閣議後記者会見概要

H14.08.30(金)10:36~11:05 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日の閣議におきましては、まず総務大臣から労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果につきましての報告がございまして、7月の完全失業率は季節調整値で5.4%となって、前月と同率になったという発表がございました。私の方からは有効求人倍率についてご報告をいたしましたが、7月の有効求人倍率は季節調整値で0.54倍と前月の0.53倍を0.01ポイント上回りました。回復をいたしました。有効求人、季節調整値は前月に比べまして4.0%の増加となり、有効求職者、季節調整値は1.6%の増加となっております。まだ厳しい状況が続いておりますが、新規求人を含めますと16か月ぶりに製造業がプラスに転向したといったような点も中には見ることが出来ます。そうしたことを報告をしたところでございます。それから先日はスウェーデン及びイタリア共和国に訪問をいたしました結果につきましての報告を私の方から申し上げたところでございます。内閣官房長官から皇后陛下のスイス国のご旅行についての発言がございました。それから尾身国務大臣の中国訪問についての発言がございました。それから総務大臣から認可法人に関する行政評価、監視の結果についての報告があったところでございます。

閣議後懇談会について

大臣:
その他、懇談会におきましては平沼大臣の方から東京電力の問題につきましての意見の開陳がございました。

その他

大臣:
それからもう一つ私の方からご報告を申し上げたいというふうに思いますのは、5月に省内の検討チームを作りまして、早期退庁促進のための具体策を検討して欲しいということを言ってまいりましたが、その中間報告と申しますか、一応のまとめが出てまいりました。これは各企業に対しましても時間内労働、そして時間外についての厳しい示唆をいろいろとしております厚生労働省でございますから、厚生労働省が時間外労働をいつまでも行っている、そして十分なそれに対応が出来ていないというようなことでは、これは示しがつかない。やはり時間内に仕事をするというのも仕事のうちだということを申し上げたわけでありまして、率先をしてひとつ早期退庁できるように取り組んで欲しいということを言ったところでございます。その中で出てまいりまして、3点主な点はございますが、1点は必要性の薄い業務の廃止など、業務を一時は必要性がありましたけれども、その必要性が少なくなったもの、薄くなったものにつきましては業務を整理をして、そして業務の忙しいところに常に組織だとか、人員配置を行うという弾力的な見直しを行う、組織の弾力的な運用ということが大事でございます。2点目はITの活用によりまして、業務の徹底的な効率化を図ると、現在3%であります電子決裁の比率を今年度末に20%まで引き上げると、事務処理のマニュアルを作りまして幹部も含めて研修を行いまして、職員の総IT化を行うようにする。それから3点目は現場の指揮官であります課長のイニシアティブで早期退庁に強力に取り組むこととする。管理職がイニシアティブをとりまして、いわゆるつき合い残業というものを無くしていく。とりわけ上司がいるからやむを得ずそれに付き合っているというようなことは無くしていく。上がいようといまいともう仕事が早く終わったら帰ると、こういう習慣を付けるということでございます。特にそういう意味では、課長クラスのところの責任は非常に重いということでありますので、その点は気を付けておく。気にせずに帰ってくれとこういうことを言ってございますが、そうしたことをこれから行いまして、そして特定の者に過重な業務を負わせないように業務配分を見直す、忙しいところはベラボーに忙しくなっているところがありますので、それは見直しを行う。月に2度、課としての消灯日を設けまして、午後7時までに課長自ら灯を消すということを行うということになっています。これも国会が始まりますとそう上手い調子に灯を消すことができるのかどうか難しい点もありますけれども、その決意でやってもらうということです。もう1点付け加えるとすれば、4点目に電子メールによります目安箱設置でありまして、どうしたら業務が効率的になるかといったようなことについて職員から知恵を集めて生かしていく。これは改革のスタートでありますから、決してこれで終わりというわけではありませんので、このスタートであって、今後退庁時間できるだけ早くなるようにひとつしていこうと、こういう結果が出てまいりましたので、じゃあこれでひとつスタートをして欲しいということを言ったところでございます。

質疑

記者:
この具体方策を策定するにあたって退庁時間調査というのですかね、この過去3か月といったものはやられてないのでしょうか。あるいはやってない場合は今後そういうことをフォローしていくというお考えはあるのでしょうか。
大臣:
やはり今までのどうであったかということを調査をしておきませんと、これから減ったのかどうかということは分かりませんから、そこは3か月なり半年なり、今年の初めに遡るなりいたしまして、一体今までどのくらいの時間であったかということは明確にして、これからどれだけ減ったかということを明らかにしていきたいというふうに思います。
記者:
昨日の経済財政諮問会議なんですけれども、そこで大臣として総理からの宿題の回答をなさったわけですが、宿題の回答についての大臣としての自己評価を一点と、その回答についてどのような評価を受けられたかと思えるでしょうか。
大臣:
自己評価、自分で言うのもあれでございますけれども、80点くらいは付けられるのではないかというふうに思っておりますが、切り口はいろいろあるというふうに思いますし、私も随分この幅広いこの厚生労働省の仕事でございますから、どういうふうに報告をし、どういうふうにしたらいいのか悩んだわけでございますけれども、とにかくこれから今まで以上に強化をしていかなければならない部分は何か、そして現在行っておりますことで、それを改革を加えながら維持をしていかなければならない点は何か、そして最後に今まで行ってきたけれども、これは規制改革を行い、地方あるいはまた民間に仕事を委譲をしていく、そういう分野は何かということに分けて考えるべきだというふうに思った次第でございます。3点づつ挙げまして報告をしたわけでございますが、ご覧をいただきました要は3点づつ挙げて報告をしたわけでございます。その中で昨日も一番問題になりましたのは、現在行っております各種保険制度、年金、医療、介護、雇用、労災という保険制度がございますが、それを今後これをどこまで維持をしていけるのか、少子高齢化が進んでいきます中で、企業の方も分担をしなければならない額というのはかなり増えるわけでございますし、国民の側も増える可能性がある。そこを保険でどこまでやるのか、それとも保険ではなくて税でどこまで行うのかといったようなことについて、そこをどうするのかという議論が出ました。むしろ私はそこは財務省あたりがイニシアティブを取ってもらうのかなというふうに思っておりましたけれども、財務大臣からどうするんだというふうに言われたものでございますから、そこのところは私のプログラムの中にはありませんと、しかしそこも厚生労働省の中で仕切りをしろということであるのならば、それはやらせていただきますというふうに申し上げたところでございます。何をどこまで税に依存し、どこから保険でやるのかということでございましょう。最後に総理からは税といっても、保険料といっても国民からもらうことにはかわりはないんだから、それは一緒のことではないかと、両方からもらう以外ないんだというお話もあったわけでございますが、しかし税でいただくということになりますと、それは企業の負担は減るわけであります。保険料ということになりますと企業の負担というのは増えていくということになるわけでございます。私はそこで今後どうなっていくのかということの一つの目安として非常にアバウトな数字ではありますけれども、大体こういうことを考えている、こういう数字を考えているということをご披露を申し上げました。それはこれから長寿化、平均寿命が一体どこまで伸びるのか、2025年を想定をしました時に、現在男性が78歳で、女性が85歳の平均寿命でございますけれども、まずそんなには伸びないというふうに思いますけれども、男性80歳、女性88歳というのは一つの壁だというふうに思いますと、しかしその辺のところまでは見ておかないといけないというふうに思いますから、ここまで平均寿命が伸びた時に一体どれだけ掛かるのか、とりわけ医療費なら医療費はどれだけ掛かるのかと、そして今度は負担をしていただきます側のいわゆる労働力人口はどれだけ減っていくのか、労働力人口の推計がございまして、それを見せていただきますと、2001年から2025年、この25年の間に大体約800万くらい減ります、770万くらい減る予定でございます。ではその中でこれから女性の皆さん方もより多く働いていただく、あるいはまた高齢者もより多く働くということになってくる可能性もありますから、そこは数字はどうなるかは予断を許しませんけれども、しかし将来現在に比べて支えていただく側の、いわゆる保険料を出していただく側の数は1割くらいは減る可能性があると私は思いますと、2025年、したがいまして平均寿命が女性88歳、男性80歳、そして支える側が1割減るというふうに仮定をしました時に、大体それでは現在の制度に当てはめて、一体どのくらい保険料は増えるのかといえば、大体13%増えるというのが私の試算でございます。それがそうなりました時に、それを保険料で全部まかなうということになりますと、これは企業の皆さん方にも6%増やしていただかなければなりませんし、パーセントは6%でございますけれども、全体の額としては上がってくるわけでございますからかなりな負担になります。相対的に見まして日本の企業がどういう位置づけになっているのか、それは予断を許しませんけれども、諸外国に企業との間の競争力の中で負担能力を超えるのか、超えないのかといったこともあると思いますと、そうしたことを勘案をしてこれは決定をしなければならないものだというふうに思っておりますということを申し上げました。これは私の個人的な意見ということを前置きをいたしまして、年金、医療、介護、3つの中でとりわけ年金につきましては、これはどちらかといえば税を中心にしてお願いを申し上げたい。そして医療、介護の方は、これは保険料を中心にしていく、両方とも込みですけれども、込みではありますがウェイトをどちらに置くかといえば、年金の方は少し税にウェイトを置き、そして医療、介護の方は保険にウェイトを置くという考え方でいった方がいいのではないかと私個人は考えておりますと、こういうことを申し上げたところでございます。
記者:
昨日C型肝炎の問題で、フィブリノゲン製剤の省内調査の最終報告が出たわけですけれども、その報告を受けて大臣はどのようにお考えか、見解をちょっと教えていただきませんか。
大臣:
そうですね、かなり遡りまして、1977年ですかね、77年ということは昭和52年になりますか、その当時のことでありますが、国がやっておることでありますから、責任はいかなる場合であろうと国に責任があることは私は当然だというふうに思っております。しかしその責任の程度でございますが、その当時の旧厚生省の内部を私も十分に知っているわけではございませんけれども、海外の状況まで把握をする体制になかったことは事実であります。私はそれは率直に反省をしなければならないというふうに思っております。ただその当時保存用の輸血用の血液ですね、保存血液におきましても約10%前後の輸血後肝炎、血清肝炎が発生をしていたと、それは輸血後肝炎という言い方でございますから、その中にB型も含まれていたかもしれないし、C型も含まれていたかもしれない、そういう状況であったわけでございますけれども、それくらいの発生があったという時期でありますから、当然多くの人の血液を集めまして作ります血液製剤というものからもやはり発生することは医学的な常識になっていたということは事実でございます。しかし発生をする可能性はあるけれども、その保存血液やあるいは血液製剤は使わざるを得ないという、そういう状況にあったことも事実でございます。それらのことを勘案をしてどうするかということを今振り返りまして考えなければならないだろうというふうに思っております。いろいろ調査もしてもらいました。そして旧ミドリ十字につきましては当時どういう状況にあったのかということも、かなり何度も繰り返し調査をいたしているところであります。この旧ミドリ十字は現在はなくなっているわけでございますけれども、引き継いでいる企業があるわけでございますので、過去に遡ってそうした調査もしてもらっていると、現在もう一つ調査を継続をいたしておりますのは、1970年代、したがいまして昭和40年代、昭和60年まででございますが、βプロピオラクトンという不活性処理の物質を入れていたわけでありまして、どうもこの期間は発生が非常に抑えられていたということも言われておりまして、ただし昭和60年になりましてβプロピオラクトン、これが発ガン性があるのではないかという疑いでございますけれども、そういう論文が出たりいたしまして、これを中止をいたしました昭和60年、1985年でございますか、ここから61、62、63と、62年には加熱処理をするようにいたしましたが、しかし加熱処理はあまり効かなかった。したがいまして61年から63年くらいの間、ここにかなり発生をしている。それまでの報告は少ないということでございまして、ここで大量に発生をしてきたということでありますので、βプロピオラクトンがどれだけ効いていたのかということにつきましても現在もう一度調査をしてもらっているところでございます。こういう状況を振り返ってみまして国としての責任は十分にありますけれども、しかしその当時の医療界全般のこの状況からいたしまして、やはり血清肝炎というものを完全に除去するということは不可能な時代であったということもやはり我々は認識もしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
記者:
報告書については省外から身内だけの調査じゃなくて第三者機関みたいなものに評価してもらうべきではないかという声も出ているんですが、これに関してはいかがですか。
大臣:
調査をいたしております当時の各医学界、外科学会でありますとか、輸血学会でありますとか、そうした外部の皆さん方のご意見も寄せていただいておりまして、その当時どういうふうであったかということも意見を頂戴をいたしております。最もやはり問題視をしてお見えになりますのは輸血学会でありまして、当時私もその輸血学会に入っておりましたけれども、かなり輸血学会の中では、その当時は血清肝炎、輸血後肝炎というふうに呼んでおりましたけれども、問題視をされていたことは事実でございます。いかにしてそれを減らしていくかということであったというふうに思います。いろいろな提言もなさっているということを最近になりましてそうした報告からも知ったところでございます。そうした外部の皆さん方と申しますか、医療界の皆さん方のご意見も十分に聞いていかなければならないというふうに思っている次第でございます。これは過去のことでございますけれども、こうしたことを繰り返さないためにはどういう手を打っていけばいいかということを勉強するためには、やはり綿密な調査、やはり外部の人の皆さん方のご意見というものも聞いていかないといけないというふうに思っております。
記者:
海外の情報やそういった外部からの情報をきちんと集約して行政に生かす、そういった体制が不十分だったけれども、それと健康被害が結びつくということはどうなのかなと、結びつかなかったと推測されるというふうに昨日の会見では言っているんですけれども、行政責任についてはっきりと認めないと、事実上否定しているわけですけれども、大臣の方はどのようにお考えですか。
大臣:
それはその当時のといたしましては血清肝炎が、あるいは現在でいいますところのC型肝炎を含めました肝炎が発生をしていたことは事実でございますから、そこは率直にそうであったということを認めざるを得ないというふうに思います。ただ私が申し上げておりますのは、その当時の医学界としては血清肝炎が発生するけれども、その血液を使わざるを得ない状況にあったということを言っているわけでありまして、そうした状況の中でどうしていくのかと、これからも同じような立場に厚生労働省は置かれるであろうというふうに思いますから、海外の状況というものにつきましても、国内はもちろんでございますが、これは海外の状況につきましてもしっかりとアンテナを高くして、そして全てのことの状況を把握をしていかないといけないんだろうというふうに思っております。ですからその当時としてはやはり旧厚生省、諸外国の状況を把握する体制は不十分であると。
記者:
先程、最初に国がやっていることだから責任があるのは当然だと、被害が出ていることも事実として認めなければいけない、体制にも不備があったというご趣旨なんですけれども、そうしますとこれらを踏まえて、今後、例えば感染者から補償ですとか、治療費の無料化ですとか、そういう要望が出てきているかと思うのですが、これについて国の責任をどう反映させていくかということについてはいかがでしょうか。
大臣:
私は、そういうことがあるとするならば、それは裁判所が判断をされることだというふうに思いますけれども、私は時代にもそれはよると思います。1980年、90年代になってからの問題と、それから1960年や70年代の問題とは時代的な背景の違いというものは私はあるというふうに思います。初期の段階においてそれを今問うことは非常に難しいと私は思っております。
記者:
中国産の松茸の残留農薬の件ですが、松茸にもこういうものが出るということですが、大臣はどうお考えですか。
大臣:
それは農林水産省じゃあないですかね。
記者:
厚生労働省でもそういった基準を強化するというような動きはないかと。
大臣:
食べ物は全て厚生労働省の所管だというふうになれば、それは外国から出ておりますもの全てにつきまして検査をしなければならないわけでありますので、松茸も含めまして、農薬なり、あるいはまた添加物が含まれていないかどうか、きちっと調査をしていきたいと思ってます。

(了)