2022年5月27日 第174回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和4年5月27日(金) 15:00~17:00

場所

労働委員会会館 講堂
(東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館7階)

出席者

公益代表委員
 荒木委員、安藤委員、川田委員、佐藤(厚)委員、藤村委員、水島委員、両角委員
労働者代表委員
 梅田委員、川野委員、北野委員、東矢委員、冨髙委員、八野委員、世永委員
使用者代表委員
 池田委員、鬼村委員、佐久間委員、佐藤(晴)委員、鈴木委員、鳥澤委員、兵藤委員
事務局
 吉永労働基準局長、青山審議官(労働条件政策、賃金担当)、石垣総務課長、松原労働条件政策課長、尾田監督課長、田村労働関係法課長、佐藤賃金課長、竹中労働関係法課課長補佐、長澤労働条件企画専門官
オブザーバー
 眞下金融庁総合政策局フィンテック監理官、伊藤金融庁総合政策局資金決済モニタリング室長

議題

  1. (1)資金移動業者の口座への賃金支払について
  2. (2)無期転換ルール及び労働契約関係の明確化について

議事

議事内容
○荒木分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第174回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
 本日の分科会も会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で実施をいたします。
 本日の委員の出欠状況ですけれども、公益代表の黒田祥子委員、使用者代表の山内一生委員が欠席と承っております。
 カメラ撮りはここまでということでお願いします。
(カメラ撮り終了)
○荒木分科会長 本日の議題に入りたいと思います。
 本日の議題(1)は「資金移動業者の口座への賃金支払について」です。
 なお、本議題は、金融庁の所管事項に関係することから、労働政策審議会運営規程第4条の規定に基づきまして、金融庁の担当官お二人の方に本日オブザーバーとして御出席をいただいております。
 本議題につきましては、前回4月27日の分科会の続きとなりますので、事務局から簡単に説明をお願いいたします。
○賃金課長 賃金課長の佐藤でございます。
 資料No.1を御覧いただけますでしょうか。こちらの資料は前回4月27日に御説明をさせていただいた資料と全く同一のものとなってございます。
 前回、私の説明が長かったせいもございまして、ほとんど御説明で終わってしまって御議論いただけなかったということで、今回御議論をいただきたいという趣旨でございます。
 前回御説明をしておりますので、本日はごく簡単に御説明をさせていただければと思ってございます。
 2ページ目ですけれども、昨年の4月にお示しして今回もずっとおつけをしているものでございますが、3点書いてございまして、1点目は労働者の同意を得た場合の賃金支払いを認める、2点目として指定の要件を5個書いてございます。3点目といたしまして指定の制度をつくるということが書いてございます。
 それらの各個別の中身につきまして、前々回までの御意見を踏まえまして、前回具体的な検討の方向性をお示ししたのが3ページ以降ということになります。
 3ページ目でございますけれども、労働者の同意に関する部分につきましては、基本的にまずは資金移動業の口座の使い方を理解した上で使うということ、それから、強制をされないという2点をいかに担保するかということで様々な内容を書いてございます。
 4ページ目を御覧いただきますと、それ以外の同意に関わる部分でございまして、例えば様々な周知の対応を行うということですとか、労使協定の取扱いや振込エラー対策で必要なことなどが書いてございます。
 5ページ目からは指定要件に関わる部分でございます。
 5ページ目で書いてございますのは、まずは基本的な考え方といたしまして、銀行口座と同等または同程度。資金移動業者につきましては、第1種、第2種、第3種とございますけれども、第2種に限定するということが書いてございまして、保証スキームについても労働者保護の観点から保証を強化する方策を引き続き検討中ということになってございます。
 6ページ目に参りまして、不正引き出しのところにつきましては、インターネット・バンキングにおける全銀協と同様の取扱いとした上で、全銀協の申合せのようなことにつきましても、協会としてどのようなことができるかを御検討いただいているということでございます。換金性については、これまで議論してきたとおりということかと思います。
 7ページ目でございますけれども、報告体制のところにつきましても、資金移動業者だけではなくて保証会社・保険会社についても報告できる体制を求めるということにいたしまして、2つ目の○のところにございますが、保証会社・保険会社も含めて業務の実施状況や財務状況を確認するということになってございます。さらに技術的能力・社会的信用のところでも、入金できない場合の振込エラー対策や口座が適切に存在しているか等々をちゃんと措置を講じていただくということ。それから、指定要件といたしまして、1階建ての部分で業務改善命令や業務停止命令が出ていないということも含めて指定要件とするということ。一番最後のところでございますけれども、個人情報の関係で、個人利用者情報の安全管理措置を講じることが既に求められておりますが、これに加えて第三者機関による認証を取得しているというのも指定要件とするということが書いてございます。
 8ページ目に参りますけれども、ここからは指定の指定制度に関わる部分でございまして、一番最初のところでございますが、基本的には指定要件を満たさなくなった場合には、その要件の未充足の程度ですとか、改善の見込みも含めて総合的に判断するということを書いてございます。2つ目のところは、厚生労働大臣が指定するということですので、当然厚生労働省でしっかりその審査をするということ。それから、金融庁さんともしっかり連携をさせていただくということが8ページ目に書いてございます。
 さらに9ページ目でございますけれども、こちらはその他制度の普及の観点ということから、いただいていた御意見に対しての回答というか、検討の方向性ということになってございまして、給与専用アカウントというものにつきましては、必須の要件とはしませんが、事業者としてそういうことをやっていただくことは妨げませんということでございます。それから、全銀システムの統一フォーマットのような銀行振込の支払実務となるべく変わらない形でということにつきましては、現在そのシステム参入について検討中ということを伺ってございます。一番最後のところでございますけれども、厚労省のウェブサイトでの様々な事項の公表ということでございますが、少なくとも資金移動業者の名前だけではなくて、保証スキームに関する情報や口座(アカウント)の種類などについては公表をするということ。それから、金融庁さんによる行政処分が行われた場合には、厚労省のウェブサイトでも周知するということを書かせていただいてございます。
 10ページ目以降は後で御参考としていただければと思いますので、短くなりましたが、私からの説明は以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、皆様より御意見、御質問等があればお願いいたします。
 オンライン参加の皆様におかれましては発言希望とチャットに書き込んでお知らせください。
 八野委員、お願いします。
○八野委員 ありがとうございます。
 私から2点質問をさせていただきます。まず、厚労省の審査体制に関し、保全スキームを担う保証会社・保険会社等に対して、厚労省として同意書の取得や業務の実施状況、財務状況等を確認するという提案がされています。従前より繰り返し伺っていますが、保証会社には監督官庁がない中で一時的な資金需要に対する対応に係る審査、または指定後の定期的な確認について、厚労省としてどのような体制で審査することを検討されているのか、改めて教えていただきたいと思います。
 次はアカウントの有効期限に関してです。前回の分科会において、事業者においては有効期限が6か月のところもあるという回答をいただいています。一方、銀行口座に関しては10年以上放置した場合には休眠預金となりますが、休眠預金となっても引き出しは可能であると承知しております。資金移動業者の口座についても少なくとも有効期限は銀行と同じ10年とすべきでないかと考えますが、厚労省としての考えを伺いたいと思います。
 以上2点です。
○賃金課長 ありがとうございます。
 まず1点目の確認体制のところでございますけれども、資料の8ページ目の2つ目の箱の1つ目の○のところを御覧いただければと思ってございます。まさに八野委員がおっしゃった一時的な資金需要にどのように対応するのかというところで、「たとえば」というところで書いてございますけれども、保証会社がまさに資金移動業者が破綻した場合に一時的な資金需要が発生するところだと思っておりまして、保証会社が一時的な資金需要にどう対応するのかは保証会社によって様々なのだと思います。ですから、一律にこうと決めることは難しいのですけれども、例えばその保証会社が金融機関からコミットメント契約みたいなものを結んで、一時的な資金需要があった場合にはこれだけ借りられるような契約を結んでいるということをしている場合には、最大限借りられる金額の範囲内に保証の金額が収まっているかを確認させていただくということなのだろうと思っています。そういうことが十分できる体制を厚生労働省でしっかり整えていくということなのかと思っております。様々な保証の仕方がございますので、その様々な保証の仕方についてどういう形でやるかを理解して、それで危険がないかをしっかりと審査をしていくということかと思ってございます。
 1点目につきましては以上です。
 2点目、有効期限のところ、御意見をいただきました。確かに前回お答えしたとおり、短いところでは6か月というところがございます。少なくとも10年とただいま御意見をいただきましたので、この場で御議論をいただければとも思いますけれども、いただいた御意見を踏まえてどういうことができるかを検討させていただきたいと考えてございます。
 以上です。
○荒木分科会長 八野委員、どうぞ。
○八野委員 いただいた答弁は想定であり、答えになっていないように思います。私たち労働側は、資金保全を含む安全性・確実性の確保を当初より申し上げています。保証会社は、破綻などが起きたときの資金需要への保証を担っており、働く者の賃金の保全に対する保証を担う重要な部分だと認識をしております。一つひとつの課題に対し、こういうスキームができます、こういう契約をやればできますと明確にならない限り、ずっと同じ議論を繰り返すことになるのではないかと懸念されますので、明確なお答えをお願いしたいと思います。
○賃金課長 今、いただいたところでございますが、私の答え方が拙かったのかもしれませんけれども、恐らく様々な保証の仕方があるとは思いますが、どういう保証の仕方だとしても、どうやって一時的な資金需要を賄おうとしていて、その金額は幾らまで可能なのかを把握した上で、保証の金額がその範囲内に収まっているという確認の仕方をさせていただくということなのだろうと思っています。それが銀行と契約を結んでいれば銀行との契約ということになりますし、違うところと契約を結んでいれば違うところの契約という形になろうかと。その辺、皆様がよく御理解できるように何かできないかというのをまた検討してみたいと思います。
○荒木分科会長 八野委員。
○八野委員 保証会社に対する懸念がありますので、しっかりと検討をお願いしたいと思います。
○荒木分科会長 よろしいですか。
 それでは、オンライン参加の池田委員から発言希望が出ております。お願いいたします。
○池田委員 御指名ありがとうございます。使用者側の池田でございます。
 私からは1点確認ともう一点は意見ということで発言させていただきたいと思います。まず確認なのですが、資料4ページの3段目のところに、労使協定の締結事項として②の部分で「対象となる賃金の範囲及びその金額」という記載がございますが、こちらについては、例えばその対象となる賃金の範囲から退職金を外すということは可能かどうかを確認しておきたいと思います。
 また、ここに書いてある金額というのは、同意する労働者個人が設定する金額の上限並びに下限の額を設定するという意味でよろしいでしょうか。この仕組み自体は本人選択を重視する仕組みかと思いますので、協定で個人が選択する金額を固定化することはふさわしくないのだろうと思っておりますので、その理解で正しいかを確認させていただければと思います。
 もう一つ、意見ということで述べさせていただきたいですが、労使協定もできて、労働者の同意を経て資金移動業者の口座への賃金振込が開始されたと仮定して、それであっても不必要にアカウントの中の残高が積み上がっていく状況は望ましくないのだろうと思っています。ですから、アカウントの中の残高が積み上がった場合に、さらなる積み増しを避けるような労働者への周知をすることはまず必要かと思っています。そういう検討ができないか、意見しておきたいと思います。
 また、上限に当たってしまって給与が振り込めないということがないようにしていただきたいと思っていて、ここのページに若干記載はありますが、例えば会社の立場では、本人が依頼した金額を本人の依頼してきた先に振り込みたいということ、それを確実に履行したいと思っています。ですので、例えば、その振込をすることで上限を超えてしまうような場合になったときに、事前かつ自動的に、もともとあったアカウントの残高を出金先として定めた口に移行しておいて、給与としてはきちんと振り込める形になるような仕組みが構築できないかと考えており、ぜひそうしていただきたいと思っています。
 私からは以上です。ありがとうございます。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○賃金課長 ありがとうございます。
 まず、労使協定の関係でございますけれども、賃金の範囲を指定する、決めることが可能になってございますので、例えば退職金を除くということも労使で合意いただければ可能という制度になってございます。また、金額の上限下限も労使協定では確かに設定できることになっておりますので、例えば上限を設定すればその金額以上に振り込むことはできないということになります。この辺りは銀行口座等々につきましてもこの労使協定を定めた場合には同様の取扱いとなってございますので、銀行や証券で労使協定を結んだ場合と同様の仕組みになるということかと思ってございます。
 3点目の積み上がることがないように上限に近づいてきたら注意喚起ということでございますけれども、なかなか義務化するのは難しいかもしれませんが、確かに上限にかかってくるといろいろと難しい事象が生じることがございますので、各事業者でそういった取組をいろいろ行っていただくというのは、なるべく事業者にそういうことをやっていただければと考えてございます。
 最後の上限にぶつかって振り込めないことがないようにということでございますけれども、こちらにつきましては基本的に指定要件のところで、7ページ目でございますが、まさに上限に当たって振り込めない場合は振込エラー対策になるかと思いますけれども、そういった場合にちゃんと最終的な形で対策が取られていること。対策の取り方はいろいろなものがあると思っておりまして、池田委員からお話のあったような事前に減らして振り込めるようにするということもございますし、あらかじめ登録していただいた口座に振り込むということもございます。様々あると思いますけれども、何らかの形でちゃんと本人のどこかの口座に振り込まれるという形、対策を取っていただくというのが指定要件となってございますので、指定をする際にはこういうところもしっかり見ていきたいと考えてございます。
 以上です。
○池田委員 ありがとうございました。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 事務局には3ページ以降で「具体的な検討の方向性」としてまとめていただいておりますが、未だイメージが十分につかないところがありますので、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 1点目は、指定取消し後の再指定についての質問です。例えば労働者派遣法では労働者派遣事業の許可を受けられない「欠格要件」があるようです。具体的には、「労働者派遣事業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者」という規定です。許可と指定では当然仕組みが異なりますので、別の考え方などもあるとは思いますが、同様の形で大臣指定を取り消された場合に、当該資金移動業者が改めて指定を申請するに当たり、何らかの制限をかけることを考えていらっしゃるかどうか。これが1点目の質問です。
 2点目は、手続関係の質問です。御案内のとおり、政府は行政手続のデジタル化を急速に推進しており、私どもも大変期待しているところです。今般の資金移動業者から厚生労働大臣への指定の申請やその後の各種報告について、一連の手続をデジタルで完結できるようにする予定があるか伺いたいと思います。
 3点目は、保証する対象についての質問です。過去に使用者側から、1つの口座に賃金として入る残高と、労働者自身の入金も含めてそれ以外の残高が混じるので、賃金支払専用口座というものを考えてはどうかという投げかけをさせていただいきました。これについては資料9ページの上の箱に書かれておりますとおり、普段利用している資金移動業者の口座を利用したいという労働者のニーズが想定されるということで、賃金支払専用口座を必須の要件としないという方向性が示されたところです。
 この点は理解をしたのですが、資金移動業者の中には同一の口座であっても賃金として入金された残高とそれ以外から入金された残高を別々に管理でき、利用する場合にも本人がどちらの区分の残高から使うかを都度選ぶことができるような仕組みを考えている事業者があると聞いたところです。これまで私も一度口座に入ったお金には色をつけられないので、先ほど申し上げたように混在するのではないかと当然に思っていたのですが、技術革新によりお金に色がつけられるといいますか、区分管理ができるという話を聞いたところでして、賃金支払口座の残高全額を補償対象とする原則は堅持すべきと思いますが、技術的にしっかりと区分ができるような場合には、賃金として入金された残高を本資金保全スキームの保証対象とすることもあり得るのではないかと考えております。この点についての厚生労働省のお考えをお聞かせいただければと思います。
 以上でございます。
○賃金課長 3点ほど御質問、御意見をいただいたかと思います。まず、取消し後の再指定の話でございますけれども、例として挙げられた派遣法のように何年を経過しないといけないというようなものは今のところ考えてございません。基本的には申請が出てきた段階でちゃんとできる体制やそういうものが整っているかどうかに尽きるかと思っておりますので、そういうものがあれば認めますし、なければ指定をしないということかと思っております。
 2点目、申請の手続でございますけれども、おっしゃいますとおり、確かにデジタル化の推進は政府全体で現在行っているところでございます。今、まさに指定要件等々、皆様に御議論いただいているところでございまして、どのような指定要件になるかによっても申請書類は変わってきますので、今の時点で確定的に申し上げるのはなかなか難しいところはございますけれども、制度が決まりまして申請書類のようなものがある程度固まってきた段階で、なるべくデジタルでの受付のようなものも含めて可能であれば可能な限り対応したいと考えているところでございますが、いずれにしても中身次第ということかと思ってございます。
 3点目、保証の対象ということでございます。基本的には口座単位と思ってございますが、ただいま鈴木委員からは口座の中で区分管理できればそこは給与部分という考え方もあるのではないかという御意見だったかと思います。事務局といたしましては、これまでの議論の流れといたしまして、基本的には口座全体が保証されている、つまり、その保証されているところに対して給与の振込を認めるという議論でこれまで進んできたかと理解をしてございます。そういった意味で口座全体が保証されていないということに関して、そこを認めるかどうかということに関して、この場で御議論いただければと思いますけれども、今までの議論としては、銀行口座並びで口座全体が保証されているところを対象にするという流れで議論をいただいてきたのかと理解をしているところでございます。
 私からは以上になります。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
 冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 今、口座の中で賃金とそれ以外の資金の区別をつけることが技術的に可能であれば、賃金の部分だけ保証することとしてもいいのではないかという御意見だったのかと思います。先ほど八野委員からもございましたが、労働の対価である賃金は我々労働者にとって非常に重要という観点から、この賃金振込口座の資金保全を含む安全性と確実性はしっかりと担保されなければいけないということを、この間ずっと申し上げてきました。銀行口座と同等程度の安全性・確実性が担保されるべきということは繰り返し述べてきたことであり、たとえ口座の中で区別をつけることが技術的に可能だとしても、今まで述べてきたことを踏まえれば、賃金の部分だけ保証するという考え方は我々としては全く受け入れ難いものです。あくまで賃金振込を認めるのであれば、口座そのものがしっかりと安全性と確実性が担保されるものでなければいけないということを改めて強く申し上げておきます。
 また、事務局から御説明いただいた提案内容は基本的には前回と変わっておりませんので、私どもも言うことは前回と変わりません。先ほど八野委員からもございましたけれども、想定であったり、第2種に限ったとしても100万円を超える資金滞留は可能だということは前回指摘したとおりでございます。この点につきましては、まだ検討しているということだったと思いますが、検討中という状況のままでは我々として当然この後の議論に進むわけにはいきません。労働の対価である賃金の重要性を鑑みた上で、しっかりと検討していただきたいと考えております。
 以上でございます。
○賃金課長 ありがとうございます。
 最後、非常に重い御指摘をいただいているかと思います。5ページ目でいうところの保証スキームで、2種であっても100万を超えてたまることがあり得るというときに、保証スキームの上限を超える部分があるのではないか、そこをどうするのかという御指摘かと思います。ここは我々としてもまだ検討中としかお示しできていなくて、非常に心苦しいところではありますけれども、お時間をいただきながら、どうやって今の御指摘に応えられる制度にするかをこれから検討させていただきたいと思っておりますし、そこを何とか皆様に御理解いただけるものをつくりたいと考えているところでございます。
 以上です。
○荒木分科会長 ほかには御意見等はいかがでしょうか。
 佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
 私からも今まで申し上げてきたところでございますけれども、利用者としての中小企業の立場から、この制度が実際に実施されるときに、例えばこの資料No.1の3ページの○4つ目、この「また」以降に「労働者への説明については、使用者から資金移動業者に委託することも考えられる」とか、4ページでは外国人の労働者の関係とか、それから「制度化後に、パンフレットのほか、どのような周知方法が効果的なのか検討する」とあります。利用者として、労働者側が使用者に求めたり、また、使用者側から労働者に対し、この制度ができたということを説明していくときに、数多い中小企業に対し、資金移動業者がすべての事業者に説明していくことは難しく、従業員数の多い事業者などを選定することもあるのではないかと思います。そのような場合には、例えばメールでの対応だけではなく、電話での問合せとか、要は「つながる電話」を設定して、意思疎通が図れるよ、きめ細かく説明の責任に対応できるようにしていただきたい。これは要望になってしまうかもしれませんけれども、ぜひともお願いしたいと考えております。
 以上でございます。
○賃金課長 ありがとうございます。
 今の御指摘は、使用者側が様々説明をする場面がある中で、資金移動業者がいろいろと対応をなるべくしてほしいという御意見かと思います。資金移動業者がどのぐらい対応するかは業者によっても異なってくると思いますし、契約の規模感によっても違うのだろうと思いますけれども、なるべくそういう環境が整うような形で資金移動業者には投げかけをしたいと思いますし、中小企業の方も含めて、事業者がどのような形であれば、様々今回説明の内容は非常に多くなっておりますので、どういう形であれば事業者の方が対応できるのかも含めて、制度がある程度固まった後も含めて、皆様にも御相談しながらそういうところも詰めていきたいと思ってございます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 本日も様々な御意見をいただいたところでございます。事務局におかれましては、本日の意見も踏まえて、引き続き検討を進めていただくようにお願いしたいと思います。
 それでは、この議題につきましては以上とさせていただきます。
 説明者が交代いたしますので、しばしお待ちください。
 それでは、次の議題に移ります。(2)の「無期転換ルール及び労働契約関係の明確化について」というテーマでございます。
 事務局から説明をお願いいたします。
○労働関係法課長 労働関係法課長の田村でございます。
 前回この議題に関しまして「多様化する労働契約のルールに関する検討会」の報告書を報告させていただいたところですけれども、今回は議論の前提となる現状のデータ等の御説明をさせていただきます。その上で、今後御議論いただく論点項目について御確認いただきたいと考えております。資料は資料No.2からNo.4までございまして、説明は続けて行わせていただきたいと思います。
 まず資料2を御覧ください。これは「無期転換ルールと多様な正社員の労働契約関係に関する現状等」をお示ししたものです。
 1ページ目、目次でございますけれども、「雇用を取り巻く環境」のほか、2、3、4は報告書の項目立てに沿って関連データをお示ししています。5で「調査の概要」について、6の「その他」で検討会において示しました諸外国の制度をおつけしているところです。
 それでは、中身を御説明させていただきます。まず「雇用を取り巻く環境」で、3ページ目です。御覧いただきますと、雇用情勢の推移につきまして、無期転換ルールが導入されました2013年以降、雇用情勢は改善の基調にございましたけれども、直近では新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って雇用の影響も見られるところです。検討会ではこうした景気変動の下での無期転換ルールへの労働者の期待も高まっていくのではという意見もあったところです。
 続きまして、4ページ目になります。こちらは雇用者の中のいわゆる非正規雇用・正規雇用の割合を示したものです。非正規雇用の割合としては2021年で36.7%という状況になっております。
 5ページ目、こちらは今回の議論の対象となっております有期契約労働者についてのデータになっております。全体としては1402万人ということで、先ほど御覧いただきました非正規雇用の中にも有期・無期両方の方がいらっしゃるということで、有期契約労働者だけ取り出したものがこちらのデータになっております。
 これに関しまして、6ページ目のグラフで、この間の有期契約労働者の割合の推移をおつけしております。直近の2021年ですと、比率としては24.9%ということで、減少傾向になっているところです。月次のデータで人数を御覧いただきましても、減少している状況です。
 7ページ目、有期実態調査、今回当省で行った調査において、業種別で常用労働者に占める各就業形態の割合を示したものです。右側の青い棒の部分が有期契約労働者の割合ということで、有期契約労働者の割合の高い順に並べております。
 続いて、8ページ目以降が「無期転換に関する現状」のデータです。
 9ページ目は制度の概要ですので、説明は省略させていただきます。
 10ページ目です。こちらは先ほど申し上げた当省で行いました有期実態調査の回答者の属性ということになっておりますけれども、全体の傾向の参考にもなるためおつけしております。「有期契約労働者」「無期転換ルールによる無期転換者」「会社独自の制度等による無期転換者」に分けてお示ししていますが、いずれも比率としては女性の割合が高いものの、例えば「有期契約労働者」の部分を御覧いただきますと、男性ですと緑の部分、60代の割合が高いといった状況があります。「無期転換ルールによる無期転換者」については40~50代の割合が高い。一方、「会社独自の制度等による無期転換者」については30代などの割合が高くなっている状況です。
 続いて、11ページ目です。こちらも同様に有期実態調査の対象となる有期契約労働者、無期転換者の属性として、右側の就業形態の割合を御覧いただきたいと思います。真ん中の「無期転換ルールによる無期転換者」について「パートタイム労働者」の比率が5割ぐらいと高くなっておりますけれども、青い部分の「正社員」が11.5%となっています。一方、「会社独自の制度等による無期転換者」については7割弱が「正社員」という内訳になっております。
 続いて、12ページ目です。左側の表について、これは無期転換申込権が生じた人がいる事業所のうち、実際に申し込む権利を行使した人がいる事業所の割合は、35.9%になっております。その右の円グラフは前回の資料でもおつけしたところですけれども、2018年度、2019年度に無期転換ルールにより転換申込権が生じた人のうち、権利を行使したのが3割弱、27.3%、継続して有期のまま雇用されている方が7割弱、65.5%という状況になっております。
 続いて、13ページ目です。御覧いただきました無期転換申込権が生じた人の状況について、企業規模別にお示ししたものです。企業規模が大きくなるほど青い部分の「無期転換を申込む権利を行使した人」の割合が高くなっている状況です。
 続いて、14ページ目です。同様に、無期転換申込権の行使の状況を業種別にお示ししたものです。「無期転換を申込む権利を行使した人」の割合が高い順から並べておりますけれども、一番上は「複合サービス事業」、これは郵便局ですとか協同組合などが入っておりますが、こういった業種ですとか、「金融業、保険業」の割合が高くなっています。一番下の「宿泊業、飲食サービス業」等では申し込む権利を行使した人の割合は低くなっています。
 続いて、15ページ目を御覧ください。無期転換した人の内訳として、法定の「無期転換ルールにより申込む権利を行使して無期転換した人」が、円グラフを御覧いただきますと74.5%、「事業所独自の制度などで無期転換した人」が25.5%という状況です。その下の四角の囲みで記載している部分につきましては、前回の資料でも御紹介しましたとおり、2018年度、2019年度に無期転換した人数は約158万人と推計しております。そのうち法定の無期転換ルールにより無期転換した人数は約118万人と推計しているところです。
 続いて、16ページ目ですけれども、これは無期転換した人の内訳を業種別に並べたもので、説明は省略いたします。
 続いて、17ページ目です。これは個人の方にお聞きした結果ですけれども、無期転換ルール以外の無期転換制度の有無について聞いております。個人の方なので「分からない」割合は高くなっているのですけれども、実際に無期転換ルール以外の制度としてどういったものがあるかというのが右側の表で、「無期転換ルールの5年よりも早期に無期転換できる独自の制度がある」という割合が69.8%、「期間を問わず業績などに応じて無期転換できる独自の制度がある」が35.4%となっております。
 続いて、18ページ目を御覧ください。無期転換者の現在の働き方に関する満足感とその理由を聞いておりますが、「満足している」方が6割ぐらい、「満足していない」が3割という状況です。満足している理由の上位を並べておりますけれども、「労働時間・日数が自分の希望に合致しているから」「失業の心配は当面ないから」といった回答が多くなっております。一方、満足していない理由としては「賃金水準が正社員に比べて低いから」「賃金の絶対水準が低いから」といった賃金関連の項目が高くなっております。
 続いて、19ページ目を御覧ください。有期契約労働者の無期転換の希望の有無とその理由について聞いたものです。棒グラフの一番上が「有期契約労働者(全体)」に聞いたものです。こちらは転換権がまだ生じていない人も含む有期契約労働者ということで御覧いただければと思いますが、「希望する」方が18.9%、「希望しない」方が22.6%、「わからない」という方が53.6%となっております。ここで「わからない」というのは制度を知らないということも含まれていると考えられますし、知っているけれども転換するかどうかを決めていない、決められないという方も含まれていると考えております。この内訳として「パートタイム労働者」の方について見ますと、「無期転換することを希望する」は14.2%ということで少し少なくなっております。「うち契約社員」、ここで契約社員はこの※で小さく書いておりますとおり、この調査上は、「特定職種に従事し、専門的能力の発揮を目的として雇用期間を定めて契約する者」という定義ですけれども、「希望する」方が30.2%と比較的高くなっております。
 希望する理由について、その下の左側を御覧いただきますと、全体で最も多いのが「雇用不安がなくなるから」、これはパートタイム、契約社員とも共通しております。特に契約社員では、長期的なキャリア形成の見通し、将来的な生活設計が立てやすいといった回答も多くなっています。一方、希望しない理由としては、全体では「高齢だから、定年後の再雇用者だから」という回答が多くなっておりますけれども、一番右の欄で60歳以上の嘱託、いわゆる継続雇用の方を除くと「現状に不満はないから」という割合が高くなっております。
 続いて、20ページ目を御覧ください。無期転換ルールに対する企業の対応状況についてです。左がフルタイム、右がパートタイムに対する対応ですけれども、いずれも最も多いのが「通算5年を超える有期契約労働者から、申込みがなされた段階で無期契約に切り替えている」というものです。そのほか、その下で10.3%で「雇入れの段階から無期契約にする」対応ですとか、その下「有期契約期間が更新を含めて通算5年を超えないように運用している」という対応も一部見られるところです。
 続いて、21ページ目です。企業にお聞きした無期転換ルールに対応する上での課題です。「有期労働契約と無期転換後、正社員の間の仕事や働き方、賃金・労働条件のバランスと納得感の醸成」というところが多くなっております。また「特に課題はない」という割合も高くなっております。
 22ページ目です。左側の円グラフですけれども、こちらは無期転換ルールに関する労働者の意見として、無期転換ルールが雇用の安定に有効と考えるかどうか、「有効」と考える割合が4割弱、「有効ではない」が2割弱となっております。有効ではないと考える理由について、右側のグラフで多いのが「かえって更新上限設定等による雇止めが増える恐れがあるから」、それから「労働者の多くは希望しないと思うから」といった数字が多くなっております。ここまでが全般的な状況のデータとして並べたものです。
 次の23ページからは、認知度ですとか周知、説明等の状況についての関連データになります。
 23ページ目です。無期転換申込権の状態に係る個人の認識ということで、有期労働者計が一番上の①です。こちらで御覧いただきたい数字としては、全体として自分に無期転換権が発生しているか発生していないか「分からない」という割合も41.9%あるところです。これについて、下の3つは就業規則で何らか規定されている、あるいは無期転換できる機会の内容を説明している、無期転換できることを個別に案内している、といった企業で働く有期契約労働者の回答を見ますと、発生しているか発生していないかというところを理解している割合が高く、一方で「分からない」割合が下がっている状況が見られます。
 続いて、24ページ目です。無期転換の希望の有無と無期転換ルールの認知状況をクロスしたものです。一番上は「無期転換することを希望する」方、その下が「希望しない」方ということで、希望するか希望しないか判断ができている方について見ますと「内容について知っていることがある」という割合が5割超、一方で希望するかしないか「わからない」という方について見ますと、逆に制度を「知らない」という比率が5割以上になっている状況です。
 続いて、25ページ目です。認知状況を個人と企業と両方について聞いています。左の個人は前回もお示ししたとおり「何らか知っている」が4割弱、「知らない」が4割で、知っている方の情報入手ルート先として一番多いのは「勤務先」、55.5%となっています。一方、企業の認知状況としては右の円グラフで「内容について知っていることがある」割合が8割弱となっているところです。
 26ページ目は、御覧いただきました企業における認知状況について、企業規模別に御覧いただきますと、企業規模が大きくなるほど「内容について知っていることがある」割合が高くなっております。
 27ページ目、業種別の状況ですけれども、説明は省略いたします。
 続いて、28ページ目です。いろいろ注が書いてあって分かりにくいのですけれども、労働者の調査で「責任や残業等、負荷が高まりそう」といった理由で無期転換を希望しないと回答した有期契約労働者について、企業調査とクロスしたものでして、企業調査で無期転換後に働き方の変化がある企業に勤めているかどうかというところを見たところ、青いところは無期転換後の働き方に変化がないと回答している企業に勤務している方の割合が43.5%となっていた状況です。
 続いて、29ページ目です。無期転換できる機会の規定や説明がなされているかどうかで、左側の円グラフは無期転換できる機会や無期転換後の労働条件について就業規則に規定している割合が下の青い四角囲みで63.5%、右側の円グラフで無期転換できる機会の説明をしている企業の割合が7割弱という状況になっております。
 続いて、30ページ目ですけれども、転換機会を案内しているかということについて企業規模別に御覧いただきますと、企業規模が大きくなるとおおむね案内している割合も高くなっています。その下で、無期転換機会の案内と同時に転換後の労働条件を案内しているかどうか、「案内している」と回答した企業にお聞きしたところ、いずれの企業規模でも9割前後で無期転換後の労働条件も併せて「案内している」という状況でした。
 続いて、31ページ目です。左側の円グラフは有期契約締結時、契約更新の方針について説明を受けたかどうかで「説明を受けた」とする割合が9割以上となっているところです。右側の円グラフは、対象となっているのが5年を超えていわゆる転換権が生じている方に直近の有期契約の更新時に契約更新の方針に係る説明を受けたかどうかで、「説明を受けた」割合は26.6%で、そのうち無期転換ルールの利用が可能ですという説明を受けた割合は7割となっています。その下、無期転換ルールの利用が可能という説明を受けた人と受けなかった人を比較すると、受けた人のほうが転換することの希望の有無が「わからない」という割合は低くなっている状況です。
 続いて、32ページ目以降からは、雇止めですとか更新上限などに関するデータです。
 32ページ目、労働契約法に規定されている「雇止め法理」ですので、説明は省略いたします。
 33ページ目ですけれども、これは雇止めに関する労働局への相談、助言・指導、あっせんの件数についての推移です。こちらは無期転換ルール関連に限らず雇止め全般を含んでいますけれども、無期転換ルールの施行から5年が平成30年の4月だったわけですが、その前年度の平成29年度には雇止めの相談件数が少し増えている状況です。
 34ページ目については、過去2年間の雇止めの有無について企業に聞いているものです。「行ったことがある」割合としては10.7%、ここで雇止めを行った理由としては、一番多いのが「あらかじめ更新しないと契約していたため」となっています。そのほか「労働者の勤務態度の不良のため」等々の理由があります。
 次の35ページ目ですけれども、雇止めを行ったことがある事業所について、雇止めに関してのトラブルがあったという割合が11%。その原因としては、右側の表で「雇止めの理由について納得してもらえなかった」が多くなっております。3番目では「更新への期待についての認識の違い」といった理由も見られるところです。
 続いて、36ページ目です。こちらも前回お示ししました有期契約労働者の勤続年数の上限の設定状況です。2011年、2020年を並べてつけていますが、2020年4月時点で更新上限を「設けている」割合は14.2%、設けている事業所に上限年数をお聞きしましたところ、「5年以内の上限がある」割合が94%という状況になっております。
 続いて、37ページ目ですけれども、上限設定理由の説明の有無について、「会社から説明があった」が4割弱、「なかった」が56.7%となっておりまして、この説明がなかった方に上限設定の理由の説明の希望を聞きますと「会社に説明を求めたい」が16.2%となっております。
 38ページ目です。現在の会社での通算契約期間についてお聞きしていますけれども、「通算契約期間が5年超」の割合が左側の緑の囲みで38.2%となっております。
 続いて、39ページ目はクーリング期間に関するデータです。ここで「クーリング期間」を置くとは、一定の更新回数または勤続年数に達したときに、一旦雇止めして、一定期間を置いてから再び労働契約を締結することをいうとしておりますので、法定のクーリング期間かどうかまでは問うてはいないものですけれども、置いている割合としては2011年、2020年、いずれも3.0%という状況になっておりました。
 続いて、40ページ目からは労働条件に関連するデータです。一番上の棒については前回もお示しした転換後の労働条件の変化についてですが、78.1%が「無期転換社員区分C(業務量・変化なし 労働条件・変化なし)」という状況です。9.2%の方が「正社員」に転換しており、9.5%の方が業務量の変化はないけれども労働条件は改善しているという状況です。これを有期契約労働者の方の職務タイプ別に見ていますけれども、有期のときに正社員と同様の職務を行っていた方については、転換後「正社員」になっている割合が33%と高くなっております。
 41ページ目ですが、無期転換に当たって労働契約法に基づいて労働条件に「別段の定め」を設けることも可能となっておりますけれども、その「別段の定め」の活用状況について、フルタイムの無期転換社員に関しては「活用している」割合が3割ぐらいで、パートタイムの方については1割ぐらいという状況になっております。
 42ページ目は、「別段の定め」で変更を求める労働条件についてですけれども、割合が高いのが「職務」ですとか「定年年齢」といったところです。
 続いて、43ページ目です。これは職務タイプ別に無期転換後の正社員と比較した基本給の水準の状況ということで、「有期契約労働者」と「無期転換した人」とそれぞれ比べております。おおむねそれほど差はないものの、「無期転換した人」については正社員と同程度の水準になっているという回答が若干増えているようなところもあります。
 続いて、44ページ目ですけれども、こちらも職務タイプ別に教育訓練機会の状況について「有期契約労働者」と「無期転換した人」について比較をしておりまして、こちらもほぼ同様になっておりますが、無期転換者のほうが少し割合が高くなっているところも見られるところです。
 45ページ目は、仕事がほぼ同じ正社員と比較した際の無期転換社員の満足度です。ここで※に書いてありますけれども、仕事がほぼ同じとは、労働者から見て業務内容、責任の範囲が同じかどうかで聞いておりますので、実際に具体的にどうかというところまでは本調査では把握しているものではないことに留意が必要としています。その上で「不満がある」と答えた割合が5割超、「不満がある」と回答した者のうち「会社に説明を求めたい」が3割、正社員と比較した待遇差への説明があったかどうかで「ある」が15.7%、「ない」が62%という状況になっています。右側の不満を感じた具体的な事柄としては「不合理な賃金差がある」が一番高くなっているところです。
 46ページ目からは、有期雇用特別措置法に基づく無期転換ルールの特例です。46ページ目は制度の紹介ですので省略します。
 47ページ目に、認定件数の資料をおつけしています。第1種、第2種合計の認定件数としては、令和2年度で6万9262件です。左の※の2つ目に記載がありますとおり、第1種、高度専門職に関する特例については、認定件数としては括弧に書いてある1件のみということで、残りは全て第2種、定年後の継続雇用者に関する件数となっております。
 48ページ目は、この特例の認知状況についてです。左側が高度専門職、右側が定年後継続雇用の方について、この制度について企業に認知度を聞いておりますが、いずれも制度について知っている割合は5割程度という状況になっております。
 次からが「多様な正社員等に関する現状」のスライドになっております。
 50ページ目で、多様な正社員制度がある事業所の状況として、左側の棒グラフは2018年と2020年を比較しておりますけれども、2020年で「多様な正社員制度あり」が28.6%という状況になっております。
 次の51ページ目のスライドで、多様な正社員制度はあっても使われないという企業もありますが、実際に多様な正社員がいるかどうかというところで、いる企業の割合としては18.3%、企業規模で見ますと、企業規模が大きくなるほどその割合は高くなっている状況です。
 52ページ目に、企業に多様な正社員を導入する理由をお聞きしていますけれども、一番高いのが「労働力の確保に対する危機感が高まっているから」、それから「労働者の価値観の多様化への対応や、仕事と生活の両立支援等のため」といった回答も高くなっております。
 続いて、53ページ目ですけれども、こちらは多様な正社員に今の働き方を選んだ理由を聞いたものです。「特に理由はない」という回答もいずれの区分でも多くなっておりますけれども、それ以外は限定内容にそれぞれ対応した理由の割合が高くなっているところです。
 続いて、54ページ目です。いわゆる無限定正社員と多様な正社員の間の転換制度の有無について、左側の円グラフで「両方向転換可能」が21%、「いずれも転換制度なし」が3割となっております。その右の円グラフは双方向、それぞれ転換した従業員の有無について聞いておりますけれども、「いる」割合が5割程度となっております。
 続いて、55ページ目です。多様な正社員がいわゆる正社員に転換希望しているかどうかということをお聞きしたものですけれども、「希望しない」が7割弱、「希望する」が3割となっています。希望しない理由としては「自分の都合のよい時間で働けなくなるから」といった回答が高くなっています。一方、転換を希望する理由としては「賃金が上昇するから」の割合が高くなっております。
 続いて、56ページ目は、いわゆる正社員のほうに多様な正社員として働くことを希望する可能性があるかどうかを聞いておりますけれども、「希望する可能性がある」が26%、「希望することはない」が74%、希望する可能性がある理由としては「余暇時間を大切にしたい」ですとか、「仕事と育児の両立」、希望しない理由としては、賃金の低下、キャリア設計の限定等を挙げる割合が高くなっています。
 次の57ページ目ですけれども、多様な正社員制度利用に必要だといわゆる正社員が考える支援や配慮ということで、「採用段階から多様な正社員の採用枠を設けてほしい」ですとか、3番目の「キャリア展望の情報公開」といった回答のほか、労働条件の明示に関連しては、「勤務地や職務等の限定内容を書面等で明示してほしい」という回答も一定程度見られたところです。
 続いて、58ページ目は、多様な正社員を新設する上での課題や導入が難しい理由について、企業に聞いています。導入する意向がある企業とない企業と両方聞いていますけれども、青い棒グラフのほう、導入する意向がない企業については、特に「区分が増加することで、労務管理が煩雑・複雑になる」ですとか、「区分間の仕事や処遇・労働条件のバランスの取り方が難しい」という回答が多くなっています。
 59ページ目です。左側の円グラフについては、仕事がほぼ同じ正社員の処遇等と比較した際の多様な正社員の満足度。この「仕事がほぼ同じ」については、先ほどの無期転換のところと同じで、労働者から見て同じということで回答していただいていますけれども、「不満がある」割合としては5割弱、不満を感じた具体的な事柄としては「不合理な賃金差がある」が一番多くなっています。一方、右側は正社員側が多様な正社員と比較したときに不満があるかということなのですけれども、不満がある正社員については4割弱、不満を感じた事柄としては「合理的な賃金差が設けられていない」といった割合が高くなっています。
 60ページ目からは、労働条件の明示に関するデータをおつけしています。
 60ページ目は省略をいたしまして、61ページ目は、労働条件明示に関する労働基準法15条の違反の状況ということで、令和2年の状況を御覧いただきますと、定期監督の実施事業者のうち、一番下の9.3%で15条違反が見られたという状況になっております。
 続いて、62ページ目ですけれども、個別に労働条件を設定している割合はどれぐらいあるかということで、「ある」割合は4割になっていますけれども、その右側で個別の労働条件を設定している労働者として、限定正社員も入っていますが、一番多いのは「パートタイマー等の非正規従業員」という状況です。
 63ページ目では、多様な正社員の労働条件の限定内容をどのように規定しているかとか、どのように説明しているかということで、右側のグラフ、前回もおつけしておりますけれども、書面で明示している割合が75%前後という状況になっております。
 続いて、64ページ目です。多様な正社員等のトラブルの有無について、過去5年間に「あった」と答えた企業の割合が1.9%で、その原因としては、右側で「会社から限定区分の変更を申し入れたが拒否された」が割合としては高くなっております。書面明示事項との関連で申し上げますと、下から3つ目の「会社の指示が口頭で約束していた限定内容に反していると拒否された」という回答も見られるところです。
 65ページ目は、これも前回、上の2つの棒グラフについておつけしておりますけれども、「書面又は口頭で限定内容について説明をしている企業」と「特に説明をしていない企業」でトラブルの発生状況を比べたところ、「特に説明をしていない企業」のほうがトラブルの発生状況が高かったという状況です。
 続いて、66ページ目です。こちらも右側は前回おつけしておりますけれども、限定した労働条件を変更したときの説明方法として、こちらも書面で明示している割合が8割前後となっているところです。
 続いて、67ページ目です。労働条件の変更が過去5年間にあったかどうかというところで、左上の円グラフのオレンジと赤の合計で、変更があったとする割合は30%ぐらいありますけれども、右下の円グラフで、説明方法や説明がなかったことによって限定内容を変更されることへの不安があるかどうかを聞きましたところ、3割ぐらいの多様な正社員が「不安に思ったことがある」と回答しております。
 続いて、68ページ目です。過去5年間の労働条件の変更の有無、「あった」とする割合が7割超となっていますけれども、その変更における手続を聞いております。手続としては、就業規則の変更によって変更した割合が9割超と大半を占めておりますけれども、今回の議論とも関連のあります個別の従業員との労働契約を変更している割合としては14.5%となっております。
 69ページ目は、多様な正社員について、事業所閉鎖等に直面した場合の対応方針について、一番多いのは「無限定の正社員の取扱いと全く同じく、出来る限りの雇用維持努力を行う」が6割となっております。
 最後、71ページ目から「労使コミュニケーション等」に関して少しつけております。
 71ページ目ですけれども、これは労働組合の加入資格の有無について、一番左のグラフです。下から「有期契約労働者」で「加入資格あり」の割合は43.9%ですけれども、「無期転換社員」については51.9%ということで、少し「加入資格あり」の割合が高くなっています。一方「正社員」に比べると少し低い状況になっております。
 最後に72ページ目は、労使協議機関ということで、使用者と労働者の代表が協議するような常設的な機関、こちらに正社員以外の労働者が入っているかどうかというところで、左側のグラフで入っている事業所の割合としては24.4%、右は労使協議機関への付議状況として、下から5番目に「正社員以外の労働者に関する事項」を協議しているという割合が5割となっております。
 以上、個別のデータについての御説明でした。
 5の「調査の概要」は、それぞれの調査で調査対象や企業規模等が少し異なりますので、参考におつけしております。
 それから、6の「その他」のところで諸外国の状況、これは検討会でもお示しした資料ですけれども、これをおつけしております。時間の関係もありますので、説明は省略させていただきますけれども、通算契約期間の上限ですとか、それを超えた場合の転換、みなしの制度、あるいは労働条件の明示に関して変更時の明示といったところの規定が諸外国にもございますので、必要に応じて参照していただければと思います。
 資料2については以上になります。
 続いて、資料3です。
 資料3について、これは検討会において企業及び労働組合に対して行ったヒアリング結果をまとめたものになります。この資料は個々の企業における無期転換ルールへの対応状況ですとか、多様な正社員に関する状況をまとめたものです。検討会ではこのほか労使双方の立場の弁護士ですとか、産別組合のヒアリングも行っておりますので、そういったところの意見については今後の議論の中で御紹介させていただきたいと思います。こちらの資料についても、本日は時間の都合があり説明は省略をさせていただきたいと思います。
 最後に資料4になります。
 次回以降、本分科会において本議題に関して議論いただきたいと考えているところですが、検討に際しての論点項目案として、多様化する労働契約のルールに関する検討会の報告書の項目に沿って記載をしております。
 まず1で「無期転換ルールに関する見直しについて」、順次全般的な御議論をいただきたい。その後、2で「多様な正社員の労働契約関係の明確化等について」、特に今回労働契約関係の明確化に論点を置いておりますので、その点について御議論いただきたい。3の「その他」で、共通するテーマであります労使コミュニケーションですとか、その他について御議論いただきたいと考えているところです。
 なお、2の労働契約関係の明確化については、報告書においては多様な正社員のみならず労働者全般を対象に検討することが適当とされたところでありますけれども、議論の出発点として多様な正社員の労働契約関係についてというところから行っておりますので、報告書の項目と同様に多様な正社員の労働契約関係の明確化等ということで記載しております。
 参考資料としては、報告書の概要をおつけしておりますので、御参照いただければと思います。
 説明が長くなりましたけれども、以上です。
○荒木分科会長 大部な内容について御紹介いただきました。資料2、3、4についての御説明を伺ったところでございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして、まずはこの資料No.2及び資料No.3について、御質問、御意見があれば伺いたいと思います。
 それでは、どうぞ、オンラインの方もチャットで発言希望とお知らせください。いかがでしょうか。
 それでは、鬼村委員、お願いいたします。
○鬼村委員 御指名ありがとうございます。使用者側委員の鬼村でございます。
 私から、労働条件の明示に関して一言意見を申し上げさせていただきたいと思います。先ほど御説明いただきました資料2の63ページや66ページです。多様な正社員の限定の内容についても、7割以上の企業が書面で明示をしていたり、変更においても8割前後の企業が書面で明示をしているというデータがお示しいただけたと思っています。68ページ、左下のグラフで見ましても、いわゆる正社員を含めた労働条件の変更についても、9割以上の企業様が就業規則の変更により行っているというように見えます。こうしたデータを踏まえますと、報告書で示されている勤務地であるとか、職務の変更範囲を書面明示するとか、個別契約による労働条件変更について変更内容を書面明示することが義務化されたとしても、それそのものは直ちに多くの企業で問題になることはないのだろうと思っております。
 一方で、同じ68ページ、右側のグラフで変更した労働条件というものが出ておりますけれども、労働条件と一言で申しましても非常に多岐に及んでおりまして、様々なものが出ていると思います。こうした特に変更時の書面明示項目の範囲はこれから議論していくのだろうと思いますが、こうしたものの範囲あるいは書き方の粒度、あまり範囲が広かったり、粒度が非常に細かいものが要求されることになってくると、実務への影響もそれなりに出てくるのだろうと思います。したがいまして、書面明示項目の範囲や粒度に関しましては、労働者の理解促進という面と実務上の負担感というバランスを見ながら両立できるものにしていくことが必要なのだろうと思います。この点、検討していくことが重要なのだろうと、このように思いました。
 私からはこれで以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 続いて、北野委員からお願いいたします。
○北野委員 ありがとうございます。労働側の委員の北野でございます。
 無期転換ルールの見直しに関して、意見と質問をしたいと思います。まずは資料No.2の19ページです。無期転換の希望の有無という調査結果について、第5回の検討会資料では、「正社員としての働き口がなかったから」と回答した有期契約労働者の方が正社員転換のキャリアアップ、さらなる処遇改善を重視しているということも明確になっておりますので、この点はしっかり押さえておく必要があります。その上で、無期転換ルールの活用を促進する上でも転換後における処遇改善、さらなる正社員転換の促進を含めた検討を行うことが重要だと思っておりますので、意見として申し上げます。
 つぎに質問ですが、30ページの無期転換ルールの説明状況等についてです。無期転換の申込みの機会、さらには転換後の労働条件をしっかり案内することは言うまでもないと思っているのですが、例えば転換後の労働条件が無期転換の申込権の行使を抑制するような内容になっていないかという点について、検討会もしくは労使や有識者のヒアリングでどのような論議がなされたのか、御教示いただきたいと思います。
 以上です。
○荒木分科会長 それでは、質問がございましたので、事務局よりお願いします。
○労働関係法課課長補佐 御質問ありがとうございます。課長補佐の竹中と申します。
 御質問のうち、まず検討会における議論の中で、そういった抑制するようなところがないかという点に関して、例えば労働契約法3条2項の趣旨を踏まえるよう周知していくことが考えられるということ等に言及しながら少し触れているようなところもございます。ヒアリングの中におきましても、労側の方から同趣旨の御発言もございました。
 私からは以上です。
○労働関係法課長 補足をさせていただきますと、1点目、御意見でいただいたデータに関しては、検討会で有期契約を選んでいる理由として正社員としての働き口がなかったからという方について、それぞれ希望する理由、希望しない理由をクロスしたデータを出しておりましたので、そちらは今後の議論の中で示していきたいと思います。
 転換後の条件が無期転換申込みを抑止するような内容になっていないかということに関連して、抑止する内容もいろいろあるかと思いますけれども、低い労働条件を示して無期転換申込みをちゅうちょさせるようなケースもヒアリングで事例として挙げられたところがありました。検討会の議論の中では、無期転換後の労働条件の設定そのものについて、そもそも合理的でない「別段の定め」がどういった場合には許されないかなど整理がされたところですので、その辺りについても今後整理してお示ししたいと思います。
 以上です。
○荒木分科会長 北野委員、いかがでしょうか。
○北野委員 ありがとうございました。
 様々な説明の際に無期転換の申込を抑制する発言等がなされる可能性もあると思いますので、そのような点にも留意が必要かと思います。
○荒木分科会長 続いて、池田委員、お願いいたします。
○池田委員 御指名ありがとうございます。
 私からは均衡処遇に関しまして、御質問を1点お願いしたいと思います。無期転換ルールが施行された後、2020年からのいわゆる同一労働同一賃金の法改正が行われまして、これを契機に多くの会社で雇用形態の間の処遇の差について説明義務を果たせるようにバランスを取っていくという十分な対策を講じてきているのではないかと思っております。一企業の担当としてそこに苦慮した点もありましたし、そういう意味では実感する部分もあるのですが、これに関連しまして、資料2の21ページに示されている無期転換ルールに対応する上での課題に関する調査結果におきまして、「有期労働契約と無期転換後、正社員の間の仕事や働き方、賃金・労働条件のバランスと納得感の醸成」というこの部分の割合が最も高くなっておりますけれども、この結果はいわゆる同一労働同一賃金の法改正前の2018年時点ということになってございます。ですから、先ほど申し上げた大きく変化をしているのではないかと思う部分もありまして、同様の調査で最新のものはないのかを御質問しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労働関係法課課長補佐 御質問ありがとうございます。
 御指摘の点につきましては、大変申し訳ありませんが、この2018年時点のものが最新のものです。
○荒木分科会長 池田委員、よろしいでしょうか。
○池田委員 ありがとうございます。
 それでしたら、先ほどの発言のとおりです。大きく数値が変わっていてもおかしくないのかと思います。多少そこをイメージする議論が必要かと思いました。ありがとうございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 次は佐藤委員から発言希望が出ております。お願いいたします。
○佐藤(晴)委員 ありがとうございます。
 私からはこの無期転換に関する現状の調査の評価について、留意点を少しお願いできればと思っております。資料2の16ページなどを見ますと「無期転換ルールにより無期転換を申込む権利を行使して無期転換した人」、それから「事業所独自の制度などで無期転換した人」と、この割合が示されているのですけれども、業種によって大きく異なることが分かります。資料でこの無期転換に関する様々なデータをたくさん現状としてお示しをいただいているのですけれども、無期転換ルールを適用した人を母数にしているものと、必ずしも無期転換ルールだけではなく企業独自のルールで無期転換した人も母数となっているものと、調査によって母数は様々だと思います。
 16ページを見ると、その割合は業種によって大きく違うに、例えば14ページでは申し上げたうち「無期転換ルールにより無期転換を申込む権利を行使して無期転換した人」のみを母集団にして、継続して雇用されているかどうかを表していると思うのですけれども、ですから、業種によっては必ずしも現状を表しているとは言えないようなものであったり、お示しいただいている資料2のデータをどのように評価していくかということに当たっては、何を母数にして現状の調査結果として出したものかに少し留意をしないと、もしかしたら内容によっては、業種によっては実態と異なったイメージと受け取られる可能性があるのではないかと思ったので、これから評価をして議論をしていく上では注意が必要だなと感じた次第です。それはお願いとして申し上げておきたいと思いました。
 また、今日、資料3は時間の都合ということもあり御紹介はありませんでしたけれども、事業所独自の制度は様々あると思うのですが、これも趣旨としましては、雇用の安定を図るという点においては、法定の無期転換ルールと同じと思っておりますので、事業所独自の制度によってはよりそれがポジティブ、無期転換をした労働者にとってよく働いている面だとか、悪く働いている面についても制度によって違いがあるようにも思いますので、法定の制度の見直しのテーマではありませんけれども、この企業独自の制度の事例を、それがいい方向に働いているものはより幅広く御紹介をいただくとか、好事例として周知をしていくとか、そういったことも併せて検討していくといいのではないかと思いました。こちらは意見です。
 以上です。
○荒木分科会長 事務局からお願いします。
○労働関係法課長 御意見をありがとうございます。
 データについては御指摘のとおり、法定の制度と企業独自の制度、両方含めて無期転換した人に聞いているもの、あるいは有期契約労働者について聞いているものであれば、既に無期転換権を持っている人と持っていない人と両方を含んでいるものがあったりしますので、できるだけデータに注記するようにしているところではありますが、今後の議論に際しても、分かるようにしていきたいと思っております。
 資料3は先ほど御紹介はできなかったのですけれども、例えば2ページ目の事例を御紹介しますと、小売業の事例ですが、この企業ですと「無期転換」の「制度・取り組み概要」のところに記載しているように、1回目の更新時に自動的に全員無期転換しますという企業独自の制度を設けているところです。こういったことによって、効果のところで無期転換によって社員の安心感や定着率の向上につながっているという事例も見られたところです。企業独自の制度は様々あるかと思いますので、こういったものも併せて紹介をしていければと思っております。御意見をありがとうございました。
○佐藤(晴)委員 ありがとうございました。
○荒木分科会長 ありがとうございます。
 続いて、鳥澤委員、お願いいたします。
○鳥澤委員 ありがとうございます。
 私からはお願いと意見を1点ずつ申し上げます。まず、資料2の26ページを見ますと、当然といえば当然かもしれませんが、従業員規模が小さいほど無期転換ルールの認知状況は低いという結果が示されています。私の周りの中小企業も同じような状況かと思いますが、これは30名以上の企業の結果であり、30名未満の企業における認知状況はさらに低いのではないかと推測されます。ぜひお願いしたいのが、無期転換だけではなく多様な働き方等も同じ認知状況だと思いますので、もう少し告知や周知を徹底していただきたいと思います。
 もう一点、調査結果についての意見でございます。資料2の10ページのとおり、男性の有期雇用契約者は60歳以上が多いという結果が出ているように、中小企業などはまさに定年後有期で再雇用する形が多いと思っています。この点を留意して見ると、もしかしたら5年後の雇止めについて、無期転換ルールを知らないということだけではなく有期雇用契約での年齢による雇止めもあるかと思いますので、その辺りは今後調査の中でもう少し細かく見ていただいたらよろしいかと思います。
 以上でございます。
○労働関係法課長 鳥澤委員、ありがとうございます。
 1点目の御要望に関して、まさにそもそも政府としての周知もまだまだ足りないというか、もう少し頑張るべきだというのは検討会でも御指摘いただいたところですので、引き続き周知等には努めてまいりたいと考えております。
 御意見としていただきました有期契約労働者の中の定年後再雇用の方は、一定割合としていらっしゃると思いますので、データの中でも一部それらの方を除いた数値をお出ししているところがありますけれども、お示しできるものがあれば示していきたいと思っております。
 以上です。
○荒木分科会長 続いて、川野委員、お願いいたします。
○川野委員 ありがとうございます。
 私からは質問が2点ございます。資料No.2の69ページで、事業所閉鎖等に直面した場合の雇用維持方針について、無限定の正社員と全く同じとの回答が約6割ある一方で、「分からない・考えたことがない」や「無回答」を合わせると3割強に及ぶことについて、厚生労働省としてどう捉えているのかをお聞きしたいのが1点でございます。
 あわせて、事業所閉鎖や職務廃止等に直面した場合も限定正社員の解雇が当然に正当化されることなく解雇回避努力義務が課せられると理解しておりますが、このような認識でよいのか伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労働関係法課長 ありがとうございます。
 1点目の69ページ目のデータに関して、「分からない」ですとか「無回答」の回答も多いのではないかという御指摘かと思います。これについては、どういうことでこういった回答をされたかというところまでは定かではないものの、事業所閉鎖等に実際に直面していない企業にとっては、まだそういったところに直面していないので考えていないということなどが考えられるところです。
 2点目の御指摘に関しては、検討会の中でも限定された事業所や職務に関して、そういったものが廃止された場合にどうかということについては御議論や法的な整理を行っていただいたところです。報告書の中でも、限定された勤務地、職務が廃止されたとしてもそれにより解雇が当然に正当化されることにはならないこと、例えば使用者が一方的に配置転換を命じることはできず、事業の内容に応じ配置転換の打診や退職金の上乗せ等の解雇回避努力義務を尽くすことが求められることといったことを記載していますし、そういった裁判例についても報告書の別紙として整理したものをおつけしています。こういったことを今後周知していくべきではないかという御意見もいただいたところでして、今後の分科会の中でも裁判例の整理等について改めてお示ししたいと考えております。
 以上です。
○川野委員 ありがとうございました。
 まさに企業の雇用責任、また、雇用を維持していただくということは非常に大きなテーマですし、雇用が生活に直結する我々労働者にとっては大変重要な課題ですので、質問させていただきました。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
 櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員 ありがとうございます。
 まずは資料No.2のスライド42でございます。「別段の定め」による労働条件の変更のところですが、「別段の定め」について、「有期契約時から改善する処遇がある」と明確に回答した企業が半数に満たない状況になっている一方で、「労働者に不利になる処遇がある」企業が5.2%存在する点は注視すべきではないかと思っています。不利になる処遇の内容として、どのようなものが多いのかということについて、厚生労働省として把握しているのかどうかをお伺いしたいと思います。
 もう一点ですが、そもそも「別段の定め」が設けられた趣旨について改めてお伺いをしておきたいと思います。
 以上、2点をお伺いしたいと思います。お願いいたします。
○労働関係法課課長補佐 御質問ありがとうございます。
 1点目についてお答えしますと、「別段の定め」で不利になる処遇で具体的にどういったものかということだったかと思いますが、それについては、今日の資料ではおつけしていないのですけれども、昨年の検討会の議論の中で示した資料をもとにお答えしますと、一番多いのは基本給であり、その他は、賞与だとか、退職金とか、そういったものがあったところでございます。ただ、場合によっては、一方では改善される処遇があって、他方で不利になる処遇もあるとか、そういったことも考えられるところでございます。
 2点目の「別段の定め」がそもそも何で設けられたかというところに関してでございます。「別段の定め」については、無期転換ルールを作るに当たりまして、それはすべからく正社員になるべきということではなく、各企業において各社の事情に応じた形で無期転換後にどういった労働条件にするかということが考えられるべきものだろうということで、こういった「別段の定め」というものがございます。当然労働契約法の中の7条、10条などのように規定されているところから何ら変更するものではないというところも併せてお伝えしたいと思います。
 以上です。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
 それでは、東矢委員、お願いします。
○東矢委員 ありがとうございます。
 私からは資料No.2の36ページのなかで、勤続年数の上限の設定に関して2点質問させていただきます。グラフの中で、2011年に比べて2020年では更新上限を設けている事業所の割合が約2ポイント上昇しております。報告書の中では上限設定は違法ではないとありますが、上限設定を行う事業所が増加するということは、雇用の安定を図るという無期転換のルールの趣旨に反する状況ではないかと考えております。この現状を厚生労働省としてどのように捉えているのか、受け止めをお聞かせいただきたいと思います。
 もう一点ですが、職務タイプと上限設定の関係を含めて検討するためには、タイプ別の結果が有効ではないかと考えられます。現在提供いただいているデータの中では事業所が人事管理上最も重要と考えている職務タイプだけを掲載されておりますが、それだけを掲載している理由についてお聞かせいただきたいと思います。あわせて、タイプ別の結果も可能であれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上です。
○労働関係法課長 ありがとうございます。
 1点目の更新上限の設定状況についてですけれども、御指摘のとおり、ポイントとしては2ポイント弱上がっているというところで、これをどう評価するのかということだと思います。当初はこの無期転換ルール導入時においては、更新上限を設ける企業の割合が増えるのではないかというところが懸念されていたと思いますけれども、そこが2ポイントにとどまったと見るのか、2ポイント増えたと見るのかというのは見方もいろいろあろうかと思います。ただ、無期転換ルールができて、それまでは例えば更新上限を設けていなかったけれども途中で雇止めをするとか、あるいはどういう雇用管理にするかきちんと決めていなかった企業において、それぞれの企業の中で改めて雇用管理上の位置づけを検討した結果、一定の期間内で運用していくという企業も一部見られたということかと思っております。
○労働関係法課課長補佐 2点目についてお答えしたいと思います。この資料2の36ページ目のところで、左下のほうで※でも書かせていただいているように、人事管理上最も重要と考えている職務タイプについてお答えいただいたものを掲載しているものであります。なぜ最も重要と考えている職務タイプだけかと申しますと、これは各事業所に調査票をお送りしまして、その際に各事業所の過度な負担にならないかということも考えた上で、過度な負担になればなるほど回収率なども低くなっていってしまうだろうということもありまして、最も重要と考えている職務タイプのところだけお聞きしたという経緯でございます。これのタイプ別も示せないかという点に関しましては、どのような形が考えられるかということをまた検討していきたいなと思います。
 私からは以上です。
○荒木分科会長 よろしいですか。
 世永委員、お願いいたします。
○世永委員 ありがとうございます。
 まず、スライド39のクーリング期間設定の有無及びその期間についてです。クーリング期間の上限設定につきましては、大きな変化は見られないということですが、クーリング期間を置いていないと明示的に回答している割合が減少している点は気になるところです。また、検討会のヒアリングで「クーリングが悪用される実態があるため廃止すべきだ」という意見があったことも踏まえながら、クーリング期間の運用実態について丁寧に確認していく必要があるのではないかと考えております。
 次に、スライド45の無期転換後の労働条件等についてですが、無期転換者と正社員との間の処遇等に不満がある者の4割超が「不合理な賃金格差がある」と回答しています。行政としても不合理な待遇差の是正に向けて取組を強化いただきたいところですが、パート・有期法の適用外であるフルタイムの無期転換者についても、行政による実効性のある取組が可能となるよう何らか検討が必要ではないかということを意見として申し上げます。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 オンライン参加の北野委員より、多様な正社員についての発言の希望が出ております。お願いいたします。
○北野委員 ありがとうございます。
 多様な正社員に関して、意見と質問をそれぞれ1点ずつさせていただきます。まず意見ですが、資料No.2の51ページです。とりわけ1,000人以上もしくは中堅以上の企業は多様な正社員が多くいるということになっています。私どもの企業では、地域限定と全国転勤ありの社員では処遇差を設けて、相互で選択ができるような仕組みにしています。業務運営の変化や、社員とのエンゲージメントを高めるために、社員のライフステージに応じて選択ができるような制度を導入してきました。各企業においても業務内容や働き方の実態を踏まえて、労使の論議を踏まえて各社に沿った制度を導入していると認識しており、多様な正社員については、なかなか一律的な制度化はなじまないと思っております。
 コロナ禍における感染対策として、テレワークや、サテライトオフィスでのリモートワークが進展しております。今後、情報通信技術の活用によって、恐らく大手が先行して勤務地にとらわれない働き方も主流になってくるだろうと思います。一方で、業務や業種によってはリモートワークがなかなかできない実態もあろうかと思います。多様な働き方を促進する上では、全体的な視点で申し上げると長時間労働の是正、さらには法定労働時間内でしっかり生活ができる賃金水準も含めた改革も論議すべき課題ではないかということを申し上げておきたいと思います。
 53ページですが、調査結果にあるように、いずれの職務タイプの限定社員においても「特に理由はない」という割合が一番大きくなっています。いわゆる「無限定正社員」という言葉には問題意識を持っていますが、ここでは便宜的に使います。「特に理由はない」という回答者の中に「無限定正社員」として働きたかったが、不本意な形で限定社員として働いている者も含まれているという捉え方でいいのかどうか、御教示いただければと思います。
 以上です。
○労働関係法課課長補佐 御質問ありがとうございます。
 この「特に理由はない」というところに本当は正社員で働きたかったけれどもということが含まれているかに関しては、ほかの選択肢のところで御指摘のような選択肢があったかどうか確認いたしまして、追ってお伝えいたします。
○荒木分科会長 適切な選択肢がなくて「特に理由はない」に回答した者がいたのではないかという御質問だと思いますので、確認して後ほどお願いしたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 梅田委員、お願いいたします。
○梅田委員 ありがとうございます。
 まず、多様な正社員に関する現状に関してです。資料2のスライドの54ページに無限定正社員、限定正社員の転換制度につきまして、両方向転換可能という企業が2割強あるということです。例えば両方向転換可能であるということが制度化をされている企業において、労働条件の明示をする際の変更の範囲をどのように示すべきなのかといったことなど、今後議論を進めるに当たって現場で生じ得る具体的な課題の整理が必要と思いますので、意見として申し上げます。
 次は質問になりますが、スライドの68ページです。先ほど使用者側の委員の方も指摘されていた部分もございますが、変更手続としては、就業規則の変更が9割以上と、圧倒的に多くなっています。検討会でも就業規則の周知が不十分という御指摘もあったところで、就業規則の周知を一層促進していくべきと考えております。現在、就業規則の周知がどのような状況になっているのか、実態把握をしているかどうか、お聞かせをいただければと思います。よろしくお願いします。
○労働関係法課課長補佐 御質問ありがとうございます。
 検討会の中では紹介したものでありますが、就業規則の周知方法として、就業規則を作成している企業において、複数回答ですけれども、入社時に説明しているというのが53%ほどですとか、各職場に掲示したり自由に見られるようにしているというのが51%などございます。この後の各論点の議論においても、そういったところもお示ししながら御議論いただければと思っているところであります。
○荒木分科会長 よろしゅうございますか。
○梅田委員 ありがとうございます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
 八野委員。
○八野委員 無期転換ルールについてです。例えば11ページでは、無期転換に関する状況のところで「無期転換ルールによる無期転換者」で最も割合が高いのは「パートタイム労働者」です。制度導入前の当時パートタイマーの雇止め等が多かったことに対して、雇用の安定を図るためのルールを導入するために、どのぐらいの期間で無期転換できるようにするべきかという論点があって、これが機能しているかどうかということの検証が必要です。
 報告書にもありましたように、申込機会の案内がきちんとされているか、どのようなタイミングでなされているかなど、その切り口でまとめていくことは非常に重要です。資料19ページでは、パートタイマーの方たちは無期転換を希望する理由として「雇用不安がなくなるから」などが高い割合になっておりまして、この点では機能していると捉えて良いのではないかと思います。ただし、希望しない人がどのような状況なのかもこの中から見えてきています。また、21ページの無期転換ルールに対応する上での課題というところでは、正社員と比較するのか、有期契約のパートタイマーと無期契約のパートタイマーで比較するのか、その中での正社員と無期・有期の均等・均衡はどうなっているのかという見方などができるのではないかと思います。
 45ページの仕事がほぼ同じ正社員の処遇等を比較した際の無期転換社員の満足度に関しては、回答者がフルタイムなのか、パートタイムなのかがよく分かりません。
 また、41ページに「別段の定め」の活用ということがパートタイムとフルタイムと分かれています。同一労働同一賃金という法規定から見てきた中で、無期転換したパートタイマーが正社員または有期契約労働者と比べて、どのような処遇改善がされ、その辺がうまくいっているのかどうかを検証していくことが非常に重要です。正社員転換の観点のみならずパートタイマーが無期転換した場合にはどうなのかという点などもしっかりと検証しておく必要があるのではないかと思います。これは意見です。
○荒木分科会長 ありがとうございます。
 事務局から何かございますか。
○労働関係法課長 御意見ということですけれども、ありがとうございます。
 御指摘のとおり、無期転換ルールをどういう切り口で見るかというのは非常に大事だと思っておりまして、有期の方もパートの方、フルタイムの方、いわゆる契約社員の方とかでそれぞれいろいろな状況はあるのだろうと思っております。
 例えば19ページの資料等も御指摘いただいたところですけれども、特に無期転換の希望の有無について「わからない」というところをどう減らしていくかが一つ政策的な課題としてはあると思っている一方で、希望しない人もそれなりにいらっしゃって、特にパートタイムの方、「わからない」という比率が高いからということもあるかとは思いますけれども、希望しない人もそれなりにいらっしゃる状況は見てとれるところです。その理由等も丁寧に見ていく必要があろうかと思いますし、パートの方が転換後無期になって労働条件がどうなっているか、正社員転換だけではなくといったところの御指摘もあったかと思います。データとしては、正社員と比較してというところのデータもおつけしていたのですけれども、無期になっても労働条件が変わっていない方が結構たくさんいらっしゃって、とりわけパートの方はそのままの労働条件の方も多いとは承知しています。
 同一労働同一賃金との関係でいえば、パートタイムの方は無期になってもパート・有期雇用労働法の対象ですし、それは無期転換ルールと関係なくそもそも対象になっているので、引き続ききちんと対応していっていただくものなのと思っております。その辺り、今後の議論の中でも分けて考えるといいますか、念頭に置きながら御議論いただければと思っております。ありがとうございます。
○荒木分科会長 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 今の八野委員の御指摘ですが、これからの議論のポイントの一つだと思っております。転換後の労働条件というのは、先ほど課長もおっしゃっておられたように、御本人が無期転換を希望しないこともあるということで、各社、優秀な方に来てもらうために無期転換に限らず多様な雇用形態をいろいろと工夫するということがあると思います。そうした中で、無期転換を希望しないという方について、例えば42ページでも、釈迦に説法ですけれども、処遇については、どういう働き方をしてもらうか、職務の範囲、責任の程度といったこととセットで考えないといけないので、そこら辺について今後皆様と御議論していきたいと思ったところです。感想でございます。ありがとうございました。
○荒木分科会長 それでは、大分時間も押してまいりましたが、資料の2、3についてはこの程度でよろしゅうございましょうか。
 お願いします。
○労働関係法課課長補佐 先ほど53ページ目の関連で、多様な正社員が今の働き方を選んだ理由のところで、「特に理由はない」というところに「無限定正社員としての働き口がなかったからを含んでいるか」という御質問がありました。こちらについては含んでいないということでありまして、ほかの選択肢の中に正社員の働き口がなかったからというのがございます。一例でいえば、職務限定正社員などであれば正社員の働き口がなかったからというのが4.4%で、ほかの2つの類型も同じぐらいの数字でありました。
 以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 それでは、資料4について、これは論点項目案でございますけれども、これについて何か御意見等があればお願いいたします。
 冨髙委員。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 論点項目について、特段項目を追加してほしいということではないのですが、今ほど皆様から御議論のあった視点等は非常に重要だと思いますので、その点を盛り込んでいただきたいと考えております。
 無期転換ルールにつきましては、無期転換申込権の行使を妨げる回避策への対応の強化は非常に重要だと思っておりますし、無期転換者の処遇改善、また、正社員との不合理な格差の是正についてもしっかり御議論いただきたいと思います。
 また、多様な正社員の労働契約関係の明確化ですが、先ほどもほかの委員から御意見がありましたが、雇用管理区分が多様化・複雑化するということが、企業にとっても、労働者の分断という観点でも懸念があるところですので、そのようなことに対する職場への影響を踏まえてしっかりと議論することが必要だと考えております。また、勤務地や職務がなくなった場合の限定正社員の雇用維持についてもしっかり議論していく必要があると考えております。
 以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、資料4の論点について、コメントもございましたけれども、大筋この項目で問題があるということではないと承りましたので、ほかに特に御意見がないようでしたら、次回以降、この論点項目に沿って「無期転換ルールに関する見直し」から議論を進めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかに何かこの場で御意見等はありましょうか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、時間になりましたので、本日の議事はここまでとさせていただきたいと思います。
 次回の日程等について、事務局よりお願いいたします。
○労働条件企画専門官 次回の日程等につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木分科会長 それでは、これをもちまして第174回労働条件分科会は終了とさせていただきます。
 本日もお忙しい中参加いただきまして、どうもありがとうございました。