第115回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

平成30年11月14日(水)16:00~17:47
 

場所

ベルサール半蔵門 ホールA

議題

  1. 1.新たな改革工程表の策定に向けて
  2. 2.当面対応が必要な課題
  3. 3.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額
  4. 4.その他

議事


○遠藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第115回「医療保険部会」を開催したいと思います。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、池端委員、岡崎委員、尾崎委員、望月委員より御欠席の御連絡をいただいております。
続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りをいたします。
池端委員の代理として武久参考人、岡崎委員の代理として村岡参考人、尾崎委員の代理として家保参考人の出席につき、御承認をいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入ります。
本日は「1.新たな改革工程表の策定に向けて」「2.当面対応が必要な課題」「3.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額」の3つを議題といたします。
それでは、初めに「新たな改革工程表の策定に向けて」を議題といたします。本日は、改革工程表に関連し、先日行われました社会保障ワーキングの議論を紹介した上で御議論いただくことにしております。
では、事務局より、資料の説明をお願いします。
○鹿沼課長 保険局の総務課長でございます。
資料1-1と資料1-2について御説明させていただきます。
それでは、資料1-1、1ページ目から説明させていただきます。本文のほうを説明いたしまして、参考資料は御参考という程度で説明させていただければと思います。
まず、1ページ目、糖尿病等の生活習慣病や慢性腎臓病の予防についてでございます。
現状が真ん中にございますが「骨太の方針」や日本健康会議の宣言といったものに基づきまして、厚労省・日本医師会・日本糖尿病対策推進会議の3者で連携協定を締結し、また「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」の策定、さらには重症化予防ワーキンググループの取りまとめ及び事例集を公表という形で進めておりまして、引き続き、そのワーキンググループ等において、先進・優良事例の把握を行うとともに、それを踏まえてプログラムの改定を進めていきたいと思っております。
また、腎疾患対策検討会報告におきまして「2028年までに、年間新規透析導入患者数を35,000人以下に減少させる」という目標を立てておりまして、慢性腎疾患診療連携体制の構築ですとか、先進・優良事例の横展開とを図っていきたいと思っております。
また、国保とか健保のほうの保険者インセンティブにおきましても、糖尿病等の重症化予防に関する取り組みの実施状況を評価しておりまして、今年度の実施状況等を踏まえながら、ワーキンググループでの議論を踏まえ、評価指標の見直しを検討したいと思っています。
また「スマート・ライフ・プロジェクト」を推進しておりまして、こういったものについても引き続き推進していきたいと思います。
2ページ目に糖尿病性腎症重症化予防の話、3ページ目に日本健康会議の概要について、それぞれ資料をつけております。
4ページ目に、社会全体での予防・健康づくりの推進でございます。
下段のところで、2016年5月に「個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取組に係るガイドライン」を策定いたしまして、取り組みを広げるための効果的な事例を紹介しております。
また、2018年度からの保険者インセンティブの見直しに当たりまして「広く加入者に対して行う予防・健康づくりの取組の実施状況」を保険者共通の評価指標に採用しているところでございまして、引き続き「今後の方針」のところにありますように、保険者機能を強化するとともに、インセンティブの強化、ナッジの活用などにより、予防・健康づくりに頑張った方々が報われるような仕組みを整備していきたいと思っております。
5ページ目、6ページ目に「スマート・ライフ・プロジェクト」関係、7ページ目に「保険者による予防・健康づくりとインセンティブの推進」、また、8ページ目には個人の関係のインセンティブの推進について参考資料をつけさせていただいております。
9ページ目でございます。フレイル対策についての項目でございます。
フレイル対策につきましては、この後の資料2のほうでより具体的な資料を用意しておりますので、ここでの説明は省略させていただきます。
10ページ目、多様・包括的な民間委託の推進についてでございます。
現状といたしまして、事業者との協働・連携を推進させる場といたしまして「データヘルス・予防サービス見本市」を開催しております。今年度も10月30日に大阪で開催し、また、11月20日には東京で開催する予定でございます。
「今後の方針」といたしまして、ちょっと後のほうで資料を用意しておりますが、医療機関と保険者・民間事業者等が連携した医学的管理と運動・栄養等のプログラムを一体的に提供する仕組み。こういったものを検討していきたいと思っておりますし、また、民間の方々のいろんな力をおかりして進めていくのも非常に効果的でございますので、質の高いサービスの提供や効率性を高めるため、多様・包括的な民間委託についても推進していきたいと思っております。
また、企業の健康経営の促進についてでございます。
経産省の関係の事項もあろうかと思いますが、我々、厚労省といたしましても、経営者に通知する「健康スコアリング」といった取り組みを、全健保組合、国家公務員共済組合に対して実施しておりまして、「今後の方針」といたしましては、こういったスコアリングレポートの見方ですとか活用方法等を示した「活用ガイドライン」の活用等によりまして、健康経営を促進し、予防・健康づくりの推進における先進・優良事例の全国展開を図っていきたいと思っております。
11ページ目に、先ほどお話ししました「医療機関と保険者・民間事業者等の連携による予防事業の展開」という資料をつけさせていただいております。
生活習慣病の発症ですとか重症化のリスクのある方々に対しては、医療の提供はもちろん重要でございますけれども、それに加えまして、適切な運動・栄養といったもののプログラムを組み合わせて提供することが、より重症化の予防という点で意味があるのではないかと思っております。
そういった意味で、この下の粗いイメージ図がございますけれども、医療機関と保険者、民間事業者、こういった方々が連携していきまして、対象となる方々を的確に把握し、そういった方々に対してきちんとしたアプローチをする。そういったものを、インセンティブ措置を最大限に活用して、取り組みを進める。そういったことを今後考えていきたいと思っております。
12ページ目に見本市の関係、13ページ目に健康スコアリングレポートの概要について資料をつけております。
14ページ目、医療保険制度におけるインセンティブの活用ということで、特に国保の保険者努力支援制度についての関係でございます。
国保の保険者努力支援制度におきましては、糖尿病性腎症の重症化予防に関する取り組み等の実施状況を評価いたしておりまして、この参考データにございますが、2016年度は816市町村が取り組んでおりましたが、2年後の2018年度は1,197市町村ということで、約5割ぐらいふえているところでございます。
また、国保の普通調整交付金のあり方については、地方団体等との議論を開始しているところでございます。今後、こういった努力支援制度については、先進・優良事例を把握するとともに、実施状況等を見ながら、評価指標の見直しを検討していきたいと思っておりますし、普通調整交付金のあり方についても、地方団体ともよく議論をしていきたいと思っているところでございます。
15ページ目から19ページ目にかけまして、保険者努力支援制度についての概要、また、実際に実施状況といったものについて資料をつけさせていただいております。
続きまして、11月12日の社会保障ワーキンググループに提出させていただきました資料について、資料1-2で説明をさせていただきます。
1ページ目ですが、データヘルス改革の推進についてであります。
現状につきましては、被保険者番号の個人単位化ですとか、オンライン資格確認につきまして、2020年度の運用開始ということで、現在、保険者・医療関係者の意見を聞きながら、具体的な仕組みを検討しているところでございます。引き続き、システムの整備の準備を進めていきたいと思っております。
また、そのほか、全国的な保健医療情報ネットワークですとか、MID-NETの話とか、そういったものについてはここに書いてあるとおりでございますし、また、一番下段にNDBと介護DBの話がございますが、こちらの方も資料2のほうで具体的に資料をつけておりますので、そちらで御説明させていただければと思います。
2ページ目、3ページ目、それぞれ被保険者番号の個人単位化ですとか、そういったことについてのイメージ図をつけておりますので、御参照いただければと思います。
4ページ目、病床のダウンサイジング支援の追加的方策の検討ということで、病床機能の転換ですとか介護医療院への移行、また、総合確保基金の活用によってダウンサイジングを進めているところでございますが、診療報酬につきましても、このちょうど3番目の○のところで、2018年度診療報酬改定の中で、基本的な医療の評価部分と診療実績に応じた段階的な評価部分を組み合わせた評価体系への再編・統合を実施しているところでございます。こういった改定の状況、その影響とかを調査・検証するとともに、入院医療機能の分化・強化、連携の推進に資する評価のあり方について、引き続き検討していきたいと思っております。
5ページ目に「病床転換助成事業の概要」、6ページ目に、先ほど言いました診療報酬の見直しの話について資料をつけております。
7ページ目、高額医療機器の効率的な配置・稼働率の向上ということで、共同利用の一層の推進についての関係でございます。
この真ん中、下のところにありますけれども、診療報酬改定の取り組みについて書いておりますが、2016年度診療報酬改定におきましては、CT及びMRIといったものについて、施設共同利用での撮影を評価するということをしておりますし、また、2018年度の診療報酬改定におきましても、放射線治療機器といったものの効率的な利用の促進の観点から、ここに書かれているような所要の措置を講じたところでございます。引き続き、次回改定に向けて、一層の共同利用の推進方策等を検討していきたいと思っております。
8ページ目から10ページ目まで、それぞれ診療報酬改定での取り組みの具体的な内容についての資料をつけております。
11ページ目で、地域別の取り組みや成果の進捗管理・見える化等でございます。
医療保険の関係は上段のところで、各都道府県におきまして、第3期医療費適正化計画、2018年度から2023年度の計画でございますが、こういったものに基づきまして、医療費適正化の取り組みを推進していただいているところで、また、新たな保険者インセンティブ制度を実施しているところでございます。
今後、この適正化計画について、毎年度PDCA管理を実施して、きちんと進めていきたいと思っておりますし、また、保険者に対するインセンティブ措置についても、引き続き充実を検討していきたいと思っております。 12ページ目、13ページ目に医療費適正化計画の話。14ページ目にインセンティブの関係での参考資料を添付させていただいております。
15ページ目、地域の実情に応じた取り組みの推進で、受益と負担の見える化等ということで、国保財政の健全化の話でございます。
各都道府県におきまして、赤字削減・解消計画に基づきまして、赤字の削減または解消の目標年次及び赤字解消に向けた取り組みを実施していただいているところでございまして、赤字解消市町村数については、2016年度から2018年度にかけて370ほどふえているところでございます。また、保険者努力支援制度において、こういった都道府県の削減に向けた取り組み等、こういった実施状況を評価していきたいということでやっているところでございます。
今後につきましては、毎年度、都道府県からの報告が来ますので、それに基づきまして、こういった国保財政の健全化に向けた先進事例について把握し、そういったものを横展開を図っていきたいと思っておりますし、保険者努力支援制度についても、引き続き、きちんとそういった取り組みを評価していきたいと思っております。
続きまして、下段のところ、地域独自の診療報酬についてのあり方を検討というところでございます。
現在、各都道府県において、適正化計画に基づいて、適正化の推進を取り組んでいただいているところでございますが「今後の方針」にありますように、計画について、毎年度PDCA管理を実施する中で、高齢者の医療の確保に関する法律第14条に基づきまして地域独自の診療報酬について、都道府県の判断に資するような具体的な活用策のあり方についても検討していきたいと思っております。
16ページ目、17ページ目にそれぞれ国保の赤字解消の状況。また、18ページ目に地域別の診療報酬の設定について、参考資料をつけさせていただいております。
19ページ目、上段のところが「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づく取り組みということで、薬価の関係、幾つかの内容を入れております。
まず最初が費用対効果評価でございますが、費用対効果評価の本格実施に向けて、まさに今、中医協において、検討課題について論点の整理及び議論を行っていただいているところでございまして、こういった技術的課題への対応を整理しつつ、関係業界からのヒアリングも実施しながら、今年度中に結論を得ていきたいと思っております。
また、2番目の毎年薬価調査・毎年薬価改定の話につきましては、2018年度と2020年度がそれぞれ薬価改定の通常の年、また、2019年度は消費税絡みに伴う薬価改定がございまして、要するに2018年度から2020年度まで3年間継続して、全品目の薬価改定が行われているところでございます。この間の市場実勢価格の推移ですとか、薬価差の状況、医薬品卸・医療機関・薬局等の経営への影響といったものを把握した上で、2020年中に具体的な対象品目の範囲を決定する予定としております。
また、2020年度薬価改定におきまして、その抜本改革ということで「国民皆保険の持続性」「イノベーションの推進」。この両立をしながら「国民負担の軽減」と「医療の質の向上」を実現する観点で、所要の見直しを行ったところでございますが、こういった見直しの影響の検証を行いながら、引き続き、次期診療報酬改定に向けて検討を行っていきたいと思っております。
下段のところが、調剤報酬のあり方についての検討でございます。
2018年度の診療報酬改定におきましては、かかりつけ薬剤師の要件の見直し及び評価の引き上げ、また、地域医療に貢献する薬局の評価の新設。こういったものを行うとともに、いわゆる大型門前薬局というものがございますが、こういったところの調剤基本料の引き下げですとか対象範囲の見直し等を実施したところで、こちらにつきましても、その影響の調査・検証等を行った上で、次期診療報酬改定に向けて引き続き検討を行っていきたいと思っております。
20ページ目が費用対効果。また、21ページが毎年薬価調査・毎年薬価改定の話。22ページ目にかかりつけ薬剤師の推進。23ページ、24ページもかかりつけ薬剤師の関係でずっとつけておりますが、御参照いただければと思います。
27ページ目に飛ばさせていただきまして、後発医薬品の関係でございます。
後発医薬品の使用割合につきましては、2017年の調査では65.8%となっておりますが、私ども、80%の目標達成に向けてはまだまださらなる取り組みが必要だと考えております。
具体的な取り組み内容を以下に書いてございますが、1つは使用割合が都道府県間でばらつきがございまして、後発医薬品の使用促進が進んでいない都道府県から9府県を重点地域に選定いたし、個別にどういう問題点があるのかについて調査・分析し、課題を解決するための事業を実施しているところでございます。
2018年6月、これは他局の話ですが、生活保護法を改正いたしまして、医療扶助においては後発医薬品使用を原則化したところでございます。
また、2018年度診療報酬改定におきまして、一般名処方のさらなる推進ですとか、後発医薬品使用割合等が高い場合に算定することができる加算の見直しを実施しております。
さらには、保険者インセンティブ制度で「保険者による後発医薬品の使用割合」を評価指標としたり、2018年度実績から、全ての保険者の使用割合を公表したりという形で、医療保険者による使用促進の取り組みを推進しているところであります。
最後に下段のところで、後発品の信頼性を向上させていくということも非常に重要でございますので、年間900品目を目標に市場で流通する製品の品質確認検査を行いまして、その結果を2017年3月から、いわゆるブルーブックに順次作成・公表しているところでございます。
「今後の方針」につきましては、左側に書かれているいろいろな事業を引き続き進めていくとともに、診療報酬関係につきましては、また引き続き、その影響の調査・検証等を行って、次期診療報酬改定において、後発医薬品のさらなる使用促進といったものが図られるように検討を進めていきたいと思いますし、ブルーブックにつきましては、2020年度までに集中的に順次追加・公表を進めていきたいと思っております。
以下、31ページ目まで、後発医薬品の関係の参考資料をつけております。
32ページ目でございます。こちらのほうも11月12日の社会保障ワーキンググループの資料として提出させていただきました。
医療保険部会のほうでも何度か御議論いただいた話でございますが、いわゆる外来受診時の定額負担、後期高齢者の窓口負担、また、薬剤の自己負担、金融資産を勘案した負担。こういったものにつきまして、それぞれ医療保険部会における主な意見という形で紹介をさせていただきました。
外来受診時の定額負担につきましては、大病院につきましては、おおむね前向きな意見があったと思いますけれども、かかりつけ医の定額負担の関係につきましては、「受診抑制を招き、重症化につながることを懸念している」とか、また、「かかりつけ医そのものは非常に重要だと思うけれども、何をもって「かかりつけ医以外」とするのかといったことが不明確なので、慎重な対応が必要ではないか」とか、また、「平成14年の健保法改正法附則第2条に反するものではないか」、こういった意見があったと承知しております。
また、後期高齢者の窓口負担につきましては、年金収入のみの方にとって、医療費を支払うことは負担であり、負担を引き上げるべきではないですとか、その一方で、支える現役世代の負担や制度の持続可能性を考えると、窓口負担の引き上げはやむを得ないのではないかという御意見があったというふうに紹介させていただきました。
薬剤自己負担につきましても、セルフメディケーションを推進していく観点から、 スイッチOTC化された医療用医薬品については、給付率の引き下げでなく、保険適用から外すべきではないかという意見もあれば、平成14年改正法附則の趣旨から保険外しには反対であるとか、まずは、後発品の使用促進や不適切な重複投薬や多剤投薬といったものの削減に努めていくべきではないかという御意見があったと承知しております。
最後の、金融資産を勘案した負担につきましては、現状では金融資産を正確に把握する仕組みはなく、自己申告ベースであるですとか、福祉的な性格を有する介護保険の補足給付とはちょっと異なるのではないか、こういった御意見があったと思っております。
こちらのほうは、それぞれ社会保障ワーキンググループに説明させていただいた資料でございます。
あと、本日御欠席の望月委員から資料がこの関係で出ておりますので、御紹介をさせていただきます。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明のあった内容につきまして、御質問、御意見等があれば承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。今後の社会保障制度の方向性について申し上げたいと思います。
報道によりますと、2019年度の予算編成では、社会保障費の抑制について、具体的な目標、目安を設けないことが報じられております。しかし、これまでと同様、決して財政健全化の手綱を緩めることなく、社会保障費の抑制を実現していく必要があると考えます。
ただし、直近の3年間のように、薬価改定に過度に依存した抑制策は製薬業界の研究開発意欲をそぎ、イノベーションを阻害することにもなりかねません。また、前回問題提起したとおり、これ以上薬価が引き下げられれば、国内での原料調達や国内生産を維持することが難しくなり、今まで以上に海外に頼らざるを得ません。
このような状況は国民の生命や安全に直結する医薬品の安定供給、有事の際の安全保障という観点からも問題だと考えます。薬価改定による社会保障費の抑制は既に限界に来ており、後発品へのシフトのみならず、制度に負担をかけない一般用医薬品の活用も促進するべきではないでしょうか。
社会保障費の抑制に当たっては、重点化・効率化を徹底するとともに、負担能力に応じた適正な負担を高齢者にお願いするなど、医療保険制度全体を俯瞰して実現されることを切に望みます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず全体的なところですが、改革工程表に掲げられている項目についての健保連としての考えはこれまでも申し上げてきたとおりでございますので、本日も個別のコメントはいたしませんが、健保連が言い続けております高齢者医療費の負担構造の見直しについては、ぜひとも立ちどまることなく前に進めていただきたいと思います。
それから、この資料1-2の最初に出ています被保険者番号の個人単位化及びオンライン資格確認についてですが、資料の中に「2020年度の運用開始を目指し、保険者・医療関係者の意見を聴きながら、具体的な仕組みを検討している」とございます。今年5月のこの部会でも申し上げたのですが、やはり関係者間の丁寧な協議をしっかりとやって、くれぐれも見切り発車とならないようにお願いしたいと思います。
具体的には、次の4点を御留意いただきたいと思います。
1点目は、保険者の実務的なメリットを確実に実現するために、関係者間の業務ルール調整を確実にやっていただきたいと思います。
2点目は、マイナンバーもしくは情報連携業務との関係を整理して、さらなる改善を図っていただきたい。
3点目は、やはり効果を上げるためには医療機関の参加は不可欠でございますので、レセプトオンラインの拡充等、医療機関における体制整備も図っていただきたい。
4点目は、保険証の再発行とか、事務フローの変更とか、さらにはシステム改修、ランニングコスト等、業務負荷並びに費用、両面にわたる負担が生じますので、これについての保険者の負担の軽減を図っていただきたいと思います。
関係者間の協議の場においても、現場の実態を十分に認識していただいた上で、実務上の課題についてしっかり詰めていただきたいと思います。
それから、1点質問がございます。今日の資料には入っていないのですが、最近、マスコミ等で大きく報じられている、出入国管理法の改正に伴って、健康保険の被扶養者について、海外在住の被扶養者認定の見直しに向けて検討されているという報道がございますが、現時点でどういう検討状況になっているのか、教えていただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、事務局、最後の質問について、お答えをお願いします。
○鹿沼課長 最近、新聞等でいろいろ報道されておりますが、その中には、政府として、健康保険における被扶養認定に関して、日本国内に居住していることを要件にする方針を固めたという報道がございますが、固めたという事実はございません。
健康保険における在外被扶養者の適用などに係る課題につきましては、今般の入管法改正にかかわらず、我が国のグローバル化の進展に伴いまして健康保険制度が従来から直面している課題であると認識しておりますし、これまでも順次、必要な対策を講じてきたところでございます。
特に在外被扶養者の問題につきまして、今後、今回のこういったことが議論される中で外国人労働者の増加が見込まれると思っておりますが、そういった中で自民党のほうからも、医療保険の適切な利用に向けて、運用の強化ですとか、法改正を含めた制度的な対応の強化を図ること。こういった指摘をいただいているところでございます。
今、与党のほうでいろいろ議論されていると思っておりますので、そうした世論の議論も踏まえながら厚労省としても対応を検討していくというふうに思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
健保連としても、やはりこの問題は適正な保険給付の確保のためにも被扶養者の認定のあり方は大変重要な問題ですし、当然、医療保険部会で議論すべきだと考えております。
具体的な見直し、もしくは実施されるに当たっては、健保組合の業務負担も含めて丁寧な議論をお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、南部委員、先ほどお手を挙げておられたので、どうぞ。
○南部委員 ありがとうございます。資料1-1で数点、御意見を申し上げさせていただきます。
まず、4ページから記載がございます社会全体での予防・健康づくりの推進についてでございます。7ページ、8ページにございますように、健康づくりにつきましては、保険者機能の発揮という意味で本来的な役割であろうと考えております。後期高齢者支援金の加減算によるインセンティブありきではなくて、本来の業務の中で積極的に取り組んでいただきたいと考えておりますので、そこのところをよろしくお願いしたいのが1点目です。
あわせて、8ページにあります個人のインセンティブについても、国民全体が健康で参加意欲の高い人ばかりでないと考えておりますので、健康リスクの高い人でも参加できる仕組みをぜひ考えていただきたいということで、健康寿命に結びつくよう、保険者と自治体の取り組みの連携強化を図りながら、丁寧な運動展開を示していただきたいと考えております。
次が10ページに行きまして、多様・包括的な民間委託の推進と、医療機関と保険者・民間事業者等の連携による予防事業の展開についてでございますが、この取り組みの主体をはっきりとさせて、大まかなスキームになっておりますが、自治体がどのようにかかわるのかをもう少し明確にしていただきたいと考えております。保険者のインセンティブや民間の事業と合わせられることで、もともと健康づくりに積極的な人や改善可能な人ばかりを中心としたプログラム実施に偏らないよう、国民全体の取り組みになるような検討をぜひお願いしたいと思っております。
最後の1点でございます。国保に対するインセンティブということで普通調整交付金を活用するというふうに記載されておりまして、先ほどの御説明で、地方団体との意見を十分尊重していきたいとおっしゃったと思いますが、そのとおり十分留意していただけたらと思っております。自治体間の所得調整機能という普通調整交付金制度の趣旨に抵触しかねないと懸念しておりますので、ぜひ、そのところの留意をお願いしたいと思います。
あわせて、取り組みが振るわない自治体に対する技術的な支援や指導をぜひしていただき、全体の底上げを図っていただきたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
では、樋口委員、それから、安藤委員の順番でいきたいと思います。
樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
後発医薬品についてのコメントが大分出ておりました。前回の委員会で私どもNPOの高齢者の服薬状況に関する調査報告書を配らせていただき、本当にありがとうございました。その中でも高齢者の服薬をしている人たちの中で、ジェネリック、後発医薬品の問題は大変意見が多うございまして、後発医薬品に積極的な態度を持っている答えが圧倒的に多うございました。
ただ、自由回答などを見ますと、ドクターの御説明がかなり幅のあるもので、積極的に勧めてくださる方もあれば、内容的には変わらないのですという方もあれば、いや、私は余り勧めたくないという方まで含めて、かなりばらつきが、少数ではございますけれども、ございましたので、患者としては迷うより仕方がないのです。
なので、恐れ入りますけれども、そういったあたりの情報提供ということをぜひ厚労省あるいは医師の皆様に進めていただきたい。お願いでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、お待たせしました。安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。何点かコメントさせていただきます。
まず、資料1-2の2ページ、3ページ目にありますオンライン資格確認のところなのですけれども、昨年11月の当部会におきましても何点かお願いはしたのですが、利用者の利便性はもちろんのこと、現場で実務を担う医療保険者や医療関係者が納得した上で実施することで本当に実効性のある仕組みになるというふうに考えております。
そして現在、先ほどの資料にもありましたように、関係者、そして我々のほうからの意見も聞いていただきながら、実施までの検討を進めておられるということを聞いておりますので、このままやっていただければと思いますが、実施までのスケジュールが非常にタイトであることもあるのですけれども、やはり中途半端な形でスタートすることになっては本末転倒ですので、引き続き現状のまま、関係者からの意見を聞きつつ、丁寧に議論を進めて、実施までの準備を進めていただければありがたいなと思います。
続きまして、資料にはないのですけれども、負担と給付の見直しのところで、先ほど佐野委員のほうからもお話がありましたように、後期高齢者の自己負担の2割への引き上げにつきましては、やはりとめることなく早急に結論を得るような形でお願いしたいと考えております。
その中で我々、協会健保のほうでお願いしているのは、ことし74歳になられた方が2割負担というふうになっておりますので、その方が75歳になられたときから継続して2割を負担していただく。そして、それから後に75歳になられる方も2割ということで、現在75歳以上になっていらっしゃる方に1割から2割にしていただいているということではないことを改めてここで申し上げておきたいと思います。
それから、現在の改革工程表に掲げられた項目だけではなく、任意継続被保険者制度の見直しであるとか、傷病手当金の見直しであるとか、その辺の見直しも今後、将来にわたって国民皆保険制度、医療保険制度を維持・継続するために必要なことですので、その辺もあわせて見直しをしていただければと思います。
最後に、先ほど佐野委員から出ました海外に住んでいる被扶養者の問題につきましても、先ほど総務課長のほうから御丁寧な御説明がありましたので、あのとおりにやっていただければいいかなと。本当にまだまだ抜けがあるということをおっしゃいますと非常に語弊があるのですけれども、やはり不正な形での使用がないような法制度にしていただけるように、ぜひ御検討いただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
こちらで先ほどお二人、お手を挙げておられましたけれども、それでは、家保参考人、お願いいたします。
○家保参考人 都道府県では、今年度から国民健康保険の保険者となることを踏まえまして、全国知事会として健康立国宣言というものを行いました。それに基づきまして、各都道府県が実施している先進的な優良事例について、互いに学び合って横展開を図ろうということを強化しております。資料1-1に出ておりますような、糖尿病等の生活習慣病や慢性腎疾患の予防などの横展開などに今後積極的に、都道府県としても取り組んでいきたいと思っております。
その一環で、7月から重症化予防、医薬品の適正使用、仕事・子育ての両立支援というワーキングチームを、先週11月9日には地域医療構想の推進、高齢者の社会参加、インセンティブを活用した健康づくりなど、18のワーキングチームを作りまして、各都道府県が地域の課題に応じて取り組んでいこう、横展開しようということになっております。
そのうち、先行して検討していた重症化予防ワーキングチームでは、受診勧奨や保健指導のマンパワーの確保、それから、効果的な関係機関との連携方策、より成果を追求するための進捗管理・評価手法を中心に議論をしておりますが、やはり都道府県だけでは難しい部分もございます。
具体的に申しますと、そもそも糖尿病が重症化した際の深刻な合併症について、国民に十分理解されていない部分がございます。受診勧奨しても、半分近くの方が医療機関につながっていない状況ですので、そういう点につきまして、治療の継続や定期検査の重要性などについて、国を挙げて周知・啓発を行っていただければと思います。
あわせて、市町村を初めとする多くの保険者で保健師等のマンパワーの確保が課題になっております。人材確保等に対する支援を行っていただくとともに、効果的な保健指導力の向上のためのスキルアップ研修を実施していただきたいと思いますし、この問題は国保の保険者である市町村のみならず、全保険者にも同様のような課題がありますので、それらに対しての財政的な支援などの拡充をお願いできればと思っております。
各都道府県としては、こういう政策の横展開は国ともに取り組んでまいりたいと思いますので、いろんな意味で御指導・御協力の程をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
先ほど森委員がお手を挙げておられましたので、森委員、お願いします。
○森委員 ありがとうございます。
まず、樋口委員からありました後発医薬品ですけれども、患者さんの中で、まだ後発医薬品への変更を希望しない人や不安に思っている人もいます。今、お話しいただきましたように、患者さんへは後発医薬品についてより丁寧に説明をするのと同時に、変更後もきちんとフォローさせていただきたいと思います。やはり後発医薬品に変えた時には不安なこともあるかもしれませんので、そこはしっかりと今後もフォローさせていただきたいと思います。
それで、事務局のほうから資料1-2の29ページについて説明がありましたけれども、後発医薬品の使用が約8割に近づいてきて、ここからの1%というのは非常に大変な思いをしています。ここにありますように、各地域別の課題等、さまざまなことを分析しながら、関係者全員で協力していかないとこれから先はなかなか厳しいのではないかと思います。例えば剤形であったり、薬効であったり、年齢であったり、いろんなことを分析しながら課題を見つけて、しっかりと進むようにしていきたいと思っております。これが1点です。
それから、先ほど藤井委員のほうから薬価がどんどん下がってしまうというお話がありました。薬価制度の抜本改革は、国民負担を軽減すること、国民皆保険を堅持すること、イノベーションを評価すること、医療の質の向上に資することを目指して行われました。薬価の毎年調査、乖離が大きいものに関しての対応、効能拡大等に伴う年4回の薬価の引き下げなどで、国民負担の軽減、それから、国民皆保険を堅持する方向にはなったと思います。
ただ、その結果、もう一つの目的であるイノベーションを評価することと医療の質の向上にどうつながっているのかということを今後しっかり見ていかなければならないと思います。必要な医薬品、それから、新薬がきちんと開発できるように、フォローをしていっていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、松原委員、お願いします。
○松原委員 この前のときにも御説明申し上げたように、やはり年金生活をしている人たちに余り御負担をかけるのはもう難しい状態にあります。したがって、後期高齢者の方々の窓口負担を、毎回出てきますけれども、これ以上負担を求めることは私どもは反対です。
それと、やはり放置しておくことによって重症化して、本来、高血圧の薬を飲まなければいけなかった方が飲まないために脳出血を起こして、その後、何年も寝たきりになる。そういったことは絶対に避けねばなりません。やはりアクセス制限するようなことだけで物事を考えるのは反対であります。したがって、定額負担などはとんでもない話だと私どもは思っております。
後発医薬品ですが、なぜ医師がそこまで抵抗したり、あるいは反対したり、説明を渋ったりするのかということを十分考えてください。私どもは処方して、その結果を見ています。その中にどうしても十分でないものがまじっているように思うからこそ、そういった説明をします。
もちろん、内科の考え方と外科の考え方は少し違いますけれども、前回も言いましたように、ぜひ日本の国で、日本の技術できちんとしたものをつくってくださるようにお願いします。日本製であれば私たちも安心して使いますが、前回、毒物がまじっていたという件もありますから、中国で粗悪品をつくって、安くそれを固めて、錠剤にして出すのはいかがでしょうか。自分が飲めないものは患者さんにも出せませんから、そこのところを十分に御理解いただきたい。厚生労働省さんにももっときつく指導していただいて、決して粗悪品がまざらないような形、また、ぜひ日本の工業の推進のためにも、日本の国でつくっていただきたいと思います。
日本国民が日本国民を支えるという考え方で保険制度は成り立っています。そこのところも十分に考えていただいて、例えば日本に来た外国の方、日本に来たこともない家族の方の分まで日本の国が負担するのはとてもできませんから、そこのことを、先のことまで十分考えて対応していただきたく思っているところであります。
オンライン資格のチェックについては、私どもは速やかにできれば、それは進めるべきだと思います。ただ、マイナンバーカードというものは実印のように重要なものですから、それを持ち歩かれるのは医療機関としては大変管理に負担です。そういったことのないように、ぜひ健康保険では、健康保険の個人番号を医療番号として対応できるようにしていただきたいと思います。
もう一つ、申せば、今から遺伝子の検索が簡単にできるようになります。マイナンバーに遺伝子の情報がくっつけば、自分の子供や孫にまで迷惑のかかるような情報の漏えいが起きたときには取り返しのつきようがありません。そのところは十分に考えていただきたいと思っています。
よろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに。
それでは、村岡参考人、お願いいたします。
○村岡参考人 全国市長会の立場から何点か意見を申し上げます。
1点目は、健康づくりに対する自治体の役割ということで御意見もいただきましたけれども、今、高齢者、特に後期高齢者のフレイル対策とか、そういうことの強化をしていこうということで議論がなされているところですが、自治体の役割については十分、我々も認識をしているところですけれども、なかなか現場のほうではそこに対する人的な体制であったり、財政的な負担ということもございますので、やはりこれからそういう健康づくりを支援していくということであれば、自治体がしっかりと役割を果たしていくことができるように、人的な体制や財政面の問題も含めた体制の確保ということを1点目としてはお願いしたいと思います。
2点目で、国保に対する普通調整交付金の御意見もいただきましたけれども、我々、地方団体としては国保における所得調整機能としての普通調整交付金の役割は非常に重要と考えておりますので、皆保険制度を維持していく上でも、この普通調整交付金のあり方の見直しについては基本的に反対という立場でございますので、その点、改めて表明をしておきたいと思います。
3点目として、高齢者の負担能力に応じた負担のあり方の問題なのですが、市町村の現場では生活保護もあずかっておりますけれども、最近の傾向としては、特に高齢者の生活保護受給者の割合が全体的に高まっております。背景としては、介護が必要になったり、また、医療が必要になったということで生活保護になってくる方も増加しているような状況がございますので、負担能力のある方が適切な負担をしていくことは必要だと思いますけれども、一方では低年金のみで生活されている方も多くおいでます。そういった方に対してはしっかりとした配慮が必要と思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
大体よろしゅうございますか。
それでは、武久参考人、どうぞ。
○武久参考人 健康寿命の延伸ということは非常に大事なことだと思いますし、100歳以上の方が7万人にもなる時代なのですけれども、我々はやはり医療の現場で見ていると、90歳の患者さんが来たら、90歳か、もういいじゃないかという感じを医療側がどうしてもまだ持っているところがあります。しかし、本人は100歳になるまでに何回か病気をしたり、入院したり、手術をしたりして、それを乗り越えて九十何歳、100歳に行かれている方が多いとは思います。
そのときに、我々はやはり医療の現場で90歳の人がちょっと風邪を引いたというと、こじらせて、御飯が食べられないで入院したときに、治療をどうするかということを家族が相談に来たり、何だかんだといううちに長く入院すると、健康寿命に非常に影響がある。それで、短期間に高度な治療をすれば3日か4日で帰れるという人も結構いらっしゃいますけれども、この辺のところを、健康寿命を、女性は差が12歳、男性が9歳で、これは厚労省は一生懸命短縮させようとして、確かに少し短くなってきたことは非常にいいのですが、病院に長く入院していると健康寿命に影響してくる。日本の平均在院日数はアメリカの5倍だと言われておりますけれども、だんだん短くなるとはいえ、医療費適正化には、療養病床も含めて、やはり入院期間は短いほうがいいというふうに医療の現場におる者が思うわけです。
それは医療の、病院の経営にはちょっといろいろ難しいこともありますけれども、単純に考えるとそういうことでありまして、高齢化がどんどん進んでおりまして、7対1の一般病床の急性期のところでも、産婦人科や小児科の入院も含めまして、平均の患者の年齢が70歳であります。地域包括が79歳、療養病床が81歳と、10歳の間に急性期から慢性期が集中しているということです。こういうところに九十何歳の人が熱を出してきたときに、我々は現場ではきちんと治すということになりますが、世の中の家族なりが、もう90歳まで生きたからいいではないかということを家族に言われる場合もございます。
そのときに、厚労省は御本人の意思が一番重要だということをちゃんとおっしゃっていただいておりますので、意識があるときには御本人にお聞きすると、どうしますかとはなかなか言いにくいのですけれども、早く治して田植えの準備をしたいとかという100歳もいらっしゃったり、現場で困惑している状況もございます。今、このちょうどフェーズが変わるときで、ここを何とか医療費を適正化するのに後発医薬品を使ったらいいとかというよりも、やはり平均在院日数を短くして、入院したらすぐ治療して、すぐ帰すということが急性期も慢性期も必要ではないかと思いますので、私も厚労省のおっしゃるように、平均寿命と健康寿命との差を短くする。これには平均在院日数を短くするけれども、一日単価は上げていただいて、ちゃんと元気な高齢者をふやしていくということで医療の現場ではやりたいなと思っております。
私の感想です。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに。
それでは、横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 ありがとうございます。
資料1-1、資料1-2、それぞれ細かい項目、または具体的な現状、そして進むべき方向性について、いろんな検討を加えていただいており、それらがわかる、伝わってくると感じていますが、今後、よりよくリファインしていただきたいと思っています。
今、時代の流れの一つにSDGsがございます。持続可能な社会をちゃんとしっかりつくっていこうという世界的な目標になっているわけです。このことについて専門家の方の話を聞くと、世界的にブレークしているぐらい、いろんなところにSDGsの発想が入ってきているようです。ビジネスの世界では、特にそういったマークを持っていない会社とか社会からのものはリジェクトされるぐらいあるそうで、そういう認識が高まっているということを聞きました。
実は、その中にも健康のことが入っています。100歳とは言いませんが、自己管理ができていくことはとても重要な啓発だと出ています。今日、御説明いただいたことはそういった意味でも非常に世界的なテーマにも通じますので、ぜひ大いに前へ進めていただきたいと思っています。
そこでお願いがあるのです。例えば先ほどの話の中で健康データ等の共有があったほうがいいということがございました。例えばこれを都道府県単位や業界単位で限定するとか、部門別で限定するというやり方もあるかもしれませんが、例えば厚生労働省や政府の立場からするならば、「全ての国民がどのような健康状態で、今、何が弱点なのか。または何が必要なのか」ということを具体的にエビデンスベースで知った上で手を打たれると思います。
そういう意味から考えていきますと、今すぐは不可能だとしても、この先、5年、10年のスパンで考えていけば、そういったデータベースのフォーマットも事前に想定して、それにどんどん働きかけて統一していく、統合していくとか、そういうことをしていかないと結局、またそれを入力するとかコンバートするとかでコストも時間も手間もかかってしまいます。それでは、オールジャパンのデータがとれるはずなのにとれないということになってしまいますから、ぜひそういった近未来社会を予測して検討いただきたいと思っています。
なぜこういうことを申し上げるかといいますと、今、アプリがどんどん開発されています。例えば母子手帳に関しては、紙ベースが基本でしたが、今は簡単なスマートフォンのアプリで共有できるようになってきていますし、忘れることなく地方自治体の保健師さんからお母さんに、「今度、母子健診日はいつですとか、お子さんの体重の変化はこうなっています」というアドバイスも入れたりすることもできるようになっているのです。こういったことをより多くの方々が享受されている時代が目の前に既に現実化していますので、ぜひそういったIoT、ICT、AIの時代を予見しながらの検討をお願いしたいと思っています。
また、医療に関しましても、まだ正式に認可的に、大々的にやられることになっていないかもしれませんが、例えば緑内障でいいますと眼圧検査等がありますが、過去の多くの医師が診断された何十万という診療データのファイルをもとに画像を撮って集め、それをデータベースとしてAIを活用し、それで「緑内障の疑いがある」ということを検出するものが既にできて、動き始めています。ほかの分野でもそういった医療データを読み込んで、「これは肺がんのおそれがある」とか、「こういった病気の証拠がある」ということをAIが判断サポートしてやってくれる時代になっています。
もちろん、AIが過剰に進むとよくないという議論もありますけれども、一方ではそのように便利に使える、的確に使えることが可能になってきました。例えば、子供たちに関する行政の窓口の、保育所の入所に関しましても、何人もの人間が何時間もかかってやっていたものが、正確に、早く、適切にできるというものが埼玉県さいたま市で始まったり、そういう時代なのです。
申し上げたいのは、ぜひそういった近未来を想定しながら、今は無理だから出来ないとか、これまでしていないからやれないではなくて、将来こうなるべきだから、そっちを目指していこうという想定をしていただきたいと思っています。そのために必要なものが、1つはマイナンバーとか医療データとか、いろんなものがこれまでも言われてきています。それらは今後、技術的にも可能になっていきます。また、多くの方が心配性で、私も気にはしていますが、セキュリティーのことについても、よりセキュアなものをどうつくっていくか。それは当然やりながら、こういったものをつくっていくと、この健康・医療をより高めていくことがもっと可能になっていくと思います。
また、そういうAI端末を使うことによって、多くの方々が日常、本当にリアルタイムで自分の健康を知ることによって、家族の健康のことをお互いによくケアしたり、自分自身のことをよく注意したりしていく。その自覚が例えば糖尿性腎症の改善にも当然つながっていくわけですので、ぜひそういった新しい時代の発想で、厚生労働省にはどんどん検討して御提供いただきたいと思っていますし、我々も気づきがありましたら申し上げたいと思っています。
よろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
まだ御意見があるかと思いますけれども、議題がまだ2つ残っておりますので、本議題はこれぐらいにさせていただきまして、次の議題に移りたいと思います。
次は「当面対応が必要な課題」。これにつきまして、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○鹿沼課長 資料2に基づきまして説明させていただきます。次期通常国会に向けまして、制度改正を含めてさまざまな議論を行っているところでございます。あるいは有識者の方々に検討をお願いしているところでございまして、本日はそうした状況につきまして、現時点での状況を御報告させていただければと思っております。
まず最初、大きく3つの項目がございますが、1ページ目「情報解析基盤関係」でございます。「骨太の方針2017」、また、未来投資戦略2018の関係で、データヘルス関係でいろいろな御指摘をいただいております。
2ページ目に、その中でもNDB、介護DBの関係を書いておりますが、医療レセプトであれば既に148億件、介護レセプトであれば9億件弱のデータがございます。それぞれ、ここに書かれているような用途に基づきまして、有識者会議の審査を経て、第三者提供等も実施しているところでございます。また、データについては匿名という形で扱っております。
こうしたデータにつきまして、3ページ目でございますが、経済財政諮問会議等におきまして、まず平成28年、総理のほうから「医療と介護のレセプトデータを全国的に連結すること」、また、先ほどの「骨太の方針」にありましたように「健康・医療・介護のビッグデータを連結し、医療機関や保険者、研究者、民間等が活用できるようにすること」、こういった期待が示されているところだと思っております。
こうしたことを踏まえまして、それぞれの特質を踏まえた検討が必要ということで、真ん中の「今後の検討」と書いておりますが、NDBと介護DBで保有する情報について、連結解析を可能とすること。また、DPCデータ及びその他の公的データベースとの関係を整理すること。そうしたものに即した第三者提供の枠組みを整理することという問題意識でおります。
4ページ目が、それを踏まえた検討状況でございます。
有識者会議におきまして、御検討をお願いしておりまして、NDB及び介護DB情報等の連結解析基盤に関しまして、法的・技術的な論点について整理するということで、部会長の遠藤先生にも座長をしていただいておりますが、そちらの方で検討を進めているところでございます。
具体的には、検討スケジュールにございますように、5月16日に第1回の会議を開催し、7月19日には議論の整理という形で中間的な取りまとめを行っていただきました。この部会のほうにも報告をさせていただいたところでございます。
実は明日、第9回、報告書(案)について議論し、その後、報告書を取りまとめるというふうに聞いておりますので、その結果を医療保険部会のほうにも御報告を今後させていただきたいと思っております。
今日時点では、5ページ目にあるように、既に部会のほうにも報告させていただきましたが、7月19日の中間取りまとめという形が現時点での、ある程度、形の整ったものでございます。その中の「今後の方向性」の中でありますように、NDB、介護DBの収集・利用目的について、双方の範囲の整合性にも留意し、法の規定を整備するとか、第三者提供の枠組みを法定化する。個別審査とか、不適切事案への対応等についても検討していくということだと聞いております。
また、第三者提供、実施体制、費用負担、技術面の課題について、それぞれ、ここに書かれているような議論がなされ、今後の検討の進め方についても、この秋をめどに引き続き検討ということで、今後、部会のほうにも報告をさせていただきたいと思っております。
6ページ目から、一体的実施の関係でございます。介護の関係と私どもの生活習慣病とかフレイル対策の関係でございます。
6ページ目に「骨太の方針2018」、また、「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」に書いている内容を御紹介させていただいておりますが、高齢者の通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策と生活習慣病等の疾病予防・重症化予防、就労・社会参加支援といったものを都道府県等と連携しつつ市町村が一体的に実施する仕組みを検討する。それを、インセンティブを活用することにより、健康寿命の地域間格差を解消することを目指すというふうにされております。
7ページ目でございます。フレイルということをさらに超えて、私どもが最近、特に考えておりますのは健康寿命の延伸ということで、ことしの4月に経済財政諮問会議で加藤前大臣のほうから提出させていただいた資料でございます。
健康格差の解消により、2040年までに健康寿命を3年以上延伸して、平均寿命との差の縮小を目指す。こういったことを目指すための対策の中に3つの柱をうたっておりますが、その一つが介護・フレイル予防であると考えております。介護予防と生活習慣病等の疾病予防・重症化予防といったものを一体的に実施する枠組みの構築。これをまたインセンティブを活用して進めていきたいということでございます。
具体的な内容について、8ページ目。これはことしの10月、根本大臣のほうから未来投資会議に提出させていただいた資料でございますが、医療につきましては、現在、生活習慣病対策ということで、健保、国保、各保険者で対策を実施していただいております。
一方でフレイル対策ということで、広域連合のほうで後期高齢者医療の枠組みの中で対策を実施していただいておりますが、こういったものをより生活習慣病対策からフレイル対策まできちんとつなげていきたい。そして、その上で介護の介護予防、これは市町村のほうでやっておりますが、こういったものと一体的に実施していきたいということで、市町村を基軸に置いたような形での介護・医療、こういったところでの対策を一体的に実施していくということなのかなと思っております。
8ページ目の下にイメージ図という形で描かせていただいておりますが、介護のほうの通いの場のところに保健師ですとか栄養士の方々。こういった方々にも行っていただいて、そこで保健指導等々も行っていただく。また、フレイルチェックを行っていただく。それで、保健指導の情報共有をお医者さんの方とか医療系の方々、あと、受診勧奨ということで、必要な方については受診を勧奨していただくという形で、介護ということだけではなくて、そこにさらに医療の側面も入れてやってはどうかと思っております。
9ページ目に「検討の進め方」ということで資料をつけております。
現在、有識者会議で検討していただいております。9月6日から有識者会議で第1回の会議を立ち上げ、こちらの方も11月22日に第5回の会議を予定しております。近々、検討結果を取りまとめ、これにつきましても、この部会のほうに報告をし、御議論をお願いしたいと思っております。
10ページ目に「保健事業と介護予防の現状と課題」ということでイメージを書かせていただいております。
医療保険の場合につきましては、先ほど言いましたように、被用者保険の保健事業、国民健康保険の保健事業がそれぞれございますが、その後、75歳以上につきましては、後期高齢者広域連合の保健事業ということで、この赤い点線で囲って赤字で書いてあるものですが「国保と後期高齢者の保健事業の接続の必要性」、ここのところをどういうふうに考えたらいいのか。また「フレイル状態に着目した疾病予防の取組の必要性」というものについて、どういうふうにしたらいいのか。さらに「保健事業と介護予防の一体的な実施」ということで、さまざまなデータ分析も行いながら、この事業を進めていく必要があるのではないか。
また、介護保険の場合につきましては「保健事業との連携による支援メニューの充実の必要性」という形で課題があるのかなと思っております。
いずれにしても、こういった課題を含めまして、今、検討会において御議論いただいておりますので、先ほども申しましたとおり、その結果については部会のほうに今後報告させていただければと思います。
次に、3番目が支払基金の改革関係で、11ページ目でございます。
規制改革実施計画の中で、ことしの6月、閣議決定されておりますが、支払基金関係につきまして、今年度に実施するモデル事業においては、支部の最大限の集約化・統合化を前提に、集約化のあり方を早急に検証する。その結論を得た上で公表する。あわせて、その検証結果を踏まえた法案を提出するという形になっております。
12ページ目に「最近の審査支払機関改革に係る動き」ということで、平成29年6月に規制改革実施計画の中で、ここに書かれているような3点の指摘がされております。
それを踏まえまして、平成29年7月には厚労省と支払基金で「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」を作成しております。
平成29年10月には、国保中央会、国保連合会の方で「国保審査業務充実・高度化基本計画」というものを策定していただいております。
また、平成30年3月「審査支払機関改革における支払基金での今後の取組」というものを公表しているところでございます。
こうした中で、先ほど言いましたように、平成30年6月、規制改革実施計画の中でも指摘をいただいているところでございます。
13ページ目に、この平成30年度における支払基金改革の主な取り組み事項について書かさせていただいております。先ほどお話ししました「業務効率化・高度化計画」に掲げられた事項について、それぞれ主な取り組み事項をまとめております。
「(1)審査プロセスの効率化・高度化の推進」ということで、ICTを活用した新システムの構築ということが事項でございますが、平成30年度につきましては、新システムの業務機能単位ごとに4月から調達を順次実施しておりまして、事業者が決定したものから開発に着手しているところでございます。
また「(2)より公平な審査の実現に向けた審査基準の統一化」ということで、本部チェックルールへの移行・廃止ですとか、本部審査レセプトの対象範囲を拡大という項目がございますが、今の取り組みといたしましては、支部設定コンピューターチェックルールの見直し作業を実施いたしまして、平成29年10月時点では約14万件あったものが、平成30年9月時点では約7万件になっております。また、平成31年9月までに、さらに約5万件を廃止予定でございまして、新システム稼働時までには既存支部点検条件の集約を完了したいと考えております。また、11月審査分より、本部特審対象レセプト点数の引き下げを実施し、対象を広げているところでございます。
「(3)支払基金の組織の在り方の見直し」で、新システムの構築等による業務効率化・高度化に合わせ、その機能の集約化に向けた検討を行うというふうにされておりまして、平成30年度におきましては、宮城、福岡、大阪の9支部において、支部機能の集約化等による審査業務への影響等に関する実証テストを実施しているところでございます。9月末に中間報告を公表し、年内に最終結果を報告したいと思っております。
「(4)その他」といたしまして、レセプト様式の見直しを踏まえた対応につきましては、平成30年度診療報酬改定で導入されましたレセプト摘要欄の選択式記載に基づきましてコンピューターチェックを開始しておりますし、学識委員による判断の仕組みの確立という点につきましても、審査委員間の意見の相違が生じた際に学識委員が判断する仕組みを確立しているところでございます。また、IT等専門人材の採用拡大等についても、現在、医療分野のICTに関する知見等を有する特別技術顧問を採用させていただいております。
14ページ目には、支払基金と国民健康保険団体連合会の比較ということでつけております。説明は省略いたしますが、一応御参照いただければと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ただいまの説明について、御質問、御意見等があれば。
それでは、遠藤委員、お願いいたします。
○遠藤委員 遠藤です。ありがとうございます。
8ページのスライドのところで御意見と、ちょっとお聞きしたいことがございます。ここで図では身体を動かす場というものが、住民の通いの場、集いの場というところが図示されてございますけれども、モデル事業としてこういったことはたびたび行われているとは思うのですが、これをフレイル対策といった場合には高齢者にかなり網羅的に行わないと実際の効果はかなり難しいのではないかなと考えると、こういったところには興味のある方はいらっしゃるのですけれども、なかなか多くの方が集まらない、限定的になるのではないかと考えております。
この高齢者が最も集まるところは、ある意味、医療機関の外来ではないかとは考えているのですけれども、我々、歯科においても多くの高齢者が通院しております。そうした中には、もちろん、元気な高齢者もたくさんいらっしゃるのですけれども、フレイルの始まりと言われているオーラルフレイルの方もいらっしゃいます。
ただ、こうした方をこういったヘルス活動の中で、どこに、どのように連携をするのかというのがなかなか見えていない。この図の中でもどういうふうな形なのかが見えず、このフレイルの対応の場はまだ不明確なように思えるので、その辺が明確になればと思っています。
また、この医療機関を受診していない方については、保険者のほうで65歳以上の話で言えば、主として国保かなとは思いますけれども、75歳以上ですと広域連合になりますが、そこで把握ができるというふうに、レセプトの出ていない高齢者の方の健康状態の把握は可能ではないかなとは思っております。
ただ、こうした医療機関からの連携、また、保険者からの連携についても、いずれも内容は個人情報にかかわる部分でもあり、先ほど委員のほうからデータの収集というお話もちらっとあったように思うのですけれども、法的根拠も必要であろうと思いますが、こういった網羅的に実施するとなれば、なかなか多くの方のデータが動くということで、それが可能なのかどうかという点をお尋ねしたいと思います。
また、こういった網羅的に実施するに当たっては、住民の方の理解がないとなかなかトラブルも出るということで、広報活動も重要ではないかと思っております。
もう一点、今回、主として65歳からの議論のような形で、もちろん、制度のたてつけがそうなっているのだと思いますけれども、フレイルに至る経緯というものはあるわけで、歯科においても口腔機能に着目した対応を始めているところですが、この65歳以前からの対応、その後の連携・継続が必要だろうと思っております。意見でございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、先ほど手を挙げておられましたので、お願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。1点だけコメントさせていただきます。
3つ目に説明されました支払基金改革ですが、今さら言うまでもありませんが、支払基金は国民皆保険を支える極めて重要なインフラでございますし、健保組合としても大変大きな関心を持っております。医療保険に係る財政状況が大変厳しい中で、特にシステム刷新等による審査業務の効率化・高度化による効果が最大限に発揮できるような組織体制の整備や、支部の集約化によるスリム化等の実現に向けて法改正をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。2点コメントさせていただきます。
まず、6ページから10ページまでの部分なのですけれども、疾病予防であるとか重症化予防と介護・フレイル予防の一体的な実施により、生涯を通じた健康づくりを進めていくことにつきましては基本的に賛成でございます。そして、それに加えまして、先ほど遠藤委員のほうからもありましたのですが、将来にわたる本来の医療費の削減であるとか、真の健康寿命の延伸のためには、やはり幼少期からの食事なども含めた健康教育の実施というものが必要であると考えておりまして、ここの部分を実施することによって国民の健康リテラシーの向上につなげていただけるような検討も重ねてやっていただければと思います。
あと、高齢者のフレイル対策の実施なのですけれども、ただ単に実施して終わりということではなくて、例えばNDBのデータを活用して利用者の健康状態の維持・改善度合いを評価するなど、その辺のPDCAを回せるような仕組みにしていただければと考えております。
2点目は支払基金のことなのですが、先ほど佐野委員からもありましたように、我々、保険者にとって非常に大切な改革ですので、ここの部分につきましてはスピーディーに実行していただく必要があって、来年の国会までに法改正をきちんとしていただいて、今、考えていらっしゃることを実現していただけるようにしてもらいたいということでございます。お願いでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、先ほど南部委員がお手を挙げておられましたので、南部委員、どうぞ。
○南部委員 ありがとうございます。2点ございます。
1点目は、2ページにございますNDBと介護DBの連結で、この連結によりまして、サービス利用の分析や提供体制の分析など、さまざまな分析を可能にするということでございますが、これにつきましては、国民の福祉の向上につながるのであれば、ぜひ進めていただきたいと思っております。
ただ、その上で、有識者会議で今後検討される第三者提供について4ページにございますが、検討が行われる点、中間報告でも既に記載がされておりますが、あくまで、この活用は公益目的での利用ということで限定すべきだと考えておりますので、ぜひ最終取りまとめにもそういった観点で検討をお願いしたいと思っております。
2点目で、5ページにございます有識者会議においての中間報告の中に、連結精度向上の方策として、個人単位被保険者番号の活用が提起されております。この被保険者番号につきましては、現在、御承知のように、法的な保護がございません。今後、この番号を活用し、医療機関の情報連携や研究開発の促進などに活用するに当たっては、やはり国民が自己情報をコントロールできる仕組みとすることが必要でありますし、医療分野等の特に機微性の高い医療情報等の取り扱いについては特段の措置を定める法制を整備するとした社会保障・税番号大綱の考え方に照らして、十分な法制上の保護措置を講ずるべきだと考えておりますので、そういった視点でも有識者会議での御検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、先ほど堀委員が手を挙げておられましたので、どうぞ。
○堀委員 NDB、介護DBの連結について、研究あるいは公益のために活用できるということは大変すばらしいと思っております。先ほど一体的な予防・健康づくりの推進についての説明がありましたが、連結するならば、一体的な実施を一体的に把握できるようなDBにしていただければと思います。例えば一体的に実施されたケアについては独自コードのようなものを付与するなどできないでしょうか。ここで議論することではないかもしれませんが、どのような保健事業と医療、介護が連続的に実施しているのか、バラバラなのかなど、一体的に実施したものは一体的ではないものと区別してわかるようになりますと、こちらに挙げられている一体的な実施が本当に有効であるかどうかというのは検証できると思います。
今のままですと、医療は医療保険の請求用のデータ、介護は介護用のデータ、保健事業は保健事業の、それ専用につくられていると思いますので、一体的な実施の評価は難しいと思います。将来的な課題かもしれませんが、環境整備をしていただければと思いました。
それから、1点、事務局より先ほど、8Pの説明で、インセンティブの付与によって取り組みを進めて、それがアウトカムにつながってというようなお話があったと思うのですが、そこでおっしゃっているインセンティブというものは、どういうものなのか、ちょっと教えていただいてもよろしいでしょうか。先ほどの保険者努力支援制度のようなものをおっしゃっているのでしょうか。
○遠藤部会長 これは事務局に対するお尋ねですね。
○堀委員 はい。
○遠藤部会長 インセンティブについて説明をお願いしますということですね。
○鹿沼課長 先ほどフレイルのところでもあったと思いますけれども、基本的には先ほどの保険者努力支援制度ですとか、そういったものも活用していきながらということで考えております。
○堀委員 先ほどの8ページの図を見ますと、保険者ではなくて「市町村」と書いてありましたので、後期高齢者医療の保険者は、市町村ではないですし、国保、介護保険の保険者としての市町村と、自治体としての市町村というものはひょっとするとちょっと立場が違うのかなと思いましたので、インセンティブが効くのかどうかなと思い、質問だけさせていただきました。
以上です。
○遠藤部会長 ほかにいかがでしょうか。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 3点ほどございます。
NDBや介護DBで、これらを統合して、適切に運用していくという点においては大賛成であります。ただ、何度も申しましたように、患者さん、また、家族の方の個人情報が十分に守られての話であります。さらに、こういったデータにつきましては、使うにおいて、やはり限度があるということを私たち現場では感じているところであります。
2番目は、いろんなことをデータをもとにしてやるのは大変よいことだと思いますが、やはり実際に実行できるのは市町村だと思っています。お金の面ではいろいろなことを国も都道府県も考えねばなりませんけれども、実際にその個人をよくわかって、介護や医療や予防など、一体化してできるのは市町村だと思います。この方向で十分に考えていただきたいと思います。そうしなければ机上の空論で終わる可能性がございます。
3点目は、国保の支払基金の改革、国保連合会の改革ですが、随分、これは長い間、議論いたしました。まず一番大事なことは、例えばコンピューターを使うにしても、国民の皆さんが健康で幸せに暮らせることがまず第1の目的であって、業務の問題については手段の話であるということをよく御理解いただきたいと思います。
また、審査というものは非常に難しゅうございます。これも何度も申し上げていますけれども、医師が医師のレセプトを見るのは大変なエネルギーが要ります。かなりの、最新の知識が要ります。さらに休みを返上して、審査医のみなさん、この審査に当たっているわけであります。そのようにしなければ十分な医療が担保できないということを私ども十分に理解してやっておりますし、その内容については、一番審査している医師たちが努力し、そして蓄積し、都道府県においての一番適切な形を維持していることを十分に御理解いただきたいと思います。簡単に集めれば済むという話ではありません。
また、先ほどと同じように、全国で一本化して判断すれば平等だというのは大きな間違いであります。やはり土地によって気候も違いますし、交通の状態も違います。県民性も違いますので、そこに細やかに寄り添いながら判断している現実について、よく御理解賜りたいと思います。支払基金の審査については、各都道府県、今まで随分努力しておりますので、全体で集めればいいという話ではない。むしろ、都道府県ごとにきちんと審査委員会を開いていただきたいというのが私どもの切なる願いであります。
その中で事務を効率化することにおいては大賛成でありますので、よく議論しながら、また、現場の方々の意見をよく聞きながら、一部でテストをして、少しだけ試行してみたから、よかったからというのではなくて、そのメリットとデメリットを十分に議論していただきたいと思っているところであります。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
いただいた説明の中の最初の1ページ目に「未来投資戦略2018-『Society 5.0』『データ駆動型社会』への変革-」というものが出ています。閣議決定内容の抜粋を引用されています。このことにつきましては、単に予算と仕組みがあればできるだけではなくて、私は法整備が極めて重要な部分があると思っています。なぜならば、先ほど来、議論の中にも出ていますけれども、個人の情報に関する個人情報保護条例は、ざっと見ただけでも自治体数1,740ぐらいプラス各公的な機関にそれぞれ同じルールがありまして、2,000を超えてあるはずです。今、ばらばらの状況なのです。
総務省のほうからはそれぞれ個別条例で対応となっているのですけれども、これだけスピード化してサービスもオールナショナルになっていくべき時代、根本的に重要なことは絶対外してはいけませんし、セキュリティーも高くしなければいけない。さまざまな宿題があります。これらをトラブルなく克服しながら前へ進むには、やはり国としてきちんとした標準や基準やルールというものがとても大切だと思います。
そうでなければ、いかにビッグデータと叫んでも実はデータは集まらないし、利活用についても全て制限がかけられてしまいますので、ぜひそういった法整備が重要なことを厚生労働省のほうでも認識いただいて、このような官邸等での「Society 5.0」関連の議論があるときはぜひそういったことも提起いただければいいかと思いますし、それが今後とても重要になると思っているのが1点目です。
2つ目は、基金改革の関係のことが11ページに出ています。ここには用語として統合化、統一化といった言葉が出ていますが、私は基金の関係並びに国民健康保険団体連合会の関係で考えますと、両方とも診療報酬のレセプトチェックをしていただいているわけなのですが、この意味で重要なのはやはりイノベーションをしていくことだと思います。
イノベーションはいろいろな方法があると思いますが、単に統合だけではだめですので、ぜひ統合を整理しながら、新たなものを創造していく視点がなければよりクリエーティブなものになっていきません。ぜひそういった視点で主導するなり、リードするなり、ガイドするなりして、よりよいものになるようにサポートして、牽引をしていただきたいというのが2点目に申し上げたいことです。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。大体よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、本件につきましては、このぐらいにさせていただきたいと思います。
次の議題に移りたいと思います。「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額」について、事務局から説明をお願いいたします。
○野村課長 国民健康保険課でございます。よろしくお願いいたします。
資料3をお開きいただければと思います。「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」という資料でございます。
国民健康保険の保険料につきましては、社会保障制度改革国民会議の報告書、あるいはそれを受けてのいわゆる社会保障改革プログラム法の中で、負担能力に応じて賦課限度額の引き上げを図るべしという方向性が示されております。
この賦課限度額の趣旨でございますけれども、2ページ目をごらんいただければと思います。
国民健康保険を含みます我が国の医療保険制度は社会保険方式でありますので、この保険料の負担というものは基本的にリスクに応じてといった純粋な民間保険、私保険とは異なりまして、負担能力に応じた負担というものが基本的な考え方となっております。
その一方で、被用者保険のほうにも標準報酬の限度がありますのと同じように、国民健康保険の保険料・保険税につきましても、青天井ではなくて、一定の上限が設けられるということになっております。
では、この国保の賦課限度額はどういう効能効果、機能を果たすのかというのが下の線グラフをごらんいただければと思いますけれども、医療費が増加していくと当然、それに応じて確保しなければならない保険料の総額はふえてまいりますが、仮にこの賦課限度額を変えなかった場合、どうなるのかというのがイメージ図の1でございます。つまり、この斜め線と突き合ったところの横向きの線の高さが変わらないとなると、医療費がふえたということになると、この赤線にございますように、保険料率、勾配の角度を上げて保険料を上げなければいけない。つまり、これまで賦課限度額に当たっていた所得の方よりも比較相対として低い所得の方にも賦課限度額いっぱいをお支払いいただくような率を設定せざるを得なくなる可能性は高いということでございます。
一方でイメージ図の2のほうは、この賦課限度額の設定を引き上げるということにおいて、どういうことが起こるかということでございますが、これは従来、賦課限度額に当たっていた方にはもうちょっと御負担をいただくということ。それによって得られる保険料収入をもとに、この赤い線、何もなかりせば赤い線になったであろうというところの上がりの幅を抑えることができるという効果が期待できるということでございます。
最近、どういうふうに動いてきたのかということで、それは3ページをごらんいただければと思いますけれども、近年、引き上げを行っておりますが、最大の上げ幅は4万円ということで御負担をお願いしてきていたという経緯でございます。
4ページ目では、平成31年度、来年度をどうするのかということで、これはかねて賦課限度額というものは被用者保険のほうにおけるルール、大体、標準報酬の最高限度額に当たる方は0.5~1.5%の間になるようにということで設定されておりますので、そういったことも踏まえて段階的に引き上げをお願いしてきているところでございます。
平成31年度、来年度につきましては、やはり引き続き一人当たり医療費の高齢化に伴う増加なども見込まれます中で、より負担能力のある方には御負担をお願いするという観点から、医療費の基礎部分を3万円、介護納付金は1万円、後期高齢者支援金分は据え置きとした上で、つまり合計4万円の賦課限度額の引き上げをお願いできないかというふうに考えております。
これを行うことによりまして、5ページのところにあります、細かい説明は割愛させていただきますけれども、それぞれの基礎部分、あるいは据え置かせていただくつもりの高齢者支援金の部分、さらに介護納付金の部分、いずれも、この賦課限度額を超える世帯の数の割合がおおむね本年度並みの割合と同じような水準になるものと推計しております。
こういった年々歳々の賦課限度額の設定をどうするのかということとあわせまして、1点検討していることがあるということで御報告をあわせて申し上げたいと思います。6ページでございます。
こちらは国保財政基盤強化の事務レベルワーキンググループのほうで議論に入らせていただいたものですが、この賦課限度額の仕組みにつきましては、市長会さんから御提案・御意見を頂戴しているところでございます。医療費が高くなってきている中で、この賦課限度額に該当する所得の水準が、かつてに比べれば相対的に低いところに来ているということであります。
そういう意味では、今の一律な賦課限度額のあり方ということではなくて、ある程度、所得段階を反映したような形で、新たな仕組みといいましょうか、仕組みの見直しは考えられないかということで御提言をいただいているところであります。こちらにつきましても、この国保事務レベルワーキンググループの場などにおきまして、地方団体の方々の御意見、お知恵も頂戴しながら検討してまいりたいと考えております。
以上、手短でございますけれども、国民健康保険の保険料・保険税の賦課限度額について御説明申し上げました。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの件につきまして、御質問、御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
村上委員、お待たせしました。
○村上委員 国保料の賦課限度額の引き上げについて発言させていただきますが、賦課限度額の引き上げの必要性については、一定の理解はできるところであります。ただ、市町村国保、とりわけ私たちの町村の国保でありますが、相対的に所得が低く、高齢者が多いことなどから、大変厳しい財政運営を余儀なくされているところであります。
このような私たちの町村国保におかれている状況及び本年4月の国保の都道府県単位化が円滑に移行できた中で、今回の引き上げにより大きな影響が生じる町村があるかと思われますので、厚生労働省においては、その影響をしっかりと把握していただきながら、調整交付金等で適切な対応を講じていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、村岡参考人、お願いいたします。
○村岡参考人 資料の中に全国市長会の意見も掲載していただきまして、ありがとうございます。
昨年のこの部会でも発言をさせていただいたのですが、国の基本的な考え方として、賦課限度額の超過世帯が被用者保険と同じように1.5%に近づくということを目標に掲げているということなのですが、一方では、資料で掲載していただきましたように、各市町村で保険料率を上げていきますと、結果的には賦課限度額に到達する所得は低くなっていく状況があって、毎年、一定の保険者のほうで保険料を上げていく状況の中で、1.5%にはなかなか近づかないのではないかということを発言をさせていただいたところです。
私ども全国市長会としては、各市町村ごとに非常に保険料の格差がある実態の中で、最後の資料にもありますように、国の平均として出されている資料では所得800万円程度ということで出されておりますけれども、現実的にはもっと低い所得で今の93万円という限度に達している状況があるということで御指摘もさせていただいたところなのですが、そのあたりの基本的な事務局の認識は、私どもの指摘が間違っておるということではなしに、現実的にそうなっていることについては御理解いただけているのか。まず1点、御質問させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、お願いいたします。
○野村課長 1,700を超える市町村で、それぞれ保険料の背景となる所得の水準、さまざまでございますので、そういう意味では、この平均値などを勘案して設定させていただく賦課限度額ではございますけれども、当然、御指摘のように、各市町村によって、この賦課限度額に該当する所得にはばらつきがあるのであろうというのは受けとめた上で、このようなことを事務レベルワーキンググループのほうで議論させていただければと考えております。
○遠藤部会長 村岡参考人、どうぞ。
○村岡参考人 ありがとうございます。
基本的な御認識をいただいているということで安心しているのですけれども、先ほど申し上げましたように、現実的に市町村によって本当に大きなばらつきがあるということで、私自身も少し他の自治体の状況も分析してみましたけれども、実際、資料にありますように、500万円程度の所得段階で現在の93万円という限度額に当たる。2割近くの保険料負担をするという状況がございます。また、子育て世帯になれば、世帯人員数がふえるほど限度額に到達する所得が下がっていくという状況がございますので、相当重い負担になっている現状がありますから、現行の制度のままで賦課限度額を上げていくことについては、もう一定の限界に来ているのではないかと考えています。
そういった意味では、平均的な資料で資料提示はいただいているのですが、全国1,700ある市町村保険者の賦課限度額に到達している現状ということもしっかりと分析をしていただいた上で、根本的に制度のあり方を議論しない限り、保険料率の高い市町村にとって、被保険者の皆さんにとっては相当大きな負担となるという現状があると思いますので、市長会としては一旦、平成31年度の引き上げについては立ちどまっていただいて、現状をしっかり分析した上で抜本的な制度見直しを検討していただきたいと思っています。
国保のワーキンググループでも議論が始まったばかりですので、そのあたりでの議論を継続していただいて、今後のあり方を十分検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
武久参考人、どうぞ。
○武久参考人 ちょっと教えていただきたいのですけれども、国民健康保険はこの前までは市町村が保険者であったと思います。最近、都道府県になったということですけれども、市町村のときの保険料が都道府県単位になって、保険料が上がった市町村と下がった市町村がもしおわかりだったら教えていただけたらと思います。
というのは、市町村であったときは、今、介護医療院のことが、ちょっと医療保険とはずれていますけれども、医療療養病床から介護医療院に転向すると、保険が医療保険、国民健康保険から介護保険になる。ただ、介護保険は市町村単位になっているということで、ここでちょっと市町村によるストップが問題になっているところがございます。だから、そういう意味では医療保険とは関係あるのでお話をさせていただきますけれども、同じ市町村が国民健康保険で、介護保険も市町村であれば、これは間違いなく医療保険から介護保険に変わることは、トータルとしては市町村のお金としては少なくて済む。ところが、都道府県になった場合には、市町村自身は医療保険から介護保険に変わると、保険料が小さい市町村ではどんと上がってしまう。
この辺のディスクレパンシーといいますか、この辺は調整していただくほうが、トータルとしては医療の現場から介護の場に移るほうが全部の報酬としては安くなるのであれば、厚労省のほうで何とか検討していただいて、この国民健康保険から介護保険へのスムーズな移行ということで、逆に言うと、介護医療院へのスムーズな移行が行われるほうが国全体としては費用が減るというところでありますのでお願いしたいかなということと、最初のところは野村課長にもしおわかりでございましたら、教えていただけたらと思います。
よろしくお願いします。
○遠藤部会長 国保の限度額の話ではなかったですけれども、質問がありましたので、事務局、すぐ出なければ、またでも結構ですが、いかがでございましょうか。
○野村課長 保険料は、都道府県単位化ということで専ら動くというよりは、やはり医療費の状況であるとか、高齢化の進みぐあいとかといった、さまざまな要素が絡み合ったりとかすることがありますので、なかなか単純に比較をするとか割り切るのは難しいことかとは思っております。
昨年度末に公表させていただきました今回の平成30年度の一人当たり保険料がどう動くかという理論値を、各都道府県さんにお手を煩わせて、計算をしていただきました。これを見ますと、大体四十数%の市町村では年度単位で見ると上がる。一方で、5割強の市町村さんでは下がることを見込んでいるということです。
ただ、これはあくまで理論値でございます。この後、この理論値の計算の後に、各市町村での保健事業の実施状況とか、あと、今回の制度改革のための、激変緩和のための措置とかも盛り込んで本当の保険料を設定し、そして6月から8月にかけて賦課をする。保険料を算定して、個々に御連絡、通知をして、賦課をするということになっておりますので、これはあくまで理論値としてはそうなっているというふうにお含みおきをいただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、先ほど兼子委員がお手を挙げておられましたので、お願いします。
○兼子委員 今の国保の上限の問題ということですけれども、多分、先ほど最初のところでも出されましたが、高齢者の窓口負担といった問題と共通するところだと思うのです。
先ほど市町村会のほうからも出ていましたけれども、財源として、やはり私どもは限界に来ているのだろうと思います。公的社会保障は税に準ずるようなものだと思いますので、保険料あるいは保険税で財源に無理があるのであれば、その分は税で補填する。こういったことをしていかない限りは無理があるのではないか。
特に国保については、加入者自体も非常に変わってきていますので、このような手直しで問題が解決するのかどうか、私には疑問です。
あわせて、高齢者の負担の問題について触れてよろしいでしょうか。
前々から同じようなことを申し上げますけれども、生活実態として高齢者の所得、国民全体もそうですが、やはり十数年前から見て回復していないわけです。ですから、低所得のところについて、特に高齢者の低所得者のところについて負担がかかってきますと何が起きるのか。それは食費の節約とか、あるいは交際費の節約。こういったことに波及していくわけです。
そうしますと、今日も論じられていましたけれども、社会的なつながりや高齢者の通いの場、生きがい、役割を持った生き方。こういったことを重視すると言いながらも、そこはこの負担が大きくなればなるほど、そこを阻害する要因になるのだろうと私は思いますので、そういったことについても、果たしてそれでいいのか、私自身は賛成できない。
そういう意味で全体として、この医療費の負担のあり方について、医療保険の全体について、やはり検討して、一体化の方向で検討を進めていく段階に来ているのではないかと私は思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
大体、御意見が出尽くしたということだと思います。どうもありがとうございました。
それでは、この議題につきましては、このぐらいにさせていただきたいと思います。
以上、用意いたしました3つの案件につきましては、全て議論が行われました。したがいまして、特段御意見がなければ、本日はこれまでとさせていただきたいと思います。
次回の開催日につきましては、追って事務局から連絡をするようにしてください。
それでは、特段、御意見はございませんね。
事務局からも何かございますか。
○鹿沼課長 特にございません。
○遠藤部会長 横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 1つ確認ですけれども、賦課限度額に関しては5ページとかに案という形で出ているのですが、これは決定をここでするのですか。別の機関で決定されるのですか。
○遠藤部会長 これはここでの決定が必要かどうかということを、私もちょっと気になったのですけれども、意見聴取だけをして終わらせているのですが、本部会において決定する必要があるかどうか。事務局にお聞きしたいと思います。
○野村課長 こちらにつきましては、今日いただきました御意見も踏まえて、政府として方針を決定したいと思います。
○遠藤部会長 では、これまでの検討でよろしいということですね。
どうぞ。
○横尾委員 そうなると、また変わることがあるということですね。
○野村課長 今日いただいた御意見も踏まえて、どうするかというのを個別にまた御相談をしていきたいと思っています。
○遠藤部会長 本部会で検討することは、ここで仮に決定した内容であっても、例えば法律絡みの話であれば当然変わることもあるわけでございますので、中医協の議論などとは違うという意味合いが当然あるということでございます。その一環でございます。
ほかによろしゅうございますか。
ありがとうございました。
それでは、本日は御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。