2021年8月6日 第2回患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループ 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和3年8月6日(金)14:00~14:52

場所

オンライン会議

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
  • ◎大久保 一郎
  •  小池 創一
  •  樋田 勉
構成員以外の関係者
  •  橋本 修二(藤田医科大学医学部教授)
事務局
  •  鈴木政策統括官
  •  村山政策立案総括審議官
  •  武藤参事官(企画調整担当)
  •  奥垣統計企画調整室長
  •  渡邉審査解析室長
  •  知念保健統計室長
  •  安藤保健統計室長補佐

議題

  1. 1 「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法について
  2. 2 患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループ報告書(案)について
  3. 3 その他

議事

議事内容


○奥垣統計企画調整室長
定刻となりましたので、ただいまから第2回患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループを開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。まず、新たに事務局メンバーで、変更があった者について御紹介させていただきます。保健統計室長の知念でございます。保健統計室長補佐の安藤でございます。本日の出席状況ですが、津下先生が御欠席でございます。また、本日は審議協力者といたしまして、藤田医科大学医学部教授の橋本先生に御出席いただいております。
それでは、以降の進行につきましては、大久保主査にお願いします。よろしくお願いいたします。

○大久保主査
皆様、本日はお時間を頂きまして、誠にありがとうございます。それでは、前回に引き続いて議事を進めてまいりたいと思います。本日の議題ですが、1つ目が、「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法について、2つ目が、患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループ報告書(案)について、3つ目として、その他となっております。時間が限られておりますので、効率的な進行に御協力いただければと思います。
では、1つ目の議題の「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法についてでありますが、始めに資料1について議論を行い、次に資料2について議論を行うこととしたいと思います。それでは、事務局から資料1について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○知念保健統計室長
失礼いたします。保健統計室の知念でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。私から資料1について御説明いたします。第1回ワーキンググループの概要としております1枚目ですが、今回のワーキングの前提としましては、「平均診療間隔」の算出に当たりまして、前回診療日から調査日までの日数31日以上は除外して計算しておりますが、算出方法につきまして、疾病構造の変化や医療技術の向上、薬剤投与期間に係る規制の原則廃止等により、診療間隔が長期化しているのではないかということが指摘されておりました。そうした中、診療間隔の算出対象の上限を30日としていることにより、「平均診療間隔」及びこれを用いて推計した指標であります「総患者数」が実態と乖離している可能性があるため、算出対象の範囲を見直す必要があるのではないかということを背景に、前回のワーキンググループにおきましては、「平均診療間隔」の算定上限に関して見直すことでよいか。また、見直す場合には、上限を設けることでよいか、設ける上限は何日程度が妥当かといった点について御議論いただいたところです。
2ページ目です。前回も御出席していただきました橋本先生、審議協力者からの研究報告等をもとに、現状の確認並びに新たな方法の検討をしていただきました。まず、現状の確認ですが、診療間隔の分布、平均診療間隔の推移を分析したところ、傷病による程度の差はありますが、診療間隔の長期化傾向は明らかでした。そこで、現行方法の上限30日を見直すことが適切であると確認されました。新たな方法につきましては、診療間隔の分布を見ると、1週間を単位として周期的に分布しており、4週、8週、12・13週が山となっていること。多くの傷病で再来患者の累積割合は、診療間隔13週(91日)時点で95%程度又はそれ以上であったこと。平均診療間隔の算出対象を13週までとした結果を、各種調査等と比較して検証したところ、比較的一致することが確認できたため、その妥当性が検証されたことなどをもちまして、前回のワーキングにおきましては、平均診療間隔の算定上限は見直すことが適当である。新たな算定上限は「91日」とするのが適当ではないかと御結論いただいたところです。
3ページ目です。その後、本ワーキングの上位に位置しております整備検討会に、その旨を御報告したところ、構成員の先生より、一般診療の現場においては、3か月を目途に再来予定となるが、実際には患者の都合や休診日等の事情により、本来の予定日より遅れて受診する場合が多いこと。よって、平均診療間隔の算出対象は、臨床現場の実態に即した「14週(98日)以下」とすることが適当ではないかという御意見を頂いたところです。
そこで、本日につきまして、下に書いております新たな算定上限につきましては、「98日」とするのが妥当ではないかという点について御議論をお願いしたいと思います。
4ページ目につきましては、新たな算出方法について御議論いただいた結果を、当てはめる算出式の御紹介になります。算出対象について、13週又は14週とした場合に、それ以上のものは除外するという形で、こちらの計算式が新方式として変更される形になります。
続いて、5ページ目につきましては、今回、御議論いただいた内容について、新たな方法の公表方法に関する部分です。新たな方法による平均診療間隔及び総患者数につきましては、令和2年調査の確定数から公表する予定でおります。令和4年(2022年)の公表予定となっております。また、新推計による結果は、遡及改定は行いませんが、過去3回の調査分、平成23年、26年、29年分については、参考値として公表する予定です。また、公表時には、統計利用者へ丁寧な説明を行うよう努めたいと考えております。
本日お配りしております参考資料2を御覧ください。今後、丁寧な説明の一環として説明する掲載先のイメージ図です。患者調査の概況等は、もともと厚生労働省ホームページにおいて公表しているところですが、そちらについて、新たに今回の推計の見直しに関するページを設けまして、その中において解説や、変更による影響を受ける統計表等のリンクを掲載する予定です。
また、e-Stat、政府統計の総合窓口においても、用語の解説等がありますので、そちらについても説明を加えること。さらに、e-Statに載っております各統計表についても、注釈を加えること等によりまして、利用者の皆様方への丁寧な説明を心掛けたいと考えております。資料1についての説明は以上となります。
続きまして本日、津下先生は御欠席でございますが、御意見として頂いておりますので、御紹介いたします。資料4を御覧ください。津下先生から頂いた御意見です。この中で、今、お話しいたしました議事1に関する部分がありますので、2つ目の○について読み上げさせていただきます。「第1回のWGでは、研究報告をもとに算定上限を91日とする案が出されていましたが、診療現場の実感では1週間程度遅れるケースも多いため、1週間余裕を見て98日を上限とすることについて提案がありましたが、これについて違和感はありません。また、データから見るとそれ以上の延長は必要なく、98日でよいと思います。本統計を利用する立場からすると、調査や推計の方法が現実を反映していると受け止められることが重要であり、98日を上限とすることで問題はないと思います。」とのことでした。私からの御報告は以上となります。

○大久保主査
前回のワーキンググループでは、上限を13週とすることが適当ではないかとしておりましたけれども、事務局に改めて整理していただきました。それで、今の資料について、各委員から順番に御意見を伺いたいと思います。よろしいでしょうか。まず、小池委員、いかがでしょうか。

○小池委員
私も新たな算定上限は、98日とすることでよいと考えます。例えば年末年始、お盆、休診日等があれば、1週間程度ずれが生じると思いますので非常に理解しやすいと思っております。
また、公表の方法についても、統計利用者への丁寧な説明を事務局のほうでもしっかり考えていただいているということでしたので、このような形で進めていただくのがよろしいのではないかと考えています。

○大久保主査
後でまとめて質疑をしたいと思いますが、次に、樋田委員いかがでしょうか。

○樋田委員
私も算定上限を98日とするということで問題ないと思います。これまでの議論では、診療間隔の分布を参考にし、13週を上限とするのは妥当な方法と考えておりました。一方で、現場からの御意見である14週も説得力のある御意見かと思います。14週を上限とすることも、データとの整合性という点では、問題ないと思いますので、医療の現場から見たときに、より説得力がある方法で上限を定めるというのは十分理解できると思います。
先ほど事務局からも御説明がありましたけれども、今回の算定上限の変更によって、傷病ごとの推定患者数が1.5倍とか、2倍とか、かなり大きく変化します。これはかなりインパクトのある数字だと思いますので、過去3回の推計と合わせて、十分丁寧な説明をすることが必要と思います。以上です。

○大久保主査
審議協力者として橋本先生、いかがでしょうか。

○橋本先生
橋本です。算定上限14週について、特に異存はありません。特に算定上限が、13週と14週の総患者数はほとんど変わりません。平成8~26年において、13週と14週の総患者数の比は、1.01~1.02倍の間です。第1回のワーキングにおきまして、算定上限が13週の総患者数の妥当性の検証結果を御報告いたしましたけれども、14週の総患者数にそのまま当てはまるということになります。つまり、算定上限が14週の総患者数は妥当であるといえるということになります。以上です。

○大久保主査
各委員から、前回、13週が妥当ではないかということで話は一応、結論は出たわけですが、整備検討会のほうで14週が現実の医療現場に即しているということで、そういう意見を頂きました。今、小池委員、樋田委員、橋本先生から、14週で妥当だ、特に問題ないという御意見を頂きました。そして、公表方法につきましても、これが妥当ではないか、丁寧に説明してほしいという御意見を頂きまして、特に各委員から異存、異論、異議等はなかったかと思います。そういうことなので、これからは14週ということで話を進めていきたいと思います。事務局には、次の資料は13週ではなくて、14週を前提として作成していただいております。よろしくお願いしたいと思います。先生方、今のことに関して追加の御意見等はありますでしょうか。特になしでよろしいでしょうか。
それでは、次に進みたいと思います。事務局から資料2について御説明をお願いしたいと思います。膨大でありますが、14週での計算結果についてです。よろしくお願いします。

○知念保健統計室長
御説明いたします。お配りした資料の中に資料2と銘打った資料が全部で9枚あります。こちらについては「平均診療間隔」とか、「総患者数」について、それぞれ現行のものと、本日御結論いただきました14週をベースとした新推計について、それぞれ比較の表という形になっております。表の形式のものをお示しした後に、グラフの形式のものをお示ししておりますので、説明についてはグラフのほうで説明させていただきたいと思います。
まず、資料2-1-2です。こちらについては、再来患者の「平均診療間隔」の推移、現行推計と新推計の比較のグラフになっております。こちらを御覧いただいて分かるとおり、当然ながら新推計のほうが、より平均診療間隔が多いという形で一貫した値が出ております。特に増え幅の大きいのが、傷病別で見ますと、Ⅱ新生物とか、Ⅲ血液、Ⅶ眼、ⅩⅡ皮膚、ⅩⅣ腎尿路、ⅩⅦ先天奇形などにつきましては、約2倍以上の増え幅となっております。
一方で、例えばⅤ精神とか、ⅩⅤ妊娠などにつきましては、それぞれ1.4倍ないし1.2倍程度となっておりまして、比較的影響の幅が小さい傷病かなと考えております。
続きまして、資料2-2-2です。こちらについて、新推計をもとにした「総患者数」の推移です。当然のことながら、先ほどのグラフの結果とほぼ同様です。Ⅱ新生物とか、Ⅶ眼、ⅩⅡ皮膚、ⅩⅣ腎尿路、ⅩⅦ先天奇形などについては、患者の数が2倍を超える値となっております。一方で、Ⅴ精神、ⅩⅤ妊娠などについては、増え幅はそこまで大きく見られないという形になっております。
続きまして、資料2-3-3です。今までの2つの資料につきましては、現行の推計と新推計について、年次の比較を見ていただいたものです。変わりまして、資料2-3-3については、平成29年の患者調査につきまして、現行推計と新推計が年齢階級別に見たときに、どのような違いがあるかというところについてグラフとして見たものになります。35歳~64歳の分と、65歳以上を比較して見たときには、ほとんどの傷病につきまして、65歳以上よりも35歳~64歳のほうで増え幅が大きいという形になっております。これは恐らく35歳~64歳の、いわゆる勤労世代、現役世代の方については、より診療間隔を空けた受診が多いことが予想されるため、今回の見直しによる影響がより大きく出たのではないかと考えております。ただ、その一方で、35歳~64歳よりも、65歳以上のほうが多い所も幾つかありましたので、そちらについて御報告いたしますと、例えばⅠ感染症については、35歳~64歳が1.89倍、65歳以上が1.95倍となっておりまして、65歳以上のほうが、若干、多いとなっております。次ページの、ⅩⅣ腎尿路につきましても、同様に65歳以上のほうが、若干、多いという形になっております。一方で、35歳~64歳と65歳以上について、あまり変化がない、ほぼ同じような増加が見られているのが、1ページ目のⅤ精神、35歳~64歳が1.34倍、65歳以上が1.35倍とほとんど同じ、また、ⅩⅠ消化につきましても、それぞれ1.64倍、1.66倍となっておりまして、大きな世代別の変化は、35歳~64歳と65歳以上と分けたときには見られないという形になっております。
最後に、資料2-4-2です。施設別に見たときに、どのような影響の差があるかという部分です。こちらにつきましては、ほぼ全ての傷病につきまして、病院のほうが診療所よりも増え幅が大きいという形になっております。ただ、例外的にⅩⅩⅠ保健サービスにおいては、診療所のほうが増え幅が大きいとなっております。また、一方で、こちらにつきましても、Ⅴ精神、Ⅶ眼、ⅩⅡ皮膚につきましては病院と診療所の変化の度合いが、あまり大きくは変わらないという形になっておりまして、患者の受療行動が、あまり病院と診療所で変化が大きくないところが、今、申し上げましたⅤ精神やⅦ眼、ⅩⅡ皮膚といったところになるのかと考えております。以上でございます。

○大久保主査
それでは、各委員から今の資料の御説明について、御意見、御質問等がありましたら、御自由に御発言いただければと思います。今の御説明を簡単に私なりにまとめてみると、倍率でいうと、新生物、眼の疾患が高くて、精神があまり変化がない。ただ、倍率ではなくて、実数、総患者数の変化でいえば、循環器系、消化器系が多く増えて、倍率の高かった新生物は、実数としてはあまり増えないという特徴。また、年齢別で見ると、あまり階級別で大きな差がないものの、むしろ、若い人のほうが倍率が高いかなという印象です。ただ、実数でいうと、やはり高齢者のほうが増えるということだと思います。また、病院と診療所で見ると、病院側が増えていて、普段はかかりつけ医に掛かって、時々病院に行くという受療行動が把握できるのかなと思います。非常に興味深い結果が示されて、いろいろと研究などでも使えるのではないかと思っておりました。皆さん、いかがでしょうか。何か御質問等はありますでしょうか。橋本先生からは、13週でも14週でも、ほとんど値は変わらないという既に意見は頂いておりましたけれども、橋本先生、何か意見はありますでしょうか。

○橋本先生
橋本です。我々は、平成26年までを検討しておりましたけれども、平成29年におきましては、予想どおり診療間隔が更にもう一歩延びているということで、そのために現行の推計に比べると、新しい推計の違いというのが更に拡大しているということで、より新しい推計を導入する必要性が大きくなっているということが確認されたというように思っております。以上です。

○大久保主査
小池委員、何かありましたら、よろしいですか。

○小池委員
次の議論とも関連するかもしれませんけれども、今回、医療ニーズの変化とか受療行動の変化を反映して、平均診療間隔が延びてきたことに対応するということは、今後も受療行動の変化は起これば、対応が必要になるということかと思います。将来の状況の変化を、今後どのようにフォローをされていく予定なのか、もし、現時点で決まっていることがあるようでしたら、御紹介いただければと思います。

○大久保主査
事務局から何か回答することはありますか。

○知念保健統計室長
小池先生、ありがとうございます。先生の御指摘のとおり、医療制度はどんどん変化していく中ですし、特に昨今のコロナの関係でアフターコロナの医療提供体制がどのように変わるのかというところは、非常にまだ見通せない部分かなと考えております。
例えばオンライン診療等も、今回導入されたという形になり、それが広がっていく可能性もあると思っておりますし、そうしたことを考えますと、総患者数のみならず、患者調査そのものについても、何らかの影響が出てくるのかなと考えておりまして、ある程度この変化が、なかなかいつ頃プラトーに達するかというところも判断は難しいところかと思うのですが、適切な時期に、改めてまた研究といった形で総患者数を含めた患者調査の在り方について検討してまいりたいと考えております。以上です。

○大久保主査
それでは、樋田先生、何か御意見はありますでしょうか。感想等でも結構です。

○樋田委員
先ほど大久保先生がまとめていただいたのと、同じ印象を私も持ちました。医療現場の方、あるいは現場の方の感覚から見て、新推計と現行推計の数字を見比べたときに、新推計のほうが、より妥当だとお考えになるのかを教えてください。

○大久保主査
現場の感覚ということですが、現場を知っている方、どなたかコメントできる方はいらっしゃいますでしょうか。では、事務局から。

○知念保健統計室長
事務局では、津下先生と事前に御説明する中で、津下先生は、主に糖尿病を研究していらっしゃる先生かと思いますが、先生のほうからもそういった糖尿病の視点で見たときも、新推計のほうがより実態に即しているのではないかといったようなことをコメントで頂いておりました。以上でございます。

○大久保主査
実感として、印象として、やはり現状に近付いてきているのかなという御説明だったと思います。

○樋田委員
分かりました。ありがとうございました。

○大久保主査
今の資料の説明につきましては、どうもありがとうございます。これは結果の御説明でしたので、深い議論等はあまり必要ないかもしれませんが、いろいろ御意見も頂きました。
では、次の議題に入りたいと思います。2つ目の議題として、患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法の見直しに関するワーキンググループの報告書(案)についてですが、まず始めに、事務局からこの案について、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○知念保健統計室長
資料3を御覧ください。おめくりいただくと目次がございます。添付資料について、本日は添付省略といたしておりますが、添付に本日お示しした資料2のシリーズ、新推計と現行推計を比較した表ですとか、前回の第1回ワーキングで橋本先生からお示しいただいた資料について、別添として付ける予定です。
1ページを御覧ください。1「はじめに」の所です。まず、患者調査については、前身である「施設面から見た医療調査」が、昭和28年に「患者調査」となっております。患者調査では、平成5年から再来患者の「平均診療間隔」を用いた「総患者数」の指標の算出・公表が始まっています。これは平成5年の当時の研究班により検討が行われ、その妥当性が確認されたことから、厚生統計協議会第二部会において承認され、平成5年患者調査より公表されているものです。
総患者数については、通院継続中であって調査日には医療施設を受診していない患者を含めた患者数の把握を目標としており、平均診療間隔や調整係数を用いて一定の仮定を置き、その下に推計しているものであります。その仮定は、当時の受療状況等を加味して設定されたものであり、それから年月を経て、疾病構造の変化や、保険診療における薬剤投与期間に係る見直し、医療技術の向上などにより、診療状況に変化が生じており、それを踏まえた新たな仮定の設定について検討する必要性が指摘されてきました。このため、本年2月に本ワーキンググループを設置し、御議論いただいてきたところです。
2「平均診療間隔及び総患者数の算出方法等の見直しについて」です。患者調査では、全国の医療施設を利用する患者を対象として、無作為抽出による患者を客体としております。調査日当日に、医療施設で受療した患者の推計数である推計患者数は、医療需要の把握や供給体制などの医療計画策定上、極めて有用な基礎資料として活用されております。また、公衆衛生や疫学などにおいては、調査日には医療施設で受療していないものも含んだ、調査日現在において継続的に医療を受けている患者数を推定する意義が大きいとされております。
2.1「「平均診療間隔」及び「総患者数」の現状」です。総患者数は、理論的な枠組みと一定の仮定の下に、患者調査で把握した情報をもとに推計式を用いて傷病ごとに推計しております。この点で、総患者数はある傷病で受療中の患者が全国にどれだけいるかを表す指標ともいえます。計算式については御覧のとおりです。
3ページです。この推計式については、ある傷病における外来患者が一定期間ごとに再来するという仮定の下に、患者調査で算出した推計患者数及び平均診療間隔を用い、更に医療施設の稼働日を考慮した調整を行う方法によって推計するものです。ここでの平均診療間隔とは、外来の再来患者の前回診療日から調査日までの間隔、診療間隔の平均をいいます。推計に当たっては、推計の対象となる「前回診療日からの日数」に上限を設けており、診療間隔日数が一定以上の場合を除外しています。これは診療間隔が極端に長い場合は継続的に医療を受けているとせず、再来ではなく初診とみなすほうが適当であるとの考えによるものです。現行の推計では、平成5年の研究において、平均診療間隔の算出に用いる期間の上限を30日とすることが妥当であることが確認されたため、算定対象の上限を30日としております。また、総患者数の推計には、医療機関の稼働日を考慮して設定された調整係数があり、これは平日の患者調査による再来患者数を1週間の平均再来患者数に調整する係数であり、1週間のうち1日が休診という診療状況を想定し、6/7としたものです。この調整係数について、第1回ワーキングでお示しいただいておりますが、現在の医療機関、病院、診療所、歯科診療所の稼働日と比較したところ、大きな相違は見られませんでした。
2.2「現行方法の課題」です。これまで御説明してきたように、診療状況が大きく変化してきた中、診療間隔が長期化してきていると考えられております。4ページ目を御覧ください。こちらはグラフで示しておりますが、平成29年患者調査における再来患者の診療間隔別累積相対度数の分布です。こちらを見ますと、5週、35日までの割合が74.5%、90%を超えた週、12週について91.4%、また、95%を超えた週は15週でした。診療間隔の長期化に伴い、現行の30日の上限によって算出された平均診療間隔及び総患者数が、過小評価となっているおそれがあることから、平均診療間隔を算出する際の上限日数について検討を行い、更にそれを踏まえた総患者数の影響について検討を行ってきました。
5ページ目を御覧ください。2.3「新たな方法の検討」です。こちらについては、平成27年より橋本先生に各種の研究をしていただいておりまして、その検証内容について、ワーキングで御報告いただきました。四角囲みの所に入りまして、「発表内容及び検証結果」です。研究の結果、2014年の再来患者の診療間隔30日以上の割合は、胃がん、肺がん、糖尿病、高血圧性疾患、心疾患、脳血管疾患、COPDと、多くの傷病において20%より高かった。以上の結果より、平均診療間隔の算定対象について、現行方法は適切でないことが確認されました。
6ページ目を御覧ください。患者調査における診療間隔分布の状況を確認すると、1週間、7日を単位として周期的に分布しており、4週、8週、12・13週に分布の山が見られております。7ページ目は、診療間隔分布の形状です。診療間隔13週までの再来患者の累積度数分布の割合は、2014年の全傷病では96.2%であり、多くの傷病でも95%程度又はそれ以上でした。8ページ目は、診療間隔分布の累積割合です。算出対象の上限について、30日以下の現行方法と比較した場合、13週以下を対象とした場合の平均診療間隔は1.68倍でした。同様に17週以下を対象とした場合は1.81倍となり、13週からの増加の程度は比較的少なかった。同様に、算出対象の上限対象を変えて比較した場合、現行の30日以下と比較して、13週以下を比較した場合には、総患者数は傷病別にして1.09~2.34倍、17週以下を対象とした場合には1.15~2.65倍となり、13週からの増加の程度は比較的少なかったと報告されております。
9ページ目を御覧ください。以上より、平均診療間隔の新たな算定対象は13週以下とすることが妥当ではないかと示唆され、その手法によって得られた結果を各種調査等と比較して検証したところ、比較的一致することが確認できたため、その妥当性が検証されたとして、前回、橋本先生から御報告いただいた内容です。以上によりまして、前回、令和3年2月の第1回ワーキングにおいては、算定上限は13週以下にすることが適切であるとの見解の一致が得られました。
その後、先ほども御報告したところですが、整備検討会において、実際には13週ではなく14週以下とすることが医療現場の実態と合っているという指摘があったことから、先ほど御議論いただいたところです。詳細な報告書の内容については、本日頂いた先生方からの御意見をもとに追加予定ですが、先ほど御結論いただきましたとおり、算定上限を14週とすることについて、追記をする予定です。
2.4「新たな方法の検討結果」です。計算式の紹介になりますが、空白の「○○」となっておりますが、こちらが算定上限について、「98日(14週)」といたしまして、それに変更して、以下のとおりの算出方式となります。また、一番下の段の注釈の所も、「○○日」となっておりますが、こちらも99日以上のものは除外するとさせていただきます。
10ページ目を御覧ください。新たな算出方法等による「平均診療間隔」及び「総患者数」については、令和2年、2020年の患者調査から概数・確定数の公表を行うのに併せ、その確定数から公表すべきである。また、「平均診療間隔」及び「総患者数」は、調査により得られた推計値を、更に一定の仮定の下に算出した参考値であるという性質に鑑み、今般の見直しにより、過去の結果を変更することを求めるものではない。令和2年調査の結果の公表に当たっては、算出方法の変更について、統計利用者に丁寧な説明を行うよう留意すること(概況、政府統計の総合窓口、報告書等において、用語の定義や経緯の説明を掲載等)、また、利用に当たっての参考のため、新推計による過去の調査結果について、過去3回調査分、平成23年、平成26年、平成29年分について、参考値として公表することを求める。
3「まとめ」です。こちらもまだ「○○」になっておりますが、入れ込んでお読みします。患者調査で公表している再来患者の「平均診療間隔」やそれを用いた「総患者数」について、近年の受療状況の変化に伴い、平均診療間隔及び総患者数の算出の上限日数を30日から98日、14週に変更すべきである。変更後の算出方法は以下のとおりである。以下の計算式の所も「○○日」とありますが、こちらについても、99日以上のものは除外するとさせていただきます。残りの部分は別添で、ワーキングの設置について、また、開催実績について付ける予定です。
私からの御報告は以上となりますが、資料4について、津下先生の御意見がございますので、事務局から代読させていただきます。津下先生の資料の1つ目のパラグラフと、3つ目と4つ目について御報告いたします。
報告書については見直しの必要性、新たな算出方法について、具体的にデータやグラフ等を示して説明されているため、分かりやすいものになっています。現行法と新たな方法で、平均診療間隔や総患者数を傷病別、性・年齢階級別、医療機関種別での比較表も資料提供されており、診療の実情(疾病構造の変化、薬剤長期投与等)をより的確に反映していると考えられます。
3つ目になります。診療実態を適切に把握していくことは、今後ますます重要となってきます。オンライン診療など診療形態の変化、高齢化に伴う疾病構造・治療目標や手段の変化にも適切に対応できることが求められます。安定した方法で推計することが大切ではありますが、現実と合わないと判断される場合には、適切なタイミングで修正していくことが必要です。今回の検討はやや遅かったのでは、という感覚を持ったぐらいですが、今後の方向性について伺いたいです。
改訂後には、変更の趣旨や方法、結果の解釈について丁寧に御説明されるとのことですが、これは大変重要なことと思います。現実には「患者数が急に増えた」などの誤解を招きかねませんので、間違った使われ方にならないよう、どちらの方法で患者数を出しているのかをしばらくは明示していただく必要があると思いました。御報告は以上です。

○大久保主査
丁寧な御説明をありがとうございました。前半がワーキングで13週で決めた経緯、整備検討会で臨床現場からの印象として14週のほうがベターではないかということ、そして、公表の方法として、遡って修正することはなくて、参考値として過去3回分、約10年分を出すといったようなことが盛り込まれていると思います。皆様方から、今の報告案について御意見を頂きたいのですが、その前に津下先生からの今後の方向性についてというところを含めて事務局から回答していただければと思います。

○知念保健統計室長
先ほど御報告申し上げた津下先生の資料の3つ目のパラグラフについて、今後の方向性等についてコメントいただきましたので、回答いたします。
まず、今回の検討について、やや遅かったのではないかと御意見を頂いたところです。平成14年度の診療報酬の改定以降、厚生労働科学研究においては、総患者数の推計式について検討いただいてきたところです。これは診療報酬の改定だけではなく、疾病構造の変化や医療技術の向上による診療内容の変化が徐々に進んでいることも含めて、研究を進めてきました。それによりまして、今般、新たな推計方法を提示可能となったことから、令和2年調査結果から見直しをするべく、整備検討会に諮り、本ワーキングを立ち上げたという形になっております。
また、今後の見直しの検討に関しては、先ほど小池先生の御説明にもお答えいたしましたが、コロナウイルスの影響、コロナウイルス後の社会の状況等も鑑みまして、その変化がある程度落ち着いた段階で、新たな研究班を立ち上げるなどして、適切な対応をできるように努めてまいりたいと考えております。

○大久保主査
それでは、橋本先生も含めて各委員から、報告書の案について御意見を頂ければと思います。御自由に御発言いただければと思います。先ほど、資料に数値が出てきましたが、それは報告書に付けるのですね。

○知念保健統計室長
別添として付ける予定です。

○大久保主査
結果を見ると大変興味深いことで、それが公表されるのは、非常にいいことかなと思います。研究者にとって、こういうところの分野で、また新たな研究テーマが生まれるのかなと思います。では、一言ずつ、小池委員、何かございますか。

○小池委員
非常に分かりやすく、簡潔明瞭に報告書案をまとめていただいていると思います。事務局の皆様方の御尽力に感謝したいと思います。
津下先生と私からも、今後どうするかという点に関して、お話もございましたので、今後の方向性を伝える記載があったほうがいいかもしれないと思いました。具体的な取扱いについては座長にお任せいたします。

○大久保主査
今後の方向性を匂わせたほうがいいのではないかということですが、事務局と検討させていただきます。樋田先生から一言ございますか。

○樋田委員
報告書の作成ありがとうございました。特に修正などの意見はありません。問題の背景から見直しの根拠まで、詳細なデータ分析の結果等を利用しながらまとめられていて、非常に説得力のある報告書だと思いました。以上です。

○大久保主査
橋本先生はいかがでしょうか。

○橋本先生
橋本です。第1回ワーキングで私が発表した内容について、的確におまとめいただいておりまして、大変有り難いと思っています。

○大久保主査
報告書については、今後の方向性をどうするかということが宿題として残りましたが、それ以外については、皆様から異議がなかったと、了解されたと理解いたしました。今後の方向性については、事務局と相談いたします。
最終的な報告書(案)については、取りまとめ次第、委員の先生方にお送りして、御確認いただくこととしたいと思います。よろしくお願いします。その後、厚生労働統計の整備に関する検討会開催要綱により、次回の検討会に報告させていただくことになりますので、御了承のほど、よろしくお願いいたします。
最後に、議題3の「その他」です。事務局から何かありますか。

○奥垣統計企画調整室長
事務局です。特段ございません。

○大久保主査
先生方、何か言い残したことがあればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
本日は大変ありがとうございました。予定していた議題は以上となります。2回にわたり議論してきたワーキンググループも、本日をもって終了となります。委員の皆様におかれましては、御多忙の中御議論いただきまして、誠にありがとうございます。事務局へお返しします。

○奥垣統計企画調整室長
事務局です。皆様方、長時間にわたる御議論、本当にありがとうございました。これまで2回にわたり御議論いただきました結果を、本日報告としておまとめいただきましたことにつきまして、感謝を申し上げます。今回で、ワーキンググループは一旦終了とさせていただきますので、統括官の鈴木から御挨拶申し上げます。

○鈴木統括官
政策統括官の鈴木でございます。先生方におかれましては、「平均診療間隔」と「総患者数」の算出方法という、普段統計を利用される際には、あまり意識されないものですが、統計の正確性を保つためには極めて重要な問題につきまして、迅速に御議論いただいて、一部について加筆させていただくことになりますが、おおむねの方向性を取りまとめいただきましたことについて、感謝申し上げたいと存じます。
厚生労働省としましては、この患者調査のみならず、所管する全ての統計調査において、その品質の向上に努めてまいりたいと考えておりますので、今後とも御指導、御鞭撻いただきますよう、お願い申し上げます。どうもありがとうございました。

○奥垣統計企画調整室長
それでは、これをもちまして第2回患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループを閉会いたします。ありがとうございました。

(了)

照会先

政策統括官付参事官付統計企画調整室

電話:03-5253-1111(内線7373)