後藤大臣会見概要

(令和3年12月24日(火)11:12 ~ 11:33 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
本日、冒頭発言がいくつかありまして、5件ほど申し上げたいと思います。
 まずは令和4年度予算案についてですが、本日の閣議で令和4年度予算案が決定されました。厚生労働省の令和4年度予算案においては、新型コロナ感染症の経験を踏まえた柔軟で強靱な保健・医療・介護の構築、未来社会を切り拓く「成長と分配の好循環」の実現、子どもを産み育てやすい社会の実現、安心して暮らせる社会の構築、この4つを柱として必要な予算を確保いたしました。予算額としては、一般会計で約33.5兆円、前年度に比べて1.1%の増であります。過去最大の規模となります。今後、この予算を効果的に活用いたしまして、令和3年度補正予算と合わせて切れ目のない対応を行いまして、感染拡大防止や成長と分配の好循環に全力で取り組んでいきたいと思っております。
 二番目に、来年の新型コロナワクチンの追加購入に係る武田薬品工業株式会社及びモデルナ社との合意について申し上げます。昨日、厚生労働省は、来年(2022年)第1四半期に、新型コロナワクチンを追加購入することについて、武田薬品工業株式会社及び米国モデルナ社と合意いたしました。購入量については、1バイアル当たり15回追加接種できるものと計算して、1,800万回分となります。来年分としては、1バイアル当たり15回計算で、既に7,500万回分を契約済みであり、今回の分と合わせて、合計9,300万回分のワクチンを確保したことになります。両社から円滑にワクチンの供給を受け、3回目の接種を着実に進められるよう、引き続き、両社と連携して取り組んでまいりたいと思っております。
 三番目に、布製マスクの在庫の解消に向けた、今後の対応について申し上げます。布製マスクの在庫について、「ご希望の方に配布し、有効活用を図った上で、年度内を目途に廃棄を行う」という総理の指示を踏まえまして、今後の進め方を整理し、公表することとしましたので、ご報告いたします。布製マスクの配布事業については、昨年度、新型コロナの実態が分からず、先が見通せない中で、マスクの需給が逼迫し、入手困難となった状況において、感染拡大防止に一定の効果があること、洗濯することで繰り返し利用でき、急増していたマスク需要の抑制の観点からも有効と考えたことから、少しでも国民の健康を守りたいという一心で、外国を含め、関係する多くの方々のご協力をいただいて、緊急的に実施したものです。こうした対応によりまして、その後マスクの製造、流通が回復し、今ではマスクの不足に対する心配は完全に払拭されるなど、初期の目的は達成されたと考えます。
 このような状況を踏まえ、在庫の解消に向けた対応を行うこととしたところでありますが、まず有効活用として、これまで実施してきた希望する介護施設等への配布に加えまして、希望する自治体への配布、希望する個人の方等への国からの配布について、本日から厚生労働省ホームページに掲載する様式等により、配布希望の申出を受け付け、順次配布してまいります。次に、こうした有効活用を図った上で生じた残余については、不用決定をした上で、売払いを実施します。最終的に、売払いの手続きを経ても、なお残余が生じた場合には、必要な公告手続きを経て、令和4年3月頃に廃棄業務の委託契約を締結し、廃棄を行います。本日、追って、詳細については事務方からご説明させていただきます。
 四番目でございますが、日本年金機構理事長の人事について申し上げます。閣議では、特殊法人の長の人事について、了解されました。日本年金機構理事長の水島藤一郎さんについては、本年12月31日で任期満了となりますが、引き続き、再任することとし、閣議で了解を得ました。  五番目でございます。資産公開についてでございます。本日、大臣、副大臣及び大臣政務官の第2次岸田内閣発足に伴う資産公開があり、資料をお配りしておりますので、ご覧いただきたいと思います。個別の内容については、会館事務所にお問い合わせをいただきたいと思います。私からの冒頭発言は以上となります。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年12月24日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
二点お伺いします。令和4年度予算案について、全体的な大臣の評価と、特にこだわった点があれば教えてください。二つ目が、新型コロナの飲み薬「モルヌピラビル」についてなのですが、大阪や京都などオミクロン株の市中感染が確認されている地域を中心に重点配送されるのかなど、具体的な提供体制ですとか時期の目処などを教えてください。
大臣:
まず、お尋ねのありました予算の全体的な評価の点でございます。令和4年度予算案においては、新型コロナウイルス感染症から国民の命・暮らし・そして雇用を守るとともに、成長と分配の好循環を実現し、一人ひとりが豊かさを実現できる社会、そういうものを目指しまして、令和3年度補正予算とあわせて、必要な予算を確保できたと考えております。
 新型コロナをはじめとする新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築を進めるなど、診療報酬改定において、全体で(プラス)0.43%の改定率を確保できました。また、「こどもまんなか社会」を目指し、子供を産み育てやすい社会を実現するために、子育て家庭や女性を包括的に支援する体制を構築することが必要であるということで、これに必要な予算を確保いたしております。これに加えまして、「成長と分配の好循環」の実現のために、雇用保険制度の安定的な財政運営の確保、民間の知恵を活用して実施する「人への投資」、三年間で4千億円、それから、看護、介護、障害福祉職員の収入の引上げ等を盛り込むことができたと考えております。
 それから、「モルヌピラビル」飲み薬についてでございますが、12月3日に承認申請が行われた「モルヌピラビル」について、本日の専門家会合(薬食審)で審議予定であり、ここで可とされれば、速やかに承認をいたします。既に確保している160万回分のうち、20万回分については、既に国内搬送済みであり、承認が行われた場合には、速やかに医療機関での使用が可能となるように配送を開始いたします。また、外来で処方する場合には、かかりつけ医と地域の薬局が連携して、患者が薬局に来所しなくても手に入れることができるように配送体制を整備して進めてまいりたいと思っております。
記者:
今の「モルヌピラビル」の関連なのですが、全国への配送は市中感染とみられるケースが確認されている大阪府、京都府への重点配送をするご予定があるかどうか教えてください。あと、市中感染も確認されまして検疫でのオミクロン株の確認も日々増えているような状況で、年末年始を迎えるに当たって国民に対して厚生労働大臣からどのような過ごし方を求めるのか教えてください。
大臣:
まず、「モルヌピラビル」の配送の件ですが、これは全国に対して一斉に配送をいたします。ですから、特定の地域を先にというのではなくて、同時に一斉に配送をするということで考えております。また、オミクロン株の対応でございますが、年末年始恒例行事や帰省等が非常に多いタイミングになります。感染拡大を生じさせないように国民の皆様には基本的な感染対策を徹底していただきまして、体調が優れないような場合には医療機関の受診を強くお願いをしたいと思っております。
記者:
モデルナの追加購入についてですが、これによって3回目接種に更なる前倒しの拡大ということについて、対象時期等どのようにお考えでしょうか。
大臣:
従来から申し上げているように前倒しについては、感染動向やワクチンの供給力を踏まえて科学的な効果も十分に検討して、できるだけ進めていきたいと申し上げております。導入時期はできる限り今後とも前倒しでお願いをするようなこともしつつ、国内の感染動向で範囲の検討等も含めてできる限り早い配付ができるような形で十分な検討を進めていきたいと思っています。
記者:
前倒しの対象やスケジュールは、この間発表したものから現時点では直ちに変更する予定はないということでしょうか。
大臣:
今、直ちにこの場で前倒しのスケジュールについて決定してお示しをするということではありませんが、一つ1,800万回分が追加購入できているわけでありますから、しっかりとそういったことに対して前倒しがしていけるように。また、第1四半期に納入いただけるということなのですが、その第1四半期の時期も含めてそういうことを前提にしながら前倒しについて積極的に検討していきたいと思っております。     
記者:
冒頭のマスクの件なのですが、なかなか今は見通しが立てられないと思うのですが廃棄する場合はどれくらいの費用が見込まれるのでしょうか。
大臣:
仮に在庫約8,000万枚の全てを廃棄した場合の費用についてだけ申し上げておくと、大まかな目安としては6,000万円程度と考えております。この量については、今後希望の方に配付し、また、買っていただく方等もあるかとかいうことも進めますのでその後の数字になりますが、8,000万枚なら6,000万円程度と承知しています。     
記者:
オミクロン株について、市中感染が昨日大阪に続いて京都でも発見されました。専門家はもう既にオミクロン株は国内に流入しているようなリスクも指摘されていますが、今後水際の対策から市中への対策に切り替えるタイミングを大臣どのように考えられてますでしょうか。
大臣:
外国人の新規入国禁止などの水際対策、11月29日から1ヶ月を目処として講じているわけですが、オミクロン株の感染力が少しずつ分かってきていますが、これも不明であり、重症化リスクなどに関する科学的評価がまだ確立しているというわけではないと思います。年末年始の状況も見極めつつ、当面の間、現在の水際対策を延長するように考えております。
 昨日23日の時点でこれまで水際において195名のオミクロン株感染者を把握しまして、国内への感染拡大を防止しているという、そういう事実を踏まえれば今回の大阪府や京都府の事例だけをもって直ちに方針を変えるものではなく、引き続き水際対策に取り組みながら国内における封じ込め対策に全力をあげていくということで進めてまいりたいと思っています。     
記者:
今のにも関連しますが、南アフリカの方からの報告で、入院と重症化のリスクが7割から8割低いのではないかとの報告がありました。感染状況もピークアウトしたのではという話もあるのですが、このことについての受け止めと今後の日本の対策への影響をお願いします。
大臣:
南アフリカの報告だけではなく、オミクロン株の重症度については、複数の国から研究や報告があると承知をいたしております。重症度について、感染歴やワクチン接種、治療薬など、様々な原因によって変化しうるということでありまして、慎重な対応が必要と考えています。また、重症化する割合が低い場合であっても、患者数が急激に増えれば、重症者数も増加し医療の逼迫につながる可能性もあるので、引き続き、オミクロン株に関する最新の状況や知見を収集して、適切に対応していきたいと思います。
 先ほど複数の国からと申し上げましたが、南アフリカ以外にも英国、スコットランド、デンマークその他、オミクロン株の入院率だとか、あるいは重症率だとかそういうことについてコメントがだいぶ出てきているというのはご指摘のとおりです。    
記者:
話が戻ってしまうのですが布マスクについてお伺いします。昨日大阪の松井市長が、輸送費などのコストを国が負担する場合は、受け入れる選択肢があるという発言をしておりました。こういう考え方、コストを国が負担するのかどうか、お考えをお聞かせください。
大臣:
細部については検討させていただきたいと思いますが、今ここでお答えする答えは持っておりません。    
記者:
本日閣議決定した予算案の関係で伺います。広島への原爆投下後に降った黒い雨について、より幅広い被爆者認定に向けた予算が計上されています。地元広島県・市からは一定の評価する声が出ているのですが、逆に被爆から76年経て、ようやく広い救済ということになるということについての大臣のお考えをまずお聞かせください。それと、今回の救済措置で1万数千人から2万人といわれる被害者のうち、どれくらいの規模の方を救済できると見込んでおられるかも併せてお願いします。
大臣:
今、第3回目の関係者の広島県・市、長崎県・市での検討の会議を催しまして、国としての考えを提示したと認識をいたしております。引き続き、まだ結論が出ておりませんので、関係の広島県・市、また、長崎県・市の皆さんも含めて、そうした皆さんと一緒にどのように方針を見直していくのか、その結果を待ちたいと思っております。ただ、いずれにしても関係者の皆さんは高齢化も進んでおられますし、できる限り早くまとめていきたいと思っております。  
記者:
関連ですが、予算書の中には既に救済に向けた予算というのが明記をされているのですが、最終的な決定というのはまだもちろん県・市の意向もあってだと思うのですが、今回あらかじめそういう枠を確保されていると思うので、そのことについてどうでしょうか。
大臣:
もちろん、予算を確保しているのはまとまれば、できる限り早期の執行ができるように、予算としては準備をしているということでありますが、あくまで内容が確定してということでありますので、予算に枠を計上していること、そのこと自体が内容を確定させているということとは違うと思いますので、まずは関係者の皆さんの協議を待って、我々としてはできる限り早い解決に向けて進めていきたいと思っています。

(了)