第3回小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成30年4月18日(水)17:00~19:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)

出席者

議題

(1)医療安全について
(2)小児がん拠点病院の指定要件について(取りまとめ)
(3)その他

議事

 
○がん・疾病対策課長 よろしければ、資料確認を先にさせていただきたいと思います。○事務局(栗本) では、先立ちまして資料の確認をさせていただきます。
上から座席表、議事次第。
資料1としまして、「「小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会」開催要綱」。
資料2といたしまして、「小児がん拠点病院における医療安全について」。
資料3といたしまして、「小児がん拠点病院における指定要件の見直しについて」。
資料4といたしまして、「小児がん拠点病院の指定要件の見直しに関する報告書(案)」。
参考資料1といたしまして、「がん診療連携拠点病院等の指定要件の見直しに関する報告書」。
参考資料2といたしまして、「小児がん拠点病院等の整備について」。
以上、8点を御用意させていただいております。
資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。
それでは、定刻となりましたので、ただいまより第3回「小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
なお、石田構成員と笹井構成員におかれましては、御都合により御欠席との連絡を受けております。
それでは、以後の進行は堀部座長にお願いいたします。
○堀部座長 皆さん、こんにちは。本日もよろしくお願いいたします。
それでは、議事を進めさせていただきます。
まず、きょう取り扱う議論の論点について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局(栗本) 申しわけございません。報道の皆様方におかれましては、以上をもちまして撮影を終了していただきまして、カメラを収めていただきますよう御協力をお願いいたします。
では、本日は、議題1といたしまして、資料2の医療安全について御議論いただきたく存じます。
その後、議題2といたしまして、これまでの検討会での御議論を踏まえまして、事務局で作成いたしました資料3の「小児がん拠点病院の指定要件の見直し」及び指定要件の見直し内容を含むこれまでの議論をまとめました本検討会の報告書の案である資料4について御議論いただければと存じます。
○堀部座長 ありがとうございました。
では、最初に議題1の「医療安全について」、事務局より資料2の説明をお願いいたします。
○事務局(栗本) それでは、資料2をごらんください。
2ページ目になりますけれども、がん診療連携拠点病院等の指定要件における議論の中で、医療安全についても議論されました。小児がん拠点病院の指定要件においても、医療安全にかかる要件を追加してはどうかと考えております。がん診療連携拠点病院等の指定要件の議論の際は、下の四角囲みにございますような内容で御提案、御議論をいただきました。
おめくりいただきまして、3ページ目をごらんください。平成30年3月に閣議決定されました第3期がん対策推進基本計画において、一番下部の赤文字の部分でございますけれども、拠点病院等の要件の見直しに当たっては、医療安全など新たに追加する事項を検討することとされております。
また、続きまして4ページをごらんください。医療法上においても、赤文字の部分でございますけれども、医療にかかる安全管理のための委員会等の設置が求められているところでございます。
おめくりいただきまして5ページ目でございますけれども、特定機能病院の承認要件等をお示ししております。この中におきましても、医療安全にかかる要件がございます。具体的には下線部分でございますけれども、医療安全管理者の配置並びに医療安全に関する窓口の設置などが求められているところでございます。
続きまして、6ページ目をごらんください。小児がん拠点病院における医療安全の現状・課題でございますけれども、1つ目といたしまして、現行の整備指針では医療安全についての記載がない状況でございます。また、現在指定されている小児がん拠点病院15のうち、約半数が特定機能病院となっております。
このような状況を踏まえまして、小児がん拠点病院の指定に特定機能病院と同様に医療安全部門の設置や医療安全管理者の配置等の要件を追加してはどうか。
なお、人的配置につきましては、特定機能病院以外の病院では、医師等の人員を医療安全に配置することが困難な場合もあるといったがん診療連携拠点病院などにおける議論の中で出た意見等も参考に検討してはどうかと考えております。
おめくりいただきまして、7ページ目でございます。今回、新たに整備指針に医療安全管理部門を設置し、常勤の医師、薬剤師、看護師を医療安全管理者として配置することを要件に追加してはどうかと事務局から提案させていただきます。
具体的には8ページをごらんいただきたいのですけれども、小児がん拠点病院の施設要件といたしまして、一番左にございますが、医療安全管理部門を配置すること、医療安全管理者を配置すること、医療安全に関する窓口を設置することとしてはどうかと考えております。
なお、人的配置についてですけれども、常勤の職員は配置していただくこととするものの、専任や専従については、小児がん拠点病院の中には特定機能病院や都道府県がん拠点病院と異なり、主に小児のみを対象としているような病院もございます。そのような病院では規模は小さい傾向にあることを考えると、次の9ページ目に成人のがん診療拠点病院の人的配置についての資料がございますけれども、まずは地域がん拠点病院と同等としてはどうかというふうに考えております。
以上でございます。
○堀部座長 ありがとうございました。
では、ただいまの説明に関して御意見をいただきたいと思います。
特にございませんか。
では、小俣構成員お願いします。
○小俣構成員 患者家族として、ぜひこの安全に関しては項目を新設していただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。その配置については、やはり病院の事情があるかとは思いますので、その辺は検討が必要なのかもしれませんが、ぜひ入れていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
○堀部座長 檜山構成員、どうぞ。
○檜山構成員 ありがとうございます。医療安全に関しては異論のないところではないかと私は思っておりますが、小児に特化した病院に関して、これは本当に実現可能なのかというところを御確認いただくということと、後の議論に出てくるかと思いますが、連携拠点病院に関して今回は特にこの枠は設けないとか、そういうところはちょっと御確認いただければいいかと思います。
拠点病院の指定要件に関して、医療安全に関してはこういう形でやるということでは私どももこれでいいのではないかと思っていますし、いきなり全て専任とか、そういうのはやはりかなり敷居が高いかと思うので、小児に特化した病院に関してはそういう形で対応していただくのがいいのではないかと思っております。ありがとうございます。
○堀部座長 まず小児に特化した病院ということで、松本構成員お願いします。
○松本構成員 ありがとうございます。医療安全に関しましては、私も異論はございません。
特に、医療安全に関してこういう項目を設けるということに関しては賛成です。ただ、資料の10にも書いてありますように、看護師さんの配置は既に専従でほとんど条件を満たしているんですね。 ところが、薬剤師さん、あるいは医師の配置というのはやはりどうしても小児に特化した病院、いわゆるこども病院では少し配置がおくれているのかなと考えます。最初から専任とするのがいいのか、あるいは専任が望ましいとして、少し猶予期間を置いて配置を求めるべきなのかどうかということに関して、少し議論が必要かと考えております。
○堀部座長 この点については、いかがでしょうか。佐々木課長、お願いします。
○がん・疾病対策課長 スライド10が参考といたしまして、現在の15の小児がん拠点病院の配置状況でございます。
今、御指摘いただいたように、医師の配置、医療安全部門への配置なしが2名、薬剤師の場合ですと、今回求めたいとしておりますのが専任でございますので、その点では専従までが4つですね。1足す3の4つが満たせないのではないかという状況でございます。
これにつきましては、そもそも小児がん拠点病院にどこまで求めるのか。これは檜山構成員の御指摘にもなろうかと思いますけれども、もとより連携病院の中からより難しい症例とかが集まってくることを考えますと、やはり基本的には高いレベルでの医療安全を求めるべきだと思います。
一方で、もともとこの小児がん拠点病院、そのブロックには1つ置けるようにしようという発想、構想で始まったこともありますので、それはもう少しバックデータをとった上で基本的に考えたいのは、より高い医療安全レベルを求める。
その上で、どうしてもそのブロックごとということをカバーできない状況であれば、そのバッグデータをもとに、また最終的にどういう要件の書き方をするかというのは、例えば経過措置という形にするのがいいのか、それとも常勤かつ専任としている薬剤師を単に常勤とするのかにつきましては、もう少しこれは座長や、必要に応じて各構成員と相談したい。こういう取り扱いにさせていただければと思います。
○堀部座長 ありがとうございます。
これに関して、越永構成員お願いします。
○越永構成員 ただいまの課長さんのお話は私も賛成ですけれども、そもそも医療安全については、別に小児がんであろうが、どこのがんであろうが、同じ質を求められているだろうと思うんですね。
ですので、やはりそういうふうなところを目的に置いて努力するということは必要だろうと思いますので、やはりある一定の時期、それにすぐ追いつけないということであれば、経過措置みたいなものもいいのではないかというふうに私も考えています。
○堀部座長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
課長、お願いします。
○がん・疾病対策課長 今の御指摘を踏まえると、先ほど選択肢として、薬剤師の常勤かつ専任を常勤とするかということを申し上げましたが、案といたしましては、このスライド8にあります内容にし、もう少しバックデータをとった上で経過措置、例えば1年程度、これは31年からですので、例えば32年3月31日まではそろえるという経過措置を設置するという規定を設けることもあり得るべし。もし可能なようであれば、これは最初から規定を満たすことを求めるという整理でよろしいですか。
○堀部座長 私もよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
ありがとうございました。そのほか、御意見ございますでしょうか。
特にないようでしたら、「医療安全について」は基本的にこの方向で本研究会の意見としてまとめたいと思います。
続いて、議題2の「小児がん拠点病院の指定要件の見直しについて」、事務局より資料3及び資料4の御説明をお願いします。
○事務局(栗本) 事務局でございます。本検討会のこれまでの議論を踏まえまして、指定要件の見直し案について資料3にまとめております。
また、本検討会で御議論いただいた内容、資料3の指定要件の見直し案など、資料4に本検討会の報告書案としてまとめております。
資料3を用いて、指定要件の見直し案について御説明をさせていただきます。
資料3をごらんいただきたいんですけれども、2ページ目、「今回の指定要件見直しのポイント」といたしまして大きく3点ございます。
1つ目に「小児がん診療・支援のさらなるネットワーク化」、2つ目に「AYA世代への対応」、3つ目に「医療安全の推進」を掲げさせていただきました。
1点目の「小児がん診療・支援のさらなるネットワーク化」といたしまして、3ページ目をあわせてごらんいただきたいのですけれども、小児がん診療・支援の連携体制をさらに進めるに当たりまして、仮称となりますが、小児がん連携病院を指定してはどうかと考えております。
連携病院は目的に応じ、「地域の小児がん診療を行う病院との連携」「専門性の高いがん種等についての連携・情報集約」「小児がん患者等の長期フォローアップ」の3つに分類し、小児がん拠点病院が連携病院を指定し、さらなるネットワークを構築するというものでございます。これにより、情報の集約化も進み、情報の提供もより強化されるものと考えております。
再度、2ページ目をごらんいただきたいのですけれども、2点目といたしまして「AYA世代への対応」でございます。
まずは医療の観点でございますけれども、右側の上の1つ目の「●」と2つ目の「●」をごらんいただきたいのですが、この2つが医療の観点からのものになります。
1つ目といたしまして、「小児がんからの移行期医療の提供・連携体制の整備」、2つ目として「AYA世代発症のがん患者への医療の提供・連携体制の整備」を挙げております。
また、支援の観点からでございますけれども、小児で発症した現在AYA世代にあるがん患者においても、また、AYA世代で発症したがん患者においても、いずれにしてもAYA世代に対応した相談支援体制を整備していく必要があると考えられます。
なお、「AYA世代」でございますけれども、今回の報告書においては16~39歳のがん患者を想定しておりますが、機械的に年齢で区分されるべきものではございませんでして、患者のニーズを踏まえて必要な医療・支援が適切に提供されるべきものであることに留意する必要があると考えております。
また、2ページの一番下でございますけれども、先ほど御議論いただいた「医療安全の推進」というものを掲げております。
ページをおめくりいただきまして、4ページ目をごらんいただきたいのですけれども、これらのポイントを踏まえまして、4ページ目以降に小児がん拠点病院の指定要件の見直し案をまとめてございます。
まず4ページでございますけれども、役割といたしまして「小児がん連携病院の指定について」「AYA世代への対応」を追加してはどうかと考えております。
1つ目の連携病院の指定でございますけれども、先ほど申し上げたとおり3つの連携パターンを考えております。
1つ目といたしましては、小児がんとしては比較的よくあるようながん種を想定しておりますけれども、しっかりと標準的な治療を行うことができる「地域の小児がん診療を行う病院との連携」。
2つ目といたしましては、例えば脳腫瘍のようながんを念頭に置いておりますけれども、専門性の高いがん種の治療を行うことができる病院や、粒子線治療のように標準的にはなっているものの、限られた施設でしか機械を持っていないような病院として専門性の高いがん種等について連携を行う病院との連携。
3つ目といたしまして、地域循環型という流れも踏まえまして、しっかりと長期間の診療及び支援を行っていただける病院との連携。
以上、3つの目的に応じて指定をし、しっかりと連携を進め、連携病院も含めて診療実績が見えるようにしていくということを目指しております。
指定に際しましては、「※」印の部分をごらんいただきたいのですけれども、指針において連携病院が満たすべき要件を定めること。それから、拠点病院が連携病院の指定を行う際は、地域ブロックごとに設置された協議会の意見を聴取する。
なお、地域ブロックごとに設置された協議会への都道府県等の参画を求めることとするとしてはどうかと考えております。
また、その下になりますけれども、「AYA世代への対応」といたしましては先ほど申し上げたとおりでございますが、「小児がんからの移行期医療の提供・連携体制の整備」「AYA世代発症のがん患者への医療の提供・連携体制の整備」「AYA世代のがん患者への相談支援体制の整備」の3点を追加してはどうかと考えております。
ページをおめくりいただきまして、これらの役割を果たすために必要と考えられることを要件としてお示ししております。
まず「診療機能」でございますけれども、従来「外来で長期にわたり診療できる体制の整備」としているところでございますが、「外来」という言葉を取らせていただいて「支援」という言葉を追加するような形で、「長期にわたり診療・支援等ができる体制の整備」、それから新たにAYA世代の対応の部分でございますけれども、「小児がんからの移行期医療の提供・連携体制の整備」「AYA世代発症のがん患者への医療提供・連携体制の整備」を追加してはどうかと考えております。
2段目でございますけれども、「専門的な知識及び技能を有するスタッフの配置」といたしまして、「小児看護やがん看護に関する専門的な知識及び技能を有する専門看護師又は認定看護師」となっているところでございますけれども、小児がん看護という専門的な知識、技能を有することが望ましい旨も記載をしてはどうかと考えております。
また、3段目になりますけれども、「診療実績」の部分で「領域別の小児がん診療機能、診療実績等をわかりやすく情報提供すること」となっているところ、小児がん連携病院の診療実績についても情報提供する。それから、AYA世代発症のがんの診療実績についても情報提供していくということを追加してはどうかと考えております。
4段目になりますけれども、「研修の実施体制」といたしまして、現在「小児がんの診療、相談支援、がん登録及び臨床試験等に関するカンファレンスや勉強会等の開催」となっているところでございますが、ここに医療従事者の育成ということも目的であることを記載してはどうかと考えております。
続きまして6ページ目をごらんいただきたいんですけれども、一番上に「情報の収集・提供体制」がございますが、ここに新設といたしまして患者からの相談に医療従事者が対応できるよう、相談支援センターと医療従事者が協働するというようなことを書いてはどうかと考えております。
また、<相談支援センターの業務>でございますけれども、現行の整備指針では「小児がん患者の発育、教育及び療養上の相談」となっているところ、教育については別項目で追加をし、さらに教育機関との連携というものを加えてはどうかと考えております。
また、「地域の医療機関に対して相談支援に関する支援」となっている部分でございますけれども、「がん診療連携拠点病院等の相談支援センターとの連携も含めたAYA世代の相談支援への対応」「患者とその家族を支える活動への支援」というものをつけ加えてはどうかと考えております。
また、「臨床研究」においてですけれども、「地域の医療機関と連携し、地域の臨床研究を推進」となっている部分ですが、「地域の臨床研究に限定せず、臨床研究を推進」するような旨の記載にしてはどうかと考えております。
一番下でございますけれども、先ほどお話させていただきました「医療安全体制の整備」についてつけ加えてはどうかと考えております。
おめくりいただきまして、7ページ目をごらんいただきたいと思います。7ページ目は、一般的な事項や前回の指定から現在までの間の制度改正等に対応するために、がん診療連携拠点病院等の整備指針にかかる議論等を踏まえまして見直しをしてはどうかと考えております。
「診療提供体制」の部分でございますけれども、「キャンサーボードの定期的な実施」という部分に多職種の参加、それからしっかり記録を残しましょうということを書いてはどうか。
また、新設でございますけれども、「保険適応外あるいは一般的でない医療行為を行う際の事前審査・事後評価と適切なインフォームド・コンセントの取得」を追加してはどうかと考えております。
また、「コメディカルスタッフの配置」の部分でございますけれども、現行は「医療指針に携わる者」「臨床心理士」となっている部分でございますが、平成30年度から公認心理師の資格制度が始まることを踏まえまして、「公認心理師」が望ましいというふうにしてはどうかと考えております。
「院内がん登録」におきましては、「がん登録推進法及び院内がん登録に係る指針に基づいた院内がん登録の推進」、それから小児がんにおいては5大がん以外のがんも多いという状況を踏まえまして「院内がん登録実務中級者の配置」をしてはどうかと考えております。
また、「臨床研究」におきましては、「臨床研究法に沿った実施体制」「臨床研究等についての説明と、必要に応じて専門的な施設への紹介」という旨を追加してはどうかと考えております。
また、「申請手続等」でございますけれども、以前御意見をいただいておりますが、がん診療連携拠点病院の見直しの期間にあわせまして4年ごとの更新をすることを明記する形でどうかというふうに考えております。
以上が、要件の見直し案でございます。
事務局からは、以上でございます。
○堀部座長 ありがとうございました。
今回、取りまとめとのことで、ただいまの説明や資料に関して、まずは各構成員から順に御意見をいただきたいと思います。
最初に、檜山構成員から順番にお願いいたします。
○檜山構成員 ありがとうございます。では、この資料を見させていただいて今、御説明をいただいたのですが、まず最初に少し文言の定義というか、小児がんからの移行期医療という問題と、AYA世代発症のがん患者という文言と、AYA世代のがん患者という文言が出てくるのですが、非常にその定義がわかりにくいというか、AYA世代のがん患者というのは一体何だということになると思うんです。小児がんを罹患された人がAYA世代になった人も含めているといった形で恐らく書き込まれているのかなというふうに想像するのですが、それを一応確認させていただきたいというのが1つございます。
それを踏まえて、先ほどの資料3の2ページ目ですが、「AYA世代発症のがん患者への医療の提供・連携体制の整備」というところです。ここはいわゆる先ほどもありましたが、小児に特化した小児がん拠点病院と、いわゆるがん診療連携拠点病院の中で小児がん拠点病院を担っている施設とは少し取り組み方が異なってくるのかなというようなところもちょっとあるので、その辺をどういうふうに書きこまれるのか。先ほど、AYAは16~39歳ということなので、小児に特化した施設がこれらの医療の提供をどこまで求めてくるのかということはきちんと明確にされたほうがいいかなと考えます。
それと、先ほどありました小児がん連携拠点病院に関しては前回も十分ディスカッションしていただいたのですが、これに関してどういう形で小児がん診療を行う病院、地域性と専門性、それからフォローアップという3つのキーワードでくくっていただいたと思うのですが、その辺をどういう形で指定、いわゆる要件を定めておいて最終的には今の御提案では拠点病院が連携施設を指定をするという形になっているので、その辺の必要要件をどの程度定めるのかということはやはり御議論いただいたほうがいいかなと思っております。
それと、移行期医療等のAYA世代への対応についても先ほど申し上げました。繰り返しになりますが、小児に特化した病院と、いわゆるがん診療連携拠点病院の中で小児がん拠点病院が行われているところは少し取り組み方を変えても私はいいんじゃないかと思います。別に同じ要件は必要としないので、成人科がたくさんあるような病院に関してはやはりきちんとしたAYAに対する対応をお示しいただいたほうが、小児がん拠点病院としてのあり方もある意味でAYA世代がん、あるいはAYA世代になった小児がんの人たちに対する対応もきちんとモデルとして出していただけるかと思うので、その辺は指定要件としては少し異なってもいいのかなという気はしています。
あとは、6ページあたりの教育機関との連携というところがよくわからなかったので、少し御説明いただければいいかと思いました。大体、以上でございます。
○堀部座長 ありがとうございました。
一通り皆さんから御意見を出していただきたいと思いますので、松本構成員お願いします。
○松本構成員 これは雑多な意見というか、この見直しについての大まかな話でよろしいですか。
○堀部座長 はい。
○松本構成員 細かなことを言うと、多分1時間くらいしゃべることになるかもしれないので。
まず、前回も大きな議論になったのですが、連携病院に関してです。はじめに「連携病院をつくる意義は何なのか」ということをもう少しはっきりさせるべきだと思います。もともと小児がん拠点病院というものができた経緯として、小児がんはたかだか年間2,000~2,500しか発症しない。だけど、それが日本中、200以上の病院で診られていることが問題だから集約化をするべきであるという話で小児がん拠点病院が始まったはずなんです。
ところが、今回この連携病院をつくるということによって、1番、2番、3番というそれぞれの要項がございますけれども、下手をすると本当にあなたも私もみんな連携病院という感じになってしまって、集約化ということが本当にできなくなるのではないかと危惧します。きちんとしたミニマムリクワイアメントを設ければそれでいいんじゃないかという意見はございますけれども、ただ、この要項を見ていくと、例えば小児がん患者との長期フォローアップですが、この長期フォローアップに関しては現在拠点病院ですら、きちんとした体制整備ができていないと思います。それにも関わらず、連携病院に対して、あなたは長期フォローアップができる病院だということを拠点病院が認定するという矛盾があり、大きなハードルがあるのではないかと私は思っいます。
連携病院の要件としては、例えば内分泌の専門家がいるとか、あるいはいろいろな他科の連携がうまくいっているとかあると思うのですが、でもそこには必ずがんに関して知っている人がいないとできないのではないかと思います。
長期フォローアップということに関してもかなり曖昧で、私は連携病院をつくったら250や300の連携病院が、もしかしたら出てくるのではないかということをとても危惧しています。連携病院をつくる意味は一体何なのか。それは病院にとっていいことなのか、あるいは患者にとっていいことなのかということをもう少しきちんと明確にするべきではないかと考えています。
あとは、この指定要件のところでAYAのことが出ています。AYAに関しては、私はこれでいいのかなと思っていますし、教育機関との連携ということに関しても、これは非常に重要なので、しっかり検討すべきだと考えています。
やはり前回議論には出なかったですが、診療実績というところに関してはもう少し議論を進めるべきではないかと思います。現在のこの診療実績の見直し案というものを見ますと、「現行どおり」という言葉はどこにも書いていなく、ただ、わかりやすく情報提供することが大事ということが書いてあります。前回の指定要件を見ますと、例えば固形腫瘍に関しては年間新規症例数が10例以上、うち脳脊髄腫瘍は2例程度以上となっており、造血器腫瘍に関しても同じく10例以上となっています。
ここの議論をきちんとしないと、例えば脳脊髄腫瘍は2例は最低限診なくちゃいけないんだというように読めてしまうんですね。固形腫瘍に関して10例以上見て、脳腫瘍は2例以上診なくちゃいけない。この脳腫瘍2例の診療にどれだけ拠点病院としての意味があるのかということは、やはりきちんと議論しないといけないのではないかと私は考えています。固形腫瘍だけに特化した病院、あるいは造血器腫瘍にだけ特化した病院が拠点病院であっても私は悪くないと思うので、小児がんに関して年間例えば30例以上とか、あるいは40例以上というように、疾患別に分けるのではなくて、小児がんという大きなくくりで見て症例数を決めたほうがいいのではないかと考えています。
それから、キャンサーボードということに関してもいろいろ出ています。キャンサーボードというのが成人のほうでどういう定義になっているかわからないのですが、キャンサーボードというのは、その患者さんの治療方針について議論する多職種の医療カンファレンスのことではないかと思っていたんですけれども、これで見ていくと多職種の参加のみでキャンサーボードと呼ぶことに違和感を少し感じるところです。症例検討会、事例検討会、ちょっとよくわからないですけれども、キャンサーボードというものの定義がおかしなことになっていないかというのはちょっと感じるところです。 あとは、臨床研究に関しても臨床研究法に沿った実施体制というのがあるとは書いてあるのですが、小児の臨床をやっていく上できちんとした臨床研究はなかなかハードルが高いところも十分にありますし、小児で使えない薬というのも実は多くあると思うので、そのあたりを要件にどのように盛り込んでいくか大きな課題だと考えています。
ちょっと長くなりますので、以上で終わります。
○堀部座長 ありがとうございました。
それでは、道永構成員お願いします。
○道永構成員 最初に檜山先生からもお話がありましたけれども、2ページ目の「AYA世代への対応」というところで、以前から小児がんを発症した人がAYA世代になる場合と、AYA世代で発症する場合を分けたほうがいいと思っていて、これを3つに分けたことはいいのですが、16歳~39歳をAYA世代といった場合に、その患者さんが果たして小児がん拠点病院に行くかどうかということがまず疑問です。こういうふうに特出しでこれを必要とするかどうかというのが、ちょっとよくわからない部分です。
あとは、AYA世代のがん患者への相談支援体制と、このAYA世代のがん患者という呼び方はせっかく分けたのにわかりにくい部分があるのかなと思っています。
それから、6ページのところですが、<相談支援センターの業務>というところで、なぜあえて患者だけになっているのかがよくわからなくて、患者、家族からの相談というのが絶対必要で、特に小児がんの場合には必要なのではないかと思います。
あとは、連携病院は「連携病院が満たすべき要件を定める」と4ページに書いてありますが、これは非常に難しいので、どういうふうにしていったらいいのか、非常に議論が必要なのかなと思っています。
ざっと見た感じは、それくらいでしょうか。
○堀部座長 ありがとうございました。
それでは、山下構成員お願いします。
○山下構成員 このレベルでの議論というと、具体的な報告書なり、あるいは要件の文言に落ちていかないとなかなかわかりにくいところがあると思うのですが、それはそれとしてちょっと気がついたところを幾つか申し上げます。
まず、最初に先ほど松本先生が連携病院ということで、ばっと増えてしまって200とかという話が出ましたが、私は実はイメージとしては今、学会の小児血液・がん学会の診療専門医研修病院ですか、あれが100ちょっとくらいだと聞いていますので、それプラスそれ以外の特色のあるところ、例えば長期フォローアップについてという話が前もございましたので、そういうところを幾つか足していく範囲なのだろうというイメージを持っていました。もし仮に200などという数になってくると、まさに松本先生がおっしゃったように、もともとの集約化という議論がおかしくなってくるのではないかと思います。その辺は要件を定めていくときのコントロールになっていくのかと思いますが、そこが1つございます。
それから、スライドの4のところで、先ほど道永さんもおっしゃられましたが、「連携病院が満たすべき要件を定める」。これは今は誰が定めるというイメージで書いておられるのかと思いました。ブロック単位なのか、ブロックのところの拠点病院が中心となってブロックの中で議論するのかどうなのかというところがはっきりしませんので、その辺のイメージをはっきりさせていただきたい。前回も例を挙げましたが、東京都の場合は診療連携病院が集まった中で議論をしたように記憶しております。
それから、先ほどどなたかがおっしゃった教育についての追加、これは大いに結構なのですが、ここの全体のタイトルが「情報の収集・提供体制」となっていますけれども、やはり我々患者・家族の立場から非常に大事なのは、もちろん情報も大切なのですが、支援についてのいろいろな情報、実際の支援の動向とか、あるいは支援のレベルを上げていくということが大変大事だと思っています。教育についてはここに特出しになっておりますけれども、どこかに都道府県を参加させるという表現がありましたが、その点の言及も必要と思います。
実は前から申し上げていますけれども、やはり具体的な支援特に、院外での支援ということになると地方自治体等が実際には実施する、地方自治体の施策の中でやられる部分が非常に大きいと思います。この点から地方自治体との連携をきちんとやっていくことが必要で、その枠の中で教育であれ、あるいは就労ということなどについても、その地域でもって就労をどうするか、小児がんの患者がどういう問題を抱えているかということを実際の就労を扱うような窓口がきちんと理解して進めていくというようなことが必要になってくると思います。今のレベルでそこまでは当然書き切れないとは思いますが、どこかでそういう点の記述が入ってきてほしいと思っております。
それともう一つ、臨床研究のところについては、前も申し上げましたが、少なくとも拠点病院は臨床研究については積極的にやるのだということを示していただきたい。今の書き方は、やるのであれば、どういうことをやれということで、やるかやらないかということは、はっきりしていない。臨床研究を積極的にやるべきだという点が明確に書いてありません。報告書なり、実際の文言に落ちるところで、そのところをお忘れにならないようお願いできたらと思います。以上です。
○堀部座長 ありがとうございました。
それでは、小俣構成員お願いします。
○小俣構成員 6点ほどございます。
まずは定義ですが、AYA世代の定義がはっきりはしておりません。ここに文言として書いていただいた内容は、こちらもわかりやすくていいとは思うのですが、やはり檜山構成員がおっしゃったように、表現の方法などの違いがありますので整理をしていただいたほうがよろしいかと思います。
確認ですが、AYA世代というのは小児がんの患者がAYAの世代になったときも含めたAYA世代ということでよろしいのかどうか確認できたらと思いますので、お願いいたします。
2点目ですが、連携病院のことです。これは先ほど山下委員がおっしゃいましたが、誰が決めて、そしてどこに責任の所在があるのかについて明確にしていただきたいと思います。また、松本委員から長期フォローアップの体制が拠点病院でさえまだ十分ではないというお話がありました。前回、私もいろいろなところに転居したりすることもあるため、多くの場所で診ていただくということはとてもありがたいという話を申し上げましたけれども、ただ、質の担保をどのようにしていくのかということも御検討していただきたい点でありますので、よろしくお願いいたします。
3点目はAYAのことですけれども、実際に小児がんの人たちに関しては、成人して今どのような状況でどのような課題があるかということがある程度わかってきてはいますが、実はAYAの方たちが何に困って、どのようなことに苦しんでいるのかということは、堀部先生が研究をされたりはしておりますけれども、実際に詳細にはまだわかっていません。AYAの支援は必要ですが、その前に具体的にどのような支援が必要か現状の把握ということがまずは必要なのではないかと考えます。
4点目は教育に関してですけれども、資料のほうに教育について資料3の6ページに
書いてございます。この別項目というのはまた整備指針、指定要件、どこか別のところで設けられるという認識でよろしいでしょうか。
さらに教育に関してですが、資料4の8ページの5番目です。「患者の発育及び教育等に関して必要な環境整備」という文言があって、「現行の整備指針のとおりとする」とありますが、第3期がん対策基本計画では、高校の教育について言及していたかと記憶しています。現行では未対応の部分ですので、加えることが必要なのではないかと考えております。
それから、5番目は評価についてです。参考資料の1の成人がんの要件見直しに関する報告書の17ページで、5にPDCAサイクルのことが書かれています。小児がん拠点病院は指定後5年経過しており、どのような成果を上げ、どのような課題があるのか実態を把握し、それに基づいて今後のあり方を検討されるべきと考えます。成人がんと同様PDCAサイクルについて小児がんでも必要なのではないかと考えておりますので、検討をお願いしたいと思います。
最後に指定要件の扱いについてです。この擬態からは外れるかもしれませんが、今後指定要件を基に整備指針が出た際に、要件に合わない拠点病院があったときにどうなるのか。
また、北陸や信州などの拠点病院自体の配置についてなどの課題の解決についてぜひ今後検討していただきたい。以上です。長くなって済みません。
○堀部座長 ありがとうございました。
それでは、上別府構成員お願いします。
○上別府構成員 ありがとうございます。私からは3つ、4つぐらいです。
まず、このように指定要件見直しのポイントというふうにまとめていただいて御苦労されていると思うんですが、小児がんの相談支援体制として、治療中から長期フォローアップにかけて、ずっと継続的な相談支援体制が必要だと思うのですけれども、これがかえってわかりにくくなっていると思います。
先ほど来、ディスカッションに挙がっていますけれども、2番目の「AYA世代への対応」と「AYA世代のがん患者への」というところに、相談支援体制はまたがってあるというふうに考えてよろしいでしょうか。また、治療中の相談支援体制はどうなっているのかなと、相談支援体制の継続性についてちょっと疑問に思いました。
それとも関係するんですけれども、小児がん患者等の長期フォローアップのできる病院を連携病院にということだと思うのですが、ここのところは診療のみならず、やはり相談支援ができるということも含めて考えていらっしゃるのかどうかということについても、ちょっと疑問に思いました。
それから、指定要件、看護に関する部分で「小児がん看護」という専門的な領域について初めて取り上げていただいたと思うので、そこのところはありがたいと思っています。
それから、相談支援センターのほうなんですが、やはり道永構成員がおっしゃったように、家族というのが抜けているなと思いましたのと、それからここでがん相談支援センターと医療従事者が協働ということになっているんですけれども、ちょっとわかりづらいなと思って、ここで言う医療従事者というのは医師だったり、看護師だったり、検査技師だったりすると思いますが、どういう言い方がいいのか。診療部などと病院の所属部署で言えばいいのか、身体面の相談ができる人、あるいは治療や看護等の専門のスタッフ等、どう言えばいいのかわからないんですけれども、少し医療従事者というのが漠然としていてわかりづらいなと思いました。
とりあえず、以上です。
○堀部座長 ありがとうございました。
それでは、越永構成員お願いします。
○越永構成員 ありがとうございます。私が今、考えているのは、この小児がんの拠点病院が恐らく現行では集約化が完全にできていないということが発端になって連携施設をつくったらということになっているのではないかと思います。
先ほど松本先生がおっしゃったように脳腫瘍、あるいは固形腫瘍、血液腫瘍、みんなそれぞれ得意な分野があって、全て何でもかんでも大丈夫というところは、成育さんは完璧かもしれないですけれども、そうそうはないような感じに思っております。そこで、全て一つの施設で集める必要はないだろうという議論が多分、最初の議論だったんじゃないかと思っております。それで、恐らく小児病院ですと、連携するためには、例えばAYA世代の専門の施設というか、成人の施設と連携する必要が出てくるというのも多分そういうことなんだろうと思います。
それで、ここで前回の検討会のときにお話が出たんですけれども、小児がんの拠点病院プラス連携病院で、やはりグループで診療する体制をつくるということが恐らくこの重要な骨子なんだろうと思います。
そして、誰が決めるんだといったときに、小児がん拠点病院が何でも決めれば連携病院になるということになると、松本先生が言われたように100も200もできちゃう可能性がある。やはりグループで診療をする体制を整える。グループでそれを指定する。指定の要件に入れるということが必要なのではないかと思います。
すなわち、小児がん拠点病院を最初に決めて、それから連携病院を決めるのではなくて、小児がん拠点病院と連携できる病院をあらかじめ指定要件に入れて、それでまとめて認定、指定をすべきだろうと私は思っています。
それをやることによって、そのグループの体制というのは確固たるものになりますし、もし小児がん拠点病院を決めてから小児がん連携病院を決めるということになりますと、先ほど御発言がありましたけれども、責任の所在も不明確になる可能性もありますし、どこの病院で見ていただくのか、よくわからないうちにとりあえず小児がん拠点病院に行ってしまう。がん腫によっては近くにそれが得意な施設があるのにもかかわらず、みんな小児がん拠点病院に行ってしまうということにもなりかねないんじゃないかと思っておりますので、やはり小児がん拠点病院と小児がん連携病院の指定要件をあらかじめある程度決めておく必要がある。しかも、小児がん連携病院はどこの施設と連携を組むのかということも、最初に指定の要件に入れるべきだろうと思っております。
そのときに、地域によって要件が変わる可能性が十分あるんだろうと思います。現在、人口がやはり大都市圏に集中してきていますので、大都市圏の事情と、北海道のような広大な土地があって、その中に人口が分散しているようなところとでは大分条件が違うので、全国一律、全部同じような要件にするのはちょっと無理があるのではないかと思っております。
連携については以上ですけれども、具体的に見ていきますと4ページの「小児がん拠点病院の役割」で「小児がん連携病院の指定について」というところで、見直し案の中に「マル2専門性の高いがん腫等についての連携・情報集約」です。この専門性の高いというのは、私は小児がんは専門性が高いんじゃないかと思っているんですけれども、さらにその中で専門性が高いというのは何を指しているのか、ちょっと私もわからなかった。
恐らく言いたいことは、特定のがん腫を専門とする病院、あるいは特定のがん腫を専門とする施設、そういうことを想定しているのではないか。特定のがん腫ということを想定しているのではないかと思います。
それで、次の6ページです。私が気がついたのは「臨床研究」という項目が上から2つ目にありますけれども、7ページにも実は「臨床研究」というのがあるんですね。それで、6ページ目の「臨床研究」は「地域の医療機関と連携し、地域の臨床研究を推進」というのを変えて、「地域の臨床研究に限定せず、臨床研究を推進」する。
現行の臨床研究は、もうオールジャパンでやるような体制でないとやはり十分なアウトカムは出せないということはある程度わかっていますので、その施設だけで臨床研究をやるということよりは、やはり全国的な臨床研究に積極的に参加する、あるいは積極的にそのリーダーとなれるような要件が私は必要ではないかと思っていますので、このところはむしろ全国的な臨床研究を積極的に推進、あるいは積極的にリーダーとなるというような項目のほうが望ましいのではないかと思います。
それで、7ページ目です。「診療提供体制」が一番上にありますけれども、そこの中に見直し案の3番目、「保険適応外あるいは一般的ではない医療行為を行う際の事前審査・事後評価と適切なインフォームド・コンセントの取得」とありますけれども、これはまさに特定臨床研究に該当するのではないかと思うので、これは特定臨床研究の規定で制約されてしまうので、ここであえて診療提供体制に入れる必要はないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
というのは、臨床研究のところにも臨床研究法に沿った実施体制というのは明記されていますので、ここら辺の意味がちょっとわからなかったのですけれども、「臨床研究法に沿った実施体制」というのは具体的に何を指すのかというのもやはりちょっと曖昧な点があるかなと思います。
それから、「臨床研究」の見直し案の2つ目のところですけれども、「臨床研究等についての説明と、必要に応じて専門的な施設への紹介」です。この「専門的な施設」というのがよくわからなかったんですけれども、連携施設のことを指しているのか、これは拠点病院からどこかに送るという意味合いなのかと思いますけれども、それはまさに連携施設の役割がここに出ているんだなと思います。
それから、同じ7ページのコメディカルスタッフですが、コメディカルというのはまだ一般的に使われている用語ではありますけれども、日本がん治療学会ではコメディカルとかという用語の使い方を廃止して、メディカルスタッフとか、そういう呼び名で呼んでいます。パラメディカルとか、コメディカルという言葉はやはりよろしくないということで、メディカルスタッフという言葉に変えているのががん治療学会ですので、そこら辺も考慮されるといいかなというふうに思っております。以上です。
○堀部座長 ありがとうございました。
西川構成員、お願いします。
○西川構成員 最後ですので、お話が大分重複することをお許しいただきたいと思うんですけれども、今回、AYA世代の対応を大きく取り扱っていただき、それから「AYA世代への対応」を3つに分類したというのも非常にわかりやすくて大変すばらしいと思いました。
ただ、想像力で実際どうなるかと考えてみますと、これも先ほどお話がありましたが、小児病院では子供が15歳を過ぎたら、うちで診ませんよと言って大人の病院に行くようにという指示があるでしょうし、AYA世代発症のがんは初めから先ほど道永先生がおっしゃいましたけれども、小児病院には行かないだろうと思います。
それで、AYA世代が難民になるのを防ぐために連携病院を考えようという発想が、先ほど越永先生がおっしゃったこともあるかと思うんですけれども、そうするとそのネットワークとしてといいますか、チームとして診よう。それも、そういう目でいろいろ見ていただければ、大変うまく機能すればいいことなんじゃないかと思います。
具体的に例えば考えると、この制度が連携病院ができたときにうまくいったかどうかを1年後、2年後に評価するときは、がん拠点病院単独の実質的な評価ではなくて、そのネットワークといいますか、連携病院を含めたチームとして脳腫瘍が何例とか、骨の腫瘍は何例とか、そういう評価の仕方になるべきだろうと思います。
そういう目でこれを見ますと、資料3の5枚目のスライドの「診療機能」のところに、これは小児がん拠点病院の指定要件なのだろうと思いますけれども、「小児がんからの移行期医療の」云々とか、「AYA世代発祥のがん」云々とかございますが、小児がん拠点病院の半数は小児病院ですので、小児病院にこれを求めることはできないのではないか。
要するに、チームとしてこういうことに対応すべきというふうな文言といいますか、組み方といいますか、そのほうがわかりやすいのではないかと思いました。以上でございます。
○堀部座長 ありがとうございました。
多くの意見を出していただきましたので、順番に整理しながら進めたいと思います。
まず、定義についていろいろな御意見がありましたので、これについて事務局からお願いします。
○がん・疾病対策課長 御指摘ありがとうございます。
まず小児とAYAの定義ですけれども、御案内のとおりAYAそのものが今、必ずしも定義をされているものではございません。ですから、お手元の資料で先ほど栗本からも申し上げましたけれども、資料3のスライド2にありますとおり、この報告書では16歳と39歳をまずは想定する。
これは前のほうというよりは、後ろのほうがなぜ39歳かというと、さまざまな社会的支援を考えたときに、我が国の場合は40歳になると介護保険制度がある。その中の特定疾病の中に末期がんもあるということもありまして、39歳としたわけです。
ただし、その後ろがポイントです。機械的に年齢で区分されるべきものではなく、この場合は恐らく先ほどもありましたけれども、16歳、17歳は確かに普通の小児科ではなく大人の診療科に行くかもしれませんが、だからと言って、では例えばある病院に行きました。そのときに、より疑われる病気の治療がそこの診療科よりは小児科の誰々先生というのが得意という場合もあり得ますので、それも想定して、あえてここでは何歳だからという厳密な切り方というよりは、それぞれの状況に応じて、これは「患者のニーズを踏まえて」とありますけれども、恐らくそれぞれの状況、それぞれの診療現場の状況も踏まえてということも含めての「患者のニーズを踏まえて」と読んでいただければと思います。
その上で、「必要な医療・支援が適切に提供されるべき」と、これもその後の治療の過程において、それぞれの住んでいる地域、それぞれの通院できる、入院できる医療機関の状況に応じて、何歳だからこれは小児科領域、小児病院ではだめですというところまではしませんという趣旨のことを書いたものです。
もう一つですけれども、先ほど例えば介護の支援の話をいたしましたが、恐らくさまざまな相談支援が必要になります。先ほども小俣構成員から御指摘がありましたし、また、前々回でしたか、堀部座長が研究なさったさまざまな、まずどういうものに困っているのかというのと、実際それをどれぐらい満たせているかという資料もございました。
例えば、それをもう少し深掘りしていくと道筋もありますし、調査資料をもとにして今後それぞれの病院で、ここで言う病院というのはもちろん小児拠点病院のみならず連携病院、さらには大人の診療領域での拠点病院になっているところも含めてですけれども、それを共有することによって、大事なのはより身近なところでカバーできる場合はそこで診てもらおう。わざわざ遠くまで行かないで済むようにしよう。だから、AYA世代の必要なニーズ、AYA世代の必要な支援というものを共有するようにしようという趣旨で書いたものでございます。
いずれにせよ、そのつもりで書いたものがまだわかりにくいという御指摘でしたので、わかりやすい工夫というものは今、申し上げた趣旨でさらに工夫したいと思います。
○堀部座長 この定義について、檜山構成員からこれでわかりにくいという意見が最初にあったかと思いますが、今の御説明でよろしいでしょうか。
○檜山構成員 文言を整理していただいたほうが、読んでいると「AYA世代の」とか、「AYA世代発症の」とか、そういう形になってきているので、少しそのあたりをきちんと整理して書き込んでいただくのがわかりがいいのかなと思っております。
○堀部座長 定義については、よろしいでしょうか。そういう形で、事務局で整理をいただくということです。
それでは、次ですが、比較的解決しやすいところから順番にいきたいと思います。質問で、教育機関について少し記載が不十分、それから連携とは何かという指摘がありましたので、これについてお願いします。
○がん・疾病対策課長 確かに多少、粗っぽいと言えば粗っぽい教育機関という書き方をしたわけですけれども、その心は何かというと、この小児がん拠点の要件の中に明確に位置づける、また記載することによって、言い方はあれですが、例えばそれぞれの地域、ここで言う地域というのは小児がん拠点の病院があるところもあるでしょうし、退院後を見据えた場合の地元の教育機関と小児がん拠点病院が、連絡がとれる。この2つの意味を兼ねているところでございます。
何が言いたいかというと、こういうことを求められているのでということを先方に、例えば教育委員会だったり、学校だったりすることもあるかと思いますけれども、我々でいうとカウンターパートは文部科学省ということになると思いますが、それを明記することによって、よりお子さんが病気中の教育のサポートのみならず、退院後も安心して受けられるように、これからは教育機関ということをより明確にしていくという趣旨で書きました。そのためにかなり乱暴な表記になりましたが、教育機関、または教育機関との連携というような表記にしたところでございます。
○堀部座長 これに関連して、何か教育問題についてございますか。
山下構成員。
○山下構成員 御趣旨はわかったのですが、現実問題として教育機関、個々の教育機関、教育委員会も含められると思いますし、各市町村とか、いろいろあるわけです。拠点病院がそれら全てに対してというわけにはとてもいきません。
そういう意味では各自治体の参加といいますか、そういうところを通じてやっていくという形がないと、教育だけでなくて、就労などもそうですけれども、実効はむずかしいと思います。
○がん・疾病対策課長 先ほど山下構成員からは今の内容、さらには具体的にどういう支援ということもありましたので、そこはもう少し掘り下げた上で、実際これを平成31年度以降の新しい指定を受けて動く際に、それぞれのがん拠点病院に任せっ放しということではなくて、例えば先ほど使われた表現で言うと、では全部の退院先の病院の教育委員会が学校に連絡をとるのかという話がありましたので、もっと基本的には広く行き渡るというか、行き渡るというのは具体的にいうと例えば私どもと文部科学省との関係、文部科学省と各教育委員会との関係を通じることによって、何を求めているのか、どういう配慮をしてほしいのかということを事前にというか、個々の症例の前にそれが行き渡っているような仕掛けを考えた上で、この教育機関との連携という要件を入れさせていただいた上で運用していきたいと思います。
○堀部座長 小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 学校教育については、理解いたしました。
これを取り上げた趣旨として、成長発達などの相談にもかかわるかもしれませんが、小児がん患者への病気に関する教育、健康教育ですね。そういったことも教育の一つではないかなというのが1点です。それは本当に必要で、その後、自分が自分自身の病気として関わっていくために必要なため、検討していただきたいという思いがあります。
あとは、先ほどの支援ということではなくて、学校の教育そのものということで高等教育のことを検討していただきたいなというふうに思います。繰り返しになって済みません。
○堀部座長 佐々木課長、お願いします。
○がん・疾病対策課長 確かに、小児がんをどのようにというのは難しいとは思うんですけれども、今、御案内のとおり、がん教育、学習指導要領が変わりまして、昨年の段階で中学校、そしてことしは高等学校も学習指導要領の中でがんについて教えるというのがありました。
その中で、小児がんをどういう内容を入れて、例えば同級生、または転校してきた子に対応できるか。これはちょっと研究というか、今、文科省がどこまで考えているのかというのを聞いた上でと思っています。
あとは、高校の点につきましては、基本系は恐らく同じだと思うんです。恐らく、高校の場合は市町村教委よりは都道府県教委がまず教育委員会の場合になると思うんですけれども、高校の場合が義務教育の場合とどう違うのかというのも、もう少し調べた上で、各拠点病院に求めるというよりは、もう少し我々のレベルで対応できることは対応していきたいと思います。
○堀部座長 小俣構成員、どうぞ。
○小俣構成員 ぜひよろしくお願いいたします。私の説明が足りなかったのですが、学校教育と健康教育といったときの健康教育の対象は当然、今、課長がおっしゃってくださったような同級生とか、学校の人たちにというのもあるのですが、そうではなく本人の教育ということですね。小児がん患者本人
に対する健康や病気に関する教育ということがここに入るのか。整備指針でまた検討するときに、そこも忘れずに考えていただきたいと思っております。
○堀部座長 よろしいですか。
本人に対する健康教育は、本人へのさまざまな支援の一環の一つではありますが、学習支援としての教育の機会とは分けた方がよいかもしれません。
それから、小児がん拠点病院の今回見直しはAYA世代への対応までを意識して行っているので、その意味で高等教育についても意識していただくためにきちんとこの拠点の要件に文言としてある方がよいと私も思います。
そのほか、教育に関してはよろしいでしょうか。
では、山下構成員どうぞ。
○山下構成員 今の本人にというお話で思ったのですが、基本的にむしろそれは長期フォローアップにつながっていく話で、退院していく患者に対して先生方が中心に、実際にいろいろな病院でいろいろな対応をされていると思います。それと小さい子であれば、やはり親です。親がいかにきちんとやっていくかということが大切と思うので、少し切り口が違うかと思います。長期フォローアップをきちんとやっていくところの一つとしての要素があるかというように思いました。
○堀部座長 これに関してよろしいですか。 では、上別府構成員お願いします。
○上別府構成員 御存じだと思います。けれども、たしか今年から小児がんについて道徳の教科書に取り上げられているということがあって、現場の先生方もどういうふうに取り扱おうか、困っていらっしゃるということがあるので、ちょっと情報提供だけなんですけれども。
○堀部座長 では、小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 何度も済みません。長期フォローアップ後にも、長期フォローアップの中での患者への教育というのは大事なんですけれども、実はそれではもう遅くて、先ほど山下構成員がおっしゃったように親御さんへの教育というのも実は必要なのかもしれないですし、治療中からの小児がん患者に対する健康教育というのを視野に入れていただきたいと考えます。
○堀部座長 ありがとうございました。教育について、ちょっとフォーカスが患者さんの成長の意味での高等教育ということと、がん教育も含めた、それからあとは支援の中での教育ということと、さまざまな意味があるかと思いますので、そこはいろいろな場面で使い分けて書き込んでいただきたいと思います。
それでは、次の話題にいきます。先に、相談支援センターについては家族をということで、これはごもっともかと思いますが、それに関して補足はよろしいですか。
○がん・疾病対策課長 御指摘どおりでございます。
○堀部座長 次に、臨床研究について幾つかご意見がありましたが、それについて事務局からいかがですか。
○がん・疾病対策課長 臨床研究のところですが、基本的には先ほど特に越永構成員、西川構成員からも御指摘いただいたんですけれども、ある意味でもう今、当たり前になっているものを明記している。しかも、先ほど指摘いただいた資料3のスライド7でいうと、わざわざ分けて念入りに書いているというのは御指摘どおりでございます。
ただ、裏返せば、それだけ今の時代、特にことしの4月からは臨床研究法が施行になったので、特定臨床研究は臨床研究法に基づかないといけないし、特定臨床研究でない場合でも当然ながらインフォームド・コンセントをとるし、またそれに対しての院内の審査機関、それは薬事審査会とか、倫理委員会とか、病院によって違うのでしょうけれども、いずれその院内のしかるべき手続をとるという、ある意味で当たり前のことなのですが、今回あえてそれはやはり社会から今、求められているのが、特に保険外診療の場合がそうですけれども、それを明確にすることによってクオリティーが高いということを証明したいということが1点です。
あとは、先ほどスライド7の中で「専門的な施設への紹介」というのはどこかというのがありました。これにつきましては、先ほど全国的な治験とか、臨床研究もあるじゃないかと、まさにそれに対応するんですけれども、ここで言う「専門的な施設への紹介」というのは当然、拠点病院から拠点病院に行く場合も含めて、つまりある臨床研究なり治験があるというときに、自施設では必ずしも対応していないんだけれども、そういうことをやっているところがあれば、中核拠点であれ、連携病院であれ、大人のほうの拠点病院であれ、どこでも必要に応じてそれに対応している施設、これを専門的な施設という表現をして記載したところです。
もちろん、最終的には紹介ですので、その治験の枠組み等に乗るかどうかというのは御家族、御本人の判断ではありますが、いずれそういう情報があればちゃんと本人、御家族に伝わるんだ。新しい薬の治験とかがあって、もし希望する場合はどうぞということを言えるようにしたい。そのために、これを明記したというところでございます。
○堀部座長 臨床研究について、ほかに御意見はよろしいでしょうか。
檜山構成員、お願いします。
○檜山構成員 ありがとうございます。今、御説明いたただいたとおりだと思うので、最初の越永構成員が御指摘のところは、恐らく小児に関しては非常にレアな疾患があって、それに対して治療主体で保険適応外のお薬を使ったり、いろんな治療を施すときには、きちんとこういう体制をとってくださいとわざわざ書き込んでいただいたというふうに理解したいと私は思っているので、臨床研究法の中でどういうふうに考えるかという問題はあるのですが、わざわざ書き込んでいただいたのは、私はそのほうがいいのかなと思っています。
○堀部座長 松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 「専門的な施設への紹介」というところは、文言を少し考えていただく必要があるかと思います。
拠点病院から拠点病院への紹介というのも実際に行われています。現状としてこれができていないから書かれたという意味ではなくて、現状やっていることを改めて書いたという理解でよろしいですね。
○がん・疾病対策課長 そうです。そのとおりです。
○松本構成員 ありがとうございます。
○堀部座長 そのほかよろしいでしょうか。
それでは、一番の本題に移る前に、用語について2点確認をお願いします。
キャンサーボードとコメディカルスタッフの用語について、事務局からお願いします。
○がん・疾病対策課長 コメディカルのところは、見落としでした。これは、メディカルスタッフにいたします。
キャンサーボードですけれども、これは確かに御指摘のとおり、恐らく医療現場で長年使っていたものでいうとケースカンファレンスとか、症例検討会に近いかと思います。
ただ、今の時代、特にがん領域ではキャンサーボードという言い方をして、個々の症例だったり、場合によってはある程度複数の症例を、同じような症例だったらやるという、ある意味でこれは現状追認的なところなんですけれども、ただ、1つ今回、意図的に記載したかったのが、資料3のスライド7にありますとおり、キャンサーボード、昔ながらの言い方でいうとカンファランスだったり、症例検討会の際に、必要に応じてほかの職種の方についても入っていただきたい。
例えば、これは場所によっては栄養、ニュートリションサポートチームの方だったりもするでしょうし、または症例によってはかなり精神的なダメージを受けるという場合もあるでしょうし、いずれにせよ、ややもすれば何科と何科のドクターは集まってくれという場合はあるけれども、余りほかの職種、メディカルスタッフに声をかけていないということもあるかもしれないので、これまた念入りに記載をしたというところがあります。
それで、参考までにですけれども、このケアサポートへの多職種の参加をがん拠点病院のほうで議論したときに、結構これは会議時間設定が時間外だったりすると集まりにくいので、そこの工夫は必要だという議論があったことは参考までに紹介したいと思います。キャンサーボードという言葉、そして多職種の参加ということの趣旨は以上でございます。
あとは、検討内容の記録は今の時代、当然されているとは思うのですけれども、これまた念入りに書いたというところでございます。
○堀部座長 ありがとうございました。
松本構成員どうぞ。
○松本構成員 ということは、キャンサーボードというのは医療面だけのものではなくて支援に関するカンファレンスも含むという概念であるということですね。それがきちんとわかるようになっていれば、それでいいかと思います。ありがとうございます。
○堀部座長 ありがとうございました。
それでは、一番の本題である連携病院の指定及び小児がん拠点病院の指定の話題に移ります最初に連携病院の指定の意義を明確にしてほしいというご意見、加えて、拠点病院の関係性、グループ化、ネットワーク化との話もありましたので、まずそこから事務局に御説明をお願いします。
○がん・疾病対策課長 ありがとうございます。先ほど栗本が資料3のスライド2で今、堀部座長からも御紹介いただいたネットワーク化というのがキーワードになります。
それで、ネットワーク化というのはどういう意味かというと、逆に言えばつなぐべきところにつなぐということになるわけです。つまり、松本構成員が御指摘の症例がさらに散逸するのではないかというと、それはそうではございませんで、やはり集まるべきところに集まっていく。そのためには、ちゃんとつながっていないと紹介もしようがない。
一方で、一定の治療が終わったら今の時代、やはりより身近な、住んでいるところに近いところでの療養が必要だと思うので、言葉でいうと逆紹介ですね。その逆紹介が適切に行われるためには、やはりつながっていることが必要である。そのつながっているということをより見える形にするためには連携病院という形で、今でいうと15病院ある小児がん拠点病院という点が線でつながっている形が、連携病院とつながることによって見えてくる。
それに対してさらに言うと、点と線だけではやはり不十分で、もう少し広い意味でのサポートが、もしくはカバーが必要だろうということで、資料3のスライド4の「※」印の2つ目にあるとおり、それを面でのカバーにするためには、前回の御指摘もあったところですけれども、俗称ですが、地域ブロック協議会が都道府県庁ですとか、また今、医療政策には割に医療審議会でも地域医療構想調整会議でも大体例えば医師会が入っていたりするので、行政マンだけではなくて臨床現場のより近いところの取りまとめ的なところも入っていただくことによって、線でつないだところがさらに面で見たときにカバーされていない地域はないか、カバーされていない領域はないかということをチェックするような仕組みを設けたい。これが、もともと連携病院の提案の趣旨だったわけでございます。
それで、前回ここで、では連携病院はどこでもいいということではないだろうという御指摘をいただきました。それにつきましては、先ほど来、例えば連携病院と拠点病院によるグループ化という表現を越永構成員が使われました。そのグループ化ということを、基本的には念頭に置いているわけです。それは今、厚生労働省のみならず政府全体が病院完結型医療から地域完結循環型医療を目指すというときに、これは当然ながら複数の医療機関が一緒になって診るということを前提とする政策、また先生方へのお願いをするというのが基本になると思います。
では、それを何で担保するかというと、参考資料2をごらんください。参考資料2が、現在の整備指針になっております。
まず、参考資料2で4ページの「マル4病病連携・病診連携の協力体制」、概念的なことで申し上げますとここになります。これは、つまり先ほど申し上げました、今で言うと15の病院が点だけではなく地域とつながるということで6年前から規定されているものでございますけれども、これのカウンターパートたる連携病院にも同じような協力体制になっていることを求めようというものでございます。
それに対して、具体的にどんな義務的なものを課すかというと、9ページをごらんください。9ページで「Ⅳ 指定・指定の更新の申請手続き等、指針の見直し及び施行期日について」ということをずらずらと書いているんですけれども、真ん中あたり、2の「(2)拠点病院は、平成25年度以降、毎年10月末までに、別途定める「現況報告書」を厚生労働大臣に提出すること。」と書いております。この現況報告は、求めたいと思っております。
つまり、それは何かというと、これも先ほどの議論にありましたように、グループ化をしているときにそのグループ全体でどのような診療状況かをカバーするためには現況報告を求めること、これは不可欠になるからでございます。
一方で、それ以上の義務的なものを課すということは、少なくとも国の段階で求めるということは想定しなくてよいかと思います。なぜならば、これも先ほどの議論にありましたとおり、地域のそれぞれの状況に応じて求める内容というのはおのずと変わってくるからです。
ですから、それを余りずるずるにならないようにということでまた戻ることになりますけれども、先ほどの都道府県ですとか、また例えば医師会ですとか、その現場を知っている人が確認をすることによって、病院と病院で話がつけばそれでオーケーということにはならない。
さらにいうと、この現況報告、これはこれで結構大変な作業なんです。ですから、ほいほいと手を挙げようということにもならないだろうということで、義務的なものを求める場合については概念的には参考資料2の4ページ、具体的な事務としては参考資料2の9ページの内容を求めたいと考えております。
その上で、先ほど越永構成員が御指摘のグループとしての指定をするかという点につきましては、これは先例で申し上げますと、ことしの2月にがんゲノム中核拠点病院の指定の際に、がんゲノム中核拠点病院になろうとするところはどういう病院と連携を組もうとしているのか、そのリストを出していただいたところです。
ただ、結果的には出してはいただきましたけれども、それを直接の審査対象にはしなかったというのが前例としてはございます。ですので、今回も導入最初の第1回の指定については、例えばリストは出してもらいつつ、診療実績については拠点病院になろうとしているところだけで運用してはどうかと考えております。
ちょっと横にそれて恐縮なのですけれども、先ほど松本構成員から、ではその診療実績は今のままでよいのか。そういう連携を、もしくはそのグループ化を前提としているときに、今のままでよいのかというのがありました。
同じ参考資料の2なんですけれども、6ページの(4)、これは実は複雑な議論ではないんです。参考資料2の6ページの(4)を別々に求めるのがよいのかどうかということになるわけですけれども、事務局提案としては今回も参考資料2の6ページの(4)のままでよいかと思いますが、もし今の議論の関係で、例えばこれを先ほど御提案のように、がん種を問わず30例でよいのではないかということを御議論いただいてそのほうがよいというのであれば、それを変えること自体は事務局としてはやぶさかではないといったところでございます。
3つの話題をまとめて説明してしまいましたけれども、連携病院とは何か、それに附帯する要件の説明、2点目は連携病院を含めた選定条件とプロセスとしてはどうかということに対しての見解、また3つ目は診療実績を見直すべきではないかということに対する事務局の考えを3つ説明したところでございます。以上です。
○堀部座長 ありがとうございました。
ただいまの回答について、ご意見はございませんか。
松本構成員、お願いします。
○松本構成員 ありがとうございました。連携病院のあり方については、非常によくわかりました。
ただ、グループ化ということに関して、それを推し進めるべきかということに関しては、少し慎重である必要があると思っています。成人の場合ですと、がん患者さんが非常に多いので、一つの病院で診療を完結できません。そのため、周りの病院と連携していくのがいいだろうとなるのですが、小児がんの場合、もしグループ化をどんどん推進してしまうと、患者の取り合いになるのではないかと危惧します。
例えば、東京都内ですと大学病院が多いです。そうすると、ある大学病院が自分の関連病院に囲い込みを起こしかねないのではないかという問題が存在するのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
○がん・疾病対策課長 ここは、むしろ先生方で御議論いただいたほうがいいと思うんですけれども、事務局的には先ほど申し上げたとおり、拠点病院には一義的には集約すべきで、その上で例えば退院後のフォローもあるでしょうし、言い方ですけれども、今、松本構成員が御指摘いただいたように、取り合いにならないために逆にちゃんとそれぞれのすみ分けがわかるような形での連携病院のあり方ということで提案したところです。
○堀部座長 越永構成員、どうぞ。
○越永構成員 ありがとうございます。松本構成員のお考えとは私はちょっと違うかなと思うんですけれども、グループ化することによって逆に一つの施設に集中するのを防いでいるんじゃないかと思うんです。
例えば、小児は固形もあるし、血液もあるし、脳腫瘍もあるし、いろいろな腫瘍がある。それを全部満たす条件を要件として挙げると、やはりどうしても取り合いになるんじゃないか。そこは、私もそう思うんです。だから、それを抑制というか、予防するために、例えばこの施設は固形が得意ですよ、あるいはこの施設は整形、この施設は脳腫瘍というふうに、いろいろなところをあわせることによって、むしろその施設の得意な分野をどんどん伸ばして、さらにアウトカムがよくなるんじゃないかと私は思っているんです。
だから、そういう意味では、グループ化は連携をするということではやはり必須のシステムではないかと思っているんです。
○堀部座長 松本構成員、お願いします。
○松本構成員 越永先生のお話はよく理解できるのですが、ただ、そういうグループを組んだときに、グループから外に紹介することがもうなくなってしまわないかしらという危惧があります。
現状では、例えば私たち成育医療研究センターはかなり患者さんは多いのですが、やはり自分たちが不得意だと思ったら必ず他の病院に紹介しているんですね。疾患によって、例えば骨軟部腫瘍であればここに送ろうとか、そういう意味での連携はしています。もちろん白血病に関しても、患者さんの利便性を考えて他の病院を紹介することはあります。
しかしながら、グループでの診療となると、どうしてもグループの中で見ようという考えになってしまわないかしらということを危惧いたします。
○堀部座長 越永構成員、どうぞ。
○越永構成員 そもそも連携を組むのは、要するに双方的にお互い補助し合うということであって、お互い得意なところ同士が連携するということではないわけなので、そういうことはないと思うんです。
例えば、西川先生のところと私どもが組めば、それは脳腫瘍だとすれば、ここはちょっとうちではだめだなと思えば西川先生のところに送るし、あるいは固形腫瘍で無理に西川先生のところに送ることはないと思います。
○堀部座長 確認ですが、今の議論はグループを組んで何かするようなイメージですが、基本的に小児がん拠点病院が連携病院を指定する際は、ここに書かれているように、地域ブロックごとに設置された協議会の意見を聞いて決めることになります。まずは、地域ブロックの中ですべての小児がんについて医療の提供体制をどのように構築するかについてきちんと協議会で検討した上で、小児がん拠点病院が地域性を考慮して3つの専門性の柱に当たる連携病院を指定します。
地域によっては、専門性の柱を確保するためにブロックを超える必要がある場合もありますが、それについても地域連携協議会で検討した上で小児がん拠点病院が連携病院を指定することになるので、大学が関連病院を中心に組んだり、グループ内に閉じた連携を組むことは想定していません。
○松本構成員 そうでなければいいかなと思っています。だから、難しいですけれども。
○堀部座長 基本的に小児がん拠点病院の指定要件において診療実績が問われますので、15の拠点病院以外からも手が挙がるかもしれませんが、いずれにしろ、小児がん拠点病院としての診療実績及びほかのすべての要件を満たしたところが手挙げをし、その際に連携施設候補を挙げて申請することになるだろうと思います。
しかし、先ほどの課長のお話では小児がん拠点病院になろうとする病院の実績をもとに指定するのであって、指定した後に、地域の中で拠点病院を中心にどこの病院と連携を組んだらすべてのがん腫、長期フォロー、そして、地域内のあまねく居住地をカバーする形で小児がん医療を提供できるかを考えていただいた上で連携病院を指定するという流れですので、私自身はそれ程心配していません。
松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 ということは、まず拠点病院が決まって、拠点病院が連携病院を指定する。順番としては、そういう形になるということですね。
○堀部座長 そうですね。先ほど事務局から説明があったように、候補として考えている連携病院リストの提出が求められるかもしれませんけれども、指定の順序は松本構成員が言われたとおりと思います。
小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 先ほど堀部座長がおっしゃったように、ブロックで考えてここにしましょうというふうに決めるのであれば、それ自体を情報公開していただいて、とにかく患者の命がかかっておりますので、取り合いになってしまっては大変なことになりますし、逆に患者家族が選べるようにしていただきたいです。患者家族もチェックをするという意味でも情報公開をしっかりしていただきたいと思います。協議会でどのように決まったのかということも含めてですね。
○堀部座長 檜山構成員、お願いします。
○檜山構成員 ありがとうございます。1つは、グループというのは余りいい言葉じゃないような気がします。やはり地域のネットワークとか、そういう形にしていただいたほうがわかりがよくて、今、座長も言われたような形で考えられると思います。
それで、今、課長が言われたように最初はやはりリストとして挙げていただいて、何年か後にはちゃんと成果をPDCAサイクルじゃないけれども、連携病院のほうではどれぐらい診療されていて、そこの地域がどういう形で小児がんの質の高い診療を提供できているかということが評価できるようなシステムを考えつつ、さっき言われたように患者さんや家族の方に情報がきちんと伝わるシステムを考えていただくのは恐らく中央機関の義務かなと思うのですが、そのあたりはやはり中央機関があるので、そこら辺もくくっていただくような形で、ぜひ松本先生のところでも考えていただくというのが一番いい形かなと思っています。
○堀部座長 越永構成員、お願いします。
○越永構成員 私も、そう思います。患者さんのためにある程度は、例えばここの病院に行ったらどこと、グループと言っちゃいけないので、ネットワークをしているのかということはむしろ最初からオープンにすべきだろう。先ほどゲノムのお話がありましたけれども、いい先例かなと思っております。
○堀部座長 西川構成員、お願いします。
○西川構成員 先ほど言えなかったんですけれども、もう一つは連携病院を決めるときに、その連携病院がどういう基準で、3つのうちのどの要件で決まったかというのを明らかにして公開していただく必要はあるだろうと思います。
なぜあの病院が入っているのかということを言われるのは、非常にまずいのではないかと思います。
○堀部座長 佐々木課長、お願いします。
○がん・疾病対策課長 私もそう思っていて、やはりマル1としてこういう病院です。マル2はこうです。これは必要だと思いますし、当然1つの病院が3つのうちの複数を兼ねることもあると思いますが、何のために見える化をするかというのはまさにここの役割として一緒にネットを組むんだということですので、それは御指摘のとおり求めたいと思っています。
○堀部座長 越永構成員、お願いします。
○越永構成員 そこで、資料3の3ページです。この「※」印の中のマル2、「専門性の高い」というのにちょっとひっかかってしまうんです。だから、特定のがん腫とかという名前はだめなのでしょうか。
小児がん自体は多分、専門性は高いと皆さん思っていると思うので、ちょっと御検討いただければありがたいと思います。
○堀部座長 佐々木課長、お願いします。
○がん・疾病対策課長 「専門性が高い」には全く大意はございませんので、先ほど来御指摘のとおり、よりわかりやすい言葉でと思います。
先ほど栗本が申したように、例えば西川先生の領域のことを例に出したとおりなので、特定のがん腫等とか、そういう表現のほうがわかりやすいのであればそうしたいと思います。
○堀部座長 山下構成員、お願いします。
○山下構成員 今のもう一つ前の特定の話はいいとして、ブロックで拠点病院が連携協議会を作って、そのもとで診療連携病院が集まってくる。そうすると、一定の要件があって診療病院が選ばれてやってきて、当然そのブロック単位でのいろいろな情報が吸い上げられて公開される。
それで、これは具体的には私は前も申し上げましたが、関東の協議会にはオブザーバーで参加させていただいていますが、関東の場合は松本先生がおられる。つまり、中央機関が関東に入っているということです。
そうすると、他のところというのはその役割をどこがやることになるのですか。例えば関西などは4つぐらいあります。そのときに誰が全体を責任持ってやるのかというのが見えてこない。関東の場合は、ちょうどよくできているという感じはします。
○堀部座長 松本構成員、お願いします。
○松本構成員 現在、例えば近畿ブロックですと5つの拠点病院があります。それで、5つの拠点病院が毎年の当番を決めています。もし、例えば今5つあるところのそれぞれが自分たちの連携病院を指定していくということになると大学の関連病院だけになってしまったり、ちょっと誤った形になるのを危惧します。そうじゃなくてやはり連携病院というのはブロックで拠点病院が話し合って決めるべきなのだろうと思っています。関東甲信越では4つの拠点病院が毎月テレビ会議を行なっていますので、最終的には協議会での決定ですが、十分な話し合いができています。近畿地区も同様とお聞きしています。中部の状況は、私はしっかり把握しておりません。
○堀部座長 山下構成員、お願いします。
○山下構成員 余り松本先生の仕事を増やしては具合が悪いのですが、そのときに中央機関の役割というのはやはりあるのではないかと思います。各ブロックについて、中央機関がそこに何らかの格好で関与しながら全体のレベルをきちんと把握したり、あるいはその情報の集め方についても統一したものにする必要があるのではないかと思います。
○堀部座長 松本構成員、お願いします。
○松本構成員 中央機関としての立場でお話をさせていただきますが、現在、診療情報を150近くの病院から集めています。中央機関から各ブロックの当番拠点病院にお願いをして全ての診療病院から集めてもらうようにしていますし、中央機関が、関東甲信越や東京都など、主要なところと相談して決めたフォーマットで収集していますので、そういう意味では中央機関としてある程度のリーダーシップを持ってやっているとは自負しておりますが。
○堀部座長 これに関して、ほかによろしいですか。
○山下構成員 多分、実質ということで、それでよろしいのかなという気はしますけれども、これだけいろいろな病院が絡んできて全国的にやるということになると、中央機関のファンクションとしてきちんとそういうことが規定されていたほうがやりやすいかなという気もします。
○堀部座長 西川構成員、お願いします。
○西川構成員 ちょっとそれるというか、事務局あるいは課長さんに前から聞きたかったんですけれども、イメージとして連携病院というのは、例えば一つのがん拠点病院に対して10、20というレベルを想定されていらっしゃるのか、50、100というレベルを想定しているのか。それを教えていただけると少し想像が湧くんですけれども、いかがでしょうか。
○がん・疾病対策課長 提案差し上げた時点では、先ほどの話にもありましたけれども、実はこれは実態後追いに本当は近いんですよね。ですから、先ほど来、話が出た100プラスアルファだろうというイメージでもともとは提案したところです。
ただ、それは実態後追い的に考えると、ということですので、必ずしも今申し上げた数字を厳密に考えていただく必要はないと考えています。
○堀部座長 事務局に確認ですが、小児がん拠点病院が指定する連携病院は、指定する拠点病院との連携ということなのか、地域の中での連携という視点で拠点病院が指定するということなのかどちらでしょうか。
拠点病院との連携だけに限定する必要はないと思います。一番懸念されるのは、現在5つの拠点病院がある近畿です。それぞれが指定する際に連携病院の重複があってよいと思いますが、地域としての連携のあり方を先に考えることが大切であり、それが協議会の役割だと思います。そのような考え方でよろしいでしょうか。
○がん・疾病対策課長 私も、同じ考え方でございます。やはり先ほど申したとおり、点から線、線から面へという意味では、一つのブロックに複数病院があるときに、あっちとは組むけれどもこっちとは組まないということはあり得ないでしょうし、またある意味でそうやって他との対応ができるところというのは先ほど小俣構成員から御指摘があった転校、引っ越しの場合でも、比較的ほかのブロックの中核拠点からの場合でも、先ほど山下構成員から御指摘いただいた、さらにそれに輪をかけて中央機関が全体をマネジメントすることによって、ブロックを超えての対応も可能という2つの意味で、今、堀部座長が御指摘のイメージで考えております。
○堀部座長 協議会はこのように重要なファンクションを持つと思いますので、協議会の構成メンバーに関して一定の要件、例えば患者団体の代表を入れるとか、自治体の代表を入れるなどの記載が必要と思います。言い換えれば、各県レベルの代表やその地域の小児がん医療の担い手や関係団体代表などをメンバーに入れるなど、一定の要件を満たした協議会の設立を求めてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
檜山構成員、お願いします。
○檜山構成員 ありがとうございます。そのとおりだと思っています。先ほどの患者の取り合いというのは、恐らく人口の多い地域の御意見かなと思っているんですが、人口の余り多くない領域ではやはりそういう形で、ある意味で地域のいわゆる都道府県からの人たちはきちんと行政の方が来ていただくということと、医師会の人たちも来ていただいて、実際には協議会をやっている状況で地域の意見をくみ上げながら、どういう形の連携がいいのかということをきちんと提示しながら各都道府県、人口の少ないところにはどういう形で、人口が集中したところにはどういう形というのを堀部座長が言われるような形で協議していただいて、それを公開するという形が一番理想的かなと思っているので、近畿の話が出ましたが、やはり近畿は近畿として考えていただくのが良いと考えます。
拠点病院ありきではなくて、近畿としての地域ブロックを一応、そこら辺のいわゆる都道府県というか、府県になりますが、府県の人たちと考えていただきながらネットワークを、複数拠点があってもいいんじゃないかなと思っていますので、そういう形でつくっていただいてやってみるというのが一番いいのかなと思っています。
○堀部座長 そのとおりかと思いますが、何か佐々木課長からご意見はございますか。
○がん・疾病対策課長 ブロックごとの協議会をどういうたてつけにするかというのは、今、檜山構成員が御指摘いただいた内容も踏まえ、まずは今、既に動いているところがありますので、それぞれのブロックの状況と、あとはもう一つ、先ほども医療法のほかの例を列挙したところですけれども、その2つを見てある程度よいという意味でのモデルというか、ひな形的なという意味のものはある程度示せるようにして、その運用ができる、運営ができるということを拠点病院の要件として求めるという形で取り扱いたいと思います。
○堀部座長 そのほか、要件のについてはよろしいですか。
あとは、小児がん拠点病院の診療実績について、先ほど丸めでいいんじゃないかという意見がありました。これについても、この検討会として意見を集約したいと思います。現行は血液、固形、脳腫瘍のがん種ごとに10、10、2例となっていますが、まとめて30例がよいとの意見もございました。これについて、いかがでしょうか。
越永構成員、お願いします。
○越永構成員 松本先生が言われた丸めのほうが、むしろ細かくやるとそれがやはり必要じゃないかということで無用な競争といいますか、そういうことが起こり得る可能性があるし、やはりお互いみんな施設ごとに得意なところはあると思いますので、そういうことでいかがかなと、私はそれに賛成です。
○堀部座長 そのほかは、よろしいですか。これに関して課長、もしくは事務局から発言をお願いします。
○がん・疾病対策課長 もともと多くの構成員の先生方、皆さん御案内のとおり、例えばカバーできない領域があるかもしれないので固形と造血器を分けて書いたというのが前回の考え方でございます。
ただ、この5年間の実績がありますので、その状況からして今、両構成員から御指摘いただいたとおり、まず数としてのカバーができていれば、ある意味で確かにこれは越永構成員でしたか、過剰投資的になることにリスクもあるということを考えて、あわせてということでよいというのであれば、繰り返しになりますけれども、もともとなぜ分けたかということの説明と、事務局としてはもうあれから5年たっているので、より望ましい形であればどちらでもオーケーですということを申し上げたいと思います。
○堀部座長 小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 過剰にということがありますので、30というのはよろしいのかなと思うのですが、なぜ30なのか。少ないのか、多いのか、その辺がよくわかっていないので教えていただけますか。○堀部座長 松本構成員、お願いします。
○松本構成員 中央機関として、診療病院の診療実績を集めておりますので、それで見る限りにおいては30ぐらいが妥当なラインだろうと考えます。数字を決めることは、また少し細かい検討はあると思いますけれども、30にすると現状ある15の拠点病院は全て条件を満たすわけなんですね。例えば40以上としてもそれほど遜色はないのかもしれないです。
実際には、年間20件しか見ていない。20~30人ぐらい診ているという病院が全国に18施設から20施設ぐらいあります。それから、30件~40件ぐらい診ているという病院が7件ぐらいあります。それから、40件以上というところがおよそ18件ぐらいあるかと思います。全体のイメージとしては、それぐらいの構成なんですね。ですから、30件を要件としても大丈夫かなと思います。 ただ、一番危惧するのは、本当に脳腫瘍2件、あるいは固形腫瘍8件、10件とか決めてしまうと、10件を集めないとだめなんだと考えて、10件ぎりぎりでも集めちゃおうと考えることです。脳腫瘍2件が必要だとなれば、2件でも、とにかく集めちゃおうとなります。それは絶対患者さんのためにならないので、やはりそういう基準は、最初に拠点病院を決めたときは仕方ないにしても、今の段階ではやめたほうがいいのかなと考えています。
○堀部座長 小俣構成員、お願いします。
○小俣構成員 ありがとうございます。連携病院と同じように、患者家族はどこでどんな治療をしているのか。それが公開されていれば、根拠があれですけれども、それは30件でも40件でもいいのかなというふうには感じております。
○松本構成員 診療情報の公開は成育のホームページでしておりますので、ぜひごらんいただければと思います。
○堀部座長 西川構成員。
○西川構成員 小俣先生と同じ意見ですけれども、この連携病院も含めて、例えば私は脳腫瘍しかわかりませんが、脳腫瘍になった人がどこへ行けばいいのか。間違って年間1しかないところには行かないような仕組みが担保されていれば、それはどちらでも構わないと思います。
○堀部座長 檜山構成員、お願いします。
○檜山構成員 この議論は、拠点病院の議論ですよね。連携病院の議論ではないですね。
○堀部座長 はい、そうです。
○檜山構成員 だから、丸めでもいいんですが、最初に拠点病院というのはオールマイティーありきという形で議論が始まって、こういう形で固形も血液もという形で恐らくされているので、必ず2例が必要かという議論はあるとは思うんですが、患者、家族の人にとっては、ここに行けばある程度の道筋は立てていただけますよという意味の拠点病院という位置づけがあるのかなと私は思っているんです。
ですから、余りにも偏った施設が30例中、固形腫瘍が29例とか、そういう施設がどうなのかなというのは確かにあるので、ある意味でその30例としてくくってもいいんですが、中には10例、10例程度があるほうが好ましいというような形のほうが、むしろ拠点病院としてはいいのかなという気はします。
だから、脳腫瘍2例という議論は確かに西川先生、あるんです。そこは削ってもらってもいいとは思いますし、それはある意味で連携拠点病院の情報が公開されていればそれでいいのかなという気はするので、いきなり全部丸めにしちゃうというのはどうかという気もします。
○堀部座長 西川構成員、お願いします。
○西川構成員 脳腫瘍の立場からですけれども、もう一歩踏み込ませていただければ、2例という基準はむしろないほうがいいと思っています。脳腫瘍2例という基準をつくるんだったら丸めにしてもらったほうが、ずっと患者さんは選びやすいんじゃないかというふうに脳腫瘍の立場から思っております。
○堀部座長 越永構成員、お願いします。
○越永構成員 檜山先生が言われるように、確かにそうですが、ただ、地域によるだろうと思うんです。ですから、人口の密集地域についてはやはり連携するというネットワークがそういうところに生きてくるのかなというふうに思います。
○堀部座長 全体の意見としては、脳腫瘍の要件が2例というのが一番問題であるとの共通した認識だと思いますので、その要件を外すということで、よろしいでしょうか。また、丸めで30なのか、最低要件を血液、固形、それぞれ10、10というラインを設けるかについてはいかがでしょうか。
越永構成員、どうぞ。
○越永構成員 地域性は余り考慮されないで、それは一律の基準で。
○堀部座長 現行の基準が既に10、10ですので、それについてよりきつくなるわけありません。
○越永構成員 そうですね。それで、ほかの因子で地域性を考慮してという形になるんですね。
○堀部座長 そうだと思いますので、これでよろしいかと思います。
○越永構成員 わかりました。
○堀部座長 血液、固形が10、10で、全体で30という案は、現行の要件が生かされ配慮されていると思います。
○松本構成員 10、10か、30かという話なんですけれども、血液・固形という枠組みは維持するということですか。それとも全数で考えるということですか。
○堀部座長 両方です。
○越永構成員 両方入れる。だから、10例程度以上、10例程度以上、全体では30程度ですよね。
○堀部座長 はい、ただし、30例以上であって、30例程度ではありません。
○越永構成員 わかりました。そうすると、恐らく30例診ている病院が先ほど檜山構成員のおっしゃったように、29例が固形だという病院はどこもありませんで、大体皆さん10例ぐらいは必ず白血病を診ていますので、そういう意味では悪くはないのかなという気はします。
私が一番外したかったのは、やはり脳腫瘍2例をどうしてもやめたかったということがあります。
○堀部座長 そこは共通認識ですので、あとは事務局に委ねてよいと思います。
時間が迫っておりますので、そのほか追加がありましたらお願いします。
山下構成員、どうぞ。
○山下構成員 この資料3でフォローしていると、ついついここに書いていないことを忘れてしまうのですが、先ほど最初のときに小俣さんが指摘をされた評価というか、PDCAサイクルの件ですけれども、私は実は別途で第三者評価みたいな仕組みも必要じゃないかということを申し上げていたわけですが、なかなかひとっ飛びにそこまではいかないと思いますが、先ほどの13ページの6にはなかなかいいことが書いてあります。こういった感じのものでも、入れていただくということは可能なのでしょうか。
○堀部座長 佐々木課長、お願いします。
○がん・疾病対策課長 もし構成員の先生方皆様に合意が得られればというところですけれども、もちろん表現のどういう書きぶりにするのかというのはあるとは思いますが、何らかの形でPDCAという趣旨のものが入る。これは今の時代、それこそ小児がん、またがんに限らず、病院運営そのものの根幹の部分だとは思いますので、程度としてどこまでかというのはありますが、そのPDCAという趣旨のことを求めるということ自体、必要だと思っております。
○堀部座長 松本構成員、お願いします。
○松本構成員 先ほどの参考資料1の13ページに、QIということが載っております。PDCAサイクルの上のところにQIという言葉が出ておりますけれども、現状、小児の拠点病院でもQIを35項目設定して測定していますので、拠点病院の診療の質に関しては恐らくそれをこれからも進めていけばいいのかなと考えています。
PDCAサイクル及びQIということに関しては、確かに指針に挙げていただけると非常にありがたいと考えております。
○堀部座長 檜山構成員、お願いします。
○檜山構成員 私もそのとおりだと思うので、PDCAサイクルをぜひ入れていただきたいと思います。
ほかの点でもよろしいですか。
○堀部座長 はい、結構です。
○檜山構成員 資料4について、きょうはまだ何もディスカッションされていないとは思うんですが、報告書を恐らくこの後つくられると思うのでちょっと見せていただいたんですが、これだけAYAのお話をさせていただきながら、小児がん中央機関の指定については従来指針のとおりということで、全くAYAの中央機関としてのコントロールをするということが記載されていないので、できたら参考資料2の8ページの中央機関のところの指定についても、成育医療研究センターだけではなくて国立がん研究センターも中央機関として働いていただいているので、AYAの情報をせっかくここまでやっていただけるならば、AYAに関する情報収集、とにかく小児がんをAYAがんにしていただいたほうがいいかなというぐらいの文言に書きかえていただいたほうがいいのかと思っております。ぜひ、検討していただければと思います。
○堀部座長 ありがとうございました。ほかによろしいですか。
時間になりましたのでこのぐらいにしたいと思いますが、今のことに関連してですが、AYAに関してはやはり診療実績をきちんと開示を求めたいと思います。ぜひ5歳刻みの実績情報の開示をお願いしたいと思います。
○松本構成員 現在、院内がん登録のデータにつきましては40歳未満のデータを成育に集めておりますので、5歳刻みで恐らく情報としては今年度中には提供できるのではないかと思っております。
○堀部座長 ありがとうございます。
それでは、まだ御意見もおありかと思いますが、時間ですので本日の検討会はここまでといたしたいと思います。
本日の御意見や御議論などを踏まえて、事務局で報告書の作成をお願いしたいと思いますが、最終的には座長預かりとさせていただくことで御了承いただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○堀部座長 では、最後に事務局から連絡事項等をお願いいたします。
○事務局(栗本) 事務局でございます。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございました。
小児がん拠点病院の指定要件に関する議論としては今回で一区切りとなりますので、事務局を代表いたしまして、健康局がん・疾病対策課長、佐々木より御挨拶を申し上げます。
○がん・疾病対策課長 構成員の先生方、皆様方、本来、健康局長の福田が挨拶を差し上げる予定でございましたので、それを預かる形で私から御挨拶を申し述べたいと思います。
健康局長の福田は、この検討会を立ち上げるときから、どうやって切れ目のないがん診療ができるか。それは、1つは年齢的な、まさに小児、AYAというつながり方、切れ目のないものですね。また、前回、今回の大きく御議論いただいた部分の地域の点で、どこにいても、そしてそれは退院後もということも含めて、地域の面で切れ目のないような小児、AYAがんの体制をつくれるのか。この2つに、非常に心を砕いておりました。
また、もう一つ、ややもすれば医師の診療中心だったものを、さらにその相談、社会的な支援、また教育機関との連携といった意味での分野を超えた切れ目のないということも常々、宿題というか、業務上の指示を受けて、ここまで事務局としての役割を務めさせていただいたところでございます。
この間、本当に構成員の先生方皆様から、私どもで思いの至らない、また想像の及ばないところにつきましてさまざま御指摘いただいたことに関しまして、改めてお礼を申し上げたいと思います。
この後、堀部座長と報告書の形での取りまとめをさせていただく過程で、各構成員の先生方皆様にまた御相談を差し上げることもあろうかと思いますし、何より要件が固まり、指定の検討会を経て指定され、そして拠点病院、連携病院、そして行政を含めた地域のかかわりというものを築いていく過程でも御指導いただくことが多々あろうかと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
以上をもって、本検討会の最後の御挨拶とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○事務局(栗本) 構成員の皆様、改めてありがとうございました。
これで、本日の検討会は終了したいと思います。
 

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健康局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線3826)