閣議後記者会見概要

H15.04.04(金)9:58~10:25 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
閣議におきましては、国土交通大臣から平成14年度国土交通白書につきましての報告があり、農林水産大臣からWTO農業交渉の現状と今後の方針につきましての発言がございました。閣議はそれだけでございます。

閣議後懇談会について

大臣:
閣僚懇談会におきまして、私の方から重症急性呼吸器症候群、SARSへの対応につきましてのご報告を行いました。関連いたしまして外務大臣からSARSへの対応について発言がございました。また、国土交通大臣からも、交通機関、海外旅行等の現状等についての報告があり、もう一つ国土交通大臣からは国づくりの百年デザインの提案につきまして、まとまりましたのでご報告しますというお話がございました。以上でございます。

質疑

記者:
SARSですが、大臣の言葉で説明していただけると大変ありがたいのですが。
大臣:
現在この世界の様々な状況、特に香港、広東省からのデータ等を集めておりますけれども、まずは空気感染というのでなくて、飛沫感染といわれる範疇に属するものであろうということだけは間違えがないというふうに思っている次第でございますが、しかし同じこの建物、とりわけ団地の中で多発をいたしますとか、そうした問題も起こっておりますので、お互いに接触をしてこの近い距離の中で話をしあったということだけでは、なかなか理解のできない面もございます。現在のところそのアパートのダストから、あるいは水の関係等、汚水も含めてでございますが、そうしたことで広がったのではないかという憶測がございますけれども、現在のところ、まだはっきりした結果は出ていないようでございます。いずれにいたしましたも、この感染の仕方というものにつきまして、もう少し我々もよく注意をしていきたいというふうに考えております。万が一その日本にこの病気が上陸をいたしましたときに、どうするかということでございますが、それぞれの都道府県におきまして、緊急に報告を、医療機関から報告をしてもらい、それに対して対処をしていただかなければならないわけであります。新感染症としての取り扱いをしていただくということで発表したところでございます。一番完全な良いこの病院、あるいはベッドというのは、いわゆる陰圧式になりましたこの病室、ベッド、ベッドと言いますよりもいわゆる陰圧になった病室のところが望ましいと思っておりますから、現在日本全体で12病院、ベッド数にして22ベッドしかございませんで、ちょっと対応これでいいかなというふうに思っております。各都道府県に対しましては、そうしたことも踏まえてもう少しこの陰圧式のそうした病室が整備がされるようにお願いを今までからしてきたところでございますが、まあこういう事態にならなかったものですから、あまり整備をされてこずに今日を迎えております。12病院の病院を拝見いたしますと、比較的関西に偏りがあって、東京にもございますけれども、どちらかといえば、関西に偏りがあり、そして九州にありますが、例えば四国にありませんとか、中部地方にありませんとかあるいは北海道にはありませんとか、まあそういうこともございますので、もう少し都道府県につきまして、急いでそうしたベットをある程度確保していただくように、要請をしたいというふうに思っているところでございます。あるいはもう要請しているかもしれません。万が一に備えまして、誤りの無いように対応しなければならないというふうに思っております。以上でございます。
記者:
滋賀県のサン・グループに対する大津地裁の判決が出ましたけれども、厚生労働省としての対応、この点どうですか。
大臣:
裁判の中身につきまして、裁判の中身といいますよりも地裁の判決文につきまして私もいろいろと検討させていただいてきたところでございます。今まで最高裁が決定をしておりました行政に対する捉え方と、今回の判決と比較をいたしますと、今回の判決の方がかなりこの行政の裁量権の範囲につきまして、狭い判断基準を用いているというようなこと実はございます。そうしたこともあって、こういう判断基準でいきますと、これからの行政、非常に少ない人数で多くのことをこなしていかなければならない行政として果たして耐えうるかという問題は正直なところございます。そうは言いますものの、この知的障害者の皆さんの問題であり、そしてかなり長い年月を要しているということもございまして、早く決着をしたいという強いご要望もあるようでございます。我々といたしましても、こうした状況を総合的に勘案いたしまして、控訴しないということで結論づけたいと思っている次第でございます。
記者:
控訴しないという判断に至った一番大きな理由はなんですか。議論した中で一番大きな要素っていうのはどういうところがあったのでしょうか。
大臣:
具体的な裁判のこの判決の内容を逐次吟味をさせていただきますと、問題点先程上げました他にもいくつか実はあるわけでございまして、純法律的な意味からいたしますと、行政の側としては果たしてこのままでいいのだろうかと、これを控訴しないという結果でいいのだろうかという、そういう思いはするわけでございますが、事務当局とも何度か議論を重ねたところでございまして、また法務省ともよく相談をさせていただいたところでございますが、いずれにいたしましても、最高裁の判決もちゃんとありますので、地裁の判決は判決としながらも、最高裁の判決は生きておりますし、そちらのほうが重視されることは当然でありますので、この判決文だけを見て判断をするということをしなくてもいいのではないかというのが結論でございます。先程申しましたように知的障害者の皆さん方が手紙を出されたという経緯もございますし、そして長い間この裁判が続いてきたということもあって、やはりここは大局的な立場で結論を出すほうがいいのではないかということになった次第でございます。
記者:
大臣としては当時の手紙が労働基準監督署に届いてですね、それに対する何もアクションをしてこなかったということに関しては、やはりこれはそれなりに行政として問題点あったかというふうにお考えですか。
大臣:
役所にはたくさんの手紙も来るわけですね。それに対していちいち対応が出来ているかといえば他の問題におきましても、すべて対応出来ているわけではないというふうに私は思います。私の手元にだけでも随分たくさんのお手紙をいただくわけですけれども、全部が全部対応できるわけではございません。ですから対応するのがいいのか、しないほうがいいのかといえば、それは対応するのがいいに決まっておりますし、その方が良かっただろうと思いますけれども、そこまで対応ができていなかった。しかし、そのことに対しまして指摘をされたということでありますから、やはり私たち、そうしたことに対しましては、できるだけ対応しなければいけないわけでありまして、そのご指摘は甘んじて受けなければならないというふうに思っております。
記者:
国のハローワークで、もし就職した後にも指導をしていれば、こういうことにはならなかったということについてもある程度なんですけれども、今後こうした事件あった場合というか、知的障害者については実際にハローワークの職員の方が現場に赴いて、実際見て、指導してということも。
大臣:
障害者の問題ですね、全体として今考えなければならない時を迎えております。特に今までは施設に入っていただくということで全て済ましてきたわけでございますが、やはりそれぞれの地域で生活をしていただけるようにしていくとことが望ましい。そうした方向に今転換をしようといたしております。これは役所だけでなかなかできることではございません。地域のご協力もいただいてやっていかなければならないというふうに思っておりますが、今後そうした地域で生活をしていただくということになれば、やはりその皆さんもできるだけ働いていただかなければならないということになりますし、どういう所で皆さんに働いていただけるようにするかといったこともですね、これは地域ぐるみでいろいろとご検討をいただかなければならないというふうに思っております。役所としましてもそうした知的障害者を雇っていただける所をですね、作り上げていくという努力、これはしなければなりませんし、あるいは雇っていただいている所がですね、その障害者の皆さん方を正しく雇用していただいているかどうかということも見ていかなければならないというふうに思いますが、限られた人数で全てのことが役所にできるかといえば、それはやはり役所のこの人数だけでそれは不可能な側面も、私は率直に言ってあるというふうに思っております。ですから、その辺のところは、地域といかに連帯をして、そして連携を密にし、うまく回転をしていくかどうかということを、常に見ていくということが大事でありまして、ネットワークをいかに構築をするかということにつきてくるというふうに思っております。今後これは県なり市町村も、もちろん含めてでございますが、民間の皆様方にもご協力をいただいて、そうしたネットワークを構築をしていくということに努力しなければならないというふうに思っております。
記者:
SARSの関係なんですけれども、日本はWHOの勧告を待ってですね、渡航延期勧告になったわけですが、アメリカなんかはこのWHOを先に勧告してまして、日本の対応が遅かったのではという見方があるんですが、それはどうお考えになるでしょうか。
大臣:
アメリカはすでに発生していますからね、日本は発生していないのですから、そこは違うと思いますね。我々はWHOが発しております内容、逐一検討いたしておりまして、すでに医療機関に対しましても疑わしい、疑いのある症例があれば、すぐさま報告をしていただく体制をとっておりますし、すでに今までにも疑わしいといわれる皆さんも中にはいたわけであったわけでございますが、よく検討をしていただいておりますけれども、現在のところは真性等は出ていないというふうに思っております。
記者:
感染症の治療法についての検討はどの程度。
大臣:
一番大事なことは治療法を確立することだというふうに思っておりますが、現在の段階におきましては、この病原体に対して効果を発する治療薬は存在しない、というのが現知の状況ではないかというふうに思っております。現在多分ウィルスだというふうに思いますが、ウィルスの確定を急いでおりますけれども、もしもそれが確定をされましたら、その遺伝子分析等を行って、そしてそれに対して可能な薬品とはどういう薬品なのかといったようなことを、これから近いうち早く決めなければいけない、一国の中でやっておりましては遅くなりますので、ここは国際協力の中でやっていく、日本の科学者もその中に入っていただいて、そして国際協力の中で一日も早くそこを完成をしたいというふうに思っております。
記者:
この間の経済財政諮問会議で、年金について民間議員や塩川財務相の方からも声が出たのですが、それをどのように受け止めているのかというのが一点と、それから例の三位一体議論、竹中さん、塩川さん、あるいは片山さんでですね、ご意見の違いがあるので、今、権限移譲が先か、税源移譲が先かという議論が出ておりまして、厚生労働省も地方公共団体の補助金という意味ではかなりの額をお持ちですが、その議論は今後どのように進めるべきか、大臣何かお考えがあればお聞かせ願いますか。
大臣:
2点あって、一つは年金のお話でございますが、年金の問題は先日もかなり具体的なお話が経済財政諮問会議で出ましたけれども、私はそこで申し上げましたのは、具体的な年金の姿形をここで決定していただくということは、これは難しい話だと、そんなことは多分できないでしょうと、だから、ここで決定をしていただかなかればならない点は3点あります。一つは基礎年金の3分の1の国庫負担を2分の1に引き上げるということが決まっているわけで、それに対してどう対応をするかということ、それからもう一つは150兆に及ぶ積立金が存在をしている、この積立金をこれからも堅持をしていくのか、そしてしていくとするならば、その運用方法を今のままでいいのか、ここは新しい受け皿を作って、そしてそこでやっていただくということが私は望ましいというふうに思っております。それらのことをどうしていただくのか、そしてもう一つ付け加えれば、国民の立場から見て、負担と給付というものがどの辺にあるのかということをご論議をいただくことではないだろうか、その他の具体的な細かなことは、これは厚生労働省にお任せ下さいと、そんな細かなことまでここで決めていただく暇もないでしょうと、暇もないのにそこで最終的に姿形をここで決めていただくというのは、少し違うのではないでしょうか、私はそう思いますと率直に申し上げたところでございます。引き続きまして、今月もまたあるそうでございまして、そこでもご意見を申し上げたいというふうに思っておりますが、経済財政諮問会議として決めていただかなければならないことと、そして、そうではなくて厚生労働省がやはり国会や与党ともよく論議をさせていただいて決めなければならない問題とは、私はおのずから、そこに区別してしなければいけない、整理をしなければならないというふうに思っております。塩川大臣もいろいろなことをおっしゃってお見えになりますし、何か財務省も案をお出しになったとか、ならなかったとか、それは厚生労働省に任せていただきたいのですね、財務省もそんなにお暇じゃないのでしょうから、年金まで作っていただく暇があるのだったら、もう少し財源の用意をするように努力をしていただきたいと。
それからもう一つの地方分権の話でございますが、私が経済財政諮問会議に入りました時に、すでにかんかんがくがくの議論の始まっている真っただ中に私入っていきまして、何事かと思って聞いていたのですが、地方分権の在り方の話、総論としましては総理もどの省庁が言っていることも実施できる、だからやるんだと、進め方だと、具体的にどうするのか、こういう提案をなすっている。それに対しまして、いわゆる権限移譲を行うのが先の話、それとも税の配分を変えることが先なのか、そこでは補助金の問題も含めてでございますけれども、そういう話だったというふうに思っております。私もその話を聞きながら、どちらも一理のある話ではございますけれども、現在、地方の側は権限の移譲を先にされて、そしてすぐに直ちに財政的な問題も決めてもらうのだったらいいけれども、権限だけを押しつけられて、財源をくれないのではないかという不信感を持っていると私は思っております。現在、厚生労働省が進めております医療の制度の問題も然りであります。国保の保険者をどうするかという問題に置きましても、知事会が強烈に反対をいたしておりますのは、それは我々に責任だけ持たされて、そして財政的な措置は全く国は取ってくれないのではないかという、そういう不信感があって、私は反対に結びついているというふうに思っております。したがいまして、私は双方言い分はありますけれども、やはり税の配分をまず行う、地方に委ねるということが先行する方が私はこの地方分権は進みやすいと、そう理解をいたしております。したがいまして、それに併せて補助金の問題もあると思いますし、補助金の一括交付金にそれをしていくということ、これはプラス面、マイナス面率直に言ってあると思います。先般の支援費制度の時にも、一括して交付金にするということにことに対して、大変な抵抗があったわけでございまして、これはもうなぜあるかと言えば、一時は交付金としてくれるけれども、交付金そのものが段々減らされるのではないかという、これまた不信感があるものですから、そういうことになるんだろうというふうに思っております。ですから、そこのところはまず税配分なり、あるいは交付金なり、まず地方に委ねて、そしてそのことについては、もう地方が責任を持って例えば税も集めていただくようにするとか、そうしたことを改革をしていく中で逐一、やはり権限も地方に渡していくというふうにする方がスムーズにいくのではないかというふうに思っております。双方ともえらい勢いだったですよ、これはもう年金も負けたらいかんと思って、かなり大声を張り上げまして、そんな一世紀も前のことを言ってはだめだと、一喝しておいてやりました。声の大きい方が勝ちだと思いまして、私は気が弱い者ですから。

(了)