後藤大臣会見概要

(令和3年10月5日(火)15:02 ~ 15:20 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
よろしくお願いいたします。

質疑

記者:
まず三点お伺いします。一点目、新型コロナウイルス対策についてです。今般の第5波の感染拡大では病床が逼迫して自宅療養されている患者が死亡するなどの問題が発生しました。医療体制の見直しやワクチンの安定供給など、コロナ対策にどのように取り組まれるか大臣のご意向をお聞かせください。
 二点目ですが、菅政権では厚生労働大臣に加えてワクチン担当大臣や政策分科会を所管する経済再生担当大臣など、コロナ対策に関わる大臣も複数存在し「船頭が多い」「司令塔の不在」という指摘もありました。コロナ対策の望ましい体制についてご所見をお願いします。
 最後に三点目ですが、岸田首相は「令和版所得倍増計画」を掲げ、分厚い中間層の復活を目指すとされています。賃金引き上げに向けて大臣はどのように取り組まれるのか、以上三点お願いいたします。
大臣:
まず新型コロナウイルス対策についてでありますが、就任にあたり総理からワクチン・治療薬の実用化と確保、それから病床及び医療人材の確保、在宅療養者に対する対策の徹底や検査の拡充、そうしたことをしっかり取り組むようにという指示をいただいております。
 今回本当に国民の皆様にご心配をかけたのは陽性判明後の健康観察がちゃんといかずにそのまま自宅療養中に悪化をするとか、非常に厳しい状況に陥ることが起きてしまったからでありまして、本当に在宅で亡くなられた皆様のことを思うと胸が痛いという、そういう思いでございます。
 感染の拡大に病床の確保が追いつかない、そういう事態が見られたことが非常に大きな問題だったと思っておりまして、今回医療提供体制を充実していくにあたっても健康観察やあるいは早期の適切な診療を受け入れられるような体制整備をしっかりしていく必要があると思っております。
 また今「船頭を多くして」というお話がありました。批判についていろいろご指摘に対しては真摯に耳を傾けていきたいと思います。そういったことも含めてしっかりと我々としても今後、これも総理の指示にありましたが、関係大臣がよく協力をして一体何が今回の健康危機管理のボトルネックになったのかよく検証をして我が国の健康危機管理を抜本的に強化していくと、そういうことにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 それから所得倍増計画を掲げてというお話がありましたが、「成長と分配の好循環」というのは非常に大切だと思います。そういう意味においても労働分配率を高める、賃上げの流れを加速させていくということは非常に重要な政策課題だと思っております。
 そして、それをもちろん民間の経済活動ですから強要することはできませんが、中小企業において生産性を上げていくとか、あるいは下請け取引の適正化を図るだとか、賃上げに対する税制支援等も拡充し、新たなものも検討していく等いろいろな支援策を考えながら取り組みを強化していきたいと思っています。
 やはり、長い間のデフレ経済を脱却していくためにはコストカットで波を小さくする努力をするだけではなくて、適正な付加価値に適正な価格をつけていくという形の、そういう前向きな経済活動の姿を日本は取り戻していく必要がある。それがポストコロナの課題にもなっていくと思っています。
 いずれにしても賃上げを加速させて成長と分配の好循環を図りながら、岸田総理が目指している「令和版所得倍増計画」にしっかりと取り組めるような努力を皆さんと一緒に続けていきたいと思っています。
記者:
今後のコロナ対策についてお伺いします。岸田総理は総裁選中にコロナ対策のこれまでの反省として危機管理が甘かったということで危機管理庁の創設ですとか、例えば無料のPCRスポットを拡充するような政策を掲げていらっしゃいました。後藤大臣は今後このような政策に対してどのように向き合っていくのか、政策を進めていくのか考えがあればお聞かせください。
大臣:
今もちょっとお話をさせていただいたことなのですが、危機管理、どこがボトルネックになっていたのか、これまでのいろいろなボトルネックだとか事例を精査をしながら危機管理体制を改めて構築していくようにという指示もあり、そういうことでやっていく必要があると思っています。その観点から関係大臣とも調整をしながら危機管理の在り方について積極的にやっていきたいと思います。
 また検査体制等の問題については、やはり国民のニーズにしっかりと耳を傾ける形でいろいろ前向きな挑戦をしていきたいと思っています。
記者:
先程から大臣、「危機管理庁」という言い方はされてないと思うのですが、危機管理庁をつくるという方針について現状、組織として立ち上げるということで準備を進めていくお考えはあるのか、その場合であればどこにどういう形でつくるのが一番効果的だとお考えであるのかその点についてお伺いします。
大臣:
危機管理庁そのものについて、否定しているというつもりでは何にもありません。ただ、組織をどうするかということになると今足下を走っている危機管理の現状ですから、そういうことも含めてどう考えていくかのタイミング等は図らなければいけないと思いますし、具体的に今の段階でどのようなものをどこにつくるかというようなことを私から申し上げるような状況ではないということであります。
 検討の対象に入っているのかという意味からいえば、それは危機管理の体制も含めて検討の対象だと思います。
記者:
では具体的に発足を決めて走っていくということではないという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
そこも含めて、これから考えさせていただきたいと思います。
記者:
本日、野田聖子こども政策担当相は、こども庁創設に向けた基本方針を年内に取りまとめ、来年の通常国会に提出する考えを示しました。創設されれば大規模な再編となりますが、大臣のご所見をお願いします。
大臣:
こども庁の問題でございますが、まず最初に原則的な考え方で申し上げれば、年齢による切れ目だとか、あるいは省庁間の縦割りを排して、こどもの視点に立った行政組織の創設をしていくということは、これは非常に重要なことだと考えています。
 厚生労働省の関係で言えば、待機児童の問題だとか、児童虐待の問題だとか、母子保健の問題だとか、ひとり親の問題だとか、いろいろな政策が絡んでいるわけでありますが、政府全体の検討に、共にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
記者:
年末の予算編成までには、改めて組閣があるということは重々承知の上で、あえて診療報酬等についてお伺いします。昨日の岸田首相の会見でも、医師や看護師を含めた社会機能を支える方々の所得向上について言及されていますが、今後、診療報酬あるいは薬局を支える調剤報酬について、どのような認識をお持ちであるかお聞かせください。
 あわせて、薬価改定も来年度予定されていますので、医薬品産業の現状のご認識も併せて、薬価の今後の進め方等についてもお聞かせください。
大臣:
令和4年度の診療報酬改定に向けては、現在、ご承知のとおりで、中医協において議論が行われているわけであります。医療機能の分化、強化、連携だとか、あるいは医師等の働き方改革だとか、従来から診療報酬改定で議論になっていた主要な4項目の他に、今回新型コロナウイルス対策等をどう感染症対応をしていくかという問題や、不妊治療の問題とか、いろいろな新たな課題についての検討も必要になってくると思います。
 いずれにしても、診療報酬にあたっては医療提供者の経営者の状況だとか、物価の状況であるとか、負担のバランスの問題だとか、そういう点も丁寧にこれから議論していくということになっていくと思います。
 薬価改定についてはイノベーションの評価の観点から、あるいは長期収載品の医薬品の評価をどうするかという観点とか、透明性・予見性をどう担保するのか。そういういろいろな検討事項があるわけですから、薬価改定についてもそういう形で今後検討していくことになると思います。
 それから、総理から「関係大臣と協力しながら、医療、介護、保育などの分野で働く労働者の所得向上のために、公定価格のあり方を抜本的に見直す。」というご指示をいただいているわけでありますが、こうした方々がより一層活躍できるように、厚生労働省として、どういう制度で公定価格を見直していくのか。もちろんいろいろな従来の仕組み等も他の報酬の体系には合ったりもしますし、いろいろな検討課題があると思いますから、その辺のところはいわゆる公定価格のあり方の中で、丁寧にしっかり検討したいと思います。
記者:
総理から度々、関係3閣僚にコロナ対策の全体像をまとめて欲しいという指示が出されているかと思いますが、これだけだとイメージがつかめないので、全体像というのはどういうものをイメージしていて、いつぐらいにまとめるのかというのと、それは菅政権の段階では、確かに言われてみると全体像と言われるとそういうものはなかったのかなという気もするので、そういう問題意識の上でこういう指示が出ているのか、そこらへんお願いします。
大臣:
全体像の中で、厚生労働大臣である私に対しては、ワクチン・治療薬の実用化と確保の問題。それから、病床および医療人材の確保の問題。それから在宅療養者に対する対策の徹底。そして、検査の拡充というような点を責任を持って取り組むようにと。
 しかし、私の担当以外の分野で、例えばワクチン接種の円滑な推進でいえば、これは堀内大臣のところでやっておられますし、それから社会経済活動に対する制限、あるいはそれに対するいわゆる事業継続のための支援等については、これは山際大臣のところでやっていると。
 こういういろいろな担当大臣がいるところで、こういう対策全体を一つの全体像としてきっちりと取りまとめをして、国民に丁寧に説明できるような、そういうものをまとめようとそういう指示だと受け止めておりますので、それぞれが自分の分野の仕事でしっかりとやるのはもちろんですが、全体としての説明の姿をもう少し明確に示していく必要があるということだと思います。
記者:
そうしますといつかパッケージみたいな形で示されるのでしょうか。
大臣:
そこも含めて早急に3大臣、関係大臣と相談しながら進めていきたいと。今伺ったばかりの状況なので、よろしくお願いしたいと思います。
記者:
最初の質問で、コロナ対策の遅れや、司令塔不在という指摘があることに対して、批判については真摯に耳を傾けたいということで、しっかり関係閣僚と協力してという話があったと思うのですが、足下にどういう課題があって、これまでと比べてどういう更なる連携強化が必要だと思われているのか、その辺詳しく教えてください。
大臣:
様々なご批判にお応えしていきたいというのは、必ずしもこの部分についてだけ特化して申し上げたつもりではなかったです。
 いずれにしても、いろいろなご意見があることをしっかりと丁寧に受け止めてそして対応していきたいと、全体像の話として申し上げたということですが、危機管理体制ということから言えば、今回、振り返って考えてみた時に、私も新型コロナウイルス対策本部の座長を党の方でさせていただいたということから考えた時に、結果としてやっていたことに間違いがなくても、もう少し早く対応ができたかなと思うようなところはあるのではないかと思ってはいます。
 そういうことを念頭に置いて申し上げたので、今回、新たに具体的に危機管理体制や危機管理体制の組織を作るにあたって、それに直結するような形で、何か特定のイメージを持って申し上げたわけではありません。

(了)