閣議後記者会見概要

H13.6.12(火)9:53~10:17 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

政労使雇用対策会議について

大臣:
今朝からは第7回でございますが、第7回と申しましてもしばらく頓挫をいたしておりましたが、政労使の雇用対策会議がキャピタル東急で開かれまして、そしてこちらの方は官房長官、経済産業大臣そして私の三人が出席をいたしました。奥田会長、鷲尾会長にもご出席をしていただいて、有意義な会を進めることができました。この中でいろいろなことが議論されましたけれども、やっぱり不良債権処理ということで、それに対しては安全ネットが必要だということをよく言われるけれども、しかし安全ネットの前にもう一つ命綱が必要だという議論がございまして、もう少しきめ細かな雇用対策が必要であると、安全ネットさえ張っておけばいいという考え方は、それは少し乱暴すぎはしないかというような意見が特に連合側から出ました。ごもっともなご意見だというふうに私も思った次第でございます。一つそのへんのところを、大臣とそして経済界や連合との話し合い、トップ会談だけではなくて、少し事務レベルでの普段からのいろいろのお話し合い、そして問題を煮詰めていったものもやっていただこうということになったわけでございます。そうしたことが今日の結果であったというふうに思います。

閣議について

大臣:
それから閣議でございますが、閣議におきましては主にこの大阪教育大学教育学部附属池田小学校の件に対しまして官房長官から、そして文部科学大臣から、そして国家公安委員会委員長からそれぞれご発言がございました。いずれも同趣旨の発言でございます。その後経済産業大臣からはAPECに出席をされましたご報告等もあったわけでございますが、特にこの大阪の問題につきましては、関係する省庁と協力をして取り組んでいこうということになっております。ここの後もう一つその障害者施策推進本部会議がございましたが、その終わりました後官房長官と少しお話をして参りましたけれども、今までこうしたバスジャックの問題でございますとか、今回の事件でございますとか精神障害者によりますところの問題が起こりますと、その後様々な問題が取り上げられるわけでございますが、やはり精神障害者の皆さん方の人権の問題と、そしてこの犯罪の結果をどうするかということと、両方からいろいろな議論があって、そして議論がたくさんされるわりに前に進んでこなかったことも事実でございます。このへんのところを一体どうするか、この1月からも法務省と厚生労働省との間で事務レベルでいろいろなお話を続けていただいてきたことも事実でございます。これらのこの議論をふまえて、それを国民の皆様方からわかっていただけるような形で、国民の皆様方に安心をしていただけるような形でどう前に進めることができるか、大変難しい、重い課題ではございますけれども、ここはやはり一歩前に進めなければならないというのが官房長官とのお話し合いでも一致した議論でございました。是非そのへんのところをこれから議論を重ねていきたいというふうに思っているところでございます。

障害者施策推進本部会議

大臣:
それから先ほど申しましたこの閣議が終わりました後の障害者施策推進本部会議というのが、第2回でございますが、今日行われました。そして議題は一つは障害者に関わります欠格条項の見直しに伴います教育就業環境の整備でございます。それからもう一つは「アジア大平洋の障害者の10年」最終年でございますが、その記念国際会議が大阪それからもしくは札幌でしたかね、開かれることになっておりまして、それに対する協力体制を、この二点のことでございます。二つを了承したということでございます。

質疑

記者:
官房長官との協議ですけれども、政治主導でやっていこうという話が出たと聞いておりますが、政治主導でやっていくとはどういうことですか。
大臣:
専門家の皆様の間で、省庁の間でいろいろと議論をしていただく、そしてそれぞれの立場で専門的な立場でいろいろな議論が出て、そしてその均衡のうえで結論を出していただきますと、今日までの議論でございますと、今のレベルで置いておこう、今より前に一歩進めるということがなかなか難しい。一歩進めるという言い方が悪ければですね、今と変化させることが難しいという結論だと思います。それは先ほど申しましたとおり、一方におきましては国民の安全というものをどう守るかという立場からの議論と、そして一方は障害者の人権というものも守らなければならないではないかという議論、その両方との間の議論の中でいろいろの議論をしていただきますと、結局結論としては落ち着くところが現状維持になっていってしまうと、過去にもそうであった。しかし今国民の皆様方が現状維持で満足していただけるかと言えば、それは満足をしていただけないのではないか、どうしたらいいかということは皆さん方もそうおわかりになっているわけではありませんけれども、こんな状態でいいのというお気持ちをお持ちになっていることだけは間違いはないわけで、その国民の皆様方がこんな状態でいいのというふうに思われる。そのところをやはり我々は何らかの形で代弁をする必要があるのではないか。それは我々に課せられていると思っております。
記者:
関係閣僚で集まって協議する場を作るということ。
大臣:
関係閣僚でですね、集まって議論をするということもございましょう。あるいは政党間での議論をしていただくということもございましょう。そうした政党間の議論、そして閣僚間における議論、そうしたものを踏まえてやはり結論を導き出さねばならない時が来ているのではないかというふうに思っております。
記者:
国民の安全の方に軸足を置くというという考えでよろしいでしょうか。
大臣:
ですから、そこを一方的なことでは具合が悪いわけで、そこをどんな形にするかというところがやはり知恵の絞りどころだと思います。
記者:
官房長官などが具体的にこういうことをやってくれという指示は何かあったのでしょうか。
大臣:
いえ、ございません。
記者:
今のおっしゃりかただと、安全に重点を置くんだけれども人権にもなんらかの形で配慮していくというふうに理解してよろしいのですか。
大臣:
今までの議論がそういうことできているわけですし、それは大事な視点だというふうに思います。それは大事な視点なんですけれども、それで行くともう今のままで何もできないというのではいけない。
記者:
変化の方向はどちらを大事にする方向に。
大臣:
だからそこをこれから議論するわけで。
記者:
総理も入っていたと聞いているんですが、総理は同席されていなかったんですか。
大臣:
一部立ち会われたと申しますか、出かけられる前に一時的ですけれども議論に加わりましたけれども、「是非一つ検討してもらいたい」というお話でございます。
記者:
昨日の経済財政諮問会議でですね、医療機関の経営に株式会社を導入するということがいわれているとか、混合診療を入れることを検討するということが盛り込まれる方向が出てきたんですけれども、どのようにご感想をお持ちですか。
大臣:
株式会社が参加をする、株式会社はどうしても営利を目的とするわけでございますから、株式会社が全て悪いというわけではございませんけれども、やはり営利を目的にされるということになりますと、やはり結果としては医療費を増大させることになりはしないかなという気が私はいたします。現在の医療界に競争原理を導入して、医療費を抑制するという働き、それは一方であるかもしれませんが、しかし逆な面からいきますと収益をやはり図るということが中心になって、そして全体から見た結果としてはやはり医療費が増大するということにつながりかねない。その危険性というものを私ははらんでいること、そこをいったいその時はどうするのかということがある。それから医療の場合には経済効率を上げなければならない、財政効率を上げなければならないのと同時に医療効率を上げなければならないわけでありまして、これは医療の最大の使命だと思います。経済や財政の効率だけを上げるだけではなくて、医療効率を上げなければならない。株式会社がそこに入って、そして経済効率や財政効率を上げることは一生懸命やられるけれども、医療効率を上げるということをおろそかにされるとさらに医療の質は悪化するということになりますから、その危険性はないか、その辺のところを心配を私はしております一人でございます。
記者:
混合診療については。
大臣:
混合診療につきましては、これも大々的にこれを取り入れていくということになりますと、医療の格差を拡大をしていくということになりますから、いわゆる保険としての医療、国が負担をいたします医療費はそれは抑制されるかもしれませんけれども、個人が負担をする医療費は増大をするということになっていきますから、ここも非常に限度のある話と私は思っております。
記者:
昨日も社会保障個人勘定ですか、昨日個人会計という形で書きましたけれども、これを読まれてこれまで理解しにくいということをおっしゃってましたけれども、理解できましたでしょうか。
大臣:
経済財政諮問会議がお考えになっていることはわかりました。なるべくそういうふうに個々人での医療とか年金とか、個々ではなくて社会保障全体で自分の負担がどれだけで、そして将来自分の給付を受けるのはどれだけかということが明確にわかるということは、ある意味では大事なことなんだろうなという気はいたしますが、これも先日私は経済財政諮問会議で指摘をしたんですが、あまりそこばかりを強調しすぎると社会保障の意義、社会保障というのは自分でそれぞれ出して自分の将来のことなんだけれども、併せて同時に自分と同じ、あるいはそれ以上に他の人との相互扶助ということが大事な制度でありますから、そのことをみんなが忘れてしまうような方向になっては具合が悪いですから、社会保障の相互扶助の精神を失わないようにしなければならない。これもその辺の歯止めが必要であるというふうに思います。
記者:
外国人被爆者の件ですが控訴を含め。
大臣:
これも私個人は勉強を続けております。土曜、日曜日もかなり勉強いたしました。大阪地裁の判決文、さらに遡りまして広島地裁における判決文双方ともに何度か要点のところを読み返しをいたしました。衆議院あるいは参議院の厚生労働委員会の場で広島の判決と大阪地裁判決とは中身が違うという話がずいぶんされましたけれど、読んでみますと全く同じで論点は一つ、同じです。日本国内に居住または現在する人にのみ手当を出すのか、それともそうではなくて外国に住む皆さんにもそれを出すのか、その一点がやはり争われているわけであります。
確かに大阪の判決の場合には被爆者手帳を大阪府が出した、被爆者手帳を持っているということは、それは唯一のこれは被爆者の証拠だ、こういう原告団のご主張であることは、しかしそこは違うんじゃないかとというふうにいわれますが、それはそうかもしれませんが、しかし大阪府の方はそれを出したけれどもそれは日本に居住または現在するということを前提に出したものである。それは国外に行かれたらその効力はなくなると、日本に居住されるか在住されるかということがそもそも手帳が有効であるかどうかの定点だということを言っているわけでありまして、結局のところは両方とも同じことを言っているということでございます。
従いまして同じ日本の被爆者援護法に対しまして、外国の人たちに対してどうするかという明確なことが書かれていないが故に、一方におきましてはそれは外国の人は駄目だ、広島地裁の判決は国家の主権の及ぶ範囲で法律というのは効力を発するものである。国の主権の及ばないところまで法律は有効ではないという判決であります。大阪の判決はそうではなくて何も書いてないということは日本の国だけでなくて外国においても通用する話であるということを主張してお見えになるわけである。いつにかかってその一点を争われているというふうに思います。そうした点を中心に考えて今後どうするかということを検討していかなければならない。今週中に結論を出さなければならないわけでございますが、これも厚生労働省の法律でございますけれども、一番の主管は法務大臣でございます。法務大臣ともご相談をし、これも官房長官や総理にもご報告を申し上げて決めなければならないことでございますから、今週中に決定をさせていただきたいと思っているところでございます。

(了)