尾辻大臣記者会見概要

H17.06.01(水)16:45~17:10 省内会見場

広報室

会見の詳細

社会保険庁改革について

大臣:
昨日、「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」において、最終とりまとめをいただいたことを受けまして、本日私自身として、改めて改革へ向けた決意を明らかに致しますとともに、これを推進するための取組について発表をさせていただきたいと思います。
まず、今後の改革に向けての基本方針についてでありますけれども、申し上げましたように、内閣官房長官の下におかれました「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」において、これまで10回にわたり社会保険庁の業務改革や組織改革の在り方について御議論をいただき、昨日最終とりまとめがなされたところであります。この最終とりまとめでありますけども、まず業務改革につきましては、これはもう既に村瀬長官の下で、有識者会議の御意見も踏まえてとりまとめられております80項目にわたる「緊急対応プログラム」に沿いまして、調達委員会の設置でありますとか、それによる予算執行の透明性の確保、あるいは休日や夜間の年金相談の実施等の国民サービスの向上、それから行動計画の策定や市町村の所得情報の活用等による保険料徴収の徹底、こうしたことをはじめとして様々な業務改革が進められているところでありまして、引き続きこうした業務改革を着実に実現するなど、迅速かつ機動的に改革の取組を進めてまいります。
次に組織改革についてでございますけれども、このことについては、政管健保の運営と公的年金制度の運営を分離した上で、政管健保については、国から切り離された全国単位の公法人による運営とし、公的年金の運営主体については、複数の外部専門家から構成される「年金運営会議」を設置したり、外部専門家を「特別監査官」として登用するなどの点で、従来の組織とは異なる新たな国の行政組織とし、様々な構造改革も進めることとされております。
今後は、この有識者会議の最終とりまとめを受けまして、その実現に取り組まなければなりませんけれども、最終的な組織形態が国民の皆様の理解を得られ、信頼を回復することの出来るものとなるように村瀬長官とともに最善を尽くしてまいります。
そこで、今般、この取組の一環として、この最終とりまとめにおきましても「本取りまとめに基づく組織改革のより具体的な内容や進め方等について議論する場を別途、厚生労働大臣の下に設置する」と述べていただいておりますので、ポスト有識者会議というべき検討の場を、私厚生労働大臣の下に設置することとし、その設置準備に早急に取りかかるように事務方に指示を致したところでございます。
この会議では、今後の新組織の発足に向けて、組織改革のスケジュール、まずこのスケジュールもきっちり定めておかなければ今後の作業の進め方が決まりませんのでまずそのこと。さらに具体的な内容について御議論いただくということになるわけでございますが、私といたしましては、有識者会議の考え方を最も適切に具体化するにはどのようにすればよいかという視点に立つ必要がありますからまずそのこと。それから、そもそも社会保険庁改革は社会保険庁が国民の信頼を失ったことが発端でありますから、出来る限り国民の皆様に開かれた形で検討が行われるべきであり、これは全面に公開、いわば今中医協の在り方についてご議論も頂いております方式でやりたいと思っておりますけれども、そのように全面公開した上で国民の声を直接受け止めておられる方々の御意見を十分にお聞きすること。それから、社会保険庁改革を進めるには、保険料収納率をいかに向上させるかということが最重要課題でありますし、また、システム面の改革が、改革のスケジュールを決定する上でも事務処理の効率化の面からも重要であること。こうしたことも踏まえなければなりませんので、こうした課題の検討も十分になされる場とすることを特に留意して進めてまいりたいと考えております。
検討期間は、平成18年夏までと致しますけれども、来年の通常国会に予定している法案に関係する事項については年内に結論を出しませんと来年の通常国会に間に合いませんので、まずそのような事柄については年内に結論を出すということに致したいと存じます。そして、出来るだけ急いで、今から準備を致しますので出来るだけ急がなくては間に合いませんけれども急ぐ必要があると思っておりますので、6月中にも第1回会合を開催したいと考えておるところでございます。それから事務局についてでございます。全省的な立場で検討を進める観点から、関係部局の協力を得て社会保障担当の政策統括官の下に設置して行うことと致しております。あえて申し上げますと「社保庁を事務局にはしない」ということを明確にしておきます。
それから大きくもう1点。この有識者会議の取りまとめの中でも、社会保険と労働保険との徴収事務の一元化という、かねてからの行政改革の課題に着実に道筋をつける必要がある。こういうふうにも御指摘いただいております。そこで社会保険及び労働保険の徴収事務につきましては、事務次官以下関係局長・審議官等からなるチームを設置致しまして、徴収事務の一元化をさらに強力に推進するように指示を致しました。
社会保険及び労働保険の徴収事務の一元化につきましては、事業主の利便性の向上及び行政事務の効率化を図る観点から、これまでにも必要な措置を逐次講じてきておりますけれども、今後はこのチームにおいて、昨年12月に閣議決定されました「今後の行政改革の方針」等を踏まえまして、事務処理の運用によって措置可能な事項については検討を急ぎ、必要に応じ平成18年度概算要求に盛り込む等逐次実現を図る。法律改正が必要な事項については、今年度中に結論を得て社会保険又は労働保険の制度改正に合わせて可能なものから所要の措置を講ずることとしております。
このチームは事務次官以下のチームにしてございますけれども、私も議論の経過については随時報告を受け、必要な指示も行いながら省としてきちんとまずとりまとめをしたいと考えておるところでございます。私からの説明は以上でございます。

質疑

記者:
1つは前段の「大臣の下に置かれる議論の場」ですが、性格としては有識者会議というような格好になるかと思うんですけれども、人選とその人選に当たっての留意点についてどのようにお考えになっていらっしゃいますかを確認させていただきたい。
大臣:
昨日最終とりまとめが行われ、それを受けて今日からこの作業に入っておりますので、どういう方にお願いするかということはこれからでございます。ただ、国民の皆様方が思っておられる社会保険庁改革に対する色んな思いがあると思いますから、そうした思いを代表していただく方、一人の方で全てというわけにはいかんわけでありますので、色んなお思いがおありだろう各方面の方々。色んな思いをそれぞれ言っていただける方にお願いをしたいと考えております。さらに、あえて申し上げますと、私は2つの約束があると思っております。1つは「最終とりまとめを尊重いたします」とかねて国会でもお答え申し上げ約束をしたことであります。同時にまた国会における発言・答弁の中で「解体的に出直します」とも約束を致しておりますから、この2つの約束を満足させる答えを作りたいと思っております。そうしたご議論をいただける方にメンバーになっていただくと大変有り難いと思っているところであります。
記者:
後段の方の「徴収事務の一元化」の件ですが、これは大臣が有識者会議の中でも度々お答えになってきたことだと思うんですけれども、今回こういう形でチームを作られるということですが、改めてこの一元化を進める、今までもこういう話がありながらあまり進んで来なかったのが実情だと思うんですが、その決意を教えて下さい。
大臣:
かねて私は社会保険庁の改革の中でも「徴収をどうするか」というのは非常に大きな論点だと言って参りました。そこで、まず第一歩として省内における社会保険と労働保険の徴収の事務の一元化というのを進める。大きな改革の第一歩としてまずここを進めないとことが進んでいきませんから、まずここから取りかかるということでチームを作るように指示し、一元化に向けて進めるように言ったものであります。
記者:
有識者会議の報告書に従うならば、保険料の徴収というのは新しい年金の方の組織に一元化するという形になっていたとは思うのですが、労働保険との徴収の一元化を進めていくということは、労働保険に関しても将来的には年金部門を担当する運営組織が扱うということを想定されているのでしょうか。
大臣:
今直ちに私が想定しているものではありませんけれども、行き着く先があるいはそうなるかもしれないと思っておるところであります。ただまずは省内における社会保険と労働保険の徴収事務一元化からきっちり進めていくべきであると考えておるところであります。
記者:
徴収事務と実際の徴収をすることと違いがあると思うのですが、大臣はどこまでの一元化を思ってらっしゃるのでしょうか。
大臣:
今チームを作って検討を進めるように言っておりますから、私がどこまでということを直ちに指示している、念頭においているということはありません。最終的には大きく徴収の、まさに一元化をすべきであろうと私は思っておりますから、それに向けて一歩ずつ進めていくべきと考えておりまして、そうした中で検討してほしいと考えております。
記者:
新たな有識者会議の結論のメドというのはいつ頃に置いてらっしゃるのでしょうか。
大臣:
先ほども申し上げましたように、整理してくるとまず来年法律改正をお願いしなきゃならない事項が出てくると思います。それは来年の通常国会に提案するということから逆算いたしますと、遅くとも年内。本当はもう少し早い方がいいと思いますけれども、その事柄についてはそこで1つの結論を出しておきたい。そして来年の通常国会に提案をしたいと思っております。それから議論を進めていただいて、来年の夏までには1つの答えを大きく作り上げていただきたいと思っているところでございます。
記者:
来年の夏までの部分というのは、法律には直接はかからないけれども変えなきゃいけない部分ということでしょうか。
大臣:
そうですね。また将来的に法律に関わる部分が入るかも知れませんけれども。大きく仕分けをすると「来年の通常国会に法律改正をお願いする事項」と「それに入らない事項」とでも言いましょうか。今私の中で整理しているのはそういうことであります。
記者:
新たに設置される会議の人数といいますか、あまり各界各層だとかなり多くなりますがそのつもりなのか、少数精鋭でいかれるつもりなのか。大臣のお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
どちらかというと、今のどちらだというお尋ねになりますと、私の表現では少数精鋭で考えております。
記者:
新しい組織の名称なんですけれども、これも有識者会議の方であるいは国民の皆さんから公募するとかお考えになってらっしゃるのでしょうか。
大臣:
社会保険庁が生まれ変わる新しい組織の名称ですか。これは各方面でご議論があるだろうと思いますが。新しく作るところでも議論はしていただきたいと思いますし、与党などもまたご議論なさるでしょうし、そうしたすり合わせが今後出てくるんだろうと思っております。
記者:
1点確認なんですけれども、新しくできる年金を引き継ぐ新組織の部分だけをやるということですか。政管の部分を引き継ぐ公法人の在り方についても有識者会議はやっていただくのか。
大臣:
両方やってもらおうと思っています。
記者:
「年内に」ということで、それほど時間があるとは言えないと思うんですけれども、どのぐらいの頻度というか、どのくらいのペースで会議をやりたいと思っていますか。
大臣:
これは委員になっていただく方々とご相談をしなきゃならないことですが、おっしゃるように極めて時間が限られておると思いますから、できるなら月に2回は開いていただきたいというのが、今私の願っておることであります。
記者:
社保庁の有識者会議とは別の質問を2点したいのですが。1点は先ほど発表がありました合計特殊出生率が1.2888、四捨五入すると1.29なんですけれども、過去最低を更新したことについてのご感想。今日のお召し物がクールビズで、大変お似合いでいらっしゃるのですが、そのご感想とそのシャツはどちらでご購入されて、奥様と一緒にお買い物されたかどうかというこの2点について。
大臣:
まずは格好の方から申し上げます。これは新しく買ったものではありませんで、持っていたものをあっちこっち引っ張りまわして、見つけ出して着てきました。今着ている感じは、「涼しくていいな」と思う面もありますが、まだ違和感の方が強いというところでございます。
それから出生率の方でございます。まだ出生率が下げ止まっていない、という表現でいいのかどうかわかりませんが、まだ低下している傾向にあるというのは、一生懸命少子化対策を進めてきた一人として残念であります。ただ細かにいろんな数字見ますと、ややこの後下げ止まるか、と言いますか「少し出生率が改善をしていくかな」と見えるようなところもありますので、この後来年の数字を見ていきたいと思っております。
記者:
年金制度をはじめとしたいろんな社会保障制度というのは、出生率がかなり大きな要素だと思うんですけれども、諸制度に対する影響というのは現時点ではどのように見通されているのでしょうか。
大臣:
年金制度というのは極めて長いものであります。そして昨年私どもが改正させていただいた制度そのものはご案内のように2100年までを見込んだ、2100年のところでどういう収支になるか計算をしております。極めて長いものでありますから、去年の出生率の数字が直ちに大きな見通し・推計の中での割合を占めるものではない。もっと長期的にみるべきものだと思っております。したがって今後の出生率についても経過を見守らなきゃいけませんし、また年金計算については出生率だけではなくその他の条件もいっぱいありますから、そうしたものも見なきゃいかんと思っております。
記者:
追加的な少子化対策みたいなことをご検討されるのでしょうか。
大臣:
これは政府全体で考えようと言っておりますから、さらに政府全体で検討していきたいと思っております。
記者:
先ほどの「下げ止まるかな、改善しているかなと思うところ」というのは、どういったところを指していらっしゃるのでしょうか。
大臣:
細かな資料は持っていませんので正確であるかどうか自信はありませんが、35歳から39歳の皆さんの出生率がかなり上がってきておる※。要するに私が申し上げたいことは、晩婚化が進んでおる。どうしても晩婚化が進む途中では出生率は計算上下がっていく。しかし晩婚化がある程度進んでそこで定着するというか、晩婚化が止まってそのあたりの皆さんの出生率が上がってくれば出生率は段々数字が上がってきます。数字を見ていますとそういう傾向も全体的に見られると判断もできると思っているものですから、申し上げたところであります。
記者:
クールビズですが、とりあえず9月まで続ける、今後もずっとしばらく続けるというお考えですか。
大臣:
総理もそう言っておられますし、これは昨日閣僚懇でだいぶプレッシャーをかけられております。「大臣がそうしないと周りの皆さんが全然そうできないんじゃないか」と言われると、極めて強いプレッシャーでありまして、できるだけがんばって努めたいと思っております。ただ一方国会とか委員会の対応がどうなるのか。「本会議はネクタイを締めろ」と言われるとまさかこの格好にネクタイを締めるわけにはいきませんから、その日はどんな格好をしてきてぱっとネクタイを締めるかなということを思ったりしまして、大変悩み多いところでございます。

※合計特殊出生率

30~34歳
平成15年 0.4333
平成16年 0.4364 (対前年 +0.0031)

35~39歳
平成15年 0.1678
平成16年 0.1755 (対前年 +0.0077)

(了)