閣議後記者会見概要

H13.9.14(金)10:33~11:00 厚生労働記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日の閣議におきましては、まず内閣総理大臣から改革先行プログラムの具体的内容につきましての発言がございました。これは、「先日の閣議におきまして構造改革を強力かつ迅速に遂行するため改革先行プログラムを策定する旨を申し上げましたが、経済財政諮問会議における議論も踏まえ、最終的に私のほうでお手元の資料のとおり、経済を活性化し新産業、チャレンジャー、雇用を生み出す制度改革、環境整備が一つでございます。もう一つは、雇用中小企業に関わるセーフティネットの充実策、3として構造改革を加速させるために特に緊急性の高い施策、この各柱立てについて具体化したもので今後のとりまとめに向けて改めて閣僚各位のご協力をお願いする。」こういう発言がございました。それに対しまして、財務大臣、それから規制改革担当大臣の石原大臣それぞれにこれに合わせての発言がございました。その他防衛庁長官のアメリカ合衆国及びインドネシア共和国訪問についてのご報告、平沼経済産業大臣のアジア・欧州経済閣僚会議及び日中韓ASEAN経済大臣会合等への出席についての発言がございました。その他、アメリカテロにつきまして、総理大臣から世界経済に対して大きな影響を与えているし、今後も与える可能性がある。このことについてアメリカとも一致協力をして、そしてこの難局を乗り切らなければならないということと、それからこれによって日本の構造改革の進め方がひるむことはない。積極的に構造改革を進めていきたい。こういう発言がございました。大体以上です。

質疑

記者:
アメリカのテロに関係しまして、政府与党内の有事法制とか、集団的自衛権の討議が出ていますが、今回のテロをめぐるこういった議論についてどういった見解をお持ちでしょうか。
大臣:
有事法制、その他の問題につきましては、私の担当ではございませんから、私が申し上げるのはどうかというふうに思いますが、いずれにいたしましても、こうしたテロ事件が起こりまして多くの皆さん方がお亡くなりになり、大変アメリカに対しましてはお気の毒なことでございますし、そして心から亡くなられた皆さんに哀悼の意を表さなければ、というふうに思っております。この後こうした問題が起こったことに対して、あるいはまたこういうことが今後どうしたら予防できるのかということについて、もう少し議論をしなければならない時だろうというふうに思ってます。もう少し時間をとって冷静に判断をし、そして結論を得るのが順当ではないかというふうに思ってます。従いまして、現在急にこういうことが起こったからこれこれのことを改善しなければならないという、あまりあわただしい改革論議というのもふさわしくない。こういう重大な問題が起こりましただけに、これは十分に腰を落ち着けてこれからこういったことがまた起こる可能性があるのかどうか、そして可能性があるとするならば何を議論したらいいのか、そういったことも冷静に判断をして決めなければらないと思っているところございます。
記者:
改革プログラムについてなんですが、それは臨時国会で対応するということになるんですか、それとも一部例えば来年の通常国会に繰り越すというものも出てくるのでしょうか。その辺の内訳はどのようになってますか。
大臣:
ほとんどは、臨時国会においてどういったものをそこに出すかということに主眼がおかれているというふうに思います。もちろん、来年に影響することもあるだろうというふうに思いますが、これは臨時国会を中心にして先行プログラムはどうするかということだと思います。
記者:
基本的には総理が先行プログラムとしてピックアップしたものについては、これを臨時国会で早急に対応していくという意味ですか。
大臣:
そうですね。はい。ですから14年度で実施しようとしていたものについても、この臨時国会で前倒しでやるものはやってほしいと、その範囲のものは。
記者:
テロ関連ですけれど、ああいったテロが日本国内でも起きないと限らない訳ですけど、国内のそういった緊急の医療体制なり、危機管理につきまして厚生労働省として何か対策がありますか。
大臣:
今のところはそこまでの議論は進んでおりませんが、しかし今後こうしたことが日本の中で起こらないとは限らない訳でありますから、もしそうしたテロ行為というものが起こったようなとき、一体現在の救急医療体制がこれでいいのかどうかといったことは、議論をしなければならないというふうに思っています。そうではない普段の救急医療体制につきましても、今見直しを行っているところでございますが、なかなか平常時におきましても救急医療体制というのは、まだ完全ではございません。この平常におきます救急医療体制の問題とテロとの問題は若干違うというふうに思いますけれども、地域によって非常に大きな格差があるということでございますので、どこにおきましてもこの救急医療体制が確立できるようにもう少し全面的な検討というのが必要ではないかというふうに思います。
記者:
与党内でですね自衛隊が米軍基地を守る、そういった法改正をやるべきだという議論がありますが、これに対して大臣のお考えは。
大臣:
それは、担当大臣にお任せするしかないですね。
記者:
昨日、総理と会われていますが、医療改革の話について総理からどんな話があったのですか。
大臣:
総理からはですね、思い切った改革をやってほしい。一言でいえば、そういうご発言でございます。私からも改革の要点、医療制度をこういうふうな形にしていきたい、その改革の要点なるものを4項目に分けてお示しをいたしました。そうしたものを前提にして、そして具体的なこの痛みを分かち合う問題は考えてもらいたい。だから、まず先行してどういう改革をしていくかということを明らかにしていく、そしてそのことについては、徹底してやってもらいたい。いろいろの団体のことを気にする必要はさらさらない。強い決意の表明がございました。
記者:
4項目といいますと
大臣:
一つはですね。これは医療保険制度の一元化に向けた改革、当面地域保険とそして職域保険の二本立てはやむを得ないというふうに思いますが、そうした改革も言われて久しい訳でありますけれども、なかなか進んでいない、そうした改革を行うことによって事務費等で節減できるところはもう十分しなければならないというふうに思っております。それが第1点。
第2点は診療報酬についてのあり方についてでございます。これだけ医療が、いわゆる医療の質的向上というものがあり、そしてまた国際化あるいは高齢化が進んできた状況でございますから、もう一度基本に立ち返って、医療保険その中の診療報酬というものを見直していくことが大事ではないかというふうに思います。特にその中で診療所、病院等の運営につきましての基本的な問題、この運営等を行うに当たりましての論理的なと申しますか論理的な積算基礎といったものを明確にしていかなければならないと思っております。それからいつも私がここでも申し上げておりますように、もう少し疾病予防の立場から生活指導というものをもっと前面に押し出した医療体制、そして保険点数制度でなければならないというふうに考えております。やはり、国民のあるいは患者さんの立場からとりまして、何が大事かといえば、その人にとってどういう医療が行われることがもっとも望ましいのか、生活指導というものを第一に考えてそして大きな手術とかあるいはまた大きな医療を行うということに傾かないようにしていくといったような努力が必要ではないかというふうに思っています。そうした意味でもう一度ここは見直す必要があるというふうに考えています。総理からもその通りだと、この点にこそもっと徹底的にひとつ改革を加えてほしいというお話がございました。
それから3番目は医療の質をどうあげるかという問題でございます。最近、EBMという言葉がございますけれども、いわゆる根拠に基づく医療というものはどういうものであるか、それに対する多くの疾病のガイドラインを作る、そして国民の皆様方がそのことを十分に分かるようにして、いわゆる国民の皆様への情報公開をして、そして患者さん自身も自分の疾病に対する自分の病気に対する治療はこういうふうにしてほしいという、治療に対する参画ができる道を切り開かなければならないと思っております。それが質を高めるために大変大事な問題だというふうに思っておりまして、そのことの改革を行わなければならないというふうに思います。
それから4番目はこれは、いわゆる医療保険の合理化の問題でございます。かねてから取り上げられておりますけれども、年金、医療、介護それぞれの保険料を徴収しているわけです。雇用につきましても徴収をしているわけでございますが、それらの徴収の一元化の問題でありますとか、あるいはまたそれだけではなくてIT化によりますところのいわゆるレセプト審査の在り方、これをもっと徹底をさせてIT化によって、そして人員削減のできるところはしなければならないと思います。
そうしたことを行うことことによって、国民の皆様方に痛みを押しつけるというだけであっては決してなりませんし、その前にまず役所がどういう痛みを自分達で持つのかといったことを明確にしながら、この保険制度というものを改革をどうしていくか、そこの議論を明らかにしなければならないというふうに思います。そこを明らかにしたうえで、それで一体どれだけ現実問題として国民の皆様方にもご負担をいただかなければならないのか、そして診療を行う医療機関に対しましても今まで以上にご負担をいただかなければならないのか、あるいは保険なら保険に対しましても今までとは少しご負担をいただかなければならないのか、そうしたことを作り上げていかなければならないというふうに思います。
現在、この厚生労働省の中で進められております医療改革の案というのは、これは大枠、現在の制度をそのままにしたうえで、もし足りないところをカバーしていくとしたらどういうことしかないのか、ということが今行われているわけでありまして、現在行われておりますそれぞれの案をできる限り痛みを少なくするための、その改革案というのはどういうふうにしていったら改革ができるのか、そのへんのところをもう少し検討して、そうして痛みはできるだけ極力少なくしていかなければならないと思っております。財務省に出します案を早くしなければならないということはもちろんございますけれども、年末までまだ少し時間がありますから、それらの改革をどう進めるかということを中心にしながら最終的な結論を得たいと思っております。その点を昨夜総理にも申し上げたところでございます。
記者:
現在進めらている厚生労働省の案をですね、現在の制度そのままにしたうえで、どういうことができるかといった、それに対して大臣のお考えはいわゆる抜本的なというかですね、改革をした上での案を作るべきではないかと。そうなると現在進められている厚生労働省の改革案、これは大幅に変わるという感じでしょうか。
大臣:
可能性は十分あります。
記者:
叩き台は今月末に出されるということをおっしゃっているわけですが、そこまでに変えてお示しになるということでしょうか
大臣:
具体的な数字の所まで、今月の末にはいかないでしょうね。今申しましたような大枠の方向性というものを私は示しておりますけれども、それらを積み上げていってこれからどのように改革を進めていくかということを与党の皆様方ともご相談を申し上げなければなりませんし、そうした中で決定をしていくということになるわけです。年末までにはしかし決定をするということになることは間違いありません。
記者:
今、進められている案でいくつか数字がでておりますけれども、そういったものは、9月25日に予想される発表の段階では出ないというふうになりますか。
大臣:
仮置きとして出すかどうかですね。それはあくまでも現在をベースにしてやるならばこういうことしかやりようがないということを言うわけであります。しかしそれで終わってはならないと私は思っております。やはりどういうふうに改革をするかということが先行してなければやはり国民の皆様方にもご理解をいただけることはないだろうと。三方一両損という言葉がございましたけれども、役所も含めまして四方何両損か知りませんが、とにかく四方八方皆、痛みを分かち合うということでなければそれはご理解をいただけないというふうに思います。
記者:
痛みということで先程役所も痛みをということでしたが、具体的に何を意味してらっしゃいますか。
大臣:
先程4番目に申しましたことは、かなりの痛みを伴うだろうと思っております。
記者:
徴収の一元化と。
大臣:
徴収の一元化、それからいわゆるレセプトの電算処理によりますところの改革、そうしたところはですね、それから民間への委託、そうしたことを取り入れるということになればこれはかなりの痛みを伴うことは間違いありません。
記者:
徴収の一元化にしてもですね、いわゆる来年度の改革、2002年度からの改革は時間が無いということでですね、具体化は進まないのではないかというのが十分予想されるのですが、そのへんはいかがですか。
大臣:
来年から実施できなくても、私はいいと思っています。再来年からでも実施は。だけど方向性を明確にできるかどうか。
記者:
方向性についての担保みたいなもの、明確にするということになりますから。
大臣:
それはそうですねやる以上は。できるかどうか考えてくれと言ってましたら、いつまでたってもできません。これは小泉総理がおっしゃるとおりです。5年前に俺が言っていたことが未だにできていないと、大変ご立腹でございますけれども、私もそう思います。従ってやることはもうこういうことでやると決めてやるという前提の上にたってどういう方法があるのかということを考えてもらわないと、できるかできないかそこを考えてくれと言ってましたらいつまでたちましてもできないだろうと思います。
記者:
冒頭言われた一本化のところでですね、大臣のお考えとしては医療保険は一本化が望ましい、一元化が望ましいというお考えでしょうか。
大臣:
私は将来的にはそう思いますけれども、いっぺんにそこまで行くのはそれは難しいだろう。ですからこれは、職域保険は職域保険としての一本化、地域保険は保険としての一本化をしてまず二本立てにしないといけない。そこに行くのも大変な作業だろうと思います。しかしこれを行うことによってかなり事務費というものは節減できると私は思っています。だから余分なものは全部節減できるようにする。そういうふうにしたいと思っています。
記者:
一本化は事務費の節減だけが目的なのでしょうか。
大臣:
それだけではありません。事務費の節減いわゆる事務の効率化といったものもございますし、それから国民全体におきます医療の公平化といったことにも役立つだろうと思います。
記者:
改革プログラムのことでもう一点、あの経済財政諮問会議とかですね、総理もかなりその労働市場の規制緩和ということにご熱心だったと思うんですが、有期雇用の拡大ですとか、派遣期間の延長、見直しの問題とかですね、その辺についての取り組みは大臣と総理の間でどういうふに進めていこうと。
大臣:
そこまで具体的なことは何もありません。今日は何もありませんが、今までのところでは、そうしたところはですね、積極的に規制緩和を進めてもらいたいと言うことでありますから、そこは積極的に進めていきたいと、思っています。
記者:
改革先行プログラムに直接盛り込まれて。
大臣:
盛り込めるものは盛り込みたいと、はい。
記者:
すべてが入るかどうかというとそこはまだわからない。
大臣:
そうですね、来年度予算までちょっと待たなければならないものもあるかもしれません。しかしこの中に盛り込められるものは、極力早くやって盛り込みたいと思っています。
記者:
老人医療、介護、雇用の徴収の一元化のところなんですが、これは社会保障個人会計のような考え方ということでしょうか。
大臣:
まあ、それとも関係はないことはありません。個人会計の場合には個人としてそれをみた時に、一元化をできていなくっても個人としてすべてを出入りが掌握できるいうことを中心にあれはなっておりますけれども、私が申しますのはそういうことではなくて、そこで個人のところでの出入りが明確でなくても、徴収だけは先に一元化することができるのではないかと。だから一元化していこうと思いますと年金や医療や介護のですね、その番号をある程度一律にして行かなければならないということになりますからその、今、年金番号というのができておりますが、そうしたことをもう少し広げていって一元化していくようなことは当然考えなければならないことになってくるのではないかと思いますけれども、そうした問題もこれからの議論です。
記者:
大臣ちょっと失礼な物言いかもしれませんが、現在の制度を前提にしたいくつかの数字が出ていますが、その案と先ほど大臣がおっしゃられた改革の理念についてですね、結果的に改革の理念について、中長期的な課題であるということになって案自体は、現行制度のままになるという可能性はありませんか。
大臣:
なんにもやらなければそうなります。なにもやらなければ今のままになってしまう。だけどそれではやはり通らないでしょう。国民の皆さん方に理解をしていただくためには、それは通用しないと私は思っています。ですから皆さん方もあんまり急いで先に数字を書いてもらうと全然違ってくることになるわけです。気をつけてそこを書いてください。

(了)