閣議後記者会見概要

H13.11.22(木)8:52~9:10 参議院議員食堂

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日の閣議におきましては、テロに関する問題で防衛庁長官からのご発言がありました。そしてまた平成13年度一般会計予算予備費の使用につきまして財務大臣からご発言がございました。それから国の審議会等における女性委員の参画状況についてでございますが、これは福田官房長官からお話がございまして、我が厚生労働省もちょっと苦戦をいたしておりますのでがんばりたいと思います。総理からのご発言がありましたが、これは外務大臣が外遊されますので臨時代理を官房長官がやられるということのご発言がございました。閣議関係は以上でございます。

その他

大臣:
今日は狂牛病の結果とヤコブの事と両方皆さんにご報告を申し上げなければなりませんが、狂牛病に関しましては、昨日も夕刊に皆さん方の方で全部書いていただいてございますし、中には号外まで出していただいたところがあるそうでございまして、一応皆さん方の方でご理解をいただいているものというふうに思いますから、改めて申し上げることはいたしませんが、今後も引き続きまして検査を徹底的に行いまして、1頭たりともこの検査から狂牛病の牛が漏れることがないように、さらに鋭意努力をしたいというふうに思っているところでございます。
クロイツフェルト・ヤコブ病の訴訟につきまして、大津地方裁判所及び東京地方裁判所から本年7月に和解勧告が出されております。去る11月14日に和解に対する所見が示されたところでございます。その内容はこれまで国が主張してまいりましたことと比較をいたしますと、大変厳しい内容であったと受け止めております。しかし東京地方裁判所の所見に指摘されておりますように、法的責任の存否の争いを超えて和解をし、国は被害者の救済と再発防止に向けての体制整備を行うことが妥当であるとの見解を謙虚に受け止めることを決意をいたしました。本日、両裁判所に対しまして和解の手続きをすることに同意をする旨回答することを決定をいたしました。和解に関します具体的な内容につきましては、今後の和解協議の中で詰められていくことになるというふうに思いますが、国といたしましては、この問題を早期に解決すべきだという裁判所の方針を尊重をいたしまして、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。いずれにいたしましても、この病気は大変重篤な病気であり、患者の皆さん方はもちろんでございますが、家族の方々のご苦痛、ご苦労を思います時、それは言語に言い尽くせないものであるというふうに思います。この皆さん方と真正面から向かい合いまして、国として今後何をなすべきか、そのことを捉えた和解勧告であると私は考えております。既に亡くなられた皆さん方もお見えでございまして、亡くなられました皆さん方に対して、心からのご冥福をお祈りを申し上げますとともに、現在療養を続けてお見えになります皆様方に対しまして、私の最大級の想いを込めてお見舞いを申し上げたいと存じます。以上裁判所から示されました和解勧告につきましての私の所見でございます。

質疑

記者:
所見は1987年以降の薬事行政の不備を指摘しておりますけれども、この点について大臣として責任の考え方と患者さんへの謝罪についてどのようにお考えになっているかお聞かせ下さい。
大臣:
今回の和解勧告、そして裁判所が示されましたものの中にも1987年という文字がございますが、しかし1987年から後は責任が有って、その前は無いということになりますと、これはまたなかなか難しい問題も生じる。そうしたところから裁判所は法的責任の存否の争いを超えてと、こういうふうに私は主張していただいているものと受け止めております。したがいまして、その裁判所のご趣旨を尊重をして、私はこれから和解の話し合いを進めていくことが妥当であると考えているところでございます。具体的なこれから国が何をなすべきかということにつきましては、これはこれからの和解交渉と申しますか、裁判所を中心といたしました和解の中で、今後詰められていくものと考えております。
記者:
原告の皆さんとお会いして直接に謝罪をされるというような、そういうようなお考えはございますでしょうか。
大臣:
原告の皆さん方とお会いをさせていただく機会は近い将来あるだろうというふうに思っております。またそういうふうにしたいというふうに思っておりますが、現在のところ、まだそれをいつにするかというところまでは決めておりません。しかし近い将来そういう機会を持ちたいというふうに思っているところでございます。
記者:
近い将来というのは和解が成立した段階ということでしょうか。
大臣:
そう遠くない時期というふうに思っております。この和解の、これからの交渉がどういう経過を辿るのかということを、そこまで私もちょっと今わかりません。早くこれが決着をつけるということで、例えば今年中にでもそれが成立をするというようなことでありますならば、それはその時期を待ってということもあるというふうに思いますが、しかし少し時間をかけながらということになれば、最終を迎えるまで待つということでなくてもいいというふうに思っております。
記者:
国としては87年ということに関係なく患者に対して全面的に救済するという方針ということでよろしいのでしょうか。
大臣:
ですから87年の年というのは、一つの科学的な立場からもかなりはっきりしてきていたのではないかという、そういうひとつの目安としてお示しになっておりますけれども、しかし今回の和解勧告というのは、そうした時期を明確にして、そしてここから前は関係が無くて、ここから後は責任が有るということがなかなか言い難いケースであるということから、私は今回の和解勧告を示していただいたというふうに理解をいたしております。したがいまして、これからどういう形でおまとめをいただくかわかりませんけれども、その裁判所のご趣旨というものを最大限に尊重したいと考えております。
記者:
これまでの国側のご主張は法的責任は認め難いというご主張だったと思いますが、国の責任を認めた所見を前提として和解を受け入れるというのは、これまでの主張と矛盾するのではないかと思うところがあるんですが。
大臣:
裁判は裁判としての主張が、私はあったと思うんですが、しかし和解というのは今までの原告、被告という立場のそれぞれの主張を越えたところにやはり和解というのはあるというふうに思います。今までのことを言い続けていたのでは和解は成立しないわけでありますから、今までの主張は主張としながら、しかしそこを乗り越えて和解をするという決意でありますから、裁判所もご指摘になっておりますとおり、今までの法的責任の存否の争いを越えてというその表現は、そういうことを私は意味しているというふうに思っております。したがいまして、現在まで我々が主張してまいりましたこと、そのことはそのことといたしまして、和解は和解に向けてのお話し合いに参加をさせていただきたいということでございます。
記者:
原告の方々への謝罪というのはお考えですか。
大臣:
ですからこれからですね。謝罪して済む話ではないんですね、謝罪をすればそれで終わりだったら裁判にはならなかったわけで、それ以上の問題があるからこれは裁判になったというふうに思っております。したがいまして、これから先この裁判所のご指示に従って和解のお話し合いを進めていく中で、そして我々の態度を決めていかなければならない、そういうふうに思っている次第でございます。
記者:
先程から大臣のお言葉に87年の責任、その後が責任が有ってというお話でしたが、責任という意味は大臣ご自身、実質的に法的な責任があるとお認めになったご発言なんでしょうか。
大臣:
それは裁判所の所見の話を私は申し上げているわけで、裁判所のお示しになりました所見の中には1987年、その第1例の報告がありましたその時点くらいからは厚生労働省としてもそのことが明確に把握できたのではないかという事柄の中に書かれているというふうに思います。したがいまして1987年以降ということを、我々がそこでそれじゃあ、もうそういうふうにするということを今私が申し上げているわけではなくて、裁判所の方もひとつの仮定としてそういうことをお述べになっておりますけれども、今回のこの和解の話というのはそこでひとつの線を引いて、そしてそれまでは責任がない、それからは責任があるといったような形でお示しになっているのではないのではないかというふうに私は思います。だからそこが明確になかなか出来にくいところがありますから、今回の和解勧告という形にされたのではないかというふうに理解をしているということを申し上げたわけでございます。
記者:
そうすると当面は訴訟ですから原告相手ですけれども、現在わかっている76人の方を含めた形での全面的救済をしたいというのが大臣のお考えでしょうか。
大臣:
そこはこれから裁判所を中心にしてお話を進めていただくわけですから、裁判所のご趣旨というものを最大限に尊重していきたいと私は述べているわけでございますので、これから先の進行というものを見守りたいというふうに思っております。
記者:
法的争いの存否を越えてという意味は大臣ご自身として、法的責任というのはないというふうにご解釈でよろしいんでしょうか。
大臣:
それはそんなことはありません。法的責任の存否の争いを越えてというのは法的責任ばかりをお互いに主張していたのでは、それでは現在の患者さんの救済にならない。しかもこの病気はそう長く続けることの出来ないその病気である。長く続けることの出来ない病気というのは言い方がおかしいですが、この病気になられた患者さんはそう長く生きられない、そういう現在の厳しい治療の状況の中におかれている。ですからそのことを言い争っているのではなくて、早く結論を出さなければならないというご趣旨だろうというふうに思っております。したがいまして、そのご趣旨に従って我々はいきたいというふうに思ってるわけですから、先程申しましたように何年の何月から責任が生じている。それまでは責任が無くというなかなか割り切りが難しいということを裁判所の方も、私は全体としてはお述べになっているのではないかというふうに考えております。したがってそのご趣旨に従って我々もこれからお話し合いに応じさせていただきますということを申し上げているわけですから、そこの所は良くご理解をいただきたいというふうに思います。

(了)