令和2年12月25日 第50回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和2年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和2年12月25日(金) 14:00~

場所

WEB会議(中央労働委員会会館 講堂(7階))

議事


○事務局 定刻になりましたので、ただいまより第50回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和2年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただきありがとうございます。本日は新型コロナウイルス感染症における今般の状況等を勘案し、WEB会議で開催することとなりました。初めての試みのため、御迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
まず、WEB会議を開催するにあたって、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。御発言される場合は、まず名前をおっしゃっていただき、座長から指名されてから御発言をお願いいたします。なお、WEB会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。会議の途中で長時間、音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ又はあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
初めに、本日の委員の出席状況について御報告いたします。副反応検討部会の永井委員から御欠席の御連絡を受けております。現在、副反応検討部会委員9名のうち8名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。なお、全ての委員において、関連企業の役員、職員等でない旨を申告していただいております。また、健康局長の正林、予防接種室長の林、及び医薬安全対策課長の中井が、公務のために遅れて出席する予定となっております。また、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
本日の審議の前に、傍聴に関しましての留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は退場していただきます。また今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や、会議中に退席となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので御留意願います。本日の座長につきましては、森尾委員にお願いしたいと思います。それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○森尾委員 森尾でございます。それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。本日御出席された委員、参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。本日の議題において、調査審議される品目は、DPT、DT、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、混合不活化ポリオ、13価肺炎球菌、ヒブ、BCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルス、5価ロタウイルス、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、帯状疱疹、A型肝炎、23価肺炎球菌、HPVの各ワクチンであり、その製造販売業者は、一般財団法人阪大微生物病研究会、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、KMバイオロジクス株式会社、デンカ株式会社、サノフィ株式会社、ファイザー株式会社、日本ビーシージー製造株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。各委員からの申告内容については、机上に配布しておりますので御確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、宮川委員は第一三共株式会社及び武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取があるため、DPT、DT、4種混合、破傷風、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜの各ワクチンについて、柿崎委員はMSD株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取があるため、B型肝炎、5価ロタウイルス、23価肺炎球菌、HPVの各ワクチンについて、意見を述べることができますが議決に参加できないことを御報告いたします。引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取について通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。以上です。
○森尾委員 それでは、事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 説明の前にオンラインで参加されている先生方にお願いがございます。今、Zoomの負荷が掛かってしまっているようですので、恐れ入りますが、カメラをオフにしていただけますと有難いです。よろしくお願いいたします。
それでは、事務局より本日の資料について御説明いたします。資料はあらかじめお送りしております。オンライン会議会場にいらっしゃる先生方は、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。順に確認させていただきます。議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、遵守事項等資料、資料1-1~資料1-27、資料2、資料3、参考資料1、委員の謝金等の受取申告状況、また、委員限りの資料として資料番号なしで「各社のワクチン出荷量と副作用の発現頻度」をまとめた資料があります。各ワクチンの添付文書につきましては、お送りしたファイルのリンク集を御参照ください。会場にいらっしゃる先生方には、黄色の紙ファイルを机上にお配りしております。資料を御確認いただき、不足の資料等がございましたら事務局にお申し出ください。
○森尾委員 ありがとうございました。それでは、議題1「各ワクチンの安全性について」の議論に入りたいと思います。まず事務局より、資料1-1から資料1-4までの説明をお願いいたします。
○事務局 初めに、全体的な事項を説明いたします。本合同会議での副反応の疑われる症例の報告については、平成25年9月の合同会議において、定期的に検討を行うワクチンを選定し、比較的同時接種が行われるワクチンと、そうではなく比較的単独接種が行われるワクチンにグループを分けて報告することとしております。本日は、本年10月1日より接種間隔や副反応疑い報告制度について改正が行われた背景から、審議対象としている全てのワクチンについて、その副反応と疑われる症例の報告の状況について御説明いたします。比較的単独接種が行われるワクチンについては、本年5月1日から9月末までの5か月間、比較的同時接種が行われるワクチンについては、本年7月1日から9月末までの3か月間に報告された症例について御説明いたします。
それでは、まず資料1-1から資料1-4について御説明いたします。
資料1-1をご覧ください。MRワクチンです。具体的な製品名は、1ページの上段にある「商品名」に記載しております。1ページの中段に表がありますが、こちらには医療機関への納入数量を基に推定した接種可能のべ人数、製造販売業者及び医療機関からの副反応が疑われる症例の報告件数を記載しております。MRワクチンの接種可能のべ人数は約129万人、製造販売業者からの報告は8件、医療機関からの報告は45件、うち重篤なものが20件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00062%、医療機関からの報告頻度は0.0035%となっております。1ページ下段に、「重篤例の転帰」の情報をまとめております。今回の集計対象期間内で、後遺症症例、死亡症例については報告がありませんでした。
2ページ目に移る前に、本資料を含め、各資料の1ページ目の見方について御説明いたします。重篤症例の報告数については、製造販売業者と医療機関の双方から報告された場合には、重複を排除するため、医療機関の報告として計上しております。また、中段の報告数の部分ですが、集計対象期間内に報告された症例を集計していますので、この件数には接種日や発生日が対象期間以前の症例も含まれており、接種日が今回の対象期間内であったものについて、括弧書きで件数を記載しております。また、製造販売業者ごとの出荷量や副反応疑い報告頻度については別途、委員限りの資料を御確認ください。
2ページをご覧ください。報告された症例を症状別に集計したものです。縦に見ていただき、表の左側が前回の合同会議までに報告された件数、右側が今回報告された件数となっております。5ページは、予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しております。こちらも、左側が前回までの報告、右側が今回の集計対象期間に報告されたものです。6~8ページは、報告された個別症例の一覧です。7ページの医療機関(重篤)のNo.12、中毒性表皮壊死融解症の症例は、ステロイドパルスによる治療後、内服加療中であり、対象期間後の追加報では転帰回復となっております。11ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして2件報告され、専門家の評価により、2例ともブライトン分類評価が3以上とされました。症例の詳細な経過は12ページに記載しております。No.1は、18歳女性、熱性けいれんを基礎疾患に有する症例です。MRワクチン接種の約1時間後に前胸部の膨疹、呼吸苦を認め、ステロイド投与により症状が改善した症例です。No.2は、6歳女性、食物アレルギー等を基礎疾患に有する症例です。MRワクチン・おたふくかぜワクチンの接種後、背中の痒みと咳の訴えがあり、抗アレルギー薬の投与などにより症状が改善した症例です。いずれの症例も、専門家による評価の結果、ブライトン分類3以上のアナフィラキシー症例で、ワクチン接種との因果関係は否定できないとされています。13ページは死亡症例です。No.1は、対象期間前の1歳男児の症例です。接種2日後に発熱し、4日後に心停止となり、ウイルス感染により死亡した症例です。調査の結果、接種されたワクチンが原因となった可能性は否定できないが、裏付ける病理学的所見も得られておらず、因果関係は不明であるとされています。No.2は、47歳男性の症例です。接種4日後に発熱を認め、11日後に意識不明となり、劇症1型糖尿病を発症し、糖尿病性ケトアシドーシスによる心停止、それに伴う低酸素脳症により死亡した症例です。調査の結果、時間的経過からはワクチンが原因である可能性を完全に否定はできないが、ワクチン接種後に何らかのウイルス感染症を合併し、劇症型1型糖尿病を呈した可能性も否定できないとして、ワクチン接種との因果関係は不明であるとされています。
なお、14ページ以降の、公表を不可としている委員限りの資料につきまして、その内容を御発言いただく際には、患者さん個人の特定につながらないよう、御配慮いただきますようお願いいたします。
また、前回MRワクチン審議の際に、濱田委員より頂いた御質問について、この場で御回答申し上げます。現在、第5期接種が行われている中で、成人への生ワクチンの接種にあたり、糖尿病を基礎疾患に持つ場合など、注意喚起する必要はないかという主旨の御質問を頂きました。これを受けて、生ワクチン及び黄熱ワクチンの製造販売業者に対し、成人に対する生ワクチン接種による副反応発現状況・耐糖能異常に関する知見の有無や安全性プロファイルについて聞き取りを行ったところ、生ワクチン接種により耐糖能異常のリスクが上昇する知見は認められず、第5期接種の開始前後で安全性プロファイルに変化は認められないとの見解でした。今回の対象期間内にも、第5期接種に伴う副反応疑い報告が散見されますが、おおむね局所反応や発疹などの軽微な非重篤事象であり、転帰も軽快している症例が多く、企業見解とも相違ないと考えております。資料1-1は以上です。
資料1-2は麻しんワクチンです。接種可能のべ人数は約3万人、製造販売業者からの報告は1件、医療機関からの報告は非重篤1件でした。報告頻度は、製造販売業者、医療機関ともに0.0031%となっております。1ページ下段に、重篤例の転帰等の情報をまとめております。今回の集計対象期間内で、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果で、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4~5ページは個別症例の一覧です。6ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。資料1-2は以上です。
資料1-3は風しんワクチンです。接種可能のべ人数は約4万人、医療機関からの報告は重篤1件、報告頻度は0.0026%でした。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果です。3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4ページは個別症例の一覧です。5ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。資料1-3は以上です。
資料1-4はおたふくかぜワクチンです。接種可能のべ人数は約82万人、製造販売業者からの報告は7件、医療機関からの報告は21件、うち重篤なものが16件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00085%、医療機関からの報告頻度は0.0026%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で、医療機関から後遺症症例が1例報告されております。2~4ページは症状別に集計した結果です。5~8ページは個別症例の一覧です。6ページ、医療機関からの報告のNo.5が後遺症症例です。その詳細な経過は9ページをご覧ください。おたふくかぜワクチン接種12日後に発熱があり、13日後に強直間代性けいれんが発現して入院、ワクチン株による無菌性髄膜脳炎、二相性脳症の診断となり、治療後も後遺症として運動麻痺、知的障害が残存した症例です。表の一番右側のカラムに、専門家の意見を記載しており、ワクチンとの因果関係は否定できないとされています。10ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして1件報告され、専門家の評価により、ブライトン分類評価が3以上とされました。11ページに、詳細な経過を記載しており、資料1-1のMRワクチンで御説明したNo.2と同一の症例ですので説明は省略いたします。12ページは死亡症例ですが、こちらも資料1-1のMRワクチンで御説明したNo.1の死亡症例と同一の症例ですので説明は省略いたします。資料1-4は以上です。資料1-1から1-4までの御説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森尾委員 ありがとうございました。それでは、今の事務局からの説明につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。御発言のある先生は、先ほど事務局からの指示がありましたように、お声を発していただくか、あるいは、右下のZoomの「反応」という所の「手挙げ」とかを使っていただいて、御発言いただけたらと思います。最初にお名前からお願いいたします。いかがでしょうか。
濱田先生、麻しん、MR生ワクチンの耐糖能につきまして、事務局から御回答がありましたが、よろしいでしょうか。
○濱田委員 了解いたしております。そういった知見はほかにはないということですので、このまま進めていただいてよろしいのではないかと思っております。
○森尾委員 ありがとうございます。引き続き、モニターを続けてという形かと思います。ありがとうございました。ほかに、委員の先生から、いかがでしょうか。お顔が見えないと、うなずきも見えないですね。ほかにはないようです。ありがとうございます。
それでは、議論された内容をまとめたいと思います。確認ができた内容としては、副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べると特段高いことはない。2番目として、後遺症の報告は、おたふくかぜワクチンでの単独接種で1例あり、ワクチン接種との因果関係は否定できないとされた。3番目として、アナフィラキシーと評価された症例は、MRワクチンの単独接種で1例、MRワクチンとおたふくかぜワクチンの同時接種で1例であった。4番目として、死亡症例は対象期間内に報告はありませんでした。対象期間前のMRワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチンの同時接種症例で詳細調査の結果が報告され、ワクチン接種との因果関係は不明であるとされた。MRワクチンの単独接種症例で、詳細調査の結果が報告され、ワクチン接種との因果関係は不明であるとされた。このようなことでよろしいでしょうか。何かあれば、お声をあげていただけたらと思います。
ありがとうございます。それでは、この内容を踏まえて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうかということで、御意見はいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、御審議いただいたワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。以上で、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜの各ワクチンの副反応疑いの報告を終了します。
○伊藤(澄)委員 昔、MRワクチンを成人に接種したことがあるのですけれども、2007年ぐらいに。そのときに髄膜炎を発症した人が1,000人とか2,000人に1人ぐらいはいますので、生ワクチンというのは、ある程度、何らかの形で副反応が発症することはあるのだろうと思うのですが、そのときは、もちろん、こんな形の劇症型の糖尿病を発症したことではないのですが、こういうのは、きちんとした形で症例の積み上げをしていく必要があるのだろうと思います。
○森尾委員 伊藤先生、どうもありがとうございました。引き続き、しっかりと症例を把握しつつ、モニターをして、記録していきたいと思います。どうもありがとうございます。それでは、引き続きまして、資料1-5から資料1-8までの説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料1-5から1-8について説明いたします。資料1-5は水痘ワクチンです。接種可能のべ人数は約88万人、製造販売業者からの報告は2件、医療機関からの報告は25件、うち重篤なものが17件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00023%、医療機関からの報告頻度は0.0028%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で医療機関から死亡症例が1例報告されております。2~4ページは症状別に集計した結果で、5ページは予防接種法の副反応報告基準に定められた症状について集計した結果です。6~9ページは個別症例の一覧です。8ページ、医療機関からの報告のNo.16が死亡症例です。10ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はこのような症例はありませんでした。11ページは死亡症例です。No.1は、対象期間前の1歳男児の症例で、資料1-1のMRワクチンで御説明したNo.1の症例と同一の症例ですので説明は省略いたします。No.2は、対象期間内の症例で、1歳5か月男児の症例です。現在は詳細調査中のため、調査結果が得られ次第、改めて御報告いたします。また、確認の不備がございまして申し訳ございません。12ページに白紙がありますが、こちらのページは削除させていただきます。資料1-5については以上となります。
資料1-6は帯状疱疹ワクチンです。接種可能のべ人数は約8千人、製造販売業者からの報告は4件、報告頻度は0.052%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは個別症例の一覧です。4ページはアナフィラキシーのまとめで、今回はそのような症例はありませんでした。
資料1-6は以上となりますが、前回、7月17日の合同会議で報告した帯状疱疹の出荷数量に誤りがあり、資料の訂正について御説明させていただきたいと思います。資料1-27をお願いいたします。これはグラクソ・スミスクライン社において、前回会議で出荷量を報告する際、見込みの数量を報告していたことが判明したことによります。なお、今回報告する資料の対象期間においては、確定した数量での報告であることを確認しております。誤りの修正によって、7月17日に報告した資料6の「帯状疱疹の副反応疑い報告状況」につきましては、令和2年1月1日から令和2年4月30日までの接種可能のべ人数が2,913人から2,491人になり、製造販売業者からの報告頻度は0.069%から0.080%となります。委員の先生方には御迷惑をおかけいたしますこと、大変申し訳ございません。こちらの数字の訂正につきましては、既に先生方に御報告させていただいておりますが、改めて安全性について御評価いただきますようお願い申し上げます。
それでは、資料1-7に戻りまして、不活化A型肝炎ワクチンをお願いいたします。接種可能のべ人数は約2万人、医療機関からの報告は重篤が1件、報告頻度は0.0040%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例と死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは個別症例の一覧です。4ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして1件報告され、専門家の評価によるブライトン分類が3以上と評価されています。症例の詳細な経過は5ページに記載しております。24歳男性、潰瘍性大腸炎、IgA腎症を基礎疾患に有する症例で、A型肝炎ワクチン・髄膜炎菌ワクチン接種5分後にアナフィラキシーが発現、エピネフリン投与により症状が改善した症例です。専門家による評価の結果、ブライトン分類3以上のアナフィラキシー症例で、ワクチン接種との因果関係は否定できないと評価されております。資料1-7は以上です。
資料1-8は23価肺炎球菌ワクチンです。接種可能のべ人数は約84万人、製造販売業者からの報告は28件、医療機関からの報告は54件、うち重篤なものが11件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0033%、医療機関からの報告頻度は0.0064%となっております。また、肺炎球菌ワクチンに関しましては、薬効欠如などのワクチンの副反応ではないと考えられる症状が報告されていることについて、これまでの合同会議でも御指摘いただいており、うち数として、肺炎球菌感染、肺炎等を除いた件数も示しております。今回の対象期間では、製造販売業者から肺炎関連の症例の報告があり、これらを除くと製造販売業者からの報告数は16件となります。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で、製造販売業者からの死亡症例が3例、医療機関からの後遺症症例が1例報告されております。2~8ページは症状別に集計した結果です。左側に★を付けている症状は、1ページで「うち数」として集計する際に除外したものになります。9ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。10~14ページは個別症例の一覧です。10ページの製造販売業者からの報告のNo.16、No.18、No.19が死亡症例です。なお、詳細情報の不明な症例が多数ございますが、多くは患者本人や関係者からの報告のため、医療機関の報告として特定できなかったり、医療機関の協力が得られず、詳細調査ができない症例となっています。医療機関の重篤報告のNo.1が後遺症症例になります。15ページにその後遺症症例があります。75歳女性、脂質異常症の基礎疾患を有する女性で、2020年2月に肺炎球菌ワクチン接種後、注射部位を中心とした発赤、腫脹を認め、「後遺症あり」とされた症例です。専門家の意見は、ワクチン接種との因果関係は否定できないなどとされています。16ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。17ページからは死亡症例についてです。18ページ以降に調査結果や専門家の意見を添付しておりますので、併せて御確認ください。今回、対象期間内に肺炎以外の症状で3例報告されています。No.1の87歳男性の症例、No.2の83歳女性の症例、No.3の80歳代女性の症例、いずれも医療機関が特定できず、詳細調査による情報が入手できないため、調査結果は「情報不足のため、ワクチン接種との因果関係は評価できない」とされています。資料1-8は以上です。資料1-5から1-8の御説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森尾委員 ただいまの資料1-5から1-8、1-27の事務局の説明につきまして、何か御意見、御質問がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、内容をまとめたいと思います。これまで確認できました内容として、副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高いことはない。後遺症の報告は、23価肺炎球菌ワクチンの単独接種で1例あり、ワクチン接種との因果関係は否定できないとされた。アナフィラキシーと評価された症例は、A型肝炎ワクチンの症例で1例ありました。死亡症例は今回の集計対象期間内に、水痘・4種混合ワクチンの同時接種で1例、23価肺炎球菌ワクチンで3例報告されました。水痘・4種混合ワクチンの同時接種症例は現在、詳細情報を調査中であり、次回以降に改めて報告される予定です。23価肺炎球菌ワクチンの3症例は情報が不足しておりますために、ワクチン接種と死亡との因果関係は評価できないとされました。対象期間前のMRワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチンの同時接種症例で詳細調査の結果が報告され、ワクチン接種との因果関係は不明であるとされたということですが、よろしいでしょうか。
それでは、この内容を踏まえて、現状の取扱いは変更の必要なしということでよろしいでしょうか。
御審議いただきましたワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念が認められないという評価とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。水痘、帯状疱疹、A型肝炎、肺炎球菌の各ワクチンの副反応疑い報告は終了させていただきます。
それでは引き続きまして、資料1-9と1-10の説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-9はサーバリックスです。接種可能のべ人数は5,832人で、製造販売業者からの報告が2件、医療機関から重篤2件の報告があり、いずれも報告頻度は0.034%となっております。なお、販売開始からの累計は「参考」としてその下に記載しております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の報告対象期間に後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~10ページは症状別に集計した結果です。11ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しております。12~13ページは報告された個別症例の一覧です。14ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症状はありませんでした。15ページは接種後の迷走神経反射が疑われる症例でのアナフィラキシーの可能性について評価した資料です。下段の表のとおり、迷走神経反射が疑われる症例が2例ありましたが、ブライトン分類3以上として、アナフィラキシーが疑われる症例はありませんでした。資料1-9は以上です。
資料1-10はガーダシルです。接種可能のべ人数は5万910人です。製造販売業者からの報告は3件、医療機関からの報告は重篤1件です。製造販売業者からの報告頻度は0.0059%、医療機関からの報告頻度は、0.0020%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の報告対象期間に後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~7ページは症状別に集計した結果です。8ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計をした結果を記載しております。9~10ページは報告された個別症例の一覧になります。製造販売業者からの報告No.2及びNo.3は、医療機関からの協力が得られず、詳細調査ができなかったために情報不明となっています。11ページは後遺症症例となります。対象期間前に報告された14歳女性、季節性アレルギーを基礎疾患に有する症例です。2012年8月にHPVワクチンを接種、同年に蜂巣炎、関節痛、脱力感が発現し、関節痛、脱力感については回復したが、後遺症ありとなった症例です。専門家の評価の結果、ワクチンとの因果関係は情報不十分のため、因果関係について評価困難であるなどとされています。12ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。13ページは接種後の迷走神経反射が疑われる症例でのアナフィラキシーの可能性について評価した資料です。下段の表のとおり、迷走神経反射が疑われる症例は2例ありましたが、ブライトン分類3以上としてアナフィラキシーが疑われる症例はありませんでした。なお、こちらの資料につきましては、7月17日の合同会議において、原則年1回の報告とした企業提供の失神関連の副反応資料に関連する資料として、同じ整理とさせていただき、新たなシグナルが認められる場合は、頻度によらず審議することとしたいと考えております。資料1-9及び1-10につきましては以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○森尾委員 ただいまの説明について、何か御質問、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、これまでに議論された内容をまとめさせていただきますと、全体の傾向として、これまでの報告と大きな変化はないと考えられるということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。この内容を踏まえまして、現状の取扱いを変更する必要は特段にないということでよろしいですか。
それでは、御審議いただきましたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において現状の取扱いを変更する新たな懸念は認められないという評価としてまとめさせていただきたいと思います。ありがとうございました。これでHPVワクチンの副反応疑い報告を終了させていただきます。
続きまして、資料1-11から1-16までの説明を事務局からお願いいたします。
○事務局 資料1-11から16までについて説明いたします。百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ関連のワクチンとなります。
資料1-11をご覧ください。DPTワクチンです。接種可能のべ人数は約2万人、製造販売業者からの報告は1件、報告頻度は0.0064%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰等の情報につきまして、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4ページは報告された個別症例の一覧です。4ページの欄外に「注」として記載しておりますが、No.1の症例の同時接種ワクチンとして、3種混合ワクチンが記載されている部分につきましては、対象期間後の11月9日の追加報告によって、4種混合ワクチンであることが訂正報告されておりますので、御報告いたします。5ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。資料1-11は以上です。
資料1-12はDTワクチンです。接種可能のべ人数は約53万人、製造販売業者からの報告は1件、医療機関からの報告は非重篤7件でした。製造販売業者からの報告頻度は、0.00019%、医療機関からの報告頻度は0.0013%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症例について集計結果です。4ページから5ページは個別症例の一覧です。6ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして1件報告され、専門家の評価により、ブライトン分類が3以上と評価されております。症例の詳細な経過は7ページに記載しております。12歳男性の症例で、DTワクチン接種3分後にアナフィラキシー症状を発症、アドレナリン・ステロイドの投与によって症状が改善した症例です。専門家の評価による結果、ブライトン分類3以上のアナフィラキシー症例で、ワクチン接種との因果関係は否定できないとされています。資料1-12は以上です。
資料1-13のジフテリアトキソイドにつきましては、対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからも報告はございませんでしたので、説明は省略いたします。
続いて資料1-14をご覧ください。破傷風トキソイドです。接種可能のべ人数は約19万人、医療機関から非重篤の報告は1件、報告頻度は0.00053%となっています。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。4ページは個別症例の一覧です。5ページはアナフィラキシーのまとめです。今回はそのような症例はありませんでした。資料1-14は以上です。
資料1-15の不活化ポリオワクチンにつきましても、対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからも報告はありませんでしたので、説明は省略いたします。
続いて資料1-16、4種混合ワクチンをご覧ください。接種可能のべ人数は約87万人、製造販売業者からの報告は7件、医療機関からの報告は24件、うち重篤なものが13件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00081%、医療機関からの報告頻度は0.0028%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の対象期間内で医療機関から死亡症例が1例報告されております。2~4ページは症状別に集計した結果、5ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。6~9ページは個別症例の一覧です。製造販売業者からの報告、No.1、No.2、No.3はいずれも同一文献による症例に基づく報告ですが、No.2については継続調査中、No.3については対象期間後に当該ワクチンでないことを確認し、報告取り下げとなっております。医療機関からの報告No.2が死亡症例です。10ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして1件報告されましたが、専門家の評価によりブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過は11ページに記載しております。12ページは死亡症例です。No.1は対象期間内1歳5か月男児の症例で、資料1-5の水痘ワクチンで御説明したNo.2と同一の症例ですので、説明は省略いたします。資料1-11から1-16までの御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森尾委員 ありがとうございます。ただいまの事務局の説明につきまして御質問、御意見がありましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これまで議論された内容をまとめさせていただきます。確認できた内容といたしましては、副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高いことはない。アナフィラキシーと評価された症例は、DTワクチンの症例で1例であった。死亡症例は、対象期間内に水痘・4種混合ワクチンの同時接種で1例報告された。現在、詳細情報を調査中であり、次回以降に改めて報告される予定です。このような形でよろしいでしょうか。死亡症例は先ほどもありましたように、水痘で紹介された症例です。この内容を含め、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見がありましたら承りたいと思いますが、よろしいですか。
ありがとうございます。それでは、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。資料1-11から資料1-16は以上で終了させていただきます。続きまして、資料1-17から資料1-19までの説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-17から資料1-19について御説明いたします。
資料1-17をご覧ください。7価肺炎球菌ワクチンです。本剤は、平成25年10月27日に販売を終了しております。今回、製造販売業者から1例報告されましたが、対象期間後の追加報で本剤との因果関係が否定され、本報告は取り下げられております。なお、資料1-18の13価肺炎球菌ワクチンの製造販売業者からの報告No.1と同一の症例となります。
資料1-18をご覧ください。13価肺炎球菌ワクチンです。接種可能のべ人数は約89万人、製造販売業者からの報告は19件、医療機関からの報告は24件、うち重篤なものは18件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0021%、医療機関からの報告頻度は0.0027%となっております。23価肺炎球菌ワクチンと同様に、今回の対象期間では製造販売業者から肺炎、予防接種の効果不良等の症例が報告されており、これらを除くと製造販売業者の報告数は15件となります。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。また、6か月間の死亡症例の報告頻度は0から0.06となっており、この数値は急ぎの検討が必要とされる0.5を下回っております。2~6ページは、症状別に集計した結果です。こちらの表で左側に★を付けている症状が、1ページで「うち数」として集計する際に除外したものとなります。7ページは、予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。8~11ページは個別症例の一覧です。8ページの製造販売業者からの報告No.1は、先ほどの資料1-17の7価肺炎球菌ワクチンの症例と同一の症例となります。転帰不明となっておりますが、現在、再調査を行っております。No.8、No.16、No.17、No.18は、資料1-16の4種混合ワクチンで御説明した文献由来の症例と同一のものです。13ページは、アナフィラキシーのまとめです。対象期間内に1件報告されましたが、専門家の評価により、ブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過は、14ページ以降に記載しております。15ページは死亡症例です。いずれも対象期間後の症例であり、現在は詳細調査中のため調査結果が得られ次第、改めて報告いたします。なお、これら3症例を含む令和2年6月から11月までの6か月間の死亡症例の報告頻度は0.17であり、急ぎの検討が必要とされる目安の0.5は下回っております。資料1-18は以上です。
資料1-19をご覧ください。ヒブワクチンです。接種可能のべ人数は約85万人、製造販売業者からの報告は14件、医療機関からの報告は30件、うち重篤なものが23件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0016%、医療機関からの報告頻度は0.0035%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。また、6か月間の死亡症例の報告頻度は0であり、急ぎの検討が必要とされる0.5を下回っております。2~5ページは、症状別に集計した結果です。6ページは、予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。7~11ページは個別症例の一覧です。12ページは、アナフィラキシーのまとめです。対象期間内に1件報告されましたが、専門家の評価によりブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過は、13ページ以降に記載しております。14ページは、死亡症例です。いずれも資料1-18の13価肺炎球菌ワクチンで御説明した対象期間後の症例と同一であり、現在は詳細調査中のため調査結果が得られ次第、改めて御報告いたします。また、これら3症例を含む令和2年6月から11月の6か月間の死亡症例の報告頻度は0.17であり、急ぎの検討が必要とされる目安の0.5は下回っております。資料1-17から資料1-19の御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森尾委員 それでは、ただいまの事務局の説明に対して御質問、御意見がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、これまで議論された内容をまとめさせていただきます。副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高いことはなかった。死亡症例は、対象期間内に報告はなかった。対象期間後に13価肺炎球菌、ヒブ、B型肝炎、ロタウイルスワクチンの同時接種症例で3例報告されましたが、いずれの症例も詳細情報を調査中であり、次回以降に改めて報告される予定です。なお、13価肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの6か月における死亡例の報告頻度は、いずれのワクチンも、急いで検討が必要とされる10万接種当たり0.5を下回っていました。以上のようなことでよろしいでしょうか。
それでは、この内容を踏まえて現状の取扱いを変更する必要はないということで、よろしいでしょうか。それでは、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
引き続き、資料1-20から資料1-25までの説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-20をご覧ください。BCGワクチンです。接種可能のべ人数は約19万人、製造販売業者からの報告は5件、医療機関からの報告は19件、うち重篤なものは4件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0026%、医療機関からの報告頻度は0.0098%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果、3ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。4~6ページは個別症例の一覧です。4ページの製造販売業者からの報告No.1、No.3、No.4については、自治体からの照会により情報を入手した症例であり、医療機関の情報が得られず、これ以上の調査ができず、詳細情報が不明となっております。7ページは後遺症症例です。対象期間前の1歳女性の症例で、2017年3月にBCGワクチンを接種、接種1年4か月後に右肘腫脹が出現、2018年8月に肘部嚢胞液から抗酸菌が検出され、M.bovisによる右上腕骨骨髄炎と確定診断され、骨結核が後遺症ありとされています。専門家の評価の結果、ワクチン接種との因果関係は否定できないなどとされています。8ページは、アナフィラキシーのまとめです。今回は、そのような症例はありませんでした。資料1-20は以上です。
資料1-21は、日本脳炎ワクチンです。接種可能のべ人数は約131万人、製造販売業者からの報告は6件、医療機関からの報告は15件、うち重篤なものは6件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00046%、医療機関からの報告頻度は0.0011%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~3ページは症状別に集計した結果、4ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。5~7ページは個別症例の一覧です。5ページの製造販売業者からの報告No.4の症例は、接種30分後に自分の体を叩く等の異常行動が見られた症例で、数日の経過で興奮・自傷行為については回復しています。8ページはアナフィラキシーのまとめです。今回は、そのような症例はありませんでした。資料1-21は以上です。
資料1-22は、B型肝炎ワクチンです。接種可能のべ人数は約142万人、製造販売業者からの報告は12件、医療機関からの報告は16件、うち重篤なものが9件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00085%、医療機関からの報告頻度は0.0011%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~4ページは症状別に集計した結果で、5ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。6~9ページは、個別症例の一覧です。10ページは、アナフィラキシーのまとめです。対象期間内に3件報告されましたが、専門家の評価によりブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過は11ページに記載しています。12ページは死亡症例です。いずれも資料1-18の13価肺炎球菌ワクチンで御説明した対象期間後の症例と同一であり、現在は詳細調査中のため調査結果が得られ次第、改めて御報告いたします。資料1-22は以上です。
資料1-23は、ロタウイルスワクチンです。接種可能のべ人数は約29万人、製造販売業者からの報告は27件、医療機関からの報告は重篤7件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0094%、医療機関からの報告頻度は0.0024%となっております。1ページ下段の重篤例について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~5ページは症状別に集計した結果です。6~7ページは個別症例の一覧で、6ページの製造販売業者からの報告で転帰不明の症例が多数ありますが、多くは現在調査中、あるいは医療関係者の協力が得られず調査できない症例です。8ページは、アナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして1件報告されましたが、専門家の評価によりブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過は、9ページに記載しております。10ページは死亡症例です。対象期間前のNo.1の1歳男児の症例については、一番右側のカラム、平成31年1月16日の合同会議当時、対象期間後の症例として速報的に報告した症例ですが、その後、因果関係が否定され、一度、報告対象外となりました。さらに、その後の追加報で因果関係不明として再度、審議対象となる症例です。1歳男児、21トリソミー等を基礎疾患に持つ症例で、ロタウイルスワクチン接種272日後に嘔吐、274日後に急性胃腸炎による脱水を伴う循環血液量減少性ショックと診断されて緊急入院し、接種278日後に死亡した症例です。調査の結果、接種277日後に採取された便検体を用いた追加検査の結果から、ロタウイルス(野生株)あるいはノロウイルス罹患により発現した症状が重症化し、死亡したと考えられ、ワクチン接種と死亡との因果関係は否定的であるとしています。対象期間後のNo.2からNo.4の症例は、いずれも資料1-18の13価肺炎球菌ワクチンで御説明した対象期間後の症例と同一ですので、説明は省略いたします。資料1-23は以上です。
資料1-24は、5価のロタウイルスワクチンです。接種可能のべ人数は約21万人、製造販売業者からの報告は7件、医療機関からの報告は3件、うち重篤なものは2件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0034%、医療機関からの報告頻度は0.0014%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、今回の集計対象期間内で後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2~3ページは症状別に集計した結果です。4~6ページは個別症例の一覧です。7ページは、アナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして1件報告されましたが、専門家の評価によりブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過は8ページに記載しております。9ページは死亡症例です。こちらは資料1-18の13価肺炎球菌ワクチンで御説明した対象期間後の症例No.3と同一ですので、詳細な説明は省略させていただきます。資料1-24は以上です。
続いて資料1-25をご覧ください。ロタウイルスワクチンによる腸重積の発生状況について、これまでの会議と同様に、製造販売業者であるグラクソ・スミスクライン社、MSD社より資料の提供を受けております。まず資料の2ページですが、こちらはグラクソ・スミスクライン社のロタリックスについての腸重積報告症例数、ブライトン分類評価が1に該当する症例数等を、左側の列に米国、右側の列に日本のデータを記載しております。3ページでは、ブライトン分類1相当の症例のうち、入院、外科手術、腸切除など、実施された処置ごとに件数をまとめたものです。4ページのグラフは、接種から腸重積発現までの日数をまとめたもので、左側が米国、右側が日本、上の段が接種1回目、下の段が接種2回目としてまとめております。5ページのグラフは、腸重積発現時週齢をまとめたグラフです。6ページのグラフは、ワクチン接種21日目までに腸重積を発現した症例について、ワクチン接種時の週齢でまとめたグラフです。7ページ以降は、MSD社のロタテックについて、ロタリックスと同様にまとめた資料です。資料の構成は、ただいま御説明したロタリックスと同様ですので、詳細は省略いたします。資料1-20から資料1-25の御説明は以上です。
説明は以上ですが、資料の訂正についてもう一点、御説明させていただきたいと思います。本日の資料1-7を御確認ください。確認不備があり、申し訳ございません。1ページの中段の表ですが、医療機関からの報告の全体の報告1に対して報告頻度が0.0040%となっておりますけれども、うち重篤、右側の欄の部分が報告1に対して下段のパーセンテージが0になっております。表示のミスがあり、こちらも0.0040%となります。併せて訂正させていただきます。申し訳ございません。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森尾委員 事務局からの説明について、御意見、御質問を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。倉根委員、どうぞ。
○倉根委員 資料1-23のロタウイルスワクチンの6ページなのですが、ここのNo.19だと思うのですけれども、乳幼児という年齢でいきますと、症状名の所に咽頭異物と書いてあるのではないかと思うのです。小さくて見えづらいのですが、咽頭異物と。これは、ワクチンを接種したときに誤ってやったのか、余り詳しいことは分からないのかなと思うのですが、咽頭異物というのは有害事象として何が起こったのか、分かれば教えてください。なかなか難しいので、報告がなければ分からないのだと思いますが。
○森尾委員 ありがとうございます。No.19の咽頭異物についてですが、事務局、もし情報がありましたらお願いいたします。
○事務局 倉根先生、御質問いただきましてありがとうございます。本症例は、医療関係者の協力が得られず詳細が不明の症例ではありますけれども、症例票を確認いたしますと、入手した情報の中で、「たまに喉に残っている感じがする」とあります。接種後のことだと思うのですが、咽頭内に薬液が残留したというところから、こういった症状名で報告されているものになりますけれども、それ以上の詳細に関しては協力が得られず、調査不明という状況です。
○倉根委員 分かりました。そういうことですね。
○森尾委員 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○多屋委員 1つ教えてください。ロタウイルスワクチンの腸重積症のまとめなのですが、ページ数でいきますと、6/12ページです。1回目の腸重積症の頻度が2回目よりも高いと言われています。1回目と2回目は最低4週間以上あけるのがロタウイルスワクチンですが、8週、9週で2回目を接種するということは、最低でも6週間からしか受けられないワクチンなので、2回目のオレンジの棒グラフは1回目が混ざっているのではないかなと思われるのですが、いかがでしょうか。
○森尾委員 事務局、もし情報がありましたらお願いいたします。
○事務局 多屋先生、御質問、御指摘いただきありがとうございます。グラクソ・スミスクライン社に、このグラフについて改めて確認させていただきたいと思いますが、恐らく何らかの数字の表記がずれているものと思われます。訂正がある場合は、次回の会議で改めて御報告させていただきます。よろしくお願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございました。
○森尾委員 御指摘ありがとうございました。これは、ロタテックだとありませんものね。調査をよろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。
それでは、議論をまとめさせていただきます。副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高いことはなかった。日本脳炎ワクチンでADEMの可能性のある症例は対象期間内にはありませんでした。後遺症の報告も対象期間内の報告はございませんでした。対象期間前に、BCGワクチンの単独接種で1例あり、ワクチン接種との因果関係は否定できないとされました。死亡症例は、今回の集計対象期間内には報告はありませんでした。対象期間前のロタワクチンの単独接種症例で詳細調査の結果が報告され、ワクチン接種との因果関係は否定的であるとされました。また、対象期間後に13価肺炎球菌・ヒブ・B型肝炎・ロタウイルスワクチンの同時接種症例で3例報告されましたが、いずれの症例も詳細情報を調査中ですので、次回以降に改めて報告される予定です。
この内容について、現状の取扱いを変更する必要があるかどうかについて御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。では、ロタリックスの調査のほうは、事務局、よろしくお願いいたします。
それでは、御審議いただいたワクチンについて、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。以上で資料1-20から資料1-25を終了させていただきます。審議事項は以上ですが、事務局から報告事項がありますので、説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、事務局より資料2について御説明いたします。これまで各ワクチンの副反応疑い報告について、合同会議へ報告する資料の作成に関するルールとしましては、参考資料1にもあります平成31年6月28日の合同会議資料17において、標準的な取扱いを示しております。それ以降にも先生方から頂いた御意見を踏まえ、会議資料の作成方針について資料2に示すとおり定めることとしたいと考えております。
1つ目は審議対象ワクチン及び報告期間についてです。これまでは平成25年9月の合同会議において示した方針に基づいて、審議対象ワクチンを2つのグループに分けて交互に審議を行ってまいりました。今般、令和2年10月1日に注射生ワクチンどうしを接種する場合を除き、異なるワクチン間の接種間隔が見直されたことに伴い、副反応疑い報告状況の全体像を捉えやすくする観点から、1の(1)に示した4つのワクチン及びインフルエンザワクチンを除く全ての審議対象ワクチンについて、3か月の同一報告期間にて審議することとしたいと考えております。なお、インフルエンザワクチンにつきましては、従前どおりシーズンに合わせて報告いたします。
ページをめくっていただき、2つ目は資料作成方針についてです。2の(1)後遺症・急性散在性脳脊髄炎(ADEM)/ギランバレー症候群(GBS)・アナフィラキシー・死亡に該当する症例につきましては症例の詳細経過を示して審議いただいておりますが、症例の全体数を把握しやすくする観点から、今後は各ワクチン資料の説明の中で都度示して審議するのではなく、全てのワクチン共通で資料を作成し、審議することとしたいと考えております。
これらの詳細資料におきましては、専門家に評価いただき、その意見を示しておりますが、今後新型コロナウイルスワクチンの接種が開始された場合に、比較的短期間に多数の副反応疑い症例が報告される可能性があります。この専門家の評価を客観的なものとするとともに、合同会議の審議に必要な情報を盛り込みつつ記載の効率化を図る目的で、クライテリアを設定した評価記号を導入したいと考えております。
クライテリアはα・β・γの3段階とし、それぞれ、αは「ワクチン接種が事象発現の原因となったことが否定できない症例」、βは「ワクチン接種が事象発現の原因となったとは認められない症例」、γは情報が十分でない、使用目的又は方法が適正でない等のため「ワクチン接種と事象発現との因果関係の評価ができない症例」と設定しております。
資料2の記載は以上となりますが、大きなルールの変更点について示しております。審議に必要な情報を盛り込みつつ記載の効率化を図る観点で、各ワクチン資料ページの細かな記載整備についても委員の先生方に御意見を伺いながら進めたいと考えております。事務局からの報告は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森尾委員 ありがとうございます。合同会議へ報告する資料の作成に関するルールで、追加ルールということで幾つかの点を御説明いただきました。委員の皆様から御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。濱田委員、どうぞ。
○濱田委員 最初の所に、いわゆる渡航者用のワクチンは使用量も少ないので、この審議会での対象外とすると書かれていますが、例えば今回のA型肝炎ワクチンでアナフィラキシーを起こした例というのは、我々、渡航者用ワクチンを扱う人間からしてみると非常に重要な事例であるわけです。では、こういった渡航者用ワクチンはどこが扱うのですか。例えば髄膜炎菌ワクチンにしても、我々はかなりよく使っていますし、A型肝炎ワクチンというのは毎日何十人と打っているわけですが、こういうのを全く会議で取り扱わないということになると、それに関する対応はどこがしていただけるのかを伺いたいと思います。
○森尾委員 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○事務局 通常、副反応が報告された内容につきましては、PMDAで日常的に随時、報告された内容に関して評価検討を行っており、必要な対応を取らせていただいております。審議対象外ワクチンとはしていますが、重大な症例等がございましたら、こちらの合同会議においても検討いただくことも含めて考慮させていただきたいと思います。
○森尾委員 濱田委員、いかがでしょうか。
○濱田委員 ということは、ルーチンとして、この会議では取り上げないという理解で、それ以外はPMDAのほうで常時、目を光らせていただき、何か必要な場合にはこの会議にも出すという理解で、よろしいのでしょうか。
○事務局 濱田先生、ありがとうございます。そのような理解でございます。
○濱田委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾委員 ありがとうございます。ほかに委員の皆様から、いかがでしょうか。倉根委員、お願いいたします。
○倉根委員 本質的なことではないですが、グレードに応じてα・β・γでやるとおっしゃったと思いますが、α・β・γというのは使う頻度も多くないし、イメージとして湧きづらくないかなという気がしたので。各委員の先生のお考えもといいますか、慣れてくれば恐らくいいのかなとは思いますが、あまりα・β・γを使うことがないのでイメージしづらいように感じたものですから。何か特別な理由があればα・β・γでも構いませんけれども、ほかにはないのだろうかと思った次第です。
○森尾委員 ありがとうございます。α・β・γと内容が一致しないというか、感覚的に一致しないのではないかという御意見です。事務局、いかがでしょうか。
○事務局 倉根先生、御意見を頂きありがとうございます。こちらのクライテリアに設定した評価記号についてですが、基本的にPMDAのほうで死亡症例を評価する際の評価記号が公表されておりまして、それがクライテリアごとにA、B、Cで付けられております。それに準じてこの評価記号もワクチンと症状名に合わせて記載させていただいているのですが、全く同じA、B、Cにしてしまうとそちらと混同する可能性があります。先生方にとっては、A、B、Cのほうが順位付けとして馴染みのある記号であるということはあるのですが、混同しないように、あえてA、B、Cではないものにしているということが背景にございます。少し馴染みのない記号ではありますが、そういった背景を御理解いただけますと幸いです。
○倉根委員 そうすると、分かりました。PMDAと被らないようにということですね。
○森尾委員 α・β・γに、皆さん、慣れていただくということかと思います。
○倉根委員 分かりました。
○森尾委員 ありがとうございます。ほかに委員の皆様から、いかがでしょうか。それでは、今後、資料作成は新しいものになりますけれども、このルールに従って資料の作成を行っていただき、審議対象ワクチンにつきましては、全てを3か月ごとに審議させていただくことにしたいと思います。ありがとうございました。続きまして、新型コロナウイルスワクチンの副反応の収集・評価について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料3をご覧ください。新型コロナウイルスワクチンの副反応の収集・評価について御説明させていただきます。
2ページ目をご覧ください。新型コロナワクチンの開発・承認状況についてですが、国内・海外の様々な主体が実用化を目指して取り組んでいます。現在、メッセンジャーRNAワクチンやウイルスベクターワクチンなど、新たな手法によるワクチンの開発が先行していますが、不活化ワクチンや生ワクチンなどの開発も並行して行われています。海外の大手製薬企業が開発したもので、一部、海外で緊急的な使用が認められたものもあります。一方、国内においては、研究開発・生産体制整備について国が支援を行っています。
3ページ目をご覧ください。現在、分かっているワクチンの安全性や有効性についてですが、一部の海外で開発されたワクチンについては、第3相の臨床試験の中間的な結果が発表されております。有効性については、いわゆる発症予防効果があったと報告されています。一方で、感染予防効果については明確には分かっていない状況です。安全性については、重大な安全性の懸念は認められなかったとされています。一方で、接種部位の腫れや頭痛、疲労感などの有害事象は一定の数で見られたとされています。また、小児や妊婦に関しての十分なデータは、まだそろっていない状況です。
4ページ目、海外で開発されたワクチンについて日本国内でも承認申請が行われたものがございます。今後、国内外の臨床試験の結果等を踏まえて、承認審査が行われるものと考えられます。海外で開発されたワクチンの確保に関する取組ということでお示していますが、正式契約を締結したものとしては、モデルナ社、アストラゼネカ社があります。また、協議・合意が公表されているものとして、ファイザー社があります。また、国内生産が計画されているものについて、ノババックス社のワクチンについては武田薬品工業が提携して国内で生産予定となっています。
5ページ目をご覧ください。こちらには12月9日に公布された予防接種法の一部を改正する法律が記載されています。今回の新型コロナウイルス感染症に係るワクチンについては、予防接種法の臨時接種として行われることとなりました。
6ページ目をご覧ください。こちらには新型コロナウイルスワクチンに係る予防接種が、どのような事業として行われるかが記載されております。左側ですが、実施体制として市町村長が実施主体となり、厚生労働大臣が都道府県知事を通じて市町村長に指示いたします。接種勧奨・努力義務を設けることとなっていますが、政令で、勧奨・努力義務を適用除外できる旨の特例を規定しています。費用負担については全額国庫負担、自己負担はありません。また、健康被害救済安全対策についても、予防接種法上のものとして行われることになります。
7ページをご覧ください。こちらには国、都道府県、市町村が、どのような役割で新型コロナウイルスワクチン接種の実施を行うかが記載されています。
8ページ目以降が副反応に関する情報になります。8ページをご覧ください。新型コロナウイルスワクチンは、予防接種法上の接種(臨時接種)として実施されることになりましたので、通常の定期接種と同様の副反応の集計・評価が行われます。今回、これらに加えて先行接種者の調査や審議体制の強化等を行います。左の薄い緑で囲っているものは、通常の定期接種ワクチンに対する体制です。収集体制としては、副反応疑い報告制度や予防接種後健康状況調査、また、評価体制としまして本合同会議、厚労省・感染研・PMDAでのリアルタイムのモニタリング等があります。一方、右側の水色で囲っているものは今回の体制強化で行うものです。副反応疑い報告制度については、情報処理に関する体制の強化を図ったり、報告システムの電子化を導入したりします。また、予防接種後の健康状況調査については、電子化の導入によって、より幅広い対象者に実施できるよう検討しています。また、通常は行わないようなことになりますが、2009年のインフルエンザ・パンデミックワクチンについて行ったように、先行接種者健康調査を行うことを計画しています。これについては先行的に接種を受ける被接種者に対して、健康状況のフォローアップを行うことを考えています。また、評価体制としましては、本合同会議を通常より高頻度に実施することや、必要がある際には緊急時にも開催できる体制を整えることとしています。
9ページ目をご覧ください。こちらは通常の副反応疑い報告制度における報告と評価の流れが記載されています。医療機関からPMDAに報告があった後、PMDAで情報整理・調査等を行い、その情報を厚労省と共有し、本会議での評価を得て、必要時は必要な措置を行うとされています。
10ページ目をご覧ください。こちらに副反応疑い報告に加えて実施される調査の内容が載っています。被接種者に対して、接種後の健康状況の調査を実施します。調査対象の全員から報告を求めることによって、接種後に生じる症状を漏れなく把握し、発生率等も算出できるような調査を行います。これらについては、先行接種者の健康調査や製造販売後調査を企業で行うことになります。また、接種後の健康状況調査は国で実施するといった形の調査を行う予定です。
最後に、11ページ目をご覧ください。こちらは新型コロナウイルスワクチンの接種に関して、どのような体制で審議が行われていくかということが記載されています。副反応に関しては、この副反応検討部会で審議することになりますので、よろしくお願いいたします。以降、参考資料として、現在分かっている副反応の状況や、ワクチンの開発状況等が記されています。以上です。よろしくお願いいたします。
○森尾委員 御説明をありがとうございました。新型コロナウイルスワクチンについて、ワクチンの開発・承認状況や特徴、そして副反応の収集・評価体制について御説明いただきました。今、御説明いただいた資料の8ページの下とか、11ページに記載されていますけれども、実際に接種が始まりますと、本会議で審議されていくことになると思います。全体的な方針について、御質問や御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○長谷川委員 よろしいでしょうか。
○森尾委員 長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 先ほどの資料の中で、6月末までにメッセンジャーRNAワクチン、1億2,000万ドースを輸入するということがあります。1億2,000万ドースを6月末までに輸入して、これは消費期限というか使用期限は長くないと思いますが、どれぐらいの期間で、この1億2,000万ドースを全て打つ予定になっているのか。そうなった場合、副反応としてもかなり多くなると思いますが、そこら辺の対応はどのようになっているのかを教えていただけますか。
○森尾委員 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 ファイザー社の6,000万人分、1億2,000万ドースを具体的に、いつ、どれぐらいということについては協議中ですので、確たる数字というのはまだ決まっていません。それから、保管の方法については、ディープフリーザーを確保していくということで、これも今、4,000台を各市町村等に配布することまでは、めどが立っていますけれども、これについても更にいろいろな調整を行っていますので、もしその時点で余っているものがどうなるかということであると、そういった冷凍での保管といったことで少し下りていくことになるかと思います。
○森尾委員 長谷川委員、いかがでしょうか。
○長谷川委員 ありがとうございます。もう1点、努力義務について記載されていますけれども、努力義務というのはどれぐらいの拘束力があるものなのでしょうか。
○森尾委員 お願いいたします。
○事務局 努力義務というのは義務ではないということでございます。予防接種法の歴史の中で、もともと罰則付きの義務、そして罰則なしの義務であった時代がありますけれども、現在は義務ではないということで、それでも公衆衛生上、皆さんにできるだけ打っていただくという意味では努力義務が掛かっているという認識でございます。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○森尾委員 濱田委員、倉根委員、続いて御質問いただきます。まず、濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 2点伺いたいのですが、1つは、今回、候補に挙がっているメッセンジャーRNAワクチン、あるいはベクターワクチンがありますけれども、これは法制上、生ワクチンとして扱うのか、不活化ワクチンとして扱うのか、その辺はもう決まっているのでしょうか。メッセンジャーRNAワクチンはワクチンと言えるかどうかというものもありますけれども、ベクターワクチンに関しては増殖型ではないと理解しているので、不活化ワクチン扱いなのか。その辺をひとつ伺いたいのです。もう1点は、今回のコロナワクチンの場合、長期的な副作用としてADE(Antibody-Dependent Enhancement)の危険性があるわけですが、これは今後、どのように評価をされていくか。この会議で見ていかないといけないところではないかと思うので、その2点について御回答をお願いしたいと思います。
○森尾委員 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 まず、生ワクチンか不活化ワクチンかというのは、予防接種の接種間隔の上で接種後何日間、生ワクチンどうしの場合は28日間の接種間隔を置くとなっていますので、そのこととの関係での御質問かと思います。その規定を置いている趣旨を踏まえて、今回のワクチンがどういう作用かということを、御意見も伺いながら決めていくということだと思います。この会議でということではないのだと思いますが、接種が始まるまでに扱いを決めたいと思います。
○森尾委員 もう1つ、ADEの評価です。
○事務局 ADEの評価につきましては大変関心を持っているところです。この会議でということになるかもしれませんが、原理的には恐らく効果が出ているかどうかという形で評価されてくるものなのではないかと思います。薬効がなくて発症してしまったものと、ADEで重症になってしまったものというのが、なかなか区別なく評価されてくるのだと思います。過去にデング熱のワクチンでしたか、ADEが明らかになっているものについては接種をした方々のほうが、接種をしていない方々よりも、結果的にその病気で入院される方が多かったという形で、ADEが起きていることが分かってきたということだと思いますので、1例1例を評価して、これがADEかどうかということを評価するような性格のものではないと捉えています。いずれにしても、これからいろいろな科学的知見が出ると思いますし、ここで必要に応じて御意見をお伺いすることもあるかもしれませんが、最新の科学的知見を集めていくという姿勢でやっていきたいと思います。
○濱田委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾委員 ありがとうございます。倉根委員、いかがでしょうか。
○倉根委員 8ページの右側の青いカラムの上から2行目に、「情報処理に関する体制の強化」という書き方がされています。具体的には、どこまで決まっているか分かりませんけれども、どういう体制の強化になるのでしょうか。つまり人が増えるというのか、本質的に現在やっているものと違う体制を組むのか、あるいは人が多くなるのか、種々あるかと思いますが、大筋で、どういうふうなものが体制の強化なのでしょうか。
○森尾委員 いかがでしょうか。
○事務局 8ページの体制強化の所ですが、副反応疑い報告制度については、今ある制度を使っていくという意味では変わらないですけれども、件数が増えるとか迅速に評価することをしっかり行うために人員体制の強化を行うことであるとか、今はファックスで報告していただいている所が大半ですが、電子的に入力していただくことで、より迅速にこちらのほうで受け止められるような仕組みも、今、準備しているところです。
予防接種後健康状況調査も、やること自体は変わらないということだと思います。頻度の高い有害事象を評価するために、接種した方々にお願いして、その後の健康状況を報告していただくという内容自体は変わりませんけれども、これも電子化を行うことと、対象者の数を増やすことを考えています。
この評価の体制の所ですが、通常よりも高頻度に審議会を開催するということで、これは先生方にも御負担をおかけするわけですけれども、迅速な評価のためにこういったことをお願いしたいと考えています。
○倉根委員 ありがとうございます。恐らく接種される側の数が非常に多いと予想されるので、体制が本当にそれに耐えうる、それを扱うことに対する十分な体制をとっていただきたいと思います。体制強化の中にいろいろな意味があるのだと思いますが、是非、十分耐え得るような形にしていただきたいと思います。
○森尾委員 倉根委員、ありがとうございます。私から少し、関連することですが、今、副反応疑い報告システムの電子化の導入と、健康状況調査の電子化と書いています。この電子化のシステムの構築状況というのを教えていただけますか。既存の何かを入れていくのか、新たに作っていらっしゃるのか、どうなのでしょうか。
○事務局 前者のほうは、もしPMDA側のほうで御説明いただければ、有り難いです。後者のほうは、今、検討中ですので、まだ具体的なことにはなっていません。
○山田安全監理官(PMDA) 今の御質問ですけれども、PMDAのほうで医療機関からの報告を頂くシステムについて、今、構築中ですけれども、システム自体については間もなく完成をするということで、その後、運用テスト等を経て実用化を目指すという段階にきています。
○森尾委員 うまく徹底して、しっかりしたデータを集められればいいかなと思います。ありがとうございました。ほかに委員の皆様から、いかがでしょうか。舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 先ほどの質問と同じ形ですが、やはり報告システムが気になっていまして、現場としては直接入力をして報告をする形になると思います。日本での接種可能な時期によってですが、今、構築中ということですけれども、現場での周知とか、教育があると思います。どれぐらいのめどで、例えばどういった形でそういったお知らせというものが来るのかというのは、具体的なめどは立たないでしょうか。あと、この審議会の高頻度というのは、ほかの資料でワクチンの副反応の時期とか頻度について諸外国のデータを見ていますけれども、今の3か月に1回の合同会議が、大体、どれぐらいの頻度で開催されるとか、何となくのめどはあるのでしょうか。
○森尾委員 ありがとうございます。1つ目が、システムの導入とか説明会のタイムラインとか、あるいは工程表がどうなっていますか、もし分かればというのが1点目でした。2点目が、この会議はどれぐらいの頻度で開催されるのかという現実的なところです。いかがでしょうか。
○事務局 システムの周知について、具体的な周知の仕方は検討中ですが、御指摘のとおり、できる限り早く作りまして、それを周知させていただきたいと思います。ただ、システムについて、どうしても当初は、いろいろなトラブルがあるかと思いますので、既存のシステムを、同時並行で使いながら徐々に移していくことをやっていきたいと考えています。
それから、この会議については、これも現在、先生方にお願いする状況ですので、具体的にどれぐらいの頻度かというのはまだ決めていませんけれども、最初の頃はなるべく高頻度にやっていくことを含めて、相談させていただきたいと考えています。
○森尾委員 よろしいですか。
○舟越委員 分かりました。できるだけ現場に周知をしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○森尾委員 ありがとうございます。頻度のところは何となくの間隔はありますかね。言っておいたほうがよいような気もしないではないですが。いかがですか。
○事務局 先ほど事務局からお話したとおりです。10年前の新型イのンフルのときには、最初の月に何回か開催した実績があったり、その後は月に1回ぐらい開催をした実績があります。そういったことも参考に、それよりも大きな規模の接種になるということであれば、それよりもということかも分かりませんけれども。いずれにしても、先生方には多大な御負担をおかけするお話になると思いますので、きちんとお願いさせていただきたいと思っています。
○森尾委員 よろしいでしょうか。ありがとうございます。宮川委員から手が挙っていますか。
○宮川委員 よろしいでしょうか。
○森尾委員 はい、お願いいたします。
○宮川委員 今回のワクチンの場合、場合によっては非常に多人数に一気に打たなければいけないことも想定され、かつ短時間で打たなければいけないので、そういう意味では集団接種のような形にならざるを得ないことも考えなければなりません。市町村などにおいても、1つの町村だけでは対処できないことも配慮しなければなりません。それを少し広域での対応にして集団接種的な方向に動かさざるを得ないということになれば、副反応の調査も非常にきめ細かく、一時にやらなければいけないことが想定されます。そしてそれが報告として一挙に上がってくることが予想されるので、そういう体制を早く組むことが重要です。そのような制度設計をしっかりしないと非常に難しいことが起こると思います。体制強化という言葉だけでは賄いきれないことが起こると思いますので、是非、そこのところをよろしくお願い申し上げたいと思います。以上です。
○森尾委員 ありがとうございます。集団接種の体制、そして報告の体制を具体的に是非ということでした。
○事務局 1点だけですが、今回、集団接種でしかできないと皆様方に思われてしまうと、ちょっとあれなので、そこだけ。確かに、1回に配送されるワクチンの数が多いので、通常の医療機関でできる所と、できない所があるということだと思います。集団接種を選ぶ自治体もあると思いますし、また広域連携して複数の自治体でやる所もあると思います。ただ、多くの医療機関に御協力を頂く必要がございますので、そこについては御理解を賜りたいと思います。
○宮川委員 理解はしますけれども、実際的には、1つの医療機関個々では多分できないと思います。大きな病院か、地域での連携のもとにある程度の広い範囲でしか対応できないはずなので、接種だけではなく、副反応の拾い上げも含めた、その辺のところはしっかりと、手間をかけないといけないのではないかと思います。以上です。
○森尾委員 宮川委員、御意見をありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、今日は意思統一するということですので、まとめさせていただきます。今回の新型コロナウイルスは短期間に、今、議論がありましたように、多くの方に接種されることが予想されますので、そういう点も含めまして副反応の収集・評価が非常に重要となってまいります。ワクチンの副反応に関しては、この会議で審議を行うことになります。先ほど質問がありましたが、頻回に開催されることになり、また、緊急開催ということもあり得るかと思います。そういう点で委員の皆様におかれましては、是非御協力を頂き、事務局と力を合わせて進めていきたいと思いますので御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
新型コロナウイルスに関する報告、そして意見交換は以上でございます。本日の議事は以上で終了ですが、事務局のほうから何かございますか。
○事務局 本日は、長時間にわたり活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡を差し上げます。傍聴者の皆様へお願いでございます。審議会委員が退席いたしますので、退室が終わりますまで、そのままでお待ちください。事務局からは以上です。
○森尾委員 ありがとうございます。五十嵐委員から、よろしいですか。今日が最後ということでございます。
○五十嵐委員 ありがとうございます。このワクチンは筋注ですね。日本ではB型肝炎ワクチンやHPVワクチン等のワクチンは筋注ですが、それ以外で筋注するワクチンは少ないのです。外国ではワクチンは基本的に筋注が基本です。HPVワクチンは日本では若年女性が主な対象ですが、このワクチンは広い年齢層の極めて多くの人を対象としています。筋注という点からの国民への啓発など、特別な配慮や対応が必要と思います。
○森尾委員 御検討いただきたいと思います。それでは、本日の会議をこれで終了いたします。活発な御議論、どうもありがとうございました。