2022年11月29日第3回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」議事録

日時

令和4年11月29日(火)10:00~12:00

場所

オンラインによる開催

出席者

【構成員】

議題

議題
(1) 強度行動障害 者支援における 人材 育成 に係る研究報告
(2) 十分な専門性を持って日常的な支援を担う「中核的人材」の育成、
高度な専門性を持って困難事例等に対する助言ができる「指導的人材」の育成について
(3) 「中核的人材」に対する「指導的人材」の支援体制の在り方、地域の中での配置、ネットワークの構築について
(4) その他

議事

議事内容
2022-11-29 第3回強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会
 
○事務局 それでは、定刻となりましたので、これより第3回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
本会議は、資料、議事ともに原則公開としており、議事録については、後日、厚生労働省のホームページに掲載予定となっております。
また、本会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、報道関係者及び一般の方の傍聴は御遠慮いただき、代わりに会議の模様をYouTubeによるライブ配信にて公開しておりますので、御承知おきください。
本日の構成員の出席状況でございますが、橋詰構成員の代理で、日本相談支援専門員協会代表理事の菊本様に御出席いただいております。また、渡邊構成員については御欠席でございます。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
配付資料のとおり、議事次第、開催要綱のほか、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2となっております。不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。大丈夫でしょうか。
それでは、カメラ等の撮影はここまでとなります。御退室のほうをお願いいたします。
(報道関係者退室)
○事務局 それでは、以降の議事進行につきましては、市川座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○市川座長 おはようございます。皆様、よろしくお願いします。前回は欠席して申し訳ございませんでした。本日は、全体として、支援人材の育成について検討してまいりたいと思います。
まずは、事務局から資料の説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。資料を説明させていただきます。
資料1は、強度行動障害者支援における人材育成に係る研究報告になりまして、この後、一般社団法人全日本自閉症支援者協会政策委員の志賀様より御説明をいただきます。
資料2、強度行動障害支援における人材育成についての主な検討事項(案)につきましては、本日の議論のテーマとなる強度行動障害を有する者の支援人材の育成についての検討事項の案をお示ししておるものでございます。資料2につきましては、後ほど議事(2)のところで改めて説明をさせていただきたく思います。
参考資料につきましては、参考資料1は強度行動障害支援者養成研修についてでございます。こちらの参考資料では、現在実施しております強度行動障害支援者養成研修、基礎研修、実践研修について掲載しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
参考資料2は、前回の検討会における実践報告について構成員からの質問に対する回答でございます。こちらも御参照いただければと思います。
事務局からは以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
では、議事に入ります。
議事「(1)強度行動障害者支援における人材育成に係る研究報告」として、全日本自閉症支援者協会政策委員の志賀様より御報告をいただきます。志賀様、よろしくお願いします。
○志賀先生 おはようございます。一般社団法人全日本自閉症支援者協会政策委員の志賀利一です。音声は大丈夫でしょうか。
2019年度より3年間、当方の全自者協において障害者総合福祉推進事業の補助を受けて実施した調査研究の内容を簡単に報告させていただきます。
画面共有ができませんでしょうか。すみません、こちらでは画面共有が無効になりますが。
できるようになりました。ありがとうございます。
それでは、資料の説明をさせていただきます。
3年間の研究事業の背景についてです。こちらのほうは、その前年度、2018年度、のぞみの園で実施された研究の結果の一部のまとめです。全国の都道府県の強度行動障害支援者養成研修担当者の方が、今の研修だけでは不十分であり、あるいは加算の仕組み等でも不十分であり、実際の支援の現場における強度行動障害者支援の向上になかなかつながらないと考えており、さらに、実際の現場でスーパービジョン・コンサルテーション等の人材養成のフォローアップがさらに必要であるという意見が多数寄せられているのが分かるグラフでございます。
実際、強度行動障害支援者養成研修は2013年度からスタートしている研修ですが、この図にありますとおり、1つは、PDCAサイクルを実際の支援の現場で回しながらチームで支援力を向上していく。さらに、自閉症を中心とした障害特性を理解する。ここでは氷山モデルの絵を描いてありますが、目に見える行動の問題だけではなくて背景を考える。この2つの内容を中心とした研修が行われており、この研修のプログラムは、1991年の厚生省の心身障害研究(石井班)以降、最後は多分2006年度の厚生労働科学研究(飯田班)まで長く研究をされていた実践研究のまとめ、プラス、先行しておりました行動援護従業者養成研修の内容を組み合わせて基礎と実践を実施しているものでございます。
全自者協の3年間の研究事業の内容は主にこの3つです。
初年度は、強度行動障害者に携わる者に対する体系的な支援スキルの向上及びスーパーバイズ等に関する研究ということ。ここでスーパーバイズ、コンサルテーションという名前が出てきました。いろいろ広範囲で使われている内容ですが、本研究では非常にシンプルに、スーパービジョン、スーパーバイズのほうは専門的知識・スキル等を有している組織(法人)内の人材が中心となって支援力向上に向けての人材養成を行うこと、コンサルテーションは一定期間継続的に組織(法人)外の人材(コンサルタント)から専門的な知識・スキルを学んでいくものということで、それぞれの立ち位置が組織内か外かということで分けて研究を進めさせていただいています。
2020年度は、そのうちコンサルテーションに特化して、可能であればコンサルテーションを行う人材養成の在り方を考えるというのが研究テーマでした。
2021年度は、名前が「中核的な人材」ということで、組織内の中核的な人材養成の支援はどうあるべきか、さらに、それを支える地方自治体の取組はどうだったかというのが調査の目的でした。
3年間の研究事業の基本的な仮説です。こちらのほうは海外の論文をまとめたものです。この表を見ていただくと、一番上の段「理論と討議」。まさに現在の強度行動障害支援者養成研修ですが、実際に講義を受け、それから、グループワーク等で討議をする形式だと、そのトレーニングの成果として、知識は10%の人が獲得できるだろう。スキルは5%。そして、実際の現場ではどうかというと、ほとんど可能性はないだろうという研究成果が出ております。
では、どうするか。一番下の、実際の現場で実施してサポートとフィードバックを受ける。まさにOJTを行うことで現場での活用の可能性も95%という結果が出ており、これを参考に研究を進めてきたということです。
知識を学び、スキルの習得が求められるいわゆる実践現場の支援というのは、知識・経験が豊富なリーダー。さらに、利用者支援をチームで年単位でPDCAを回しながらOJTをしていく。さらに、それにより様々な支援員の気づきがあり、利用者の変化があることで支援力が向上する。至ってシンプルな良質なOJTによる学びが大切である、それをベースに考えていきましょうということでした。
では、仮説・検証①として、知識と経験豊富なリーダーです。全国892の生活介護事業所へのアンケート調査の結果では、強度行動障害支援者養成研修の内容に準じた支援を行っているというのが13%でした。これは自己評価ではありますが、13%の事業所が行っていますということでした。まだこのときはコロナ禍でも動けた時期で、こうやって行われている全国15カ所の事業所に訪問調査をしたところ、その活用事例としては、右上には4つのパターンが書いてありますが、幾つかのパターンがあり、その中でコンサルテーションの活用事例が意外と多い。アンケート調査の内容については、自閉症eサービス、北摂杉の子会等、数字を書いてありますが、こういったものが名前としてよく挙がっておりました。
コンサルテーションの活用事例が意外と多い。自らの組織において強度行動障害者支援のスーパービジョンが可能な人材を採用する、持っているということはなかなか容易ではないということで、強度行動障害支援者養成研修に準じた支援、こういったコンサルテーションを採用する場合が非常に多いということでした。
検証の2番目です。チームで年単位のOJTを行うということです。では、実際にコンサルテーションを行っている事業所でどのようなことが行われていたのか、また、コンサルタントとしてどのようなことに気をつけて行っていたのかをまとめたのが2年目でした。これはあくまでも標準的な支援、いわゆる強度行動障害支援者養成研修で学んでいる内容を十分行えている事業所、組織を対象ではなくて、これまでは行っていない中で初めて学ぶということに着目して行ったものです。その中には、コンサルタントは実際の支援チームのコアチームに行動障害がある特定の利用者を想定して継続的にPDCAを回していくというのが行われていたということです。このコンサルテーションを利用する事業所の運営管理責任者向けにちょっとしたプロセスをまとめたガイドを作成いたしました。
コンサルテーションの特徴は、左側に書きましたが、コンサルタントはモデル利用者のアセスメントに積極的に直接関与していること、1年以上継続的に支援チームのOJTに関わり続けていること、支援の結果をチームで発表する場をしっかり準備していること、そして、コンサルタントと支援チームのつなぎ役の存在、いわゆる支援チームの中のリーダー、マネジメントをするリーダー等の役割が大切であるということが分かってきました。
中核的人材養成についてのこれまでの研究のまとめということで、2021年度、3年目にはこういった問題意識を持ちました。2019年度から2020年度まで、先ほど言いましたとおり、知識・経験豊富なリーダー、PDCAを回しながら実際にOJTで学んでいく。その中の気づきと利用者の変化で支援力が向上していく。こういった流れを作るOJTが重要であるということが分かってきました。
さらに2021年度は、こういったコンサルテーションができるリーダーの数は必ずしも十分ではない。そのリーダーを養成する2年目ではリーダーがどのようなことをやっているかはまとめられましたが、リーダーを養成するというところまでは2021年度はなかなか難しいだろうということで、段階的な人材養成として、いわゆるコンサルタントのパートナーとなる、支援チームの中の、組織の中のリーダーを養成していきましょう、そういったことに着目していく。さらに、そういった養成されたリーダーを大切にする、地域の中で活躍させている地方自治体の好事例も考えてみようというのが2021年度の課題でした。
下の②から先に説明しますが、チームのマネジメントをする人材養成として、事業所内の直接支援チームのOJTをマネジメントする人材養成研修をオンラインで9日間・20時間のプログラムで実施しました。
次のスライドで説明します。
もう一つの①は地方自治体単位の好事例収集です。地方自治体のほうも大きく考えているテーマとしては、9カ所の自治体では直接支援を提供する事業所をいかに増やすかが大きなテーマでした。その背景としては、1993年の強度行動障害特別処遇事業以降、都道府県内の大規模な専門施設で強度行動障害者支援を行い、うまくいけば地域移行というモデルというのは、最近の様々な虐待事件等ではなかなか難しく現実的な方法論ではないというのがまず1点。もう一つは、強度行動障害支援者養成研修がスタートして、もうすぐ修了者が10万人ということで、各都道府県で着実に実施されており、その研修をステップに新たな取組を行っている自治体が幾つも存在しているということです。そういった中で、地域の、例えば生活介護、グループホーム、障害者支援施設全てがというのは現実的ではないかもしれないですが、2割、3割、強度行動障害の受入れ支援ができるという体制を目指しているという内容がほとんどでした。
それでは、次のスライドです。
昨年、実際に行ったオンライン研修ですが、上のほうは、コンサルテーションによるPDCAサイクルを回しながらチームの支援力を向上させるやり方です。チームで特定の利用者に対して、一定期間内、手順書によってテーマに沿った記録をして実践をしている。コンサルタントを交えて振り返るということです。これと同じことがオンラインではできません。
なぜ中核的人材でこれでやったか。オンラインでは、12人の参加者がほかの施設のチームでの進め方を同時に聞くことができるだろうということで、前半部分、9日間のうちの3日間は、モデルケースを画面で見ながら、ワークシートの使い方等をチームリーダーになる人が個人で在宅で話をして、各チームに分かれてそれぞれ議論、参加者同士でワークをするという方法でした。
後半は、それぞれの参加者が自分の職場で、支援チームはこのチームでやりますということを既に決めてもらって、対象の利用者も決めてもらって、テーマ設定された内容にワークシートを活用してアセスメントをして、どういう支援をチームで行ったか。そのチームで回す際の苦労であったり、うまくいった内容を次週報告するという形の研修でした。自分の職場だけではなくて、他の実践も聞きながら学ぶというのは、チームリーダー養成には非常に有効だろうと考えておりました。
まとめです。現在の強度行動障害支援の大きな課題は、生活介護、グループホーム、施設入所等の障害福祉サービス事業所で、一人一人の障害特性に配慮した直接支援がなかなか提供できていないことだと思います。強度行動障害支援者養成研修がスタートしてもうすぐ10年です。サービス等利用計画、個別支援計画といったいわゆるプランニングをする、あるいは相談調整をする、生活の質を高める研修はたくさんありましたが、直接支援でどのように日々行えばいいかという研修はなかなかない中で、強度行動障害支援者養成研修ができてきたのだと思います。
左下の図で、いわゆる個人が学ぶ階層Ⅰ、支援者が標準的な支援を個人で学ぶところから、いかに標準的な支援を多く事業所で定着していくか、階層Ⅱに上げていくかというのが今の課題だと思います。
3年間の全自者協の研究事業では、直接支援のチームで年単位のOJTにより学ぶことなしにこれは難しいということが分かってきた。その際に、知識とスキルのあるリーダーが必要であり、そのリーダーを活用しながらOJTを続けていくことで、利用者の生活が変わっていき、支援力が向上していく。まさに至って標準的な結論になりました。
問題は、そのリーダーをどうやって養成していくか。その養成されたリーダーをどのように活用していくかというのは、今後まだまだ考えていかなくてはならない内容だと考えております。
私の話は以上になります。
○市川座長 志賀様、ありがとうございました。
ただいまの志賀様の御報告につきまして、御存じの方も多いかもしれませんので、御報告の内容に限定して御質問等があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。挙手していただけると御指名いたします。
井上構成員。
○井上構成員 鳥取大学の井上です。
非常に意義のある研究成果をありがとうございます。志賀先生の班のこの研究というのはもう一歩さらに進める必要があるのかなと、今、拝見して改めて感じました。最終的にこの事業のKPIとして、個人の側では、知識、対処技能は多分向上したと思います。あと、ストレスの減少。この事業でバーンアウトする職員も多い中、そういったものもあったのかなと思っています。対象者に関しては、対象者の行動変容は発表化されているので、恐らくかなりの成果が上がったのではないかと思っています。
個人と対象者に関してこうしたKPIを客観的に出していくことと、私が次のステップかなと思いましたのは、事業所のほうの変容で、これを継続的にやっていくと、例えば受入人数が増加していくとか、年度をまたいで持続可能性がどれぐらいあるかということに関しては、引き続きこういった研究を継続していただければと思いました。
以上です。
○市川座長 一緒にコメントということでよろしいですか。
ほかにはいらっしゃいますか。
では、田中構成員、お願いします。
○田中構成員 全国手をつなぐ育成会連合会の田中です。
大変有意義な研究報告をいただき、ありがとうございました。個別の支援者に個別の座学的な情報提供だけでは難しいと言われていたものが、一定こういった研究成果として表れていますので、今後は、お話しいただいたオンラインの活用の可能性も含めて、早急に数の拡大を確保していく必要があるのではないかと思っています。
今回、事業所単位で支援チームを作ることにおいて、一方で、経営層の法人としての態度も必要になってくるのではないかと思いますが、この研究をする中で志賀さんのほうで感じられたことを教えていただければと思います。
○市川座長 お願いします。
○志賀先生 確かに、組織内ということで、コンサルテーションを受けるほうでもそうですし、こういった研修に参加することでもそうですけれども、法人組織としてそういうコンセンサスがある程度得られないと先に進めないという問題があります。そういった啓発の部分は一つ非常に必要だと思います。
もう一つは、直接支援のチームを作るというのがなかなか。福祉の現場では、そういう相談調整、サービス等利用計画といわゆる個人の目の前の支援をすることの研修の意義はなかなか分けづらい。チームの作り方も、サービス調整を中心としたチームを作ったり、そういった部分もあるので、こういった研修の類型化ではないですけれども、意図をちゃんと伝えて研修を行っていくのが大切かなと思っております。
以上です。
○市川座長 ほかにはございますでしょうか。
福島構成員、どうぞ。
○福島構成員 志賀さんの御報告、ありがとうございました。研究によって、今まで強度行動障害支援者養成研修は進んだものの現場でなかなか生かせないという大きな課題に対して、一歩も二歩も進んできたという印象を持ちました。
私は、事業所を運営する立場として、どうやったら実際にこの内容を事業所の中で、また、私の事業所だけではなく地域のいろいろな事業所にも参画してもらえるかということを念頭に置きながらお聞かせいただきました。
1つ、もう少し志賀さんにお聞きしたかったのは、中核人材養成研修のモデル研修を実施されたということだったのですが、この際に、前半がリモートでモデル的な事業検討を、後半もリモートで自分のところの利用者さんを対象に事例検討のようなことを行ったということでよろしいのでしょうか。
○志賀先生 そのとおりです。オールリモートですが、前半はある特定の動画を見ながら、モデルを見て、宿題をやって、次の日みんなで議論をする。アセスメントの基本的な研修の進め方を学ぶのが前半です。後半は、各受講生が自分の職場で1週間チームで記録をつけたり、チームで議論をした内容を受講者がグループワークでみんなで話し合う。それをコーディネーターがみんなで調整するということを初めて試みたというところです。
○福島構成員 ありがとうございます。
その中で、前半は実践のための予行演習を行い、皆さんで学んだことを後半に自分のところでやるということだと思うのですが、自分のところでやるときに、それぞれの事業所の中でどの程度対象の方の情報を取ったり、職員の方たちと一緒に話合いをするのに時間がかかったか、それに対する職員さんたちの負担の度合いなど、現場の中でどのぐらい実現可能なのか、その辺のところが現場の中に落とし込んでいくときに少し議論にもなるかと思っていて、その辺まで分かれば今後普及させていくためにはいいかと思いました。
以上です。
○志賀先生 ありがとうございます。
○市川座長 ありがとうございました。
ほかには。
それでは、菊本参考人、お願いします。
○菊本参考人 日本相談支援専門員協会の菊本でございます。今日は橋詰委員の代わりで参加をさせていただいております。ありがとうございます。
1つお聞きしたいというか。志賀先生、本当に有意義な研究を報告していただいて、裾野が大分広がってきていることを数字をもってお示しいただきましたので、これは本当に進めていかなければいけないことだなと思って聞いておりました。
その中で1つ聞かせていただきたいのですが、今日のスライドの資料の中にあります階層Ⅲですか、広域地域におけるというところまで広げていくことが最終的な目標だということで、私も同感したいところです。
相談支援という立場で地域に入っていたり、前職が社会福祉協議会というところで仕事をしておりましたので、地域に入っていきますと、強度行動障害という名称というかカテゴライズ、この言葉が、住民の方であったり、福祉に入ってまだ間もない人からの印象とか、あとは、福祉関係者の中にもありますけれども、言葉としては非常に強いというか、怖いというか、そういう言葉に感じ取れるという御意見をいろいろといただいたのです。ですので、今日の検討のテーマと違うとは思っておりますけれども、行く行くはその階層Ⅲを目指していくのだとすると、この障害についている、もしかすると医学的な見地から正しい表現方法なのかもしれませんけれども、もう少し理解が進む、もう少し軟らかい言葉で表現をしていくことが、これから育てていく人材の無形効果というか、後押しするような効果にならないかなと思いますけれども、そのような点についてはどのようにお考えでしょうか。
長くなりましたが、以上です。
○志賀先生 名称とスティグマの関係というのはやはり大きな問題だとは思いますが、今回地方自治体の調査等をやって幾つか聞いた中で、非常にいいのは、強度行動障害支援者養成研修があり、それを運営しているチーム、ファシリテーター・講師とか、あるいは実践方法をやっているチームがかなり力強くなっている地域では、この問題を地域で解決していきたいという自治体と一緒にやっているところが非常に多いことが分かったということで、すごい励みになったということがございます。直接の回答ではありませんが、そういったところであります。
○市川座長 ありがとうございました。
まだありますか。
○菊本参考人 すみません。
ですので、もし志賀先生の取組を無形効果的に後押ししていくことになりますと、当然、今回の議論の中で全てを入れ込むことは私も希望いたしませんけれども、別の機会を捉えて、国がこの名称の在り方についてはどこかの時点で考えて検討し、もう少し適切なというか、住民理解が得られるような言葉に早めに変更していかないと、言葉の問題というのは、広まった後ですと修正をかけていくことが非常に難しくなります。例えばひきこもりの問題もそうですけれども、神奈川県では、これを「こもりびと」という表現に変えて住民に理解を進めているという自治体も出てきています。ですので、私が若い学生の頃は、それこそ「精神薄弱者福祉法」などという名前から今の「知的障害者福祉法」という法律名に変わっていますので、早い時点でこれも国の責任として御検討いただけないかなと。今回の議論から少し外れる御提案でございました。
以上でございます。
○市川座長 菊本参考人、ありがとうございました。
それでは、會田構成員、お願いします。
○會田構成員 備前精神医療センターの會田と申します。志賀さん、貴重な御報告をありがとうございました。
この標準的な支援が地域で定着する事業所を増やしていく中で、やはり医療の関与というのが不可欠な部分があると思うのです。外来であったり、恐らく急性期の入院治療であったりと思うのですけれども、志賀さんがこの研究をされた中で、どのような部分で特に医療の関与が必要という御意見等がございましたら、よろしくお願いします。
○志賀先生 回答がなかなか難しいのですけれども、医療と強度行動障害の問題は、医療機関しかショートステイがないとか、いろいろなタイプの方がいらっしゃるので、医療との関係というのは切っても切れない、外せないというのがまず一つあります。
ただ、今回の研修と人材養成というのは、事業所に来た人たちに対して目の前でどのような支援をするかを中心に考えるプログラムだったので、いわゆるサービス等利用計画とか、相談調整の話については今回のところでは余り立ち入っていない。もっと言えば、利用者一人一人の生活の質としてどうやって向上されるかを真っすぐ突き進んでいるわけではなくて、事業所のほうで何とか穏やかに過ごせる支援をどうするかのところまでの中核的な人材なので、今回の研究の内容ではそこまで突っ込んだことはなかなかできておりません。
以上です。
○會田構成員 ありがとうございました。
○市川座長 どうもありがとうございました。
よろしいですか。
それでは、続きまして、議事の(2)に行きたいと思います。十分な専門性を持って日常的な支援を担う「中核的人材」の育成、高度な専門性を持って困難事例等に対する助言ができる「指導的人材」の育成について議論したいと思います。
では、事務局から資料説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
資料2につきまして、すみません、今、こちらの不手際で画面共有ができない状況になっています。時間の関係もございますので、皆さん、お手元の資料2を御覧いただき、今、こちらから口頭で説明させていただくのと併せて御確認いただければと思います。
資料2につきましては「強度行動障害支援における人材育成について 主な検討事項(案)」ということで、本日の議論のテーマ「強度行動障害を有する者の支援人材の育成について」の検討事項(案)をお示ししたものでございます。
資料2の最初のスライドにつきましては、第1回目の検討会のときにお示ししたスライドの再掲でございます。論点のところで、強度行動障害を有する者の支援人材の育成・配置についてどのように考えるか。(1)十分な専門性を持って日常的な支援を担う「中核的人材」、高度な専門性を持って困難事例等に対する助言ができる「指導的人材」の育成、(2)「中核的人材」に対する「指導的人材」の支援体制の在り方、地域の中での配置、ネットワークの構築としてお示しさせていただいております。
(1)につきましては、1と2に分けて次のスライドから検討(案)としてお示しさせていただいております。
(1)-1としまして、十分な専門性を持って日常的な支援を担う「中核的人材」の育成。(検討の視点の例)として、強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)については、それぞれ自閉症支援に携わったことのない人も受講しやすいように構成されており、受講者数は広がっている。一方で、障害特性や支援の手順の基本的な知識は獲得できたとしても、それらが実際の現場での支援実践に生かされにくい状況があり、さらなる人材育成の重要性が指摘されている。強度行動障害者支援者養成研修の内容を踏まえて、現場において適切な支援を実施し、組織の中で適切な指導・助言ができる人材が必要であると考えられ、その人材を「中核的人材」と位置づけて育成してはどうか。その際、「中核的人材」の育成方法についてはどのように考えるか。また、「中核的人材」を育成する上で、現在の強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)の位置づけについてどのように考えるかというようなところで挙げさせていただいております。
続きまして、(1)-2としまして、高度な専門性を持って困難事例等に対する助言ができる「指導的人材」の育成。(検討の視点の例)というところで、「中核的人材」が現場において適切な支援を実施することが重要であるが、それでも著しい行動障害が生じてしまった対応困難な事例について、現場の中核的人材等に対して指導助言(コンサルテーション等)が可能な専門性を有する人材を「指導的人材」と位置づけて育成してはどうか。その際、「指導的人材」が備えるべき専門性としてはどのようなものがあるかというふうにさせていただいております。そこに専門性の例として、構造化、機能分析、アセスメント、保護者支援、組織アプローチ、コミュニケーション支援、コーチング等を挙げさせていただいておりまして、具体的な専門性としてはどのようなものがあるかというところでお示ししているところでございます。また、「指導的人材」の育成方法についてはどのように考えるかといったところでお示ししているのが(1)-2でございます。
続きまして、(2)につきましては、「中核的人材」に対する「指導的人材」の支援体制の在り方、地域の中での配置、ネットワークの構築。(検討の視点の例)としまして、中核的人材に対して指導的人材が支援の指導助言(コンサルテーション等)を円滑に進めるための課題や方策等についてどのように考えるか。中核的人材や指導的人材について、強度行動障害者の支援に係る既存の資源(障害福祉サービス事業所等、計画相談、委託・基幹相談、地域生活支援拠点等、発達障害者支援センター[発達障害者地域支援マネジャー]等)を含め、どのような範囲(市町村、圏域、都道府県等)でどの程度の人数の配置を想定するか。また、各機関の連携、ネットワークの在り方をどのように考えるかといったところで(2)をお示ししているところでございます。
次のスライドにおきましては、近年、令和に入ってからですが、強度行動障害に関する調査・研究について参考として載せさせていただいております。先ほど志賀様より御報告いただきました障害者総合福祉推進事業の調査・研究も含めて示させていただいており、また、厚生労働科学研究においては、令和4年から「福祉分野における強度行動障害支援の指導的人材のための専門研修プログラムの開発および強度行動障害の地域支援体制の在り方についての研究」、そして「医療機関での入院における強度行動障害者の専門プログラムの整備と地域移行に資する研究」といった2本が現在進んでいるところでございます。
そして、最後のスライドです。
中核的人材、そして指導的人材を含めて、先ほど御説明させていただいたことを踏まえたイメージ図として参考にお示しさせていただいておりますので、御参照いただければと思います。
事務局からは以上になります。
○市川座長 ありがとうございました。
それでは、今、事務局から挙げていただいた3つの問題について、構成員の皆様から意見を伺いたいと思います。
まず最初は、(1)-1、十分な専門性を持って日常的な支援を行う「中核的人材」の育成について、構成員の皆様から御意見を伺いたいと思います。
それでは、意見のある方は、Zoomの「手を挙げる」機能を使って意思表示をしていただけたらありがたいのですが、いかがでしょうか。
画面の上で私のほうから見させていただきますけれども、松上構成員、お願いします。
○松上構成員 全自者協の松上でございます。
私が所属しているというか、理事長をしております大阪府の北摂杉の子会では、大阪府と連携しながら、6つの保健福祉圏域でいわゆる中核的人材の育成の取組をしております。私自身も、対人援助専門職としての人材育成というのはスーパービジョンをベースとしてOJTベースで育成していく、その育成に当たるのがスーパーバイザーだと思っております。そういうことでいうと、中核的人材というのはスーパーバイザーですよね。その組織の中における人材を育成する人という位置づけになると思いますし、今、大阪府の重度知的障がい者体制整備事業では、6つの法人を私どもがコンサルテーションしながら、それぞれの事業所におけるスーパーバイザー、組織の人材を育成する核となる人材育成をしているわけです。
その指導的人材の育成というのは、大阪府の体制整備事業でいいますと、6つの法人の中核的人材、スーパーバイザーを育成するスーパー・スーパーバイザーの役割だと思っておりまして、そういうふうなところから、今後、スーパー・スーパーバイザー、要するに指導的人材をどのように育成していくのかということが、地域での支援者を育成していく上でも重要になるのではないかと思っておりますし、位置づけとしてはそのように考えております。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
続きまして、樋口構成員、お願いします。
○樋口構成員 樋口です。
私からは、第1回の検討会で御報告させていただいた当協会が実施しました全国実態調査の結果を、途中重なるところもあると思うのですけれども、改めて申し上げておきたいと思います。
強度行動障害支援者養成研修の受講者は居宅系事業で72.1%、多くの著しい行動障害がある方が生活する障害者支援施設の生活支援員2万2610人の62.5%が受講を済ませています。研修を受講した支援者が現場に配置されることによって、支援の質、支援方法の標準化は一定進んだと言える一方で、受講後の評価について問うたところ、56.6%が「研修の成果あり」と答え、残りの43.4%の施設が「懐疑的」と答えています。この肯定的評価が5割強という数値は、先ほどの御報告にもあったかと思いますけれども、他の研修と比較して、その内容の抜本的な見直しが求められているレベルではないかと思います。
今後の当該研修の在り方についてですけれども、強度行動障害支援に限らず障害支援の現場では様々な専門性が求められます。人材育成、専門性については、当協会の加盟施設においても格差があるのが現状です。加えて、近年一気に、株式会社を初めとする多様な事業主体の増加によって支援者の経験年数も非常に短くなっているという現実もあります。2万人にも上る強度行動障害の該当者の数を考えると、支援者の専門性は非常に脆弱であり、当協会としても専門性の確保・育成は喫緊の課題として捉えています。
今後の研修の在り方として2点申し上げたいと思います。
1点目は、強度行動障害研修を受講したからといってすぐに現場でそうした人たちへの支援が担えるものではありません。強行研修以前に現場では障害理解についての様々な専門知識が幅広く求められています。既存の資源の活用という視点で考えると、体系的に整備され、長い歴史、実績がある当協会の研修プログラムをぜひ積極的に活用していただきたいと考えています。
2点目は、当協会が去る6月に障害者部会に資料提出させていただいた、より身近な地域、各都道府県に少なくとも1カ所の設置を求めている集中支援や、緊急時の受入れが可能となる行動障害生活支援センターの設置に合わせて、現場で強度行動障害自立支援を担う支援者が個別ケースの実践事例を実習できる機能をぜひ付加していただきたい。そのようにしていただくのはどうかと考えております。
私からは以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
続きまして、井上構成員、お願いします。
○井上構成員 ありがとうございます。井上です。
指導的人材、それから中核的人材、例えば専門性を発揮していただく人も多分いろいろなレベルがあると思います。一番トップで、指導者を育成する指導者、松上先生がスーパー・スーパーバイザーとおっしゃったのですけれども、そういったものというのは、強度行動障害と限定した場合にどれぐらいの人数がいるかというと、非常に限られた人達がエリアにいるということでよいのかと思います。
一方では、知的障害のないタイプの方の行動障害というものが長く指摘されていた部分があります。地域というエリアを広げていくと、そういったタイプの方の相談というのが通常の通所の事業所などからもかなり多くなるのではないかと思います。そういったときに、養成するポイントとしては、ニーズを調べながら、適切に対応できるために、大学などの研究機関と現場とが連携して、実際に現場におられる人と幾つかの地域の大学が連携したような形の育成システムをとられると、お互いのノーハウを交流できて、しかも、そんなに多くの人数ではない指導的な人材というのが機能的に配置できるために効率的ではないかと思います。
一方、その下の中核的人材というのは、各地域の事情というのが多分あると思うので、先ほど委員の方がおっしゃられたような、もともとあった部分の研修システムをベースにしながら、必要なものが幾つかあると思うのです。1つは、予防的な対応が十分でなかったのではないかということと、学校との連携というのが非常に難しいだろう。学校コンサルテーションをどうするかというのと、世界的な傾向として、機能的アセスメントというのがある程度できないと、なぜ問題行動が起こるのかという個別評価のところが非常に弱いのかと思います。
階層的な形で養成するというのは非常に賛成です。
以上です。ありがとうございます。
○市川座長 ありがとうございました。
続きまして、田中構成員、お願いします。
○田中構成員 育成会の田中です。
この中核的人材の育成に関して、既存の強度行動障害支援者養成研修が、既にここに示されているような8万7000人、4万6000人の受講者実績があるわけですけれども、この仕組みと実際に支援の現場で修得できるもの、例えば自働車運転免許の取得になぞらえると、座学と、車を動かし教習所内や路上教習をやる仕組みに似ているのではないかと思っております。特に強度行動障害支援者養成研修は、以前に、行動援護の研修をなぞって高めていったという経緯がありますので、かなり初心者向けに特性の理解が分かっていただきやすいように組み立てられている。中核的人材になるには、もう一つ具体的な実践、研修が必要だといろいろな方面からも意見があるところだと思っております。
ですので、先ほどの志賀さんの研究報告の中でチーム支援がベースになっているオンライン研修というのは、例えると、車の運転の教習所内教習に近いものがあるかなと思っています。今いる人たちへの対応をチームプレーでやっていくということを徹底する。このチームプレーでやるということに関して十分な配慮が事業所や法人の姿勢にあるかということも併せて検討がされるべきだと思っておりますので、単に研修の仕組み、この研修のプログラムがいいから提供すればいいというだけではなくて、もう一つ踏み込んだPDCAサイクルを回すための基本的な対応も検討する必要があるのではないかと思っております。
それらを調整していくためのこの次の課題となる専門性の高い人たちの支援と連動する部分もあると思いますが、今回提示された中核的人材の育成の視点でいえば、強度行動障害支援者養成研修の実行、プラス、環境調整ができるような施設現場での対応をどう具体化していくかということでいうと、経営層にも行動障害を受け入れるための研修などを打つ必要があるのではないかと思っております。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
ほかには御発言。
福島構成員、お願いします。
○福島構成員 ありがとうございます。
まず、中核的人材についての位置づけなのですけれども、今、私の認識では、資料を読み込む限り、各事業所の中で1人ないし2人か分かりませんが、コンサルの方との橋渡しができる存在のように思っております。そうしたときに、この中核的人材という言い方は、それぞれの事業所ごとに1人いるということを考えると、この育成のプログラムに関してはハードルが余り高過ぎると、逆に各事業所の方たちの配置に対するハードルが上がりそうなことをすごく懸念しているところです。
例えば、先ほど志賀さんに説明いただいたモデル研修も、各地で開催されているフォローアップ研修やアドバンス研修とエッセンスが非常に似ているように思いましたけれども、私たち佐賀のほうでもそのような研修を自分たちで自主的にやっている中で、意識の高い事業所さんはすすんで来られますけれども、そうでもない事業所さんはそこまでという感じもありますので、どういう事業者さんも参加しやすい、参加できる、多分その位置づけとか内容の質と量のバランスといいますか、受けやすさというのは非常に難しいバランスといいますか、余りにも高いハードルを課し過ぎると、受けるほうとしてはハードルが高くなることを懸念していますので、そのあたりを含めて中核的人材の育成のプログラムを考えていく必要があるのではないかと思いました。
ありがとうございます。
○市川座長 ありがとうございました。
それでは、菊本参考人、お願いします。
○菊本参考人 日本相談支援専門員協会の菊本でございます。
私も今、田中構成員や福島構成員の発言を受けて思ったことなのですけれども、あと、先ほどの志賀先生のチームで支援していくということについても非常に重要で大事な視点だと思っています。そうしますと、今回お示しいただいている「中核的人材」という言い方も仮称になっていますけれども、それから「指導的人材」も仮称になっていますが、チームをつくって支援をしていくことが原理原則だろうと思います。このネーミングですと、この人に頼ればいいとか、この人に聞けば全部教えてくれるという思考になりやすいと思いますので、言葉の問題で恐縮ですけれども、チームで支援を行っていくことの中核なのかどうなのか、リーダーなのかというような、ネーミングの仕方に御留意いただいた議論を進めていただく。今、福島構成員がおっしゃっていたように、その受講者というか、そういう適任者を育てていこうとしたときに、ハードルが高まらない配慮が何か必要ではないかと感じました。
以上でございます。
○市川座長 ありがとうございました。
ほかにはいらっしゃいますか。
では、副座長、どうぞ。
○日詰座長代理 日詰です。
厚労省の資料に「十分な専門性を持って」という中核的人材のネーミングがあるのですけれども、この中核的人材自身が支援技術の専門性を持ってもらいたいのは確かにそうなのですが、今、皆さんがお話になったように、スーパーバイザーや地域のほかの事業所ときちんとつなぐことができて、自分の事業所の中にもチームがつくれる、そういう要素がとても必要な人なのだという意味での専門性もあると理解したほうがいいのかなと感じました。それが1つ。
先ほど福島構成員が言われたように、意識の高い事業所しかそういう人を置かないとか、事例研をやっても出てこないということがあるので、事務所内のチームづくりができる、あるいは地域とつなぐというチームづくりができる中核的人材を何かしらこの報酬の中にも位置づけていかないと、仕組みとして広がらなかったり、経営者層が投資できないという状況が続くのかなと思いました。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
ほかにはいらっしゃいませんか。
それでは、2番目のテーマ、(1)-2に入りたいと思います。高度な専門性を持って困難事例等に対する助言ができる「指導的人材」の育成です。これについても構成員の皆様から御意見を伺いたいと思います。御意見のある方は挙手をお願いいたします。
では、松上構成員、お願いします。
○松上構成員 指導的人材の育成についてですけれども、井上先生が御提案いただいているように、大学との連携というのが、人材育成をする上で特に指導的人材が必要だなと思っておりますし、御指摘のように、機能分析というのがしっかりできる、アセスメントもしっかりできるということも、スキル、専門性としては非常に重要なことだなと思っております。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
ほかに御意見のある方は挙手をお願いいたします。
では、私から。
専門性の例としてちょっと挙げてあるのですけれども、私、この中に、できたらほかの分野を。例えば、先ほど出てきた医療とか教育とか、そういったこととの連携もちょっと視野に入れていただけたらと思うので、発言させてもらいます。
それでは、福島構成員、お願いします。
○福島構成員 ありがとうございます。
まず、どの程度の人数の配置を想定するかというテーマも上がっています。こちらのほうは、各地域の中でこの指導的人材がどのぐらい必要かということだと思います。そのためには、前提としては、強度行動障害の方が地域にどれぐらいいらっしゃるかという実態把握が進んでいる途中だと思いますので、それが明らかになって、その中でさらにこういう指導的人材が関わって支援をやっていかないといけないケースがどれぐらいあるか、そういうことを積み上げていくと、指導的人材がどれぐらい必要かということが分かってくるのではないかと思いました。
もう一つ、例えば、私たちの地元で考えますと、非常に専門性のある事業所、法人がありますけれども、先ほど松上さんがおっしゃったスーパー・スーパーバイザーになる方というのは地域の中で本当に限られた方だと思うのです。今、その方たちが自分のところから出ることが非常に難しくなってきていると思います。自分のところでも非常に大きな役割を果たしていらっしゃいますので、地域のことをやるために時間を割くということに御苦労されています。今後、指導的人材の育成の後に、そういう方たちに地域で活躍してもらうためにも、どうやったら地域で活動できるかという環境整備も必要になってくるのではないかなと思いました。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
続きまして、田中構成員、お願いします。
○田中構成員 育成会の田中です。
この専門性の高い指導的人材に関しては、まずは、強度行動障害支援者養成研修をベースにこの専門性を高めていくことに関しては、話題になっている標準的な支援を意識して整理した中で、この専門性がこの縦軸の部分で広がっていくことに関して強く求めていく必要があるのではないかと思います。
特に、先ほどお伝えしたように、強度行動障害支援者養成研修が座学にとどまっていて、中核的人材がチームプレーを作るといったときに、その先導役というかガイドをしていく役割になります。この指導的人材の人も現場を踏まえての実践経験が十分にないとその役割が果たせないということもありますので、フィールドとしてこの標準的な支援を提供していく枠組みをきちっと確保していく必要もあるかと思います。それについては次の課題のところで具体的にまた提案したいと思いますけれども、標準的な支援をしっかり実践できて、それが指導できる人という視点でこの指導的人材をまず位置づける。横軸の部分に関しては、様々な専門性が必要とされますので、そういった方たちも受け止められるような位置づけにしていく必要があるかと思っています。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
続きまして、松上構成員、お願いします。
○松上構成員 指導的人材についてどのぐらいの数が必要かということなのです。大阪府における中核的人材の育成について言いますと、今、6法人が加盟していて、私たちはコアメンバーと言っているのですけれども、中核的人材を各法人から5人から10人出していただいているのです。チームとして支援する上ではこういう複数のコアメンバーがいて、お互いに学び合い成長していく関係というのはすごく重要だなと思っています。
各法人を月1回訪れてコンサルテーションをするという形で進めていまして、大体1人、2人でこの6法人を月1回のコンサルテーションで回しているという感じです。専任で行っているという形になっていて、費用も大阪府が半分出して、各法人、加盟事業所も半分費用を負担してもらって、私どもの人件費を何とかサポートしていただいているという感じです。
兵庫県も入っていまして、今、5法人が兵庫県と連携していますけれども、そこも1人で回っているという感じです。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
ほかにはいらっしゃいませんか。
では、副座長、どうぞ。
○日詰座長代理 日詰です。
指導的人材、今、数の話も出てきています。多分、みんながうんという人はそんなにいないのではないかということがきっと裏にあるのだろうなと思いました。実際、自分もそうだなと思っております。ただ、今の時代、オンラインが広がってきているので、例えば県外からでもICTを使ってアドバイスをするという形はできるので、数が足りない間はいろいろな広域とかいう形でも対応できるのかなとは思います。
今、私たちはこの指導的人材の調査・研究をさせていただいていて、いろいろな自治体にもヒアリングをしている中で、こういう人には指導的人材にはなってほしくないというイメージもお聞きしていて、例えば相談があったときに長く放置をするとか、あるいは強圧的な具体的な対応を奨励するとか指導するとか、そういう人はやめてほしいという意見は聞きます。なので、こういう現場の中核的人材から相談があったときに、自治体とつなぐとか、すぐに技術的なアドバイスをすることがとても必要だと思ってはいるのです。一旦こうなってしまうと、迷っているのも大変なので、その辺の、やってはいけないことというイメージも半分持ちながら議論していったほうがいいように思っていました。
以上です。
○市川座長 ありがとうございます。
ほかにはございませんか。
では、井上構成員、どうぞ。
○井上構成員 つけ加えのような形になって申し訳ないのですけれども、先ほどの日詰委員のところにも関連するのですが、スーパーバイザーが現場に入るときに一番難しいのは、対象の人、主に指導プログラムを作ったりしている、その現場、事業所の中のリーダーの方だけではなくて、そのリーダーのもとで実際に支援に関わっているいろいろなスタッフのそれぞれのスキルや心理的なものや身体的な限界というのもあるので、そういったものをアセスメントする必要があると思うのです。組織アプローチの中にぜひ入れ込んでほしいのは、各事業所をスーパービジョンして歩くときに、各事業所の構成員というか組織全体に対するアセスメントをしていただくようなスキルがないと、その事業所には合わない難しいアプローチをしてしまったり、スーパービジョンを受ける側がスーパーバイザーに気を遣って、申し訳ありませんとか、実際にはやれていないのに、結構頑張っているのですけれどもとなってしまったりするので、その辺の組織アプローチの中に組織のアセスメントをきちっと入れられるような形のカリキュラムが重要かなと思いました。
○市川座長 ありがとうございます。
ほかにはございませんでしょうか。
それでは、(2)の「中核的人材」に対する「指導的人材」の支援体制の在り方、地域の中での配置について、構成員の皆様の御意見を伺いたいと思います。これについてはいかがでしょうか。
それでは、田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 育成会の田中です。
先ほどの専門性の高い指導的人材の育成のときに、縦軸とお伝えしまして、この中核的人材と指導的人材の支援体制の在り方に関しては、地域の中でのネットワークの構築が重要になりますので、横軸の部分をどう広げていくかというふうに考えております。
ネットワークという場合に、何となく網が広がっているように思われるだけでは、多分、セーフティーネットとなってぴんと張れるようなものにはならなくて、何となく横のつながりが人間関係も含めて用意されているだけということですと、サービスにつながらずに、育成会においては2年前に厚労省宛てに、サービスにつながらない人たちが多数いることに対して具体策を求めたいということで要望書を出しておりますので、そういった実態に応える仕組みを作っていただきたいというのが基本的な立場です。
まず行政がこの軸になるべきですが、行政がいきなりこの専門性の高いとこに入っていくのは、自治体によっては可能かもしれませんが、異動が多い多くの自治体ではなかなか難しいと思います。仕組みとしては、基幹相談がここをきちんと担っていくことを行動障害の支援体制を構築する立場では求めていく必要があるかと思います。
そして実態としては、強度行動障害にはちょっと距離が遠いと感じている発達障害者支援センターにおいても、法的には処遇困難な緊急時の対応はこの発達障害者支援センターが担うというふうに位置づいていると聞いておりますので、この基幹相談と発達障害者支援センターが、もちろん行政をベースにして、ネットワークの網をかける柱となって問題として受け止めていく。対応策が具体的にすぐにはできないとしても、聞き置いて何もしないということにならないような体制を作っていく中で、この中核的人材と指導的人材が具体的にセーフティーネットで受け止めなければいけない人に対して何をするべきなのかということも意識していただけるような配置にネットワークの構築を作っていただければと希望しております。
以上になります。
○市川座長 ありがとうございました。
ほかには。                                                                         
會田構成員、お願いします。
○會田構成員 肥前精神医療センターの會田です。
地域の中でのネットワークの構築という部分では、医療の関与を求められる事例も多いですし、2016年の市川座長の厚労科研の中では、アンケート調査が返ってきただけでも、2年以上の一般精神科病院での知的発達障害の入院患者さんが約1000名おられるということがありました。
しかし、その1000名の方々の入院患者さんに対し、特に自閉スペクトラム症などの発達障害に対する専門的な応用行動分析・構造化とか、そういう手法を導入している病院というのは1.5%と非常に少なく、一般精神科病院での発達障害支援の専門性の遅れというのがかなりあると思います。そのようなことを是正しないと、地域の中で支えていくネットワークの一つとして医療機関が有効に作用できないのではないかと思っています。今日は福祉のほうでの人材育成のお話ですけれども、医療の中での人材育成といいますか、研修の整備というのがかなり求められて、それがうまくいくことで、逆に地域移行がうまくいくのではないかと考えています。
今日加藤専門官のほうから御紹介いただきました「入院中の強度行動障害者への支援・介入の専門プログラムの整備と地域移行に資する研究」中でも、そのような研修による医療の知識の底上げというか、専門性の向上が必要なのではないかと考えています。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
続きまして、松上構成員、お願いします。
○松上構成員 検討の視点の中で、どのような範囲、市町村、圏域、都道府県でということでしたけれども、大阪の事例を挙げますと、6つの保健福祉圏域で、今のところ1カ所の法人さんに対する中核的人材の育成、コアメンバーの育成というのをしているわけです。実際にコンサルテーションをする中で、事例の検討をする中で、法人さんだけではなくて、地域の相談支援の事業所とか、関わっている事業所、それから、市の担当者も一緒にケース会議に入るという地域的広がりが出てきておりますので、まず圏域で。兵庫県でも9ブロックに分けて来年からやるということですから、まず圏域レベルで考えながら、大阪府としては、次の段階として、圏域で人材育成をした法人がほかの事業所と共同で実践していくというか検討していく。また、コンサルテーションで圏域に入っていくという形で広げていく。そのようなことが実際的ではないかと思っています。
それと、先ほどの井上先生の御提案の組織アセスメントというのは本当に重要です。コンサルテーションに入るときに、その組織全体のアセスメントは重要ですし、組織としての目標設定も共通理解としてしっかりと持ってコンサルテーションをする。組織の要望、ニーズに沿ったコンサルテーションをしていくことが本当に重要ですし、組織のアセスメントというのはコンサルタントとしては重要な資質だと私自身も思っています。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
それでは、井上構成員、お願いします。
○井上構成員 ありがとうございます。
松上先生の先ほどの意見の追加的なものになるのですが、多分、行政の大きさ、規模によって支援体制、ネットワークをどうするかというのは変わってくると思うのです。鳥取県の場合ですが、今、強度行動障害のある方に在宅支援のネットワークを作っています。3年目になります。3年間で実践してきたことは、インターネットを使った月1回のネットワークミーティングで事例検討会を2時間かけて行っています。鳥取県の場合、人口57万人で、東部、中部、西部という3圏域にまたがっているのですが、県全体として、東部の事例、西部の事例という形で、近々で支援が必要な事例について複数でミーティングをしています。
その中で続けてきて分かったのは、昨年度、會田先生にも御相談したのですが、強度行動障害のある方で手術が必要だという事例があって、入院事案もあったのですが、そのときに医療との連携が非常に必要だということで、検討会議は、中核的人材と呼ばれるような、強度行動障害の支援が実務的にできて指導できる福祉現場にいる専門家の方に頼んで、幾つかの事業所からベストメンバーをピックアップして選んでいただいたのです。その中でも、医療の連携ができる機関として、子どもの心の診療拠点病院推進室ですか、発達障害のほかの施策で各都道府県政令市に設置されていると思うのですが、そういうところのメンバー。それから、支援につながらない人たちからの情報、支援につながらなくて孤立している人たちに対する情報を得るために、育成会や自閉症協会などの人、親の会の代表の人にサブメンバーとして入っていただいています。ある程度機能化していけば、月1回のネットミーティングで方向性を決めて、進捗を都度都度SNSで共有しながら進めていくと、非常に柔軟性のある運用の仕方ができていくかなと思います。
最後に1点ですが、支援した法人の指導員が実力をつけていただいてSVになっていくという戦略を今取っているのですけれども、持続可能性を高めていく上で、こういった中核的人材を含めたネットワークを機能化させることで、次の中核的人材の候補者がそこでピックアップされるといった形を考えていくことも重要かなと思いました。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
続きまして、福島構成員、お願いします。
○福島構成員 ありがとうございます。
先ほどの私の発言なのですけれども、ちょっと先走ってしまって(2)の内容をお話ししてしまったようです。本当に申し訳ありません。
その追加なのですけれども、(2)の支援体制の在り方やネットワークの構築を進める上では、そこを中心的に進める機関なり仕組みがないと多分進んでいかないだろうと思います。地域の中では、例えば自立支援協議会の中に強度行動障害部会ができたり、または、発達障害者支援地域協議会の中に強度行動障害支援部会ができたりという事例もあるかと思います。そのように、行政の中でもこの強度行動障害支援の体制づくりのための部会というのをある程度必須にしていただいて、そこを中心に、地域でしっかりと連携してやっていく仕組みがあったほうがいいのではないかと思っております。
もう一点は、先ほど井上先生もおっしゃったように、今、強度行動障害支援者研修や各地でのフォローアップやアドバンス研修などを実践されている中で、その取組の中で支援体制のネットワークの礎ができているという事例もあるかと思うのです。
強度行動障害支援者養成研修の講師の方は、必然的に地域の中で実践してきた方たちが集まってきていますし、今後、中核的人材育成の研修等々を進める中で、さらにそこにスーパーバイズできる人材みたいな方たちが入ってくるわけですので、研修を受けた方がさらに講師になり、スーパーバイザーになっていく。このような仕組みづくりがこの体制づくりやネットワーク構築にも大きく寄与するのではないかと思います。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
続きまして、樋口構成員、どうぞ。
○樋口構成員 先ほどの井上先生のお話にもつながるのですけれども、前回、京都での取組の実践事例を報告させてもらったのですが、毎年15ケースとか20ケースとか、たった6年、コロナ禍の中にあって、70ケースを超える申込みがあるのです。市町村を窓口として、基幹も当然絡んで、それぞれの地域によって違うのですけれども、そういうところを窓口にしてやっていることが非常に有効ではないかと思う。申込みの一番多いのは、やはり事業所の職員さんというか、事業所からなのです。そういうところで、京都式というか、伴走式というか、伴走してともに学んでいく。決して高いスキルではないかもしれないけれども、実際に困窮されている対象者への実践事業を通してつながっていく、学んでいく。それがまた地域につながっていく一本になっていくというか、そういうふうにして支援者の輪を広げていく仕組みを何とか京都でつくりたいと思ってやっているのです。
中核的人材の育成というのも非常に大事なことだと思うのですけれども、本当に待ったなしで、そういう困窮状態にある人たちの支援の方法としてはここのところを。それを待っているわけにいかないので、実際に地域のネットワークの仕組みを行政が中に入ってつくっていく。時間はかかるけれども、地域にくまなくそういうことを広げる。それに尽きるのではないかと思ってやっているわけです。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
ほかには御意見ございませんか。
では、田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 育成会の田中です。
先ほどネットワークのお話をさせていただいたときに、エリアを余りお伝えできなかったので補足させていただきたいのです。
先ほどお伝えしたネットワークの網をかける柱としては、まずは都道府県単位で、自分たちのエリアの行動障害でお困りの方に関してはきちんと対応するというフレームをつくっていただきたいというのが一番強い思いで、柱を立ててほしいとお伝えしました。
その上で、地域格差は様々にありますけれども、地域生活支援拠点事業をもっと強化して、ここで中核的人材が学べたり、指導的人材が発見できるということ。既存の施設の職員がこれを担うだけでは指導的人材に関してはなかなか難しいのではないかと思います。地域の中で所属する先としては、地域生活支援拠点等のような、全体を我が街のこととして見渡せる視点の方たちに、基幹相談でもいいかと思いますけれども、実践的なことですので、どちらかというと支援現場を持っている方のほうがいいかなと思います。そういう方たちが対応していく。大きなフレームとしては都道府県ですけれども、基本的には市町村もしくは保健福祉圏域の中で解決していって、さらに困難なケースは全体で見ていく。そういう意味では、自立支援協議会、都道府県の仕組みももっと強化して、標準化された支援が届いていくような流れをそれぞれの都道府県においても計画していただくことが必要になってくるだろうと思っています。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
それでは、樋口構成員、どうぞ。
○樋口構成員 今、田中さんがおっしゃったことがより現実的な手法だと思います。やはり地域生活拠点の緊急受入れとか集中支援、そのような機能を高めていくという方法が現状に一番即したことではないかと思います。そのためには、やはりそこを強化していただきたい。地域生活拠点の面的整備の中でも、緊急時の受入れというのはそういう機能が要るわけですね。そこにコーディネーターができるような人の配置とか、そういうことが付加されないと、それがなかなか実行機能を持たないと考えられるので、そこを強化していただきたいと思います。
○市川座長 では、井上構成員、どうぞ。
○井上構成員 ありがとうございます。
私も、例えば行政が県単位で行っていく場合に、県のほうが委託事業としてぽんと投げてしまうのではなくて、一定の報告を求めて、その方向性についても県がある程度関与するような仕組みが重要ではないかと思います。在宅での支援を3年間やっていった中で上がってきた地域独特の課題というのがありまして、例えばショートステイで受入先が非常に少ないという問題が起こったときに、そのあたりのことを障害者計画等に盛り込んで進めていただく、行政施策にきちっと反映していくことが非常に大事になると思います。
中核的人材で支援するチームをつくって、先ほど申し上げたように、医療の関係者、心理の関係者というふうに当事者の親の会の人たちも適時入れながら一つ一つの事例を丁寧に解決していくことが非常に重要なのですけれども、その中で上がってきた地域の問題を地域の行政の仕組みづくりに反映するようなネットワークづくりが必要になってくるのではないかと思いました。
以上です。
○市川座長 ありがとうございます。
続きまして、會田構成員、お願いします。
○會田構成員 肥前の會田です。
このネットワーク構築の問題でもそうなのですけれども、あと、先ほど(1)-2で市川座長が言われた、指導的人材の役割として医療・教育との連携も入れてほしいというところと関係するのですけれども、例えば短期、長期にかかわらず入院から退院困難になっている方々について考えたときに、地域の中で福祉事業所の体験利用等をして、地域の支援体制を再構築・再検討していく際に、相談支援員さんの動きによったり、地域支援の格差によったりして福祉の方々からの提案がないと、非常に難渋することとなります。病院のケースワーカーさんが四苦八苦して行き先を考えたりしても、なかなかうまくいかないというのを研究の中でも通説に体験しています。先ほど田中構成員が言われたような基幹相談の役割や発達障害者支援センターの役割の明確化、これまで構成員の方々が言われたような地域の中での協議会の構成の必須化とか、そういうところをしていただく中で、ある程度重篤な、医療もしっかり関与することが必要な事例に関してはどういう仕組みが必要なのかというのを福祉側からも決めていただいて、地域移行がうまくできるといいなと考えます。
以上です。
○市川座長 ありがとうございます。
それでは、日詰副座長。
○日詰座長代理 ありがとうございます。
今、會田構成員が言われた医療、教育も入れるとすると、自立支援協議会のほかに、例えば発達障害の地域支援協議会というのも法律に書いてあって、そちらのほうが医療と教育が既に巻き込まれているので、使ってもいいかなと思います。アバウトなのですけれども。
それと、自分も県の行政担当者だったこともあって感じていることは、基幹相談支援と発達障害者支援センターというのは核にはなると思うのですが、どちらかでいいよという話になると、大体押し付け合いみたいな形になりますので、必ずこの両方、加えて事業所、精神科病院、知的障害福祉協議会の事業所とか全自者協の事業所。入れるとかというふうにある程度枠を決めて、その担当者も必ず出るようにというぐらいしていくと、先ほど井上構成員が言われた何らかの施策化という話がきちんと見えてくるのではないかと思います。どこでこの問題を取り上げていくのかというのは、枠組みをつくったほうがいいなというのは私も感じました。
以上です。
○市川座長 では、松上構成員、お願いします。
○松上構成員 少し席を外していましてすみません。
ネットワークの在り方については、発達障害者支援センターをどうするかというのは大きな課題だと思うのです。最近の事例でいいますと、大阪のある政令指定都市の支援学校に在籍されている児童の方が行動障害で、学校も大変だと。発達障害支援センターにその事例を相談に行ったら、うちではできないと言われたと。それで私どもの法人に相談があって、私どもがそうした支援をしましょうという形になっているのです。ですから、井上先生もおっしゃったように、教育との連携というのは本当に重要だなということと、発達障害者支援センターのきっちりした評価をしないと、そういうことをできないところが担っているということが大きな課題かなと思います。
それと、このコンサルテーションをする中で、私ども、必ず評価・効果測定をしているのです。人の育ち、コアメンバーの育ち、組織としての育ちとか、それから、支援したケースに対する支援の評価とか。評価基準がまだちゃんとできていないのですね。まだ不十分だと思うのですが、行政が関与してくる場合に、委託する法人の支援実績を基づいて、指導的人材育成を担うところの委託するときの判断をちゃんとしないとだめかなと思います。その辺の評価をどうつくるかというのが今後の大きな課題かなと、つけ加えてですけれども、思っています。
以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
ほかには御意見等ございませんでしょうか。
すみません、私から。
先ほど會田構成員の報告であったのですけれども、私どもは40年前から医療の中で強度行動障害とおつき合いしていた人間なので、本当は必要だと思っているのですけれども、医療の中で、強度行動障害の動向を認める部分が非常に少なかったので、ある意味では私や會田構成員が非常に異端者なのです。圧倒的少数派でありまして、言い方はちょっと変なのですけれども、最近になってやっとこの分野にも日が当たり始めてきている。以前、私も福祉の中にいたことはあるのだけれども、福祉のほうも医療は役立たないから要らないという動きがありました。今はそんなことはないとは思うので、ぜひ福祉のほうからも医療を充実しろということを騒いでいただけるとありがたいと思います。今やっと、會田先生が事務局長になって強度行動障害医療研究会というのを立ち上げまして、もう少しすると法人になると思うのです。そういう格好でいろいろな分野と一緒になってやっていかなければいかんなと思っておりますので、ぜひそのあたりはよろしくお願いしたいと思います。
というのは座長が言うことではないかもしれないけれども、私の感想をしゃべらせていただきました。
ほかには御意見等ございませんでしょうか。
それでは、本日事務局から用意していただいた議事は全て終了となります。
事務局より今後のスケジュールについて御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
次回の検討会ですが、12月27日火曜日、14時から16時で、論点1、強度行動障害を有する者の地域における支援体制の在り方について議論する予定となっておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は、皆様、お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
○市川座長 どうもありがとうございました。