閣議後記者会見概要

H15.06.17(火)9:35~9:55 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日は比較的あまりありませんね。閣議の方は官房長官から障害者のために講じた施策の概況に関する年次報告書について報告がございました。それだけですね。一件だけでございます。今日は。

その他

大臣:
それからSARSのことにつきましては、一応落ち着きを取り戻してまいりましたけども、これは今年の冬もう一波大きな波がくるのではないかと心配をいたしております。冬にはインフルエンザが流行る可能性がございますから、インフルエンザとこの新型肺炎とが両方平行してこの感染が起こってくるということになりますと、その区別がつかないわけでありまして、発熱等では区別ができないということになりますので、それに対する対応を今のうちに、夏のうちに決めておきたいというふうに思っております。一つは、マスクとそうした用具をどれだけ確保できるかということもございますが、その他に、インフルエンザワクチンの接種を促進する、特に高齢者に対するインフルエンザのワクチンの接種の促進、それからインフルエンザ検査キットがございますが、その確保、それからインフルエンザ治療薬の確保、インフルエンザの方は徹底的にその明確にして治療できるような体制をつくる。そしてSARSの方につきましては、これから冬にかけますまでの間で、治療薬等がうまく見つかれば幸いでございますので、研究を徹底的に行ってもらう。それから国内におきましては、SARSの指定感染症に対する政令の指定、それからSARS対策の総合指針の作成、実施演習を行うとか院内感染防止の実施訓練を行うとか、というようなことを秋までの間に、これは行っておきたいというふうに思っております。それから、ハード面では外来診療施設への支援、そうした皆さん方をどのように外来で分離をするかといったようなこと、マスク、防護服等の感染防止資材の確保といったようなことが大事でございますし、SARSの簡易診断法の開発が出来ればありがたいと思っておりまして、そうした研究も急ピッチで進めていただくようにしたいというふうに思っているところでございます。以上、そんなことを考えているということでございます。

質疑

記者:
高齢者へのインフルエンザワクチンの接種の促進というのは、具体的には例えば。今、確か公費で何歳以上かの方はインフルエンザのワクチンを接種できるやに思ったんですが、例えばもうちょっと年齢を下げるですとか、何かそのような。
大臣:
そういうことじゃなくてですね、強制的にしているわけじゃございませんから、自由にやっていただいているわけでございますので、できるだけ受けていただくようにしたいというふうに思っております。インフルエンザもなかなか難しくて、一所懸命ワクチンをやっておりましたら、また違う種類のが流行ってきたりすることもありますから、だからそれで上手くいくとばかりは限りませんけれども、できるだけのことをやっておきたいというふうに思っております。
記者:
特区での株式会社参入ですが、昨日小泉さんと鴻池さんが会われて、鴻池さんの方から総理は自由診療に限ると言っただけで、その他の約束は認めたつもりはない、というようなご指摘をされたということですが、まず今日閣議があったのですけれども、鴻池さんと話でその点についての話はあったのでしょうか。
大臣:
総理からそういう話があったということを聞きましたけれども、総理もしかし参議院の委員会でちゃんとそう言っているんですね、高度先端医療に限るということを、直後に発言しているんです。ですから、なかったのかどうか、私ら現場に居なかったわけでわからないわけでございますけれども、平成15年3月10日参議院の決算委員会での発言がございました。ですからどこまで約束があったかは別にいたしまして、そういうお話があったことはあったんでしょう。
記者:
大臣、C型肝炎の問題についてお伺いします。第9因子製剤を使用した医療機関というのは公表したのに、フィブリノゲン製剤の納入先というのは公表していないのですけれども、わかっている範囲だけでも公表すべきだと思うのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
C型肝炎の問題は、血液に関わったところは全部可能性としては有るわけです。これは昭和30年代に遡っての話でございますけれども、輸血用の血液を受けた方、血液製剤を使った方、これは全部可能性としては存在するというふうに思っております。したがいまして、受けたという可能性のある方というのは是非検査をしてもらいたいというふうに思っております。その辺の資料というのは病院には残っておりませんから、これはご自身でご判断をいただいてお受けをいただく、ということにしたいというふうに思っておりますが、それは企業等の健康診断、あるいは地域における健康診断の時に、いわゆる節目診断の時に、おやりをいただくことになっておりますけれども、そういう可能性のあります方は節目の年齢でなくても結構ですから、どうぞお受け下さいということにいたしております。ですから、可能性としては血液製剤を使った人だけは可能性があるわけではなくて、血液を使った人全部、その可能性があるわけでして、だからそこの区別はなかなかつきにくいと私は思います。
記者:
検査を受けるきっかけになるひとつの手段として、自分がフィブリノゲン製剤を使ったかどうかというようなことを可能性としてわからない人も、医療機関が公表されていれば、そこで手術を受けた人というのは、やはり検査を受けるきっかけになるのではないでしょうか。
大臣:
最近のことならば分かるでしょうね、だけれども、古いのはもうわからないと思いますね、だから新しいのは、最近のお話ならばわかる。5年以内とか、あるいはもう少しカルテを残しているところもありますから、7、8年それくらいの間隔のところならわかる可能性はあるというふうに思います。
記者:
今のところ省内事務方に指示をして、フィブリノゲン製剤、わかっている範囲だけでも公表しようというような動きは考えてらっしゃらないということでしょうか。
大臣:
だけど、それだけでいいかと言えばそうはいかないといういうことを僕は申し上げているので、もっと幅広く受けた可能性のある人は自らひとつ検査をお受け下さいということを申し上げているわけです。この前エイズの時一遍やりましたですね、あの時に本当はC型肝炎のことも一緒にやっておけば二度手間なことをしなくてもよかったわけでございますが、あの時にはそこまで知恵が回らなかったと申しますか、そこまで言ってなかったのです。ですから、そうしたところを受けさせるということも、それは一つの方法ではありますけれども、それだけしたらそれで済むかといえば、決してそうではない、それはごくわずかな限られた人であって、もっと大きな集団の皆さん方が感染している可能性があるということを私は申し上げているわけで。
記者:
今日、政府税調が中期答申を正式決定しますけれども、その中で公的年金の控除の見直しなのですが、その財源を財務省は一般財源でという話ですが、大臣のお考えを改めて。
大臣:
公的控除という、年金の控除をどうするかということが今話題になっておりまして、平たく言えば、いわゆる年金といえども高額の所得のある人に対しては課税をするということでございまして、これはどの程度からするかということによりますけれども、特に高額の、例えば月に40万とか50万とかというような年金をもらっている人というのは、大体それ以外の所得も多いですね、ですから私は高額の年金所得の人達に対する課税というのはやむを得ないと思っております。これから若い皆さん方、もっと所得の少ない方に保険料をお願いをしなければならないわけでございますから、高額の年金所得者に対しましてもお願いをしなければならないというふうに思っております。課税をしましたその財源、財源と申しますか、そこで得られましたものをどうするかということでございますが、私は年金に課税をして得られたものは、やはり年金財源に返していただくというのが、これは妥当だというふうに思ってます。諸外国でもそういうふうにしているところがかなりございます。ですから、そういうふうにしていきませんと、年金財源というのはだんだん今後乏しくなってまいりますので、そういうふうにしてもらいたいというふうに思っております。
記者:
医道審議会での処分がまもなく出ますけれども、被害者からより厳しい処分をという要望がありますけれども、大臣は医師の行政処分についてどうあるべきだと考えてらっしゃいますか。
大臣:
前回もかなり厳しくやりましたからね。前回の時に今までにない厳しい結果でありまして、今までだったら取り消しにならなかった人達が取り消しになりまして、かなり厳しく前回に行ったというふうに思っております。したがいまして、そういう方針で今後もいかざるを得ないというふうに思っております。
記者:
医師免許に更新する制度もなくて、研修も無いと。最近ですけれどもリピーター医師と言われるミスを繰り返す医者もいるのですけれども、そのことに対しては大臣どう捉えてらっしゃいますか。
大臣:
どういうふうにして、基準で、どのように処罰していくかは、これは医道審議会の皆さん方にお任せをする以外に無いと思いますから、より具体的なことはそれは先生方にお任せしたいというふうに思っております。しかし、全体として医の倫理の問われている時でありますから、今までよりも、やはりより厳しくそれが原則だというふうに思っておりまして、前回もそういうふうにしたつもりでおります。
記者:
日本赤十字に対してですね、ウイルス感染者の献血歴調査の指示をされたけれども、日本赤十字はかなり抵抗しているようなんですけれども、これについて大臣何か。
大臣:
献血をしていただいた皆さんの血液を検査をして、例えばC型肝炎のウイルスを持っている人だということがわかる、あるいはHIVのウイルスを持っている人だということがわかる。そういうことになりました時に、それではその人は前回に献血をしていないかどうか、前回を見た時に前回には出ていなかった、例えば2ヵ月前に献血をしてもらった時にその人は出ていなかった、しかし今回は出たといった時にそれでは前回の時にしてもらった血液は安全であったかどうかということでございます。感染しました直後というのは抗体が必ずしも十分出来ておりませんから、陽性に出にくいわけです。ですから、網の目をくぐり抜けて来ている可能性というのは、私はあるというふうに思います。したがって、今回陽性に出たその人には前回にやってもらった時には、例えマイナスであったとしても、その血液がどのように使われたかということはチェックする必要があるだろうと。そして使われずにどこかの製剤に回しているというのであれば、それは熱処理をして何かの製剤に回しているというのであれば、それは問題ないでしょうし、しかしどなたかにそれを輸血をしているということであれば、その輸血を受けた方の今後その人が感染をしていないか、あるいは現在はしていなくても今後する可能性はないか。ちょっと連続してチェックをする必要があるのではないかというふうに思ってます。日本赤十字にどこまで責任を持ってもらうかということ、これはよく言って話をしないといけないというふうに思ってます。全て今後ずっと10年も15年も追跡の調査をしてくれと言いましても、これもなかなか日本赤十字としては大変なことでございましょうし、そうしたところを今後どういうふうに扱っていくかということも、少し細かく決めないといけないというふうに思っております。日本赤十字はその辺のことを言っているのではないかというふうに思いますけれども。
記者:
6月中に骨太の方針を原案を決めますし、特区も規制改革もいわゆる事務方の方で決められるところは決めきったという印象が私どもにはございまして、あとは政治的な判断、政治的な決定に委ねられた、そういう段階ではないかと思うんですが、改めてこの辺の動きについて大臣としてどのような、骨太でも規制改革でも国民負担率の問題でも。規制改革も、今日小泉首相と石原大臣との会談がございますし、株式会社も先ほど申し上げたように、ほぼあとは政治的にどうになるかと。
大臣:
株式会社にいたしましても薬の問題にいたしましても混合診療の問題にいたしましても、今日総理にお会いしますから、そこで決着したいと思っております。それから骨太の方の話は、これはもう少し議論しないといけませんので。あちらこちらで言っておりますから新鮮みのない話でございますけれども、国民負担率の話は単なる国民負担率の話ではなくて、潜在的国民負担率の問題になってきているわけで、国民負担率の議論だけでもあまり意味が無いという学者も多くお見えになるわけです。吉川先生がお書きになりましたものにもそうしたことが書かれておりまして、先日も先生がお書きになりましたものにもそう書いてありますよと申し上げたところでございますけれども。吉川先生も「私もその通りだ」というお話をされましたし、国民負担率だけでもなかなか議論のある話でございますが、そこに潜在的国民負担率の議論を持ち込んで、潜在的国民負担率がもう今47パーセントですから50パーセントまでに収めるということは、これは至難の業でございまして、私はそれは無理だろうと思っております。潜在的国民負担率の話をするのであれば今後の財政再建を一体どうしていくのかということをセットにしないと。赤字の額は今のままでおいておいて、潜在的国民負担率が高くなるから、年金も医療も介護もみんなそれは頭打ちですよ、削ってくださいよという話は、それは通らないと私は言っているわけであります。今後赤字国債をどのように解消をしていくのか、あるいはまた国民の税制をどういうふうにしていくのかということと併せて社会保障のお話を今後議論をしようというふうにおっしゃるのなら、それは私はその通りだろうというふうに思っておりまして、それはそういうふうにしたいと思いますけれども、しかし財政再建の話も置いておきます、あるいは税制改革も横にちょっと置いておきます、そしてこちらの社会保障の問題だけ今厳しいですから潜在的国民負担率の考え方で抑制しますというのは、少し話がおかしくありませんかということを申し上げているわけであります。これは簡単に引き下がることの出来ない話だというふうに思っております。経済財政諮問会議の中でも、これはしっかりここのところは議論をしていただかないと骨太にもならないと私は思っております。それはちょっと骨太どころではなくて、骨細の議論ではないでしょうかね。

(了)