第1回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

平成30年7月9日(月)10:00~12:00

場所

経済産業省別館235各省庁共有会議室
(東京都千代田区霞が関1-3-1)

議題

  1. 1.石綿ばく露防止対策等について
  2. 2.今後の進め方について その他

議事

○小林中央労働衛生専門官 本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。また、大変狭い会場となっておりまして、心苦しい限りです。申し訳ありません。それでは定刻になりましたので、ただいまより、第1回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会を開催いたします。
 委員の出席状況ですが、古賀委員から御欠席と御連絡を頂いております。
 まず初めに、本日の会議の開催に当たり、厚生労働省労働基準局安全衛生部長の田中から御挨拶を申し上げます。
○田中安全衛生部長 皆様、おはようございます。安全衛生部長の田中です。この度は、お忙しい中この石綿ばく露防止対策等検討会に御参集いただきまして、ありがとうございます。また、日頃から労働安全衛生行政に対し、多大なる御指導、御支援を頂いており、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。
 さて、今年は第13次労働災害防止計画の初年度ということで、新たな対策を様々な形で始める年であるわけですけれども、本日のテーマであります石綿ばく露の防止に関しましても、第13次労働災害防止計画の中のかなり重要な項目として、解体・改修工事における石綿の肺疾患防止対策の強化ということを検討して推進するということにしております。
 石綿につきましては、安衛法により平成18年以降製造、輸入等が禁止されていますけれども、既に過去に累計1,000万tが日本に輸入されており、その多くが建材に使われてまいりました。このため、現在でも職業性の石綿ばく露による石綿関連疾患、これはばく露から数十年たって発症されている方がまだまだ多いわけですけれども、約半数が建設業に従事されていた方ということになっておりまして、今後もしばらくは、かなりの労災認定が出てくるであろうと思います。
 一方で、世の中では石綿の問題というのは過去の問題のように思われている部分もありますけれども、今回のテーマでありますように、一旦造った建物を今度は解体していくという時期になっております。建物の解体件数が更に増えていく時期に入っていますので、今後、解体工事に伴う石綿健康被害が出ないようにすることが重要だということで、その意味での石綿対策というのは正にこれから本番だと思っております。
 石綿障害予防規則を平成17年に制定していますけれども、その後も平成26年まで4回にわたって改正を重ねてきており、解体工事等に従事する労働者の石綿ばく露防止措置に係る規制の内容を充実させてまいりました。全国の労働局、労働基準監督署におきましても、石綿対策を安全衛生行政の重点課題としてきたところです。
 しかしながら、現在に至っても解体などの工事において、石綿の把握漏れ等が散見されており、更なる対策の強化が必要であると考えています。本検討会におきましては、労働災害防止計画に定めた事項を含めて、対策の充実について検討を行うために、開催をさせていただくものです。解体・改修工事に従事する方々に、将来石綿による健康障害が生じないようにするために、御参集の皆様の各専門分野の知見、御経験を合わせて必要な対策を御検討いただき、必要な施策について御提言いただくことをお願い申し上げまして、冒頭の御挨拶といたします。よろしくお願いいたします。
○小林中央労働衛生専門官 安全衛生部長の田中ですが、他の公務の関係でここで退席させていただきます。
○田中安全衛生部長 どうも失礼いたします。よろしくお願いいたします。
○小林中央労働衛生専門官 続きまして、本日は初会合ですので、委員の御紹介をさせていただきたいと思います。お手元の資料1に開催要綱、2枚目に委員名簿を付けております。五十音順で名簿順に御紹介いたします。出野委員、岡委員、笠井委員。古賀委員については、本日御欠席です。続いて田久委員、豊澤委員、中村委員、本多委員、本橋委員、本山委員、若月委員です。
 事務局の御紹介をいたします。化学物質対策課長の奥村です。それから私、事務局の小林と申します。よろしくお願いいたします。
 議題に入る前に、資料1の開催要綱3(4)に基づく座長についてですが、事務局といたしましては豊澤委員にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、以下の議事進行につきましては豊澤座長にお願いいたします。
○豊澤座長 おはようございます。先ほど田中安全衛生部長からもお話がありましたように、解体工事の石綿に関する問題は正にこれからが本番ということでして、皆様の御意見をしっかりお聞きして議事を進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事に入りたいと思いますが、その前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○小林中央労働衛生専門官 資料の確認をさせていただきます。まず、1枚目に議事次第、裏面に配布資料一覧が記載されております。続いて、資料1~9までありまして、資料1が開催要綱など、資料2が石綿障害予防規則の概要、資料3が事前調査に関するこれまでの主な施策、資料4が議論の進め方と前半の検討項目(案)、資料5が石綿の事前調査が適切に実施されなかった事例の調査結果です。資料6が解体・改修工事等の件数、資料7が労働安全衛生法令における石綿の届出件数の推移、資料8が今後の予定、資料9が後半の検討項目(イメージ)となっています。
 本日は、委員の先生方には資料一覧にもあります参考資料を冊子にしてお配りさせていただいております。なお、一般傍聴者の方には参考資料を割愛させていただいておりますので、あらかじめ御了承ください。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございました。不足されている方はおられませんか。それでは、本日の議事に移ります。まず、(1)の「石綿ばく露防止対策等について」です。
 資料について事務局から説明をお願いします。委員の皆様には事前送付をしておりますので、要点を簡潔に説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小林中央労働衛生専門官 まず、資料1ですが、開催要綱と参集者名簿を付けております。開催の趣旨ですが、先ほど部長からも御挨拶申し上げましたけれども、第13次労働災害防止計画の検討事項を始め、石綿対策の充実を図るということで考えています。背景としては、石綿が使われている建築物の解体がこれからピークを迎えると考えており、一層の充実を図っていきたいというのが趣旨です。
 資料2です。本日、特に御議論いただきたいものが、資料2で申し上げますと左側の真ん中辺りに「事前調査」、「第3条」と書いてありますが、石綿障害予防規則第3条に基づく事前調査の充実について特に御議論いただきたいというのが今回の第1回の議題として考えております。
 資料3は、これまでの厚生労働省の事前調査に関する主な施策をまとめました。簡単に御紹介いたしますと、まず1番ですが、法令により事業者に事前調査の実施を義務付けています。平成7年に事前調査を義務付けて、平成17年に石綿規則を制定した際に、事前調査によって明らかにならなかった場合は分析をするということを義務付けました。また、平成21年には改正を行い、事前調査の結果の概要の掲示を義務付けたというのが法令改正の主な流れになっております。
 2番については、ほかの関係省庁とも連携し、ほかの省庁が作っております情報等を厚生労働省でも周知をしてきたということで、例えば「石綿(アスベスト)含有建材データベース」とか、「目で見えるアスベスト建材」について周知をしてまいりました。
 3番ですが、事前調査を行う方については、石綿に関し一定の知見を有して、的確な判断ができる方が行うように、厚生労働大臣指針に基づき指導を行ってきています。大臣指針については平成24年に定めて、様々な方を推奨しております。
 4番ですが、そのほか有識者による検討などを行い、様々な施策を実施してきまして、マニュアルや通達、テキスト等を作ってきています。
 続いて、資料4です。資料4のⅠは、議論の進め方になります。本検討会、それから本検討会とは別に下部組織のような形でワーキンググループ(WG)を設置することを予定しております。分担ですが、次のような形を想定していまして、この検討会では大まかな枠組み、方向性について御検討いただきたいと考えています。WGにおいては、技術的な事項について検討を行い、本検討会に提示する見直し案、検討事項において見直し案が1つでしたり、複数提示する場合もあるかと思いますが、そうしたことですとか論点などの整理をWGで行っていただきたいと考えております。
 Ⅱの検討項目に入ります。本日考えていますのが、「1事前調査を行う者の要件」です。(1)の現状と課題ですが、現在石綿の調査については、官民で複数の講習制度等があります。労働安全衛生法に基づく厚生労働大臣の指針では、事前調査についてこうした一定の知見を有している方が行うように推奨していますが、法令上の要件としては定めておりません。
 一方で、事業者が事前調査を実施したものの、石綿含有建材の把握漏れをした事案が指摘されています。一度、資料5を御覧ください。石綿の事前調査が適切に実施されなかった事例に関する調査結果、具体的に申し上げますと総務省が調査をした結果になっています。資料5の下半分の2個目の四角の枠囲みの所で今申し上げた含有建材の把握漏れした事例が記載されていますので、御紹介いたします。
 レベル3建材規制を実施している県市では、作業実施前の届出を義務付けている8県市のうち1県市、具体的には川崎市ですが、当該届出のあった全ての工事現場に立入検査を行っております。届出があった箇所以外にもレベル3建材が発見された、いわゆる届出漏れの割合が6割前後にも及んでいると。具体的には、平成25年度は事前届出714件に対して400件、平成26年度にも649件に対して407件となっています。川崎市によると、こうした届出漏れは事業者の知見不足のため、レベル3建材を的確に把握できていないことに起因しているものが多いとおっしゃっているということになっております。
 資料4の続きです。こうしたことから(2)の検討事項として、建築物などの事前調査を行う者について、一定の要件を定めてはどうかというのが1つ目です。2つ目として、要件を定めることを検討する場合には、WGにおいて、具体的な内容を検討してはどうかと考えています。3つ目として、WGにおいて論点整理等すべき事項として何があるか。またどのような方向性で議論すべきかということが今回の検討事項かと考えております。WGで議論する検討事項の例として、具体的には要件の内容、要件を課す範囲、その他ということで考えています。
 続いて、資料4の2ページです。「2事前調査結果に関する届出等」です。(1)の現状と課題ですが、建築物の解体等の作業において石綿含有建材の使用が判明した後も、監督署への届出を行わずに石綿ばく露防止措置が適切に講じられないまま着工されたという事案が指摘をされています。また資料5を御覧ください。今度は前半、上の四角の枠囲みの中を御紹介いたします。
 今回の調査対象の16県内で、平成22年から平成27年までに行われた解体等工事であって、建築物などに使用されているいわゆるレベル1又はレベル2のアスベスト含有建材が事前調査で適切に把握されずに工事が開始された事例等を、新聞情報や県市及び労基署が把握している情報を元に総務省が調査を行い、該当するものが52件確認されたということです。真ん中を飛ばして、52件のうち41件については、大防法や安衛法に基づく届出が行われていない、いわゆる無届事案ということで、その52件のうち29件、このうち24件は無届事案ですけれども、これについてはアスベスト含有建材の使用が判明した後も、飛散・ばく露防止措置が適切に講じられないままアスベスト除去作業が進められたと、アスベストの飛散・ばく露が発生したおそれがあるものなどだったという調査結果が出ております。
 資料4の続きに戻ります。こうした事案というか調査結果を踏まえ、不適正な事前調査を牽制する効果が働く法的な枠組みが必要ではないかと考えております。なお、御案内のように、石綿に関する届出についてはいわゆるレベル1やレベル2の作業を行う場合に、その事業者が監督署に届け出るということを現在義務付けています。
 (2)の検討事項ですが、1つ目として、一定の解体・改修作業については、石綿が無しの場合を含めて、事前調査の結果の概要を監督署に届け出る仕組みとしてはどうかと考えています。2つ目として、こうした仕組みを設ける場合に、届出対象の範囲についてはどのような方向性で設定すべきかと。不適正な事前調査を牽制する観点から、具体的には幅広い範囲を対象として、また行政や事業者の実務も踏まえまして、年間で数十万件程度の届出の枠組みとしてはどうかと考えております。また、不適正な事前調査を牽制する観点から、窓口で書面審査を行うということを目的とした届出ではなくて、監督署が対象を把握するために、数多くの届出の中から立入り対象を抽出する目的の届出としてはどうかと考えています。
 届出件数のイメージをつかんでいただくために、資料6を用意いたしましたので、御覧ください。資料6が解体・改修工事などの件数の参考値です。1番が労働安全衛生法令における石綿の届出件数ということで、昨年ですと1万1,906件となっております。なお、資料7でこれまでの推移を付けていますが、近年は大体1万件前後で推移しているという状況です。
 2番のリフォーム・リニューアル工事ですが、こちらは大体年間1,000万件ぐらいあるというのが、国交省の全数推計で示されています。
 3番の建設リサイクル法に基づく届出等件数ですが、1つ目としては建築物に係る解体工事、具体的に言いますと80㎡以上の解体工事が対象ですが、これが大体年間20万件ぐらいということです。2つ目の建築物に係る修繕・模様替工事等が2万8,000件ぐらいということで、これについては請負金額が1億円相当以上、それから修繕・模様替え以外に一定の新築工事なども含まれています。
 資料4に戻ります。3つ目ですが、WGにおいて具体的な内容を検討してはどうかと考えております。4つ目として、WGにおいて論点整理等をすべき事項として何があるかと、また、どのような方向性で議論すべきかということを御審議いただきたいと思っています。
 「WGで議論する場合の検討事項(例)」としては、1つ目として統計対象の具体的な範囲、2つ目として記入内容、特に事業者の負担に配慮した簡易な記入内容。3つ目として届出方法、事業者の負担に配慮した簡易な届出方法、そのほか4つ目として、例えば適正な公衆向けの掲示内容の確保策等を御検討いただいたらどうかと考えております。
 3ページです。「3事前調査に関する具体的事項」です。(1)現状と課題ですが、1つ目の事前調査において建築物などを調査する方法については、大臣指針や通達等で示しておりますけれども、法令上、具体的な規定まではありません。一方で、これまでに事前調査に関する技術的知見が一定程度集積した状況と考えています。2つ目として、事前調査結果の記録を法令上義務付けていますが、保存期間については指針で示していますが、法令上において規定はありません。3つ目の事前調査結果の記録を現場へ備え付けることについては、指針で示しておりますが、法令上の規定はありません。4つ目ですが、事前調査結果として記録すべき内容ですけれども、こちらについても法令上は具体的な規定はないという状況です。
 (2)検討事項ですが、1つ目として事前調査の方法について法令上、具体的に規定してはどうかと考えております。2つ目は、事前調査結果の記録の保存期間について、法令上規定してはどうかと考えています。3つ目は、記録の現場への備付けについて法令上規定してはどうかと考えています。4つ目として、調査結果の記録すべき具体的な内容について、法令上規定してはどうかと考えています。5つ目は、そのほか掲示など調査結果について、見直す事項はあるかということで御議論いただければと思っております。
 4のいわゆる「みなし」規定の対象について説明いたします。(1)現状と課題ですが、事前調査においては、石綿含有の有無が不明である建材については原則として分析を行うという法令上の立て付けになっておりますが、吹付け材を除いて、当該建材が石綿を含有するとみなして法令に基づく措置を講じた場合はこの限りではないとしております。いわゆる「みなし」規定と呼ばれています。吹付け材については、石綿含有が推定される場合もありまして、一律に分析までを求めるということは、工期や分析費用等の増大につながることから、適当ではないという指摘もあります。
 (2)の検討事項ですが、吹付け材も含めて「みなし」規定を適用できるようにすることとしてはどうかと考えています。
 4ページの5既存の届出の整理統合です。(1)現状と課題ですが、石綿作業に関する現行の届出については、一定のものについては安衛法に基づく計画届、一方でその他のものについては、石綿障害予防規則第5条に基づく作業届出を義務付けています。ただ、いずれの届出においても、実態としてはほとんど同じ添付書類を付けていただいて出していただいているという状況である一方で、法令上は届出が2種類に区別されていることから規制内容が分かりづらいという御指摘を頂いています。
 なお、同様の工事を対象としております大防法については、届出は1種類となっております。
 (2)検討事項ですが、作業届を計画届に整理統合することとしてはどうかと考えております。
 6番のその他ですが、以上1~5に加え、事前調査に関して、その他、WG等で議論すべき検討事項はあるかを御審議いただきたいと思っています。なお、建材分析については、後半にこれとは別に検討を行うことを想定しております。以上、議題(1)の資料の御紹介をさせていただきました。
○豊澤座長 ありがとうございます。盛りだくさんの議論になるかと思いますが、全体を通して議論するか、少し分けて議論するか、どうしましょう。全体でもいいし半分ぐらいに分けてもいいかなと思いますが、どうでしょうか。全体でやりましょうか。全体を通してまずは御意見を頂いて、それからどう進めていくかを考えさせていただきたいと思います。検討項目が6項目ございますけれども、6項目全体それぞれに対して何か御意見、御質問があれば、よろしくお願いいたします。
○田久委員 全建総連の田久です。事前調査の関係を少し厳しくということで、現場に出ている労働者は技能者が多い全建総連の組合としては、その方向で議論していただきたいと思っています。特にこの間も報告を頂いている中では、熊本の地震等でも福岡のほうでも、解体で恐らく石綿が使われているだろうと。プロの皆さんは建物を見たりすれば大体分かるものがありますから、それをミンチ(解体)等も含めて進められている現場があって行政に報告したのですが、なかなか進まないという報告ももらっていますし、今後、囲い込みも含めた作業が熊本などでは地震によって全部あらわになって、きらきら石綿が飛び散っている中を小学生が歩いていると、環境省の交渉のときに、うちの組合員さんがそういう報告をしていました。今後、事前調査を行うことも含めてですが、きちっと事前調査から一連の流れというものを、もう一度きちっとしていくべきではないかと思っています。
 その中の初めとして、ここはやっていかなければいけないし、そのための人間を増やしていくことは重要かなと思います。是非、そういった観点で、さっき言われましたように、実は全建総連内の組合を回ってみますと、お医者さんの関係も含めて「アスベストって、もう終わったんじゃないの」と何件も言われたそうです。それが実態なのかなと思いますので、そこも含めて事前調査を徹底する。費用がかさむことも含めて理解をしてもらう。発注者側とか住民も含めて理解してもらうことも議論の対象にしないと、いくら強めても理解がなければ、そういったことをやらない業者、抜け道の業者にどんどん行ってしまうようなことにもなりかねないので、是非、そういったことも同時に進めていただきたいと思っています。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございました。1~3についてポジティブな方向で検討すべきであるという御意見だと思いますが、そのほかございますか。
○出野委員 解体業会の出野と申します。最初から暴論と言いますか今更論ですが、ちょっとお時間を拝借して意見を述べさせていただきたいと思います。現在、1年間に中皮腫で亡くなっている方が1,500人ぐらい、交通事故で亡くなっている方が4,000人弱、これ、どちらが多いのか少ないのか。私は石綿の被害がものすごく広がっているのではないかという認識を持っています。ということは、今、田久委員がおっしゃいましたけれども、石綿問題はこれからもっとひどくなると。交通事故よりもひどいことになっているということですから、規制は強化するほうに私は賛成しています。
 その中で2つ、例えばということで暴論に近い論を述べさせていただきますが、1つは、今、目視とか書面の調査をして石綿の有無が分からなかったら分析調査をしなさいという規定になっているのですが、私は逆だと思います。原則、分析をしなさいと。ポジティブリストと言うのかどうか知りませんが、これこれ、こういう場合には分析をする必要がないと。その中の1つがみなしとか、それを厚労省あるいは環境省で具体的にピックアップしていただいて、これこれ、こういう場合には分析は要らないと。それ以外の場合は全部、原則、分析だという形に持っていったほうが、すっきりするのではないかと思います。業者のほうも一生懸命事前調査をすると思います。なるべく分析調査を省略したいという認識がありますので、それを1つ御提案申し上げたいと思います。ちょっと今更論という感じがしますので少し聞いていただければ幸いです。
 もう1つは届出関係です。これも前から言われていますけれども、建リ法だ、廃棄物処理法だ、安衛法だ、石綿則だ、いろいろと届出がありますけれども、これをなるべく統一してほしいという意見が前からございます。これについては私どもも、ほとんど暴論ですけれども、新築確認申請というのがあるぐらいですし、今後、解体が非常に問題になるわけですから、解体確認申請ぐらいの制度を作ったらどうかと。解体関係の有害物、アスベストに限りません。アスベストだ、PCBだ、フロンだ、NOxだ、何だかんだ、ごまんとあります。これをばらばらの法律で規制しているわけです。これをきちんと1つの法律にまとめる石綿特別措置法がいいかもしれませんけれども、何らかの形でまとめていただいて、制度的には解体確認制度と言いますか、そういう一括した届出をさせて、こういう内容で解体をやるのだったらOKだよと、行政の了解を取って解体を始める。こういう仕組みを是非作っていただければ、今更論で申し訳ないですが、有り難いなと日頃考えているところです。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。かなり突っ込んだところまで踏み込んだポジティブな御意見を伺いました。これについての御意見も含めて、全体を通して何か御意見がございましたら、続けてお受けしたいと思います。
○本橋委員 建築研究振興協会の本橋です。厳しくすることはいいのですが、出野さんの暴論どおりになるかと言ったら、それは多分、現時点では無理のような気がします。もちろん、レベル1は、今、分析していますけれども。何となく徐々にと言いますか、現実的に人が限られている中で、それだけ厳しくして建築工事がどのくらい進むかと考えると、私なんか実務の点から難しいと思います。ただ、事前調査を徹底させるというのはそれぞれ省庁でやっていますが、これも絶対やらなければいけない何とかというものとして、具体的には今でもお知らせ看板が出ているのです。図面調査により例えば入っていないとか、かなりいい加減な看板があるし、法令で決まっていないところがあるものですから法令で表現内容を決めればいいと思いますが、ただ、決めただけでは実際にそれが動いているかどうかチェックが難しいのです。
 ここにも書いてありますが、労基の人を、できたら大防法と一緒にチェックできればいいと思いますけれども、その人たちが中に入って本当に事前調査ができているのか。今でも事前調査の結果というのは施工現場にあるはずなのです。有りとか無しとか書いてあって、そこの工事をやっている人は施工計画を立てるときにマストではないですよ、でも普通はアスベストに関する事前調査の結果を見て、それに合わせたことをやっているわけですから、現場に事前調査の報告書があって然るべきなのです。私は入ったことがないから分からないですが、そういうのがちゃんとチェックできて、それが駄目だったら罰則規定か、どういうふうに注意するのか分かりませんが、是非、そういうところをやっていただく。言うのを厳しくというよりも、ある程度やってチェックしながら、数が多いものですから、それをうまく規制できるような方法を考えていただけるといいのではないかと思います。それは当然のことなのです。その当然のことをうまくチェックできるような形で進めるのが大切です。全数チェックしたほうがいいのですが、そこまでは実際無理でしょうから。そういうふうにやっていったらどうでしょうかというのが私の意見です。多少、暴論よりはよくなったような気がしているのです。
○豊澤座長 基本的に、この1、2、3の検討項目に対しては。
○本橋委員 私はこれでいい。
○豊澤座長 賛成ということで理解いたしました。そのほかございますか。
○若月委員 連合の若月です。多分、今、皆さんがおっしゃったようなところだと思います。実効性のある措置が大事だと思います。これまでいろいろな知恵を絞って、こういった検討会を他にもされてきたと思います。そういった中で省令などの法整備をされてきたと思いますが、結局、まだこういった問題が依然として残っているというのがありますし、さっき田久委員がおっしゃったとおり、もう終わったと思われている方が非常に多いと思いますが、実はこれからの問題だということをもっと認識する必要が非常にあると思います。
 いろいろな数字が出てきていますが、なぜ、こういうふうにいろいろ策を講じてもなかなか実効性が上がらないのか。上がっている所もあると思いますが、実効性を上げるという意味で例えばどういったことが数字の裏にあるのか。現場で何が起こっているのか。その辺の分析といったものをもっとして、それを更にもっと理解を深めていくことも必要なのかなと思います。
 法整備、おっしゃったとおり法律とかいろいろなものを統合して、なるべく簡素化を図るというのも、当然、方法としてあると思いますが、まだそういう気持ちに全体がなっていないのかなという気がします。実際、こういった所で調査を行う人たちも、そこでばく露してしまうといった危険性もありますし、実際、困るのは労働者であり家族でありということですから、そういった世論環境も含めてやれたらいいのかなと思います。検討会というより、むしろWGのような話だったかもしれませんが、そういったことを感じましたので発言させていただきました。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○本山委員 質問です。資料4の2ページで、届出の件数を数十万件程度にしてはどうかという話ですが、これについて資料6の数字を見て数十万件というのは、どこからくる数字なのでしょうか。
○小林中央労働衛生専門官 直接、資料6からこの数十万というのを導いたわけではありません。現実的なところとして数十万件ぐらい、審査を要しないで出していただくだけの届出であれば、そのくらいまでさばけるのかなと考えています。そこから数十万件を出しています。一方で、数十万件というのがどのくらいの対象になるのかというのを、資料6で参考にお示ししているところです。
○本山委員 数十万件は、あくまで労基署の主体的能力から見てという判断ですか。
○小林中央労働衛生専門官 はい、そうしたことも考慮しています。
○岡委員 住団連の岡と申します。今の意見については、進め方としては結構かと思いますが、ただ、個人宅の住宅が多い中で解体をやっていく中で、お客様(発注者)への説明不足ですね。先ほどお話もありました、もう終わったんじゃないのという意見もあったかと思います。発注者に対して私たち排出事業者側が説明をした段階で、お客様に分かってもらうのが非常に大変です。いろいろ資料をお見せいたします。当然、法律的なものをお見せしているのですが、なかなか御理解いただけない。というのは、壊すものにそんなにお金はかけられないという意見が非常に多いです。ですから、住団連の中に入っているプレハブメーカーの方々は、ほぼ事前調査をしていこうという段取りを進めています。ただ、お客様に対しては、どこでメーカーを決めるか分からない状態の中で、事前に調査はできないという問題もあります。
 それと、実際に取り掛かったときに廃石綿になりましたと、処理はどうするのか。その処理方法まで考えていただかないと、東京都で廃石綿の特管の積替保管を持っているのはまだ1社しかありません。こういう状況の中で、23区内全部やりなさい、全国をやりなさいと言ったときに、その廃石綿の積替保管がないという現状ですと、排出事業者側としては運般にそれだけの費用が掛かってしまいます。ですから、そういったところも検討していかないと、事前説明とか事前調査は当然必要ですからやっていくのですが、廃石綿になったときに、どう処理をしていくかという後ろも考えていただかないと、なかなか難しいと思っています。以上です。
○豊澤座長 全体のシステムとして回るように、その辺も考慮すべきだという御意見だと思います。そのほかございますか。
○笠井委員 全国建設業協会から来ています笠井です。皆さんがおっしゃるとおりですけれども、いずれにしましても建設業というのは御承知のとおり、ものすごく裾野の広い産業でございまして、この周知というのが非常に難しいところがあります。おっしゃっているとおり、なぜなかなかできないのかというと、なかなか周知徹底できていかないところがあります。この辺も、どういうふうに制度的に周知していくかということは考えていかないと、法律をどんどん厳しくするだけでは、法律順守の意識の高い会社はしっかりやろうとするでしょうけれども、そうでない会社は、できないからやらない、黙ってやってしまえという方向性に行きかねない。言葉はあまりよくないですが、正直者が損をするみたいな世界にどんどん行ってしまうのではないかという気がしています。
○豊澤座長 笠井委員は、基本的に議論の方向としては御賛成いただいているけれども、周知徹底とか、正直者が損をしてしまうようなシステムにならないようにしたいという御意見と伺いました。
○笠井委員 そうです。
○豊澤座長 そのほかございますか。
○中村委員 安衛研の中村です。私も、あまり現場に出たことがあるタイプではないので現場のことはそんなに分からないのですが、今回、この委員に選んでいただいて、もう1回、ちゃんと調べ直そうと思って見て、届出がいろいろあるというのが分かりにくいなと今回もまた思ったところです。今回、この資料の中で検討事項に電子申請という言葉が出ていますが、これはうまく使えば届出もしやすくなるし、受けたほうも電子申請ですとデータとして取扱いやすいのではないかと思いますが、逆にお聞きしたいのは、この電子申請という所でどの程度のものをお考えなのか。例えばそれをデータベース化して共有し、みんなで見られるようにするとか、そういうところまでを含めたことをお考えなのかどうか。ちょっとそこをお聞きしたかったのです。
○小林中央労働衛生専門官 電子申請ができた場合は、例えば、今、地方公共団体と紙で届出の共有をしていますが、Web上で地方公共団体の方に見ていただくことも可能だと思っていますし、前段でおっしゃっていた監督署の実務として電子申請で出していただくと、そこへ振り分けと言いますか、分析もしやすいということで大変メリットはあると考えています。
○中村委員 そういう使い方まで想定されているということで、例えば先ほど数十万件というお話がありましたが、申請だけで言うともう少し受けることも可能なのかなと。その中で実際、どういう所に網を掛けるべきか。例えばどこどこで、こういう事例でありましたといったら、それと類似の事例を探すとか、そういう形の作業がしやすくなるのではないかと思いましたので、もしそういう方向性があるのであれば電子化という形でやるのはいいのかなと感じています。ただ、そうなるとシステムを作るのが結構大変なのかなと思いますが、その辺りも含めて実現の可能性も想定はされているということですか。
○小林中央労働衛生専門官 電子申請のシステムを作ること自体は、そんなに難しいことではないです。あとは予算の問題なので、それは行政として予算が取れるように努力をするということです。御質問のありました、電子申請のほうが処理能力が上がるから届出件数を大きくできるかというのは、それは一般論としてはそのとおりだと思います。数十万件というのは、どこまでが紙で、どこまでが電子かというのを具体的にしないまま、ふわっと大体数十万件程度だろうということで書いています。
○豊澤座長 その辺も含めて、その辺をWGで細かい話は検討してもらうことになるかと思います。そのほかございますか。
○奥村化学物質対策課長 化学物質対策課の奥村です。先ほど、これまでの石綿の対策は実効があまり上がっていないようなので、それの検証をするべきではないかという御指摘がございました。私どもも石綿の対策が、総務省の勧告で報告されているような内容については決して浸透していないと理解しています。それにつきましては、冒頭に言ったように石綿に対する理解が十分でないということもあろうかと思います。遅発性の石綿肺とか中皮腫という大変深刻な疾病になるわけですが、遅発性で何十年も後だということから現に働いている方の理解とか、事業主も含めて関係者の理解がまだ行き届かないところがあるのではないかと思っています。これは現に被害に遭われている方が、何十年前も石綿は悪いなという指摘はあったけれども、こんなにひどくなるとは思わなかったとか、もっと監督署は強く言ってほしかったという声も裁判では明らかになっていますから、昔やるべきだったPRの強化というのは今でも相当通用していて、行政の大きな課題なのではないかと思っています。
 あと、監督署は全ての現場を回ることは、当然、不可能ですから、一定の抽出した現場に行って効果を上げるということをしているわけですが、なるべく大きな効果を得る方法で現場を抽出したいと考えています。吹付け石綿のレベル1、レベル2の届出のあるような所は、ある程度対策がきちんとしているという結果が出ています。ハイレベルの所はそれなりのきちんとした対策が取られていて、むしろ安心です。そうではないレベル3、あるいは石綿があるかないかもはっきりしない所が一番大きな問題なので、この検討会を踏まえて石綿則が見直されたときには、調査結果上はリスクが高くないと見える所に重点的に監督署等のマンパワーを投入して、そこで指摘していき、草の根から注意喚起を広げていきたいと考えています。
 もう1つ、石綿の危険性そのものについて、もっと大きな理解を求める理解増進の取組をキャンペーン的にしつつ、草の根的にきちんと1個1個潰していき、違反を繰り返すような事業場に、何らかの繰り返させない仕組みを講じていくのが、行政の方向性ではないかと考えているところです。
○本橋委員 今の意見に非常に賛成なのですが、先ほどあった所有者が一番分かっていないとか、多分、戸建なんかだとそうだと思います。大きな建築物だとちゃんと分かっていて、自分の資産価値にも掛かってくるから一生懸命やっているのですが、やっていない所が、破砕して処分はどうするのかとか、施主にちゃんとレベル3が入っていると言ったのに金を出してくれないとか、多分、そういうのはあると思いますが、できたらこのような情報発信したほうがいいと思います。こういうまずい例があると。何とかホームの解体をしたときにこういうふうに言われたので、これを説明したけど分かってくれなかったということを、批判的に責めるというのでなくても情報発信として、そういう例があるというのを、みんなで認識しないと変わっていかないと思うのです。それはこういう所で言うだけでなく、発注者の意識を高めるためには所有者に調査報告を持って行っているはずです。それをどういうふうにやったか特定してはいけませんけれども、これが現状なのだというのを認識させるのが割と大事だと私は思います。我々、やることも大事ですが、発注者の意識を高めるためには注意喚起をする。そういう気がします。
○豊澤座長 確かに、この規則を回していくには発注者の協力なしでは進まないのです。発注者がそれを理解することが1つのポイントになると思うので、その辺は行政のほうでしっかりPRなりしていただければいいと思います。
○田久委員 今、言われたように発注者で一番大変なのが私たち一般の国民なので、ここのところは相当力を入れないと、10年前のクボタショックのときは一時的にですけど、一般の市民の方も含めて理解をしたと思いますが、今、そうでなくなったと先ほども言いました。実は建設労働者の中でも、10年前のクボタショックのときに石綿の特別教育などをしました。昔、私が所属していた組合で6万人ぐらいいる中では4万人ぐらい、その特別教育を受けていただいた。そこでも受けたし現場でも受けたということがあって、一時期、そういった石綿に対する知識が労働者の中にもかなり広がった。そういうことがあったのですが、恐らくここ4、5年で入って来ている若者は、多分、そういう教育は受けていない可能性もあるのです。その作業をしなければ受けないので、一時的な解体なり建設業自体でそういったものをやる際は、やる、やらないは別にして知識としては入れるような取組も考えなければいけない。
 それと、先ほど言ったように石綿の除去の現場では、濃度の測定は実施されていない状況があるのかなと。こういった部分でも、リスクアセスメントができづらい状況もあるので、そういったことも含めてやっていって、本来、こういう数値が出たから、私たちはこういう保護具を付けなければいけないので付けていますよというのを示さないと、正直言って働く人たちの対応が一番よくないというのは、私たち組合の責任もあるのかなと思っていますが、こういったことをやっていかないと改善がなかなかできないと思っています。是非、そういった教育をして、もう一度、10年前のような状況をということで、13次防が始まったところで、是非、検討していただければと思っています。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○本多委員 日建連の本多です。今回の検討の方向性については特に異論はございません。事前調査のあり方であるとか、あるいは届出、保管のことを充実することについてはこのとおりだと思いますけれども、先ほどから複数の委員の方が言われているように、発注者の理解が得られること。それから裾野が広いという話がありましたけれども、あらゆる事業者が実行できるものでないと現実的でないと思われますので、理想と現実はいろいろあると思いますが、そこのところも認識しながら定めていく必要があるのではないかと思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○本山委員 規制の話については粛々と進めるべきであろうと思いますが、先ほどもお話があったように周知徹底のほうですが、これが一番難しいと思います。恐らくここに来られているメンバー、日建連、全建、住団連、建災防も含めて、また労働組合も含めて、会員とか組合員を全部合わせても恐らく全事業者の1、2割程度だと思います。残りは直接的にほとんど周知できない状況にありますから、ここにいかに周知するかというのが非常に難しいのですが、今回、行政が数十万件届出を出してもらって、抽出して監督するという話がありました。これは非常にユニークな方法で、事前審査ではなくて何十万件か届出を集めて、そのうち抽出して何件かに聞くというのは、一般の人も「俺の所に来るかもしれない」という思いになって周知が進むというユニークな方法だと思います。その辺をもっと精密に詰めれば、普及の方法というのにも活路を見出せるのかなと思っています。従来の会員だけに周知というのでは限界がありますから。対象があまりにも大き過ぎる。解体で20万件、リニューアルを含めると1,000万件というようなデータですから、これをどうやって周知するかというのが、中心的に議論されればいいのかなと思っています。
○豊澤座長 発注者の理解とか裾野が広いので、そこにどうやって情報を伝えていって、気持ちというか、理解を変えてもらうかが非常に重要だというのが、委員の皆さんの共通の認識のように思います。その辺も含めて検討するというのは、どういう形で検討していけばいいですか。WGのほうにそれを下ろしつつ検討するとか、どんな感じになりますか。
○奥村化学物質対策課長 私どもは発注者の問題については、法令の改正という立場からすると、この前半の検討会ではなく、より後のほうでと考えていました。ただ今御指摘のあった資料の作成とか、それの広報ツールを開発して、いろいろな方が発注者に理解を求めるように作るべきだという御意見を頂きましたので、そういったものは決して後に話題を遅らせることなく、今、できることは取り上げていただいて提言していただいてもいいのかなと思っています。
○豊澤座長 今、皆さんから御意見を頂いたので、それが議事録として残りますから、それが本委員会の意見だという形で残るという理解でよろしいですか。
○奥村化学物質対策課長 はい。報告書をまとめるときにも、今すぐできることをやるべきだと書いていただくことも可能かと思っています。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほかございますか。
○出野委員 追加で2点ほど意見を述べさせていただきます。1点目は資料6に関してです。資料6に届出のデータがありますけれども、1、2、3とあって、3の建設リサイクル法関係で、これが年間20万件ぐらい届出があると。これは解体業者全員がやっているかどうか怪しいところもありますけれども、ほぼ10年ぐらい前に70%と言われていたのですが、今はもう少し上がっていると思います。それにしても解体業者は、こういう届出はきちんとやっているという前提がありますので、この中に石綿の届出を含めて一緒にやることは全然不可能ではないでしょうし、実効性も上がるので、国交省、建リ法と一緒になって、是非、そういう制度のきちんとしたものを作っていただけると思っています。これは他の有害物についても、みんなそういう意見を述べさせていただいているのですが、例えばフロン関係はみんなそうですね。ばらばらなのですが、建リ法では届出の対象になっていない。立法趣旨が違うということなので、是非、御検討いただきたいと思っています。
 2点目が、こういう政策を考える場合には何回も出ていますけれども、教育と規制と経済的手法、これが三本柱だと思います。教育に関しては先ほど皆さん方がおっしゃっていますように、どういうふうに周知活動をやるか。これは是非、徹底して検討していただきたいと思います。
 規制のほうは、先ほど申し上げましたように少し規制を強化したほうがよかろうと思います。ただし、規制を強化した以上は、その規制をきちんと守ってもらえるかどうか。具体的には摘発をどうするか。こういうことを是非考えていただきたいと思います。先ほどありましたように正直者が馬鹿を見ると、黙ってやってバレなければ儲かると、ちょっとオフレコみたいな感じで申し訳ないですが、あまり講習会とかに参加して法律を知ってしまうと会社が倒産するぞと、何も知らないほうが会社は儲かるという冗談があるぐらいなのです。ですから、その辺りはそうならないように、正直者が馬鹿を見ないような方策を、是非、考えていただきたいと思います。
 3点目が経済的手法ですけれども、端的に言えばアスベストをきちんとやった方には御褒美をあげると、金銭的な優遇措置を考えるというのが理想かもしれませんが、そんなことは多分不可能だと思いますので、事前の策としてアスベストを除去するときに誰が費用を負担するか。発注者だとよく出ますが、本当に発注者でいいのか。そういうアスベスト含有建材を作った方の責任はないのか。そういうアスベスト含有建材で利益を得た方には責任はないのか。耳が痛い方もいらっしゃるかもしれませんが、是非、そういう根本的な議論もお願いしたいと思っています。以上です。
○豊澤座長 その辺も難しい議論になるかと思います。本委員会はこの6項目の方向性として了解するかというのが、まず第一の優先順位だと思います。そのほかはいろいろ御意見を頂きましたので、それは議事録としてしっかり残していただきたいと思います。時間が早いですけれども、そのほかございますか。
○若月委員 今ちょっと御褒美という言い方されましたけれども、例えばそういう解体工事があるときには、やはりアスベストに対する危険があるということであれば、例えば補助とか、あと今日ここに来る前に具体的に思っていたのは、実際に現場で働く人たちが当然ばく露しないように、いろいろマスクをしたりとかあると思うのですが、ある程度お金も掛かるので、そういうものに対する補助などについて、検討してもいいのかなと思っています。これは人の命に関わる問題ですので、実際もう現存しているものとして、現実問題としてアスベストをこれからどう処理していくかを考えたときには、国の補助か、ちょっとその辺はどういった形態になるかは分かりませんけれども、そういったものも検討の余地はあるのかなとは思っています。
○奥村化学物質対策課長 国の予算での補助につきまして、安衛法で罰則付きで事業主責任としている措置につきましては、当然やらなくてはいけないと。やらないと犯罪という位置付けですので、それにする補助というのは過去に例がないのですね。私ども行政でも検討したことは何度かありますけれども、やはりそれについて直接費用を補助するのは、予算の措置上あり得ないという、今までの結論でございます。
 他方、努力義務的なもの、上乗せ的なものについては助成金があります。例えば今は安衛法の分野では受動喫煙の分煙室を作るとか、そういったものについては助成金があります。ただ、墜落防止措置とかプレス機械の安全措置といったものについては、直接のものはないという整理になります。一応、行政の整理について申し上げました。
○田久委員 今の部分で言うと、確かに国のところでは難しいかなということであれば、先ほど言われたように作った所の責任はないのかということも含めれば、例えばそういった所の基金なりとかでやる。発注者は、住民の人たちよりは当時の建築基準法に則って、やっただけのことであってというのもありますから、そういった点で、それを解体するのに責任がうんぬんとなると、なかなかそこの点で発注者のやらなければお金が掛かるとかいうことであれば、そうした国や建材メーカーなどを含めて、一定のそういう援助などが検討できないかなというのは、1つ私も思うところであります。実際自分の家がそうなったときにはどうするかなとか考えますので、是非そういうところも、なかなか難しいとは思うのですが、検討していただかないとこの後の件数をこなしていく際に、先ほど言ったように正直者が馬鹿を見てしまって、そういう人たちが解体したことによって、一番被害に遭うのは住民を含めたところになると大変かなと思いますので、是非そこは、難しいのは分かっているのですが、意見として言っておきたいと思います。
○小林中央労働衛生専門官 現在の行政の取組について紹介いたしますと、政府としましては中小事業主などに対する低利融資を行っております。それから各省、各部署で行政目的が付く場合については補助などを行っております。労働基準監督署においても、そうした低利融資などの周知をしていきたいと思っておりますので、そうした観点から努力していくというのが、うちの行政のスタンスであるのと、それから過剰に安全な規制にはならないように合理的な規制をしっかりしていく、その中でそれは絶対に守っていただくというのが必要かなと思っております。
○豊澤座長 低利融資など、そういう制度を利用する可能性はあるということなので、今回の場合こういう規制がなった場合にも、ある程度はそういう可能性もあるということでしょう。そのほかございますか。
○本多委員 今回の議論とは直接関わらないと思いますけれども、発注者の理解がとても必要だという話は、皆さんの御認識は一緒で、次の段階の検討がそういうことをなされるという話を、先ほど奥村課長からもお話があったのですが、差し支えなければ、いつ頃、どんな論点での検討がなされるのかを御紹介いただければ有り難いと思います。
○奥村化学物質対策課長 正直に言いますと、まだそこまで具体化しておりません。法律の改正が必要なものが相当あると思っておりまして、まだまだ勉強中でして、諸外国の例を見ると、労働災害のリスクを発生させる原因はそもそも発注行為にありますよということで、一定の法律上の義務を求めているところもありますので、日本はどこまでそれに近付けるか、まだ具体的には全く検討していませんけれども、日本で今できる発注者対策はどういうものがあるのかを、事務局なりに考えておりますし、逆に御指導いただければと思っております。
○本多委員 何らかの形でこの検討会の申し送り事項があると思いますので、是非御検討よろしくお願いします。
○奥村化学物質対策課長 ちょっと先の話ですけれども、そのようにしたいなと思っております。
○豊澤座長 昨年、職人基本法が施行されましたが、厚生労働大臣と国土交通大臣によるこの職人基本法は発注者の責務をある程度明言されていることからも日本は少しずつ発注者の責務というほうに軸足を移しているのかなと思います。発注者も施工者も設計者も全てがチームワークのもとパートナーとして一体として事業に当たるという方向性に、今、日本はなりつつあると思いますので、そういう中で今回のは正にその発注者がチームに入っていただかないと、パートナーとして入っていかないと事が進まないということですので、その辺是非行政のほうで進めていただければと思います。
○奥村化学物質対策課長 どうもありがとうございます。
○豊澤座長 そのほかございますか。
○笠井委員 発注者の責任というお話が度々出てきているのですが、私たちが実際に直面するのは、お客様から、建物を建てるときに我々施工者が、あるいは設計者が選んだ建材を使って建てておいて、解体する段階になってアスベストがあるのでお金が掛かるんですと言われても、それは困るよという話が、よくあります。そう言われると非常に辛いのですが、発注者の方にも石綿の現状についてさらにご理解いただきたいと思っています。
 それから、今議論されようとしている「事前調査は誰がやるのか」という話があります。座長からも、チームワークというお話がありましたけれども、責任を明確にして分担をしていくようなやり方をしないと、例えば元請だけに責任を負わすとか、調査者の中立性を保つという意味では、ひずみが出てくる可能性があるのではないかと危惧しています。どういう結論になるかは分かりませんけれども、WGでそういう観点も少し入れながら議論をしていただければなと思っています。
○豊澤座長 WGで議論することがたくさんあるような気がしますけれども、その辺も含めてWGでやっていただけると。
○奥村化学物質対策課長 発注者、元請との責任分担まで、WGで検討いただくとは思っていなかったのですけれども、ちょっとそれは本検討会の問題として、もう少し検討させていただけないでしょうか。
○豊澤座長 それは次回以降も含めてということですね。
○奥村化学物質対策課長 はい、そうですね。
○豊澤座長 たくさんの議論が出ました、そのほかございますか。
○岡委員 ちょっと参考にお伺いできればと思うのですけれども、例えば解体工事中に、労基のほうに近隣から通報があるといった場合に入る件数とか、そういうのはあるのですか。
○小林中央労働衛生専門官 そちらの集計はしていないです。労働局からヒアリングなども行っていますが、一定件数はあると聞いていますが、すみません、それが具体的にどのぐらいの件数なのかまでは把握しておりません。
○岡委員 個人宅を解体していますと、大体近隣の方からの通報が非常に多くなります。そうなるとやはり近隣の方はすごく心配で、労働基準監督署とか市役所にそういう問合せをしてきます。で、問合せを受けた施工業者にどうなっていますかとか、届出は出ていますかという話になってくると思うのですが、やはり対策を立てる上で近隣の方への、これは絶対安全ですよと。今も先ほど気中濃度測定の話もちょっと出ましたけれども、ここ最近石綿の含有の仕上塗材の件で2件ほど解体で、気中濃度測定をさせていただきましたけれども、近隣の方には、4点では飛んでいないというのは出ていますが、そういったことも周知していかないと、近隣の方が恐がってしまって、結局工事はストップしてしまっていることもありますので、そうした近隣の方への周知の方法とか、先ほどから言っています発注者への周知方法とか、あとはこういった方法でやれば必ず安全ですと、必ずとは言えないかもしれませんけれども、そういうところをもっていかないと、施工する方としてはなかなか難しいのかなという感じがします。
○小林中央労働衛生専門官 発注者に対する周知も先ほど御意見を頂きましたが、そうした中で個人を含む発注者への周知をする中で、近隣住民でもある個人について、担当省庁とも必要に応じて協力しながら、厚生労働省としてできることは一緒にやっていきたいと考えております。
○豊澤座長 その他ございますか。
○本山委員 今、発注者の話が出ていますけれども、結局発注者に認めさせるというのは、これは安全経費の問題だと思います。安全衛生経費はこのように掛かりますというのが周知できればいいと思うのですけれども、それは先ほど豊澤座長がおっしゃったように、職人基本法に基づいて、国交省で安全経費の議論をされていますから、その辺が明確になってくれば、より一般にも周知ができるのかなと思っています。民間、個人までそれを周知するのはなかなか難しいと思いますけれども、そのようにいろいろ絡めて周知していけばよろしいのかなと思っています。
 
○豊澤座長 そのほかございますか。なければちょっと早いですけれども、まず検討項目の1~3の事前調査に関して、事前調査を行うものの要件、それから事前調査結果に関する届出等、事前調査に関する具体的事項については、事務局御提案の検討事項等について様々な御意見がございましたけれども、御意見を踏まえながら、WGで具体的な内容、論点を整理していただいて、再度本検討会で御審議いただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 それでは、その検討項目1~3についてはそういう方向でお願いしたいと思います。検討項目の4のいわゆる「みなし」規定の対象、それから既存の届出の整理、統合についても御賛成の意見が多かったと思いますけれども、これについても皆さんの御意見を踏まえながらWGで内容や論点を整理していただき、再度本検討委員会で御審議いただきたいと思いますけれども、事務局どうですか。
○小林中央労働衛生専門官 論点の4につきましては、技術的な事項が特にないと考えておりまして、本検討会で、また第2回で本日御意見として、賛成いただいたのでそれの提示をしている方向で、また見直し案と言いますか、取りまとめ案を提示させていただきたいと思っております。
○豊澤座長 特にこの4については、私の記憶では余り御意見はなかったと思いますけれども、この方向で進めさせていただき、本委員会の結論としてよろしいでしょうか。
 5についてはどうでしょうか。今のところできるだけ簡素化するという方向については、皆さん御賛成いただいたと思うのですけれども、何か御意見はございますか、よろしいですか。
○本橋委員 いいと思います。ここに書いてあるのは具体的な提案、レベル1でもアスベストが入っているというのが明らかだったら、別に分析しなくても入っていると言えるじゃないかという点は、多分これでいいと思うのです。アスベストの種類まで記述するとか、危険なクロシドライトとかがいっぱい入っているとかいうのを把握するのだったら、調べる場合もあるかもしれないとかいう、そんな感じですかね。皆さんプロだから知っていると思いますので。対策は同じですけれどもね。
○中村委員 逆に言うと「みなし」の場合というのは、安全側に考えるということなので、当然一番リスクが高そうなものを想定してやることになるのかなと思うのですけれど、そういう理解でよろしいですか。
○小林中央労働衛生専門官 はい、委員の皆さまで異存がなければそういう方向で進めたいと思います。
○本橋委員 私もそれでいいと思います。
○豊澤座長 よろしいですか、それでは検討項目の4と5についても、WGのほうで具体的な内容、論点を整理していただいて、再度検討会で、4はここで決まったことについては、この方向性で行きたいということで。
○小林中央労働衛生専門官 5もそうです。
○豊澤座長 5も同じようにここの御意見を尊重して、本委員会の結論とさせていただきます。
 6についても、特に反対の御意見はなかったので、本委員会の結論は、こういう方向で検討するということで御了承いただいたということにいたします。
 ちょっと時間が早いのですが、議事(2)の今後の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。
○小林中央労働衛生専門官 資料8を御覧ください。今後の予定案となっております。左半分が本検討会、右半分がWGの予定になっております。本検討会は第1回ということで、本日7月9日に開催させていただきました。第2回は10月頃を予定しております。別途日程調整させていただきます。WGの日程は7月31日、8月21日、10月9日の予定で進めたいと思っております。WGで技術的な論点1~3について御検討いただきまして、また10月に本検討会で本日御議論いただいた検討事項の具体的な取りまとめを行っていきたいと考えておりまして、また時間など状況を見ながら、それ以外の議題についても検討に着手したいと思っております。
 資料9が次回以降の、本日の議題とは別の議題の検討イメージを付けております。またもう少し具体的にしまして、第2回、第3回で論点を提示したいと思っておりますが、簡単に御紹介しますと、1つ目は事前調査の建材分析です。分析を行う方の要件を定めてはどうかという検討事項を予定しております。そのほか、議題を絞らず施工も含めて、様々な観点から御議論いただきたいと思っております。改めて第2回以降提示させていただきます。以上です。
○豊澤座長 何か御質問等はございますか。特にないようでしたら、以上のような形で議論を進めさせていただきます。
 議事(3)その他について、事務局からお願いします。
○小林中央労働衛生専門官 3点、事務連絡をいたします。まず1点目ですが、第2回の日程につきましては、また後日メールで日程調整させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 2点目ですが、本日受付でお渡ししました入館証については、1階のゲート部分で返却をお願いいたします。
 3点目ですが、本日、委員の皆さまに冊子でお配りしています参考資料は、お持ち帰りいただいても結構ですし、机の上に置いていただければ、次回の検討会の際に御用意させていただきます。以上になります。
○豊澤座長 ありがとうございます。それでは議事のほう、事務局にお返しいたします。
○奥村化学物質対策課長 本日は長時間にわたりまして御審議、ありがとうございました。本日の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で、こちらからメールでお送りしますので、御確認いただいた上で公開するということにさせていただきます。今後の予定につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
 以上で第1回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。