閣議後記者会見概要

H16.07.06(火)9:58~10:25 厚生労働省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
閣議におきましては、総務大臣から平成16年情報通信に関する現状報告についての報告があり、もう一つ総務大臣から国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申出及び対処方針についてでございます。それからもう一つは、総務大臣のアジア太平洋ブロードバンドサミット出席についての報告がございました。それから平成16年版日本の防衛につきまして、防衛庁長官からの発言がございました。閣議の案件は以上でございます。

社会保険庁改革について

大臣:
社会保険庁の人事並びに社会保障の在り方に関する懇談会につきましてのご報告を申し上げたいというふうに思っております。まず、社会保険庁の人事でございますが、年金や医療に関します国民の信頼を回復するためには、国民の立場に立った社会保険庁の構築ということが当然のことながら必要でございます。年金財源を使用する行政の在り方でありますとか、あるいはその効率性につきまして様々なご指摘を受けていたところでございます。この際、民間の発想や考え方を取り入れまして、無駄のないサービスに徹した社会保険庁をつくり上げて、業務組織の在り方もその中で見直していく、そういうことを行っていかなければいけないというふうに思っております。そうした意味から長官人事を見直しまして、民間から人材を起用することとした次第でございます。多くの皆さんのご協力を頂きまして、改革の意欲を持った人であり、部下から信頼をされている人を基準として選んだつもりでございます。ようやくご本人並びに所属される企業からの内諾を受けましたので、ここで発表させていただきます。既に皆さん方のお手元にお配りを致しておりますが、株式会社損害保険ジャパン代表取締役副社長執行役員であります、村瀬清司氏、57歳。岐阜県の出身で東北大学経済学部の卒業の方でございます。現在のところ、内諾の段階でございますので正式な発令は今月の中旬頃になろうかというふうに思っております。損保は社会保険庁業務との類似性というものもございますし、大規模な事務処理システムとその運用が行われておりますこと、また、事業所の全国展開が行われておりますこと、これらの業務に幅広く責任者として指導されてきた経緯が村瀬さんにはありますこと、組織改革、社員の意欲改革にも意欲的に取り組んでこられたこと等を評価したところでございます。新長官を支える体制でございますが、新長官に随時高い見識に基づきまして、アドバイスを行うことが出来る、いわば最高顧問と申しましょうか、そういう方を2、3名配置したいと思っております。現在そうした方にも既にお願いをしているところでございます。それから長官の業務上の相談に応じる数名程度のアドバイザリィスタッフ、長官がいろいろな事をおやりになります時に、その手足となって動いていただく方、そうした方につきましても数名程度配置をしたいというふうに思っております。主な課題別にこの責務を持っていただいて、その下に若干名事務スタッフを配置をするということにしたいというふうに思っております。それから社会保険庁の事業運営全般につきまして、国民の意見を反映するために労使の代表でありますとか、あるいは学識経験者を含めました運営評議会を設置することにしたいと思っております。これも数名から10名くらいを予定いたしておりますが、そうした運営評議会におきまして、この新長官をバックアップをしていく、また意見具申を行うといったことにしていきたいというふうに思っているところでございます。また地方の社会保険庁は6カ所のブロック別になっておりますが、ブロックにおきましても業務改革・改善を行う、民間実務スタッフを若干名ずつ配置をするといったことにいたしまして、地方からの声も吸い上げていきたいというふうに思っております。もちろん社会保険庁の職員の皆さんの中で、改革の意欲に富んだ皆さん方にも当然の事ながら参加をしていただきまして、そして新長官を盛り上げていただくような体制を作り上げたいというふうに思っているところでございます。当面する改革・改善の問題点と申しますか、そうした点は先般私の私案を発表させていただきましたときにも申し上げたところでございますが、1つは年金福祉施設の整理あるいは合理化、そうしたものを進めていく。それから、原則競争入札を含みます予算執行の徹底した見直しを行う。個人データの完全管理と国民のニーズに応じた相談システムの構築。徴収の在り方を抜本的に見直し、その対応の仕方を考えていく。これらのことが新長官の下で思い切って見直されていくことを期待をいたしているところでございます。その他社会保険庁の在り方の検討会議というものを官房長官の下につくることになっておりますが、こちらの方は現在人選も進めているところでございまして、広い立場から保険料を払っていただいております皆さん方のご意見をお聞きをし、そして有識者の皆さん方にお集まりをいただいて、社会保険庁そのものを今後どういうふうにしていくことが望ましいかといった議論をしていただく。内部から新長官を中心にして改革の方向性を探っていただいて、双方相まって新しい方向性をその中に構築をしていくということにさせていただきたいと思ってるところでございます。以上私の方から申し上げることは、この長官人事につきましては以上の通りでございます。

社会保障の在り方に関する懇談会

大臣:
もう1つの方の社会保障の在り方に関する懇談会でございますが、これも皆さんのお手元にお配りをしてあるというふうに思いますけれども、メンバーといたしましては有識者の方として、税制調査会会長の石先生。それから日本労働組合総連合会会長であります笹森さん。それから都道府県知事さんの中から熊本県知事さんの潮谷さん。それから日本経団連副会長であります西室さん。奥田会長に申し上げたわけでございますけれども、会長非常にご多忙でございまして、いろいろの役職を持っている関係から副会長にお願いをしたいということでございますので、こういうふうにさせていただきました。それから社会保障審議会年金部会長であります宮島さん。その他1、2まだ加わっていただく予定にいたしております。政府側の方も内閣官房長官を中心にいたしまして、内閣府特命担当大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣がそこに入りまして、議論を進めて行く。これは社会保障全体の枠組をどうしていくかということでございます。来年介護の問題を控えておりますだけに、こちらの方の議論というものもかなり積極的に行っていただいて、そうした全体の中で介護の位置づけというものにつきましてのご議論をしていただければ幸いだと私は思っているところでございます。私の方からは以上でございます。

質疑

記者:
社会保障の在り方の懇談会のことなんですけれども、初会合はいつ頃をメドにされているのでしょうか。
大臣:
まだこれからお入りいただく方もございますし、内々お話は申し上げておりますけれども、選挙終わりましたら正式に決定できるというふうに思っておりまして、今月中には初会合をもてるようにしていただきたいというふうに思っております。
記者:
まだメンバーが十分固まっていない今日の段階であえて発表された意図というのは、どういうところにあるのでしょうか。
大臣:
主なメンバーはこういうことでございます。しかし中には選挙後まで少し待って欲しいとおっしゃる方もございますので、それはそうおっしゃる皆さんのご意志を尊重してお待ちを申し上げるということでございまして、一応ここにお示しをした方を中心にしながら進めていく、既に決定した皆さん方はこのままこれで進めさせていただきたいというふうに思っております。
記者:
新長官なんですけれども、村瀬さんを起用するにいたった経緯と先ほど業務にいろいろ精通されてて、責任を持って仕事をされていたということをおっしゃられてましたが、もう少し詳しくどういった点がこの方の起用にいたったのかというのを説明していただきたいのですが。
大臣:
人事のことでございますから、あまり具体的なことを申し上げるわけにはいきませんけれども、しかし先ほども申しました通り、現在各企業の中で活躍をしておみえになる方、そしてその中で改革の意欲を持ってお取組みになっている方、しかも部下の皆さん方から信頼を寄せられている方、そうした方が望ましいと思いまして、それ以外のいろいろの条件もあろうかと思いますけれども、それ以外は申し上げません。そうした中で適任者を一つお教えを頂きたいということを申し上げたわけでございます。各種業界にも、いろいろ個別には当たってきておりましたけれども、やはり個別に当たっておりましても、なかなかうまくいきにくい点もあったものでございますから、それぞれの業界にお願いをした方がいいのではないかということになりました。損保協会は6月30日に総会等がございまして、多くのところがそこで済ませられているところでございますので、この損保ジャパンの社長さんが会長さんになられたということもございまして、その損保協会の会長さんであります平野さんにお願いを申し上げたということでございます。非常に短な期間でありますので、責任を感じていただいて、そして自分の会社の中からこの人ならどうだろうかというご推薦をいただいたというふうに考えております。お会いをさせていただいて、真に誠実なお人柄というふうにお見受け致しましたし、今までの社内におきます実績等もお聞きを致しましたが、立派なご成績というふうに承りまして、この方であれば社会保険庁の職員共々に改革をやっていただけるのではないかというふうに思った次第でございます。
記者:
この長官を支える体制では、多分3、40人ぐらいの民間人を入れるということになると思うのですけれども、どういう時期にこういう体制をとられていくのか教えていただけますか。
大臣:
長官にまずご就任をいただいて、そして長官のご意見を聞かなければいけないというふうに思っておりますが、まず早速決めなければならないのは最高顧問的な方と、その手足となりますスタッフ、ここのところは長官も就任いただきましたら直ちに決定をしなければいけないというふうに思っております。そのあとご意見も伺いながら、また皆さんのご意見を伺いながら順次その体制を進めていきたいというふうに思っております。
記者:
新しい長官とお会いになったのは、いつ、どこでお会いになったのですか。
大臣:
人事のことでございますから、そこまで申し上げるのは控えさせていただきたいというふうに思いますが、お会いをさせていただきまして、むしろその時にはこちらの状況、社会保険庁がどういう状況にあるか、そして社会保険庁がどういうことで多くの皆さん方から批判を受けたりしているか、そうしたこちらの状況について主にご説明を申し上げたということでございます。そうしたやりとりの中で、人間味のある方だというふうに思ったということでございます。
記者:
村瀬新長官の改革に向けての、どういう意気込みのある言葉というのは何かありましたでしょうか。
大臣:
言葉と言いますよりも、これは行動ですから、改革と言いますのは。現在まで企業の中でお取組みになっていたこと、そうしたことをお聞きをして、私が意欲のある方というふうに受取りをさせていただいております。
記者:
新長官の任期のようなものをお考えなのでしょうか。
大臣:
任期は考えておりませんけれども、新長官がどういう期間で、どういうふうにお進めをいただくかということにも関わってくるというふうに思いますので、期間は決めておりませんけれども、しかしこの改革の期間というのはそんなに時間をかけてというわけにはいかないというふうに思います。少なくとも1年くらいお勤めをいただいた段階で、社会保険庁の今後のあるべき姿というものを、長官のご意見を交えて、そしてまた外部の有識者の皆さん方のご意見も交えて方向性を決定していく。その段階で、どういう手順でどのように改革を進めていくかということが自ずから決まってくるというふうに思いますので、そうしたことを踏まえて長官にはご就任をいただきたいというふうに思っている次第でございます。
記者:
村瀬さんから引き受けるという返事があったのはいつですか。
大臣:
ご自身だけのご意志ではなかなか決まらないことでございまして、当然のことながら一つの大きな企業の中で働いておみえになるわけでございますから、ご自身のご意見と企業の決断と申しますか、そういう人材を言ってみれば失うわけでありますから、企業としても大きな決断をしていただかなければならなかったというふうに思っております。したがって相まって決断をしていただいたわけでございます。それはもう昨日の最終まで、それはかかったというふうに受け止めております。
記者:
社会保障の懇談会で、社会保障全体の議論であるにもかかわらず、社会保障審議会年金部会長だけが出席されるのはどういう理由付けなのでしょうか。
大臣:
社会保障全体のことを考えていきます場合に、それは今までの社会保障の範囲の中だけではなくて、税制の問題も絡んでまいりますし、今後の経済の問題も絡んでくるわけでございます。そうした広い視野の中で、日本の人口統計等を見ながら、今後どういうふうに社会保障の問題を進めていくかということを考えなければならないというふうに思います。そうした意味で、今までのいわゆる社会保障の中身をどうするかという議論ではなくて、社会保障の外側を含めた議論と申しますか、経済も税制も全てを含めて議論を行っていく。あるいはまた地方分権等も考えながら、その中でどういう形を構築をし、どのようにお互いに負担をしていくかということを考えていくのが大事なことだということではないかというふうに思っております。
記者:
そうすると、そういう視点で考える場合には年金が中心になるということなのでしょうか。
大臣:
年金ももちろん中心でございますが、年金だけではございません。ですから年金なら年金の問題に、これからどれだけ税収をそこに投入出来るのかといったことを考えました時に、年金だけを考えておりましては、そこは出てきませんから、医療や介護のことも全体を考えて、年金に対する配分というのはどこまで一体出来るものなのかということを考えないといけない。そう致しますと、その税収はどういう形で、どういう税制で、どこまでそれは国民の皆さん方にお願いをしなければならないのかといったことが明らかになってくると思いますから、総合的な判断の中で、今後年金なら年金のあるべき姿というものが浮き上がってくるのではないかというふうに考えております。
記者:
社会保障のその懇談会について、改めて位置づけと、それから先ほど介護について、社会保障の位置づけについて、まず議論していただきたいというふうにおっしゃいましたが、ということであれば当然介護について集中的に議論をしてもらいたいということを考えているのでしょうか。
大臣:
いえ、そういうことではございませんで、社会保障全体について議論をしていただくわけでございますけれども、その中で比較的急を要しているものということになりますと、やはり介護の問題が非常に急を要しているものですから、来年の国会に提案をさせていただきます介護の負担のあり方等につきまして、やはり少し大枠の議論をしていただいて、その中で決定をしていく必要があるのではないかということを申し上げさせていただいたわけでございます。社会保障は全体として、あるいはその中に障害者の問題も含まれるかもしれません。全体としての将来の財源、どのくらい見込まなければならないものか、それに対する税と保険料と自己負担との対応をどう考えていくかという大枠の議論がそこに必要ではないかというふうに思っておりまして、そうした大枠の議論を進める中ではございますけれども、その中で介護の問題は比較的急を要する問題でございますので、その介護の問題につきましては、特段いろいろのご意見を伺うことが出来ればというふうに、私個人が思っているということを申し上げたところでございます。

(了)