後藤大臣会見概要

(令和4年6月21日(火)11:55~12:10  省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
 それでは、こちらの方から2件ほどございます。
 まずは、幹部職員の人事異動についてでございます。本日の閣議で、局長級以上の幹部職員の人事異動について、内閣の承認が得られました。今回の人事異動の内容については、お配りしている資料のとおりでありまして、これらの人事は、6月28 日付で発令をいたします。吉田 学(よしだ まなぶ)事務次官が退官し、その後任に大島 一博(おおしま かずひろ)政策統括官を、坂口 卓(さかぐち たかし) 厚生労働審議官が退官し、その後任に小林 洋司(こばやし ようじ)人材開発統括官を登用します。福島 靖正(ふくしま やすまさ)医務技監は留任いたします。このほか、ワクチンや治療薬等の企業開発支援や医療DXを推進するため、「医薬産業振興・医療情報審議官」(いわゆる)名付き審議官を新設し、7月1日付けで城 克文(じょう かつふみ)を登用します。私からお伝えする点は人事異動については、以上でございます。

 それから、もう1点は新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた、熱中症予防についてです。
 気温が上がり、湿度の高いこの時期、熱中症のリスクが高まります。例年、4~5万人前後の方が救急搬送されており、中には、死亡につながる重篤なケースも発生しています。今年に入ってから、学校の屋外での運動活動中に多くの生徒が救急搬送されるような事例も発生しております。
 特に、夏場の屋外でのマスク着用は、熱中症のリスクが高まります。屋外での活動においては、近距離で会話をするような場合を除いて、例えば、徒歩や自転車での通勤・通学や、散歩やランニング、ラジオ体操といった運動時には、マスクを外していただくようお願いいたします。
 なお、屋内においては、エアコンと合わせ、扇風機や換気により、暑さを避ける行動と新型コロナウイルス感染症対策をお願いします。屋内でも人との距離が確保できて会話をほとんど行わない場合は、マスクの着用は必要ありません。
 本日、こうした対策をまとめたリーフレットを厚生労働省のホームページに掲載をいたしました。皆様にもお配りをしております。ご参考にしていただければと思っております。また、屋外でマスクを外してよい場面について、来週から、政府広報としてテレビCMの放映も開始する予定であり、今後、さらなる広報の強化に努めてまいります。
 
 ※参考付記:大臣冒頭発言(熱中症予防)に関する参考資料等はこちら

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年6月21日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
国産初の軽症者向け新型コロナ感染症飲み薬として期待される塩野義製薬の「ゾコーバ」の薬事承認の可否が、明日(22日)の専門部会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)で審議されます。塩野義製薬は5月に創設された緊急承認制度の適用を希望しており、承認されれば適用第1号になると見られます。大臣として承認への期待感や見通しを教えてください。
 また、政府は3月の段階で、承認後に100万人分を購入することで塩野義製薬と基本合意したと明らかにしています。こうした動きについて政治が「前のめり」だとの声もありますが、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
塩野義製薬の経口薬につきましては、2月25日に条件付き承認を求める申請がなされた後、緊急承認を求める申請に切り替えられたところでございます。これまでPMDA(医薬品医療機器総合機構)における審査を行ってきたものでありまして、明日22日の(薬事・食品衛生審議会医薬品第二)部会で審議される予定です。
 緊急承認にかかる議論につきましては、慎重かつ高い透明性をもって行う必要があることから、(薬事・食品衛生審議会医薬品第二)部会でご審議をいただいたうえで、さらに分科会でご審議いただくことが基本になると考えております。
 審議会における公平な審議のため、承認への期待感や見通しなどコメントについては差し控えたいと思います。
 また、お尋ねの2点目ですが、本剤については、3月25日に、「薬事承認がなされれば速やかに100万人分を、それ以降も一定数量を確保する」という基本合意に至っております。
 今後の承認が前提となりますが、本剤が実用化されれば、軽症者に対する治療の選択肢がさらに広がるものと考えておりまして、今後の感染再拡大、新たな変異株の出現等も懸念されている中で「前のめり」であるとの指摘は当たらないと考えています。
 引き続き、「最大限の警戒」を保ちつつ、社会経済活動の回復に向けて、治療薬の確保も含め、取組を進めていきたいと考えております。
記者:
本日発表された厚生労働省の人事異動について質問です。事務次官が若返る人事となりましたが、この人事の狙いについてお聞かせください。
大臣:
今回の人事につきましては、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しつつ、全世代型社会保障制度の構築に向けた取組の推進とともに、働き方改革の強化も行うなどの観点から、適材適所の人事を行うものであると考えております。
記者:
アメリカの 環境保護庁(EPA)は有機フッ素化合物のうちPFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)の生涯健康勧告値を引き下げて、PFOSを0.02ng/L、PFOAを0.004ng/Lとしました。EPAが新たな勧告値を示したことへの見解と、今後の厚生労働省の対応を教えてください。
大臣:
6月15 日に、米国EPA(環境保護庁)からそのようなプレスリリースがあったことは承知をいたしております。発表された米国EPAの生涯健康勧告値は今後Science Advisory Boardの科学的評価を受けることになっているとうかがっております。
 日本の水質基準等の設定において参考としているWHOでもPFOS, PFOAのガイドライン値の検討を行っているという情報もありまして、これも含め、諸外国の動向等も確認しながら今後対応を検討していきたいと考えています。
     
記者:
厚生労働省が定めている水道水におけるPFOS, PFOAの暫定目標値についても米国EPAの値が70ng/Lであったことを踏まえて、日本人に合わせて50ng/Lとされておりますが、今回の米国EPAの新たな値の決定を受けて、より厳しい目標値の設定にする方向で検討を進めるということで理解してよろしいでしょうか。
大臣:
先ほども申し上げたように、生涯健康勧告値そのものはScience Advisory Boardの科学的な評価を受けると承知しておりますし、今後いわゆる基準・規制にどうつながっていくのかということは、今後の米国の議論も見ていきたいと思います。
 また、WHOも先ほど申し上げたように、ガイドライン値の検討を行っているという話もございます。元々、各国の目標値も非常にまちまちで、高い数値のところもありますし、いずれにしても、まずは情報をしっかり分析した上で、どういう動きになっていくのかを見極めた上で、日本としての対応を今後考えていくということだと思います。
     
記者:
一昨日(19日)徳島県鳴門市の病院がサイバー攻撃を受けました。医療機関に対するサイバー攻撃が相次いでいると思いますが、年間の被害件数は大体どれくらいでしょうか。それに対して厚生労働省としてはどれくらいの危機意識を持って事態に対処しているか、お聞かせください。
大臣:
一昨日(19日)、徳島県の鳴門山上病院において、ランサムウエアによるシステムへの侵入被害が発生し、電子カルテ、院内ネットワークが使用不能となった、という情報を得ております。
 国民の生命・健康を守る医療機関が、サイバー攻撃により、その機能を失うことがないよう、サイバーセキュリティ対策の強化が不可欠と考えております。
 厚生労働省では、本年3月に、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを改定いたしまして、医療機関に対しまして、バックアップデータの保存や、サイバー攻撃を想定した訓練の実施など、対策を強化するよう求めております。
 更に、令和4年度診療報酬改定では、診療録管理体制加算の要件として、400床以上の医療機関において医療情報システム安全管理責任者を配置し、職員に対する情報セキュリティに関する研修を行うこと、医療情報システムのバックアップ体制を確保することを定めるとともに、医療情報システムのバックアップ体制の確保状況等について、毎年、厚生労働省に届けることといたしております。
 今後、厚生労働省では、令和4年度中に医療情報システムの安全管理に関するガイドラインにおいて、具体的なセキュリティ対策の記載をよりー層わかりやすい形に見直すとともに、医療機関で活用できる基本的なセキュリティ研修資材及びガイドラインの理解促進のための資材を提供するなどの対応を行う予定であります。
 サイバーテロ等に対して病院を、しっかりと情報を守っていくことについて、重要な課題であるという認識を持っております。
 それから、サイバー攻撃の実態把握についてでありますが、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインにおいては、医療機関がサイバー攻撃を受け、個人情報の漏洩等が生じた場合、またはそのおそれがある場合には、厚生労働省に連絡を行うこととしているところであり、厚生労働省としては、当該連絡を通じて、サイバー攻撃の件数や被害状況の把握を行っているところであります。
 具体的な件数につきましては、セキュリティ上の問題もありまして、警察、内閣官房等と連携し、事案の性格を解明した上で対応させていただきたいと考えておりますので、ここではコメントを差し控えたいと思います。
     
記者:
冒頭の事務次官人事でお伺いします。先ほど質問でもありましたが、入省年次でみますと、大島次期事務次官が87年入省、現在の吉田事務次官が84年入省と、3期下の入省年次からの起用となりますが、大島次期事務次官の評価、起用する狙いや、大臣の期待感を改めてお聞かせください。
大臣:
人事については、適材適所をもって充てるということでありますので、それ以上のコメントはありません。
 大島政策統括官は、老健局長、大臣官房長、政策統括官等を歴任いたしまして、厚生労働政策全般に精通しておりまして、事務次官として厚生労働省における様々な重要課題に対してその能力を発揮してもらうことを期待しております。
 先ほど今回の人事の狙いということで申し上げましたが、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しつつ、全世代型社会保障制度の構築に向けた取組の推進とともに、働き方改革の強化も行うという観点から、適材適所の人事を行ったものと考えております。

(了)