閣議後記者会見概要

H14.02.05(火)10:42~11:03 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日の閣議におきましては、内閣官房長官から地球温暖化対策推進本部の構成員の変更についてというお話がございまして、京都議定書の着実な実施に向けまして、地球温暖化防止に係わる具体的かつ実効ある対策を総合的に推進するために、この推進本部を設置しておりますが、地球温暖化問題に政府一体となって対応するため、閣議決定案により同本部の構成員として総ての国務大臣にご参加いただくことといたしましたので、御了承をお願いいたしますと、こういうことでございます。それから外務大臣から東チモール難民に対する緊急援助につきまして、発言がございました。それから文部科学大臣からH-IIAロケット試験機2号機の打ち上げにつきましての経過をお話になったところでございます。

その他

大臣:
大体閣議は以上でございますが、閣議が終わりましてから、官房長官と少しお話をさせていただき、その後総理の所にお邪魔をいたしまして、総理とも少しお話をさせていただいてまいりました。内容は医療制度改革の問題でございます。私の方から申し上げましたのは、保険料の引き上げ、そして自己負担の、3割自己負担の問題等々を行うに当たりましては、やはりその前にやらなければならないことがあります。それは抜本改革の問題をどうするかということであり、とりわけその中でいつも私が言っておりますように、ひとつは医療保険制度の統合化、そしてそのあり方、そして診療報酬体系の基本的な見直し等々、まあ、他にもございますが、これらの問題をどう決着をつけるかということが前提条件であって、それをやることなしに7割給付にすると、3割自己負担にするということを先にすることには、私は反対でございます。踏むべき手順を踏んで、そしてやるということに、私はすべきだと思いますということを率直にお話を申し上げました。総理の方からは本当は平成12年に抜本改革をやるということになっていたのに、それが今日に及んで、是非この際に改革に取り組んで欲しいと、あなたの考え方でいいと、しかしそれをしたあかつきにおいて3割給付というのは、それは明記をして欲しいと、こういう話がございました。一つそっちの方でより具体的にそのへんのところを詰めてくれ、こういう話でございました。それで総理のご意見も承りましたので、具体的な問題につきましてはこちらで詰めさせていただいて、もう一度ご相談をさせていただきます。こう言って帰ったところでございます。以上大体そういうことがありましたので、ご報告をしておきたいと思います。

質疑

記者:
2003年4月に3割負担を法案に明記するということを総理は昨日強く、次官も含めて指示したのですが、それはないということなのでしょうか。
大臣:
いやないとは言えません。ないとは言えませんが、その前に構造改革、抜本改革の体制ができるかどうか。その基本的な方向性を示すことができるかどうかということが私は前提条件になると思います。
記者:
法案の取りまとめ、目標としては今月半ばには提出するという目標なのですが、それまでに方向性を示せるかどうかが鍵になると、そういうご認識で。
大臣:
まあ、そうですね。その方向性そのものを今月の15日までに出すというのはそれは難しいと思うんですね。しかし1年なら1年をかけて、そして平成15年度までならそれまでにその方向性を出すというような方向性を示すということだろうと思います。しかしそれが出来ないということになれば、7割給付と、3割自己負担の問題も、それは先送りになる可能性があると。
記者:
できるとお考えですか。
大臣:
やらないといけないと思っています。
記者:
つまり今回提出する法案では3割について明記しなくていいということになるのでしょうか。
大臣:
そうではないと思います。そのへんのところを少し詰めないといけないと思いますけれども、そうではないと思います。
記者:
抜本改革で方向性をある程度出そうという取り組みについて。今回の法案に書こうという考えで。
大臣:
そうですね。口では言えますけれども法律にする時に法案としてどういうふうに書けるのかという問題はございますから、少し検討してもらわないといけないというふうに思います。それはあくまでも大前提だというふうに思ってます。
記者:
この抜本改革のところの道筋がですね、法案の中に盛り込めれば、自民党の厚生関係の議員の方も納得していただけるというふうに、大臣ご自身もお考えでいらっしゃいますでしょうか。
大臣:
理解を求めなければならないと思ってます。
記者:
抜本改革の道筋というのは、要は検討の場を作るといことがはっきりしていればいいということなんですか。
大臣:
違います。将来どうするかという、何年かけて、どういうふうに改革をするかということが決定されなければ何にもなりません、将来検討しますというのでは話になりません。
記者:
具体的にそういうアクションプログラムを出来ないと、3割は実施出来ないということなのですか。
大臣:
そういうことになりますね。
記者:
逆に言えばアクションプランが明確に出来るならば、総理が指示してらっしゃる15年4月からの実施ということも視野には入っていると。
大臣:
範囲の中には入っています。
記者:
与党の方のご議論では、そうした抜本改革とか、後既に盛り込まれている高齢者の定率負担導入とかですね、新しい改革によって医療費の削減効果もあるじゃないかと、それを見る時間があってもいいんじゃないかというご議論があったかと思うんですが、そこについてはどういう。
大臣:
それも私は率直に言ってあると思いますね。抜本改革をやればそこから財源的にもプラスになる面は私はあるというふうに思っておりますし、それだけではなくて、今申し上げました、一例を申し上げた大きなものを申し上げたわけですが、それ以外の問題もあります。自民党の部会等で指摘されております社会保険病院の統廃合等の問題もございますし、それから徴収の一元化の問題もございます。そうした問題をどうクリアーしていくかといったことが大事だというふうに思ってます。そうしたものを決着をつける、この際に。そして国民の皆さん方にもお願いをすべきことはお願いをする。手順を踏まないといけないというふうに思ってます。
記者:
これまでの議論は、要は医療保険財政がちゃんともつのかどうかという議論が多かったと思うのですが、今度の抜本改革の道筋ということとですね、話の中身が全然違うと思うのですけれど、そのへんいかがお考えなのですか。
大臣:
昨年から医療制度改革大綱を作っていただきますときにも、その問題は既に提起をしてございまして、その中にも診療報酬体系の基本的な見直しでありますとか、あるいは医療保険制度の一元化、統合化の問題等はその中にも既に入れていただいてあります。だから大綱の中に既に入っております。入っておりますがそれをいつまでにそれを決着をつけるかということは入っておりません。この際に国民の皆さん方にご負担をお願いをする時には、その前にそれらは決着をつけるということがないといけないというふうに思っております。
記者:
総理は医療問題の抜本改革も15年4月までに結論を出してくれというお考えではないんでしょうか。
大臣:
早ければ早いほどいいということだろうと思います。
記者:
総理は必ずしも15年4月でなくてもしょうがないと、そういうふうなニュアンスだったと。
大臣:
そこまで詰めておりません。これからでございます。基本的な手順をどうするかということを今日はお話をしたわけでありまして、そのことに対しては異論ない。この際にやってくれというお話でございました。
記者:
大臣としては今おっしゃったようなアクションプランとか、3割の実施をどうするのかということを法案にどう盛り込むかを整理した上で、そうした案を官邸側と与党側両方に提示するということになるわけですね。
大臣:
そうでございますね。
記者:
その時期の目途というのはどういうふうに考えてらっしゃいますか。
大臣:
15日がひとつの目途ということになっておりますから、出来ればそれまでに出来ればというふうに思っておりますが、いろいろ整理をしなければならない問題もございますし、そして与党の中でご審議をいただかなければならない、手順を踏まなければならない問題もございますから、そのへんは少し流動的だというふうに思ってます。しかし目安としては15日を目安にしてやる必要があると思っております。
記者:
確認しますが、総理からは3割を明記して欲しいという。
大臣:
前提をクリアーしてのお話でございます。
記者:
ただその前提をクリアーしますと、財政効果も得られて、必ずしも3割という負担増を強いらなくてもよくなる状況というのも一方であるんじゃないでしょうか。
大臣:
そこまで出るかどうかというのはちょっとわかりません。それもありますし、それからもう一つは保険料との兼ね合いの問題もございます。保険料をどうするかと、ですから一番前提条件になります構造改革、そして保険料、そして自己負担、この三位一体で決定をしなければならないと思ってます。
記者:
閣議決定では、この医療制度改革大綱では保険料は上げるというふうに明記されているんですけれども、この場合に大臣としては上げるという見解で。
大臣:
それはもちろんそう決まったんですから、それはそういうふうに思ってます。
まあ上げるというのでしょうかね、下げるとも言えないし、総報酬制にするわけで、パーセントとしては少し下がるんだろうと思うんですが、しかし総報酬制にするんですから、トータルでいえば上げるんでしょうかね。例えば今1000分の85になってますけれども、それを例えば83にするとか84にするということになればパーセントそのものは下がると思うんですが、しかしボーナスからもお出しをいただくということが入ってくるわけですから。
記者:
もう1回確認しますけれども、今大臣がおっしゃった抜本改革のお話をいくらやっても、極端に言うと今後数年間の保険財政への効果というのはそんなにないと思うんですが、そういう意味で自己負担をどうするかどうか、保険料をいくらにするかとかですね、そういった議論とは全く別なんじゃないんですか、これは。
大臣:
違います。現在の診療報酬体系というのは次から次へといろいろのことを積み重ねて、まあ迷路みたいになってます。ですからそのへんの基本的な整理というものを一応しなければならない、私はそう思ってます。いつも申し上げておりますように医療従事者とそして患者の間の信頼関係を作り上げるような診療報酬体系にしなければならない。そうしたことも基本にしながら、あるいはホスピタルフィー、ドクターフィーというような問題をどうするかというような問題もございますし、それらも含めて基本のところをいっぺん整理を仕直すということにしなければならない。これはかなり医療財政に影響を与えるというふうに思ってます。また保険の統合一元化の問題につきましては、これはそんなに多くの財源がここから出るわけではありませんけれども、しかしあまりにも5,000を越えるような保険者によって成り立っているというのはあまりにも異常でありますし、そして統合化を進めていかなければ、いわゆる事務費も莫大なものになっていく、事務費の削減、これは当然のことながら国民の皆さん方にご負担をお願いをする前にこれはやらなければならないことだと思っております。
記者:
話が戻って恐縮ですが、総理から3割負担を明記して欲しいという指示があった時に、3割の引き上げの時期までは指示はなかったのでしょうか。
大臣:
だからそこまでの話はいたしておりません。
記者:
そうすると抜本改革などによる合理化によって15年4月を目指していた時期が後ろになる可能性もあるわけですね。
大臣:
それはやってみないとちょっとわかりませんから、今はそれをとやかく言える段階ではございません。
記者:
大臣の選択肢として3割を法案に明記しないというのはあるんでしょうか。
大臣:
これは3割はやはり書かなければならないんでしょう。実施時期をどうするかという問題があるだけでして、将来の展望としてはやはり3割というのはあるんだろうと思います。
記者:
将来というのはどのくらいまで。
大臣:
それはわからないです。将来は将来、明日も将来なら5年先も将来だと。
記者:
現時点では来年4月から3割と書くかどうかはペンディングであるという、今度の法案に、そういう理解でよろしいですか。
大臣:
そうですね。
記者:
そういう道筋、大臣が今おっしゃった道筋が法案に盛り込めれば書くこともあり得るべしと、そう書くこともあり得るべしと、そういう理解でよろしいですか。
大臣:
そこのところはこれから先の話です。ですから何べんか言いますけれども、今日総理と会って決めましたのはこれから進めていく手順を決めたと、何が一番大事で、それをクリアーしてどうするかということをお話をしたわけでございまして、総理の方もその手順に異存はないと、こういうことをおっしゃったわけで、より具体的なことはこれからでございます。

(了)