閣議後記者会見概要

H15.11.18(火)10:37~10:55 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
閣議におきましては、大臣発言としましては総務大臣から今後の地方自治制度のあり方に関する地方制度調査会の答申についてのご発言がありました。それ一件だけでございます。

閣議後懇談会について

大臣:
それから懇談会におきましては、内閣府の特命担当大臣から発言がございまして、第3回の産学官連携サミットの開催につきまして発言がございました。今日の閣議は以上でございます。

その他

大臣:
私の方から報告をもう一つ申し上げておきたいことは、これは薬剤の話でございますが、いわゆるいくつかの薬を組み合わして併用療法、それに必要な抗がん剤の効能追加の承認、保険適用の促進ということでございます。これは例えば胃がんなら胃がんの薬として使っていると、しかしそれが膀胱がんなら膀胱がんに効くということが分かってきました。しかし現在膀胱がんには保険適用になっていない、といったようなことがございます。そうしたことがありますので、がんの治療方法の一つとして抗がん剤の併用療法がありますが、使用されている抗がん剤の中にはがんの種類によって薬事法上承認されていない効能がある、承認されていない種類のがんに対して、抗がん剤を使用する場合には保険適用がされないために、現状では併用療法を行うことが困難な状況にございます。このような問題を解決しますために、特に医学界の皆さん方、特にがんの専門家の皆さん方を中心になっていただきまして、委員会を設置をいたしまして、有効性、安全性に関するエビデンスを収集、評価した上で、薬事法上の承認ステップにつなげる体制を整えたいというふうに思います。保険上の手当につきましてはいわゆる特定療養費による対応を行う方向で中医協にも諮りたいというふうに思っております。したがいまして、今まで現場ではこういうふうなところに効くからこれを使いたいという気持ちがありましても、製薬会社の方では、それをそういうふうにしてその販売が出来るかどうかというようなことで躊躇するといったようなことがございましたので、現場で実際に治療しておみえになるがんの研究者やあるいは治療を行っておる先生方を中心にしてこういうものをこれは認めるべきだというようなことをちゃんとして、そしてそのことについて製薬会社等とも話をつけていくと、こういう話にしたいというふうに思っております。そこは特定療養費ということにして、例えば胃がんに必要なものが膀胱がんに使います時に、その薬そのものは実費でありますけれども、その他の治療につきましては保険適用でみていくと、いう形にしたいと。今までですとその薬が保険適用になりませんとその治療全体が保険適用にならない、という形になっておりましたので、大変患者さんにも重い負担になっている、効くことがわかっていながら治療が進まないということがございましたので、そこを乗り越えたいというふうに思っております。そうしたことで抗がん剤併用療法検討委員会というのをつくりまして、近く学者の先生方を中心にいたしまして、この委員会をつくりたいというふうに思っております。早急にやりたいというふうに思っております。オブザーバーとしまして、製薬団体等もお入りをいただいてお話を伺うこともあると、こういうことにしたいというふうに思っております。もちろん事務局は医政局と医薬食品局両方でやりたいというふうに思っております。かなり厚生労働省全体に関わる問題でございますので、各局間でよく調整をして行うようにしたいというふうに思っているところでございます。以上私の方からご報告を申し上げました。

質疑

記者:
その併用療法なのですが、今までずっと申請主義で来ているわけでありますけれども、その方針は変わりないということですか。専門家からご推薦いただいたものについて申請していただくように促すと。
大臣:
そういうことですね、はい。製薬会社だけですとそれが本当に申請して使われるのかどうかということで、躊躇するということが多かったものですから、なかなか前へ進まなかった、それで使っていただく側の方でこういう効果があると、これは是非こういうふうにして欲しいという意見をそこで出してもらって、むしろこれで出してくださいというふうに言うと、いうことでございます。
記者:
海外でよく行われている抗がん剤の標準治療というものが日本で出来ないということに対する対応だというふうに理解してよろしいですよね。併用療法ということであれば。よくいろいろな療法が出来ないということが言われているのですが。
大臣:
海外の薬も例えば胃がんなら胃がんでは許可されている、というようなものがございます。他でもそれは良い、というような場合もございますから。
記者:
委員会はいつくらいに立ち上げるのでしょうか。
大臣:
先生方にお願いをしなければなりませんから、すぐに対応にかかりまして今月の末か12月の初めか、そのくらいには是非委員会をつくりたいというふうに思っております。
記者:
いつ頃までに結論を出されるおつもりですか。
大臣:
そこまで私が言うわけにまいりませんので、その委員の先生方にご議論をいただいて、そこで一致するところから逐一進めていくということになるだろうというふうに思います。
記者:
それは特定のがんということではなくて、全てのがんに対しての抗がん剤で。
大臣:
そういうことですね。
記者:
大臣のイメージとしましてはどれくらいのボリュームといいますか、どれくらいの種類の薬を認めるべきだというお考えでしょうか。
大臣:
私も全部の薬の名前を知っているわけではありませんので、なんとも少し申し上げにくいわけですけれども、ざっと挙げましたものでも10項目か12、3は我々の方もリストアップいたしておりますけれども、まだ他にもあるかもしれませんし、そこは専門家の先生方のご意見聞いてやりたいというふうに思っております。
記者:
確か先月あたりの中央社会保険医療協議会で、そういった薬をどんどん認めていこうという方向が出たと思うのですけれども、今回大臣が専門家委員会をつくるということは、そういう委員会をつくらないとなかなかそういう薬の承認というのは積極的に進まないだろうという考えで。
大臣:
そういうことでございます。
記者:
現在もそういった促進策で、2、3ヵ月で、というふうなことをやっているのですが、今回専門家会議をつくられることで、さらにスピードアップを進められるということでしょうか。それともいろいろ治験データとか、日本で集めにくいデータに何か配慮されるということなのでしょうか。
大臣:
スピードアップにもなりますし、いわゆる量的拡大も出来るだろうというふうに思っておりますが、ものによりましては、治験をやらないといけないというものあると思います。そうしたものにつきましては、早急に病院側の方で治験を進めていただくといったようなことにもなってくるだろうと。だから治験の問題と、それからいわゆる製造の問題と、それから使う側の問題と、それぞれあるだろうというふうに思いますが、そこを前に進めるようにしないことには進まないものですから、一つそういう委員会をつくって進めると、そういうふうに思ってます。
記者:
今日の閣議、または閣僚懇談会では、年金改革についての他の大臣からの言及というのはありませんでしたでしょうか。
大臣:
ありませんでした、残念ながら。
記者:
昨夜の記者に対する小泉総理の会見で、50パーセントについては記者団の方から、下限を守ると思っているかという問いに対して、程度と言っている、弾力的に考えると、必ずしも50パーセントを下限とすることにこだわらないと受け取れる発言があったのですが、この辺は昨日総理とお会いしていらっしゃると思うのですけれども、何か特にお二人の間でやりとりがあったのか、改めてお伺い出来ますでしょうか。
大臣:
密約めいたものはございません。これからでございます。よく話し合ってそこは決めたいというふうに思っています。給付の方がどれだけになるかということは、負担をどれだけにするかということにとって、これも自動的にというとちょっと言い過ぎですけれども、大体決まってくる話でございますから、まずは負担をどのくらいにするかということを決めれば、あとは自然に決まってくるというふうに思っています。だからそこが一番問題だろうというふうに、20パーセントがそれが重いのかどうかということなのだろうというふうに思っています。今年の5月でしたか、有識者調査というものを厚生労働省はやっているわけで、あらゆる分野の有識者にお聞きをいたしておりますが、そこで経済界の皆さん方も約60パーセントの人は20パーセントの負担はやむを得ないだろうというふうに言っておみえになる。むしろ23とか26とかいうような数字をあげた方もありますけれども、6割が20パーセントが一つの限度ではないかというふうにおっしゃって、学識経験者の方も59パーセントくらいの方はそういうふうにお答えになっている。ここで一番20パーセントに対して抵抗を示した、非常に少なかったのはこれは連合の皆さん方でありまして、32パーセントくらいが賛成というふうに、かなり際立って少なかった。多分連合の皆さん方からしてみれば、それはそんなに自分たちが出さなくても、もっと企業の側が出してくれよということではないのかなと私は思いますけれども、普通の半分くらいの数字というふうに思っております。あるいは税制で、税金で出してくれということなのかもしれない。そこはちょっとよくわからない。そういうご意見が、いろいろあった、その辺のところも踏まえて我々も出しておりますので、かなり多くの皆さん方の意見の集約の出来るところではないかというふうに思っておりますけれども、今日は経済財政諮問会議もございますし、いろいろのご意見が出るだろうというふうに思いますから、そこはよく聞いて最終判断をしたいというふうに思っております。
記者:
診療報酬の見直しの件なのですけれども、財務省の引き下げ事項に対して、医師会からも反発しているようですけれども、改めて大臣はこの問題についてどのようにお考えなのでしょうか。
大臣:
これはいわゆる医療経済実態調査というのが間もなく出ます。それから薬価の調査の結果が間もなく出ます。これが11月末から12月の初めにかけて出るわけでありまして、この二つの調査が出ましてから、本格的にどうするかという議論になるだろうというふうに思っております。現在まだその二つとも調査の結果が出ておりませんので、私も意見を申し上げることは差し控えたいというふうに思っておりますが、昨年の6月の調査の結果、あるいは今年になりましてからの動向を見ておりますと、かなり医療界が悪戦苦闘しているという姿は、そこから読みとれるわけでありまして、だからそうしたことも十分に参考にしながら決めないといけないというふうに思っております。ただ正式なものはまだ出てきておりませんので、出ましたらその時点でどうするかということに検討を開始したいというふうに思っております。

(了)