閣議後記者会見概要

H13.4.17(火)9:18~9:33 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
本日の閣議案件については、特別報告することはない。農林水産大臣から平成12年度の漁業白書についての報告があった。

閣僚懇談会について

大臣:
今日の懇談会で伊吹危機管理担当大臣からNBCテロ対策の推進についての発言があった。防衛庁長官からも同趣旨の生物兵器の対処に対する懇談会の発言があった。閣議関係では以上のとおりである。

その他

大臣:
それ以外の問題は、既に一部報道がされているが、今年の1月26日にいわゆるJR新大久保駅において線路に転落した人を助けようとした韓国人留学生及びカメラマンが電車に跳ねられた事故については、御遺族から労災保険の請求がなされていたところである。本件については、本日東京労働局管内の中央及び新宿労働基準監督署長が通勤災害と認定して、労災保険の支給決定を行うという報告を受けたところである。これにより関根さんの御遺族には遺族年金、葬祭給付及び遺族特別支給金が支払われることになり、李さんについては、御遺族に遺族一時金及び遺族特別支給金が支払われることになった。葬儀を執り行った赤門会日本語学校に対して葬祭給付が支給されるということが決定された。以上御報告を申し上げる。

質疑

記者:
スチーブンスジョンソン症候群の患者の方とお会いになったようだが、その感想と目の治療の研究等について具体的に今後できることがあるかどうか具体的に検討を進めたいということを発言したということを聞いているが、それは具体的にどういうことか。
大臣:
スチーブンスジョンソン症候群をはじめ、いわゆる薬の副作用によって後に障害の残った皆様方がかなりたくさんお見えになっていると認識している。特にその中で、スチーブンスジョンソン症候群の皆様方は目に大きな障害が残るということで、特に、日々の生活に大変なご苦労をされているということがある。保坂議員の予算委員会における質問を受け、是非一度お会いをさせていただいて皆様方の状況というものをお聞かせいただき、そして我々としてこれはできるだけのことをしなければならないと思った次第である。一つはこのような人達を再び出さないようにするためにどうしたらよいか、これは医療機関にこういう副作用があって、一度なると取り返しがつかない後遺症が残るということを良く知っていただくということをやる。これは知られているようで、前からあったと思うが、こういう症候群として取り上げられたのが比較的新しいものなので、医療機関においても十分そのことが徹底していないということもあるので、医療機関にこれを徹底をしていくということを、まず厚生労働省としては行わなければならないと思っている。最近医学雑誌や薬学の雑誌などに極力写真入りで、こういう事が起こるということを出して認識してもらうようにしている。また、各都道府県に対しても注意を呼びかけているところである。既に副作用を受けられて後遺症の残った皆様方に対して、一体どのような手だてがあるのかということであるが、一つは先程お話しいただいたように、目に障害が残り涙が出ないで常時点眼を続けていなければならないという、しかも特別な眼鏡をかけていなければならないという状況に対して、そうしたことを少しでも和らげる、皆様のお役に立つようなことはどのようなことか、それを治療する方法をもう少し研究をしなければいけないと思っている。いずれにしても患者数は非常に限定されているわけであるので、民間の機関でそのような開発をして商業ルートにのせてもらうというのは大変難しいことであり、非常に限られた人の問題であるので、これはやはり国のレベルでその研究をこれからして、そして皆様方にお答えをするということでなければならないだろうと思っている次第である。この各関係の機関でどういう所でやっていただくとか、どういう所がそれに対応していただけるかといったようなことについてはまだこれからであり、その関係の皆さん方、特に眼科医の皆さん方をはじめとしてご研究をしている皆さん方に対して、そうした呼びかけをして、できるだけその皆さん方にお答えをしていきたいと思っている。もう1点はいわゆる難病指定というか特定疾患にならないかという話があったわけだが、この特定疾患はご承知のとおりその原因が不明の病気に対してどうするかということであるので、この症候群は原因は明らかでありそこは根本的に違うので、今やっている特定疾患という形での取り扱いというのは少し難しいのではないかと思っている。はじめにも言ったとおり薬害については他にもいろいろあるので、こうした方々の救済、昭和55年であったか法律ができ、一応救済措置ができているがそれ以前の方もおみえになるし、そうした問題をいったいどうしていくかということを、もう1度この辺で整理をし考えなければならない時期にきている思っている。
記者:
新大久保の事故の労災認定の件だが、人助けの為線路に降りるという行為が通勤経路の中断にあたる可能性もあるのではないかと思うが、それを労災判定した判断の理由と、社会的に注目された事件なので、今回の件が労災認定されたことに関するお感じになることをお聞かせ願いたい。
大臣:
いわゆる通勤災害の考え方としては、労災保険法第7条第2項、第3項に書かれており、住居と就業の場所との間を合理的な経路及び方法により往復していること。それから往復の経路を逸脱し、または往復を中断していないこと。こうしたことが一つの条件になっている。本件は事業所から災害発生場所までの間に被害者が通勤経路から逸脱、中断した事実は認められないということである。突然の出来事でそれに対して対応されたということで、今までおそらく例はないと思うが、例がないというのはこういうケースが発生したという例がないと思うが今回申し出をお聞きするに足るという結論に達したということである。
記者:
認定されたことに関して社会的に注目された事件なので、大臣がお感じになっていることをお聞かせ願いたい。
大臣:
突然こうした場所に居合わせたお二人、他の多くの人がそこに居合わせたと思うがその中でこのお二人が勇敢な行動をとられた、そのことに対してやはり我々は最大限の敬意を表するというのが当然の責務ではないかと思う。そうした意味でお二人にこの申請が認められたことは大変良かったと思っている。このようなケースが全く無かったわけではないそうである。似たようなケースはJRの須磨駅のホームにおいて電車を待っていたところ、別の乗客がふらふらと歩いてきて直前で線路側に背を向けて、そのまま両手を上げた状態で線路側に倒れたという事故があったそうである。これに対して助けるという人がおみえになって、これもやはり労災として認められているそうである。全く無かったというわけでないようである。ちょっと訂正させていただく。珍しい少ないケースであることは間違いない。

(了)