閣議後記者会見

H15.09.05(金)10:45~11:31 厚生労働省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
閣議の方からのご報告申し上げたいと思いますが、閣議は石破防衛庁長官の中華人民共和国訪問についてのご報告がございまして、続きまして、細田沖縄及び北方対策担当大臣の北方領土訪問についてのご報告がございました。亀井農林水産大臣の米国訪問についてのご報告があり、平沼経済産業大臣の日アセアン経済大臣会合、日中韓アセアン経済大臣会合及び日中韓経済貿易大臣会合への出席についてご報告がございました。

閣僚懇談会について

大臣:
閣議については以上でございますが、閣僚懇談会におきまして鴻池大臣から構造改革特区構想の第三次提案についての報告がありまして、同じく構造改革特区の第三次提案について内閣総理大臣から、各省庁は前向きに対応してくれていると考えるが、構造改革特区は「官から民へ」、「国から地方へ」という構造改革を加速させるための、突破口となるものである。今後とも、民間や地方自治体の提案について「実現するにはどうすればいいか」という方向で対応するよう、事務方に指示していただきたい。という訓辞がございました。以上でございます。

犯罪対策閣僚会議について

大臣:
そのあと、犯罪対策閣僚会議がございまして、ここではそれぞれの大臣からの発言がありました。私の方からも発言をしまして、覚醒剤をはじめとする薬物事犯の検挙者が年間2万人近く推移している。大変深刻な状況となっております。この閣僚会議の席におきまして、一層各省庁協力をお願いを申し上げたい、ということでした。また、外国人少年犯罪の3分の2をブラジル人が占めている状況等を勘案いたしまして、不就労の日系人に対する就労支援対策の強化をあわせて行うこととしたい、ということを申し上げたところでございます。かなりブラジルの方のお子さんで学校に行かずにそして、不就労でお見えになるという方が非常に増えてきているということがございます。学校の方は文部科学省でございますが、就労の問題につきまして、今まで以上に積極的に取り組みたいと思っている次第でございます。以上、閣議及びその後の懇談につきましてのご報告でございます。

年金改革における坂口試案について

大臣:
年金につきまして、それでは私の試案ということで提出をさせていただきます内容につきまして、改めてご紹介を申し上げたいと思います。もうすでに幾つかのところで、報告を申し上げたこともございますし、重複する段はお許しをいただきたい。この年金改革坂口試案を発表いたします背景について、まず申し上げたいというふうに思いますが、今年末までに改革案を決定をするためには、時間が非常に少なくなってまいりまして、論議を加速させる必要があると考えております。昨年の末に一つのたたき台と申しますか、厚生労働省で計算をいたしましたものを提案をさせていただきまして、早く議論を進めていただきたいというふうに思っておりましたけれども、案外、様々な問題がございまして、また、国会も非常に多忙であったということもありまして、年金そのものの議論というものが、遅れてまいりました。この12月にはどうしても案をまとめ、そして法律にしなければならないわけでございますので、残されたところ3ヶ月しか時間がございません。そこで1日でも早く年金制度の問題を議論いただき、国民の皆さん方にもご理解をいただくようにしなければならないと考えております。そうした意味で、この試案を提出させていただくということにしたわけでございます。厚生労働省試案にしたいというふうに考えておりましたけれども、自民党の総裁選挙もあり、政治的な日程が続きます中でございますけれども、各方面に与える影響も大きいというふうに思われます。従いまして現段階では、私の試案にとどめさせていただきまして、議論が深まった段階で、できるだけ早く厚生労働省試案を発表させていただきたいというふうに思っているところでございます。この試案は、各種制度体系の改革に共通しております、負担と給付、この問題に限定をいたしまして、まとめているところでございます。制度改革もこれはついて回るわけでございますし、年末には制度改革も併せてこれは厚生労働省案を作って、お示しをしなければならないわけでございますけれども、いずれにいたしましても議論はこれから進めていただくわけでございます。どの案にいたしましても、負担と給付というのはこれはもうついて回るわけでございますので、ここに集約をしてといいますか、この点を中心にして今回まとめたものでございます。試案は一つの選択肢ではございますけれども、今までの経済財政諮問会議でございますとか社会保障審議会、その中の年金部会の議論も踏まえたものでございまして、その上にたって私の考え方をまとめたものでございます。
試案の概要についてご報告を申し上げたいというふうに思います。国民の7割の方が老後の生活として年金中心プラス自助努力、年金だけでという方もございますし、年金プラス自助努力というふうにお答えなっている方もある。併せて70%に達しております。子どもからの仕送りを希望する人は2.3%しか存在をしないというのが現実でございます。この国民の期待にお応えをする必要があるというふうに考えておりますし、また出来るだけ負担を抑制をして適正な給付水準を維持する制度としなければならないと考えているところでございます。ここで明確にしておかなければならないことがございますが、それは年金制度というのは、高齢者を支援する社会的なしくみでありまして、自分達が受ける年金額と必ずしも均衡するものではございません。したがいまして、出す分と受け取る分それを比較をして考えることは、年金の本来の趣旨では無いというふうに思っております。ある世代が多くの子供達を育成をするというふうになりますと、その世代は多くの年金を受け取ることが出来ますし、また逆に少ない子供を産み育てる世代というのは、また年金もすくなくなっていくというような状況にあるわけでございます。必ずしも自分が出したもの、そしてもらうものを比較をして決定するものではございません。それが年金の社会的な大きな前提であるというふうに思っております。したがいまして、年金はもっと大きな視野からこれは考えなければならないものであるというふうに思う次第でございます。
具体的な問題に入っていきたいというふうに思いますが、保険料の負担をどこまでこれから先若い世代の皆さん方にお願いをするかということでございますが、一応20%を越えない水準として国民年金は月額1万八千円台までにとどめたいというふうに思っております。なぜ20%なのか、ということがございますが、他の先進国の保険料も約2割というところがひとつの限界になっておりますし、この保険料で給付額が現役時代の50%以上にすることができるということもございまして、国民の期待に応えることが出来るというような点から、まずは20%ということを上限にしてよろしいのではないかというふうに思っております。経済財政諮問会議等では18%といったような数字も出たことがございますけれども、それではやはり40%になるかならないかの年金しか支給することができないということでございますので、それはあまりにも低すぎる、やはり年金額を50%にもっていくためには、20%の保険料の負担というのはお許しをいただかなければならないというふうに考えているところでございます。しかしそうは言いますものの、今後国が行います施策が順調に進んでいけばさらに保険料を抑制することも可能であるというふうに思います。国が行わなければならないことは実質賃金の上昇率を1.0%以上にするという経済政策、そして次世代育成支援対策を徹底をしまして、出生率を現在の中位水準でございます1.39程度、あるいはそれ以上に回復をさせるという今後の努力が必要でございます。最低でも1.39のところを維持をしなければならないというふうに、そういう決意でやらなければいけないということだろうというふうに思います。また高齢者とこの女性の雇用環境を整備をして、支える側の人を増やすという施策も必要だというふうに思います。だいたいこの3つに集約されるというふうに思いますが、これらのことが国の責任として裏打ちされているというふうに思っております。そういたしますと、個人にとりましては10%ということが上限ということになるわけでございますが、これは平均勤労者世帯に置き換えて考えれば保険料は最高で8%、8.5%前後、そのくらいの数字になるのではないかというふうに思いますが、ここは後で具体的な計算をしております職員の方から具体的にはお聞きをいただければというふうに思います。
それから給付水準でございますが、これは先程からも申しましたとおり、現役世代の50%台、できれば55%前後を堅持したいというふうに思っております。生涯平均標準報酬月額で言えばそれは20万プラスボーナスの人もあれば、30万プラスボーナスの人もあるし、40万プラスボーナスの人もございますから、それぞれによってやはり全体としてのばらつきはございますけれども、平均いたしますと55%前後を堅持すると、こういうことで進めてまいりたいというふうに思っております。もちろんこれはご夫婦を勘案いたしました世帯単位での話でございますから、奥さんの分の基礎年金も含まれているわけでございます。
しかし、この年金の水準を維持することをお話を申し上げる前に、もう一つご理解をいただかなければならないのはこれは積立金の問題でございます。今までは今後の年金を計算いたします時に、この制度は未来永劫続いていくわけでございますから、いわゆる永久均衡方式というふうにいいまして、ずっと続いていくという上で計算をしてまいりました。しかしそれも一つの方法ではございますが、私はそこまでしなくても、今2003年でございますが、95年くらいいたしますと、2100年になる。約100年というふうに申し上げてもいいと思いますが、それぐらいを一つ視野に入れて計算をしてもらうということでどうだろうか、というふうに思っております。そういうふうに100年でも、それは50年でも良いわけですけれども、ひとつの期限を区切って、その均衡を考える場合に、それは有限均衡方式と専門的には言うんだそうでございますが、有限は限界があるという有限でございます。有限均衡方式と、ですから私は有限均衡方式で計算をしてもらっていいのではないかというふうに思っております。今回は95年後の2100年を目安にいたしまして、そして積立金水準が約1年分程度になるようにすると、常に一定の将来までの給付と負担の均衡を考える方向に変換をして、そして今多く積み立てられておりますものを少し取り崩しをさせていただいて、次の世代、あるいは次の次の世代の皆さん方にそれを使わせていただくということにしてはどうかと考えております。この積立金は考えてみれば今までの被保険者の皆さん方の、言うなれば次の世代への贈り物みたいなものでございまして、今までの被保険者のものから積み立てられたものでございます。したがいまして、人口構成が非常に大きく変わります次の世代の皆さん方にこれを使っていただくということについて、私は大きな反対は無いのではないかと考えているところでございます。こうした積立金を使わせていただくということを前提にして、そして結果として55%前後の年金を確保するということにさせていただきたいというふうに思っております。次の世代のために使用するわけでございますが、それでは2100年以降、一体どうなるのかということでございましょう。この100年の間には、まず今から数年、あるいは10年くらいいたしますと、いわゆる団塊の世代の皆さん方が年金の中に入ってお見えになる、そしてまた2030年から40年くらいの時にはその団塊の世代のお子さん達が年金の中に加わってお見えになる、この二つの大きな山があるわけでございまして、2050年あるいは60年くらいになりますと、その二つの大きな山が通り過ぎていくということでございます。後はなだらかな人口構成になるものと思っておりますが、将来様々なことがあることは予測しなければなりませんが、現在のところはそういう状況になると考えられると思います。ですから、これから先、100年、10年経てばまた2110年までを視野に入れて検討すると、いったことでまず100年づつを視野に入れて考えていくと、いうことにすれば私は将来に禍根を残すことはないだろうというふうに考えているところでございます。しかし、次の世紀、2100年以降の皆さん方のためにも、今世紀にやっておかなければならないことがあります。それは先程申しました3つのことでございますが、とりわけその中で少子化対策というものに対してしっかり取り組んでまいりたい、子育てをしたいと言われる皆さん方にお応えの出来る社会にしなければならないということが一つ、そして高齢者も女性もさらに働いていただける社会を作り上げていかなければならないということがもう一つではないかと思います。もちろん、そういう働いていただける社会を作るということは経済的にそれだけ充実をした社会ということでございますから、こうした問題を積み重ねることによって積立金は今世紀の間に一年間分に減らしますけれども、次の世代の皆さん方にお応えをすることが出来るようになるのではないかと、そういう意味で今世紀我々に課せられた責任というものも、また重大であるというふうに思っているところでございます。
国庫負担割合の引き上げ問題につきましても一言触れておきたいというふうに思いますが、平成12年度の改正法の附則におきまして、基礎年金に対する国庫負担は2分の1へ引き上げる、今回の改正で行うこととしておりまして、来年はこの問題につきましても決着を着けなければならないわけでございまして、どういたしましてもその道筋はつけるということにしなければならないというふうに思っております。厳密には、多額の安定した財源の確保が必要でございますので、その財源の在り方は税制改革の論議の中で明らかにしていただかなければなりません。来年度から2分の1に引き上げることが既定の方針でありますが、税制改革が早急に行われることを期待をしたいというふうに思っております。諸般の事情を踏まえて、来年の4月から完全実施というものを望んでおりますけれども、万が一、それが出来ないと言うことであるならば、スタートはしかし来年から何が何でも切ってもらいたいと思いますし、そして4、5年の間にそれが完成されるような道筋は私は明確にしていただかざるを得ない、どうしてもそこはしていただきたいと念願をしているところでございます。
制度改革につきましても一言触れておきたいというふうに思いますが、今回の年金改革は制度の根幹からの見直しも含めて行うことになっております。年末までに全てを決着する必要がありまして、これは短期決戦でやらなければいけないというふうに思います。いずれにいたしましても負担と給付の関係に収斂することになりますが、抜本改正を行う場合にも一定の期間を取って、スムーズな移行を行うことになると思います。ですから、もしこれからいろいろの議論があって、現在の年金制度というものを抜本的に改革をしていくんだというお話が出たといたしましても、それは来年の4月から全く違った制度に変えるということは、それは出来得ないことでございまして、もし新しい制度をつくるというのならば、一定期間を取ってその間にスムーズな移行をとっていかなければならないというふうに思います。どんな制度を取るにいたしましても、負担と給付の関係に収斂いたしますから、この二つのところをしっかり押さえていくということが大事であるというふうに今の段階では思っているところでございます。
年金本体の改革と合わせまして、年金を世帯単位のところも現在のところはまだあるわけでございますが、これを個人単位で全部、年金は個人単位にするかどうかということも大きな課題であろうというふうに思います。このことは女性と年金の問題ともこれは関係するわけでございます。時代は個人単位の年金に傾いていると私は考えておりますが、パート労働者を被保険者とすることは、その第一歩をすすめることになるというふうに思います。したがいまして、この分野はどうしても一歩進めなければならないと決意をしているところでございます。
それからもう一つ、子育てと年金の問題についてでございますが、この少子化対策が将来の年金を左右いたしますだけにこれは政府の政策全体にわたって、様々な施策が取り上げられなければならないわけでございますけれども、年金自身もまたこの少子化対策に資するような制度をその中に取り込んでいくということは非常に大事なことだというふうに思っております。現在行われております諸制度と整合性を図る必要もございます。現在いろいろ税制上行われているものもありますし、あるいはまた制度としてすでに児童手当等で出来上がっているものもある、そうした出来上がっておりますものと、この年金制度の中で考えるものがあまり重複するようなことはいけませんし、そうしたこともよく整理をしながら進める必要があるのではないかというふうに思っております。しかしここも避けられない、避けて通ることの出来ない課題の一つであると考えているところでございます。
それから先程少し飛ばしましたし、またこの資料は皆さん方の手元に昨日お渡しをしてあるというふうにお聞きをしておりますから、もうすでに見ていただいているというふうに思いますし、皆さんは詳しい方々ばかりでございますから、よくお分かりをいただいているというふうに思いますが、この有限均衡方式で見ました場合、いわゆる2100年くらいまでを見ました場合に、基準ケースで大体54.5パーセント、基準で54.5というのはこの条件といたしましては、実質賃金上昇率は1.0パーセント、そして出生率の方は1.39、そこになれば54.5パーセントというものが実現出来る、そしてそこがもし仮にもう少し進んで、実質賃金上昇率が1.25パーセントぐらいまで回復することが出来れば、そして併せて少子化が1.52程度に回復出来れば、1.52といいますと、結婚した人が平均して2人ずつ産む数字でございます。結婚した人が平均して2人、それで1.52になると、こういうことです。そこまで回復すれば、56.6パーセントぐらいの年金に、平均しての話ですよ、なりうると。それから今度は逆にこの実質賃金上昇率は1.0のままで、出生率が1.1まで下がっていきましたら、51.2パーセントまで低下してくるということでございます。このぐらいの範囲にあるということでございまして、保険料を19パーセントにした時とか、18パーセントにした時と、様々なケース計算してございますが、これはひとつご覧をいただきたいと思います。
皆さん方の時間も迫ってきていると思いますから、先を急がせていただいて、締めくくらせていただきたいというふうに思いますが、社会保険全体の立場に立って、どう考えていくかということがございます。今我々は、年金を中心にして考えておりまして、年金についてこれからの若い世代の皆さん方に、ここまではお願いいたしますよと、20パーセント、そしてその中で個人の負担は10パーセントということをお願いをしているわけでございますが、皆さん方からすれば保険料も、あるいは医療保険料も年金保険料も、そして介護保険料も、あるいは雇用の保険料もみんな出さなければならないわけでありますし、それはひとつの財布から出ていくわけでございますから、年金はいいとしても、全体で一体どれだけを出さなければならないのかというお話に、私はなってくるのだろうというふうに思っております。したがって、年金のことを決定をいたします時には、全体の社会保障費を考えながら、その中でやはり年金の問題も考えていかなければならないというふうに思います。この様々な社会保障の中で、やはり一番の中心は、私は年金だというふうに思います。ですから年金を中心に、まず考えていくという考え方、しかし全体としての保険料を可能な限り抑制をして、そして多くの皆さん方にお支払いをいただける範囲内に収めないといけないというふうに思っているところでございます。昨年の5月、平成14年5月に計算をいたしました、社会保障の給付と負担の見通しというものがございます。これは厚生労働省でやったものでございますが、これは2025年における見通しといたしまして、その当時は年金は22.4となっておりましたが、これは一応20に今度するということにしたいと、医療保険の方は10.3、介護保険の方が2.1、そして雇用が1.6、合計いたしまして34パーセントになるわけでございますが、制度改革でありますとか、無駄を省くといったようなことにおきまして、1パーセント程度は節減をしなければならないと思いますし、また政策の実現を責任を持って行うことによって、1パーセント程度の削減は可能になるのではないかというふうに思っております。経済の動向がよくなれば、このパーセントは上がらなくても実質的に保険料は増えるわけでありますから、そこはしっかりとやれるかどうかにかかってきているわけでございますが、少なくとも32パーセントまでに収めるということを一つの目標にして、我々は努力をすべきだというふうに考えているところでございます。32パーセントということになりますと、個人に換算すれば16パーセントということになります。先ほど申しましたように、平均の勤労者世帯に置き換えて考えますと、まずは12パーセント台ぐらいになるのではないかというふうに、私は予測をいたしておりますが、こうしたところも少し年金の頭のいい人達に、ひとつもう少し厳密な数字をはじき出しだしてもらいたいというふうに思っております。個人にとりましては、これにさらに税負担が加わるわけでございますから、本当は税負担も含めてどうするかということを言わなければならないわけでございますが、税金の分野まで私が言うわけにもまいりませんので、ここは控えさせていただきたいというふうに思います。保険料といたしましては、少なくとも32パーセント以内に押さえるという、一つの目標を持って我々も政策的な問題を含めて、努力をする必要があるのではないかと考えているところでございます。以上簡単ではございますけれども、今回の年金改正の試案につきまして、ご報告を申し上げた次第でございます。

質疑

記者:
今言われた32パーセントというのは、その紙の中にはありせんけれども、試案の一部であるというふうに理解してよろしいですか。
大臣:
そう思っていただいて結構でござます。
記者:
給付水準は分かったのですけれども、支給開始年齢も65歳からは変わらないと考えてよろしいのでしょうか。
大臣:
現在は65歳を目指して、2025年までそれであげていくわけでございますから、そこは私たちは65歳を目指して努力をすると、今までの既定方針を今後も貫いていきたいと、こういうふうに思っております。
記者:
積立金の有限均衡方式なのですけれども、これまでの厚生労働省の方針からすると、かなり唐突感があるのですけれども、これというのはやはり運用赤字がかなり巨額に上ったことがきっかけになっているのでしょうか。大臣がご提案されたということは。
大臣:
それは関係ありません。それは株式の上下によって決まることでありますから、この2、3ヵ月株式が上昇することによって、昨年の赤字は取り戻してございます。したがいまして、それは関係ありません。これから先の、より良い年金を実現をするためにどうすればいいかということでございます。永久的に3年ないし、4年の分を積み立てて、そしてその積み立てたものを持ちながら、安心をしてやっていくというのもひとつの方法でございましょうけれども、しかしそうとばかりはなかなか言っていられない、そうしなくてもやっていけるのではないか、先ほど申しましたように大きな団塊の世代、そしてそのお子さん方の次の世代、これらの世代はまもなくこの数十年の間に通り過ぎていくわけでありますから、そういたしますと人口構成は平坦なものになる、平坦なものになれば、私は多くの積立金をもっている必要はなくなってくるのではないかというのが、私の考え方でございます。
記者:
現在積立金の内、30兆円あまりは市場によっているはずですが、スケジュール通りにいくと、08年度に全額市場運用するという予定でしたが、今後スケジュールは変わらないのでしょうか。
大臣:
どういう運用方法をしていくかということは、これまたこれから話をすることでありますから、そこで決定をしていくことでございますから、それは変わることも有り得るというふうに思いますが、100年単位の話をしているわけでありますから、細かなことはこれから決めていくということでございます。
記者:
財源について伺いますが、先ほど税制改正に期待する、2分の1の財源ですけれども、そもそも大臣は最初に消費税ということを問題提起なさいましたが、この財源について、特に消費税について現時点でのお考えと、これからのお考えについて教えてください。
大臣:
財源は限定した問題ではないというふうに思います。税制改革の中でどの分野で、それは作り出していただこうと、それは私は構わないというふうに思っております。いただくことが出来れば、その中身についてとやかく言うつもりはございません。謹んで頂戴をしたいというふうに思っているところでございます。
記者:
規模において、消費税というのは避けられないと思うのですが、そこは。
大臣:
現在の税制改革の中におきましても、決して不可能ではないと、消費税以外でも決して不可能なことではないというふうに思っております。党によりましては、いわゆる現在行われております減税を正常に戻すといったようなことを取りまとめているところもございますし、あるいは課税最低限の問題もございますし、あるいは捕捉率を高めるということもございましょうし、様々な私は問題があるというふうに思っております。それらのことによって、この必要な財源を埋める財源を生み出すことは可能であるというふうに思っております。必ずしも消費税ということにこだわる必要はないというふうに思っております。
記者:
年金問題に関しては、やはり年金不信というものが大きく背景にあると思うのですけれども、こういった大臣の案を示すことで、そうした不信に対して払拭するひとつの材料になるのではないのかなと思うのですが、そのあたりについて大臣のお考えを。
大臣:
そうですね、ご指摘をいただいた通りでございまして、自分たちは掛け金をするけれども、自分たちは絶対にもらえないんだと、信じ込んでいる人たちがかなりいます。これは、そうではないということをご理解いただくということは、大変大事なことでございます。先ほども申しましたように、年金というものは出す分ともらう分とを比較するものではないという前提で本当は考えなければいけないのでけれども、そういう前提ではありますけれども、それでもなおかつ比較をしてしまうというのが、人間の悲しいところでございまして、どうしてもそうなってしまう。そういうふうに比較をするからいけないというばかりではなくて、やはりそのことにも答えていかなければいけないというふうに思っております。ですから、皆さん方にも大変お願いをしなければいならないことも多いけれども、しかしその皆さん方が高齢期を迎えられた時には、それなりの年金をお返しすることが出来得るということを示さないといけないと思っております。そういう意味で、私はお若い皆さま方にもご理解をいただくことが出来ればと考えております。
記者:
大臣の試案は厚生労働省の案として理解してよろしいのですか。
大臣:
先ほど申しましたように、厚生労働省試案というものは引き続いて出すつもりでございます。一足飛びに厚生労働省試案ということにしてしまうのには、いささか与党内におきましても、また他の分野におきましても、議論がまだ深まっていない、この段階で厚生労働省試案という形で出すことは、少し差し控えさせていただいて、そしてしかしなおかつ急がなければいけない、だからひとつ坂口試案を叩き台にしていただいて、様々な議論をいただいて、前に進めていただく。そしてそのご意見を伺いながら、厚生労働省試案というものを、それがいつになりますか、出来るだけ早く出せるようになることを期待をいたしております。12月ということになれば、試案を出して、それからまた試案をご検討いただかなければならないわけでございますが、10月には出させていただいて、そしてご議論をいただくという、そのくらいのスケジュールは必要ではないかと思っております。
記者:
そうすると積立金の取り崩しという新しい案は、次の厚生労働省試案には入っていくというふうに考えていいのですか。
大臣:
入っていくか、いかないかは、私が決めるわけにはいきませんので、その時に私がいるか、いないかも分からないわけでありますから、そこまで私は言いませんけれども、一つの考え方であるというふうに思っておりますから、そこは理解をされるものというふうに私は思っております。

(了)