2021年12月23日 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課

日時

令和3年12月23日(木)15:00~17:00

開催方法

オンライン会議

出席者

委員(敬称略)
事務局(12月23日時点)
  • 武井   貞治  (生活衛生・食品安全審議官)
  • 宮崎 敦文  (大臣官房審議官)
  • 小谷   聡司  (生活衛生・食品安全企画課長補佐)
  • 近澤   和彦  (食品基準審査課長)
  • 三木 朗   (食品監視安全課長)
  • 小池 紘一郎 (食品基準審査課残留農薬等基準審査室長)
  • 今川   正紀  (食品基準審査課新開発食品保健対策室長、食品監視安全課食中毒被害情報管理室長)
  • 田中 里依  (器具・容器包装基準審査室長)

議題

  1. (1)審議事項
    1. 1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  2. (2)報告事項
    1. 1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
    2. 2.「指定成分等含有食品等との関連が疑われる健康被害情報への対応ワーキンググループ」設置要綱改正について
    3. 3.ゲノム編集技術を利用して得られた魚類をめぐる動きについて
  3. (3)文書による報告事項
    1. 1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
    2. 2.遺伝子組換え食品等及びゲノム編集食品等の審査・届出の状況について
  4. (4)その他の報告事項
    1. 1.食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
    2. 2.牛海綿状脳症対策基本計画について

議事

議事内容

○小谷補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催いたします。私、本日の司会をさせていただきます、生活衛生・食品安全企画課長補佐の小谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
この度、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。何か不具合がありましたら、お電話又はチャット機能にて御連絡いただければ、随時対応いたします。また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承をいただければと思います。
初めに、本日の分科会委員の出欠状況でございますが、松嵜委員と脇田委員から御欠席との御連絡を頂いております。また、浦郷委員、津金委員は途中から御参加されるとの旨、御連絡を頂いております。
現在の分科会委員総数22名のうち、現時点で17名の御出席を頂いております。出席委員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。なお、今村委員、高田委員は途中退席の旨、お伺いしております。また、松本委員におかれましても途中退席の旨、お伺いしております。
次に、本年9月14日付けで事務局に異動がありましたので、紹介させていただきます。大臣官房生活衛生・食品安全審議官の武井です。生活衛生・食品安全企画課長の西川です。     
続きまして、事務局の職員を御紹介いたします。宮崎大臣官房審議官、近澤食品基準審査課課長、三木食品監視安全課長、今川食中毒被害情報管理室長兼新開発食品保健対策室長、小池残留農薬等基準審査室長、田中器具・容器包装基準審査室長です。本日、浦上HACCP推進室長及び蟹江輸入食品安全対策室長につきましては、所用のため欠席させていただきます。申し訳ございません。
それでは、開会にあたりまして、大臣官房生活衛生・食品安全審議官の武井より御挨拶申し上げます。
○武井審議官 本年9月14日付けで生活衛生・食品安全審議官を拝命いたしました武井と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。委員各位におかれましては、日頃から食品安全行政の推進に御支援、御尽力を頂きまして、誠にありがとうございます。この場を借りて改めて御礼を申し上げます。
御承知のとおり、食品の安全に対する国民の関心は非常に高いものがございます。厚生労働省といたしましては、食品の安全確保に関する諸課題について、全力で取り組んでまいりたいと考えておりますので、委員各位におかれましても、一層のお力添えを賜りますよう、改めてお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○小谷補佐 武井審議官、ありがとうございました。続きまして、本日の議題でございますが、お手元の議事次第にありますように、審議事項としまして、①食品中の農薬等の残留基準の設定について御審議を頂いた後、何点か事務局から御報告を申し上げたいと考えております。
この分科会は、原則、公開とさせていただいていることから、一般聴講につきましても、Web会議システムによる音声のみでの傍聴とさせていただいております。なお、一般傍聴者の方につきましては、事前に御連絡しているところでございますが、厚生労働省ホームページに分科会の資料を公開しておりますので、各自御確認ください。
また、本日の審議事項に関して、「食品衛生分科会審議参加規程」に基づいて、利益相反の確認を行いましたところ、利益相反に該当する委員はいらっしゃいませんでしたのでお知らせいたします。
続きまして、審議の進行方法について御説明します。審議中に御意見、御質問されたい委員におかれましては、まずカメラがオンになっていることを御確認の上、挙手をしていただきますようお願いします。その後、分科会長から順に発言者を御指名いただきます。   
御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますようお願いします。
なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した場合には、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはメッセージに記入していただくよう、事務局又は分科会長からお願いする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて分科会長より発言者を御指名いただきます。それでは、村田分科会長、どうぞよろしくお願いします。
○村田分科会長 こんにちは。御多忙の中、本分科会の開催に当たり、お集まりくださりありがとうございます。それでは、(1)審議事項①食品中の農薬等の残留基準の設定について、審議を行います。事務局から御説明願います。
○小池室長 厚生労働省の小池でございます。よろしくお願いいたします。審議事項について御説明させていただきます。資料1の3ページを御覧ください。今回、御審議いただく品目は、本年10月に開催されました農薬・動物用医薬品部会で御審議を頂きました「ホラムスルフロン」です。ADIの範囲内ということで御評価いただき、御了解いただいたものになります。
簡単に概要を御説明させていただきます。当ホラムスルフロンについては、農薬取締法に基づく農薬登録申請を受けての基準値を設定するものです。用途としては除草剤でして、国内での適用、登録はこれまでありません。3ページ下ですが、食品安全委員会の食品健康影響評価について、ADIが0.5、今回の基準値、暴露評価の結果に関して、ADIの範囲内ということで、特段、問題はないものと評価を頂いております。
具体的な基準値については5ページを御覧ください。基準値にありますように、食品のてんさいについて農薬登録があったということで、基準値を0.01と設定させていただいております。審議内容について以上です。御審議いただきますよう、お願いいたします。以上です。
○村田分科会長 審議に入る前に、部会での審議の状況について、部会長の穐山先生から御報告をお願いいたします。
○穐山部会長 穐山から簡単に御説明いたします。今、事務局からも御報告がありましたが、これは新規の農薬です。かつて一応、暫定基準としてとうもろこしに基準が使われていたものなのですが、平成26年に部会でこの基準値を削除して、新たにてんさいに適用拡大の申請がされたものです。ホラムスルフロンです。先ほどもお話がありましたように、本年10月に開催いたしました部会において、幾つか審議を行い、幾つかの報告書の記載整備に関する指摘がありましたが、食品安全委員会の評価結果として、生体にとって問題となる遺伝毒性は認められておらず、閾値が設定できると評価されていること、てんさいにおける作物残留試験や対照試験等の結果から得られたデータに基づき、規制対象物質あるいは暴露評価対象物質の選定に特段の問題はなかったこと、また、作物残留試験の分析法、作物残留のデータ、暴露評価等の情報により、残留基準値は適切であり、特段、問題はないという結論に至りました。私からのコメントは以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、本件について何か御意見、御質問がございますでしょうか。では、よろしいでしょうか。分かりました。御意見がございませんようですので、分科会としてこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
                                     (了承)
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告いただきたいと思います。
続きまして、報告事項に移ります。食品衛生分科会規程第8条第1項により、部会の議決をもって分科会の議決とされた事項については、同条第3項の規定に基づき、その決定事項を分科会に報告することとされております。まず、(2)報告事項①食品中の農薬等の残留基準の設定について、事務局から報告ください。
○小池室長 事務局から報告させていただきます。資料2の3ページを御覧ください。 今回御報告させていただく品目については、ここにある3品目です。本年9月及び10月に開催された農薬・動物用医薬品部会で御審議を頂いたものです。3品目ともにADIの範囲内ということで御審議いただき、御評価いただいたものです。簡単に1品目ずつ概要を御説明させていただきます。
4ページを御覧ください。1つ目は「ウニコナゾールP」です。農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定の要請を受け、残留基準を設定するものです。用途は植物成長調整剤としての農薬で、我が国ではいちご、てんさい等を対象に登録されているものです。食品安全委員会における健康影響評価ですが、ADIが0.02、ARfDが国民全体の集団で1、妊婦又は妊娠している可能性のある女性については0.05ということです。今回の基準値に基づく暴露評価の結果に関しては、ADI及びARfDの範囲内ということで、問題ない旨、御了解を頂いております。
具体的な基準値については6ページを御覧ください。ここに書いてある左から2番目の基準値案というものが新しい基準値です。下から3つ目のトマトについて、「申」という字が書いてありますが、新たに国内農薬登録がありましたので、新たに設定をさせていただいております。それ以外についても、新しい作物残留等のデータに基づいて、基準値案の適宜変更、見直しをさせていただいているものです。
8ページを御覧ください。2つ目は「プロパルギット」です。これについても、農薬取締法に基づく適用拡大申請を受けて基準値設定するものです。用途は殺虫剤です。現在、我が国ではりんご、みかん等も対象作物に登録されております。食品安全委員会における健康影響評価については、ADIが0.0098ということで設定されております。本品目についてもADIの範囲内ということで、御了解を頂いております。
具体的な基準値案については、10ページ以降の表を御覧ください。10ページの真ん中辺りです。すもも(プルーンを含む。)という品目が「申」ということで、新しく農薬登録されたもので、基準値を見直しさせていただいております。それ以外の食品についても、新しいデータが入ったものについては見直しをさせていただいております。
最後の3つ目については、15ページを御確認ください。「ペンディメタリン」です。農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準値設定要請、畜産物への基準値設定の要請、さらには海外からインポートトレランス制度に基づく基準値設定の要請を受けて、残留基準を設定するものです。用途は除草剤です。我が国では、はくさい、キャベツ等が対象作物に登録されております。食品安全委員会における食品健康影響評価としては、ADIが0.12、ARfDが1の設定をされております。暴露評価については、全てADIの範囲内ということで御了解を頂いております。具体的基準値については、17ページ以降に書かせていただいております。非常に多くの品目について基準値設定が今年されておりますが、18ページの上から3分の1程度の所、すいか(果皮を含む。)、メロン類果実(果皮を含む。)となっている2品目について、右側の登録有無の欄に「IT」と書いてあります。これが、インポートトレランス申請に伴う米国からの要請に従い基準値を設定した品目です。次に、19ページの真ん中から下まで「申」があります。その他スパイス、さらには牛、鶏、豚等々、食肉に対する基準値として、新たにここに記載されているような基準値を設定させていただきたいと考えております。また、それ以外の食品についても、新しいデータに基づき何点か基準値の変更、見直しをさせていただいております。報告については以上です。よろしくお願いします。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、部会長の穐山先生から追加発言がありましたらお願いします。
○穐山部会長 穐山から少し御説明いたします。ウニコナゾールP、プロパルギット、ペンディメタリンは既に基準値があるもので、農薬取締法に基づく適用拡大申請により、残留基準を設定するものです。これらの農薬は、本年9月及び10月にSkypeで部会が開催されたのですが、そこで審議を行いました。幾つかの報告書の記載整備がありましたが、食品安全委員会の評価結果としては、先ほどのお話にもありましたとおり、生体にとって問題となる遺伝毒性は認められておらず、閾値が設定できていると評価されていること、作物残留試験あるいは植物代謝試験等の結果から得られたデータに基づき、規制対象物質と暴露評価対象物質の選定に特段問題がないということ、また、分析法、作物残留試験のデータ、暴露評価及び国際基準等の情報により、残留基準値は適切であり特段の問題はないという結論に至りました。私からのコメントは以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。続きまして、委員の先生方から何か御意見、御質問はありますか。よろしいですか。
○委員一同 特にありません。
○村田分科会長 ありがとうございました。
次に、②「指定成分等含有食品等との関連が疑われる健康被害情報への対応ワーキンググループ」設置要綱改正について、事務局から御説明願います。
○今川室長 事務局の新開発食品保健対策室室長の今川と申します。どうぞよろしくお願いします。指定成分等の健康被害に係る専門家のワーキンググループを設置させていただきましたという御報告を、本年3月のこの分科会でもさせていただいたところですが、今般、少し強化させていただきましたので御報告です。
まず、全体像、概要を御説明させていただきます。26ページ、指定成分等含有食品制度の概要ということで、まず、健康食品全般の制度が27ページ1枚でまとまっております。いわゆる「健康食品」と呼ばれるものの制度については、主に3つあります。1つは製造段階をしっかり管理してくださいというものです。2つ目としては、健康被害が仮に起こった場合にしっかり収集処理体制を作りましょうということです。3つ目としては、消費者に対する普及啓発というものです。
上の2つの製造段階、健康被害の収集については、特に自治体、事業者、厚生労働省でそれぞれ取組が必要な部分です。これは、基本的には今までは通知でそれぞれ行っておりました。製造段階においては、原材料を含め、品質管理、製造工程管理、安全性確保をお願いしますということ、健康被害の報告をもらったときには、自治体を通じて厚生労働省に報告するという流れになっております。これを通知で行っていたのですが、その一部について、指定成分等含有食品ということで法的に義務化したという制度が、食品衛生法の改正の中で、令和2年6月1日から施行されております。これが制度の概要です。
28ページは具体的な条文です。食品衛生法の第8条に新設しております。ここで特別の注意を必要とする成分で審議会の意見を聴いて指定したものが「指定成分等」ですが、この健康被害情報を得た場合には、都道府県等を通じて厚生労働省まで報告が来るという制度です。
29ページですが、細かい字を見ていただく必要はありません。まず、食品衛生法の改正という所に第8条の条文がそのまま載っております。そこから矢印が3つ出ております。1つは、告示で4つの成分を指定していますというものです。2つ目としては、適正製造規範(GMP)を告示で導入したというものです。3つ目としては、健康被害情報の収集の届出制度を省令で規定しているというものです。
30ページ、その4成分ですが、コレウス・フォルスコリー、ドオウレン、プエラリア・ミリフィカ、ブラックコホシュという4つを指定しております。それぞれ下に宣伝されている効果と主な健康被害があります。例えばダイエット、痛みにきく、解毒、肌にはり、バストアップ、更年期障害の軽減という宣伝効果で、それぞれ下痢、(海外で)肝機能障害、月経不順、不正性器出血、肝機能障害といったような主な症状があるというものです。
31ページは、報告の流れをお示ししております。まず、製造者、販売者はGMPの管理が義務化されました。その管理のもとで作った製品を販売して、消費者から仮に健康被害情報を得た場合には、都道府県等を通じて厚生労働省に届出義務、報告義務がそれぞれ掛かっているというものです。そういった情報を得た厚生労働省は、専門家ワーキンググループを設置させていただきましたので、その情報をそこで先生方に見ていただくという仕組みがあります。今回このワーキンググループを充実、強化させていただいたというものです。
32ページは、厚生労働省が健康被害情報を受理した後の流れですが、これも細かい所を見ていただく必要はありません。まず、厚生労働省が情報を入手すれば、いろいろな所から情報収集をして、ワーキンググループの先生方に見ていただくと。これで仮に問題があれば更に審議会の調査会で議論させていただいたり、問題がなくても厚生労働省のホームページにアップしていくというものです。
今、実際に何件ぐらい報告が来ているかというのが、33ページからです。まず全体像です。2つのの成分が入っている製品もありますので、5行になっていますが、成分としては4つです。全体像としては、令和2年6月から令和3年10月31日、1年5か月ぐらいたっていますが、368件来ております。
34ページ、今度は性別です。男性23人、女性332人ということで、女性が多いというものです。35ページは年齢構成です。全般的に見ますと、一番下の合計の所を見ていただきますと、40代、50代、60代が比較的多いというものです。
36ページは主な症状です。先ほども主な症状を申し上げましたが、基本的にはその主な症状です。そのほかに、例えばコレウス・フォルスコリーであれば、下痢のほか、かゆみ・発疹、胃痛、ドオウレンであれば、健康被害報告はこれまでないと。これは、もともと海外の事例、肝機能障害などの事例で指定成分等として加えましたが、当時から日本での健康被害は今のところないという状況でした。これについては、現時点においても健康被害の報告はありません。プエラリア・ミリフィカは不正性器出血、月経不順のほか、かゆみ・発疹。ブラックコホシュは胃痛、かゆみ・発疹、月経不順ということになっております。
37ページ、他のいわゆる「健康食品」の摂取状況、重複して何か別の健康食品を摂取しているかということです。摂取ありが149件、なしが86件です。38ページ、今度は医薬品の摂取状況です。ありが118件、なしが123件ということです。
39ページは、現在、厚労省のホームページに掲載している形になります。こういうイメージで載っているという御参考です。40ページ、個別の事例も1事例1事例、こういった形でエクセル形式で載せている状況です。
41ページからが今回の改正のポイントです。今申し上げた仕組み、体制で、基本的に今4名の先生方に御確認いただいているところですが、本年3月のこの分科会でも、できるだけ充実の方向でいっていただきたいという御意見がありました。それらも踏まえて、今般、3つの改正を行っております。
41ページの下の部分です。2.改正の内容ということで、(1)として、3名の専門家の先生に御参加いただくことが可能となりました。阿部理一郎・新潟大学皮膚科教授、迎寛・長崎大学呼吸器内科教授、山縣邦弘・筑波大学腎臓内科教授の3名の先生方です。
(2)WG開催の充実です。これまではメールで4名の先生方に基本的に全ての事例を御確認いただいておりました。全ての事例と言っても、軽微の事例などもありますので、特に見ていただきたいことを事務局からもお伝えさせていただきながら重点的に、強弱付けながら見ていただいているのですが、メールでやり取りさせていただいております。それを、調査会のワーキンググループなのですが、審議会として年3回程度実開催させていただくことを考えております。
(3)ですが、今までは4つの成分の指定成分等だけが明示してありましたが、実質的にはそれ以外のものも先生方に見ていただいておりました。そこを、明示的に指定成分等以外の成分も見ていただくということで、いわゆる「健康食品」全般として、健康被害に係る報告が上がってきたものについて見ていただくということを考えております。それとともに、指定成分等は今ホームページ上で掲載させていただいておりますが、指定成分等以外のいわゆる「健康食品」も、上がってきたものをできるだけホームページに掲載させていただくという方向で考えております。そういった3点の改正を行っております。
42ページからは、これらの改正を盛り込んだ現時点の最新版のワーキンググループ設置要綱です。今の3点が盛り込まれております。42~44ページです。44ページに委員の名簿があります。曽根委員、千葉委員、塚本委員、西崎委員に加えて、先ほど申し上げた阿部参考人、迎参考人、山縣参考人の3名に加わっていただいております。
45ページは、ホームページへの掲載の案です。(案)と(参考)とありまして、(参考)という下半分のものが、今、指定成分等で実際に厚生労働省のホームページに掲載されているものです。その上の(案)が、いわゆる「健康食品」で今後同じような形式で個別にホームページに掲載させていただく予定のものです。指定成分等との違いは、まず、指定成分等のほうは成分等が分かっていますので、その成分等ごとなのですが、いわゆる「健康食品」として普通に上がってくるものは、その健康被害がどの成分に起因するか基本的には分からないです。したがって、主な成分等という所で、そういった成分について記載させていただく予定です。その因果関係が基本的には分からないで上がってくることが全てだと思いますので、たまたまそれが別の成分による、例えば添加物のアレルギー性などということもあり得るかもしれませんので、その成分によっての健康被害かどうかというのはなかなか判断が難しいのですが、ワーキンググループの先生方とも相談させていただきながら、どういった形で成分の部分を掲載していくのかというのは、今後も検討していきたいと思います。事務局からは以上です。
○村田分科会長 詳細な説明をどうもありがとうございます。ただいまの事務局からの報告につきまして、委員の方から何か御意見、御質問はございますでしょうか。
○合田委員 合田ですけれども、よろしいですか。
○村田分科会長 はい、どうぞ。
○合田委員 最後に説明を頂きました、いわゆる「健康食品」との関連が疑われる健康被害情報一覧の主な成分等の所についてです。実は先ほどの指定成分のものは、基本的にGMPもかかりますし、そのものが入っているということは間違いないということで、物事は進められるのですが、健康食品の場合、実は私のほうで分析をしてきまして、3割方入っているものが違うのです。そういう意味で、主な成分等と書かれると、何が入っているかということと表示とそのぐらい違うので、多分ここの所は少なくとも「表示されている成分」という形で書く必要があるかなと思います。そうではなくて、ちゃんと分析がされていて、それで何かというのだと「主な成分等」になると思うのです。健康食品の分析を余りやられてない方だと、ワーキングですと多分MDの先生ばかりなので、そういう意味から言うと、その辺のところの事情を御存じないのではないかなと思って発言したものです。我々は、過去に健康食品の健康被害があって非常にたくさん分析をしたことがございますが、確かに書かれている表示は参考にはなるのですが、それが本当に入っているかどうかということは全く別問題でございます。ちょっとその辺も考慮した形で、そこの記載を考えていただくのが一番いいかなと思います。以上です。
○村田分科会長 事務局のほうは今の御意見についてどうですか。
○今川室長 事務局の今川です。合田委員、ありがとうございました。合田委員がおっしゃられるとおりだと思います。これは事務局でもすごく今まで悩んでいまして、健康被害と直接リンクするかどうかというのは分からないものですから、ここをどういうふうに書いていくかというのは非常に悩ましいのですが、合田委員から今おっしゃっていただいた、表示されている成分、つまり事業者さんがその効果を期待をして売るような成分が必ずあると思いますので、基本的にはそういった期待をするような成分という観点で書いていくと、確かに分かりやすいなというふうに今感じました。したがいまして、基本的にはそういうふうに変える方向で、曽根委員ともまた相談させていただきながら、ワーキンググループの先生にも相談させていただきながら、この文言を少し事務局のほうで考えながら曽根委員などにも見ていただきまして、調査会、部会、この分科会にも、また結果などをメール等で御報告させていただきたいと思います。曽根委員、そういう形でよろしいでしょうか。
○曽根委員 はい、それで結構でございます。我々もそのような可能性も含めて見ています。また、どのような表示成分かということも非常に重要ですが、まずどの製品でどのような健康障害が起きているかというところをまずきちんと把握し、その後、その表示されている成分による健康被害かも含めて更に検討していくという流れに恐らくなるのではないかなと思います。いずれにしても、またいろいろ事務局とも相談しながら検討していきたいと思います。ありがとうございました。
○今川室長 事務局の今川です。曽根委員、ありがとうございました。村田分科会長、以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。そのほか御意見、御質問はありますでしょうか。
○二村委員 二村発言させていただきます。
○村田分科会長 どうぞ。
○二村委員 御説明ありがとうございました。基本的には今回の改定と言いましょうか、運用について賛成する立場で発言をさせていただきます。まず、指定成分以外についても健康被害情報等を整理して公表していただけるということで、これは消費者にとっても事業者にとっても非常によいことだと思います。是非よろしくお願いいたします。また、参考人の先生方も増やして、より多面的に検討していただけるということで、この点も非常に重要だと思っています。最後に、今のところ具体的な注意喚起をしていく必要があるものはないと理解はいたしましたが、今後そういったものが出てきたときには、厚生労働省はもちろんですが、消費者庁等とも連携して、より早く消費者の所にきちんと情報が届くように進めていただければと思っております。以上です。
○村田分科会長 二村委員、どうもありがとうございます。ほかにございますでしょうか。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 函館大学の藤原です。ちょっと教えていただきたいのですが、今のところ指定成分以外での分析等々はどれぐらいの規模でされているのでしょうか。
○今川室長 事務局の今川です。藤原委員、ありがとうございました。すみません、ちょっと確認ですが、分析というのはどういったことでしょうか。
○藤原委員 このワーキンググループの中で検討対象とするような案件の数という意味でお伺いしております。
○今川室長 藤原委員、ありがとうございます。事務局の今川です。指定成分等のほうは、とにかくちょっとでも下痢などをしたときも全て上げていただくという仕組みなのですが、指定成分等のような義務化がかかってないということもありまして、いわゆる「健康食品」のほうは、恐らく事業者さんもある程度の有害事象なのかどうかといった確認もしながら、保健所を通じて上がってくるという関係もありますので、数としてはさほど多くはありません。現状、ざっくりですが月1件ぐらい上がってくるかどうかぐらいなペースかなと思っております。ただ、今後、事務局、厚生労働省としては、できるだけそういったものもどんどん上げていただいて、事業者さんにも消費者の皆さんにも、健康被害が起こることはある程度想定はされると思うのですけれども、それが問題ないものかどうかとか、それを食べる消費者の皆さんも、検索したら、これはこういう事象が起こることもあるんだ、じゃあ私にはちょっと合わないかもとか、そういった参考には必ずなるはずなので、そういったこともできるだけ分かりやすいようにホームページにアップしていきたいと思っています。そのアップしていく情報などもワーキンググループの先生などに相談させていただきながら、していきたいなと思っています。ある程度事例が積み重なったら、年3回まとまったワーキンググループでの検討も行いますので、それについて事務局でも資料をその都度まとめて、軽い事例であってもその期間に起こった全般的な事例として、それが多くなっているのか少なくなっているのか、そういったことも分析しながら進めさせていただきたいと思っております。事務局からは以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。そのほかございますでしょうか。
○曽根委員 部会長のほうから少しだけ追加させていただきます。今事務局から御説明があったとおりなのですが、令和3年3月の分科会で指定成分のワーキンググループ強化が宿題になり、今御説明のあった事項3点を改正させていただくこととなりました。今回特に腎臓内科、呼吸器内科、皮膚科ということで、腎不全、肺線維症、重症皮疹などの稀ではありますが重篤な合併症にも対応できるように、各分野のエキスパートの先生方を加えました。しかし、これで十分とは考えているわけではありません。様々な症状が様々な臓器にわたって報告されてくる可能性もありますので、それらにも的確かつ速やかに対応できるだけの十分な体制にできればとお願いをしております。例えば小児科とかアレルギー科とか婦人科などの専門家を委員に追加できると、さらに充実するのではないかと考えております。今回、皆様から御質問がありましたとおり、指定成分等含有食品以外の「いわゆる健康食品」の健康被害情報についても、今後扱うことになります。国民的関心も非常に高いところで、この部会ワーキンググループの役割と重要性が高まってきていると考えております。以上です。
○村田分科会長 曽根先生、どうもありがとうございます。そのほかございますか。それでは、どうもありがとうございました。
次に、③ゲノム編集技術を利用して得られた魚類をめぐる動きについて、事務局から報告してください。
○今川室長 引き続き事務局の今川です。よろしくお願いいたします。この分科会でも、これまでにゲノム編集の話として、後代交配種の取扱いとか、あるいは、トマトが出ましたので、トマトについての内容とかも御報告させていただいているところですが、それ以降に、マダイとトラフグがそれぞれ9月、10月に届出可となって届出されましたので、その御報告です。
ページ数は46ページです。46ページは一枚紙です。まず、制度の概要ということで、取扱要領という通知に基づいて事前相談を行っているというものです。それ以降、2.報告事項として(1)、(2)がありますけれども、まず(1)です。今回マダイ、トラフグを議論するに当たって、魚類のゲノム編集というのは、やはり植物とは違うのかなというところから話が始まりました。つまり、植物というのはこれまでも長い育種の歴史があったり、あるいは遺伝子組換え食品としての審査も大分進んでいましたので、ある程度のそういった遺伝子の動きなどの情報があったと。ところが、魚類となると、遺伝子組換えの世界でも、例えば遺伝子組換えのサーモンがアメリカやカナダで承認はされていますが、それぐらいなのです。したがって、魚ということでのゲノム編集というのは、まず一般論としてどういったものがあるのだろうと、どういったやり方なのだろうというのを確認し、それに基づいて見ていく必要があろうということで、一般論としての魚の取扱いをまず確認していったというところです。それを踏まえて、マダイ、トラフグを個別に見ていったというものです。
次の47ページからですが、まず制度の概要です。48ページを見ていただいて、この一枚紙が制度の概要です。ゲノム編集技術というのが真ん中にあります。一方が従来の育種技術、もう片方が遺伝子組換え技術です。従来の育種技術は、突然変異であったり、放射線によるランダムの遺伝子の切断によって、偶然の遺伝子の変化を期待して行われてきたというものです。遺伝子組換えのほうは、基本的には自分以外の外来の遺伝子を外から投入してくるという技術です。真ん中のゲノム編集は、その両方が可能な技術です。今、食品利用が行われるものは、単純に切るだけで偶然の改変、狙って切って偶然の改変を期待して行うものですので、それが確認できれば従来の育種技術と同じということで、従来の食品と同じという整理をさせていただいています。ただ、新しい技術でもありますので、情報の蓄積や国民の不安の声などに応えるためにも、届出をしていただいて公表するという仕組みを取っております。
49ページですが、これは流れです。まず、開発者は事前相談に厚労省に来ていただいて、厚労省で見ていくと。その際に、審議会の遺伝子組換え食品等調査会の先生方にも見ていただいて、毒性物質の増強がないか、アレルゲン性の増強がないか、外来遺伝子が残っていないか、そういったところを主に見ていきます。それで特に問題ないとなったものは届出に該当ということで、届出をしていただくというものです。仮に、例えば外来遺伝子が入っていたというようなときには、遺伝子組換え食品と同じような安全性審査の流れに乗っていくということです。
50ページは、先ほど言った魚の議論です。1.食品衛生上の留意事項の(1)全般的な留意点として①②③とありますが、魚については栽培植物と比べて育種や品種改良の歴史が非常に浅い、魚種によっては遺伝的多様性が植物に比べて非常に高い、ゲノム編集当代、ゲノム編集したそのものの個体において、各細胞でモザイク状に変異が起こりやすい等が植物との主な違いというところです。そういった点に注意しながら行っていくのですが、例えば(2)の最初のポツで、植物の場合には1イベントといって、基本的には1つの細胞の遺伝子を改変したらそれがどんどん増えていくというものなのですけれども、動物の場合、精子と卵子が受精して初めて受精卵になって、そこから細胞分裂が始まっていくのですけれども、その後の子供とかもどうしても必ず別の個体と受精していかなければいけないということで、ちょっとその辺りは植物と違うという特徴があります。したがって、そういったところに注意しながら見ていくというものです。
具体的には、52ページに育種のイメージ図という一枚紙があります。これはイメージなのですが、まず、卵が上に幾つか書いてあって、CRISPR-Cas9というものを受精卵に直接入れます。細いガラス管のようなもので直接卵に刺して入れるのですが、例えば6個卵があった場合、仮に3個成功しました。成功したというのは、CRISPR-Cas9が目的の所に無事たどり着き、目的の遺伝子が無事に目的どおりに改変しました、となったとしても、いろいろな所に改変があるものになる可能性が高いです。つまり、目的の遺伝子がちゃんと壊れたのだけれども、細かく見ていくと、あるものは5つの塩基が欠失している、あるものは15個の塩基が欠失しているとか、そういった形で、それぞれが違う欠失等によって結果的には成功しているというものが考えられます。そうすると、審査というか確認ですけれども、その確認もなかなか難しいので、それをそろえていくという作業が次からになります。その子供、雑種第1代、F辺りで少しそろってきます。ここでそろえばいいのですが、ここでもなかなかそろわない場合がありますので、できるだけ近いもの同士を更に交配していくと、その子供辺り、雑種第2代、F辺りでそろっていくというものです。例えば4塩基欠失など、そういった塩基の数とか、場所も前から何番目の4塩基欠失というのがありますので、そういったものが全く一緒の集団をそろえていくと。そうすると、基本的には同じものだということで、判断がよりしやすくなると。逆に、これよりどんどん外れてくると確認が煩雑になってくるということです。
そうして見ていくと、53ページ、マダイが実際に事前相談に基づき届出されましたが、このマダイはどういったマダイかと言うと、筋肉が増強するのですが、もともと筋肉が大きくなろうとしているところをミオスタチンという物質が抑えている状況なのですけれども、ミオスタチンという物質の働きをなくすことによって、ある程度抑えが効かなくなって筋肉が大きくなるという、そういったものです。このマダイについて中身を見ていったところ、アレルゲン性や毒性物質の増強が既存のマダイと変わらない、それから、外来の遺伝子が残っていないというところで確認をしていったということです。
次に、トラフグです。59ページが10月に届出されたトラフグです。トラフグの場合には、マダイとはまたちょっと違って、今度は早く成長するというものです。トラフグは通常、食べて休んで、食べて休んでなのですが、満腹中枢のようなものが働くので休むというものですけれども、この満腹中枢のようなものの働きをなくすとずっと食べ続ける、それで早く大きくなるというものです。大体2年程度で出荷するものを1年数箇月程度で同じ大きさになり出荷が可能になるといったイメージです。これも先ほどと同じような確認をして問題ないだろうということで、届出と判断させていただいたところです。
この魚の一般論の議論の中にも、今回の分科会から浦郷委員や二村委員に毎回御参加いただき、いろいろな御意見も頂いて、本当にどうもありがとうございます。大変恐縮ですが、この場で御礼申し上げたいと思います。そういった議論を重ねて、できるだけ分かりやすく、今後も説明なり、こういったデータなりを、できる限り一般の方にも見ていただけるようにしたいなと思っております。事務局からは以上です。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告について、委員の方から何か御意見、御質問はございますか。よろしいですか。
○二村委員 二村から、発言します。
○村田分科会長 二村委員、どうぞ。
○二村委員 分科会で検討に参加させていただきました。特に魚類のゲノム編集については、そもそも魚類の品種改良ということについて余り知らなかったということもあり、先生方から何度も丁寧な御説明を頂いて、非常によく分かりました。それから、魚をめぐる資源の問題や、それをめぐって今どういう技術開発等がされようとしているかということがよく分かる分科会でした。そういう意味で参加させていただいて、とても感謝しております。
今後の取組ということになると思いますが、そうは言いましても、農産物も含めて品種を改良していくということについて、またゲノム編集という技術そのものについて、日本の社会の中で十分に知られていない点があると思いますので、引き続き丁寧に情報を説明していただくとともに、どういう分野でどういう研究なり技術開発がされているのかということについても随時、情報提供していく必要があると思っています。今すぐどうということではありませんが、引き続き情報提供や説明の機会等を作っていただいて、きちんとした情報が広く伝わっていくようにしていただければなと思っております。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。そのほかございませんか。浦郷委員はよろしいですか。
○合田委員 藤原さんが手を挙げられています。
○村田分科会長 藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 また教えていただきたいのですが、60ページの中に、新規発生可能なORFという記述が出てくるのですけれども、これとその次の記述、確認できなかったとかという記述があるのですが、こういうORFの発生可能性と毒の確認だったりとかという可能性というのは、どういう関係にあるのでしょうか。
○村田分科会長 事務局、お願いいたします。
○今川室長 事務局の今川です。藤原委員、ありがとうございます。まず、基本的な考え方としては、食品で用いたいという場合に、従来育種と同じようにまず遺伝子を切るだけということが前提です。したがって、単に切るだけであれば、その後の偶然の改変を狙って行って、出来上がったものは結果的に従来の食品と同じと、そういったことが目的としては前提としてあります。従来の食品も、今まで放射線を利用して、ランダムに弱い放射線を当てると遺伝子のいろいろな所が切れるのですが、通常は普通に戻ります、戻りますが、あるときたまに間違えて改変して、それがいい形質になればそれを拾っていくというものです。
したがって、通常の育種においても、そういった目的外の所の改変が行われるという可能性はあるのですが、今回のゲノム編集もそういった目的外の所に改変が入っていないかどうかといったところが、1つ大きな確認のポイントになっております。そういったところを確認するために、今回、マダイとトラフグについては全ゲノムシークエンス、全遺伝子解析をしてもらったのですが、それに加えて、既存のデータベース、例えばアレルゲンのデータベースと比べたりして新たなアレルゲン性がないかどうかとか、そういった辺りを確認していくということになります。今回であれば、当該配列の変化によって新たにタンパク質をコードする候補として挙がったものについては、既存のデータベースで該当するものがなかったということです。したがって、従来からのものを超えてのアレルゲン性とか毒性物質の増強ということは見られなかったというものです。事務局からは以上です。
○村田分科会長 ほかにございますか。どうもありがとうございます。
それでは、(3)の文書配布による報告事項に移ります。「食品衛生分科会における確認事項」において特に定められた事項については、文書配布により分科会に報告を受けることとされております。この資料に関しては、事前に委員の皆様の所に配布されていると思います。部会長からの補足の御説明、あるいは委員の方から何か御意見、御質問はございますか。村松委員、どうぞ。
○村松委員 名古屋市食肉衛生検査所の村松です。今更お伺いするのも恥ずかしいのですけれども、農薬ですとARfDというものが出てくるのですが、動物用医薬品のほうではこういった考え方が出てこないのはなぜでしょうか。必要ないからだったのか、以前お伺いしているかもしれないのですが、教えていただけると有り難いです。お願いいたします。
○村田分科会長 事務局で回答できますか。
○小池室長 事務局です。御指摘ありがとうございます。動物用医薬品におけるARfDについては、当然評価は可能ではあるのですが、申請される評価データが限られており、食品安全委員会のほうで動物薬については現時点ではARfDを設定していないという状況です。国際的にも動物薬に対するARfDの必要性については今後の課題かなと思っておりますので、私ども、引き続き食安委と協力した上で、どうあるべきかについて検討していきたいと考えています。以上です。
○穐山部会長 私から補足をよろしいでしょうか。
○村田分科会長 穐山先生、どうぞ。
○穐山部会長 今、事務局からもお話があったのですが、食品安全委員会では今のところ動物薬に対してはARfDでの短期暴露評価は行っていないということなのです。しかしながら、JECFAという国際リスク評価機関で動物用医薬品のリスク評価をやっているのですが、ここでは既に動物用医薬品のARfDの評価を行っております。なぜかと言いますと、注射部位の所がやはり高濃度になりますので、ここに高濃度に残留していると、たまたまここに当たったものを食べたときの短期暴露評価をする必要があるからで、JECFAの国際的リスク評価のほうでは既に始めております。まだ我々も食品安全委員会も調査中で究で我が国でどう評価していいかというところは、今、厚生労働科学研究のほうで研究をしていて、食品安全委員会での評価になると思いますが、そこでARfDを設定する必要があるということになれば、我が国でも短期暴露評価を行う必要があるかと考えております。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。
○穐山部会長 はい。
○村田分科会長 ほかにございますか。よろしいですか。それでは、今、村松委員、穐山委員から御意見があったのですが、それ以外はなさそうですので、次へ移らせていただきます。
続いて、その他の報告事項に移ります。食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について、事務局から報告してください。
○小池室長 事務局です。資料4の3ページを御覧ください。過去の審議・報告対象品目の処理状況です。前々回の分科会が6月17日、前回が9月10日に行われていますけれども、それぞれの分科会において周知又は報告させていただいたものについての処理状況です。いずれも分科会の後にパブコメ及びWTO通報を記載のとおりのスケジュールで適宜進めており、これらの手続を踏まえて基準を告示として設定するということになっており、引き続き手続を進めていきたいと考えています。事務局からは以上です。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対し、御意見、御質問はございますか。どうもありがとうございました。
次に、牛海綿状脳症対策基本計画について、事務局から報告ください。
○三木課長 食品監視安全課の三木です。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 よろしくお願いいたします。
○三木課長 牛海綿状脳症対策基本計画についてですが、これは、BSE対策特別措置法に基づいて、農林水産大臣及び厚生労働大臣が策定・公表するものということで位置付けられております。この内容については、資料に示しておりますように、まずBSEの対応措置に関する基本方針、これは赤字で示しておりますが、引き続き食品安全委員会のリスク評価に基づいて、BSE対策を適切に実施していくということを基本方針としております。計画の期間については、おおむね5年間ということで、5年たったらその都度見直しをしていくと。ただし、BSEをめぐる情勢の変化とか最新の科学的知見を踏まえて、必要に応じて見直すということになっています。現在の基本計画の最終改正は、5年前の平成28年ということです。3番目が、BSEのまん延防止のための措置に関する事項です。いわゆるBSEの発生の確認、これは農場とかと畜場等でのBSEの検査、あとは特定の危険部位、SRMの除去、こういったことが規定されています。あとは、発生した場合の措置、BSEと判定されたときの牛の焼却とか施設の消毒等が規定されているということです。4番目に正確な情報の伝達、5番目に関係行政機関等と地方公共団体との協力とか、こういったことが規定されているということです。
5年たった現在、この内容について見直す必要があるかどうかということを検討したところ、BSEをめぐる情勢に大きな変化はないということですので、計画どおり、基本計画については変更を行わず、引き続きここの基本計画の中身にあるような対策をきちんと取っていくということで考えています。ちなみに、これは農林水産大臣と厚生労働大臣が策定・公表するということになっていますので、参考の所に書いてありますが、農林水産省においては、12月16日に開催されたプリオン病小委員会で、各委員からも特段の意見はなかったと聞いています。こういったことを踏まえて、厚生労働省としても、牛海綿状脳症対策基本計画については今般、5年ごとの見直しということですが、変更を行わずこのまま対策を続けていこうということで考えておりますので、御報告とさせていただきます。以上です。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対し、御意見、御質問をお願いいたします。よろしいですか。どうもありがとうございました。
まだ時間がありますので、これまで議事案(1)、(2)、(3)、(4)と終えたわけですが、これまでの中で何か追加発言はございますか。
○合田委員 合田ですが、ちょっとよろしいですか。
○村田分科会長 合田委員、どうぞ。
○合田委員 資料3の78ページの図なのですが、これはグルタミン酸のワイルドタイプと遺伝子組換えの差を出していて、エラーバーを見て有意なのではないかなと思ったりはしたのですが、多分これは大丈夫なのかなと。……気になったのは、余り本質的なことではないのですが、これは差が出ても本質的には問題ないところですよね。生合成的に、GABAの前駆体のものは、当然、GABAが増えましたらグルタミン酸は減りますので、減っても問題がないと思うのですが、何か強引にそこに差がないという結論に持ってきたのではないかなと思って、ちょっと気になりました。
○村田分科会長 これは、トマトのですね。
○合田委員 そうです。
○村田分科会長 これについて分かる方、事務局でもよろしいですが。
○今川室長 事務局の今川です。合田委員、ありがとうございます。今の御指摘は、資料3の78ページです。78ページは、ゲノム編集のGABAのトマトのデータですが、もともとグルタミン酸をもとにしてGABAが合成されますので、GABAができるということもあって、想定としては当然グルタミン酸や遊離グルタミン酸は減るだろうなということがあります。データとして取ったところ、信頼度95%においては有意差がなかったというものではありますが、基本的には問題ないものとして、調査会の中でもこの辺りで細かく議論をしたということはないのですが、特に調査会としては問題ないと認識しています。
○合田委員 問題があるとは全然思わなかったのですが。ただ、遺伝子組換えのときは、こういうところの差を細かく議論するよりも、いわゆるトマトの中のバラエティの中でどのように、そのバラエティの中で起こり得る変化に入っているかどうかとかという、そういうような議論を昔はしていたと思うので、それで、こういう差がないというようなデータを出してこられたのがちょっと、それも気持ち悪いなと思いながら出させていただいた次第です。
○今川室長 合田委員、ありがとうございます。事務局からは以上です。
○村田分科会長 そのほか、ございませんか。それでは、以上で審議事項と報告事項の議事は終わりました。最後に、事務局から何か連絡はございますか。
○小谷補佐 皆様、長時間の御審議、誠にありがとうございました。次回の食品衛生分科会は、3月を予定しております。詳しい日時等は、追って御連絡いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○村田分科会長 少し早く終わりすぎたきらいもありますが、御審議くださり誠にありがとうございました。これをもちまして閉会させていただきます。