第6回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(議事録)

 

1 日時 令和3年10月29日(金)10時00分~12時05分
 
2 場所 三田共用会議所 講堂
     (東京都港区三田2-1-8)

3 出席委員
(公益代表委員)
○東京医科大学公衆衛生学分野講師 小田切優子
○筑波大学ビジネスサイエンス系教授 川田琢之
○立教大学経済学部教授 首藤若菜
○東京海洋大学大学院海洋科学技術研究課教授 寺田一薫
○法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授 藤村博之
○慶應義塾大学法務研究科教授 両角道代

(労働者代表委員)
○日本私鉄労働組合総連合会中央副執行委員長 池之谷潤
○全国交通運輸労働組合総連合軌道・バス部会事務局長 鎌田佳伸
○全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫正和
○日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長 久松勇治
○全国自動車交通労働組合連合会書記長 松永次央
○全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永正伸
  
(使用者代表委員)
○東武バスウエスト株式会社取締役社長 金井応季
○京成バス株式会社代表取締役社長 齋藤隆
○西新井相互自動車株式会社代表取締役社長 清水始
○昭栄自動車株式会社代表取締役 武居利春
○公益社団法人全日本トラック協会副会長、松浦通運株式会社代表取締役 馬渡雅敏

4 議題
(1)改善基準告示の見直しについて
(2)その他

5 議事
○中央労働基準監察監督官 定刻になりましたので、ただいまから、第6回自動車運転者労働時間等専門委員会を開催します。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。本日の議事運営に当たり、新型コロナウイルス感染症対策として、原則として報道関係者のみの傍聴とさせていただいており、更に傍聴席の間隔を広げるなど、措置を講じた上で運営させていただきます。会場の皆様におかれましては、会場備え付けの消毒液の御利用をはじめ、マスクの御着用や咳エチケットに御配慮いただきますようお願い申し上げます。なお、換気のために常時扉を開けさせていただきますので、あらかじめ御承知置きください。
 まず、本日の出席状況です。赤間委員は御欠席となりますので、御承知置きください。定足数につきましては、労働政策審議会令第9条第1項により、委員全体の3分の2以上の出席又は公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。また、国土交通省からオブザーバーとして御出席いただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、お配りした資料の確認をさせていただきます。資料1、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4、参考資料5、参考資料6です。御確認をお願いいたします。
 カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。これ以降の進行は藤村委員長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○藤村委員長 皆さん、おはようございます。委員長の藤村でございます。これから議題に入っていきたいと思います。議題1、改善基準告示の見直しについてです。前回の専門委員会以降、トラックについては実態調査を実施し、ハイヤー・タクシー、バスについては、作業部会の場で事務局案が提出されました。業態別作業部会の検討状況について、事務局より説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 事務局でございます。資料1の説明をさせていただく前に、参考資料が1~6まで付いておりますので、簡単に御紹介させていただきます。参考資料1はこれまでの各部会等で示してきたものですが、自動車運転者を取り巻く状況、先般改正された脳・心臓疾患の労災認定基準の考え方、働き方改革関連法により改正された労働基準法の時間外労働時間の上限規制の内容、36協定に関する指針、昨年度の実態調査で調査を行った各業態の休息期間と睡眠時間の状況、諸外国の自動車運転者の労働時間の規制等、議論に関係のある資料を載せております。
 参考資料2及び3は、10月8日に開催したハイヤー・タクシー、バスの作業部会で、初めて事務局案を提示しました。その際の資料です。
 参考資料4はトラックに関する資料です。本年度は、まずコロナ禍の状況における実態調査を行ってから本格的な議論を行うこととしており、7月29日に開催した部会の資料を付けております。
 参考資料5は、この後説明させていただく資料1の関連資料です。資料1では、ハイヤー・タクシー、バス、トラックと各業態別に、私どもが提示した事務局案とそれに対する御意見を記載させていただいておりますが、参考資料5は、本日の議論において参考としていただくために、業態別ではなく、例えば年・月の拘束時間とか、1日の拘束時間、休息期間といった各項目別に、事務局からどのような案を示しているのかが一覧で分かるようにしております。
 最後、参考資料6は現在の改善基準告示の内容を一覧で示したA3の資料です。以上です。
 それでは、資料1について説明いたします。まず、ハイヤー・タクシーですが、黄色の部分の見直しの考え方とその下の案が私どもが提示させていただいたものです。日勤につきましては、現行1ヶ月299時間のところを、1ヶ月の拘束時間を11時間減らして288時間にするという案を提示しております。また、隔勤については現状のままという形で提示しております。労使の主な御意見ですが、労働者代表からは、1ヶ月の拘束時間288時間という提案は、時間外・休日が月80時間を超えるので受け入れられないが、年の拘束のキャップを設けるのであれば検討の余地があるという御意見でした。また使用者代表からは、この288時間という提案は妥当だという御意見がありました。
 次は、拘束時間、休息期間です。日勤と隔勤がありますが、休息期間について、私どもとしましては、日勤については現行継続8時間であるところ、1日原則11時間、週に3回まで9時間という提示、それから1日の拘束時間は、原則13時間、週3回まで15時間という考え方を提示させていただきました。隔勤については現状のままという提示です。主な御意見は、まず、日勤の関係で、労働者代表からは、休息期間は原則11時間という提案は評価したいということ。ただし、例外の時間や回数は検討が必要。8時間という数字は例外的なものであっても受け入れられないといった御意見がありました。一方、使用者代表からは、休息期間を業態ごとに変えてしまうと、人材の流出が起こることが懸念されるため、できる限り3業態でそろえたい。妥当なところとしては、休息期間は原則10時間としつつ、例外的に8時間を月に数回認めるのはどうかという御意見がありました。次に、隔勤については、労働者代表からは、休息期間は現在20時間ですが、それを24時間に見直してもらいたい。一方、使用者代表からは、拘束時間については今、21時間ですが、月4回程度は22時間まで延長を認めてもらいたいという御意見がありました。
 次の3ページは車庫待ち等です。私どもの案としては、黄色部分の見直しの考え方に沿って、それぞれ拘束時間を若干を減らしております。日勤の車庫待ちは現行1ヶ月299時間のところ、288時間までとする。それから労使協定を締結した場合に、322時間を300時間までとする提案です。隔勤については、現行一定の条件を満たせば20時間を加えた時間を延長できることになっておりますが、それを10時間までとするという提案です。主な御意見として、労働者代表からは、車庫待ち等の特例を実際に利用している会社がないのであれば、制度を廃止して、原則の時間だけにしてはどうかという御意見がありました。一方、使用者代表からは、車庫待ち等の実態がはっきり見えない状況で廃止するのは反対ということ。それに対して労側からは、駅待ちも含めてもし制度として残すのであれば、定義は明確にしていただきたいという御意見がありました。
 最後にハイヤーです。参考資料6を見ていただけたら分かりますが、現行、ハイヤーは拘束時間や休息期間などの規定がなく、時間外労働の規定しかないという状況です。時間外労働は次の範囲となるよう努めることということで、1ヶ月、3ヶ月、1年間の目安時間が規定されておりますが、ハイヤーについても令和6年4月以降、時間外労働の上限規制が適用されることから、基本的な労働基準法の時間外労働の上限規制、月45、年360、そして臨時的な場合の960時間を守らなければならないことに加え、できるだけ時間外・休日は短くするよう努めようということ、そして更に、休息期間確保が重要という点を加えてはどうかという意見を提示しております。この点について労働者代表の御意見は、ハイヤーは、特定のお客さまの要望に応じて運転しなければいけない特殊な形態であり、仮眠施設で休憩を取るのが普通なので、努力義務だとしても休息期間を具体的に定めた場合には、運用面で難しいという御意見がありました。使用者代表も同様に、ユーザーの事情に応じて仕事をしているため、休息期間について書くのであれば、数値を入れないほうがいいのではないかという御意見でした。
 次に、5ページの特例、その他についてです。自動車については運転している最中の事故や悪天候などで予期しない遅延が発生するということで、海外の事例も考慮しながら、予期しない事象による遅延などは適用除外にしてはどうかという提案です。予期しない事象による遅延、例えば事故とか悪天候、車両の故障等の場合、客観的な記録が認められるのであれば、その時間については1日の拘束時間を延長させることができるということ、そして、休息期間は拘束時間の延長に伴い短縮できるという提案が1つ。そして適用除外として、現在トラックに適用されております、大規模災害等に伴う緊急輸送とか緊急通行車両の適用除外にタクシ-とバスも含めるという考えを提示いたしました。主な御意見として、労働者代表からは、予期しない事象の遅延については、例外的に認めることは理解するけれども、休息期間を短縮する必要はないのではないか、拘束時間の延長をしたのであれば、当然休息期間も原則どおり取らせるべきではないかという御意見がありました。使用者代表からも、現在も拘束時間が延びるようなことがあれば、勤務明けにはしっかり休息を取ってもらっているので、休息期間を短縮する必要はないと考えるという御意見でした。ハイヤー・タクシーについては以上です。
 次に、バスです。まず年・月の拘束時間です。黄色部分の見直しの考え方と案ですが、大きな変更は、新しく1ヶ月の拘束時間の考えを取り入れたというところです。これまで拘束時間は4週平均の考え方だけだったのですが、労務管理上の負担軽減の観点から、1ヶ月の拘束時間を入れたらどうかということで案を提示しております。まず、1ヶ月の拘束時間を年3,300時間を超えない範囲で281時間、ただし、貸切バス・高速バスについては、労使協定を締結して、年3,400時間を超えない範囲で年6回294時間まで延長できるという考え方を示しております。また、現在の4週平均のルールも一定程度存置させる必要もあるということで、4週平均の1週の拘束時間の考え方も提示しております。4週平均は年3,300時間を超えない範囲で、65時間。貸切バス・高速バスについては、労使協定を締結すれば年3,400時間を超えない範囲で、年52週のうち26週まで、4週平均1週67時間まで延長できるという案を提示しています。これに対する御意見ですが、労働者代表からはまず、1年の拘束時間を年3,300時間としたことは評価をしたい、過労死の認定基準を踏まえると、1ヶ月の拘束時間は281ではなくて275時間、つまり時間外・休日は平均80時間までとすべきではないかという御意見でした。一方、使用者代表からは、年3,300時間の範囲で281時間という提案は評価するけれども、高速貸切バスの延長の特例については、乗合も対象に含めてほしい、拘束時間も休日労働が月2回認められているので、281時間+(13時間×2日)で307時間は必要ではないかという御意見でした。そして公益代表からは、事務局案の延長特例について年6回まで延長できるとされているが、現行の4回が限度ではないかということ。仮に年6回に見直すのであれば、例えば連続する月を制限する等、一定の配慮が必要ではないかという御意見がありました。
 次に、1日の拘束時間、休息期間について、私どもとしましては、1日の休息期間については原則11時間としつつ、これによらない場合の上限時間、回数等について別途設けることとしてはどうかと提示し、1日の拘束時間については、基本的には休息期間と表裏の関係であるため、休息期間と同様の考え方で設定をするという提示をしております。労働者代表からは、まず、1日の休息は原則11時間とする提案は評価をしたい、ただし、例外的な時間や回数については、諸外国での考え方も参考に今後見直しを検討すべきではないか、ただし、例外であっても8時間という数字を残す選択肢はないという御意見でした。一方、使用者代表からは、休息期間を11時間とされると、バス事業として朝夕の通勤ラッシュなどの交通事情に対応できない、例外について回数を制限されると管理が大変、労務管理の観点からも負担は軽減してもらいたい。EUの場合は全ての労働者が11時間のインターバルを義務付けられており、日本とちょっと違うのではないかという御意見でした。また公益代表からは、休息を原則11時間としつつ、例外の回数を設けるのであれば、労働者への体の負担を考慮して、例外の時間が連続しないような配慮が必要だという御意見がありました。
 8ページです。これはバスとトラックだけに適用されますが、運転時間と連続運転時間です。基本的に当局としての案は、運転時間、連続運転時間とも変更なしというような形で提示させていただきましたが、国土交通省で運行計画の配置基準が定められており、それを取り入れるということで、「高速道路の実車運行区間においては、連続運転時間は運行計画上おおむね2時間までとする」というものを、告示ではなく通達の中に記載してはどうかという考えを提示いたしました。主な御意見としては、労働者代表からは、国土交通省のバス交替運転者の配置基準を踏まえて、告示の連続運転時間を2時間に見直すべきではないかという御意見が、一方、使側からは簡素化の観点から、運転時間の項目は廃止してもらいたい、廃止できないのであれば、1ヶ月平均の概念を導入してもらえないかという御意見がありました。
 9ページです。特例、その他の項目について、分割休息特例、2人乗務特例、隔日勤務の特例、フェリー特例及び休日労働についてですが、分割休息特例と2人乗務特例は、1日の拘束時間と休息期間の見直しに影響しますので、それに応じて見直すこととするということ、隔日勤務特例とフェリー特例は現行どおり、休日労働も2週間に1回、これも現行どおりという案を示しています。またタクシーでもありましたが、例外的な取扱いとして、予期しない事象による遅延を入れたらどうか、それに加えて、軽微な移動を入れたらどうかということ、適用除外業務もトラックと同様に、バスも含める形ではどうかという案を提示しております。それに対してまず労働者代表ですが、分割休息特例は、勤務の終了後8時間以上の休息を与えることが困難な場合の例外的な取扱いである。だから、その運用はしっかりと行ってもらいたいし、軽々に使わないでもらいたい、また、しっかり指導してほしいという御意見がありました。そして更に、予期しない事象による遅延、軽微な移動について、例外的な取扱いをすることは否定しないが、具体的な事由を明確にしてもらいたい、例えば駅前ロータリーでの移動など、恒常的なものについてはここに入れるべきではないという御意見でした。一方、使用者代表からは、軽微な移動には、乗合バスを対象とした事例が含まれていないので、駅前ロータリーでの移動も対象に含めてもらいたいという御意見が、公益代表からは、予期しない事象による遅延とか軽微な移動についても、無制限に例外的な運用を認めるべきではなくて、例えば上限を設ける等の考えが必要ではないかという御意見がありました。
 最後、10ページです。トラックにつきましては、まだ案を提示しておりませんので、7月29日のトラック作業部会で議論をした際の労使の御意見のみを載せております。まず、拘束時間について、労働者代表からは、1ヶ月の拘束時間を275時間として、年3,300時間の範囲で294時間まで延長する案を考えているということ。脳心の労災認定基準を踏まえ、時間外・休日労働が月80や月100時間を超えない範囲で見直しを図るべきではないかということ。それに対して、使用者代表からは、そもそも労働基準法の年960時間の上限には、休日労働が入っていないということ、拘束時間の見直しはそのことを踏まえた上で考えるべきだということです。
 次に、1日の拘束時間、休息期間についてですが、労働者代表からは、休息期間は11時間に見直すべき。睡眠時間を考慮すると、今の8時間が良いとは言えない。ただ、長距離やルート配送といったもので休息期間の過ごし方が異なるので、運行形態の違いも配慮した見直しも検討の余地はあるのではないかということ。使用者代表からは、荷種とか業務の形態別に異なる基準を設けられないのであれば、現行どおりそのまま8時間と言わざるを得ないという御意見でした。
 そして運転時間、連続運転時間ですが、労働者代表からは、連続運転時間は運転離脱について定めているに過ぎず、そのときに荷役作業をすることも可能なので、実際に労働基準法の休憩を取らせずにいる場合もあるということ。改善基準告示においても、運転離脱だけではなく、労基法上の休憩の考え方、8時間を超えたら1時間とか、そういった考え方をきちんと示すべきではないかということ。使用者代表からは、連続運転時間は4時間から5時間に延長、運転離脱は10分も要らない、5分に短縮する等、使いやすくしてほしいという御意見がありました。
 最後は、特例、その他ですが、労側からは、事故や悪天候などの予期しない事象についての例外的な取扱いは、労働者代表としても必要と考えるが、使用者代表が主張するように、荷主や荷種の影響等も例外に含めるのは整理が困難になるので難しいのではないかという御意見が、使用者代表からは、分割休息特例は、休息について2時間や3時間に短縮できないかとの意見もある、また、事故、悪天候に加えて荷種とか荷主の影響等については、避けようがないので例外にしてほしいという御意見がありました。公益代表からは、今回の見直しの目的は過労死防止だということで、規制を荷主や商慣行に合わせるのではなくて、商慣行を変えるべきだろうという御意見がありました。私からは以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。ただいま事務局から業態別の作業部会の検討状況について説明がありました。これからの議論において、皆様のお手元に参考資料5があります。この参考資料5は各テーマについてタクシー、バス、トラックが現在どういう主張をしていて、案がどうなっているのかというのが1ページにまとまっておりますので、これを見ながら進めていきたいと思います。それぞれ論点がございまして、その論点ごとに確認をしていきたいと思います。論点ごとに皆さんの御意見を伺いたいと思います。
 論点といいますのは、1ヶ月、1年の拘束時間、それから1日の拘束時間、休息期間、3つ目に運転時間、連続運転時間、4つ目が特例、その他ということになります。タクシーの車庫待ちやハイヤーについては最後の特例、その他で確認をしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。今後の業態別の取りまとめに向けて、皆様から積極的に御意見を頂きたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 では、まず1ヶ月、1年の拘束時間についての項目の議論に入りたいと思います。どうぞ、ここからは自由に御意見を頂きたいと思いますので、手を挙げていただければと思います。いかがでしょうか。久松委員、どうぞ。
○久松委員 久松です、どうぞよろしくお願いいたします。私のほうから1年、1ヶ月の拘束時間について、ハイヤー・タクシーについて意見を述べさせていただきたいと思います。事務局案では、1ヶ月の拘束時間が288時間、これは法定労働時間と休憩時間を除く休日労働・時間外労働で93時間という数字になっています。
 そもそも、自動車運転者の労働時間の上限規制960時間という数字が国から示された際、私たちの現場では脳心の認定基準であります80時間を月平均ということで、国は私たち自動車運転者を見殺しにするのかという、やはり怒りの声はあったことも踏まえていきますと、この時間外労働・休日労働で93時間という数字はなかなか受け入れられるものでもありませんし、現場に対して説明できるものでもないと思っています。そもそも、日勤は他の業態から比べましてもタクシーの場合は非常に長い拘束時間になっておりますので、大幅な見直しが必要であろうということで、275時間をこれまで労働側としては主張してきたところです。したがいまして、275時間を強く主張していきたいというところではあるのですが、現場の使用者側の御意見の中にも納得できる部分、休日労働という部分でも納得できる部分もありますので、例えばタクシーにおいてもバスと同様に、年3,300時間を超えない範囲という上限のキャップを設けていただいて、脳心疾患の認定基準とも適合するようなものになればいいなと考えているところです。
 隔日勤務につきましては、これも他の業態から比較しましても、実はタクシーの2暦日の隔日勤務については短い拘束時間になっているという現状がありますので、現状どおりということは受け入れられるものであるのかなと考えているところです。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。次にいかがでしょうか。まず齋藤委員が先に手を挙げられましたので齋藤委員から、その後、武居委員、どうぞ。
○齋藤委員 日本バス協会の齋藤でございます。まず、働き方改革関連法の国会附帯決議などに鑑みて、改善基準見直しの必要性については理解をしているつもりでございます。ただし、公共交通といたしまして、その役割にも配慮していただきたいと考えております。利用者への影響のある部分については、より慎重な議論が必要と考えています。
 また、過労死防止の観点から改善基準告示の見直しの議論を行っておりますが、この見直しというのが科学的根拠に本当に基づいて行われているのかというのは、振り出しに戻すつもりはないのですが、ちょっと思うところがございます。今後のこともあるのですけれども、改善基準の中身と過労死等々、これについてはもっと科学的に統計データを集めて今後対応していく必要があるのではないかというように思っております。ちょっと前置きが長くなりまして、すみません。
 厚生労働省の案でございますけれども、調整が必要となる部分はまだ残っているとは考えますけれども、使用者側の意見も踏まえていただいたものだと考えております。その上でですが、延長特例の対象者については、全ての運転者への適用をお願いをしております。貸切バスと高速バスだけに繁忙期があるわけではなく、路線バスにも季節波動など需要が増える時期があることを是非御理解いただきたいというように思います。延長特例についてでございますけれども、現在、4週260時間に対し2日分の拘束時間である26時間の延長が認められ、286時間となっております。したがいまして、作業部会でも主張しましたとおり、同程度である307時間を認めてもらいたいというように思います。1ヶ月単位の導入に合わせまして、4週管理について、4週平均1週当たりで記載するよりも4週合計の数字で記載するほうが分かりやすいと思いますので、表記の変更をお願いしたい。具体的には4週260時間とか、そういうほうが分かりやすいと考えております。4週の延長特例についてでございますが、全運転手に適用を拡大した上で、現行の4週286時間にしていただきたいというように思います。
 最後でございますけれども、以前も申し上げたことがあるのですが、3,300時間については一定の評価をしておるのですけれども、この計算式については、やはり問題であると。計算式には休日労働が入っていない、あるいは休憩時間が机上の1勤務1時間、実際はそれ以上の休憩時間を付与しているのにもかかわらず、それらが反映されていない計算式については同意できないというように思っております。以上でございます。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。では武居委員、どうぞ。
○武居委員 この1ヶ月の拘束時間につきましては、私どもが御提案させていただいた288時間を御提案いただきましたので、これについては私どもはこの形でやってほしいというように考えております。もともと960時間、最大1年間の残業時間の上限というのは休日労働が入っておりませんものですから、そこを加味していただいて288時間というように厚生労働省のほうで算定をしていただいたと考えております。ある意味では、299から月に11時間、年間で132時間が短縮という意味では、私どもはこれでお願いをしたいというように考えております。
 1つ、今後、違う部分についても論議するのですが、私どもタクシーについては出来高払い給ということを是非御理解いただきたいと思っております。通常の固定給プラス残業手当という賃金体系ではなくて、ある意味では生産性における歩合給ということで、労働時間が乗務員にとっても、使用者側にとっても経営的に大変大きな意味を持っているということをまず頭に入れていただいた中で、厚生労働省から御提案を頂いた288時間でお願いしたいというように考えている次第でございます。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました、その他いかがでしょうか。どうぞ。
○池之谷委員 池之谷でございます。よろしくお願いをいたします。拘束時間につきましては、事務局で作り上げたたたき台の年3,300時間というキャップは評価ができるというように思います。ただ、281時間ということになりますと、3,300割る12ということで考えたら、275時間というところを捕らまえるべきだろうというように思っています。労側としても使側としても、年間の3,300キャップから毎月計算をしなければいけないというのは少し煩雑になるのではないかと思いますから、275を毎月管理をしていく。確かに、作業部会の中で、大の月と小の月があるという意見もありましたが、そういうところを踏まえると、4週平均1週の拘束時間、4週ブロックですね、それで労務管理をすれば事が足りると思いますので、このたたき台の中でやっていきながら275時間というところが望ましいというように考えています。
○藤村委員長 ありがとうございます。そのほかございますでしょうか。どうぞ、世永委員。
○世永委員 世永です。ありがとうございます。労働側のほうから考え方があったとおり、トラックとしても年間拘束時間は3,300時間以内ということと、月間については275時間以内ということで申し上げさせていただきます。理由につきましては、この間いろいろ述べてきておりますので繰り返しになりますけれども、ただ、脳心臓疾患の関係で作業部会委員から確定根拠がないではないかという御発言がありましたが、トラックの労働側で捉えているのは、やはり帰庫なり出庫がバラバラな、ストレスが溜まるような時間帯に勤務するのは非常に脳心臓疾患、労災に影響しているというように捉えております。
 そういう意味では年3,300時間、月275時間ということについて再度申し上げさせていただくのと、トラックの場合、2019年度のコロナ禍前のアンケートを見ても、事業者の回答では7割が3,300時間以内という報告もあります。これがコロナ禍後にどういうように変わるのかというのも1つ見なくてはいけない部分ですが、やはり改善基準告示を緩和しても、これでは働きたくないというのが5割いることをきちんと押さえておくべきだろうと思っておりますので、作業部会と同じような形で、立て付けも含めて変えるつもりはございませんということだけ申し上げさせていただきます。
○藤村委員長 ありがとうございます、その他ございますでしょうか。馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 全ト協の馬渡でございます。使用者側のほうとしては今、世永委員が言われたような部分というのは重々考慮すべきだというように思いますが、前回、作業部会の折にも述べましたが、基準法上の年960時間の上限というのは休日労働が含まれていないという規定でありますので、拘束時間を縮めよう、しかも休日労働を含むという形にするのは無理があるのではないかと思っています。960時間というのも多分、トラックの業態を踏まえて経過措置等もあるのかなと感じていますが、いずれは720時間に収斂をしていかなければいけないという議論も必要なので、今のところ、今年のアンケートも含めてはっきりした議論を労働者側ともしたいなと思っているところです。
 タクシーとかバスとか、今いろいろなお話があって、業種ごとで特性があるなというように思います。24時間働くような業態もあれば、我々トラックは24時間も働いて次の日もまたというようなことでは本当に倒れてしまう。業種・業態でいろいろな状況がございますので、バスとかタクシーの議論が先に進んでいる状況ですが、それは同一基準でトラックも遅巻きながらこれで決まりましたからというようなことは是非ないようにしていただきたいというのがトラックからの意見でございます。ほかの部分、細かい部分というのは後ほど時間があれば述べさせていただきたいと思います。以上でございます。
○藤村委員長 はい、分かりました。ありがとうございます。小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 ありがとうございます。私の考えとして1点、非常に重要だと思いますのは、疲労が蓄積しないということ、それによって過労死を防止するということが最も重要だということを考えますと、やはり連続するということが行われないような仕組みの改善基準告示にしていくのが最も良いのではないかなと思っております。そういう点で言いますと、年間でキャップを掛けることも非常に重要ですけれども、それよりもやはり連続しないという視点で、このバスで言いますならば、今現状は貸切と高速ということになっていますが、労使協定を結んで年3,400を超えない範囲で年6回294時間まで延長できるということになりますと、その年6回が連続して、6ヶ月間ずっと連続する状況が生じても、過労の点では問題ないのかどうかということを考えて、やはりこの数値、年6回を、これが現状大丈夫なのかということを考えながら、細かいところは議論が必要だと思いますけれども、連続する場合でも例えば3回とか4回とか、そういうふうな工夫をここに入れ込んでいくべきではないかなと考えます。この考え方はこの後にも議論になってくると思いますが、例えば休息期間、あるいは拘束時間を短くする、長くする場合を週何回までというような議論が出てくると思いますけれども、それについても、1週間の中で連続しないという工夫を入れ込んでいければいいと思います。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。世永委員、どうぞ。
○世永委員 ありがとうございます。さっき1点、申し上げるのを忘れましたので。この専門委員会と同じ議論になるかどうかは別にして、医師の働き方改革の考え方が実は出されています。医師の場合は、それは地域水準がいろいろステージがあるのですが、やはり2024年度以降、年間960時間、月間100時間、これは休日労働含むで全部提案されているのですね。やはり、将来的にもそこは休日労働含むということです。トラックの場合は960時間、休日労働を含まないということだったのですが、私見ではありますが、やはりそれでは駄目なのだということでの見直しだったのかなと思っている部分も一部ありますので、先ほどの発言に付け加えさせていただきます。ありがとうございます。
○藤村委員長 はい、分かりました。この1年1ヶ月の拘束時間について、そのほか御意見ございますでしょうか。
○鎌田委員 鎌田です。案については、相対的なものについてはこれをベースにたたいていけばいいと思うのですが、先ほど使用者側からあったとおり意見にもありますが、乗合も含めてくれということなのですが、作業部会でも申していますが、この貸切バス・高速バスについてはという文言を全部取ってしまえば対応できるものなので、それでやればいいと思っています。
 それから、先ほど使用者側からありました全ての労働者にということなのですが、運転者ということなのですけども、労働基準法があって更に代表的な36協定もあるのですが、それはルールをちゃんと作ってやるという前提の上に立って、そういう労働条件を認めますよということなので、そこは全ての運転者にというのは、私は違うのではないかなと思います。
○藤村委員長 ありがとうございます。そのほかございますでしょうか。松永委員、どうぞ。
○松永委員 ありがとうございます。先ほどタクシー側の久松さんが述べたとおり、私は意見としては同じであります。そのほかのこととして、先ほど事業者側から脳疾患等の労災の問題でこれはまだまだ調査等をするべきではないかというお話があったのですが、実は2014年に事業者自動車の運転者に対する脳疾患等のスクリーニング検査というのを、そういった議連の方たちが国に提案し、出した経過があります。その中で、トラック、バス、タクシーのこの事業者に対して、運転者に是非、脳のスキャンをどんどん取り入れなさいという要望でありました。残念ながら、トラック、バスのほうは順調でもないかもしれませんが、タクシーに比べたら進んでおります。
 私たちは労働側としても、こういう検査というものをどんどん推奨していただいて、ただし実態的には1人2万円掛かるという大変大きな負担が事業者に掛かってきてしまっているので、これは是非、省庁がしっかり議論していただいて、負担を軽減していただくことで、やはり私どもとしては人の命を預かる立場、トラックの場合は荷物を預かる立場において、もっともっと安心・安全を乗務員側にも提供できるような、そういったものを推進していただくこと、それが今、いろいろな結果が出てきている1つのものが、こういう労災認定基準の問題になっていると思っていますので、まだまだこの3業種、そういった検査を国からどんどん推奨してやりなさいという反面、まだまだできていないという実態があるので、私どもとしてはもっともっとこういう検査をしていただいて安心・安全を担保する、その反面がやはり労働時間にいずれ関わってくるのだと思っておりました。
 ただ、2014年からもう8年もたっても、まだまだ検査が進んでいないという中で、私どもの不安材料として長時間働く負担というものがしっかり結果として出てきていない部分があるので、もっともっと時間というものを設定することは、先ほど言った1ヶ月の拘束時間については、タクシーはトラック、バス、そのモード一体でやるべきだという前提においても、バスを参考にしたらどうかという先ほど久松委員からの提案に対しては、私どもも賛同させていただきます。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございました。そのほか、この点についてよろしいですか。川田委員、どうぞ。
○川田委員 ありがとうございます。先ほど御議論の中で、年間のキャップの時間を設けることに関して、そういう場合の規制のイメージについて御発言がございましたので、それに関連して若干考えるところを述べたいと思います。年間の拘束時間のキャップについては、時間数が今、案として出ているところですが、この先の議論をしていく中で、どういう形のものにしていくのか、あるいはどういうイメージのものにしていくのかについては、例えば上限があって毎月の時間が積み重なっていって、1年の最後にそれを超えたかどうかをチェックするというようなもののほかに、例えば1ヶ月とか、あるいはより小さい単位での拘束時間を定めた上で、その年間のスケジュールのような形で示すときにその上限、年間の合計がこの上限を超えていないかどうかがチェックできるというような形のものにしていくということも考えられると思います。この辺は今後の課題の中に入ってくるのではないかと思います。併せて、そういうことをやる際の手続に関して、現状では一定のものについては労使協定を結ぶということになっていますが、その協定の事項にするもの、あるいはその協定で定めるべき範囲といったことも、併せて今後の課題にはなるのかなと思っています。
 いずれにいたしましても、この拘束時間については多分、議論の便宜上、1年、1ヶ月とか1日等、論点を分けて上げられていますが、最終的には全体、休息時間とか場合によっては、連続運転時間、休日といったものも合わせて、全体としてどういう形で長時間労働に歯止めを掛けていくのかということを、最後のまとめる段階では意識すべきということも言えるかと思います。以上です。
○藤村委員長 そのほかはよろしいでしょうか。では、次の論点です。1日の拘束時間、休息期間についてです。いかがでしょうか。齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 休息期間ですが、バスは原則連続11時間とすると案はなっておりますが、今まで作業部会で主張したとおり、これは問題があって受入れは難しいと思っております。11時間の休息となると、おおむね首都圏の会社という言い方になってしまうかどうか分かりませんが、運転手は朝5時台に出勤する運転手がいて、前日の18時に退勤しなければならない。したがって、夕方のラッシュ時や夜間は減便せざるを得ない可能性が出てきます。あるいは夜間の便数を確保するとした場合はその逆で、朝のラッシュを減便するなどの対応は避けられません。したがって、運行に与える影響は甚大であり、大きな社会問題にもなってしまうと危惧しております。
 運行に与える影響を避けるために、運転士を採用すればいいということになるのですが、コロナ前の2018年度では、全国のバス事業者の73%が赤字で経営しています。更にコロナ禍ということで、バス事業の経営は今現在、甚大な影響を受けています。また、コロナがなくてもということもありまして、運転手の増員は考え方としてはあったとしても、かなり困難な対応と考えます。それから、運行管理の面で申し上げますと、路線バスの運転者は勤務シフトが決まってはおりますが、急な病気や不幸事、当日の遅刻対応などで勤務変更する際、現在は最低でも休息が8時間あるいは9時間空いていれば勤務変更ができますが、休息が連続11時間必要となると、代わりに運行できる運転者がかなり限定されてしまうのではないかと思っています。
 一方、例えば厚生労働省の案で、回数などについても触れられておりますが、以前から申し上げているとおり、回数管理というのは非常に複雑で、例えば11時間未満の休息回数を見ながら依頼を掛けるということになるのではないか。仮に、当日の入替えができたとしても、翌日以降、休息11時間未満の回数を確認しながら、全ての告示に適合するよう該当する運転者の勤務を変更していくことは、運行管理者が対応できる範囲を超えていると。営業所の規模は会社によって違いますが、1日に100人以上の運転手が勤務をしているということがあります。それを全て対応するというのは、相当困難と。その一方で、運転手がいないから運行を休みにできるかと言うと、これはなかなかできない。したがって、11時間にするということは、シフトの調整をする運行管理者の過労の拡大になってしまうのではないかと考えています。
 ちょっと観点が変わりますが、厚生労働省の案で、原則と例外について、EUでは全ての労働者が原則として11時間インターバルを義務付けられている中で、自動車運転者が例外的に緩和されているものと認識をしております。我が国では、休息期間や勤務間インターバルに関し、一般労働者に対する労働基準法での規制が行われていません。ましてや、働き方改革推進支援助成金制度を活用して、勤務間インターバルの促進を図っている段階であることを考慮すれば、自動車運転者に対して休息期間を連続11時間と定めることは受け入れ難いと思います。
 一方で、本資料の7ページの考え方に記載されているとおり、実態調査の報告書では、休息期間が8時間以下の際には、睡眠時間が5時間以下が半数を超えているということが示されています。現在の告示では、8時間以上9時間未満の休息期間が週2回ではあるが認められており、この休息期間が続くと睡眠不足につながることは理解をいたします。個別の余暇時間の使い方も睡眠時間に影響している一面も見受けられますが、運転者の睡眠時間の確保という観点から、連続11時間については受け入れられませんが、今回の見直しで9時間未満の休息期間をどうするかについては、議論の余地があるというように考えます。
 最後に、バスの運転者の労働については、改善基準告示あるいは労働基準法だけでなくて、国土交通省から示されている健康管理マニュアル、あるいは睡眠時無呼吸症候群、脳心臓疾患に関する各種マニュアルやガイドラインなどに沿って、運転手の健康管理及び健康に起因する事故の未然防止にしっかり取り組んでいることなども考慮していただきたいと考えております。
○藤村委員長 そのほかにはいかがでしょうか。
○貫委員 休息期間について、トラックについては調査中ということですので、細かな数字的なことは持ち合わせておりませんが、今の8時間という部分で、この8時間が本当に適切なのかどうなのかというところについては議論しないといけないのかなと思います。脳心臓疾患の労働災害が発生してしまう理由の1つの中で、睡眠時間の不足があるという中においては、前回の調査結果においても、8時間の休息期間であれば睡眠時間がどうしても5時間以下になってしまうような方々が非常に多いということを加味しますと、過労防止、脳心臓疾患の労災の発生を防ぐという観点から考えれば、休息期間は今よりも長めに設定する必要性はあるのではないかと思います。
 今、厚生労働省からバスやタクシーに提示されている原則11時間という部分について、この11時間という数字については、我々が加盟している連合が主張しているインターバル休息期間も11時間というところで出ていますし、EU等の数字の中にも、11時間という数字が出ているという観点からすると、この11時間というのは、適切な休息期間の時間なのかなと考えます。
 ですので、トラックにおいては、私が以前から主張させていただいているのは、日勤者と長距離運転者の方々は、休息期間の捉え方が違ってしまいますし、あまり長い休息期間を設定してしまうと、逆なストレスが発生してしまうという意見もありますので、そういった面からは、トラックとすると長距離運転者と日勤者は、様々な資料が出ている11時間という数字を中心に、今後の調査結果等の中から設定を図っていかれればどうかなと考えております。
 先ほど、齋藤委員が今の現状の話をされておりましたが、現状に合わせた改正をしてしまうと、今後の労働者が入ってくるのか、現状に合わせてしまうと今後の改善が進まないのではないかと思います。現状を見る必要性は十分に分かりますが、先々のことも踏まえた中で、将来的に自動車運送業の中に、若者が魅力ある産業として入ってきてもらえるような告示を設定していかないといけないというのが、今の我々に課されている責任ではないかと感じております。
○藤村委員長 ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。
○武居委員 今、バスのほうからいろいろとシフトの問題でお話を頂きました。現状、私どもは休息期間8時間未満は認められていないのですが、まず1点、御理解いただきたいのは、タクシーの実態調査において、8時間未満というのは全国ではほとんどないということです。それと同時に、労災の認定の中で、タクシーの場合には過労における労災認定というのはほとんどありません。事故等についてはいろいろありますし、労災認定ではなくて、高齢者がいますから、脳梗塞ですとか、脳内出血ですとか、そういった私病の理由はありますが、それが過労と結び付いていることはないというところを理解していただきたい。先ほど松永さんからの2014年の話ですが、私どもは全国の40歳以上の高齢者を中心にMRIを実施したのですが、そこの段階で医療者におけるガイドラインとしても、それとの結び付きというのは出てこなかったのです。つまり、過労防止と脳疾患との結び付きはガイドラインでは提示されていません。これがまず1点です。
 それと、今、タクシーの場合においては、海外において、アメリカ、EUにおいても、規制が全く休息期間についてはありません。今あるのはILOのタクシー規制だけで、これについても、10時間という形で平均で出されているだけで、現状から11時間という、ある意味では今より3時間長いという提案というのは、外国で見ても今のところはないということは御理解いただきたいと思っています。これが2点目です。
 次に、各地方によっては、インバウンドにおける対応ということで、今はコロナでインバウンドのお客様はいらっしゃいませんが、少なくとも、これからコロナ後におけるインバウンド対応というのは2年、3年後になるかもしれませんが、ほとんどの地域では、実は乗務員不足から日勤体制を取っております。つまり、隔日勤務ではなくて、日勤という労務管理を取っているところが多いわけです。ある意味では、インバウンドにおける地域、例えば京都等を含めますと、観光が中心ですので、ハイヤーと同じような仕事も多いのです。休息期間が11時間になると、1日の拘束時間は13時間に決められてしまいまいます。基本的には13時間以上は違反ということになりますので、先ほどのバスさんではありませんが、同じお客様が指名された場合に、確実に13時間以上は1日に働かざるを得ない日が出てくるのではないかと考えているわけです。全国からの要望としても、8時間を特例的に週に1回でも2回でもいいから認めてくれないかという意見があります。
 最後に、やはり11時間というのは、8時間から3時間も長くしてシフトを組めというのは、全国的には無理があるということです。そういう意味において是非お願いをしたいのは、ILOにおける10時間、平均的な10時間とか、特例として8時間を1、2回認めてくれるとか、このぐらいで何とかお願いできないかなと思います。ただ、私どもも労災認定で11時間という数字が今年の7月に入ったというのは認識していて、これを全く無視しようという気持ちはありません。ただ、仕事的にそれを超える場合もあるわけですから、そういったことの中で、少しシフト的に緩和できるような休息期間にしてほしいというのが、私どものお願いです。
○藤村委員長 分かりました。久松委員、どうぞ。
○久松委員 日勤の休息期間11時間という数字が出てきています。脳心疾患の認定基準の中で、過重負荷の判断に当たる評価の中で、勤務間インターバルが11時間未満というものの数字について出てきたことについては、強く意識しておく必要があるとは考えています。ただし、日勤の場合、原則11時間という数字を事務局案として出していただいていますが、この週3回まで9時間、バスにはまだ出ておりませんが、この回数と時間については、慎重な議論が必要なのだろうなと思っています。
 武居委員から、タクシー事業の実態ということでお話がありましたが、これまで武居委員は、タクシー事業においては、原則日勤は13時間の労務管理を行っているということを強く主張されておりましたし、私自身の実感としても、どの事業者についても13時間、逆に言いますと、11時間の休息期間が取れるような労務管理の実態で営業されているということを認識しておりますので、11時間の休息期間という数字が不可能な数字であるとは思っていないところです。
 一方、隔日勤務のほうの休息期間が20時間、拘束時間が21時間という事務局案が出されています。隔日勤務という勤務、昼夜をまたぐ2暦日の勤務を1日でやるという勤務実態で、非常に過酷な勤務です。私の出身の大阪のタクシー事業者でも、原則は隔日勤務で勤務に就いていただくのですが、健康に自信がない方であったり、基礎疾患があって長時間労働に耐えられない方、子育てなどの家庭の事情などもあるのですが、そういった隔日勤務という過酷な勤務に耐えられない方については、日勤勤務を認めるというようなものになりますし、また、加齢に伴って隔日勤務に耐えられないということで、日勤に勤務変更される方もあるということも考えていくと、そもそもこれまでの改善基準告示の数字の中でも、隔日勤務は比較的短い時間設定になっているということは、そういったところにも現れているのかと考えています。したがいまして、現状、拘束時間は21時間、休息期間は20時間、2暦日の48時間から見ても7時間の幅があるという点を踏まえても、2暦日の休息期間においては、24時間ということで十分な休息が取れる時間設定が必要であろうと考えています。
○藤村委員長 ありがとうございます。鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 休息期間の問題については、どの業種も作業部会の中で、一番使用者側との溝が埋まらないところだと思っています。バスの産業の話をすると、先ほどあったとおり、コロナ前までは6割か7割ぐらいまで、全国のバス事業の赤字事業者は減ってはきたのですが、またコロナになって増えたのも事実です。
 運転者不足の問題もバスに限らずあるわけですが、それは産業自体に魅力がないから若い人材が入ってこない。言い方は変ですが、中途で入ってくるような方々というのは、どこかの一般の企業を辞められて、取りあえず運転でもしようかというような採用ではなくて、若い人たちが、本当にタクシーに乗ろう、バスに乗ろうといったようにならなければ、改善しないと思っていますし、毎年の国土交通省の調査でも、脳心臓疾患で運転中に意識がなくなって事故につながるという事件も、毎年あるわけです。
 そうしたことを考えると、今回の委員会の大目的である過労死防止、長時間労働の是正ということを考えれば、先ほどから話が出ている脳心臓疾患の労災の基準の11時間、この11時間は「原則」とは付けていますが、私もこの原則11時間というのは非常に評価しております。ダイヤが組めないのではないか、シフトが組めないのではないかというのは、当然我々も考えてはいます。ただ、今のこのコロナ禍にある産業をどうやって乗り切っていこうかという論議ではないわけで、繰り返しますが、若い人たちが、二種免許を取って、この産業に入ろうと思うためには、今の長時間労働を是正しなければ、私は入ってこないというように思っています。
 そうした意味では、原則11時間として、あとは産業でそれぞれ実態が違いますので、ここには「上限時間」と書いていますが、原則11時間となれば、下限時間、9時間を週何回までやるかという論議になるのではないかと思っていまして、私個人的な考え方でも、タクシーにあるような、週3回までの9時間をベースに検討していったらいいのかと思いますし、今ではなくて、10年、20年後の産業をいかに残していって、若い人たちに支えていただくかということを念頭に考えていただければなというように思っています。
○藤村委員長 分かりました。清水委員、どうぞ。
○清水委員 タクシーの清水です。休息期間ですが、13時間プラス仮に11時間ということになれば、1つのサイクルが24時間ということになります。タクシーの特性として、お客様にお車に乗っていただいて、そこからでないと目的地が分からない。目的地が分かった時点で、もしかしたら13時間を超えてしまうということで、それをお断りすることは、輸送の引受義務違反ということになって、これは罰せられてしまうので、お断りすることはできない。こういう特性があります。
 そこで、働き方改革関連法が通ったときに、何が大事かと言うと、やはり柔軟性を持たせた働き方を作って、生産性を上げましょうという大きなところがあったのですが、今ですら、一日一日の決まりがきちんとしていまして、なかなか柔軟性を持たせることができない。更に、ここで13時間プラス例えば11時間になって、24時間が1サイクルということになったら、ますます柔軟性を持たせることができない働き方になってしまうということで、是非、原則11時間でなくて、8時間を基本とした休息期間の中で、そこは考えていただきたいと思います。
 それと、地方においては16時間という最大の日勤時間を使って運行している会社がございます。この16時間の会社が、では11時間の休息期間を取ってくださいとなったら、13時間にしなければいけない。そういう実態があって、16時間を否定することになってしまうので、是非その休息期間についての論議については、慎重な論議をしていただきたいと思っていますし、また、最低でも週2回は8時間というものが確保できる。そういう形での論議をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 ありがとうございます。松永委員、どうぞ。
○松永委員 まず、参考資料1の13ページに、休息期間についてのタクシーのアンケートの結果が載っております。これはタクシー専門部会でも何度も申し上げてきたとおり、このアンケートを取る重みというのは、最初から私どもは受け止めておりました。その中で、この13ページにあるように、これは2019年度の調査ですから、コロナというものではありません。そういった中で、この調査をした中で、「11時間の休息時間を取っている」というのが35.4%でした。なおかつ、「10時間から11時間以下」というのが10.6%で、この2つだけでも46%ということで、約半数がこういう休息時間を取っているということです。それと、先ほど武居委員が言われた世界基準について、日本ほど法人タクシーという位置付けがある所は世界にはないはずです。そういった意味で、個人タクシーの感覚で集まった共同組合的なところが、世界で10時間というものを1つの基準にしているにもかかわらず、日本は法人タクシーですから、法人タクシーこそこれを上回る休息時間を取るべきだと、私は専門委員会でも主張してまいりました。
 ですから、議論として私どもタクシーについては、11時間という休息、たたき台として週9時間というものは当然、先ほど清水委員が言っていた16時間ではなくて15時間という拘束も値するわけですから、その1時間の誤差が何なのかはよく分かりませんが、こういった1つのたたき台を基準にして議論をしたいということを、私ども労働側は考えておりました。
 最後に、先ほど鎌田委員から、実は今日私が言おうと思っていたことだったのですが、バスよりもタクシーのほうが中途採用が圧倒的です。そういった意味で、この業界に少しずつ、東京の中ですが、大学卒業生にタクシーの運転手に入っていただいております。そういった、少しでも前を向く、夢を見るためには、こういう労働時間というものを私どもがしっかりと築き上げていかなければ、将来、この交通産業は衰退する一途だと思っております。それが今のタクシーの平均年齢が60歳という位置付けだと思っております。そういった意味では、少しでも若い方たちに夢のある業種にするためには、この11時間という基本原則は、是非作っていきたいと思っております。
○藤村委員長 ありがとうございました。池之谷委員、どうぞ。
○池之谷委員 そもそも改善基準告示の見直しは、長時間労働の是正であって、そこから始まった見直し議論だと考えていますから、現行の8時間という数字は絶対的に見直すべきだと考えています。先ほど齋藤委員からあった、人口がたくさんいる、乗客がたくさんいるという地域を議論のテーブルに乗せてしまうと、全体の自動車運転者の働き方がぼけてくるのではないかと思いますし、赤字経営だから休息期間を延ばすことができないのだということになると、赤字の企業の労働者は休まずに働けということになってしまうと、それは論点が違うと考えています。あくまでも実態調査を参考に議論しながら、そこで働く人たちがいかに疲労が蓄積しないように、過労をさせないようにといったところを原点にしていくべきだと思います。そういった観点からも、1日の休息期間は原則は11時間と考えていますし、これによらない場合の上限時間、週3回まで9時間などの、あとはもうテクニック論の話になっていくのだと思います。
 また、これも齋藤委員からありましたとおり、回数を制限されると管理が大変ということになりますと、では原則でいきましょうということにしかならないのかなと。あくまでも原則を作った上で、一定程度の回数で、その11時間よりも短い回数を設定するのが適切だと思います。
○藤村委員長 ありがとうございます。この点について、そのほかございますか、よろしいですか。あと2つございますので、時間の関係もありまして、次にいきたいと思います。
 次は、運転時間、連続運転時間についてです。どうぞ御自由に御発言を頂きたいと思います。どうぞ、金井委員。
○金井委員 日本バス協会の金井でございます。この運転時間の管理のところですが、拘束時間と時間外の労働を管理することで、自ずと基準内に納まってくると思っておりますので、なくしてもよいのではないかということの提案をこれまでもさせていただいております。また、なくすことが難しいということであれば、拘束時間の管理と同様に、1ヶ月単位と4週単位のいずれかを選択して管理ができるようにしていただきたいというように考えております。また、延長特例の対象であったり、延長期間の考え方については、シンプルに拘束時間の管理と合わせていきたいというように考えております。
 また、バスの案の中の赤い字でちょっと記されている部分についても、これは交替運転者の配置基準のことが記載されておりますが、これは国土交通省が定めている基準であり、高速道路を運行する場合の安全性確保に向けて策定されたものでありまして、高速バスであったり又は貸切バス、観光バスを運行する際に、この基準を守って、実際には運行計画を立てております。この交替運転者の配置基準は、あくまでも運行計画上の基準を定めたものであって、運行の実績が規制されるこの改善基準告示に記載するのは違うのではないかというように考えております。また、「概ね2時間」というような表記の仕方もありますので、この表現を実績主義の改善基準告示でどのように記すのかということの難しさもあるのではないかというように考えているところです。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。この点について、どうぞ、貫委員。
○貫委員 ありがとうございます。貫でございます。トラックについてはまだ数字等はいろいろ出ておりませんが、この連続運転時間4時間、運転離脱の時間ということで30分以上の運転離脱、これがトラックとバスのほうに定められているものですが、バスのほうの運転離脱に対して、ここの中でドライバーさんの休憩ができているのかどうなのかというのはちょっと分かりませんが、トラックに関しては、この運転離脱というのは、休憩のみでなく作業も認められてしまうというような部分があります。そうしてしまうと、おおむね8時間以内、往復9時間程度で運行できるドライバーの場合、積み込み、積み下ろしといったところを運転離脱の時間に該当されてしまうと、一切休憩が取れずに、1日の勤務が終了してしまうというような場合も発生し得るというような部分がありますので、是非とも、この改善基準告示の中にも、休憩の概念というものを取り入れていただきたいというようなことを、作業部会の中でも私は主張をさせていただいております。
 やはり、労基法上決められている部分、改善基準告示を守っていればよいというような意識が強いドライバーも多いですし、運行管理の方ももしかしたら多いかもしれないというようなことを考えると、きちんとドライバーも運転者の方々も、休憩時間というものが、労基法上の休憩時間が確保できているというようなことも今後の監査の観点の中等では必要になってくるのではないかと思いますし、やはり、それが過労防止につながる1つの要因にもなるというように思いますので、今後の議論の中において御検討いただきたいというように考えております。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。そのほかございますか。どうぞ、池之谷委員。
○池之谷委員 連続運転の関係で、先ほどありました、この時間を撤廃するべきではないかということの御意見もありましたが、やはり、疲労が蓄積しない、過労させないというところで考えると、2日平均だとか1ヶ月平均はしっかりと残すべきだというように思います。というのは、例えば、月の中で前半に長い勤務、後半に短い勤務だとかを意図的にやろうと思ったらできるのです。そういうところをきちんと、先ほど言った、疲労を蓄積させないという観点からいくと、運転時間の管理というのは必要だというように思っています。そして、連続の概ね2時間という所ですが、前回の専門委員会のときもお話しましたが、やはり、バスの事故を踏まえたときに、人間が集中して運転できる時間がどのくらいなんだということを踏まえたときには、この交替運転者基準、概ね2時間ということが示されているわけですから、そこは遵守をするべきだというように思っています。確かに、改善基準告示と配置基準のもの差しが違うということがありましたから、それについては一定程度は理解をいたします。この概ね2時間というのを、ではどこまで時間として捉えるのかという議論はしつつも、一定程度の2時間というのは、参考の時間としてしっかりと見るべきだというようには考えています。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。この点について、そのほか。どうぞ、鎌田委員。
○鎌田委員 今ほど池之谷委員からありましたとおり、まずこの交替運転者の配置基準ができた理由というのは御承知のとおりだと思いますが、関越自動者道の事故を受けてこの基準を作ったということですが、事故の概要は皆さん御承知のとおりです。そうしたことから、国土交通省として委員会を作ってこの基準を作ったわけで、今ほどあったとおり、集中して運転できる時間というのは、おおむね2時間ぐらいだよということで、2つ法律があったのを2時間と4時間どっちで見りゃいいんだという話になってしまうので、できれば統一したほうがいいという意見は委員会の中でも言ってきましたが、確かに、おっしゃられるとおり、国土交通省の作ったものと厚生労働省が作ったものの意図というのは別々でありまして、労働時間の管理の部分と危険防止のために作ったという基準なので、この改善基準告示の中に、この文言を入れるというのは難しいのかなというのも重々分かってはいますので、この赤字の部分については、現行、今の案でいきますと、通達の中に入れていただくということですので、なぜ、この基準ができたのかというような分かりやすい内容で、通達のほうに入れていただければいいのかなというようにも思っています。できれば、本心は2時間に統一していただきたいとは思いますが、いろいろなものもありますので、通達、何もないというわけにはいけないので、4時間は残していくのであれば、この赤字の部分については、是非通達で分かりやすい内容でやっていただきたいなと思っています。以上です。
○藤村委員長 分かりました。ありがとうございます。そのほかございますか。馬渡委員、どうぞ。
○馬渡委員 すみません。トラックのほうは、細かい話がまだできていない部分はあります。それから、今年のアンケートも含めて、実態をしっかり見た上でやりたいという思いがありますので、あまり細かい話は言いたくはないのですが、前回の作業部会の折にも、荷種とか、その業務の形態ごとに異なる基準はできないのかという発言もさせていただいているのですが、そういうのがないと、やはり荷主さんの都合とかそういう部分で、運ぶものによっては連続で運ばなければいけないと。本当は運転している人間のほうが大事なはずなのですが、荷主さんから見ると、例えば後ろの荷物が生きた馬であったり、いろいろな事情によって急々に運ばなければいけないとか、そういうような理由を付けて、荷主さんに規定させられるということがトラックの業態では多くて、その辺も首藤先生のほうからも、規制を荷主や商慣行に合わせるのではなく、商慣行を変えなさいよという御意見も頂いたのですが、やはり、働き方改革に沿って我々はやるというように考えている部分と、労働者側はやはり過労死防止のほうに重点を置こうという部分を考えると、働き方改革の部分の経営者の意見と、それから、過労死防止だったら、もう全ての荷主さんはこれはもうやっちゃ駄目なのですよというような規制を反対に考えていただかないと、結局、死屍累々と経営者だけ捕まるわけですから、経営者が例えば営業停止になりました、働いている人も休みになりますよというような話にならないように、よくそこの部分というのは話したいと思いますし、1日の拘束とか休息期間の問題も、そういった部分で荷主さんや着荷主さんたちに、これはもうこういうように規定があるのだから、あなたたちは無理にこういうようにしなさいと言うとあなたたちが罰せられますよという部分がどうしてもないと、今はもう商慣行を我々の力で変えるのは難しいなというように考えています。
 この期間中、いろいろな会社の経営者さんたちとその辺の話、少し変わりましたかというお話をしているのですが、コロナになってまた元に戻って、それ以下になったような気がして、じゃあもうあなたたちできないんだったらさよならねと、やってくれるところがあるからと。やってくれるところがあるからと言われて黙って見ていると、それが白ナンバーのトラックが来られたりとか、我々、変なところからも攻められているような気がして。守りたい経営者はたくさんいると思います。従業員はかわいいですから。若い人もたくさん入ってきてほしい。で、規制を厳しくする。でも、規制逃れの部分というものの穴をちゃんと分かっているわけですから、やはり、穴を塞ぐ形で議論を進めていかないと、バスとかタクシーの場合も、お客さんの我儘とかもあるのでしょうけども、我々トラックの場合は発荷主さんの我儘と、特に着荷主さんの我儘というのは、どうやって押さえるのだろうというのは常に考えているところでして、規制を厳しくする議論というのをするためには、そういった、過労死防止だからこの商慣行は絶対駄目ですというようなことを、厚労省さんのほうからでも言われるのであれば、荷主さんも少し変わっていただけるのかなと。それに、やはり現状に合わせるのではなく、厳しくしようというのは、ある意味、我々もそうすべきだなという部分もあるのですが、ただ、そこの部分が個々の経営者にとっては非常にブレーキになっているというのを御理解いただきたいなと。
 トラックはバスやタクシーと違って、今年もアンケートを取ってバタバタと話をしなければいけないのですが、そういうような危惧を抱いているというのだけを頭に置いていただいて、我々は柔軟に、先ほどの1日の拘束時間のときも発言はしませんでしたが、いろいろな柔軟な考え方をして、例えば、荷主さんの規制をどうしても止められないというのであれば、現行のやり方を最大は延ばしたり、短い部分をもっと短くしたりとか、そういうメリハリのついた規制にしていけば何とかクリアしていけるのではないかと思いますが、ただやはり、発荷主さんもそうですが、着荷主さんのいろいろな命令ですものね。ここで今、下ろす時間がないから待っときなさいと言ったら、命令なのですよ。そこにただ置いてきていいとか、持ち帰っていいということは絶対ないわけですから。 
 我々、下ろしてなんぼの世界ですから。だから、そこら辺のところは労働組合も実態はお分かりになっていると思うので、年間の部分では意見を戦わせますが、1日をどうしていくかとか1ヶ月をどうしていくかという話になると、やはり、そこの部分がどうしてもネックになってきてしまうということも、すみません、公益委員の先生方も御理解を頂きたいなと。度々言うので、耳にたこかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 どうもありがとうございます。この点、どうぞ。
○首藤委員 首藤です。今の馬渡委員の意見、気持ちはすごくよく分かっているつもりでおります。荷主に向けた商慣行を含め、今日は国交省さんもいらしていますが、荷主勧告の制度等をより強化していくような措置も必要なのだろうというように、私も思っております。ただ、荷主別に分けて、例えば、連続運転の延長を認めていくというようなことを議論し始めると、やはり、労働規制の底が抜けてしまうような面もあるのかなというところを強く懸念するところではあります。
 ですので、やはり重要なのは、荷主を含めて、この労働規制を守っていくということを作っていくことなのだろうというように思っていて、これはトラックだけではなくて、今日ここで議論している分野は全部、社会インフラを支えているようなものなのですが、例えば、日本郵便が働き方改革で土・日の配達をやめたり、百貨店が元旦営業をやめたり、コンビニも24時間営業を見直すというような動きもあるように、やはり、働き手が足りない、働き手の環境を整備していくために、従来のサービス内容を見直していくというような社会気運も同時にありますので、そういったものと併せながら、商慣行のほうを見直せるように、精一杯私も努力していきたいなと思う次第であります。
○藤村委員長 ありがとうございます。では、次の4点目、これは最後になりますが、特例について、その他にいきたいと思います。この件についての御発言をお願いしたいと思います。金井委員、どうぞ。
○金井委員 ありがとうございます。特例とその他についての意見は一緒に発言してよろしいでしょうか。特例は特例だけの意見として発言がよろしいでしょうか。
○藤村委員長 一緒にやりたいと思います。
○金井委員 承知しました。少しお時間を頂戴したいと思います。まず、特例ですが、分割休憩の特例、また2人乗務の特例については、1日の拘束時間と休息期間の議論が終わってからにしたいと、これは今までどおりですが、考えています。また、フェリーの乗船の特例ですが、これはトラックは乗船時間が全て休息期間として認められています。バスについては、ちょっと内容が異なっていて、乗船時間のうち2時間については拘束時間、その他の時間については休息期間として取り扱うということになっていますので、バスについてもトラックと同様に認めていただきたいと考えています。
 その他に移らせていただきます。予期しない事象による遅延ですが、こちらは記載にあるとおり、客観的な記録が必要ですとありましたが、これはあまり複雑なものにならないようにしていただきたいと考えています。また、予期しない事象の中に記載があるのですが、1ヶ月管理の最後の日に予期しない事象による遅延が起きてしまった際に、1日の拘束時間を延長できても月や年の拘束時間を超えてしまうこともあるので、この際は延長できるようにしていただきたいというところです。また、軽微な移動も、これはいろいろ考え方があります。聞いていただきたいのですが、厚生労働省から示された案については、特に一般路線バスにとって実際に活用可能な制度になっているのかということがよく分からない部分がありますので、もう少し分かりやすい記載の内容にしていただきたいというところもあります。
 また使用者側として、駅前ロータリーなど、狭い日本の交通事情を考えますと、1回10分の運転離脱について、遵守が難しい場合があるということをこれまでも伝えてきています。軽微な移動については、駅前ロータリーで数メートル、時間にしては数秒なのですが、移動することで、連続した10分の運転離脱が認められなくなることについて、柔軟な対応をお願いしてきているところです。このことはダイヤ乱れであったり、緊急車両であったり、そういうところが多いのですが、労働時間が労働時間であるのか、休憩時間であるのかということではなくて、運転か運転離脱かということの考えであるということ、要は連続運転における運転時間とはみなさないということを是非ともお願いしたいというところです。
 また、私どもの、これは一部提案のような感じになるのですが、「軽微な」という表現の定義付けが困難な場合については、合計30分以上の運転中断は遵守する一方で、現在の1回が連続10分以上を、1回が連続5分以上に変更して、乗合バスであったり、トラックの配送等、近距離を繰り返し運行する輸送形態の実態に即した規制に改めていただきたいという希望を持っています。あるいは、日本の交通事情では駅前ロータリーなどにおける軽微な移動は、事業者の対応範囲を越えている現実もありますので、運転離脱中に軽微な移動が発生した場合については、その軽微な移動の時間を除いて合計10分以上の運転離脱が確保されている場合は運転離脱とみなすということを、監査のときに考慮していただけるような対応をお願いしたいと思っています。
 一番最後にある内容で、緊急車両・緊急運行車両のほか、例えば鉄道会社から要請がきます不通区間の代行輸送などがあるわけですが、これも明記していただければと思います。その一方で、運転者の過労防止に注意を払うことなどから、この改善基準告示の趣旨をセーフティネットとして盛り込みまして、事業者として過労な労働となる輸送をお断りできる余地を残していただきたい。要はここに明記してあるのだから、必ずやらなくてはならないということではなくて、こういう一応セーフティネットを掛けるように盛り込んでいただきたいとお願いをしたいところです。長くなりましたが、以上です。
○藤村委員長 分かりました。そのほかにありますか。池之谷委員、どうぞ。
○池之谷委員 この休息期間の分割特例の関係では、この専門委員会の当初から言っていましたが、各地域の運輸区であったり、労働基準監督署であったり、そこの定義が全部ばらばらなのです。分割をしたとして、その時間が4時間以上あれば、1日の拘束時間から控除していいですよと言ってみたり、いやいや出勤から退社まで全てが拘束時間ですよと言ってみたり、そこの定義と言うか、この通達の趣旨がばらばらだというのは地域によって働き方が変わってしまいますから、この趣旨はやはり徹底をするべきなのだろうなと思っています。確かにこの議論の中で、最終的に8時間なのかどうなのかということが変わってきますから、それはまた後に合わせた議論をしていく必要があると思っています。
 また、予期しない遅延の関係で、1ヶ月単位、1年単位というお話もありましたが、1ヶ月単位、1年単位ということになると、それは予期しない事例になるのかなとどうしても考えてしまいます。予期しない事例というのは、そのポイントポイントでの事例になりますから、それを1ヶ月や1年単位というのは少しそぐわないのではないかと思っています。
 ちょっと話が前後しますが、分割特例の関係では、先ほど言った趣旨をきちんと説明をするということも重要ですし、合わせて143の通達の中では、休息期間の分割付与というのは、本来、好ましくないとうたっているのです。それを踏まえたならば、今あるその通達の中である、原則として2週間から4週間程度などの書き方についても少し見直しをする必要があると考えています。
 ごめんなさい、軽微な移動ということでおっしゃられていましたが、この軽微な移動が予期しない事象に入るのかどうなのか、軽微な移動が伴うということになると、既に予見をされている事象だと考えていますから、そこについてはやはり駅前ロータリーの移動も軽微な移動があるということをしっかり考えながら、作り上げるべきだと思っています。以上です。
○藤村委員長 はい、分かりました。ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 特例のところなのですが、2人乗務の特例ということがあります。現行、左側に書いてあるとおり、身体を伸ばして休息することがある場合は、現行の8時間の半分4時間まで短縮することができるとなっているのですが、実際、この体を伸ばして寝れるというのはバスのトランクルームなわけです。そうすると、運転する方々に聞くと、とてもではないですが休んだ感じはないと。当然、車が動いたり、止まったりしていますので。そういうことで今の現行法でいくと、例えば夜行で走ってきて、早朝に着いて、4時間ずっと休んでいるから、早朝から今度は別方向にまで行くという勤務がコロナ以前はあったわけです。これがまたコロナが回復して、このままでいくと、運転者さんがとてもではないですが休めないということなので、これは拘束時間なり、休息期間が決まればここの数字は変わってくると思いますが、現行の8時間でいくと単純に2人で運転していったから半分で4時間という、この雑な基準というのは見直すべきだと思っています。例えば4時間しか休んでいないので、実際は休んでいないですが、着いた場合にはその日の乗務はないなど、でもこういう例によらない場合もあると思うので、帰庫後に営業所で残りの4時間を例えば休息してから次の乗務というような工夫にしないといけないのではないかなと思っています。
 その他については、私も池之谷委員と一緒で軽微な移動の定義というのは非常に難しいと思います。金井委員が今おっしゃったことは、すごく分かります。そういった場合には、軽微な移動に入れればいいと思いますが、毎回そこのある駅に行って、必ず軽微な移動が発生しているのは予見できるので、これは軽微ではないと思っています。それ以外の部分については、いいのではないかなと思っています。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。では、金井委員、その後、小田切先生にいきたいと思います。 
○金井委員 鎌田委員に1点ちょっと確認で、今のお話があったのが勤務間インターバルのことですか。私たちが考えている20時間まで拘束できる場合に、改善基準上の1日の管理としては24時間管理ですので、どうしても休息期間は4時間としか計算されないのではないかと考えているところと、また勤務間インターバルを長く取ってしまうと、貸切バスと夜行バスでの需要に対応できなくなるということも想定されるのではないかというところを心配しているということがありますので、確認で申し上げました。
○藤村委員長 では、鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 変形拘束時間等を使って、その数箇月先と2ヶ月ぐらいの範囲で特別な労働時間を入れた場合に、実際に運行していることを今話したのですが、例えば岡山で夜行で行って、朝着いて、そのまま箱根に行って着いたら2時間休んで、また観光が終わったらすぐ帰ってくるというダイヤが、もちろんその次の日は休みですが、そういった事例があったということなので、それは置いておいたとしても、2人で乗務したから割る2というその考え方がおかしいのではないかなと、一番言いたいのは。トランクルームで実際に横になって、運転している車の中で休んでみた経験者はいないと思いますが、運転者自身が休息できていないという状況の中で、また次の勤務に入るというのは、これはちょっといかがなものかなという意味で言ったわけです。そのインターバルの時間うんぬんなどよりも、どちらかというと割る2のほうを改善するべきではないかなと思っています。以上です。
○藤村委員長 はい、では小田切先生、どうぞ。
○小田切委員 ありがとうございます。その他のところですが、新たに現行では休日労働は2週間に1回という記述のみのところに加えて、予期しない事象による遅延というものを加える案が現状タクシーとバスで出ているかと思います。タクシーのほうの御意見を拝見しますと、休息期間について短縮する必要はないという御意見が労側、使側からも資料によると出ているのですが、バスはこれからまた議論があるかと思うのですが、この予期しない事象による遅延が今回新しく入りますが、例えば事故、悪天候、車両の故障、具体的にはどのように運用されるのかというところが、非常に問題になってくるのではないのかなと思います。
 そういったところを基準と申しますか、そういうものが明らかでない場合は、非常に運用上好ましくない方向で適用されてしまうと、非常に問題になってくると思います。その場合に、やはり休息期間を拘束時間の延長に伴い短縮できるというこの文言があることによって、非常に劣悪な環境で実は連続1週間働くことになってしまったという、非常に急速な負荷が掛かることによって、一気に健康状態が不良になり、不良な転帰ということが起きる可能性もあるのではないかということで、ここの予期しない事象による遅延の全体像は非常に重要な点だと思うのですが、気を付けて議論をしていかないといけないのではないかなと思っています。
 そういうところで申しますと、やはり休息期間をどこまで短くしても、この場合はいいのか。それが何日間連続までは許されるのか、そういうところの観点をここに含めていかないと、ちょっと危険もはらんでいるような気はしています。
○武居委員 今の小田切先生の御意見なのですが、私ども使用者側は別に短くしようという形で休息期間を言ったつもりはありません。11時間というのは、当然意識はしています。ただ、実態的にやはり16時間ができるような特例は認めてくれませんかという意見をさせていただいたということです。
 それと、特例については当然、改善基準の最大拘束時間があるわけですから、当然1日延びたらほかの週は短くしないといけないということになりますので、そういった意味ではそんなに御心配は要らないのかなと思っています。そのための最大拘束時間ですので、これは私ども使用者側も除外とは考えていません。延長した分は、当然拘束時間が延びるわけですから、事故であろうと何だろうと、その範囲内でやるというようなことを私ども使用者側も考えています。
 実態的に事故等については、年に数回あるかないかという事案なのですが、ただ最後の適用の除外業務というのは、実はこの間の台風や地震等で電車が全く止まってしまったということで、あれは正直に申し上げてお客さんが各駅に100人、200人並んで、国土交通省から指示が入りまして、稼働しているものはとにかく駅に入ってお客様を、ある意味では御自宅まで送ってくれということで、これは相当拘束時間が延びました。その分、実は今、改善基準は299時間ですので、日勤の場合はそれを守っている。隔勤についてはその分公休を次にして休息を取らせて、出番変更をしながら対応しているという実態がありますので、そのための最大拘束時間ということで御理解を頂きたいと思っています。
 ですから、この予期しない遅延においてはまた論議の必要があると思いますが、実は一番事案としてあるだろうと思うのは、お客さんが途中で目的地を変更する場合が非常に多いのです。例えばどこどこまで行ってくれと、当然、本来なら1時間前に回送を掛けて会社に帰るのですが、そうはいってもやはり信号待ちで止まっているときに、窓をトントンとやられて、お客様を乗せて走るとどこどこまでと言ったら急に場所を変えて、実は遠い所までお送りして、帰庫時間から30分ぐらい遅れてしまったという事例があります。ここをどう考えていただくかということが、事情的にはタクシーにはあると思っています。ただ、あくまでもこの時間帯は最大拘束時間の範囲内と考えていますので、適用除外の部分についてはこれはまた別と考えさせていただきますが、予期しない事象については最大拘束時間の288の範囲内でやらせていただくと考えています。以上です。
○小田切委員 ありがとうございます。休息期間は短縮可能ということを、優良事業者が捉える常識的な時間であればいいのですが、そこが一番心配というところです。
○武居委員 そういうことですか。そういう場合には次の仕事に影響してしまうので、そこまで働けというのは私はなかなかないと思っています。
○藤村委員長 そろそろ終わりの時間が近付いてきているのですが、では馬渡委員、その後、久松委員でお願いいたします。
○馬渡委員 いろいろな議論がありますが、私どもはやはり現行規制より厳しい規制にする場合には、荷主さんの都合を全部認めなさいと言っているのではなくて、荷主さんがこういう理由だったからこうですよというエビデンスがあったら、遅延理由に加えて適用除外にするなど、若しくは例外的な取扱いをするなど、そういうことを考えてほしいと思います。それが度重なる荷主さんについては、先ほどから申し上げているような、やはり厚労省さんから、これはあなたたち荷主さんが悪いですというような御指導があれば、かなり改善されてくるのではないかと。でも今は、それを規定する法律がない、いろいろな規則がないという形で無理ですよとお聞きしていますので、その辺の議論も1つお願いしたいと思います。
 もう1つは、そういう荷主さん都合というのは無理ですと、ばしっと言われてしまうようであれば、バスの議論やハイヤーの議論を見ていると、ハイヤーは特に業態がこうだから大枠だけしか決められないのではないかということも書いてありますので、我々も同じように休息期間だけではなくて、荷主さん都合も含めて努力規定にしていただくなど、そのような議論もさせていただければなと、そうすると厚労省さんが推奨基準や指導基準などというものがあって、きちっと荷主さんにもいろいろな御指導があった上で、これは絶対みんな守りましょうという基準になっていくのが望ましいのではないかなと思っていますので、是非、お考えいただければなと思います。
 もう1つ、それを荷主さんに言うときに、今、SDGsを我々のようなトラックの業界でもどうやって捉えていこうかという議論がありますが、この中に貧困で児童労働をさせないというような部分がありますが、日本国内においても、ある意味では我々トラック運転手は強制労働ではないですが、奴隷労働のような部分をあるときはさせられる立場ですので、荷主さんもこれはSDGsに引っ掛かりますよ、ESG投資を受けられませんなど、何かそういうような表現でもいいので、何らかの荷主さんに対する牽制というか規制というものはできないものかなと考えている次第です。以上です。
○藤村委員長 分かりました。では、久松委員、どうぞ。
○久松委員 資料1にあります3ページ、車庫待ち等についてですが、意見の中で原則の時間で規制してこの制度を廃止したらどうかというような意見を言ったのは私で、自分の加盟組合で明らかに車庫待ち営業であるというところで、ヒアリングをしたら、こんな長時間労働はさせていない、原則の改善基準告示の範囲内で営業はできているということがありましたので、こういう意見を出したのですが、次の行で使用者が書かれている、実態が見えない状況で廃止するのはどうかという点、実際に仮眠時間を4時間確保して、24時間営業などをしているようなところというのは、実態としてその地域では唯一の地域公共交通機関になって、市民の足を守っている事業者であると思っています。したがいまして、この車庫待ち等の内容について、最終結論を出す前に是非、使用者側委員の皆さんについては、事業者団体を通じて全国の実態をしっかりと把握していただいて、次の作業部会で御報告いただき、結論を導いていきたいと思っています。加えて、定義については明確にしていきたいという意見です。
 先ほど、小田切先生からも御指摘がありましたが、予期しない事象による遅延について、タクシーにおいては勤務シフトというものがありますが、そもそも運行ダイヤというものがない関係もあります。やはり拘束時間が予期しない事象によって延長された場合については労使とも共通認識で、次の出勤時間をずらすことによって休息期間が一定確保できていると認識しています。したがいまして、客観的な記録を認める場合という点は非常に重要であるかと考えるのですが、この括弧書きの部分については、なしということで結論を付けていただくよう議論していきたいと考えています。以上です。
○藤村委員長 では、清水委員、どうぞ。
○清水委員 先ほど8時間で休息期間、このままでいいと言ったわけではなく、8時間を最低2回程度は残してくださいというお願いであって、日勤13時間、休息11時間ということになってしまうと、翌日1時間早く来てくださいというシフトが組めない。そういうことも加味しての発言でしたので、よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 世永さん、どうぞ。
○世永委員 ありがとうございます。先ほどの馬渡委員から荷主都合の関係をお話されました。現状のいろいろな問題等は労側も承知はしていますが、現状ではこの例外規定に荷主都合を入れると骨抜きになってしまうということが労側の見解ですので、また議論は議論として続けていきたいと思っています。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。本日はこの辺で。
○池之谷委員 ごめんなさい。先ほど予期しない事象の関係で、久松委員からの休息期間は拘束時間の延長に伴い短縮というところは、この考え方はバスのほうも同じで、予期しない事象で拘束時間が延びたとしても、その後の休息期間はきちんと確保するということが考え方ですので、この書き方はなしということで理解していただければと思います。
○藤村委員長 はい、分かりました。労使で一致できる部分もあれば、まだまだ両者の意見の隔たりが大きい部分もあります。これからはそれぞれの作業部会で詰めていっていただきたいと思います。最後に次回の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。
○中央労働基準監察監督官 次回、専門委員会や業態別作業部会の日程については、日時、場所について調整の上、追って御連絡させていただきます。議事録についても、後日、御確認いただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○藤村委員長 それでは、これをもちまして、第6回自動車運転者労働時間等専門委員会を終了します。どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。