閣議後記者会見概要

H14.05.31(金)9:25~9:45 参議院議員食堂

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
大臣発言としましては、環境大臣から平成14年度「環境の日」及び「環境月間」につきましての報告がございました。それから国際熱核融合実験炉(ITER)計画につきまして科学技術政策担当大臣、それから文部科学大臣、外務大臣それぞれご発言がございました。それから平成13年度観光の状況に関する年次報告、いわゆる観光白書でございますが、国土交通大臣から発言がございました。労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査結果につきまして、総務大臣から発言がございました。4月の完全失業率は季節調整値で5.2%前月と同率となったと、こういう話でございます。しかし就業者数は6,333万人で前年同月に比べまして、94万人減少いたしております。13か月連続で前年同月の水準を下回っております。完全失業者数は375万人と、前年同月に比べまして27万人増加をいたしております。これも13か月連続で前年同月の水準を上回りました。消費者物価指数は5月の東京都区部の速報値でございますが、前年同月に比べまして1.2%の下落となりました。2年9か月連続で前年同月の水準を下回ったと、こうしたお話がございました。私の方からは有効求人倍率についてご報告を申し上げました。平成14年4月の有効求人倍率でございますが、季節調整値で0.52倍となりまして、0.01ポイント先月よりも上回ったところでございます。有効求人の方は季節調整値で前月と比べまして4.5%の増加と、有効求職者の方でございますが、これも季節調整値で1.8%の増加となっております。総務省からも発表になっております数字等をあわせますと、依然として厳しい状況が続いているというふうに認識をいたしているところでございます。それから私の方からもう一つは世界禁煙デーの協力につきまして、5月31日WHOが定めます世界禁煙デーでございます。このことについて閣議で報告を申し上げ、各大臣、各省庁にご協力をお願いをした次第でございます。

質疑

記者:
今日から禁煙週間というのが一つと、ワールドカップが今日から始まって、ワールドカップ自体も初めて禁煙だということなんですけれども、標語もたばことスポーツは無縁(無煙)ですということなんですが。
大臣:
お話ありましたように、ワールドカップも禁煙ということなっておりまして、本年の標語は、たばことスポーツは無縁ですと、無縁は括弧して煙が無いという無煙と掛けてあるわけですが、たばことスポ-ツは無縁(無煙)です。きれいにやろう、というのが標語でございます。記者会見も無煙でひとつよろしくお願いをします。
記者:
雇用情勢ですが、もう少し現状をどのように認識されてるのか、今後についてどのようにお考えになっているのか、お話し願えますか。
大臣:
有効求人倍率は0.01ポイント回復したとはいいますものの、失業者数におきましては依然として厳しい状況が続いている。前年同月と比べまして非常に悪くなっているというようなことを考えますと、まだまだ予断を許さない状況にあります。ただし、より具体的に見ますと、少し良くなってきているかなとも思われるところも無くはありません。その前に、非常に厳しいのは厳しいと言いましたが、その厳しい中身でございますけれども、非自発的理由というのは依然として増えている、これが3月は53万人でありましたのが50万人と、若干は少ないですけれども、実数で161万人で、前年に比べまして50万人増ということでございます。この辺が非常に厳しいところでございますが、いわゆる新規求人数を見てみますと、今までずっと悪かった製造業の中で製造業全体でもまだ悪いのは悪いのですけれども、電気機械器具製造業、ここは8.2%前年同月でプラスになっている、それからサービス業全体がプラスになっております。そのサービス業の中で情報サービス業ですね、ここのところが7.4%プラスになっております。これは電気機器と連動しているのであろうというふうに思いますが、そのサービス業のあたりのところだと思いますけれども、このへんのところがずっとこの三角形で、今まで前年同月期で悪い数字が続いてまいりましたけれども、ここに少し明るさが出てきたというふうに思います。卸売・小売業・飲食店のところも8か月マイナスが続いていったわけでありますが、今月は3.5%ですけれどもプラスに転じているといったようなことがあって、部分的にはこうした点も見受けられる。しかしトータルで見ますと、非自発的失業者がさらに増えているといったようなことがあって、まだ予断を許さない、良くなってきたということは言えない状況であります。厳しい状況が続いているというふうに判断した方が良いというふうに思っています。6月1日からワークシェアリングにつきましても本格的に支援策を実施していくことになっておりますので、各都道府県におきましてもそうしたことを通達をし、万全を期していきたというふうに思っているところでございます。
記者:
雇用保険についての見直しと言いますか、改革論議が進んでいますけれども、大臣として給付と負担についてどういった方向性で改革見直しがなされているというふうに考えているでしょうか。
大臣:
雇用保険につきましては、今見直しの緒についたところでございまして、まだどうこうということを言える段階にはありません。しかし、現在の雇用情勢を見ますと、例え経済の方が好転をしたといたしましても、今年いっぱいはかなり雇用状況というのは厳しさが続くというふうに覚悟しなければならないというふうに思っております。そういたしますと、今までありました貯金が完全に無くなってしまうということになるわけでございますので、いずれにいたしましても、来年からの部分につきましてはかなり厳しい運営にならざるを得ません。そういうことになりますと、いわゆる保険料を増やしていただくか、あるいは給付の方を下げていただくか、あるいはその両方を少しずつやっていただくかといったような選択にならざるを得ないわけでございますけれども、もう少し経済の動向等も踏まえて決定をしたいというふうに思っている次第でございます。経済財政諮問会議でありますとか、諸々の場所で雇用保険は下げるべきだとか、あるいは年金についてのスライド制はもう止めるべきだとか、あるいは医療の伸び率をもっと押さえるべきだとか、いろいろの意見出ておりますけれども、しかしセーフティーネットというものはやはり大事なものであると、いかなる時代にありましてもここを避けて通ることは出来ない。このセーフティーネットはしっかりと張っていかなければならないと私は思っている次第でございます。いろいろな意見が出ますけれども、しかし年金なら年金の問題につきましても、物価スライドをどうのこうのということを今議論する時ではないと私は思います。この少子高齢社会の中でより根元的に、より根幹の問題として、この年金制度というのをどういう形で持っていくかと、維持をしていくかということを決めないといけない、年金は社会保障の中でも一番の根幹だというふうに思っておりますので、ここが揺らぎますと国民の人生設計というものも変わってしまうわけでありますから、軽々なことを私は発言をしてもらっては困るというふうに思っております。新聞報道によりますと財務省あたりからいろいろのことが流されているようでございますけれども、社会保障のことはどうぞひとつ厚生労働省にお任せをいただきたいと思っております。よそのことを考える暇があったら景気をもっと良くしてもらうようにひとつがんばって欲しいと思っています。
記者:
まさに今お話しされた財務省から流れてくる一つで、大臣もお触れになった雇用保険の給付の引き下げが出ているんですけれども、大臣ご自身のお考えとしては今どのように受け止めてらっしゃいますか。
大臣:
先程申しましたように、これからの景気の動向にもよるというふうに思います。景気が順調に回復をしていけばそれほど大きな改革をしなくても済むだろうというふうに思っておりますし、もう少し様子をこれは見せていただきたいというふうに思っております。したがって、現在の段階で雇用保険の給付の額を減らすとか、そうしたことを今軽々に言うべき時期ではないと思っています。
記者:
昨日の経済財政諮問会議では、財務大臣の方から私見としてですが、基礎年金の国庫負担の見直しについてももう一度考え直すべきだというお考えを示されたようですけれども、そのことについては大臣はどういうふうにお考えになりますか。
大臣:
国庫負担の3分の1から2分の1への引き上げというのは、これは国会で各党間で合意されたことでありますし、法律にまで明記されたことでありますから、これはそう軽々に変えるわけにはいかない。財源がないからやめるべきだという意見はこれは少し乱暴すぎるのではないかというふうに思っています。あくまでも引き上げることを前提にして、足らなければその財源をどうするかという議論をすべきであって、現状で厳しいからそれは止めてしまうという考え方は私は反対でございます。
記者:
昨日の同じ経済財政諮問会議で、公的年金の見直しに触れて、民間議員の方々が出されている意見書の中では保険料を固定して給付の方を調整していくべきだという意見とか、年金の支給開始年齢を65歳を更に70歳以上に上げていくべきじゃないかという意見もあったんですけれども、大臣はどのように受け止めてらっしゃるんでしょうか。
大臣:
ですからそうした問題も含めてですね、その物価スライドをどうするかとか、あるいは年齢をどうするかといったような問題の前に、やはり社会保障の中心として年金はあくまでも据えていくんだと、これだけは国民の皆さん方が理解をしていただけるような姿でこれはやっていくんだということを前提に考えるのか、それとももう年金といえどもこの高齢社会の中でそう十分なことは出来ないと、個々人でやってくださいというふうに言うのか、その一番基本のところを先に決めなきゃいけないということを昨夜私は主張をいたしました。その根幹のところをどうするかということを議論をしていただくのが経済財政諮問会議であって、物価スライドをどうするとか、いくつにするとか、そんな些細なことを議論をしてもらう場では無いのではないかと、そこはひとつ些細なことは厚生労働省にお任せくださいと、こういうことを申し上げたわけでありまして、やはり私は社会保障の中で年金はやはりいずれの時代になりましても、これは堅持をしていくと、いかなる財政的に苦しい時代になったとしても、年金だけは堅持していくという強い姿勢をやはり私は政府は示すべきだと思います。他のどの分野を削らなければならなかったとしても、この年金だけはやはり堅持するということがなければ、やはりみんなの生活設計というものは根底から私は崩れると思います。現在の高齢者の皆さん方の問題であると同時に、そこを明確に置かないと多くに皆さん方がこれからの生涯設計を立てられます時に現在までの設計を変更しなければならないということになりますから、私はそこは明確にして、そして望むべきだというふうに私個人は思っております。
記者:
経済財政諮問会議で財務省なり、あるいは民間の議員の社会保障に対する意見を聞いてみますと、今大臣のおっしゃっていますお話の中ではどちらかと言うと社会保障の公的な部分はスリム化して民の方に移管していくべきだという意見が多いようなんですけれども、その辺についての今後の工程というか、どのように取り組まれて。
大臣:
民間に委ねるというところまでの話は今のところ出ておりません。出ておりませんが、しかしそうしたことも俎上に乗る可能性としてはあると思います。これは激論になるだろうというふうに思いますし、これからまた第2ラウンド、第3ラウンドやらなければならないというふうに思っておりますが、やはりこの年金の問題だけは崩してはならないというふうに私は思っております。信念を持ってやりたいと思っております。

(了)