふうには思っております。
記者:
上告をしても勝つことは少し難しいかなというふうに。
大臣:
そこまで詰めて考えたわけではないんですが、そういうふうに判決文に述べられておる、ということでもあるしというふうにご理解下さい。
記者:
制度を見直すことで、今後支給申請が出来るようになる人の対象者は、これはどれくらいになるというふうに。
大臣:
広島市、長崎市それから各都道府県で把握している情報を総合いたしますと、約1300人の方から新たに国外から手当の申請がなされる可能性があると考えております。従って、1300人というのは一番大きな数字であります。
記者:
今おっしゃったのは、健康管理手当についてということでしょうか。
大臣:
そのようにご理解下さい。
記者:
今回の訴訟では、葬祭料、亡くなった場合に支払う葬祭料も訴訟になっていたと思うんですけれども、それは在外被爆者の方全員が対象になるということですかね。
大臣:
葬祭料は、被爆者が亡くなったときに、その葬祭を行う方が申請できるものでありまして、国外にお住まいの全ての被爆者健康手帳所持者が約3600人おられます、その方々のご遺族が国外から申請できることになりますので、今後のことでございます。
記者:
そうなりますと、被爆者手帳を持つことによって受けられる恩恵と言いますか、援護が拡充されるということになると思うんですけれども、これを受けてもっと来日して手帳を欲しいという人が増える可能性があると思うんですけれども、来日を支援する予算措置としての事業をもっと拡充するというような、その辺りに関しては何か検討されていますか。それの予算規模の拡大。
大臣:
既にその仕組みを作ってありますので、それをご活用いただくように出来るだけお知らせはしなくてはいけないと思っていますが、制度そのものは既にございます。
記者:
確認なんですけれども、広島市が被告の裁判は判決を待たずに途中で控訴を取り下げることになるというふうに受け止めていいんでしょうか。
大臣:
先ほどから申し上げておりますように、裁判の当事者は広島市でございますから、そういう意味では広島市がどうするかということになりますが、常識的には取り下げになる方向というのはこれは言えると思います。ただあくまでも当事者は広島市であるということは申し上げておきます。
記者:
今回の措置で、手当には確か他にも全部含めて確か6種類くらい手当があったと思いますが、今回のこの制度改正で認められる手当というのは、健康管理手当と保健手当ということになるんでしょうか。
大臣:
今言われたようなことは、今後更に詰めなければならないところもございますので、詰めて今月中にも明らかにしたいと考えております。早急に整理して、今月中にまた改めて申し上げたいと思います。
記者:
もう1点ですけれども、葬祭料ですが、これまで過去に海外で亡くなられた被爆者で、ご遺族が出ないということで申請しなかった例などもあるかと思うんですが、そういったところまで遡及して認めるということ、そういったことは特には考えていらっしゃらないんですか。
大臣:
そいうことも含めて検討します。
記者:
国家補償的な性格のところなんですけれども、これで言うと要するに国としてはまだ援護法の位置付けというのはこれまでと認識は変わりはないということでいいのでしょうか。
大臣:
そういうことです。援護法の位置付けにおいては、私どもの考え方を変えているものではございません。
記者:
税源に基づく社会保障ということですか、位置付けとしては。
大臣:
そうです。そのとおりです。
記者:
そうするとそれでも上告を断念したというところは高齢化ということもおっしゃっていましたが、人道的なところが大きいと思うんですけれども、そこら辺の大臣のお気持ち、どういうお気持ちで上告断念されたというところをもうちょっとおっしゃっていただきたいのですが。
大臣:
私が大臣になりましてからこうした在外被爆者の皆さんに係る判決がいろいろ出ました。その都度思っていたことでありますけれども、私どもの理屈は理屈でありますけれども高齢化しておられる、そして日本で今は海外にお住まいですけれども、被爆なさったという極めて重い事実もあります。そうした中で「何ができるんだろう」、「どうすればいいんだろう」ということをずっと思ってまいりました、考え続けてまいりました。そうした中で今回理屈は理屈として、どういう表現がいいんでしょうか、政治的決断とでも言いましょうか、私も途中ではずっと政治決断がどこかで必要だということは言い続けてきましたので、その表現で申し上げますとまさに今回政治決断をしたとご理解を下さい。
記者:
社会保障費の抑制策のマクロ指標の話ですけれども、諮問会議でこの前改めて提案されたようですし、それから自民党の与謝野政調会長からも「導入すべきだ」という声があったと思うんですけれども、こういうような状況を考えて厚生労働省は今まで積み上げ方式をおっしゃっていましたけれども、今後予算編成が近づいている中で、どういうふうに折り合いをつけていくのかというところを、今の時点の状況を踏まえて大臣どのようにお考えでしょうか。
大臣:
経済財政諮問会議では結構厳しいやりとりも続いておりますが、一方ではお互いの考え方、お互いにというのは、総額規制、頭からキャップをはめろというものと、私どもが主張しておる積み上げていってそれがちゃんと抑制につながればいいのでは、という考え方の間ではかなりの理解はされてきていると感じてはおります。この前の経済財政諮問会議でも体重計に乗ったらどうなるんだというような例え話でのやりとりもありました。民間議員の方からは、「体重計に乗ってちゃんと体重チェックすることは当然必要であろうと。それでこのくらいの体重に抑えるべきだということを決めておくこともまた当然必要であろうし、そしてそれよりも体重が増えていれば食事制限をしたり、運動したりという減らすということを考える、当然そういうことになるだろう」という例え話で言われましたので、私からは「その例え話で言うならば、いきなり無理な体重の設定をしてどうしてもこの体重にしなきゃいけないのだから、明日から飯も食べるなと、死んでもかまわないというようなことになったら、これはまずいですよね」というふうに言いました。そういうふうに言いましたら、民間議員の方から「いやいやそんな極端なことを言っているわけではなくて、あくまでも健康体を維持するところで体重は設定しなきゃいけないんだということを言っているんだ」と。実はそんな例え話での応酬もありましたけれども、あえてご紹介申し上げるのは最後の「健康体を維持するところでお互いに体重をセットしなきゃいかんよね」と言われた辺りにお互いに理解をしておる部分があると感じましたので、このお話を紹介するところであります。それからもう1つ申し上げますと、当日、宮島座長が出席しておられましたけれども、宮島座長の表現の中にも「マクロでやるやり方とミクロでやるやり方の、要は接点を見つけなきゃいかんということでしょう」という表現もございました。まさにそういったような理解がお互いにあるところですから、両方の接点を探るというこれからの作業になると思いますし、そのことに向けて私どもも精一杯の努力はいたします。私どもの試みの案、試案もまもなく出させていただきますので、そしてまたそういったことを念頭に置いたものにしたいと考えております。
記者:
その諮問会議では民間議員のペーパーで、依然としてデフレになって以降の調整から見ると、診療報酬は大幅に引き下げるべきであるという紙も出ておりましたけれども、特に診療報酬の本体の方で引き下げについて大臣の今の経済環境とあるいは全体状況を見てどのようにしていくべきかお考えになっていますでしょうか。
大臣:
これは中医協をどうするかという議論の中でも議論された1つでありますけれども、まずそもそも改定率をどうするんだという話であります。ご案内のようにこれは明確に政府の決めるべきこと、次年度、次々年度と言えるところですが、いずれにしましてもその後の予算に対してきっちり政府が枠を決めなきゃいかんわけですから、改定率というのは政府が責任を持って決めるべきことと有識者会議では結論づけられております。従いまして、今後はその形をとることになると考えておりますから、改定率そのものは暮れのと言いますか、政府予算案を作るときの政府の考え方で定めるということになりますので、そのときに決まるものと思っております。従って今それを私の立場で予測して申し上げるということは差し控えておこうと思います。
記者:
そうしますと本来的には政府が決めるべきものであったわけですけれども、中医協である程度の議論もして建議等もありましたが、今回は政府なり政治なりが予算の編成方針の中で主導権を取って決めていくということが強くなるということでよろしいでしょうか。
大臣:
そういうことです。今までは別にそれが、改めて私も見てみたのですが、どこかに明確に書いてあるとかということではなかったんです。「慣例で」とでも言うんでしょうか、これまでは中医協で議論をしてということになっておりましたけれども、そこの部分はなくなると考えております。
記者:
戻るようで申し訳ないんですけれども、野党の方が在外被爆者の手帳の取得の方も外在公館を使ってできるようにというような法案を議員提案されています。今後そういう声が広島・長崎の方からも出ると思うんですが、それにはどのようにお答えになりますか。
大臣:
この民主党が出された、昨日お出しになったというふうに聞いておりますけれども、前にお出しになったものは私も見ておりますが、改めて昨日お出しになったものは全く同じものなのか、少し変化しておるのか、ここもまだ確認をいたしておりませんので、よく見せていただきたいなと思っております。いずれにいたしましても、今国会に法案が出されたわけでありますから、今後国会の場でどういうふうに取り扱うかということは決められるものでございますので、それを待ちたいと思います。
記者:
三位一体のところですが、今度厚労省側から出される案というのは、金額はなかなか難しいという理解でいいのでしょうか。生活保護のところが決まっていませんので。
大臣:
まだこれからの検討でありますから、どういうふうにして出すか決めておりません。昨年も何回かそうしたやりとりをいたしておりますけれども、昨年の例で言いますと「こうしたらこうなります」、「こうしたらこうなります」という幾つかの数字でお出しをしておりますから、あるいは今年もそういう形になるかも知れません。
記者:
去年からの積み残し分があったと思うんですが、その範囲でということでよろしいんでしょうか。
大臣:
そういうことであります。全体で去年からというか「こうします」と言った枠があり、その中でうちの部分がこれだけといういわば積み残し分とでも言いますか、その数字がありますから、あくまでも数字はそれを前提にしてと考えております。

(了)