第142回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和3年12月13日(月)15:00~17:00

場所

オンラインにより開催
(労働委員会会館講堂(7階))
(東京都港区芝公園1-5-32)

出席者

公益代表委員
砂金伸治、熊﨑美枝子、城内博(分科会長)、髙田礼子、原俊之、水島郁子、山口直人
労働者代表委員
小菅元生、勝野圭司、袈裟丸暢子、佐藤和幸、中村恭士、門崎正樹
使用者代表委員
天沼陽介、鈴木重也、出口和則、及川勝、中村節雄、増田将史、矢内美雪
(五十音順、敬称略)
事務局
武田康久(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、安達栄(安全課長)、髙倉俊二(労働衛生課長)、木口昌子(化学物質対策課長)、佐藤京子(化学物質評価室長)、中村宇一(安全課長補佐)

議題

  1. (1)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
  2. (2)石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の一部を改正する省令案
    要綱について(諮問)
  3. (3)建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応について
  4. (4)新規化学物質の有害性調査結果について

議事

議事内容
○城内分科会長 定刻となりましたので、ただいまから第142回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日は労働者代表委員の佐々木委員が欠席しております。また、公益代表委員の水島委員から45分ほど遅れて参加するとの連絡を頂いております。本日は、感染症の防止対策として、オンラインにより開催するとともに報道関係者以外の方は別室にて傍聴いただくこととしていますので、御承知おきください。カメラ撮影等については、ここまでとさせていただきますので御協力お願いします。
まず、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いします。
○小宅計画課長 事務局から御説明いたします。本日は、ハウリング防止のため、発言されないときにはマイクをオフに設定をお願いいたします。また、発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込み、分科会長から指名されましたらマイクをオンに設定の上、氏名をおっしゃってから御発言をお願いします。
このほか、進行中、通信トラブル等の不具合がございましたら、チャットへの書き込み又は事務局へメールにて御連絡をお願いいたします。以上です。
○城内分科会長 それでは議事に入ります。議題(1)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱についてに関して、事務局から説明をお願いします。
○髙倉労働衛生課長 議題(1)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案について、資料1に省令案要綱、資料1-2に省令案の概要を示しています。この改正省令案について、資料1-2を用いて説明いたします。
まず、1ページ目、こちら改正の趣旨を示しております。上から順に進み、1つ目の○について補足を加えながら説明いたします。平成30年成立しました働き方改革を推進するための関連法律の整備に関する法律によって、労働者の時間外労働の上限が規定された際に、医業に従事する医師に関しては、上限規制の適用を、令和6年(2024年4月)まで猶予した上で、医療界の方々や労働組合、労働法学者等の参画の下で検討することとされておりました。その検討結果の取りまとめを踏まえて、先の国会で医療法が改正されたことによって、医師については、時間外労働時間が月100時間を超える前に、追加的健康確保措置として医師による面接指導等を実施することが義務付けられました。これが令和6年4月の施行となっております。この医療法改正については、今年7月28日の第139回安全衛生分科会において報告をしたところです。労働法制の方では、この働き方改革の関連法によって、医療提供体制の確保に必要なものとして、医師に係る時間外労働の上限特例を規定する労働基準法第141条が新設されました。同条による読替後の労働基準法第36条の協定に定める事項として、この改正医療法の規定に合わせて、時間外労働が月100時間以上となることが見込まれる医師に対して、当該医師の健康確保措置として、面接指導を行う等を規定する労働基準法施行規則(労基則)の改正案が検討されて、11月30日の労働条件分科会に諮問され同日に答申を頂いたところです。
2つ目の○ですが、医師を含めて労働者は労働安全衛生法(安衛法)に基づく面接指導を行う必要があります。一方で、3つ目の○ですが、労基則の改定によって、医師は労働時間等の状況によっては、労基則による面接指導又は安衛法に基づく面接指導の、どちらを受けなければならないのかが分かりにくくなること、あるいは、その両方の面接指導を受けなければならなくなったりするという状況が生じ得ることになります。
4つ目の○です。しかしながら労基則・安衛法の面接指導は、対象や指導の内容については共通する部分があります。このため、5つ目の○ですが、この度、労働安全衛生規則(安衛則)等について所要の改正を行うことで、労基則に基づく面接指導を安衛法に基づく面接指導と位置付け、長時間労働が見込まれる医師に対し、確実に面接指導は行われ、健康確保が図られるようにするというものです。
2ページから、安衛則の改正の内容として①~③を順に説明します。まず、改正内容①番、新設の安衛則附則第19条の関係です。1つ目の○は、安衛法に基づく面接指導の対象となる労働者として、当分の間、安衛則第52条の2に規定する者のほか、時間外労働が月100時間以上となることが見込まれる医師のうち、労基則に基づく面接指導を受け、かつ安衛法第66条の8第2項ただし書に規定する事業者の指定した医師以外からの面接指導を受けた結果を証明する書面の提出があった者以外の者を加えることとするということです。少し複雑ですが、趣旨としましては、安衛法第66条の8第1項の面接指導の対象となる医師として、実際の時間外労働が月80時間以上かつ疲労の蓄積があるという、現行の安衛則第52条の2に規定する者とは別に、面接指導対象医師と呼びますが、月の時間外労働が100時間以上の見込みとなる医師を新たに加えることとします。ただし、安衛法第66条の8第2項ただし書の書面に当たる、医療法・労基則に基づく病院等の管理者による面接指導を受け、かつ当該面接指導を受けたことを証明する書面を提出すれば、事業者は安衛法に基づく面接指導を別途実施しなくてもよいということとしております。これによって、医療法・労規則に基づく管理者による面接指導が安衛法上の面接指導としても位置付けられることになります。
2つ目の○と3つ目の○については、現行の安衛則の規定との整合性を取るためのものです。3つ目の○は、面接指導医師について、事業者が病院等の管理者に労基則に定める面接指導を行わせる場合には、安衛則第52条の2第3項、第52条の3及び第52条の4の規定は必要でないこととするという規定を追加するというものです。これについては、医療法・労基則に基づく面接指導は月の時間外労働が100時間以上見込みとなる医師に対して、本人の申出にかかわらず必ず実施するものとなっておりますので、本人の申出を前提とした安衛則第52条の2の第3項及び第52条の3の適用は不要となります。また、面接指導のときの確認するべき内容である安衛法第52条の4の規定は、労基則において規定されているために、この適用を外すというものです。
2ページ進んで、4ページ目は改正内容の②番、安衛則附則第19条の2の関係です。面接指導対象医師に対する面接指導に係る安衛法第66条の8第2項ただし書の書面は、安衛則第52条の5各号に掲げるもののほか、当該面接指導対象医師の睡眠の状況を記載したものでなければならないこととするものです。本規定は医療法・労基則の面接指導では、安衛法の面接指導での確認事項に加えて、睡眠の状況を確認することとなっておりますので、この同様の要件を追加するというものです。
5ページ目、改正内容の③番ですが、安衛則附則第19条の3の関係です。面接指導対象医師に対する面接指導に係る安衛則第52条の6第1項の結果の記録について、改正内容の②を踏まえて、同条第2項を読み替えて適用することとし、当該面接指導対象医師の睡眠の状況を追加することとするというもので、こちらも先ほどと併せて、現行の安衛則の規定との整合性を取るものです。
6ページ目の2番、厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の利用に関する省令の一部改正の案です。今、御説明しました安衛法改正により、面接指導対象医師に対する面接医の指導結果の記録について、事業者が行う書面の保存及び作成に代えて電磁的記録による保存及び作成ができることとし、その対象に追加するためのものです。その下の3番です。ただいま説明しました省令案の施行は、令和6年4月を予定しております。
説明は以上です。この省令改正案について本分科会にお諮りします。よろしくお願いします。
○城内分科会長 本件について、質問、意見等のある方は、御発言がある旨チャットに書き込みをお願いいたします。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 増田です。御説明ありがとうございました。安衛法第66条の8に基づく一般の労働者を対象とした面接指導の要件については、これまでどおりでしょうか。そして、また今後、睡眠に関する確認事項が加えられるということになるのでしょうか。その辺りをお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○髙倉労働衛生課長 御質問、御意見ありがとうございます。現在の安衛法第66条の8に規定された安衛法に基づく面接指導は従来どおりとなりますので、こちらについては睡眠の状況を追加するということは、現行はありません。今回、その長時間労働の者、医師の中で100時間を超えることが見込まれる者に対して、医療法及び労規則に基づく面接指導が行われるということで、その対象になれば、その者については、安衛法の面接指導を別途行う必要がなくなるというものです。ですので、医療法・労規則の面接指導が行われなかった場合で、疲労の蓄積等が認められ、申出等があった場合には、安衛法の規定に基づく面接指導を実施することになります。
○増田委員 ありがとうございました。
○城内分科会長 続いて山口委員、お願いいたします。
○山口分科会長代理 山口です。睡眠の確保をきちっと記録するというのは、大変重要なことだと思いますが、もともとの法律上の建付けでは、B水準、連携B水準、あるいはC水準の場合に、勤務間インターバルをきちっと取ることを義務付けると。あるいは、当直に際しては連続勤務時間の上限も設けてということがあって、それをもって、睡眠の確保を担保するという建付けになっていたと思うのですね。ですから、睡眠をちゃんと取れているかどうかということと同時に、勤務間インターバルがちゃんと守られているかどうかということを、面接指導の際にきちっとチェックするというのは極めて大事だと考えますが、その辺についてはいかがでしょうか。
○髙倉労働衛生課長 御質問、御意見ありがとうございます。この健康確保措置は、ただいま説明しました面接指導のみならず、連続勤務時間制限であるとか、勤務間インターバル規制等を実施するということが、医療法で義務付けられておりますので、こちらに関しては医療法で、この規制が守られているかどうかに関しては、履行が確保されるという見込みになっております。それらが、この面接指導においては、睡眠の状況を確認するというところの中で、面接指導の中でそれは確認するということになりますが、実際にその医療機関において、先ほど申し上げたような勤務時間に関する制限が守られているかどうかということに関しては、医療法の中で規制が掛かるという形になっているということです。
○山口分科会長代理 その点について、勤務間インターバルと連続勤務時間について、きちっと義務付けられるのは義務付けられるでいいのですが、大変重要なことなのですが、その義務付けられた時間がきちっと守られているかどうかということが大事なので、この追加的な健康確保措置の中で、それをきちっとチェックするということが大事だということを、是非、労働の方からもプッシュしていただけたらと思います。よろしくお願いします。
○髙倉労働衛生課長 御指摘ありがとうございます。この医療法・労規則に基づく面接指導を行う場合の睡眠の状況の確認に合わせて、それらが、睡眠の状況が良好に保たれているかどうかというところに大変大きく関わるものですので、こちらの面接指導等の際にも十分に留意して行うことになると承知しております。御指摘ありがとうございました。
○城内分科会長 続いて、小菅委員お願いいたします。
○小菅委員 今の2人の発言とも重なりますが、意見を申し上げます。今回の改正、医師に対して労規則に基づく面談指導を行う場合に、安衛法による面談指導と位置付けて、その後の医師の勧告や安全衛生委員会での報告等の対応を行えるように、整合性を取ったものだと理解しており、妥当と考えています。医療現場においても、事業主である各医療機関における労働時間の把握が非常に重要であり、行政においては医療機関における時間管理や、勤務間インターバル等の追加的健康確保措置が適切に行われるように、引き続きしっかり監督指導を行っていただきたいと思います。
また、時間外労働が月100時間に達する見込みがなくて、労規則によって面談指導の対象とならない医師であっても、月80時間を超える場合は本人の申出があれば、安全衛生法上の面談の対象になるということは、あまり現場でも知られていない場合が多いので、その点についても丁寧な周知と徹底をお願いしたいと思います。以上です。
○髙倉労働衛生課長 御指摘ありがとうございます。今、御指摘いただいたように、安衛法に基づく面接指導というものが、ときによって必要無くなるというものではもちろんありませんので、今、御指摘にあったような、80時間を超えて疲労の蓄積が認められるものに対する安衛法に基づく面接指導といった必要なものについては、適切な健康確保措置が取られるように、この周知の際には十分に我々サイドとしても留意して、対処したいと思います。
○城内分科会長 他に何か御発言はありますか。他に御発言がないようですので、それでは、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱については妥当と認めることとして、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いします。次に、議題(2)石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の一部を改正する省令案要綱についてに関して、事務局から説明をお願いします。
○木口化学物質対策課長 化学物質対策課長です。議題(2)について御説明します。資料としては、省令案要綱として資料2-1、省令案概要として資料2-2があります。資料2-2を用いて御説明いたします。2ページ目ですが、令和2年4月に取りまとめられた、「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」の報告書等を踏まえて、建築物、工作物、船舶の解体・改修工事における石綿ばく露防止対策の強化を図るため、令和2年7月に石綿障害予防規則等を改正しておりますが、船舶に係る石綿事前調査者の要件及び事前調査結果の報告対象については、この資料の下の囲みにありますが、報告書において「引き続き検討」とされておりました。
その後、令和2年12月から本年9月にかけて船舶を所管する国土交通省及び船舶関係者から構成されます「船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル改訂委員会」の下、検討が重ねられ、方向性が取りまとめられました。厚生労働省においては、建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会の船舶に関するワーキンググループ及び本検討会において方向性について検討を行った結果、1番として事前調査結果の報告対象としては、総トン数20トン以上の船舶に対象とすること。2番として、船舶の事前調査者に関しては、船舶の構造を熟知し、かつ石綿に係る事前調査を適切に行うために必要な知識を有する者が適当とされまして、具体的に①番として船舶の構造に詳しい小型船造船業法に基づく「主任技術者」であり、石綿に係る知識・技能等の習得に特化した講習を受け、修了考査に合格した者。②番の前段ですが、建築物石綿含有建材調査者講習修了者であって、船舶に係る教育を受けたもの。②の後段ですが、石綿作業主任者技能講習修了者であって、①番の「主任技術者」が受講する講習と②の前段にある船舶に係る講習の両方を受けた者とすることが適当とされております。
3ページを御覧ください。この報告書を踏まえた石綿障害予防規則等の改正についてお諮りします。なお、事前調査結果等の報告の義務付け、事前調査を行う者の要件の新設のいずれも令和2年7月の改正において未施行の部分ですので、令和2年7月の改正省令を更に改正するといった形での改正となります。1点目ですが、船舶の事前調査結果等の報告の義務付けについては、総トン数が20トン以上の船舶に係る解体又は改修工事を労働基準監督署への報告の対象といたします。報告事項としては、資料に4点書いてありますが、建築物の事前調査の報告事項に船舶特有の事項を反映させた内容となっております。2点目ですが、船舶の解体又は改修の作業を行った際の事前調査を行う者の要件の新設です。この要件については、前のページで示したとおりですが、具体的な要件については告示で別途定めることとしております。3点目ですが、事前調査結果等の報告様式の改正です。これは、事前調査結果等の報告対象に船舶が追加されることに伴い、報告様式の改正を行うもの。最後に、施行日ですが、先ほど申し上げたとおり、この省令は既に公布されている改正省令の改正となりますので、施行日は公布の日としておりますが、実際の施行は、1番と3番については令和4年4月1日、2番については令和5年10月1日となります。
御説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。
○城内分科会長 本件について質問、意見等のある方は、御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いします。御発言はありませんでしょうか。それでは、石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の一部を改正する省令案要綱については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは事務局で、答申の手続をお願いします。次に、議題(3)建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応についてに関して、事務局から説明をお願いします。
○小宅計画課長 それでは、資料3によって御説明します。2ページから前回の審議会での主な御意見を載せております。見直し対象の法令については、まず石綿関係の表示・掲示について優先的にというものと、第22条に基づくもの全てについて検討を進めるべきという御意見がありました。また、保護対象者の範囲について、特に家族就業者を保護対象とするかということについて御意見があり、※にあるように引き続き検討ということになっております。保護措置の内容についても、まずは石綿関係からということと、労働者と同等の水準を確保するということで広く考えるべきではないかということがありました。3ページ目、1つ目として、どこまでやれば義務を履行したことになるのか具体的に示してほしいというもの。2つ目として、指揮命令がないという理由で「周知」という案になっているものについて、周知では弱い、「指導」とするべきではないかという御意見がありました。3つ目として、やはり何をどこまでやればいいのかというのを具体的に示して議論したいというものがありました。
(4)労働者以外の方に求める事項ということで、労働者以外の方にも協力を求めるという方向性については賛成だというもの。それから、「協力」ではなく更に強い遵守義務のようなものが考えられるのではないかというもの、具体的に危険有害作業の影響が及ぶ範囲を明確化する必要があるのではないかというような御意見がありました。
4ページですが、有害性の警告表示について、まずは石綿から優先してというものと、石綿以外にも広く見直すべきだという御意見がありました。それから、4番目の所ですが、前回は考え方の方針というか枠組みというか、そういったものについて御議論いただいたわけですが、具体的な改正条文のイメージがわきにくいので、引き続き丁寧に議論してほしいというような御意見がありました。※で書いておりますが、既存の通達や法令等も、適宜、参考資料として出してほしいとのお話がありました。こういったものを踏まえて、本日は、保護対象者の範囲や引き続きの議論となっているもののほか、具体的な省令改正のイメージを示して、具体的に御議論いただこうと思っております。
7ページに進みます。前回、引き続き議論ということになっていた家族就業者についてです。前回も口頭で御説明したところですが、ペーパーにまとめております。1つ目の○ですが、「家族就業者」については、労働基準法や労働安全衛生法上は労働者としては取り扱われないという整理が現行はされております。その上で、作業の発注元である事業者Aという立場から見てみると、個人事業者と家族就業者の関係は、言わば、下請事業者とその下請事業者の労働者の関係に近いということで、例えるならば、下請事業者ともいえるであろう個人事業主の方が家族就業者に対して適切に措置するということが、この下請事業者との対比でいうと適切ではないかということです。
黒ポツの1点目ですが、今、御説明した内容の方が下請事業者の労働者に対する措置と整合的であるということ、2つ目の黒ポツですが、家族就業者について個人事業者を通じて措置が行われる、今回、掲示や周知等、そういった議論をしておりますが、そういったことが個人事業主に対して適切に行われるということになれば、個人事業主の方が家族就業者の方に対してそれに沿った適切な措置を取ることができるということで、家族就業者の方についても安全衛生の向上が図られると考えられるということです。3つ目として、仮に家族就業者について事業者の方に措置義務を課す場合、事業者Aと個人事業者双方から場合によっては異なる措置が講じられ、混乱を招くおそれもあるのではないかと。それから、「また」の所ですが、事業者Aの指揮命令関係がある状態に近づき、雇用関係、労働者性の有無について混乱を招くおそれがあるのではないかということです。
2つ目の○ですが、そういった考え方では全く対象にならないのかということですが、立入禁止とか喫煙禁止等、指揮命令とは関係なく、その場所の使用権原等を背景に、その場所のルールを、その場所にいる全ての方に適用する必要があるということについては、全ての方というものの中に家族就業者も含まれ得るということで、一部については直接的に対象になるということはあり得るのではないかということです。こういったことで、家族就業者の方の安全確保も図りつつ、整理としては一人親方の方を通じての保護ということが適切ではないかという考え方です。
次に、具体的な省令改正の中身に移っていきたいと思います。9ページですが、まず基本的な考え方としては、労働安全衛生法第22条に基づき定められている省令の規定について、事業者による保護措置の対象を拡大すると。1つ目として、直接危険有害業務に従事する方については、その作業を請け負わせる請負人(個人事業者も含む。)を措置対象に加えると。2つ目として、危険有害業務が行われている作業場にいる方については、その作業場で何らかの作業に従事する方(資材運搬業者等も含む。)についても同様といたします。直接危険有害業務に従事する方については、作業の一部を請負人に請け負わせている場合、つまり、労働者の方と一人親方の方が同時に存在しているという場合を想定しており、作業の全部を請負人に請け負わせているという場合です。逆に言うと、労働者の方が一人もいないという場合は対象としないということです。3つ目の○ですが、請け負わせている場合について、一連の工程の中で一部分だけ労働者の方がいないという場合はどうするかということなのですが、全体として1つの工程ということで考えて、一時的に労働者の方がいない場合も含めて検討するということで考えております。
そういった基本的な方針の下に、10ページは前回も示しましたが、規定している内容について類型化すると、設備設置関係とか具体的な指揮命令をするような類型、その場所の管理権原等に基づく立入禁止とか掲示というような4類型、こういった類型ごとに対応していってはどうかということを議論していただきました。
その上で、今回、具体的な案として、11ページの下に現行、改正イメージとありますが、現行ある条文を具体的にこのような形で改正してはということで示しております。上にⅠとありますが、まず設備関係についての議論です。1つ目の○ですが、設備を設置すること自体は既に書かれてあり、労働者以外の方についても効果が得られるということですので、設置するということ自体の改正は必要ないのではないかと。ただ、2つ目の○ですが、設置した設備を稼働させるといったことについては、請負人のみが作業を行うとき等には、状況に応じて、取り得る方法が他にもあり得るということですので、必要に応じて配慮するという規定を設けてはどうかということです。※の2番目の所にあるように、例えばの話ですが、事業者がその設備を直接稼働させるということのほか、請負人側で許可をもらって稼働させるとか、あるいは小規模の設備、機械であれば、請負人が自分の使い慣れたものを持ち込む等いろいろなことがありますので、そういった一人親方の判断に基づいて適切な措置が取られるように配慮していただくということです。それから、※の3ですが、そのように、作業方法については基本的に請負人側において決定できるということですので、事業者には、例えば設備を稼働させる努力義務というような形ではなくて、一人親方の方の判断に基づく措置が行われるように環境整備というか、そういったことをしていただくことになりますので、配慮義務という形が適切ではないかということを書いております。
その上で具体的な改正イメージですが、まず表の右側、一番上の所で見出しとして設備の設置とあり、その隣に※で石綿とか有機、鉛等書いてあります。現行、ここはちょっと抽象化して条文を作っておりますが、こういった条文が石綿則とか有機則、鉛則とかというところに現在あるという意味で※で書いております。一番上の設備ですと、「事業者は、○○○の業務に労働者を従事させるときは、当該業務を行う作業場所に、△△△の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない」となっています。設けていれば労働者以外の方にも効果が及ぶということですので、ここは改正は不要だろうと、こういったことです。
次のものはちょっと特殊な規定ですので、1つ飛ばして先に進みます。12ページの所で換気装置の稼働というのがあります。事業者は、局所排気装置等を設けたときは、×××の要件を満たすように稼働させなければならないと。置いただけではなくて、一定の適切な条件で稼働させなければいけないということです。改正イメージですが、読み上げると、例えばこういったものであれば、事業者は、前項の規定により局所排気装置を設けた場合において、○○○の業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人が当該○○○の業務に従事する間(労働者が業務に従事するときを除く。)、当該装置を同項の×××の要件を満たすように稼働させること等について配慮しなければならないというようなことにしてあるわけです。若干、御説明しますと、2行目の所で○○○の業務の一部を請負人に請け負わせているということで、一部を請け負わせているということですので、事業者の労働者の方も働いているし、請か負った方も同時並行で働いていると、そういう状況設定であるということです。それから、当該請負人が○○○の業務に従事する間の所で、括弧書きで「労働者が○○○の業務に従事するときを除く。」とありますが、一人親方の方と労働者の方が同時並行で作業しているということであれば、第1項で労働者向けに稼働させなければならないという状況になっております。そのときは当然、第1項の稼働させるという所が適用されますので、そうではなくてということで第2項ではこのように書き分けております。
前のページについては、若干特異な例でして、空気槽という物については、実態等を伺っても個々の一人親方で設備を持ち込むというようなことではなく、ほぼ事業者の所で措置するということになっておりますので、これについては配慮ということではなくて、直接的に適用されるという形になっております。内容によって最初に御説明した方針と若干違うものがありますが、これは例外的なものです。それ以外については、先ほど申し上げたように配慮するという規定です。
13ページの下の方の洗身設備というのも、趣旨・目的に照らして分かりやすいように若干言葉を足しております。一番下の、「適切に洗身が行われるよう必要な」ということで、単純に必要なということだと分かりにくいので、若干足したりというアレンジはしておりますが、考え方は先ほどのものと同様です。15ページですが、「配慮しなければならない」というのは具体的にどういうことかということで、例えば事業者が稼働させるほか、一人親方が稼働させることができるように使用を許可するとか、そういったものが配慮の中身として考えられるということです。
次に、作業方法や保護具についてです。これについては、当該作業を請け負わせる請負人に対して指揮命令関係がないということですので、これらの措置が必要なことについて周知し、周知された中身に従って適切に一人親方が対応できるような状況を作るということです。また、2つ目の○ですが、作業に従事する者に限定された措置ということではなくて、その場所の方全てが対象となるというものについては、全ての方を措置対象とするということです。具体的な改正のイメージですが、作業計画という所を見ていただくと、今、関係労働者に周知しなければならないとありますが、これを労働者以外の方までということであれば、「作業に従事する者」というようにすると、労働者に限られず一人親方等も含めて読めるかと思いますので、このように基本的に「作業に従事する者」というように変えていってはどうかということです。作業方法についても、事業者は、前項の作業の一部を労働者に請け負わせるときということで、先ほどと同様で、労働者と一人親方が並行で働くというときについて周知させなければならないというものです。次ページも基本的に同様です。周知させなければならないというような形です。
若干、アレンジをしているのが19ページですが、就業禁止の所について、医師が必要と認める期間、当該業務に従事してはならない旨を周知させなければならないということで、他とは若干並びが違うのですが、趣旨を明確にするということで、こういったことではいかがかということです。
20ページです。先ほどの、前回の議事内容のまとめの所にも出てきておりますが、周知ではなくて指導というぐらいの方が適切ではないかという御提案がありました。前回も御説明しましたが、改めて考え方をまとめております。1つ目の○の所ですが、労働安全衛生法令において、「指導」とか「指示」という用語が幾つか出てきており、これは行政機関から事業者に対して行うというものがあります。そのほか、使用関係にないということですと、次にあるように、元方事業者から関係請負人、又は関係請負人の労働者に対するものというのがあります。第29条を見ていただくと、元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないように必要な指導を行わなければならないということで、適用される場面とか指導の内容がある程度明確になっているもの、かつ元方事業者という全体を統括管理する方に限られているということです。2番目として、注文者が請負人に対して行う指示ということで、これは、法違反を惹起するような指示はしてはならないということです。下の○の所のまとめにあるように、現行法令上、使用従属関係にない者による「指導」や「指示」は、元方という統括管理の役割を担う特別な地位にある者又は注文者に限定されており、個々の事業者がその請負人に対して指導を行うということは想定されておりません。
21ページの絵を見ていただくと、それを絵にしたところですが、元方からの関係請負人やその労働者への指示というものがあります。ただ、一次下請から二次下請への指示というようなことはありません。このような関係ですので、今回、対比ですが、二次下請の所を一人親方というように仮に見てみると、現行の労働安全衛生法では一次下請から二次下請への指示というものがない中で、仮に一次下請から一人親方への指示等、ちょっと強めの措置というのを想定するということになると、一次下請、二次下請の制度とのバランスということも出てくるのではないかという状況です。
○で書いてありますが、そういったことを想定するということですと、元方事業者等の位置付けも含めて全体的な見直しが必要になってくるのではないかと。今回は、現行法令の枠内で労働者の方への措置と同等の措置まで持っていけるかという議論でお願いしているところですが、若干広めの議論が必要になってくるのではないかということです。また、2つ目の○ですが、指揮命令関係が曖昧になって、雇用関係か請負関係かが不明になるおそれもあるのではないかと。3つ目として、措置内容については、請負人が周知された情報を元に自ら判断するということが適切ではないかと。参考として、国土交通省で「建設業の一人親方問題に対する検討会」というのを開いており、一人親方について適正な請負関係なのか、雇用関係なのかということをはっきりさせていこうといったことを検討しているところですので、そういったことも含め考えていくとするならば、なかなか指導というような表現は、現時点においては難しいのではないかということです。
補足ですが、具体的な周知の方法等についても示して議論したいということでした。具体的には、書いてあるように見やすい所への掲示、備え付けや書面の交付、磁気テープ等に記録したものを機械で見る、それから口頭指導というようなことが考えられるのではないかと。参考という所にありますが、現行の省令で有機溶剤の関係ですと規定があって、見やすい所に掲示、備え付け、書面の交付、磁気テープ等で見られるようにするというものでした。また、安全衛生規則の作業計画の所では、計画を定めたときについては関係労働者に周知しなければならないとあって、その省令についての通達の中で、口頭による周知というのも可能だということが書いてあります。これらをまとめると、上の方に書いてある4つの方策が考えられるのではないかと思っております。
補足の2つ目として、どの範囲までやればいいのかというのがなかなか明確ではなく、作業場というものの概念がちょっと分かりにくいのではないかというお話がありました。結論的なことを言うと、労働基準法における作業場の定義ということで、事業場内において密接な関連の下に作業の行われている現場をいい、主として建物別により判断するということを基本に、個々の状況を踏まえて適用していくということで、現在、運用しておりますので、引き続きそういうことでどうかと思っております。
24ページ、3つ目の類型ですが、場所の使用・管理権原等に基づく立入禁止等の措置です。具体的な改正イメージの一番上の所ですが、事業者は、○○○の場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい所に表示しなければならないとあるのを、関係者や作業にという所を、先ほどと同様に「作業に従事する者」というようにすることで、一人親方の方も読めるようにしてはどうかということです。若干、例外的なものですが、次ページの一番下の点検という所は、酸素欠乏の危険のある作業場所に入った人、出ていった人の数を点検するということですが、性質上、点検するということはお願いせざるを得ないのではないかということで、若干、例外的な案としています。
これまでも御議論いただいていましたが、「作業に従事する者」というのは具体的にどこまでかというと、作業に従事している労働者、請負人、一人親方も含むと。それから、請負人の労働者、資材、荷物等の搬入で立ち入っている方、※でありますが、一部の場面において家族就業者の方、家族就業者の方については現在も「関係者以外の方」ということで含まれている場合もありますので、そこは引き続き対象とします。それから、安全確保の観点等から直接的に伝えることが合理的だということで、緊急の退避とかそういったもの、他の労働者の保護の観点から家族就労者に禁止する必要があるもの、例えば退去前の汚染の除去等といったものについては、直接的に対象として措置されるのではないかということです。一方、見学者とか単に通行するだけの方は対象とはしないということです。
4つ目の類型の掲示ですが、これまでも何度も示しているところです。規定ぶりとしては、労働者が見やすいという所については、必ずしも労働者だけではありませんので、その他の方も読めるようにということです。表示内容等も具体的にどういうことを考えているのかということですが、現在、有機溶剤については、このような省令で表示すべき内容とか方法が定まっておりますので、これと同様なことを考えております。
次に30ページ、労働者以外の方による遵守義務についてです。こういった方には特定の行為の禁止とか退避、立入禁止について遵守義務を設けてはどうかと。訓示的なものになりますが、そういったことでどうかと考えております。ただ、一方で周知していただくようなものについては、周知を受けてどのような措置を取るべきかというのが一義的に定まるものではなくて、何をもって遵守したかということがなかなか難しいところがありますので、労働者以外の方について、周知の場合の遵守義務というのは難しいのではないかということです。イメージとしては、例えば立入禁止ですが、作業に従事する労働者以外の労働者は立ち入ってはならないというのを、作業に従事する者以外の者ということで広くしております。
こういったことで、まず判決を踏まえた措置ということでお願いしたいと思っておりますが、これまでの議論の中でいろいろと御指摘のあったものがあります。それをどう扱うかということですが、それらについては、今後、引き続き別の場を設けて改めて検討してはどうかということです。具体的には「物の危険性」、「場所の危険性」に関する規定で、安衛法第22条、第57条以外のもの、例えば第20条ですと機械安全といったようなこともありますので、こういったものを別途また検討したいということです。もう1つが、労働者が作業に従事しない場合、全て下請に出していて、事業者の労働者はそこでは働いていないという場合です。現在は、注文者という位置付けでこれらの規定がありますが、注文者といったものの拡大なりが必要なのかどうかということで御議論いただいてはということです。
それから、先ほどの遵守義務の所ですが、現在、第26条で労働者の方については遵守義務というのがあって、請負人の方についても一定項目取るべき措置を義務付けるということが第32条にあります。第120条を見ると、違反については、これらの者について罰則という仕組みになっておりますが、一人親方については罰則というのが、仕組み上、現在ありませんので、そういったものが必要なのかどうかということです。これまでの議論の中で、一人親方というのは個人事業者なので、事業者としての措置義務というのを別途検討しなくていいのかということで、問題提起がありました。それから、化学物質等について、今、進めているリスクアセスメントを基本とする自主的な管理について、労働者以外の方に対してどのようなことができるのかということです。事業者の方でいろいろと調査してリスクアセスメントするということですが、それが一人親方の場合、分析した結果がうまく伝わっていくのか等の問題が指摘されたところです。
こういったことで、具体的な改正案をお示ししました。これらについて御議論いただければと思います。以上です。
○城内分科会長 本件については議論が多岐に及ぶことが予想されるため、資料3の論点ごとに議論を頂ければと思います。最初に7ページの保護対象に加える者の整理(家族就業者の取扱い)について御意見のある方は、御発言の旨チャットに書き込みをお願いします。なお論点ごとに2、3ページずつ進む予定ですが、論点ごとに御発言いただいた後で回答は事務局からまとめてお願いしたいと思いますので、御協力お願いいたします。7つか8つの論点ごとに進めたいと思いますので、そうすると1つの論点が大体5、6分になりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。それでは出口様、御発言をお願いいたします。
○出口委員 出口です。よろしくお願いいたします。冒頭で資料の11ページぐらいまで通信が切れまして、ご説明がちょっと聞き取れなかった部分がありますので、若干論点がずれるかもしれませんが、この7ページに関して確認させていただきます。家族就労者の取扱いについては、分かりやすくご説明と図解いただき有難うございました。その中で、この表に関連する部分で、建設現場において懸念される具体的事象について確認いたします。建設現場内の同一場所で有害業務を行う建設業者は、非常に複数存在いたします。一般的である一次下請、二次下請、複数の二次下請など、複数の措置義務者が併存した場合には、責任の所在が曖昧になるだけではなく、異なる措置が複数の事業者から出されることによる混乱を招くことになりかねない。この点については、どのようにお考えになっているのかお聞きしたいと思います。
2点目は、有害業務を請け負う建設事業者が一人親方や中小事業主等、労働者以外の者に対する措置義務を負うことにより、実質的な意味合いにおいては、両者間に指揮命令関係がある状態に近づくことになると考えております。労働者性の有無等に関する解釈がばらつき混乱が生じるだけでなく、偽装請負という違法状態が発生する端緒となりかねないと考えております。この点についても、お考えをお聞きしたいと思います。
3点目については、7ページの図解にも事業者から請負関係という形では伸びておりますが、建設現場では警備や測量等の建設以外の業務を行う事業者に雇用される者が数多く就労しております。それらの者については、雇用者である警備会社や測量会社等が基本的な措置義務を負うことになりますが、有害業務を行っていることを理由として雇用者以外の建設事業者に対して措置義務を負わせることになれば、各々の責任範囲が曖昧となり、建設現場に混乱を来す状態が生じかねないと認識しております。この点についても確認いたします。
4点目は、建設現場ではこの請負関係に基づいた就労をする者以外に、業務委託契約、委任契約、賃貸借契約、売買契約等に基づき、作業を行う者が多く存在しています。。請負人に作業を請け負わせた建設業者に措置義務を課すとされていますが、請負契約以外の場合の取扱いについては不明な部分があり、混乱を招く懸念があります。また、契約書の内容と実態が異なっている事例が生じた場合には、誰がどのように判断を行うかなど、具体的な取扱いにばらつきが生じかねず建設現場に混乱が生じる懸念があると考えています。この点についても、お考えをお聞きしたいと思います。以上です。
○城内分科会長 続いて、原委員お願いいたします。
○原委員 原です、よろしくお願いします。重箱の隅を突くような質問かもしれませんが、資料の7ページに「家族就業者」は労働基準法や労働安全衛生法上は労働者として取り扱われていないとありますが、これは、まず労働基準法の第9条に労働者の定義があり、しかし第116条で同居の親族のみを使用する事業所には適用しないとされ、なおかつ安衛法は第2条第2号で、同法における労働者とは「労働基準法第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業・・・を除く。)」であると規定していますが、これを前提としているのでしょうか。私の見落としている通達等がありましたら話は別ですが、労働基準法第9条に定められているとおり、「事業に・・・使用される者で、賃金を支払われる者」であればおよそ適用対象たる労働者に該当し、ただ同居の親族のみを使用する場合には適用除外になるとされています(第116条2項)。しかし通達によれば、同居の親族以外の労働者を使用する事業で一定の要件を充たす場合には労基法の適用対象として扱われることになっています。ということは、この議論はそれこそ親子とか兄弟だけでやっている同居の親族だけの事業者の安全衛生をどうするかという、極めて限定された状況を前提としているのでしょうか。この点、労働者の定義、概念、あるいは家族就業者の概念と併せて、一応確認させていただければと思います。以上です。
○城内分科会長 続いて、中村委員お願いします。
○中村(恭)委員 中村です。私の発言は、具体的な省令改正のイメージの部分に入ってしまうのですけれども、後段の方がよろしいですか。
○城内分科会長 7ページの所の御意見、御質問を、今、受けたいのですが。
○中村(恭)委員 では、後段の方で発言させていただきます。
○城内分科会長 申し訳ありません。では後ほどお願いいたします。門﨑委員お願いします。
○門﨑委員 労働側の門﨑です。7ページについてですが、その場所で作業する者であって労働者に該当しない者も保護するというのが最高裁の判決の趣旨ですので、当然、家族就業者についても労働者と同等の保護水準を確保する必要があるということです。最初の棒線部にも書いていますが、個人事業者とその家族の関係は下請の事業者とその労働者の関係に近いという、中央の図示と右側の図示が類似しているということに関して妥当だと思っております。また、2ポツ目の家族就業者については、個人事業者を通じて措置を行うことで、前回の御説明でも実質的には保護されているという説明があったかと思います。そういうことであるならば、個人事業者が家族に対して必要な措置、右側の図の下請事業者のところは措置義務となっていますけれども、この家族就業者と個人事業主の関係のところでも必要な措置を行う必要があるという旨を、何らかの形で明示していく必要があると思っておりますので、意見として述べさせていただきます。以上です。
○城内分科会長 勝野委員お願いします。
○勝野委員 勝野です。7ページの家族就業者の取扱いですけれども、上の○では個人事業者が適切に措置をするという記載があり、この点については理解をするのですが、2つ目の○で場所の使用、管理権原を背景に、その場所のルールを全ての者に適用する必要がある者については、家族就業者も対象となることは想定をされると書いてあるのです。非常に分かりづらいと申しましょうか、現場で混乱をするという想定がされます。そういう意味で、もう少し整理をしていく必要があるのではないかと思っております。先ほど原先生が御質問された点についても、私からも同様なことをお聞きする予定でした。以上です。
○城内分科会長 7ページについて、そのほか発言を御希望の委員はいらっしゃいますか。それでは、ここまでの御発言に対して事務局からお願いいたします。
○小宅計画課長 まず出口委員から、複数事業者が存在して混乱するのではという御意見がありました。それぞれの事業者が措置すべきは、当然その事業者の労働者の方です。一人親方についても、一人親方との直接的に契約なりを結んでいる事業者の方が措置していただくというのが適切だと思いますので、そういう1対1関係はできるということですので、そういうことが周知されれば混乱ということもないかと思います。それから、指揮命令関係が生じて雇用関係に疑義が生じる、偽装請負のおそれがあるという御意見ですが、次以下のページについて、やはり指揮命令関係が生じてしまうような状況は適当ではないということがありますので、例えば周知というような形ではどうかということで御提案もしておりますので、そういったことを踏まえての案と御理解いただければと思います。
また、警備など建設以外の業種の方で、建設現場に多数入っているとの御説明がありました。当然ながら、それぞれの警備会社なりが労働者に対しての措置を講じると。その警備会社から請け負っている一人親方の方がいれば、その措置は建設会社ではなくてその警備会社の方で措置するという、これも1対1関係が明確にできるものではないかと思っています。それから委託、委任等、いろいろな形があって、実質的に誰とどういう関係になっているのかが分かりにくい場合もあるというような御指摘がありました。正に、建設等を中心に従来から問題になっているところですので、そこの線引きは引き続ききちんとやっていかなければならないと思っております。考え方については、判断基準もありますので、それで適切に対応していきたいと思います。全く新しい局面ということではなく、今までも考え方は示されておりますので、それをきちんとこれを機に改めてやっていくことが必要かと思っています。
それから原委員からの御指摘ですが、この資料自体は御指摘のように厳密性を欠く部分があり、分かりやすさを優先ということでやっておりますので、ちょっと厳密さには欠けたかと思っています。今回は、一人親方の方についての議論ですので、一人親方の家族就業者ということで考えますと、一人親方ですので、他人を雇用していないという前提で考えますと、同居の親族のみでやっている場合に限定した上での議論で、そういう前提にたって資料を作成しております。もちろん、労働基準法上、安衛法上の労働者というのは、もっと広いものだというのは御指摘のとおりですが、一人親方の家族就業者ということであれば限密さには欠けますが、こういったことになるのではないかということです。
それから門﨑委員から、こういったフレームワークでの考えるというのはいいのではないかという御意見を頂きました。それとともに、とはいっても、家族就業者に関しては個人事業者を通じてということであれば、個人事業者がきちんと家族の方に措置しなければいけないのだということは、何らか示すべきではないかという御指摘でしたので、その御指摘は重く受け止めて、施行をということになれば、そういったことも周知をしていかなければならないと思っています。
勝野委員からは、2つ目の○の所が分かりにくいということですので、施行ということになれば、きちんと分かるように、分かりやすいものを周知するとして、あるいは通達を整備していきたいと思っております。以上です。
○城内分科会長 まだまだ御意見はお有りだと思いますが、次に具体的な省令改正のイメージについて、論点ごとにページ数を示しますので御議論をお願いします。まず、9~15ページは、基本的な考え方と、安全確保のための設備設置関係の規定の改正ですが、ここについて御意見等のある方は、御発言がある旨チャットに書き込みをお願いいたします。出口委員お願いします。
○出口委員 出口です。よろしくお願いいたします。資料の9ページについて、1つ目の○の②危険有害作業が行われている作業場にいる者に対する措置、当該作業場で何らかの作業に従事する全ての者(資材搬入業者等を含む。)を措置対象に加える。これは、前回からも議論がある中で対象とするということで認識はしておりますが、これについて、運送事業者に雇用される労働者、事業者自らからが建設資材等の搬入、搬出作業を行うため、一時的に建設現場内に立ち入ることが日常的に行われています。運送業務に従事する者は場所的又は時間的に限定された状況下で建設現場に出入りしており、注文者としての性格を有する建設事業者、自らからも請負人であることがほとんどであるのですが、それらの者の入退場を逐次把握し、措置義務を果たすことが非常に困難な事例が多く生じていることが想定されるため、建設現場に混乱が生じることが懸念される点について、どのようにお考えなのか確認いたします。。
そして、9ページの3つ目の○の、労働者と請負人の1週目、2週目、3週目、4週目という形で、全てを安衛法第22条に基づく事業者の措置義務対象とするということで、4週目までの工程を記載されているのですが、建設業では、このようにきれいに1週間ごとの工程で労働者、請負人を分類、区別することはできません。建設業では、1週間ずつ記載されているような標準的な期間ではなく、工程が進捗していく中で1日や若しくは半日単位、混在作業や単独作業が繰り返し行われるような状態です。また、7ページの表にもありましたように、事業者の措置義務の流れの中では、決して1次だけでなく2次、3次、場合によっては4次、2次の中でも1次から複数の2次業者に発注を掛けられる場合もあります。大型現場であれば、関係請負人は数百社程度の関係請負人が請負関係者となります。このような状況で、1日や半日単位であっても措置の対象となるとお考えなのか、確認させていただきます。以上です。
○城内分科会長 小菅委員お願いします。
○小菅委員 10ページの分類Ⅰ、及び15ページに関連してです。10ページの分類Ⅰに関して、新たに配慮義務を規定する旨の記載がなされております。15ページに配慮義務に関する補足説明がありますが、ここでいう配慮というのは、請負人が安全確保のために事業主による措置以外の方法を選択できるようにする配慮であると理解をします。請負人にも労働者と同等の保護水準を確保する必要があるということに変わりはないと思いますので、説明を誤解しないように同等の配慮、保護水準を確保するという前提で、その手法に関して複数のやり方があって、それを配慮するのだと、その誤解が生じないようにしていっていただければと思います。以上です。
○城内分科会長 中村(恭)委員お願いします。
○中村(恭)委員 中村です。すみません、議論の区切りが後段になるかもしれませんが、10ページの基本的な考えの所で記載されていますので、発言をいたします。周知という所です。前回も申し上げていると思うのですけれども、保護具の必要等を含む分類Ⅱに関して、単なる周知では不十分だとこの間考え、発言もさせていただいております。作業している者が労働者であれ、個人事業者を含む請負人であれ、必要な保護具を使用している状態で作業することが、安全確保の上で必要不可欠であるだろうと思います。例えば、林業等では、この間安全に対する周知徹底を行うとなっているのですけれども、それでも死亡災害が毎年40人発生し、横ばいの状態である等なかなか改善が見られない状況が続いています。後段の方で周知の方法についての補足説明がありますけれども、例えば林業をはじめとする野外作業等を想定しますと、口頭や掲示による周知だけではなくて、請負委託の契約時に書面で明示する等なり、確実に認識される必要があるのだろうと思います。さらに必要な保護具を着用していない請負に対しては、労働者と同様に、その場での注意や指導によって労働者と同様の保護水準を確保する必要があると思います。後段でも、個々の事業者、個別の作業に関連して、指導や注意をするというような仕組みとすると、労働者でない者に対する指揮命令との境界が曖昧になるというような記述もあるのですが、やはり人命最優先ということで考えれば、今回の議論それぞれの位置付けも含めた全体的な見直しが必要なのではないかと思っています。
今後ですけれども、他の業種、作業にも影響してくるという形になっていくと思いますので、非常に重要な事項であり、更なる議論が必要だと思っていますので、意見として申し上げておきたいと思います。以上です。
○城内分科会長 及川委員お願いします。
○及川委員 及川です。省令改正に向けて具体的なイメージが湧かない中で、9~15ページにかけてイメージが分かるように提示いただき、ありがとうございます。具体的な省令改正のイメージについて、11月1日に業界団体にいろいろヒアリングをされたと思います。特に、製造業関係の団体にも意見を聞いていただいたと思いますけれども、こういった団体から具体的な省令のイメージについて、どのような御意見が寄せられているのか、お聞かせいただければと思っています。私どもも建設業の会員さんがいらっしゃいますので、今回の改正について意見を聞いているところなのですけれども、家族就業者という1つの言葉をとっても、現場でイメージしていることが、いろいろな多様なことがあると聞いておりますし、作業工程の中のお話1つをとっても、台風が1つあると特に小規模事業者、個人事業者には、ある意味では末端の事業者でもありますので、大変大きな作業負荷が掛かる中で、いろいろなケースが考えられるということです。そういった現場の声を聞くのが、先ほどのヒアリングをしていた団体だと思いますので、改めてこの具体的な省令改正のイメージで、どのような意見を寄せられているのかをお聞かせいただければ幸いです。以上です。
○城内分科会長 勝野委員お願いします。
○勝野委員 9ページの3つ目の○ですが、先ほど他の委員の方がおっしゃっていたとおり、このように1週目、2週目、3週目、4週目と、きれいに作業が割り当てられていくことは多分ないとは思いますけれども、現実的に負請人のみが作業に従事する場面というのは当然あり得る、想定し得る場面だと理解をしております。そういった点を含めると、しっかりと、この請負人のみが作業に従事する場面についても対象とすべきと考えております。
加えて、10ページの周知の所ですけれども、先ほど中村(恭)委員からもありましたとおり、非常に重要な点だと理解をしておりますので、しっかりと論議をしていくことは当然であります。同事に10ページの表のⅡの中に、例えば危険防止のための作業方法の遵守等々について記載がありますが、請負人に対して作業方法の遵守や保護具の使用等の必要性を周知をさせる義務を新たに規定するということに関して言えば、単に周知をすることだけで終わらせるのではなくて、しっかりと事業者として確実に周知していることを確認するような、周知状況の把握に努めるようなことが必要になってくるのではないかと思っております。
例えば、実際に作業現場にポスターを1枚掲示するだけだとか、又は朝礼の際に口頭で伝えるということになろうかと思いますけれども、そういったことがしっかりと全作業従事者に伝わっているのかということについて、しっかりと事業者として確認をしていくことが必要ではないかと思っております。以上です。
○城内分科会長 出口委員、発言希望でしょうか。
○出口委員 はい、出口です。先ほど、及川委員でしょうか。建設業の団体でどのようなお考えかと、ご発言があったと思います。この法令改正が行われた場合には、中小・零細事業者が非常に多い建設業界に甚大な影響を与える。また、建設現場の実態、事情を考慮した検討を丁寧に行い、建設業団体の総意として要望する事項については、十分に反映させていただきたい。恐らく、今の事業者として、中小の業者が本当にこれを理解して対応していただけるのか、建設現場で混乱を生じさせてはいけませんので、丁寧な協議、検討というものが必要であると認識しております。
また、10ページの基本的な考えについても、やはり過度な負担を強いるのではなく、現行の表示、掲示というようなものにとどめておくのが一番いいのかなと考えているところです。建設業団体の中で意見、要望、そして今回提示がありました資料に対して、どこまで建設業団体の中で容認できるのかという意見を頂いておりますので、最後の方で総括的に発言させていただきたいと思います。以上です。
○城内分科会長 それでは、ここまでのところを事務局からお願いします。
○小宅計画課長 出口委員から、運送業者をはじめとして多様な事業者が随時入ってくるので、入退場を逐次把握して指導することは、実態としてなかなか難しいのだという御指摘がありました。その上で、最後に、表示や掲示等そういうものであれば、まだ対応できるのではないかという御発言だったかと思います。随時入退場するということではありますが、一方で、他の委員から契約書なりでのというような御提示、案があり、あらかじめ周知をするということについては、工夫できる余地があるのではないかと思っています。
ただ、作業状況を確認するとか、あるいは周知した内容をちゃんと理解しているかをチェックする等の御提案が一方あったわけですが、随時入場する場合、あるいは、ここでも想定しておりますように、請負人だけが作業している場合というものも含めて考えることになると、確かに、事業者の方で、逐次内容の確認や理解度の確認等のところまでできるのかという辺りは、若干、御指摘を踏まえて検討しなければいけないのかというところです。次回以降、その辺についても、また検討の上で御提示できればと思います。
小菅委員から配慮というところについては、基本的に労働者と同等水準の保護措置を確保するのだと、それが前提であるというところは、抜かりのないようにということでしたので、それを踏まえた上で、周知といいますか、制度改正がもしも行われましたらば、その制度改正の周知の中で、きちっとお伝えしていきたいと思っております。
また、周知の方法として、4つのパターンを示しております。文書という中には、もちろん中村(恭)委員からお話がありました契約書で書く等いった工夫もあろうかと思いますので、やり方の工夫も示していきたいと思います。
それから、業界へのヒアリングの結果を11月1日の会で示しましたが、あのときは、まだここまで具体的なイメージを示しての議論ではなくて、もう少し基本的な考え方のところでの御質問でしたので、このイメージに沿ったというところでは、11月で示したヒアリングではお伺いしておりません。
それから、勝野委員から、周知された内容についての履行確認という御意見がありました。先ほど申しましたとおり、その現場に事業者側の方が常に張り付いているわけでもありませんし、あるいは、労働者の方について安全教育なりというのがありますが、それについてのテストまでを求めているところでも必ずしもないということもありますので、それと並びで、周知状況の確認や現場でのチェックが、労働者向けの措置との関係でも、そこまでも必須とするかという議論もあろうかと思います。いずれにしても問題提起のありました張り付きでチェックできるかについては、引き続き検討してまいりたいと思います。以上です。
○城内分科会長 この後、さらに数ページずつ進めていく予定でしたが、実は時間がかなり迫っています。それで、あと10分弱ぐらいの間で、これ以降、16ページ以降の項目について御質問等をお受けします。その後どうしても今日もう1つ皆様にお諮りしたい議題がありますので、そちらに移りたいと思います。この議論については、また次回も続きますので、その辺のことをお含みおきいただきながら、残りの時間、最後まで議題について御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いします。御意見等のある方は、発言がある旨チャットに書き込みをお願いします。小菅委員、お願いします。
○小菅委員 今回、省令改正イメージが示されたことを踏まえて、10ページで分類をしているわけですが、今回の改正イメージと合わせて言うと、分類Ⅲに関しては、例えば事故発生時の退避に関して言うと、改正イメージでは、労働者を、作業に従事する者に置き換えているわけです。一方、分類Ⅱの保護具の使用については、17ページにあるように、新たに請負人の保護具の使用の必要性を周知させるという項目を追加する形に変更しています。
そもそも分類を4つに分けているというのは、検討する中での便宜上の分類であり、省令上で、労働者に対して指示をしているという意味では、類似のものもあるのではないかと考えています。分類Ⅲにおいて、労働者を作業に従事する者に置き換えることが可能ならば、分類Ⅱの中においても、保護具の使用をはじめ、条文上の労働者を作業に従事する者に置き換えることが可能なものもあるのではないかとも、少し思えるので、もう少し精査が必要ではないかというのが意見であります。以上です。
○城内分科会長 そのほか御意見等はありませんか。
○出口委員 発言を希望しています。出口です。
○城内分科会長 よろしくお願いします。
○出口委員 建設業団体からの意見・要望を取りまとめた中で、意見・要望を6点、そして建設業全体として、容認できる限界事項という形で、4点発言させていただきます。
まず、意見・要望として、1点目が、石綿による健康障害の危険がある作業場所で就労する者を対象とする保護措置、掲示について優先し検討、法令改正を行うことについては異論はありません。
2点目は、石綿以外の有害物に係る保護措置、掲示や表示について順次検討していき、関係者のコンセンサスを得た事項から法令改正を行っていくことに異論はありません。ただし、労働者を対象とする掲示義務規定がない省令については、条文新設の要否から検討する必要があるため、当面は、検討対象から外していただきたい。
3点目が、掲示規定以外の事項については、個別の条文ごとに改正の必要性の有無等から検討を行っていただきたい。最高裁判決を斟酌して、十分な検討を行うことなく数多くの省令条文を一括して改正することについては反対です。
4点目は、罰則の適用がある安衛法第22条を、根拠条文とすることを前提とするのではなく、法令改正は行うが罰則が適用されない努力義務規定とすること等も、選択肢の1つとして考えていただきたい。これについては、石綿則第8条に規定する石綿等の使用状況通知は努力義務とされている省令がありますので、実例があると認識しています。
5点目については、法令改正にこだわることなく、通達、ガイドライン等に基づく、行政指導で対応できる事項がないか等についても検討していただきたい。
6点目は、法令改正を行った場合には、先ほども発言しましたように、中小・零細事業者が非常に多い建設業界には、甚大な影響を与えるところから、建設現場の実情を考慮した検討を丁寧に行うとともに、建設団体の総意として要望する事項については十分反映していただきたい。
そして、建設業全体として取りまとめました容認できる限界事項が4点あります。1点目が、労働災害発生の恐れが生じた場合、退避措置については安衛法第25条を根拠とし、緊急事態が発生した場合の対応策に限られているため、検討を進めることは容認しています。
2点目。周知義務については、周知方法の1つとされている掲示に関し、掲示すべき具体的事項、文言を通達等で明確に示し、周知の内容や範囲が拡大しないように枠をはめるという前提であれば、検討を進めることは容認できます。ただし、作業計画や作業方法については、周知義務の対象から外すべきであると考えています。有機則では第24条第1項の規定により、掲示すべき事項の内容及び掲示方法があり、掲示板は市販されているため、中小規模の建設現場でも容易に掲示が可能な状態となっています。よって、同時に掲示する必要最小限の文言が具体的に定められていることが望ましいと考えます。そして、作業計画や作業方法は、本来、作業を請け負った者が責任を持って決定すべきであり、具体的な仕様等については、注文者が注文時に注文書等で示すという現行の取扱いにとどめていただきたい。
3点目は、立入禁止義務については、立入禁止措置ではなく、立入禁止である旨の掲示を行うことに措置義務が限定されるのであれば、検討を進めていくことは容認できます。指揮命令関係にない建設事業者に対し、作業従事者以外の全ての者を立ち入らせないという義務を負わせることは過剰な対応であると考えます。もちろん喫煙等の禁止、人員の点検、酸欠則等についても同様の考え方です。
最後の4点目は、配慮義務について、以下の前提であれば検討を進めることは容認できます。まず、一つは、安衛法第22条を根拠条文とはせず、違反しても罰則の適用がない努力義務規定という形でしていただきたい。もう一つは、通達により配慮すべき事項が具体的に例示され、例示されたいずれかの措置が1つでも実施されていれば、法違反とはならないことが担保されること。複数の措置や例示された事項以外の措置が求められる事態が発生しないようにしていただきたい。
この4点が建設業団体の総意として容認できる限界事項という形で取りまめさせていただきました。以上です。
○城内分科会長 続いて、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 前回、私からも発言をさせていただきました具体的な改正条文のイメージについて、今回、事務局にはかなりお骨折りを頂き、資料として提出いただいたことに感謝申し上げたいと思います。この改正イメージによって、事業者がどこまで保護措置を講じないといけないのか、ある程度イメージが湧いてきました。
ただ、本日、議論をお伺いしても、出口委員や及川委員から様々な御心配や御懸念の声も寄せられており、事業者側としては、まだ十分納得が得られていない場面もあったかと思っています。一人親方、個人事業主の安全確保は大変重要ですが、一方で建設現場では、他の業界にない実態も縷々あるように感じているところでございます。事務局の厚生労働省においては、事業者に対する分かりやすさを含め、措置内容の実効性にも配慮するという観点から、引き続き丁寧な議論をお願いできればと思います。私からは以上です。
○城内分科会長 では、事務局からお願いします。
○小宅計画課長 事務局です。小菅委員から類型Ⅱ、Ⅲについて、従事する者と置き換え可能なものもあるのではないかという御指摘でした。議論しやすいように類型化しましたので、もしかしたら個々の条文を例にしますと、ⅡではなくてⅢ、ⅢではなくてⅡという可能性はあるかと思います。そういったところは、今回、具体的に○○則に書いてある所とか、○○則ごとの書き方のくせも含めて、立入禁止だけでも何パターンか示しております。具体的にこれは違うのではないかという所もありますれば、御指摘いただければと思います。正に具体的な改正イメージでありますので、皆様で御議論いただいて類型が違うのではないかというものがあれば、そこは対応していきたいと思っています。
それから、出口委員から、留意点といいますか、意見・要望等について頂きましたので、それも踏まえて御議していただければと思いますが、ただ、これまでの中で、前回も具体的な条文イメージで議論しましょうと。具体的なものがないと、なかなかちゃんとした議論ができないということで、今回、具体的なものをお出ししたと思いますので、もしもこれで、ここがまた抽象的であるということがあれば、そこはより具体的なものをお出ししたいと思いますが、具体的な議論は、今回そういうステージに入ったのではないかと思っております。先ほどと重複しますが、具体的にここはという所があれば、どんどん御指摘いただいて、御議論を追加されていただければと思っております。
それから、今回、第22条にぶら下がっている省令について、違反だということで、取りあえず第22条の関連について、議論させていただきたいということでお願いしておりますので、第22条の枠の中での御議論ということでお願いできればと思います。その上でいろいろな工夫、書きぶりの工夫や通達の工夫等そういったものは御意見を踏まえて、どのようなものができるかということは検討したいと思っておりますが、今回は期間も短いといいますか、取り急ぎ措置しなければいけないということですので、第22条について議論しているということで御理解を頂ければと思います。
また、通達等で分かりやすくというのは、できるだけそのようにしていきたいと思います。作業計画、作業方法などについて、今回は別に決定権を労働者と協議してとかいうことではなく、決まったものについてということですので、決定権の御心配は要らないのかと。それから、注文書等で示すという御提案だったのかと思いますが、掲示の仕方はいろいろ工夫できると思いますので、注文書の中に書き込むというのは、注文は駄目ということはないのではないかと思っております。
立入禁止について、掲示に限定にできないかということですが、多様な業種があり、業種によっては、いろいろな別の方法もということもあろうかと思いますので、掲示に限定しないほうが全体的にはよろしいのではないかと。ただ、当然ながら掲示も可能だということですので、業界としてはやりやすい、掲示がやりやすいのであれば、掲示ということで推進していただくことには、何ら問題がないのではないかと思っております。以上です。
○城内分科会長 様々な御意見、ありがとうございました。議題(3)については本日はここまでとし、本日の御意見を踏まえ事務局には必要な資料を準備いただき、次回の審議会で引き続き御議論いただくことにしたいと思います。
次に、議題(4)新規化学物質の有害性調査結果についてに関して、事務局から説明をお願いします。
○佐藤化学物質評価室長 それでは、議題(4)について、資料4に基づき御説明を始めます。毎年この時期に分科会に報告をしている報告案件になります。労働安全衛生法第57条の4に基づく仕組みになります。構造が少しでも変われば、新規扱いの新規化学物質になりますが、そういったものを作ったり輸入したりする事業者は、労働者の健康に与える影響についての調査を実施し、厚生労働大臣に届け出なければならないとされております。この場合の有害性調査は発がん性でして、具体的には微生物を使った試験を実施していただいております。届出があった場合には、官報に名称等を公表いたしまして、有害性調査結果については、参考資料2-2にありますが、学識経験者の方々に意見を伺い、判断を仰いでいるところです。
その結果ですが、真ん中から下の方にありますが、黒ポツの2つ目になりますが、751物質の有害性調査の結果について判断を仰ぎました。その結果について、①ですが、直ちに健康障害防止措置の勧告が必要なものは該当がありませんでした。②ですが、変異原性、これは専門用語になりますが、微生物を使って突然変異が起こるか、起こらないかで判断しておりますので、変異原性という専門用語を使っております。そういった特徴が認められた物質が15物質ありました。参考資料2-3に提示しております。
③ですが、これら15物質については、下の*にあります指針に基づき、事業者が健康障害の予防をするような措置を講ずることが妥当と判断されております。指針の内容ですが、当該化学物質を扱う場合の取扱いの注意、ばく露量を低減するような措置を講じてくださいといった内容になっております。
したがって、先月、11月になりますが、15物質を届け出た事業者の方々への直接のものと、官報に名称が公表され他の方がその化学物質を扱う可能性がありますので、化学物質を扱う関係団体の方々、それから全国にあります厚生労働省の出先機関の労働局に対して、それぞれに応じた内容の通知を発出したところです。説明は以上です。
○城内分科会長 本件について、質問、意見等のある方は、御発言がある旨チャットに書き込みをお願いします。ありませんか。これで全ての議題を終了しました。本日も、長時間にわたり熱心に御議論いただき、ありがとうございました。本日の分科会はこれで終了します。本日はお忙しい中ありがとうございました。