第1回 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会議事録(2021年12月9日)

 

 


○日時


令和3年12月9日(木)13時00分~14時52分


○場所


Web会議
全国都市会館 全国都市会館 第2会議室(3階)
東京都千代田区平河町2-4-2


○議題


1.特定健診・特定保健指導のこれまでの経緯と効果検証について
2.今後の検討会の進め方等について
3.その他

 
○議事

○後藤保健事業推進専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第1回「第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、ありがとうございます。
座長選任までの間、進行を務めさせていただきます保険局医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室の後藤と申します。よろしくお願いいたします。
議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿及び座席表の配付をもって紹介にかえさせていただきます。太田構成員、山本構成員からは、本日、御欠席との連絡をいただいております。また、岡﨑構成員にかわりまして高知市保険医療課長の大原様、鎌田構成員にかわりまして日本看護協会健康政策部保健師課長の阿部様、長崎構成員にかわりまして、山梨県福祉保健部次長の斉藤様に御参加をいただいております。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とさせていただいております。
まず初めに、発言の仕方などを御案内いたします。会議中の御発言は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かいましてうなずいていただくということで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。
また、本日は、新型コロナウイルス感染症対策防止のため、傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
それでは、まず事務局を代表いたしまして、審議官の間より御挨拶申し上げます。
○間審議官 保険局の審議官でございます。画面が見切れておりますので着座にて失礼します。
本日は、委員の先生方、それぞれに大変お忙しいところ、本検討会に御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
先生方初め、これまで特定健診・特定保健指導の円滑な運営に御協力いただいた関係者の皆様方に、この場をおかりしまして改めて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
御案内のように、平成20年度から導入されました特定健診・特定保健指導も、第3期ということで保険者の皆様方に取組を進めていただいているわけですけれども、私も、いろいろな場で、この特定健診・保健指導に対する非常に強い期待と、それと同時に、それについての結果、成果を出して、それを見えるようにしてほしいという強い要請も同時にいただいております。
こうした中で、厚生労働省におきましても、アウトカム評価に着目した特定保健指導のモデル実施、あるいは予防・健康づくりの施策効果を確認・蓄積するための大規模実証事業など、行動変容を促す取組を含めまして、エビデンスに基づく効果的な特定健診・特定保健指導の推進に取り組んでいるところでございます。
本日からスタートさせていただきます本検討会では、令和6年度(2024年度)から始まります第4期の実施計画の策定に向けて、これまでの取組や、その評価に基づいて、より効率的・効果的な実施方法等について、先生方に御議論をいただきたいと考えてございます。委員の皆様方には、忌憚のない御意見を賜りまして、活発な御議論をお願い申し上げたいと思います。
これをもって私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○後藤保健事業推進専門官 ありがとうございました。
審議官は、公務の都合により途中で退席させていただきます。
次に、資料の確認をお願いいたします。まず、議事次第、座席表、資料1、資料2-1、2-2、2-3、資料3-1、3-2、参考資料1になります。過不足ございましたら、マイクもしくはコメントでお申し出ください。
それでは、まず本検討会の座長について、お諮りをしたいと思います。
資料1をごらんください。資料1の開催要項の3.構成の(3)におきまして、座長は構成員の互選により選出するとされております。皆様から御推薦がございましたら、よろしくお願いいたします。
○今村知明構成員 今村ですけれども、よろしいでしょうか。
○後藤保健事業推進専門官 今村構成員、よろしくお願いいたします。
○今村知明構成員 特定健診の研究班長もされていて、大規模事業の有識者会議の座長もされている中山構成員が適任だと思いますので、推薦させていただきます。
○後藤保健事業推進専門官 ありがとうございます。
ただいま中山構成員を座長への推薦がございました。中山構成員に座長をお願いすることにつきまして、皆様、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○後藤保健事業推進専門官 ありがとうございます。
それでは、中山構成員に座長をお願いいたします。
以降の進行は、座長にお願いをいたします。
○中山座長 皆さん、どうも、改めましてこのたびはどうぞよろしくお願いいたします。御指名をいただきました本検討会の座長を務めさせていただくことになりました京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野の中山健夫と申します。
今回、この第4期に向けた特定健診・特定保健指導の見直しと、非常に大きな検討会を皆様と御一緒させていただくことを本当に光栄であるとともに、心、身が引き締まる思いであります。私自身、まさにこの特定健診・保健指導が始まる前、老人保健法の基本健康審査の時代から、その移り変わりのときにも、この特定健診の仕組みが始まるときにも、いろいろ仕事をさせていただきました。それから十数年たち、この制度がいろいろ課題を抱えながらも多くの方々の努力、御尽力で着実に実績を残し、少しずつ、さらに大きな改善、大きな新たな実りある方向性に向けて、一歩ずつ歩みを続けてきたものだというふうに感じております。
今回、第4期ということで、いろいろな課題があることは、いろいろな立場で皆さん感じていらっしゃるかと思いますけれども、それが少しでもいい方向へつなげていけるような検討会、意見交換の場にしたいと願っております。
改めてどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、開会要綱の3の(4)に基づきまして、本検討会の座長代理を指名させていただきたく存じます。座長代理は、本当にこの領域で非常に大きな実績を残されていて、私も非常にいつもお世話になっております岡村構成員にお願いできればと思っております。岡村先生、よろしいでしょうか。もしよろしければ。
○岡村構成員 はい、ありがとうございます。
○中山座長 どうぞよろしくお願いいたします。一言お言葉をいただければと存じます。
○岡村構成員 ありがとうございます。私、この制度自体は、前回の第3期のほうのときの見直し、健康局の検討会で永井良三先生の下でやらせていただいておりまして、今回は保険局と健康局が一緒にできるということで、まさに一線で担っておられる保険者の方々と一緒に協議できるということで、非常にうれしく思っております。過去の実績を踏まえながら、また新しい科学的なエビデンスを踏まえながら、少しでもいい制度にできるように微力を尽くしたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
○中山座長 岡村先生、どうもありがとうございました。
それでは、早速、本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
まず、特定健診・保健指導のこれまでの経緯と効果検証について、事務局で資料を準備しておりますので、説明をお願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長 保険局医療介護連携政策課長でございます。
資料2-1から2-3まで、まとめて私から御説明をさせていただきます。
資料2-1、特定健診・保健指導のこれまでの経緯をまとめた資料でございます。構成員の方々、皆様御案内のことかと存じますが、2ページにお進みいただきますと、平成18年医療制度改革により、この特定健診・保健指導の制度が創設されました。平成20年4月から第1期の計画がスタートし、2008年度から2012年度まで、このときに特定健診実施率70%、特定保健指導実施率45%、こうした目標を設定いたしました。第2期は、平成25年4月から、2013年度から2017年度ということでございます。この中で、平成30年3月から保険者別の特定健診・特定保健指導の実施率の公表などをいたしました。
先ほど審議官の間からの話にもありましたとおり、現在は第3期、平成30年4月から、2018年度から2023年度までの期間中ということでございます。こうした中で、このあと御説明申し上げます特定保健指導のモデル実施や、あるいは大規模実証事業、これは特定健診・特定保健指導を含めまして、令和元年4月から開始をいたしてございます。また、新型コロナの影響もございました今年の2月には、新型コロナの影響を踏まえました特定保健指導の運用の見直しや、3月には、効果的な実施方法について、この大規模実証事業の一定の成果というのを取りまとめておりますので、このあと御説明を申し上げます。
3ページにお進みいただきますと、「特定健診受診者数・受診率の推移」でございます。左側が特定健診でございまして、制度がスタートした2008年度、約2,000万人、38.9%でございましたが、直近2019年度では約3,000万人、55.6%となってございます。全国目標は2023年度、70%でございますので、引き続き上積みが必要な状況でございます。
右は、特定保健指導の終了者数でございます。制度がスタートした2008年度、約30万人、7.7%でしたが、2019年度、直近で約120万人、23.2%、これも全国目標、2023年度、45%まで、まだまだ上積みが必要な状況でございます。
続きまして、資料2-2、予防・健康づくりに関する大規模実証事業についての御報告でございます。ページをお開きいただきまして2ページ目でございます。予防・健康づくりに関する大規模実証事業といたしまして、2020年度からの3カ年間に、計画としてさまざまな実証事業が行われてございます。真ん中あたりに四角囲みしております、こうした形でさまざまな事業がございますが、その1つとして、この特定健診・保健指導の効果的な実施方法に係る実証事業というものがございます。
具体的にどういうことをしているかということが、3ページでございます。これも3カ年の事業でありますが、この赤枠で囲ってございます2020年度、ここで行った実証事業の成果について一定の結果が出ておりますので、それについて御報告を差し上げるものでございます。
4ページにお進みをいただきます。行ったことの1つ目が、「諸外国の予防・健康づくりのエビデンスレビュー」ということでございます。具体的には、2つ目のポツにございますUSPSTF(米国予防医学専門委員会)、これは一番下にちょっと小さい字で※で書いてございますが、エビデンスレベルに応じて予防サービスの格付けを行う米国の学術組織でございます。そうしたエビデンスレビューによりまして、この真ん中あたりの青の表になっているのが、左側が一般集団へのスクリーニング、右側がハイリスク集団へのスクリーニングでございます。
それから、下の緑色の表、左側が、そのスクリーニングに組み合わせられた生活指導、右側が生活指導一般ということでございますが、それぞれ、この高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満に対して、どのようなエビデンスがあるかということが表で整理をしてございます。この表の中に隅括弧で、【Grade A】とか【Grade B】とか書いてございます。一番下の※印のところをご覧いただきますと、Grade Aというのが「有益性が非常に高いことが確定的」、Grade Bというのが「有益性が中程度が確定的」ということでございまして、こうしたことについて、スクリーニング検査あるいは生活指導介入、そうしたものの有益性が高いものとして、推奨されているということの確認をいたしました。
その上で、5ページでございます。我が国で、この特定保健指導がどういった効果を上げているかということにつきまして、NDBのデータを用いまして、回帰不連続デザインを用いて推定をしたものでございます。回帰不連続デザインは、例えば腹囲が85センチとか、そうした基準値より少し高い群や低い群を取り出して、そうした群においては、保健指導といった介入を行ったかどうか、それが行った群、行っていない群の唯一の違いである、そういうふうに言えるものとして比較をするものでございます。
そうした比較を行った結果が下の表でございますが、点線囲みしてあります体重、それからヘモグロビンA1cにつきましては、ご覧いただきますと、平均値で見ましても、また95%信頼区間で見ましても、全てマイナスになっているということで、統計学的にも有意な減少が認められたというものでございます。収縮期血圧、LDLコレステロールにつきましては、平均値としてはマイナスになってございますが、一部プラスに出ているところもございますので、改善傾向は示しているものの、統計学的な有意差までは認められなかったということでございます。
ちなみに、下の表でございますが、2段になってございます。上の段のほうは特定保健指導の対象に選定されたことの効果、いわゆる割付効果、それから下のほうは特定保健指導の実施の効果、実施効果ということでございます。いずれにいたしましても、私が今申し上げたような傾向が確認できたというものでございます。
続きまして、資料2-3でございます。特定保健指導につきましてモデル実施というのを行ってございますので、そこの効果検証の状況でございます。2ページをお開きいただきますと、特定保健指導につきましては、従来の積極的支援、これは左側のところに書いてございますが、保健指導の専門職の方による面談、電話、メール等による支援、こうした支援の投入量、これをポイント化いたしまして3カ月間の介入量が180ポイントである、そうしたことで評価をしていたわけでございます。
2018年度からの第3期の計画期間におきましては、ここにモデル実施という新しい方法を導入してございます。具体的には、3カ月間の介入の成果が腹囲2センチ以上、体重2キロ以上の改善となる、そうしたことを評価するということを掲げまして、支援の投入量は逆に言うと問わない。そうした中で、成果を出せる方法というのを保険者が企画して実施していただく。そうしたコンセプトで実施をしているものでございます。
1の下に「※」が3つついてございますが、3つ目のところをまずご覧いただきますと、今、私は腹囲2センチ、体重2キロ以上の改善と申し上げましたが、もちろん腹囲、体重の絶対値はそれぞれ個人によって違いがございますので、健診時の体重の値に0.024を乗じた体重、あるいはその体重と同じ値の腹囲以上が減少していることでも可としてございます。それから、そのもう1つ上の「※」のところでございますが、こうした腹囲2センチ、体重2キロ以上の改善がなければ、積極的支援をしなかったことになってしまうのかということもございますので、仮にそうした値が改善をしていない場合には、その後、追加支援を実施するなどして、従前の考え方で言う支援の投入量が180ポイント以上に達していれば、積極的支援を実施したこととする、こうした考え方で実施をしているものでございます。
成果を出せる方法を保険者が企画をするということにつきましては、2番のところで取組例として書いてございますが、例えば事業主と連携をして、福利厚生の健康ポイントを腹囲の減少量に応じて付与するとか、あるいは(2)番のところに書いてあります、スポーツジムと契約をして、施設の利用、トレーナーによる指導を提供する。あるいは、遠隔面談なんかも使いながら、トレーナーによる運動指導を行うといったことですとか、(3)番にございます、日々の歩数をアプリに記録し、あるいは食べたメニューを写真に添付して、そうしたことを通じて食事指導、あるいは運動・栄養指導、こうしたことを行っていくということが期待をされているものでございます。
3ページにお進みいただきまして、こうしたモデル実施がどういった効果を上げているかということについて、検証を行ってございます。1ポツのところに効果検証の方法と書いてございます。モデル実施が始まったのは2018年度でございますので、2018年度から19年度の健診結果の推移をモデル実施による効果としまして、それと2017年度から18年度の健診結果は、モデル実施導入前ということになりますので、そうしたことを比較するということをやってございます。
ちょっと先に、6ページをお開きいただけますでしょうか。6ページにおいて、どのような効果検証をしたかということを図示して書いてございます。
まず真ん中あたりのところのフローチャートをご覧いただきますと、いわゆる積極的支援の対象者で、このような方にモデル実施を行うということなのですが、実際に、そのモデル実施を行って、3カ月間で2センチ・2キロ減を達成した方、それがこのまま矢印が平行で右に行って、モデル実施終了者となるわけでございます。
一方、モデル実施を行ったのだけれども、モデル実施の基準、この2センチ、2キロに達しなかった、しかしながら、先ほど申し上げました支援の投入量として180ポイントの支援が入って積極的支援終了となった方、それがここで言う第2グループ、積極的支援180ポイント終了者というものでございます。
一番下のところは、こうした支援の投入量が180ポイントに届かなかった、あるいはそもそもモデル実施の対象であったのだけれども、特定保健指導を受けられなかった、そうした方がこの積極的支援180ポイント未実施者ということで、モデル実施におきましては、この3つのカテゴリーに分かれるということでございます。
一方、モデル実施が始まる前の2017年度から18年度、これは一番下のフローチャートでございますが、積極的支援対象者のうち実際に180ポイントの支援で終了した方と、そこに至らずに未実施になった方というのがいるわけでございます。今から申し上げるのは、まずAと太い黄色の矢印で書いてございますが、この赤枠で囲んだ2017→18年度の実施状況と、18→19年度の実施状況、この2つを比較することによって、モデル実施導入前後でどういう効果があったかということを比較しているのが1つ目。
それから、Bという、この右のほうに四角で囲んでございますが、これはモデル実施を行ったことによって、1年後の体重、腹囲の減少の継続状況、あるいは血圧、ヘモグロビンA1c、コレステロールなど、その他の検査値への影響、それを比較したものが、2つ目の検証ということになります。
こうしたことを頭に置きながら、結果の表をご覧いただきたいと存じますが、お戻りをいただきまして4ページをご覧いただけますでしょうか。Aというのが、先ほどご覧いただいたモデル実施導入前後の比較、すなわち2017→18年度と18→19年度を比較したものでございます。こちらの表をご覧いただきますと、この赤枠の中の平均値というところ、おおむねマイナスになっているのが見て取れるかと存じます。この評価といたしましては、上のポツのところでございますが、従来の積極的支援終了者と同様に、モデル実施者、これは先ほど申し上げたモデル実施終了者あるいはモデル実施未達成者で積極的支援終了者と、3つのカテゴリーに分けたうちの最初の2つということでございますが、それについては、積極的支援未実施者と比較して、翌年度の健診時にほとんどの検査項目で数値の改善傾向を認めたということでございます。
お進みいただきまして5ページでございます。5ページは、「B:モデル実施終了の効果の比較」ということでございまして、先ほどのモデル実施の中での比較ということになります。下の表をご覧いただきますと、一番左がモデル実施終了者、真ん中が積極的支援終了者、一番右が積極的支援未実施者ということでございますが、まず黄色い①という枠で囲んでございますモデル実施終了者の方につきましては、積極的支援未実施者と比較して、翌年度の健診時でも、腹囲及び体重が減少した状態を維持できていたということが確認できました。それから、このモデル実施終了者につきましては、赤枠②と書いてあるところでございますが、血圧やヘモグロビンA1c等の項目についても、数値の改善傾向が認められるということでありまして、特定保健指導対象者については体重管理を続けるということが生活習慣病の改善に寄与し得る可能性、こうしたものが示唆されたというふうに考えてございます。
なお、7ページに、参考まででございますが、こうした2018年度の特定健診時の各区分の対象者の検査値を一覧にしてございます。2つ目の○にございますとおり、各区分の該当者の年齢、検査値等の背景因子に大きな差は認められなかったと考えてございます。
以上、駆け足でございますが、資料2-1から2-3まで、御説明をさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。
○中山座長 御説明どうもありがとうございました。
これから皆さんに御意見いただきたいと思いますけれども、いろいろ分量が多いので、少し資料2-1から1つずつできればというふうに思います。よろしいでしょうか。
では、まずは資料2-1のところは、これまでの経緯というところで、本当に受診率の推移などをお示しいただきました。いろいろなワーキング・グループで検討された経過ということが出されていますけれども、この資料2-1について、皆様から、何か御意見、御質問いかがでしょうか。特によろしければ、後でまた戻っていきますので。資料2-2、2-3が、いろいろ議論があるところではないかと思いますので。
では、資料2-2の大規模実証事業の報告ということで、これについては、御質問、御意見いかがでしょうか。
では、岡村構成員お願いいたします。次、河本構成員、お願いいたします。
○岡村構成員 すみません。最初なので。
実証事業のほうで、まず文献レビューのところで、学会等、これは海外の学会でのエビデンスも整理されていますので、ここで同じようなことをやっぱり国内のガイドラインでも見ていく必要があるだろうということが非常に重要かなと。そこの整合性がとれていないと、次の医療のほうでの治療につながっていきませんので、ちゃんと見ていく必要があるだろうなということ。
それから、細かい点で、脂質異常症のところは、いつもこれらは混乱するのですけれども、項目が、LDLとトリグリセライドとHDLと3つありますよね。ここをエビデンス的にみると、海外も国内もこれはスタチンが有効となっているのがほとんどで、スタチンということはLDLが第一ターゲットになっているのは明らかですから、保健指導の場合はまあいいのですけれども、これからまた治療とか受診勧奨を考えるときには、LDLのほうがターゲットになっていくということで、若干保健指導の方向性と乖離が出てくるかもしれないのですが、ガイドライン等は全部そういう方向性になっていると思います。また、心筋梗塞になった人なんかは、もう必ずスタチンを普通はまず入れるというのが一般的な治療法になっているかと思いますので。ということだけ補足しておきたいと思います。
以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。
この点につきまして、事務局、厚生労働省から何か御説明ありますでしょうか。
○水谷医療介護連携政策課長 いいえ、特にございません。今いただいたような御指摘も踏まえて、このあとまた御議論いただきますが、ワーキング・グループのほうでも精査した御議論をいただきますので、そうした御指摘を踏まえて検討を進めていきたいと思ってございます。
○中山座長 ありがとうございます。
岡村構成員がおっしゃったように、国内でも、この領域だと、動脈硬化と高血圧と糖尿病のガイドラインとの整合ということは、本当にきちんと大事にしていかないといけないですね。どうもありがとうございました。
では、河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。健保連の河本でございます。
資料2-2の5ページ目の効果分析について、体重、血圧等4つの検査値の変化が記載されておりますが、できれば喫煙状況の変化、行動変容を問診データから検証する等、さまざまな視点からの検証ができないかと考えております。そもそも論になってしまいますが、特定健診・保健指導は制度開始から十数年になりますが、その間、保険者は健診や保健指導に多大の費用を投入してきております。例えば積極的支援は、現状1人当たり約4万から5万円を投資するといった状況でございますが、その投資に対する効果がどういった形であらわれているか、やはり国の制度である以上、国はさまざまな角度から分析、検証する必要があると考えます。特定の検査値の推移だけではなく、例えば透析患者の推移であるとか、さまざまな指標を工夫して多面的に検証を行うべきと思います。短期間では成果はなかなか見えにくいことも理解いたしますが、保険者の立場として、今後も保健指導を一生懸命実施していくためにも、その成果の見える化が欠かせないと考えております。ぜひとも御検討いただきたいと思います。
○中山座長 どうもありがとうございました。
確かにこの効果分析については、A1c、体重が誇大に評価されてしまっていますけれども、これについて何か追加情報はありますでしょうか。お願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長 事務局でございます。
河本構成員がおっしゃられたとおり、これだけ国費、公費を投入してやっている事業でございます。そうしたことの効果がどうあるかということについて、さまざまな角度から分析が必要であるということは、おっしゃるとおりだと思ってございます。
一方で、これは、効果検証というときに必ずつきまとう問題ではございますが、特定健診・保健指導の効果検証をしようと思いますと、短期的にはすぐにこういった健康状態あるいは医療費ということもございますが、そうしたものが大きく変動するものではないのではないかという観点と、一方で、長期で見ますと、社会環境が変化する、あるいは医療技術が進歩するなど、そうした外部の要因もかかわってくるということもございます。そうしたことで、介入の効果が見えづらくなるということもございます。
そうしたことを踏まえながら、どういった効果検証が可能かということで、今回NDBデータを用いましたこの分析におきましては、先ほど申し上げました回帰不連続デザインで一定の信頼性をもって比較できるだろうということで、こうした分析をしたわけでございます。河本構成員がおっしゃられたような姿勢で、では、どういう分析ができるのか、これは専門の先生方とも御相談をしながら、引き続き検討していきたいと考えてございます。
○中山座長 御説明どうもありがとうございました。本当に評価は難しいところで、かなりいろいろないい結果を見出したい気持ちもありますし、かなり慎重にいかないといいすぎてしまうこともあるので、ここら辺はまた引き続ききちんと慎重な議論を続けていきたいと思います。どうもありがとうございました。
河本先生、お名前を読み間違えて失礼いたしました。河本先生ですね。失礼いたしました。
では、津下構成員、お願いいたします。
○津下構成員 ありがとうございます。2点お願いいたします。
1点は、先ほどの5ページなのですけれども、効果分析で特定保健指導の対象または実施の効果ですが、積極的支援と動機付け支援があり、また65歳以上は積極的支援該当でも動機付け支援相当となる、ということで、対象者の選定方法や実施方法が大きく3つあります。それごとに分析された結果があれば提示していただきたい、ということです。費用対効果を考えるときに、投入量が違うとか対象者層が異なることの影響というのを、示す必要があるというのが1点です。
2点目は、従来、こういう対策は、血糖とか血圧とか、長期的には透析とか循環器疾患ということをターゲットにして行っているのですけれども、コロナ禍で、重症化リスクについては、そういう基礎疾患、肥満や、高血圧、糖尿病などの影響があり、特に循環器疾患を持っている人では肥満の影響も有意に出ているというような御発表もあったかと思います。そういう意味で、コホート研究というと、どうしても期間が長くて、そしてスタート時点が古い対象者像である、ということですが、コロナ禍だからこそ得られた新たなエビデンスなども参考にして、このような肥満、生活習慣病対策をすることの意義というのも整理してもよいのではと思います。感染症の重症化予防の観点からも対策の必要性指摘できると、保険者さんや国民の納得も得られるのかなというふうに感じたのですけれども、そのあたりいかがでしょうか。
○中山座長 御質問ありがとうございました。それでは、まず1点目、もう少し3群の詳細についてということで、追加情報はいかがでしょうか。事務局、厚労省のほうでお願いいたします。
○後藤保健事業推進専門官 事務局でございます。
大規模実証の分析でございますけれども、津下先生に御指摘いただきましたように、積極的支援と動機付け支援と、実は分けて分析しております。今回こちらのほうで御報告しているところは一部なのですけれども、報告書のほうでは別々の分析ということで、結果は事務局のほうで把握しております。
○水谷医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
そうした詳細なデータもございますので、またそうしたことも提供させていただきながら、御議論いただきたいというのが1点目でございます。
それから、2点目のコロナ禍で、特に肥満などは重症化のリスクとしてもクローズアップされる中で、改めてこうした特定健診・保健指導みたいなものが、コロナもある中での重症化予防にどう役立つのか、そうした切り口での検討ということかと理解をいたしました。コロナ禍の中で、そうした予防・健康づくりがどうなっているか。これはなかなかデータが取りづらいという状況もあるのですが、実際、ちょっと別の部局になりますけれども、実証事業の中で高齢者の外出の機会が減っている、あるいはうつ傾向の回答を示すような高齢者の方が増えているとか、そうした傾向もございますし、もう少し広い意味で、そうした予防・健康づくりにどういう影響を与えているか、これは私どもとしても関心を持っている事項ではございます。
ただ、一方で、コロナ禍の中での影響というのは、どうやって見て、どう評価するかというのが、これはまたいろいろ議論があるところだと思いますので、そうした視点は念頭に置きながら、今回の見直しの範囲で、それをどういうふうに把握し、入れ込むことが可能なのか。これは御議論いただきたいと思っていますが、一定の制約というのはやっぱりあろうかというふうには思ってございます。よろしくお願いいたします。
○中山座長 どうもありがとうございます。今度の、次回の検討会のときに、また追加のデータとかをいただければ、またいろいろ議論も深まるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長 承知いたしました。
○中山座長 お願いいたします。
それでは、今村聡構成員、お願いいたします。
○今村聡構成員 ありがとうございます。
先ほどの河本委員の御意見にもかなり重なるところなのですけれども、医学的なエビデンスということで健康状態がどう変わったかという評価というのはすごく大事だと思いますけれども、別の視点で、その検証というのをいろいろしていただきたいという思いがあります。これは、40歳から74歳を対象として、これだけ多くの日本国民が受けている健診というのは多分ないわけです。それまでの自治体による老人保健事業から保険者がこれを実施するということになったということは、保険者ごとの加入者・対象者の健康状態を把握することが可能になる仕組みになっているわけですね。
保険局の前期の会議の中で喫煙率を見ると、保険者ごとに全く数字が違うわけです。日本の今の健康課題の大きな問題の1つが、健康格差の問題がやはりあると思っていて、保険者全体のマクロとして、医学的に項目の数値がどう変わったかということも大事ですけれども、保険者ごとに、数値の違いが出ていないかどうかについて、しっかり検証したほうがいいのではないかと思っております。そういう検証が恐らくできると思うので、ぜひ保険者ごとの差異というものを出していただければありがたいというのが1点です。
それからもう1点、これはちょっと先に踏み込んだ話になりますけれども、前期からは健診の詳細項目としてクレアチニンとe-GFReGFRが追加されました。これは非常に意味があることだと思っていて、実際に健診をやっていると、e-GFR大きくeGFRが低下している方たちも多かったことから医学的に早期に介入できたという実感を持っております。この項目の実施がどういう改善につながっているのか、中長期的にはしっかりとフォローしていただくということと、前期に導入するときに、費用の問題や事業主の安全配慮義務がかかるのではないかと非常に心配をされて、議論の結果御理解いただいて詳細項目として追加されたと思っておりますが、この数年の経過をみると、詳細健診の項目ではなくて、基本健診の項目に入れていただけるようにこれからの議論、次期以降になろうかと思いますけれども、ぜひ御検討いただければと思っています。
私からは以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。
それでは、厚労省事務局のほうから、今の2点についていかがでしょうか。
○水谷医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
1点目、御指摘いただきました保険者ごとの検証あるいは差異ということでございます。私が今日お示ししたのは、まさにマクロの、今村先生の言葉をお借りすれば医学的データということになろうかと存じます。一方で、まさに今個々の保険者がそれぞれのデータを持っているというのは、今、現に保険者が御自身で持っているということで、一番ミクロで申し上げれば、個々の保険者がそれをどう活用して、それを保健事業などに活かしていくかということがあろうかと思います。そこまでいくと、まさにミクロの世界の中で、保険者がそれをどう活かして、加入者、被保険者の行動変容につなげていくか、予防・健康づくりにつなげていくかという議論になろうかと思いますが、その中間の段階で、保険者ごとというのが、個々の保険者というレベルなのか、あるいはもう少し固まりの単位なのか。そうした意味で、どういった分析が可能であるのか、あるいは、保険者という切り口ではなくて、どういった特定保健指導、つまり指導の方法によってどういうことが効果的なものにつながっているのか、それが今回の御議論いただくテーマにもつながってこようかと思います。もちろんデータの制約はあろうかと思いますが、そういった視点でも御議論を今後いただきたいと感じている次第でございます。
それから、2点目のe-GFR等々のことでございます。これにつきましては健診の項目にかかわる議論でございます。これもこのあとの議題で御議論をいただきますが、今日一定の成果が出ているものとして御報告した事項は、特定健診・保健指導の効果的実施や大規模実証の状況を御報告して御議論いただいてございますが、もう1つ健診の項目につきましては、今、健康局の厚生労働科学研究のほうでいろいろな御研究をいただいているところでございます。今、今村先生から御指摘いただいたことというのは、ある意味、2018年度から、この特定健診・保健指導で今の検査項目の話、e-GFRとか、そうしたこともございますし、もうちょっと言えば、特定保健指導が3カ月になった、そうしたことですとか、あるいは分割実施が行えるようになったことですとか、いろいろな制度変更があったわけです。当然、第4期に向けて議論いただく際には、こうしたことがどういう効果があったのかということの検証も必要だと思ってございますので、そうしたことも含めて今後御議論いただきたいと思ってございます。
○中山座長 御説明どうもありがとうございました。
本当に今村構成員がおっしゃるように、全体の議論と、やっぱり今は格差の議論は本当に避けることができないと思いますので、議論を深めていきたいと思います。どうもありがとうございました。
では、今村知明構成員、お願いいたします。
○今村知明構成員 ありがとうございます。
資料2-2の5ページの内容について、これは効果検証のやり方について、御意見を申し上げられればと思っています。一言で言うと、この追跡調査は脱落をどう扱っておられるかということに尽きます。これは特定健診を5年間なり3年間なりずっと受けている方の変化を見ているということだと思うのですが、例えば病気になったら、もう病院にかかってしまったら、そのあと特定健診で健診を受けるということがなくなったり、実際に病気になって亡くなってしまえば完全に脱落するので、その脱落された方々の数字をどう評価するのかというのが、今後、こういった効果分析をするに当たって大きな課題だと思うのですね。この数字は確かに差が出ていますけれども、これが本当ですか、うそですかというのは、実際にここから抜けていった方々がどういう方だったかということがとても重要だと思うのです。
実は、私は保険者の追跡調査をたくさんさせていただいていまして、一番被保険者で影響するのが、高齢者ですと死亡ですよね。死亡して抜けていかれる方が、どういう方かということです。5年間生き残った方をピックアップすると、とても元気な集団を比較するので、だいぶ結果が違うのですね。ですから、長期になればなるほど、死亡というような要因とか、病院にかかって入院して治療するというふうなステップとかというのを、どんなふうに評価するのかということが大きなテーマだと思います。
その中で、せっかくNDBでやっていますので、レセプトと重ね合わせると、少なくとも入院しましたよねとか、病気になりましたよねということはわかってくるので、今後のテーマとしては、まずはレセプトのほうで医療行為を把握できるようにして、そのアウトプットを確認していったほうがいいと。もし可能だったら介護データともぶつけて、介護状態に陥っているかどうか。恐らく介護施設に入ってしまったら、もう特定健診を受けるというようなこともないと思いますので、そういった要素も含めて検証できるように、フレームを考えていってもらったら、よりリアルな効果がわかるのではないかと思います。ということをちょっとこの分析のやり方として、御進言できればと思います。
以上です。
○中山座長 今村先生、どうもありがとうございました。先生は本当にNDBの活用の御経験が非常に深いので、これは厚労省事務局のほうも、そういった専門性の高い御知見や御経験をぜひ取り入れて、やっぱりNDBの解析結果は非常に影響が大きいですので、慎重に進めていただければと思います。どうもありがとうございました。また、今村先生、ぜひ御助言ください。お願いします。
では、伊藤構成員、お願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
私は連合から出ておりますので、健康保険の加入者ということで、中でも働く者という立場で、やはり物事を考えていきたいと思いますし、また費用負担をする者という立場でもありますので、こういったことを考えながら、またこの第4期に向けて検討に参加させていただこうと思います。
この特定健診・保健指導は医療費適正化が目的だということはよくわかっていますけれども、むしろ国民一人一人の充実した暮らしを長きにわたって送ることができるようにしていくという意味で、広く実施されて効果的なものにしていくということは重要なのだと理解しております。
今後のやり方について、そういうふうに考えていきたいと思っているのですけれども、今回、検証をしていくということで、最近だと財務省などからも相当言われていますけれども、社会保障制度改革推進本部からも数字を示されて、費用対効果が低いのではないかというような指摘もされておりますので、この点については、今までも皆様方の専門的な知識、知見をもって広く効果を見ていくという形で、検証していく必要があると思っています。
モデル実施についても、一定の効果を上げてきているということは今回の2-3の資料で読み取れましたけれども、参加者数とか離脱の問題が依然として課題だと思っています。意欲の高い人について特に効果を上がっている、また、総じて従来の積極的支援と比較すれば効果が上がっているということは見て取れましたけれども、やはり多くの人が参加できて、離脱しない介入の仕方ということを開発・普及させていくということが極めて重要だと思います。検証のあとの話かもしれませんけれども、こういった観点から、さらに追って保健指導が充実・効果的なものになるような検討をしていきたいと思っております。
以上です。
○中山座長 伊藤構成員、どうもありがとうございました。
この点につきまして、厚労省からいかがでしょうか。
○水谷医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
特定健診・保健指導の医療費適正化効果といった観点は、もちろん制度としてございます。これにつきましては、医療費適正化計画も2024年度から新たな計画年度を迎えるということでございまして、こちらにつきましては医療保険部会のほうで、まだ論点を提示した段階でございますが、7月に議論をスタートさせている状況でございます。医療費適正化計画自体は2024年度(令和6年度)からスタートいたしますので、各都道府県で2023年度(令和5年度)に策定することが必要になります。したがって、令和4年度中(2022年度中)に、こうした第4期の計画に向けた考え方を、これは医療保険部会でおまとめいただくといったことを想定しているものでございます。
こちらの検討会、特定健診・保健指導の見直しということでは、今、伊藤構成員がおっしゃられた趣旨というのは、そうした狭い意味での医療費適正化効果に捕らわれることなく、健康づくりみたいなこと、人が生きがいを持って健康に暮らしていけるということ、そうした意味合いも踏まえながら議論していくべきではないかという御指摘と受けとめましたが、まさに、特に健康という面に重点を置きながら、今ここで御報告したようなデータなども踏まえつつ、特定健診・保健指導の在り方について、この検討の場で御議論いただきたいと思ってございます。
それから、2点目に御指摘いただきました参加者あるいは離脱の問題、これは当然今回の検討でも重要な論点だと思ってございます。先ほど御報告した資料2-3で6ページのところをご覧いただきますと、6ページのところで実際に積極的支援の対象者8,650人いる中で、実際にこのモデル実施が終了された方は449人ということで、数としては非常に少ない。つまり449人がモデル実施の終了、550人が積極的支援を180ポイントで終了、その他7,651人が何らかの形で未実施者ということになっているわけでございます。
これにつきましては、一番最初に私が資料2-1で御説明申し上げましたが、特定保健指導の実施率自体が、今、全国平均で23.2%ということになってございます。こうした状況もある中で、まずは特定保健指導を受けていただく、どうした形で受けていただけるかという中で、1つ、この効率的・効果的な実施というのが、成果が出るのだということがわかるということが、逆に実施率を上げていくような側面につながる面もあろうかと思います。そうしたことも含めて、まさに伊藤委員がおっしゃったとおり、より多くの人が参加できて、それが途中で離脱しない、そうした形にするためにどういうやり方をするのがいいのか、そうした観点も含めて、今後御議論いただきたいと考えてございます。
○中山座長 御説明どうもありがとうございました。
それでは、資料2については、既に2-3も含めていろいろ御指摘いただいていますので、福田構成員の御質問、資料2-2から2-3については、最後ということでさせていただきたいと思います。
では、福田構成員、どうぞ、お願いいたします。
○福田構成員 福田でございます。1点御質問と1点コメントですけれども。
1点の御質問は、文献レビューのところでアメリカのタスクフォースの御紹介をいただきましたが、これは国内でも結構、今日御参加の先生方を含めていろいろされてきていると思うのですが、これは日本のものもレビューをされているのでしょうか。というのと、もしあれば、それは海外で、USで言っているようなところとあまり差はない感じなのでしょうか、あるいは、今の日本の研究状況というのは、もし知見が教えていただきたいというのが御質問です。
もう1点が、先ほど来、費用対効果という話が出ておりまして、公的なお金を使うので、やっぱりこれは重要だと思うのですね。ただ、今のところ、やはり検証でデータを使ってできるものというのが、指導を行ったときの検査値の変化とか、短期間、数年のうちでの、糖尿病とか幾つかの疾患の医療費への影響という範囲だと思います。ただ、これはやっぱり長期的に考えるというのが重要で、糖尿病が減ることによって将来的な腎症が減ったり、場合によっては透析が減ったりとかいうところも考えられるわけで、一応私は費用対効果というのを専門にしておりますので、そういう観点から言うと、少し将来的なものをモデルで推計するとかいうことも含めて、費用対効果は考えていくべきだと思います。これはコメントでございます。
○中山座長 どうもありがとうございました。
それでは、1点目について、事務局か厚労省からお願いいたします。
○後藤保健事業推進専門官 事務局でございます。
今回、基本的にメインは海外文献を中心としておりますけれども、研究班のほうでは、一部国内文献も取り扱っておりますので、こちらも先生方へのフィードバックにつきましては、改めて検討させていただきます。
○中山座長 ありがとうございます。
特定健診の健診の項目、特に質問項目については私が担当している研究班で、いろいろな先生方に御指導いただきながらまとめております。それはあくまでも健診の質問項目で、今回のタスクフォースは介入のところになっているので、介入自体を、日本の国内のものはやっぱりきちんと情報をそろえておく必要があるかと思います。御指摘どうもありがとうございました。
それでは、非常に多くの御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。たくさんの委員の方々がいらっしゃいますので、できるだけ多くの方に発言をしていただきたいですので、御発言は対応も含めて若干短くお願いできる大変ありがたく存じます。
それでは、次は、今後の検討会の進め方について、事務局で資料を準備しておりますので、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料3-1と3-2につきまして、御説明を差し上げます。
資料3-1、「今後の進め方と見直しの方向性について」という資料でございます。
2ページをお開きいただけますでしょうか。先ほど御質問に対する答弁の中でも少し前振れしたところもございますが、令和6年度から第4期の特定健診等実施計画が開始されるということでございます。つきましては、こうしたことについて、実務的な課題を整理するということでワーキング・グループを設けて、具体的な内容の検討を進めることとしてはどうかと考えてございます。そのワーキング・グループで検討する項目ということでございますが、2つ目のポツをご覧いただきますと、これまでの取組の実績や、その評価等を踏まえた効率的・効果的な実施方法を検討すべきということで、この効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループで、今、私が資料2-1から2-3までで御報告申し上げたようなこと、今日は全体の部分でしたが、今日いただいた御指摘なんかも踏まえまして、もう少し詳細な資料をお出ししながら、このワーキング・グループで検討していただいてはどうかということでございます。その際には、個々の受診者の行動変容につながり、成果が出たことを評価する方向で、アウトカム評価の導入とか、ICTを活用した取組など、こういう方向で、検討してはどうかというのが1点目でございます。
それから今日、健診項目等にかかわるような御指摘もございました。健康増進に関する科学的な知見を踏まえた特定健診・特定保健指導の技術的な事項、こうしたことについての検討につきましては、座長のほうからもお話がございました厚労科研において、今、研究が行われているところでございます。そうした研究結果なども踏まえまして、別途ワーキング・グループを設置して、今後、検討することとしてはどうかというものでございます。
3ページをお開きいただきますと、今後のスケジュールということで書いてございます。令和6年度(2024年度)から、この特定健診・保健指導の第4期の実施計画がスタートするわけでございますが、そのほかにも、先ほど私が申し上げました医療費適正化計画、この第4期の計画も、この2024年度(令和6年度)から、それから健康増進計画につきましても、次期の国民健康づくり運動プランが2024年度からスタートするわけでございます。そうしたものの都道府県あるいは保険者における策定作業は、令和5年度(2023年度)ということでございますので、この検討は2022年度(令和4年度)中に、一定のものを取りまとめて、それを都道府県や保険者の策定作業に活かしていただく、そういった流れになろうかと存じます。
特定健診・保健指導につきましては、この検討会におきまして、本日、第1回で検討を開始いただいているところでございますが、今日御了解をいただければ、効率的・効果的な実施方法等につきましては、ワーキング・グループを設置して御議論をいただき、その模様については随時この検討会、あえて親会と呼ばせていただきますが、親会のほうに御報告いただきながら、取りまとめた内容も御報告をいただいて、そして検討会として結論を出していただくと。
先ほど申し上げたとおり、そのほか、この特定健診・保健指導に関する技術的な事項については、必要に応じて別途ワーキング・グループをつくって、同じような形で進め、取りまとめしてはどうかと考えてございます。
医療費適正化計画あるいは健康増進計画につきましても、上の段、下の段に書いてあるとおり、それぞれの検討の場で議論が進められる、そうした流れになってございます。
それから、資料3-2でございますが、今申し上げた効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループの開催要項でございます。目的のところは、今私が申し上げたところですので、説明は省略をさせていただきます。構成員の案がそちらに書いてございまして、こうした10名の方にワーキング・グループの構成員になっていただいて、実務的な検討を進めていただいてはどうかというふうに考えている次第でございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○中山座長 御説明どうもありがとうございました。改めて本当に2024年度(令和6年度)というのは、かなり本当にビッグイヤーだということを改めて確認させていただきました。ありがとうございます。
それでは、この事務局の説明につきまして、いろいろな角度、いろいろなお立場から、御質問、コメントがあろうかと思います。どうぞ御遠慮なくお願いいたします。
それでは、中島構成員が早くて、その次に河本構成員、お願いいたします。まず中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。協会けんぽの中島でございます。
この検討会の進め方の方向性については、ただいま水谷課長から御説明があった方向で進めていただくことでよろしいのではないかと思ってございます。特定健診・保健指導の仕組みについては、これまで各委員会からも御意見が出ていますが、13年経っているわけでございます。協会けんぽにおきましても、本部、支部を挙げて、さまざまな創意工夫を凝らして受診率の向上に取り組んできたところでございまして、わずかながらでございますけれども、実施率は着実に向上してきております。
ただ、この受診率の向上だけが目標なのでは決してないわけでございまして、特定保健指導が対象者の行動変容、健康状態の改善につながっているのか、先ほどから御議論が出ていますように、アウトカムがしっかり出ているのかということが極めて重要かと思っているところでございます。そもそもこの特定保健指導の仕組みが開始された当初は、保健師、管理栄養士が対象者と対面でしっかり向き合う。特に初回面談においては対面形式をしっかりとるということで、保健師等が個々の健診データが意味する対象者の体の変化を具体的に説明し、理解してもらう。そして、対象者の方の価値観、行動様式を踏まえて、その方が実行可能な生活習慣の改善に取り組むかどうかということを相談いただく。そして、対象者がその内容を理解し、納得して日々実践していくということで、対面形式というのを初回面談で必須にしてきたのだと理解しています。
ただ、その後、デジタル技術の進歩や、新型コロナの影響で、今の仕組みでは、初回面談がICTを活用し、かつ集団面談でも可能だということになっているわけでありますけれども、果たしてそうした流れの中で、確かに実施率は向上するものの、当初目指した対象者に寄り添って実際に行動変容を促せる保健指導になっているのかということを改めてしっかり見つめ直す必要があるのではないか。そういう観点から、やはり保健指導については、実施率というアウトプットだけではなくて、アウトカムに係る評価の指標を設定していただくことが、私ども保険者の保健指導の質を高めるとともに、保健指導の外部委託も進めるに際して、外部委託先を選定するに当たっても、質の伴った委託先を選定する参考にできるものと思ってございます。
また、結果が出せている保健指導の好事例をしっかり収集・分析して、効果を上げている保健指導がどういう要素を備えているから効果が上がっているのかを検証し、保健指導の備えるべき要素の標準化というものも、あわせて御検討いただければありがたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○中山座長 重要な御指摘、どうもありがとうございました。
では、厚労省、いかがでしょうか。
○水谷医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
御指摘どうもありがとうございます。今、中島構成員のおっしゃられたことは、すみません、私も説明を漏らしておりましたが、参考資料1の最後の6ページのところに、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特定保健指導の見直しということで、詳細までは御説明申し上げませんが、初回面接におけるグループ支援の実施につきまして、ビデオ通話が可能な情報通信機器を用いた初回面接でグループ支援を実施可能としたとか、あるいは、対応の②というところでございますが、実際、今、電話支援のポイントという低いポイントしか算定できなかったものにつきまして、ビデオ通話が可能な情報通信機器を用いた継続支援、これは対面で行う場合と同じポイントを算定する、こうしたことを行っているところでございます。
ただ、中島構成員がおっしゃられたのは、こうしたことが、いわゆる特定保健指導の目指していた趣旨に沿った形になっているかということについて、きちんと見ていく必要があるということだと受けとめました。私、先ほど2018年度の見直しがされた項目とか、あるいは今回のこのコロナで見直しをされた項目も含めまして、制度として見直しを行った項目が、どうした効果、あるいは成果を上げているかも含めまして、私どもが可能な範囲できちんとデータを出して、議論していきたいと思ってございます。
それから、おっしゃられたとおり、マクロのこうした数字のデータだけではなくて、いい事例というものをきちんとピックアップする。そこから、いい要素というものを抽出して、標準化していく。そうしたことは常に必要だと思ってございますので、引き続きそうしたことを、御指導いただきながら検討してまいりたいと考えてございます。
○中山座長 どうもありがとうございました。
それでは、次、河本構成員、続いて、武藤構成員、阿部構成員の順番でお願いいたしますので、まず河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
モデル実施の効果検証について、健保連でもモデル実施の効果検証を行っており、厚労省が出されている資料と同様に介入量の違いによる有意差は、私どもの効果検証でも認められませんでした。今後、健保連のデータなどもあわせて活用し、議論を進めていただきたいと思います。これまでの取組の評価を踏まえた効率的・効果的な実施方法を検討する、そういう見直しの方向性について異論はございません。
制度導入後既に十数年経ておりますので、第4期に向けては、これまでの取組の評価を多面的に行った上で、各保険者の実態に則した見直しをご検討いただきたいと思います。先ほど特定保健指導の話に健診後の介入や、フォローとしてどのようなアプローチが効率的・効果的なのかと出ておりますが、従来の特定保健指導の形に必ずしも捕らわれることなく、健診後の事後フォローとして、どういうアプローチが効果的・効率的なのか、きちんと検討していくべきではないかと考えております。
○中山座長 ありがとうございました。
それでは、厚生労働省、いかがでしょうか。
○水谷医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
健保連のほうのデータについて言及していただきました。そうしたデータも、よろしければ、またお出しいただきながら議論を深めていきたいと考えてございます。
それから、まさにモデル実施というところ、保険者が創意工夫をして企画をしながらやっていく。そのために、アウトカムという1つの目標を設定して、そのために創意工夫をしていただく。あるいは、民間委託をする中でそうしたことをやっていただくということが企図されているものでございますので、そうした実態、実際にやってみてどうだったかということもよく踏まえながら、検討を進めていただきたいと考えてございます。
○中山座長 どうもありがとうございました。
それでは、武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 人間ドッグ学会からです。健診機関、それから保健指導実施機関からの意見として、2点お伝えしたいのですけれども。
まず1点目は、先ほどスケジュールで報告されましたけれども、健診等のシステム改修に、内容にもよると思うのですけれども、大体、最低半年から1年ぐらいはかかるのではないかなと思うのですね。先ほどのスケジュールは、大体1年ぐらい前にもう決まりそうという話だったので、それぐらいであれば大丈夫だと思いますけれども、一応、そういうシステム改修があまり大きくなると、費用もかかるし、日程も必要ということで、その辺も考慮していただきたいというのが1点。
それからあと、保健指導実施機関に我々の学会でアンケートを取ったところ、いまだに制度があまりよくわかっていない人が多いとか、それから保健指導そのものよりも、保健指導をする前の説明とか手続が煩雑で、面倒という意見がすごく多かったのですね。今回は、効率的・効果的な運用方法ということを探るということだと思うのですけれども、その際は、あまりその手続とかが煩雑になると、保健指導をする前にもう嫌でやめてしまう人が多くなってしまいますので、できればその辺も簡素化して、導入までがスムーズに入れるような方法も検討いただければと思います。
以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。本当に現場での阻害因子というのはいろいろなものがあると思うのですけれども、貴重な御意見ありがとうございます。
この点について、厚労省、いかがでしょうか。
○水谷医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
まず1点目の実際の健診機関のシステム改修、こうしたことは当然現場で運用していただく中で重要な要素でございますので、今申し上げたスケジュールであれば対応可能というような御趣旨と受けとめましたが、そうしたことは、当然私どもも念頭に置きながら、全体の検討スケジュールを考えてまいりたいと考えてございます。
それから2点目、まさに現場の声というのは非常に重要だと思ってございます。私どもとしては、そうした現場での運用、それともう1つはやっぱり制度の趣旨といったものもございますので、その制度の趣旨と現場の運用のバランスをどうとっていくか、そうしたことについて、今後、御議論いただきたいと考えてございます。
○中山座長 どうもありがとうございます。
それでは、次、阿部構成員、続いて田中構成員、中野構成員の順番でお願いいたします。
それでは、阿部構成員、お願いいたします。
○阿部構成員代理 ありがとうございます。日本看護協会の阿部です。鎌田にかわりまして、本日代理で出席させていただいております。5点ほど、意見を述べさせていただきたいと思います。
1点目については、大規模実証やモデル事業において、特定保健指導も一定の成果が出たということの御報告を受けましたが、モデル実施で保健指導のどのような内容が、あるいはどのような方向がアウトカムにつながったのか、さらなる分析をお願いしたい。医学的データで保険者毎に、あと対象群毎にというところも、ほかの構成員からも出ておりましたが、実際に今回どのような保健指導が、3カ月という短期間の中で効果があったのかというところも含めて、さらなる分析をお願いしたいと思います。
また、ポジティブな要因については、円滑実施に向けた手引きや標準的プログラムに記載し、保健指導の底上げにつながることが重要だと思っております。特に特定保健指導は先ほどから、委託もある程度多いというところも出ておりましたが、そのまま事業者が実施するような仕様の底上げにつながると考えておりますので、さらなる分析と公表をお願いしたいと思います。
2点目は、特定保健指導の実施においては、保健師や管理栄養士などの実施者の存在が重要だと考えております。例えば市町村国保や単一健保では特定保健指導の実施率が高いというところもあることから、加入者の健康状態を的確に把握して、丁寧に保健指導の勧奨も実施されていると思っております。成果に結びつく保健指導を実施するために、保健師などの人材確保、あと保健指導の質を向上させるような人材育成の仕組みについても、あわせて検討が必要ではないでしょうか。
3点目は、保健指導の実施についてです。現在、腹囲やBMIを重視して特定保健指導を中心に保健指導が実施されておりますが、実際の健診結果では、高血圧の方の割合や、高血糖、特定保健指導以外の対象にならないハイリスクの方、高齢者の方、低栄養の方も増加しています。これらの対応者、対象者への有効な対応についても、今後検討ができるといいのではないでしょうか。
一方で、特定保健指導以外の対象者については、保険者として重症化予防に向け優先順位が高いと判断し保健指導で介入しても、結局のところ、後期高齢者支援の加算・減算や、保険者努力支援制度の評価は、特定保健指導の実施の目標達成の観点や、糖尿病性腎症の重症化予防の取組で今現在は評価されている状況です。保健師などが地域で健康寿命の延伸に向けて優先的に介入したいと思っても、直接的に評価される仕組みとなっておりません。保険者として保健指導以外の対応に比重を置くというのは、なかなか判断が難しい状況となっていると思われます。被保険者にとって有効な保健指導による対応の検討とあわせ、それらを行う保険者の取組をも評価できるような仕組みの検討も必要と考えております。
4点目は、特定保健指導の評価期間についてです。現行では原則3カ月となっておりますが、保険者や実践者が、最終的に被保険者が健康に関する自己管理が地域・生活の場でできることということを目指して、行動変容につながる対応・介入をしているという中では、なかなか効果が出づらい短い期間となっていると思います。また、特定保健指導の対象は過年度も継続して対象となっている方、いわゆる毎年特定保健指導の対象になる方、毎年メタボ判定を受けるというような方々も結構な割合で一定程度おり、現場では、行動変容に向けた介入に時間や労力をかなり費やしているというお声もかなり聞いております。そのため、特定保健指導では、一時的ではなく、長期にわたって行動変容や検査データの改善が得られることがアウトカム評価として認められるべきところであり、特定保健指導3カ月以上の期間で、対象者本人の評価と、保険者の実施体制それぞれを評価するような仕組みの検討も、また必要と思っております。
5点目は、特定保健指導のオンライン化について推進していくというようなお話でもありましたが、ICT化を活用した保健指導を選択することがより進むことで、働いている世代の特定保健指導の実施率が上がることを期待できると考えております。ICTの活用を推進し、さらに地域の健康づくりやポピュレーションアプローチと連動した健康増進の制度づくりについても、あわせて検討をお願いしたいなと考えております。
長くなりましたが、以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。本当にいずれも重要な御指摘だと思います。
では、厚労省のほうで、1つずつ可能な範囲でよろしくお願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長 ちょっと時間の関係もあるので、簡潔にお答えしますが。
○中山座長 はい、それで結構です。お願いします。
○水谷医療介護連携政策課長 1点目は、まさにこうした事業の底上げにつながるようにという御指摘で、まさにそうした方向で今後検討していただきたいと思っています。
それから2点目、保健師、管理栄養士等の人材確保と人材育成、そうした視点も重要、それは論を待たないところでございます。
3点目、その特定保健指導以外の保健指導等々の論点につきまして、その保険者の取組を評価するみたいなところまでいきますと、若干この検討会の射程を超える部分になりますが、そこはここで結論を出すというよりは、そうしたことを御議論いただくことは可能でございますが、そこについて結論を出す場、あるいは議論をする場というのは、もう少し別の場ということになろうかと思います。
4点目、5点目のところは、3カ月といった評価期間がどうか、あるいはICTを活用した保健指導、こうしたことはまさに今回の検討会でよく御議論いただきたいと考えてございます。
以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。
保健指導について、アウトカムの評価はもちろん重視すべきですけれども、今、その中身の評価、プロセスをどういうふうに評価するかということも研究班で検討を始めていますので、またいろいろ御助言いただければと思います。どうもありがとうございました。
○五十嵐保健指導室長 すみません、健康局から1つだけ追加で。
○中山座長 どうぞ、お願いします。
○五十嵐保健指導室長 ありがとうございます。先ほどのポピュレーションアプローチの取組は、保険者をどういうふうに評価できるのかというような御意見ですけれども、こちらにつきましては、健康局のほうで「健康日本21」の医療費適正化計画と連携を進めるためにということで、現在、議論を行っているところです。まさに、この検討会で御議論いただいた内容の受け皿としては、「健康日本21」のほうの議論につなげていきたいと考えてございますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○中山座長 ありがとうございます。これは保険局と健康局の合同の検討会なので、情報共有ができて、すごくよろしいかと思います。ありがとうございました。
それでは、田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 神奈川県立保健福祉大学の田中でございます。よろしくお願いします。
私のほうは、先ほど阿部様が言っていただいた内容とほぼ同じなのですが、やはりこのモデル事業は、いろいろな取組例としてスポーツジムとかアプリとか書かれてあるのですけれども、それはどういう保険者で、どういうふうに行われたかということが詳細に分析できるものなのかどうかということをお聞きしたい。
それから、それをなるべくお示ししていただいて、評価する方向でいくというのは賛成です。それで、ぜひそちらのほうで議論できるようなステージのところでデータを出していただく。そうすると、誰がどのようにやっていくと、どういう効果が明確になってくるのではないかと。そうすると、現場のほうが動きやすいことになるのではないかと思います。
特に、例えば市町村国保でしたら、実際、特定健診・特定保健指導を受ける人は、ほぼ高齢者です。そうなってきますと、その効果というのも、ここに書いてある3カ月で2センチ・2キロと、体重の値に数字を乗じて出すということもそのステージ、ステージで違うところもあると思いますので、特にワーキングのところには詳細にお示しいただいて、具体的に検討できるようにお願いいたします。
私のほうは以上です。
○中山座長 ありがとうございました。検討会は、次回はちょっと先になってしまいますけれども、ワーキングの段階では、ぜひそういったようなデータも含めて、実質的な議論を進めていただければと思います。ありがとうございます。
何か厚労省のほうから御説明ありますでしょうか。
○田邉医療費適正化対策推進室長 適正化室長でございます。
先ほどのどのようなモデル実施の介入をしたかというデータでございますけれども、保険者様のほうでどういうことをするかという計画書を出していただいておりますので、そういう意味ではある程度はわかるのですが、一人一人の個人の方に何を細かくやったかというところまでは計画書には書いていません。詳細については、保険者さんにヒアリング等をしながら、このワーキング等の中でお出しできれば思っております。
以上でございます。
○中山座長 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それでは、次、中野構成員にお願いして、その次が岡村構成員、今村知明構成員の順番でお願いします。順番が前後していたら恐縮ですけれども、そのようにお願いいたします。
○中野構成員 国保中央会の中野と申します。よろしくお願いします。私どもとしましては、3点ほどお話をさせていただきます。
まず1点目でございますが、地方、特にへき地でございますが、集団健診の集約化が進んでおりまして、実施回数が減るなど、住民の皆さんが必ずしも特定健診等を受けやすい環境には必ずしもないというような現状になってきているところでございます。これはお願いでございますが、例えば集団健診の補助率の見直し、それからあと、例えば健診を受けやすいように、土日とか、夜間、こういった健診の補助率を上げる、こういったこともぜひ検討していただいて、多くの方々が受診しやすい環境を整備していただければと思います。
2点目でございますが、これはもう今村先生が先ほどおっしゃっていただいたこととほぼかぶるのですけれども、クレアチニンとか眼底検査は、現在、詳細検査のほうに位置づけられております。対象者の方は結果的に2回健診を受けるということになりまして、特に高齢者、働き盛りの方もそうかもしれませんが、2回健診を受けるということで負担が大きくなっているということでございます。これまでの検証結果をもとに一部を基本項目に移行させるなど、前向きな検討をお願いできればと思います。
3点目でございますが、例えば痩せている方などで、腹囲とかBMIが基準までいかないのだけれども、それにもかかわらず高血圧とか高血糖といったハイリスクな状況にある方は結構いらっしゃいます。こういった方が特定保健指導の対象から抜け落ちてしまうといった課題、これは前から指摘されているところでございますが、血圧等の検査基準の引き下げによりまして、こういった方がさらに増えてきているということでございます。こういった方への対応について、ぜひ前向きな検討をお願いできればというお願いでございます。
それから、先日「日本健康会議」の「実行宣言2025」が出されまして、保険者協議会が位置づけられたところでございまして、これにつきましては、都道府県、それから国保連合会が責任を持って、さまざまな事業の推進に向かっていきたいところと思っています。具体的には、例えば被用者保険側の皆様とデータの分析とか、特定保健指導の有効なやり方とか、こういったものについてもぜひ保険者協議会の中で検討を進めさせていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○中山座長 どうもありがとうございました。
それでは、今の点について、厚労省からお願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
まず1点目の補助率の御指摘につきましては、私ども、財政的な一定の制約の中でやっておるものでございます。そうした意味の中で、検討が必要な事項であるということを申し上げておきたいと思います。
それから2点目、3点目、詳細検査の項目の議論がございました。詳細検査の項目につきましては、そうした傾向がある方については、その場で医師の判断で行うことも可能だというような形で、いわゆる2回の負担が大きいということについて、その場で御判断いただいてやっていただくようなことも可能にするような道もあったかと思います。そうした詳細検査の項目とか、あるいは今3点目におっしゃっていただいたことは、まさにそうした積極的支援の対象者の線引きの問題だと思います。いずれにいたしましても、そうした技術的事項につきましては、別途検討するワーキング・グループなりで、今後、御議論いただくことになろうかと存じます。
○中山座長 御回答どうもありがとうございました。
それでは、岡村構成員、お願いいたします。
○岡村構成員 ありがとうございます。
保健指導については、先ほどから今後の話として遠隔を進めていくのは当然なのですけれども、遠隔がよくて対面がだめということは当然ならないでしょうから、そこは引き続き大事にしなければいけないのが1点と。
それと関連してくるのですけれども、必ず健診を受ける方のほうが保健指導に行く人よりは多いので、今は分割実施になっていますけれども、できるところは、やっぱりその健診の場を活用して、その場である程度保健指導をしてしまうべきで。面識がないと、あとまた遠隔への移行も難しいでしょうから、そういう観点で健診の場を大事にして、保健指導にも使っていくということを生かしていくべきではないかと考えています。
それから、ちょっと先ほど出てきたものの回答で、実は健診項目についての研究班を私のほうがやっておりまして、先ほどのエビデンスレベルについては、国内のガイドラインを2019年の初年度に精査していまして、外国のものとほとんど大きな差はないです。強いて言えば日本のほうが細やかであると。大まかなところ、幹だけ取ったら、もう血圧と血糖とLDLと喫煙だけ見ておけという話に最後はなってしまうのですが、日本のほうが細やかに設定されているということぐらいで、方針としては大きな違いはないということを追加させていただきたいと思います。
以上です。
○中山座長 どうもありがとうございます。岡村先生、失礼しました。先生の研究班で既にレビューされていることでしたね。どうもありがとうございました。
これについて、何か厚労省のほうから追加はありますでしょうか。
○後藤保健事業推進専門官 御質問ありがとうございます。健診と特定保健指導のその一体的な実施というところにつきましては、第3期で一部初回面談と一緒に行うというような建てつけの変更をしておりますので、こちらはさらに進めていくというにはどうしたらいいかというところを今回も検討していきたいと考えております。
以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。
それでは、今村知明構成員、お願いいたします。そのあと津下構成員、田口構成員、今村聡構成員の順でお願いいたします。お願いいたします。
○今村知明構成員 私からは、アウトカムのことが今随分議論になっていますが、このアウトカムの読み方について注意を促したいと思います。追跡調査のアウトカムというのは非常に難しいのですね。調査結果そのものは正しいのでしょうけれども、その読み方が違うということはよくあります。例えば煙草を吸っている方は、1年後に死亡率を調べると、吸っている人、吸っていない人で言えば、吸っていない人の死亡率のほうがはるかに高いですね。それはなぜかというと、病気の人は煙草を吸っていないからです。ですから、そういうもともとのバイアスというものがあって、そのバイアスをちゃんと消去してあげないと、アウトカムとしては比較できないということを、ぜひ評価する際には考えてもらいたいと思います。
例えば医療費も今議論になっていますけれども、医療費というのは、普通40歳を超えてくると、毎年その人の医療費というのは1割ぐらい上がっていきます。ですから、全員が上がっていく中で10年間追いかけたときに差が出ますかという分析になるのですね。ですから、差がありますかではなくて、差が広がりましたかという差の差分析というやり方をとらなければいけなくて、集計的にも、やっぱりもう一段上がるんです。だから、そういったことをしなければいけないし。また、その特定健診の後の医療費だけで見れば、健診のあとの医療費というのは絶対に高くなるんですね。それはもう受診するからなのです。そのあと上がってから、どれだけ下がるかということを見ると、そのフェーズによって当然アウトカムになる数字の読み方が変わるので、調査結果が正しいからといって、その正しい読み方ができているかというと、そうではないのですね。
今までも、そのアウトカムがやっといろいろなところから出てきていますけれども、そういうバイアスは、論文にはちゃんとバイアスがありますと書いてあるのですけれども、実際に読むときには極端に読んでしまっているケースがあって、アウトカムを出すことは重要なのですけれども、読むときに、ちゃんとそういうバイアスがないか、もしくはそれを最小限にするための努力をしたかということをぜひ考えて、このワーキング・グループでもやっていただきたいし、今後も、そういうアウトカムの設定を目指していただきたいと思います。
以上です。
○中山座長 今村先生、本当に重要な御指摘どうもありがとうございます。本当におっしゃるとおり、記述的な調査結果だけで見ていく話は、本当に危険で、きちんとした疫学的な視点で分析をした上で適切な解釈をするということは、やっぱり共有していかないと本当にいけないと思います。つい、いい結果が出ると、それがついいろいろ先走ってひとり歩きしてしまうかもしれません。本当にぬか喜びになってしまうこともあると思いますので、そこは慎重に地に足をつけて議論していきたいと思います。今村先生、どうもありがとうございました。
では、津下構成員、お願いいたします。
○津下構成員 ありがとうございます。
今後、特定保健指導の効果をより上げていくためにどうしたらいいのか、という観点で考えていきますと、参加者自身が前向きな気持ちでその指導を受けることがすごく重要と思います。なので、特定保健指導の場でやる気を高める、これは保健指導者は頑張るのですけれども、その前の状況が関係している部分もあります。例えば、保険者から実施率向上のために強制されるとか、毎年対象となり何となくやる気がうせるみたいなそういう気持ちになったり、モチベーションが下がった状態で来られると、なかなか結果が出しにくいということがあろうかと思います。対象者さんが、前向きに受けてもらうための工夫を、保険者、保健指導機関、それからいろいろな広報もありますので、そういうことをしっかり考えていくことが必要かなというのが1点目。
それから、受診勧奨と特定保健指導の関係性の整理というか、受診勧奨判定値で数字がかなり高くても、メタボ該当だと、治療していないと特定保健指導に入ります。それで受診勧奨を頑張ってやって受診してしまうと、特定保健指導脱落になってしまうという。治療につながれば、それは指導としては完了して、いい方向へいったので、それは評価しないと。検査値がかなり悪いとわかっていても3カ月間引っぱってしまうということにもつながっていくのではないかと思います。なので、この受診勧奨と特定保健指導の関係性は、受診勧奨をきちんとできたら、それをきちんと評価するような形が必要なのかなと思っているところです。
それから、今回ワーキング・グループでまた御指名いただきました。私は開始時からずっとこの制度を見てきたものですから、また頑張らなければと思っていますけれども、保険者の二極化が気になっています。こういうモデル実施とか頑張っていらっしゃる保険者さんと、加算対象になり、なかなか実施率が上がっていかない保険者さんと両極端あります。そして、今回、モデル実施でいい事例から、こうあるべきということを出していくことはある程度可能かもしれませんけれども、一方では、低いところをどう底上げしていくかということが大きな課題です。誰がどう応援していけば、そういうのは上がっていくのか。そこの中で期待しているのが、先ほど中野構成員からも言われました保険者協議会単位で底上げすることかと思います。そのようなことも、ここのワーキングで検討すべきかどうなのかということですね。
いい事例については、それをやるべきとしてしまうと、もう低いところはついていけない状況になってしまうので、落としどころとして、制度化、制度に組み込めるところと、理想的にはこうしたらいいのではないかという、二層的な話し合いになっていくのかなというふうに思ったのですけれども、そのような理解でよろしいのかどうなのかということを確認させていただければと思います。
以上です。
○中山座長 津下構成員、どうもありがとうございました。本当にもう一番初めからごらんになっている先生だからこそ感じられている点だと思いますけれども。
今の点、いかがでしょうか。いろいろ重要な点があったと思いますけれども、厚労省のほう、お願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
1点目、2点目のところ、これは御指摘を踏まえて、またワーキングで御検討いただきたいと思っています。
それから3点目に御指摘いただいた点ですが、まさに、非常に工夫をして頑張っておられる保険者と、必ずしもそういう状況にない保険者がある中で、そうした頑張っているところのものから抽出して、それを制度にしていく、それも1つのアプローチでございます。また、そうした中で、そこに必ずしも入っていけないところをどう底上げしていくかということも、重要なアプローチだと思ってございます。この検討会では、そうした両者のところを含めて、御議論をいただきたいと考えてございます。
○中山座長 どうもありがとうございました。本当に受診したり、指導を受ける御本人や、それから、そのサポートをされる保健職や、それから保険者自身が、あまりディスカレッジされないような、何かセルフエスティームを高められるような仕組みづくりが本当に必要だなというふうに感じました。どうもありがとうございました。
では、田口構成員、お願いいたします。
○田口構成員 慶応義塾大学の田口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。2点質問と2点コメントなのですけれども。
1点目の質問で、モデル実施のあたりで御説明があったのですが、今後はアウトカム評価である体重とか腹囲といった身体的な指標になっていくというふうに説明がありました。その中、身体的指標に限られているのかというところのお尋ねなのですけれども、その身体的指標の一歩手前、アウトカムをどこまで含めるかという話になってくるかと思うのですが、行動変容とかの指標も今回含む余地があるのかどうかというあたりをちょっとお尋ねしたいなと思いました。理由として、やはりなかなか成果が見えにくいところで、保険者さんとしてはモチベーションが失われるということもあるかと思うので、その辺の今回の方向性というところをちょっと確認させていただきたいと思いました。
もう1点なのですけれども、問診項目について、先ほど御説明があって、少し有効活用されるように、いろいろエビデンスの整理とかがなされているように伺ったのですけれども、それがちょっと今回どこまでされているかというところをお伺いしたいなと思っておりました。今後、ワーキングの作業等にもかかわるのかもしれないのですけれども、せっかく聴取されている問診項目が、なかなか活用されていないという実態も伺っているので。その理由として、多分、問診項目の目的や、あと活用方法というのが明確でないということもあるのかなと思っておりますので、このエビデンスの整理というところをできればというふうにちょっと私自身は考えたのですけれども、その辺はいかがでしょうかというところと。
あと、これ自身がポピュレーションアプローチへの活用にも結構有効なのではないかと思っておりまして、自治体だったり、会社だったり、企業だったりということで、そのあたりが、今回どこまでそういうポピュレーションの部分が議論の中に入ってくるのかという、データヘルス計画への連動とか、そのあたりがどこまで入ってくるのかなというところをちょっとお伺いしたいと思いました。
あと、コメントが2点ほどあるのですが、1点は高齢者の保健指導についてです。マニュアルの記載にあるとおり、高齢者とフレイルに着目した対応に徐々にシフトするというような記載があったりするのですけれども、その基準がちょっとあいまいかなと。なかなか難しいところだとは思うのですけれども。なので、なかなか高齢者に適切な介入というのができているかというところは疑問に思っている点なので、そういう数値の考慮の仕方とか、そのあたりの具体化というところが必要なのではないかと考えております。
もう1点は、ICTの活用は大いに行っていく必要があるかなと思うのですけれども、効果の検証というのはやっぱり不足しているかなと思うので、エビデンス収集等、その辺が必要だと思いました。
以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。
後半はコメントということで、前半の御質問について、厚労省からの回答が可能であれば、お願いいたします。
○田邉医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。
1点目の行動変容ですけれども、先生も御存知のように、現在でも、最初の保健指導の第1回のときにプロチャスカの行動変容ステージを使って、評価を行っているかと思います。ですので、おっしゃるとおり、最後のところでも、同じように評価をし、アウトカムの指標でというのは、方向性としてはあると考えておりますので、むしろそのあたりも含めてワーキングのほうで御検討いただければなと思っております。
2点目のエビデンスのところは、まさに、今、中山先生、岡村先生に整理をいただいているところだというふうに認識をしておりまして、そのあたりの結果をワーキング等々で活用させていただければと。それを踏まえた御検討、データヘルスも含めて何とかと思っておりますので、中山先生、そんなような感じで大丈夫でございましょうか。
○中山座長 ありがとうございます。エビデンスのレビューは、私の班や岡村先生のところでしております。実際の問診項目がどういうふうに使われていることの実地調査を、今、健康局のほうとも相談をして、必要ではないかということで今計画をしているところです。その実地調査の実態がわかれば、ぜひ皆さんと共有したいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、今村聡構成員、お願いいたします。
○今村聡構成員 ありがとうございます。2点ございます。
まず全体として、今後の進め方と見直しの方向性というのについては、これで結構なのではないかと。ワーキング・グループも含めて、これでよろしいかと思っております。
2点申し上げたいことがあります。
1点は、今後、ICTの活用ということで、いわゆるオンラインによる保健指導というのは、これは進めるべきだという御意見もありました。私もそのとおりだと思います。今、オンラインについては、オンライン診療であるとか、あるいは服薬指導の問題というのはいろいろ議論されておりますけれども、それより以前に、このオンラインの保健指導については、もう随分前から認められています。それがどの程度現状で実施されているのかというデータが明確にされていないと思っています。ICTを活用する特定保健指導の実施に対する手引きを見ますと、システムを活用したオンラインの保健指導とそうでないものを区別していません。初回からシステムを活用した保健指導する場合には報告書を提出しなければならないけれども、対面による初回面接をして、その後の継続的支援をオンラインで行った場合には報告の義務がないということになっています。
したがって、現状、システムがどれだけ活用されたということがわからない、検証できないという仕組みになっていますので、そういったことを根本的に見直していただく必要があると思います。保険診療のように、対面でないと、いろいろな情報が得られないという状況でも、オンライン診療を国が進めていこうという背景がある中で、システムを活用した遠隔保健指導については、検査データを対面時に改めて取る必要がないわけですから、もっと活用されるべきだと思っておりますので、そこを検証できるようにするためには、今申し上げたような整備をしっかりしていただく必要があるのではないかなと思っております。
それからもう1点、田口先生からもあった問診の活用ということで、これは保険局の会でも私は何度も申し上げているのですけれども、いわゆる喫煙率、日本の喫煙率については、「健康日本21」の中でも随分議論されておりますし、医療者からすると、やっぱり喫煙をどれだけ減らしていくかというのは大変重要な要素なのですけれども、日本人の喫煙率というのは、厚労省的に言うと、健康局の国民健康栄養調査のデータを活用されているということになります。先生方は御専門なので、ある程度限られた人数の中で、対面で聴取したようなデータということで極めてバイアスがかかりやすい中ですけれども、特定健診・保健指導の問診からは、一千数百万人方のデータが収集されていて、保険者ごとに相当の差があって、なおかつ働いている世代の喫煙率というのは非常に高いということだと思います。OECDのヘルスデータを見ても、日本の呼吸器疾患の死亡率というのは、他国に比べると非常に悪い成績になっていて、やっぱり喫煙率を正確に把握して活用するということを、先ほども申し上げましたけれども、保険者ごとの健康格差の問題にもつながるようなことなので、この辺、厚労省のお考えもあるかと思いますけれども、保険局・健康局2つの局が今回合同で会議をされているわけですから、問診項目の活用ということも、先ほど田口先生がおっしゃったように、ぜひ活用していただければと思っております。
以上2点、よろしくお願いいたします。
○中山座長 重要な御提言どうもありがとうございました。
厚労省、いかがでしょうか。
○田邉医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。
1点目の報告のところでございますけれども、御承知のとおりで。3期のところから、移行措置でしばらく残っていたかと思うのですが、現在はICTの活用の部分での報告書は義務としてはなくさせていただいておりますので、おっしゃるとおりの方向で見直しをさせていただいていると思います。
○松村女性の健康推進室長 続きまして、もう1点御指摘いただきました喫煙率について、回答差し上げたいと思います。今村先生御指摘のように、今、健康日本21の中で、喫煙率12%という目標を置いた上で、国民健康・栄養調査のデータを使って見ているということは事実でございます。一方で、先生の御指摘のように、この問診の利活用のあり方というのは、中山先生の研究班の中でも実態調査も含めて状況を確認いただきたいと思っておりますので、「健康日本21」のほうでの喫煙の状況の把握ということも、今回いただいた情報を活用しながら、連携した形でやらせていただければと考えております。
以上でございます。
○今村聡構成員 ありがとうございました。
1点目ですけれども、そうすると、現在は手引きの中身が変わっているので、どれだけオンラインで保健指導をしたかというデータは出ているという理解でよろしいのでしょうか。
○田邉医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。
すみません。そこの細かいデータは、ちょっとNDBの確認をさせていただきます。すみません。持ち帰らせていただきます。
○今村聡構成員 ぜひよろしくお願いします。まず進めてほしいオンラインを活用した保健指導があまりされていないのに、対面が必要である保険診療でどんどん先に進めるというような、ちょっと国として矛盾した方向に行っているのではないかなと思いますので、ぜひともそこはデータをしっかり出していただいて、議論できるようにしていただければと思います。
○中山座長 どうも、今村構成員。
厚労省はよろしいですか。
○田邉医療費適正化対策推進室長 はい。おっしゃるとおりだと思いますので、データのほうは了解しました。
○中山座長 以前に比べて本当に活用できるデータ、収集されているものもたくさんあるので、そこはぜひ活用していきましょう。この機会に活用できればと思います。どうもありがとうございました。
それでは、室原構成員、続いて中島構成員でお願いいたします。
○室原構成員 ありがとうございます。名古屋大学循環器内科の室原と申します。
コメントでございますが、やはり健診をされるということで、保健指導に行っていただくというのは大変大事かと思うのですが、やはり一方で未病の方を見つけるということも非常に意義が大きいと思います。特に例えば血圧が180ぐらいあるとして、直ちにクリニックに行っていただきたいような方ですね、そういう方で受診が必要な方が実際に受診したという、そういう受診率の判定などもぜひお願いいただければと思います。ここ2年はやはりコロナ禍で受診控えが多分野で起きておりまして、循環器内科でも心筋梗塞の患者さんが遅れて病院に来られるとか、あと、がんでは、今年がんの診断のついた患者が非常に減っているということで、これは恐らく見かけ上で、実際は例年と同じくらいいらっしゃり、来年になってから進行した手遅れのようながんの方が大変増えるのではないか、というふうに皆さん危惧をしておられます。そういった意味で、受診率の評価なども、ぜひお願いできればと思います。
以上です。
○中山座長 ありがとうございました。
今の点、これも重要な点だと思いますけれども、健診で医療機関の受診勧奨が出て、そのあとのことについてというのは、何か厚労省のほうから追加の情報はありますでしょうか。
○田邉医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。
保険者インセンティブのところで、受診勧奨レベルの方のその後の受診の状況というものを調べているところもございますので、また、お出しできるデータがございましたら、ワーキング等々を含めて共有させていただこうと思いますので。すみません。
○中山座長 では、そのように、その方向でよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。何度もすみません。
ちょっと局面が違うことでございますけれども、保険者によります事業主健診データの取得について、要望といいますか、意見を申し上げたいと思います。保険者による特定健診については、保険者が事業主健診データを提供いただくことで、特定健診の実施に代えることができるという仕組みになっておりまして、昨年12月には、厚労省から事業主健診結果を保険者にデータ提供していくに当たって、それを促進するために、健診機関と事業主の間で取り交わす契約書のひな型をお示しいただいて、その中で、保険者からの申し出があれば、健診機関からデータを提供していただくという内容を盛り込んでいただいたところでございます。
ただ、現実に私どもの各支部の実情を聞いてみますと、事業主と健診機関の間で、必ずしも契約書という形で、書面を取り交わしておられる事例はそう多くないということでございまして、ひな型の契約書を提示していただいても、そもそも契約書を取り交わしている事例もあまりないのだということでございます。
今後、特定健診の受診率を向上させる、さらには40歳未満の健診データについても、保険者が取得し、健康づくりに活かすという形の制度改正も行われたところでございまして、やはり事業主健診データの提供をしっかりいただくということが、保険者としての責任を果たす意味でも重要かと思ってございます。そういう意味では、この場、ワーキングも含めてなのかもしれませんが、こうした現状も踏まえ、保険者に対して事業主健診データが一層提供されるような方策について、この通知の周知徹底も含め、御議論いただければと思ってございます。よろしくお願いいたします。
○中山座長 どうもありがとうございました。
事業主健診データの提供ということで、これは、厚労省、いかがでしょうか。
○水谷医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。
今、中島構成員から御指摘ございましたとおり、令和3年6月に、法改正によりまして、保険者が保健事業に活用できるよう、40歳未満の方に係る事業主健診情報を保険者に集約するための規定が措置をされたところでございますが、この40歳未満の情報にかかわらず、まさに保険者が事業主と連携をして、生涯を通じて予防・健康づくり、それに役立てていただくということは非常に重要なことだと思っております。
今、中島構成員から御指摘があったように、そうしたことについて、今、書面で契約が結ばれているかどうかといったような、そうした実情の観点が1つ。それからもう1つは、やはり保険者といってもさまざまな形がございます。単一健保では、そういった意味で、事業主と保険者の連携が取りやすいといったような要素もあろうかと思いますが、総合健保、あるいは協会けんぽでは、多数の中小の事業者が加盟しており、必ずしもそうした連携というのが、先ほどの前者の事例と比べると容易ではないといった状況もあろうかと思います。
そうした状況を踏まえながら、今申し上げた事業主の健診の情報をどうやって保険者に集約していくか。そのために、どういった環境整備が必要かということについては、この検討会とはちょっと別な場で、また御議論をいただきたいと思ってございますので、引き続き御協力をお願いできれば思ってございます。
以上です。
○中山座長 御回答どうもありがとうございました。
一応、今、挙手をされている方はいらっしゃいませんけれども、もし、あと1人、お2人ぐらい、あればお受けしたいと思います。よろしいでしょうか。
では、ありがとうございます。非常に活発にさまざまなお立場から重要な御指摘、御提案をいただいたかと思います。今回の御意見をもとにして、また厚労省、保険局、健康局で、いろいろ御調整を進められて、それでワーキングのほうも充実した形で進めていただければと思います。そのための必要な追加データということも、ワーキングのほうにも提供して議論を進めていただきたいと思います。
それでは、引き続き議論を深めて、新しい健診のシステムに向けて、皆さんと御一緒に取組を進めていければというふうに願っております。本当に長時間にわたりまして、熱心な御議論どうもありがとうございました。
それでは、事務局のほうから、次回の日程と連絡事項をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○後藤保健事業推進専門官 事務局でございます。
次回の検討会の日程は事務局で調整の上、改めて御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○中山座長 それでは、少し早いですけれども、非常に実りの多い意見交換ができたのではないかと感じております。
それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しい中、御参集いただきまして、本当にどうもありがとうございました。活発なご議論、心から感謝申し上げます。どうもありがとうございました。