第78回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和4年3月16日(水)13:00~16:00

場所

新橋ビジネスフォーラム

  • オンライン開催

議題

  1. (1)報告事項
    1 中間評価指標に関連する各種データについて
    2 がん対策推進協議会と基本計画に基づく主な検討会等について
  1. (2)第3期がん対策推進基本計画中間評価報告書案について

議事

議事内容
○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第78回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます健康局がん・疾病対策課の岩佐でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、1月28日に本協議会を予定していたところでございますが、厚生労働省としまして新型コロナ対策に注力する等々の事情によりまして、直前に延期とさせていただいたことをおわび申し上げます。
 なお、本協議会につきましてはYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきいただければと思います。
 また、御発言がある際には挙手、もしくは挙手ボタンを押していただきまして、会長から指名がありましたら御発言をいただくようお願いいたします。
 委員の出席状況でございます。本日、根岸委員より御欠席、大賀委員より途中での御退席、木澤委員、羽鳥委員より途中での一時離席とお伺いしております。また、茂松委員が若干遅れてのご参加と伺っております。
 本日は、参考人としまして、国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所予防検診政策研究部部長、片野田耕太参考人に御出席をいただいております。
 また、健康局長は公務のために欠席とさせていただいております。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しておりますが、議事次第、資料1から3、参考資料1から4がございますので、お手元に御確認いただければと思います。
 事務局からは以上でございます。
 以降の進行につきましては山口会長にお願いいたします。
○山口会長 それでは、本日司会を務めさせていただきます。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、議題(1)の「報告事項」についてです。「中間評価指標に関連する各種データ」についての情報を片野田参考人よりお願いしたいと思います。片野田参考人、どうぞよろしくお願いいたします。
○片野田参考人 国立研究センターの片野田です。本日はお時間をいただきありがとうございます。
 本資料は、今、お示しいただいているとおり、がん対策研究所のメンバーと大阪大学の上田豊先生とで作成させていただきました。
 2枚目に進んでいただいてよろしいでしょうか。
 HPVワクチンの接種率と子宮頸がんの動向に関するデータを紹介させていただきます。
 次をお願いします。
 このスライドは、HPVワクチン接種率を生まれた年度別に示したものです。1990年代後半生まれで7~8割近くあった接種率はその後急減して、2002年度生まれ以降では0に近い値になっています。
 4枚目のスライドからはワクチン接種率の国際比較のデータです。欧米諸国だけではなく、中低所得国と比べても日本の接種率は低い水準になっています。
 次をお願いします。
 これは地図で示したものです。
 次をお願いします。
 このスライドは、子宮頸がんの罹患率の国際比較です。ピンクがかった色が日本のデータです。欧米諸国や韓国で年齢調整罹患率が減少しているのに対して、日本では増加を示しています。子宮頸がんの罹患率が高いことで知られていた韓国よりも、近年では高い値に近くなっています。
 次をお願いします。
 こちらは年齢調整死亡率の国際比較です。1980年代には諸外国より低かった死亡率が、今では最も高い水準に上がってきております。
 次のスライドにもお示ししていますが、これらの罹患率や死亡率の増加は、統計学的にも有意であることが分かっています。
 次をお願いします。
 これがHPVワクチンと子宮頸がんについてのまとめです。諸外国とは対照的に日本ではHPVワクチン、子宮頸がんの動向共に憂慮すべき状態であることは、これまで述べたとおりです。
 次をお願いします。
 ここからは5大がんとそれ以外のがん種について、死亡率の国際比較の結果を御紹介します。
 次をお願いします。
 見にくくて申し訳ないですが、赤いラインが日本で、それ以外が諸外国と御覧ください。まず、がん全体、一番上ですが、全がんではこれまで協議会でも議論がありましたとおり、年齢調整死亡率は諸外国と同様に減っております。ただ、がん種別に見ますと、2番目の胃がんと4番目の肝がんの減少が顕著であって、ほかのがん種、例えば3番目の大腸がんを御覧いただくと、諸外国に比べて減少が鈍く、レベルとしては日本がかなり高い水準になっているのがお分かりいただけると思います。
 次をお願いします。
 ほかのがん種を見ますと、膵臓がん、女性乳がん、子宮頸がん、子宮体がんは日本では増加が続いています。大腸がんや女性乳がん、子宮頸がんなど、検診関連がんで日本のがん死亡率が減っていないことに留意が必要だと思います。
 次をお願いします。
 こちらは罹患率と死亡率のトレンドの統計学的な検討の結果です。胃がん、肝がんが罹患率・死亡率共に統計学的に有意に減っているのに対して、大腸がん、膵がん、女性乳がんなどでは横ばい、あるいは有意な増加になっています。
 次をお願いします。
 ここからはがん検診の受診率の国際比較をお示しします。
 次をお願いします。
 子宮頸がん、次の女性乳がん共に検診受診率は国際的に最も低い水準にとどまっています。
 次をお願いします。
 こちらは乳がんです。
 次をお願いします。大腸がんでは真ん中のレベルになっていますが、18枚目のスライドで御説明してありますとおり、比較可能性が担保されていないことに留意が必要です。先ほどの罹患率、死亡率の動向と併せて考えますと、大腸がんを含めて、日本では検診関連がんでターゲットとなるがん種の疾病負荷が減っていないということが言えると思います。
 次をお願いします。
 ここからはがんの予防・危険因子の動向について説明させていただきます。資料が多いため、20枚目のスライドにまとめさせていただきました。がんの予防・危険因子の動向は、健康日本21の専門委員会でAからEの5段階評価がされています。成人喫煙率、受動喫煙曝露割合は「B 目標に達していないが改善傾向にある」と評価されています。
 一方、飲酒、肥満・やせ、食事などは「C 変わらない」や「D 悪化」となっています。
 実際の推移は、21枚目から29枚目のスライドを御覧いただければと思います。
 30枚目をお願いします。
 30枚目からは希少がんのデータの国際比較を御紹介させていただきます。
 次をお願いします。
 希少がんは国際的な共同研究で、国際比較を目的にRARECAREというグループで分類がなされています。これはICD-O-3というがんの標準的な分類方法を用いて、希少がんとそれ以外の一般がん、この2つに分けて階層化して分類しています。
 次をお願いします。
 これが12の希少がんのグループと6の一般がんの分類です。
 次をお願いします。
 このグラフは、その分類を用いて一般がんと希少がんの罹患率のトレンド、年齢調整罹患率を調べたものです。一般がんが増加しているのに対して、希少がんは増加しているものの、横ばいであることが分かります。
 次をお願いします。
 このスライドと35枚目のスライドは年齢分布を示しています。希少がんでは若年層に好発年齢があるがん種が多いことが分かります。
 次をお願いします。
 これはまとめです。皮膚がんのように日本がヨーロッパ諸国より高いがん種もありますけれども、一方、胃がんとか肝がんのように日本のほうが高いものもあります。これらは既知の危険因子や検診などの取組で説明がつくものです。
 次をお願いします。
 このスライドは同じ分類を用いて生存率の国際比較を行った結果です。まだ解析途中のものですが、参考データとしてお示しさせていただきました。
 日本の希少がんの生存率は、一般がんと同様、かねがね欧州、ヨーロッパ等よりも高い傾向がありました。
 東アジア内の比較では、胸部がんで韓国、台湾よりも低い傾向がありましたが、ほかに大きな差異は見られていません。
 日本の生存率で希少がんとそれ以外の一般がんの生存率を比較しますと、消化器、男性生殖器・泌尿器、皮膚で希少がんのほうが生存率が低い傾向がありました。
 詳細ながん種や要因については、発見経緯なども含めて現在分析をしているところです。
 次をお願いします。
 これが希少がん生存率のまとめです。これまで御説明させていただいたとおりなので、割愛させていただきます。
 以上で私の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山口会長 どうもありがとうございました。
 今の片野田参考人の御発表に対して、御意見、御質問があれば、委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。飯野委員。
○飯野委員 飯野です。片野田先生、ありがとうございました。
 HPVワクチンのところと罹患数等のところについて質問したいのですけれども、これを見ると、罹患率も死亡率も海外では減っているのに、日本では2000年代になってから罹患率が増えているとか、死亡率も減っていなくて増加傾向というのは、原因は何だと分析なさっておられるのでしょうか。質問です。
○片野田参考人 まず、HPVの感染率が若年層で高くなっているということが一番大きな背景です。もう一つは、諸外国で減っているのは、ワクチンの普及の原因というよりは、むしろ子宮頸がんの検診が奏功している結果です。日本の場合はワクチンの接種率が低いということと、もともとの感染率が高いということと、子宮頸がん検診が罹患、死亡を減らすに至っていない。その2つだと考えております。
○飯野委員 ありがとうございます。
 ワクチンが認可されたのは2009年からだと思いますので、このデータを見ると、海外で下がって、日本が増えているのは、ワクチンとは関係なく、検診とかウイルスを浴びる人たちが増えているということが原因だろうとは思うのですが、9ページのまとめのところを見ると、上のほうに接種率はすごい低くて、下のほうに死亡率・罹患率が高いと書かれてしまうと、ワクチンを受けていないから罹患率も死亡率も高くなっているとちょっと誤解されてしまいかねないなと。
○片野田参考人 御指摘ありがとうございます。全く御指摘のとおりで、諸外国で子宮頸がんが減っているのは、子宮頸がんの検診が奏功していることがメインの原因です。2007年前後からオーストラリアとか北米、あるいは北欧諸国でHPVのワクチンが普及しておりますけれども、それの影響での罹患率、浸潤がんの減少というのがようやく最近見られていたところで、15年ぐらいかかるというのは御指摘のとおりです。ありがとうございます。
○飯野委員 ありがとうございます。たびたびすみません。なので、ワクチンの積極的な勧奨が始まるのですが、前にもちょっとお話をしたのですけれども、ワクチン接種だけでは罹患率とか死亡率を下げることができないわけですから、検診のほうもしっかりと取り組まなければならないということは、改めてきちっと伝えていく必要があるなと感じました。ありがとうございました。
○片野田参考人 御指摘のとおりだと思います。ありがとうございます。
○山口会長 松田委員、お願いします。
○松田委員 松田です。
 片野田先生に御質問をさせていただきたいと思います。子宮頸がんについては、ワクチンもさることながら、子宮頸がん検診によって諸外国では死亡率が日本以上に減少しているというお話だったかと思います。大腸がんについては国家プログラムに組み入れられていないので、なかなか比較ができないということだったのですが、先生にお伺いしたいのは受診率の把握の仕方です。英国や北欧のようにプログラムで受診率が難なく算出できる国もあれば、日本やアメリカのようにサーベイデータ、例えば国民生活基礎調査のようなものを使っている国もあろうかと思います。先生が把握している限りでは、受診率が高い国というのはどちらなのでしょうか。プログラムデータで把握した国の方が、受診率が高いのか。その点はいかがでしょうか。
○片野田参考人 御質問ありがとうございます。検診の受診率の把握方法が国によって違うというのは御指摘のとおりです。自己申告の場合とプログラムベースの受診率、どちらのほうが高く出ているかまでは把握していないのですが、OECDに報告されている国のデータの中では、どちらの報告形態であっても日本は全体的に低いということが言えると思います。
 理想的にはプログラムベースで受診率を把握して、検診の結果、あるいはがんの診断の結果とかを突合できるようなマネジメントが理想的だと思います。
○松田委員 追加で質問ですが、受診率が高い国々はおおむねプログラムで受診率が算出されているということでは必ずしもないのでしょうか。
○片野田参考人 そこの関係について調べていないのではっきりとは申し上げられないのですが、プログラムベースできちっとマネジメントしている国で大腸がんの死亡率が減っているということは言えると思います。
○松田委員 分かりました。ありがとうございます。
○山口会長 大西委員、お願いいたします。
○大西委員 ありがとうございます。キュアサルコーマの大西です。
 片野田先生には今回資料を提供していただきましてありがとうございます。
 私からは希少がんの5年生存率データについて質問させていただきます。まず、希少がんの分類についてですが、31ページ以降のRARECAREnetリストによるこの分類というのは、あくまでも国際比較ということで理解しているのですけれども、2015年の希少がん医療支援のあり方検討会で、たしか我が国独自の希少がん分類を開発する必要があるという意見もあったということが報告書にあったと思うのですが、実際我が国においても希少がんの分類というのはもう定義されているのか。がん情報サービスが比較的分かりやすい分類になっていると思うのですけれども、もし御存じでしたら教えていただきたいということが1つ。
 2つ目は33ページの希少がんの年齢調整罹患率の年次推移で、「一般がんの増加に比して希少がんの増加のペースは緩やか」とあるのですが、これは高齢の希少がん患者はあまり増加していないということなのか。何が要因なのか。考えられる要因があれば教えていただきたいと思います。
 最後は38ページの希少がん生存率のまとめについてです。「日本の希少がん生存率は、一般がん同様、概ね欧州より高い」とあるのですが、37ページのデータを見ると、韓国、台湾、日本のデータは2009年、2011年の10年ぐらい前のデータで、欧州に至っては2000年から2007年、20年ぐらい前のデータとの比較ということで、かつ10年の開きがあるのですけれども、これはデータ比較という意味でそう言い切れるのかどうかということと、さらに東アジアでは胸部がんで、多分これは胸腺がんとか胸線腫なのかなと思うのですが、55%の韓国、50%の台湾より、日本は30%とかなり低い傾向があったとあるのですけれども、もしその要因を御存じでしたら教えていただけないでしょうか。たくさんあって申し訳ございません。
○片野田参考人 ありがとうございます。
 最初の希少がんの分類については、御指摘のとおり、今回御紹介したものはあくまで国際的な比較をするために諸外国、どの国でも使えるような分類を使ったというものです。日本で独自の分類が必要だというのは、恐らく医療資源、専門医の配置とかに使えるような分類が必要で、それが国内で進められているというのは御指摘のとおりですので、どこまで進んでいるかまでは存じ上げないのですが、独自のルールをつくって、国によって希少がんの分布、医療体制も異なりますので、日本独自のものをつくって希少がんの医療体制をしっかり整えていくべきというのは言えると思います。
 2番目の希少がんのほうが増加のペースが緩いというのは、これは年齢調整をしているので、年齢分布は調整をしています。一般がんで増加が比較的急峻なのは、前立腺がんとか乳がんの増加がそこに含まれているからだと解釈しております。
 諸外国でも希少がんの増減というのはあまりはっきりしていなくて、ほぼ横ばいであるということが知られていて、それは日本で同じような傾向だというふうに確認されたということです。
 最後の生存率は、年次も違えば、同じ胸部のがんであっても内訳が全然異なりますので、比較可能性がきちっと担保されているものではないというのは、御指摘のとおりです。日本で生存率が低かった希少がんの胸部がんについても、細かいがん種別に検討するようなところでまだ解析途上ですので、比較可能性がないというのは御留意いただければと思います。
 以上です。
○大西委員 ありがとうございました。今後より細かい部位別とか組織別とか、分かりやすいデータが公開されて、それが対策につながることを期待しています。ありがとうございます。
○片野田参考人 ありがとうございます。
○山口会長 そのほかに御意見はいかがでしょうか。手挙げ機能をお使いになっている方は全て御意見をいただいたのですが、よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、片野田委員、どうもありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いします。
○片野田参考人 よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。失礼します。
○山口会長 それでは、引き続きこのがん対策推進協議会と基本計画に関わりが強くある様々な検討会について、事務局からまとめていただくようにお願いをいたしました。といいますのは、例えばこの協議会の下に部会が幾つかありまして、その部会の様々な議論、結論がこの協議会に取り入れられていく、あるいは基本計画に取り入れられていくという構図になっているものですから。ただ、それぞれの部会の報告がつぶさにこの会にはこれまで提示されてきておりませんでしたので、取りあえず今日はどういう部会、関連する委員会が動いているかという大枠の説明を事務局にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○がん対策推進官 それでは、資料2の説明をさせていただきます。1ページめくっていただければと思います。
 こちらのポンチ絵の中で関連する検討会について記載させていただいております。「がん予防」に関しましては、「がん検診のあり方に関する検討会」を年に数回開催しながらがん検診に関する様々な課題について議論し、検診の在り方や内容の充実を図っているところでございます。
 上の真ん中「がんとの共生」については、「がんとの共生のあり方に関する検討会」の中で議論をしているところでございますが、緩和ケアに関する内容については、さらに重点的に議論をする必要性があるということから、今年度から「がんの緩和ケアに係る部会」として新たに検討会の下に部会を立ち上げて議論を行っているところでございます。
 また、「基盤の整備」というところでは、「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」がございます。こちらは不定期に開催いたしまして、「がん研究10か年戦略」などの議論をしているところでございます。
 下のところは大きく書いておりますけれども、がん医療の充実に関連する会議体について、まず「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」というものがございまして、その下にさらに「がん診療連携拠点病院」「小児がん拠点病院」「がんゲノム医療中核拠点病院」に対応するワーキンググループがそれぞれ設置されているところでございます。
 これらは基本的にはそれぞれの拠点病院の指定要件に関する検討を行っておりまして、今年度夏頃に全ての拠点病院の指定要件を改正していくための検討をそれぞれのワーキンググループで始めたところでございます。
 その次にございますのが「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」「小児がん拠点病院等の指定に関する検討会」「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定に関する検討会」ということで、こちらはそれぞれ上の検討会で決められた要件を基に、個々の医療機関の指定について、検討を行っているところでございます。
 ページをめくっていただければと思います。現在、先ほど申し上げたようにがん検診やがん診療提供体制、がんとの共生に関して各検討会において議論を進めているところでございます。当協議会におきまして中間評価報告書を公表した後に、第4期計画に向けた議論を来年度から開始をしていくという形になります。その際にはこうした検討会における議論をそれぞれの検討会において取りまとめた上で、当協議会のほうに報告し、それらも含めて第4期計画の議論を進めていくという流れで進めていきたいと考えておりますので、御承知おきいただければと思います。
 以上でございます。
○山口会長 ありがとうございました。
 これで全体像はおおむね把握していただいたのではないかなと思うのですけれども、私自身、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」、その下の病院指定のところを20年近く務めさせていただいたのですが、これらの検討会からは例えば目標値の設定というのはほとんど出てこずに、それらがこの基本計画の中で語られて目標値の設定をし、それを今、中間評価をしている。そういう形に多分なっているのだと思うのです。それがなかなかうまく連動していなかったということもありますので、今後、第4期に向けてはこの辺りのことをしっかりやっていく必要があるのではないかなと思っております。
 その上で、今の御説明について、委員の皆様から御質問、御意見を賜りたいと思います。挙手ないしは挙手機能をお使いいただくようにお願いしたいと思います。石岡先生。
○石岡委員 石岡です。
 意見というよりも少し心配していますのは、中間評価の報告書が年度をまたいで4月ということになりますので、第4期の策定に向けての議論の進捗がこの夏頃まで、どこまで進むかというのが非常に気になるところです。御承知のとおり、国の概算要求は夏ですので、令和5年度以降の新しいがん対策推進基本計画に基づく様々ながん対策事業に後れが生じないかということに関して、個人的には非常に心配しております。もちろん、がん疾課の皆様にうまくそこを調整してまとめていただくということが必要だと思いますが、その点、どうぞよろしくお願いしますと申し上げたいと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
 では、三上委員、お願いします。
○三上委員 「にじいろ電車」の三上と申します。
 3ページのスケジュールのページになるのですが、この図に関連しまして、患者や家族が運営している団体や組織から厚労省宛てに要望書もいろいろ届いているかと思います。その要望書についても、今後第4期の議論の中で反映されるとありがたいなと思っています。
 また、議論の視点からは若干ずれるかもしれませんが、患者・家族からの要望書はみんなで時間をかけて一字一句思いを込めて書いたものです。かなり具体的な細かい要望もあるかと思います。それらの要望が実際に実行する部署に届く仕組みがあるとよいと思っております。そのためにも大きなくくりの中での言葉でも基本計画に記載されますとうれしいです。
 以上になります。
○山口会長 この点については事務局からコメントをお願いします。
○がん対策推進官 基本計画の中に患者さんたちの声を取り入れていくというのは、私たちとしてしっかりと対応していくべきと考えておりまして、実際に本協議会の中にも患者さんの代表として御参加いただいているところです。
 個々の要望について、その全てに御回答ができるかどうかというのは難しいところもございますけれども、もしそういったものがございますようでしたら、がん・疾病対策課として関連団体、患者さんの団体からの御意見等々は受けていくと考えておりますので、お届けいただければと考えております。
○三上委員 ありがとうございます。
○山口会長 大西委員、お願いいたします。
○大西委員 キュアサルコーマの大西です。
 ここは主な検討会についての記載だと思うのですが、希少がん対策というのはまだまだ遅れていると思います。2015年に6回「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」が開催されたのですけれども、それ以降、国立がん研究センター内で検討がされて進められていると思うのですが、報告ができればこの協議会で次回以降にでも報告をしていただきたいということと、この場で言うのは違うかもしれませんが、希少がんの検討会の再開を望みたいと思います。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございます。
 コメントはありますか。
○がん対策推進官 御意見ありがとうございます。そういった御意見も踏まえて、どのように進められるか、会長とも相談をしながら検討していきたいと思います。
○大西委員 よろしくお願いします。ありがとうございます。
○山口会長 私の記憶では、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」の中で希少がん、小児がん等の議論がなされ、ある程度組み入れられていっていると思いますので、次のこの議論の結果の中にどの程度反映されているかということを見ていくことが必要なのではないかなと思っております。ありがとうございました。
 そのほか、今の全体の枠についての観点からの御意見、御質問はよろしゅうございますでしょうか。石岡先生、どうぞ。
○石岡委員 希少がんのところですが、今、5大がんと希少がんというたてつけが徐々に古くなってきたということを申し上げたいと思います。御承知のとおり、第3期はがん医療のイの一番にゲノム医療、がんゲノム医療というのを掲げています。5大がんの中で一番多い肺がんにおいても、肺がんの一部は希少がんの集合体という考え方に変わってまいりましたので、今、ここの中間評価ではいいのですけれども、第4期に向けては希少がんの定義をどうするかというのを考えないと、この先、本当の希少がん対策ができなくなるだろうということを少し申し上げたいと思いまして発言させていただきました。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 確かに今の点は実際の臨床の現場から言うと大きな問題だと思いますので、第4期に向けてはぜひしっかり議論していっていただければなと思います。
 もう一つ、今日あえてこの御説明をいただいた理由は、第4期の計画策定において目標値の設定をしっかりやって、それで効果を見ていくというステップがどうしても必要だと思うのです。3期のときにその辺りがどうだったかということを経験上ちょっと申し上げますと、3期の基本計画ができてから、中間評価の項目をその後でつくってきていたと思います。中心になっていただいたのは、今の国立がんセンターのがん対策研究所の前身の部門の方々が、患者会の方も入れて何度も議論をされてその評価項目をまとめた形になったのです。厚労の委託を受けて。ただ、その基本計画自体の文言が、なかなかそういう評価をしにくい文言が多かったというのはその時点で随分議論をされました。特に評価の数値目標を立てにくい文言になっている。そういうこともございましたので、第4期においてはそういうことに注意をしながら、かつ幾つかの検討会の御意見も踏まえた上で、しっかりと評価をできる数値目標の設定を第4期の基本計画策定時に十二分に意識してつくっていく必要があるのだろうなというのが、私は途中からだったのですが、第3期の全体像を見ている上で、それから今日こういうがん評価をさせていただいている中で感じていることですので、この点をぜひ事務局を中心によろしくお願いしたいと思っております。
 そのほか。土岐委員、よろしくお願いします。
○土岐委員 3ページのシェーマの中のがん研究のところは、がんのほうは「がん研究10か年戦略」に基づくとありますけれども、今回の第4期のものに向けてこの有識者会議というのは開催されないということでよろしいのでしょうか。
○山口会長 お願いします。
○がん対策推進官 現段階で「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」自体はがん研究10か年戦略の策定、評価等行っていることもありまして、第4期計画に合わせた形での開催というのは、今のところは考えていないところであります。また、その辺りも様々な御意見を伺いながらと思っています。ただ、一方で、最初に石岡先生からもスケジュール的に厳しいのではないかということ、さらにはこれらの検討会もそれぞれ実施していくというところなども考えると、なかなか難しい部分があるということは御理解をいただければと思っております。
○土岐委員 了解いたしました。
○山口会長 中釜委員、お願いします。
○中釜委員 中釜です。
 先ほど山口委員長の御指摘の評価項目の設定と評価指標の策定による客観的な評価の必要性は、非常に重要だと私も考えています。先ほど冒頭に当センターがん対策研究所の片野田からデータの一部を提示させていただきましたが、これから第4期の策定に向けてどの程度具体的な項目と数値設定が可能かということに関しては、非常に頑張らなければいけないものだと思っています。我々がん対策研究所としても新しく組織をつくったその根源には、政策に資するようなエビデンスをききききちんと抽出し、それを共有することによって、山口委員長が御指摘されたところの、数値設定及び目標設定による具体的な改革案を進めていければと考えていますので、必要に応じ今後とも必要なデータを提示するように努力していきたいと思います。
 私からは以上です。
○山口会長 そのほかはよろしゅうございますか。
 それでは、このパートに関しましてはスケジュールの問題をしっかり考え、少し古くなった言葉、「希少がん」にしっかりした定義、そういうものをこの協議会としてどう考えるかということも踏まえ、かつ評価に足る文言をこの中間評価の意見も踏まえて第4期計画ではしっかり検討していくことが必要だろう。その3点ぐらいが重要なポイントだったかと思いますので、事務局におかれてはどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次のパートに移りたいと思います。前回から引き続き中間評価報告書(案)。これは事務局作成の素案に相当するものなのですが、それの一部積み残しがありますので、まずその議論をこの後行わせていただきます。それとほぼ同時並行の形で、その議論が終わったものについては、取りまとめ案と呼ぶのが適切かどうか分かりませんけれども、厚労省のほうで最初の部分については取りまとめが。今日配付されているものはその部分ですが、それについての議論にもう一度戻らせていただき、可能な限り取りまとめ案についても皆様の御意見をいただいた上で、最終案の完成に向けていくと。
 事務局、特に厚労省、政府の中で様々な法律との兼ね合いとか、他の協議会等との整合性とか、例えば健康日本21との整合性とか、そういったことも含まれてきますので、この中間報告の最終案の完成はそういうステップを経ていくと思いますけれども、今日提示されている案の中には一部議論が終わって取りまとめた部分と、今日初めていろいろ議論を闘わせる部分が混在しておりますので、その点をお含みおきいただきたいなと思っております。
 そういうことを踏まえた上で、「尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築」が素案としての議論になりますので、まず事務局より御説明をいただこうと思います。
○がん対策推進官 資料3の報告書(案)になります。41ページの下段からになります。ここからの説明につきましては、議論を一定程度しっかりしたいというところもございますので、かいつまんでの説明とさせていただきます。その上で、この報告書(案)に書いている色、下線がありますので、その辺りのたてつけについて簡単に説明いたします。
 42ページのところでございます。本文中に黒で下線を引いている辺りについては、これまでにデータとしてお示ししたものについて一定の評価に値するような文言を入れてございますので、そういった観点で幾つか記載をさせていただいております。この点については前回お示ししたものと更新は特にないと御認識いただければと思います。
 例示としては41ページの赤字と緑字が交ざっているところ。赤の文字で記載されている部分については、特に協議会としての評価に値するような文章になっているということでございます。その上で、緑のところに関しては、前回お示ししたものからさらに修文を加えている部分となっております。41ページのところは前回まさに議論をしたところですので、先生方の御意見を踏まえて修文している内容になってございます。
 41ページ目以降のところであっても、言葉の修正等々については、気がついた点を修正してございますが、大きな意味としては、前回の協議会でお示しした内容から変わっているものではないと御理解いただければと思います。少々たてつけが複雑になっていて申し訳ございません。
 その上で、41ページ目、「尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築」ということで、ここでは、まず緩和ケアということで記載をさせていただいております。42ページに行っていただきまして、「緩和ケアの提供について」、43ページ目の「緩和ケア研修会」「普及啓発」ということで、3つのカテゴリーで幾つかの評価をさせていただいた上で、44ページ「がん対策推進協議会としてさらに推進が必要と考える事項」としましては、身体的・精神的等の苦痛の緩和、苦痛を感じている患者への相談支援の体制、普及啓発について、更なる取組の充実が求められているということで、「がんとの共生のあり方に関する検討会」や「がんの緩和ケアに係る部会」での議論を踏まえて、今後の取組について引き続き検討が必要であると書かせていただいております。
 44ページの(2)が「相談支援及び情報提供」となってございます。中身としましては、「相談支援について」という項目と45ページの「情報提供について」という形で大きく2つに分けて記載をさせていただきまして、46ページ、患者への相談支援や情報提供についての体制整備が進められてきておりますが、さらなる活用が求められるという形で記載をしており、「がんとの共生のあり方に関する検討会」における議論を踏まえ、引き続き検討が必要と記載しております。
 その下の(3)は「社会連携に基づくがん対策・がん患者支援」ということでございますが、ここにつきましては、46ページの下段から「拠点病院等と地域との連携について」、47ページ中ほど「在宅緩和ケアについて」というところに分けられ、47ページの下段から「セカンドオピニオンに関する情報提供や、患者の望む場所で過ごすことができるような在宅を含めた地域における緩和ケア提供体制の推進が必要である」とまとめてございます。
 (4)としましては「がん患者等の就労を含めた社会的な問題(サバイバーシップ支援)」でございます。その中では、就労支援について、アとして「医療機関等における就労支援」、イとして「職場や地域における就労支援」ということで、49ページに記載をしてございます。
 50ページが「就労以外の社会的な問題について」というところで、51ページにそれらをまとめまして、サバイバーシップ支援について、治療と仕事を両立するための制度の利用と、企業や雇用・労働関係機関等における取組についても一層の推進が必要だとしております。また、アピアランスケアや生殖機能への影響に関する説明、がん患者の自殺などの、社会的な問題について、「がんとの共生のあり方に関する検討会」での議論も踏まえ、引き続き検討が必要としております。
(5)が「ライフステージに応じたがん対策」というところでございます。この点は前回も御指摘があったと思いますけれども、主に小児・AYAに関する指標を中心に記載をしてございます。
 52ページの下段、小児・AYA世代については、拠点病院等以外の医療機関における教育支援、小中学生のみならず、高校生に対する教育支援等々、治療と教育の両立の推進が必要としております。高齢者に関しては、第3期基本計画において、中間評価指標の設定がなかったということを記載し、次期基本計画における指標の設定を行い、進捗管理を行う必要があるとしております。
 簡単ではございますが、ここまでの説明とさせていただきます。
○山口会長 ありがとうございました。
 それでは、41ページから53ページまで一括して御意見を賜り、議論を進めてまいりたいと思います。その後、一段落した段階で少し休憩を取って、その次のステップに移っていこうと思いますが、今の範囲内でどの部分でも結構ですが、御意見をよろしくお願いいたします。まず、三上委員、お願いします。
○三上委員 「にじいろ電車」、三上と申します。
 私のほうからは(4)の「サバイバーシップ支援」と(5)の「ライフステージに応じたがん対策」というところについて申し上げたいのですが、続けて発言してよろしいでしょうか。
○山口会長 お願いします。
○三上委員 それでは、(4)のサバイバーシップ支援のところですが、51ページ、赤字の最初の4行の後に「併せて、A世代の患者の新規就労について、就労後、後遺症で離職した場合についても医療機関や雇用・労働関係機関からの情報提供はさらに必要である。また、小児がん親の支援についてもさらなる情報提供が必要である」という言葉を追加していただけないでしょうか。
 小児がんの親も子供の病気で仕事を辞めたり、有休を全て使ってしまい、欠勤扱いになったという声もあり、その辺の情報提供もあればと思います。
 新規就労については、第75回の協議会でも発言させていただき、前回の回答として小児がん拠点病院の6か所とハローワークに専門相談員を配置しているとのことでしたが、実際困っている人はまだおりますので、「情報提供がさらに必要である」という言葉で加えていただき、必要な人へ情報が届きますと幸いです。
 次に、(5)の「ライフステージに応じたがん対策」に入りたいと思います。52ページの中間評価指標3051に関連しまして、第76回の協議会で発言させていただいた内容も下の赤字に反映していただき、感謝申し上げます。
 ここの教育の項目では2点意見を述べさせていただきます。1つ目は、52ページの赤字の1行目「小児・AYA世代については、拠点病院等以外の医療機関」の後に「及び自宅」という言葉を入れていただければと思います。現在長期入院だけでなく、入退院を繰り返しながら治療をする子供たちも増えてきていると思います。
 2点目は53ページの赤字の1行目、文章が終わった後に「また、全ての子供たちの教育の保障を実現するために、オンライン化の環境整備をしていくことも必要である」という文章を入れていただければ幸いです。
 オンライン化の環境整備に当たっては、文科省の皆様の御尽力により、1人1台タブレット端末の整備をはじめ、オンライン授業に必要なモバイルWi-Fiルータ等の支援ツールも少しずつ整ってきていることに感謝いたしつつ、ただ、支援ツールが整っているにもかかわらず、回線が不安定で、画面が固まってしまったりということも現在あるとの声がありました。
 この環境整備につきましては、私自身も運営に関わっております小児がん患者会ネットワークからも、昨年10月に厚労省と文科省へWi-Fiの使用状況のアンケートを基にした要望書を提出しております。教育に関わるところの環境整備は第3期の残った時間でぜひ早急に行っていただきたく、よろしくお願いいたします。
 ここで、少し長くなりますが、オンライン化の環境整備については少し範囲を広げ、成人の皆様も含めた意見を述べさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○山口会長 お願いします。
○三上委員 オンラインの環境が整うことで入院中に病室から家族とつながれる。特に災害などがあった場合、家族の安否確認には必須ではないかと思います。その他、リモートワークの継続。医療情報を調べることができる。セカンドオピニオンを受けることができる。ピアサポーターを含めた相談支援を受けることができる。そして、何よりもがんになっても夢や希望を諦めないための一助になるなど、将来的には病院にWi-Fiがあることは当たり前の時代になってほしいと患者・家族としては希望いたします。ただ、オンライン化の環境整備については、メリットだけではなく、個人情報、予算、子供の成長発達、医療機器とのシステム上のこと等々、一筋縄ではいかない課題があるのも重々承知しておりますし、がん対策の中だけはないことも承知しております。しかしながら、このがん対策の中で患者・家族が意見を申し上げる場を提供していただきましたので、今すぐではなくても、第4期では先ほど申し上げましたメリットの部分を既に試行錯誤していらっしゃるところも多々あると思いますので、その成功事例などを基に第5期以降、オンライン化の環境整備について何か形になりますことを願っております。長くなりまして申し訳ありません。
 以上になります。
○山口会長 ありがとうございます。
 では、事務局からコメントをお願いします。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
 小児・AYA世代、場合によってはそのご家族等に対する就労の支援等々についての御意見をいただいたところです。この辺りは労働基準局とも連携をしながらという形になりますけれども、具体的にどういったことができるのかということについては検討していきたいと考えております。
 また、教育につきましては文部科学省と連携をしながらというところでございますが、もし可能であれば、労働基準局、文部科学省から現在の状況やこれらに対する受け止めということをいただければと思います。
○山口会長 それでは、指名してください。
○がん対策推進官 そうしましたら、先に労働基準局の方はいらっしゃいますでしょうか。
○労働基準局安全衛生部労働衛生課 労働基準局安全衛生部労働衛生課の伊藤と申します。貴重な御意見をいただき、誠にありがとうございます。
 先ほど事務局のほうから発言もありましたけれども、まず企業や雇用・労働関係機関における取組についてもそういう情報提供がさらに必要であるという御意見をいただいたところに関してですが、患者御本人さんの下に情報が届くシステム、または実際に支援者にしっかり情報が行くというところは非常に重要と考えております。現在行っている施策としては、都道府県に産業保健総合支援センターを設置しておりまして、そちらのほうで事業主や、そこに専任されている産業保健専門職等に対して両立支援や産業保健に関する実際の研修、情報提供等を行っているところでございます。
 さらに、都道府県の労働局からも助成金などの活用等々、セミナーや研修の広報といったところも行っておりまして、企業や医療機関というところに対しても積極的に情報提供は行っているところでありますけれども、さらに実際により良い広報手段、情報提供の在り方というところは、事務局と相談させていただけたらと考えております。
 私のほうからは以上になります。
○山口会長 ありがとうございました。
 それでは、文部科学省の方、よろしくお願いします。
○初等中等教育局特別支援教育課 文部科学省でございます。御意見いただきありがとうございました。
 私どもとしましては、令和2年度にGIGAスクール構想の関係で、通信環境が十分ではない家庭に貸し出すモバイルルータの購入費を予算として計上しておりまして、今年度においても補正予算におきまして引き続きモバイルルータ購入の補助金を計上しておりますので、病院に入院しているお子さんたちや、病院に限らず、自宅療養しているお子さんたちのためにぜひ活用していただければと考えております。
 また、ICTを活用した教育機会の保障につきましても、これまでも制度改正なども行っておりますし、いろんな好事例などもございますので、引き続き教育機会が確保されますよう、こちらも周知をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○山口会長 ありがとうございました。
 三上委員、今のような御説明でよろしゅうございますか。追加はございますか。
○三上委員 大丈夫です。ありがとうございます。
○山口会長 私の経験から申しますと、Wi-Fi化というのはそのとおりだと思って、病院として検討すると、かなり高額になってしまうのです。というのは、医療機器の無線化が大分進んでいて、それに影響を及ぼさないという形で、一般家庭より3桁か4桁ぐらいの予算を必要とするものですから、それが各医療機関でなかなか実装が進んでいかない一つの理由になっていると思います。そういうこともあるということで、コメントをさせていただきます。
○三上委員 ありがとうございます。
○山口会長 それでは、森内委員、お願いします。
○森内委員 日本看護協会の森内です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私のほうからは、44ページのがん相談支援センターの活用状況の改善ということにつきまして、46ページ、赤字で追記をお願いしたいと考えております。44ページには「患者の3人中2人ががん相談支援センターについて知っているものの、利用したことがある人は、成人で14.4%、小児で34.9%に留まっている」と記載をされています。「利用していない者に、本当にニーズがなかったのかを十分に見極める必要がある」というところまで記載されておりますので、46ページの赤字のところには「相談を必要とする患者、がん患者、家族のニーズを見極め、実態や課題を把握した上で、どのような対策が効果的であるか、引き続き検討が必要である」とさらに具体的な追記をされてはどうかと考えています。よろしくお願いします。
 次が47ページ「在宅緩和ケアの推進について」です。こちらも「在宅で亡くなったがん患者の満足度は、緩和ケア病棟で亡くなった方の満足度に次いで割合が高かった。望んだ場所で過ごせたがん患者の割合は半数程度に留まる」ということが記載されています。
 そのようなことを踏まえますと、48ページ「在宅を含めた地域における緩和ケア提供体制の推進が必要である」の後に、「在宅緩和ケアのより一層の推進のために、訪問看護や訪問診療の提供体制の強化とともに、在宅緩和ケアの内容や活用方法の周知・普及について、どのようなことに取り組んでいくのか、引き続き検討が必要である」とさらに具体的に追記をしてはどうかと考えております。
 3点目は52ページから53ページの赤字になります。高齢者のがん対策について追記をお願いしたいと考えております。高齢者のがん対策のところで、「『がんとの共生』分野のがん対策については、第3期基本計画において」というふうな内容で書かれていますが、「病院以外の生活の場で療養が継続できるよう、高齢がん患者の多様なニーズに対応するための在宅医療・訪問看護サービスの拡充やさらなる医療介護連携の強化が必要である」と追記をされたらどうかと考えております。
 以上です。
○山口会長 ちょっと聞き取りにくい部分がありましたので、確認をさせていただきたいのですが、一番最初の相談支援センターに関しては、これは十数年の歴史があって、拠点病院等の部会がしっかり活動している部分でもあるのですけれども、森内委員としては具体的に何が問題でその追記をとおっしゃっておられるのでしょうか。
○森内委員 44ページの「利用していない者に、本当にニーズがなかったのかを十分に見極める必要がある」というところまで記載をされておりますので、46ページのところにはそれを受けて、「相談を必要とするがん患者、家族のニーズを見極め、実態や課題を把握した上で」という言葉をさらに追記したほうが具体的になるのではないかと考えたところです。
○山口会長 ニーズを見極めた上でどうされるという御意見なのでしょうか。
○森内委員 「実態や課題を把握した上で」とされたらどうかと思っています。
○山口会長 各拠点病院の相談支援センターというのは、ほぼ機能的にも人数、担当者も決まっていて、それで日々活動しているわけです。これは当然のことで、知っている方は随分増えているけれども、実際に利用する必要がない患者さんもたくさんおられるわけで、そのギャップはあまり言う必要がないと思うのですけれども、具体的にどのような事例を想定しておられますか。
○森内委員 44ページの「本当にニーズがなかったのかを十分に見極める必要がある」という記載について、この言葉を46ページのところで続けたと考えています。本当にニーズがなかったのかをまだ把握をしていない段階なので、「見極める」というふうに表現をされたのではないでしょうか。
○山口会長 今の3点について、事務局の御意見を承っておきましょうか。
○岩佐がん対策推進官 御意見ありがとうございます。細かい書きぶりについては、今後もう少し事務局の中でも整理をして検討をさせていただくことになろうかと思います。今いただいた意見なども踏まえまして少し修正案を考えてみたいと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
 それでは、久村委員、お願いします。
○久村委員 金沢医科大学の久村です。
 46ページの赤字の部分、相談支援に関わる内容ですけれども、そちらにぜひ追記していただけたらという部分が2つあります。
 1点目は、中間評価指標の3024番のピアサポーターに関する点です。ここに追記していただけたらと思うのは、特にピアサポーターの周知と活用を一層推進していく必要があるということと、もう一点は中間評価指標の3022番、家族への相談支援についてですが、家族への相談支援をさらに充実させていくべきであるということです。特に家族に対する相談支援については、AYA世代のがんの患者さんの場合は、成人の患者さんと比較すると、支援が十分と感じた人の割合が10%程度低いという患者体験調査のデータも出ていたかと思います。AYA世代とか小児がんの患者さんの御家族の抱えている課題とかニーズというのは、高齢患者さんの御家族とは質が異なると思いますので、どういった家族がどんな悩みを抱えていて、どんな支援を必要としているのか。主要な家族介護者だけではなくて、例えば親ががんになった未成年の子供、あるいは小児がん患者の兄弟の方への心理的な支援ということも含めて検討して、今後充実させていくということが必要ではないかと考えています。
 もう一点は51ページの赤字の部分、サバイバーシップ支援に関することで、就労以外の社会的な問題についてです。実はこの部分に関しては中間評価指標には含まれていないのですけれども、第3期基本計画の63ページ「取り組むべき施策」の中には、がんの患者さんの経済的な問題、社会保障制度の周知に関する記載があります。がんになった後の人生が長い、特に若年世代のがんのサバイバーにとっては、経済的な問題や社会保障制度の活用というのは、生活に直結する非常に重要な問題と考えています。特にAYA世代の患者さんに関しては、経済的な負担が原因で治療を変更・断念したという方が11%いたということも、今回患者体験調査のほうで報告されていたかと思います。
 また、この社会保障制度についても、AYA世代の患者さんは介護保険の適用外ということなので、介護サービスは全額自己負担ということになります。それから、障害年金や障害者手帳などの制度の適用にならないケースというのも実は少なくないというのが現状かと思います。
 こういった経済的な問題、社会保障制度の活用のしづらさの軽減ということに向けた一層の努力が求められていると思いますので、その点ももし可能であれば追記していただけたらと考えます。
 私からは以上です。
○山口会長 事務局からお願いします。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
 前段のところにつきましては、いただいた意見も踏まえまして書きぶりの検討をしていきたいと思います。
 後段の部分につきまして、特に社会保障制度に関するところでございます。当然その周知についてはしっかりと取り組んでいくということになろうかと思いますし、そこは推進していくべきだというところでございます。
 ただ、一方で、制度そのものをより幅広く対象にしていくなどについては、それぞれの制度の本来の目的等々があって今の制度が出来上がってきているというところがございますので、そういった経緯なども含めて、担当の部局でしっかりと検討されるものかなと考えております。したがいまして、どこまでこういった評価として記載できるのかというところについては、省の中でも少し相談をした上で対応の検討をさせていただければと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
 では、小原委員、お願いいたします。
○小原委員 ありがとうございます。日本社会事業大学の小原と申します。よろしくお願いいたします。
 皆さんが既にお話しされたところは省かせていただきまして、1点だけ、44ページの「がん対策推進協議会としてさらに推進が必要と考える事項」というところで、「身体的・精神的等の苦痛の緩和、また苦痛を感じている患者への相談支援の体制や」という文言がございます。これは緩和ケアをどういうふうに捉えるかというようないわゆる定義に関連するところで非常に重要かと存じます。例えばWHOでは「身体的、心理的、社会的、または霊的な側面を含めて」という文言もありますし、42ページ「個別目標」のところに「精神心理的・社会的苦痛にも対応できるよう」という目標がございますので、目標に合わせて書くとすれば、「身体的・精神的・社会的等の苦痛の緩和」と入れていただけないかと思いました。
 その理由は、緩和ケアに関しましては、「がんと診断されたときから」ということで、決して終末のことを言っているわけではないと思いますので、それを考えますと、これまでのがん患者の調査にもありましたように、貯金を崩して治療に当たったということもありました。そういった経済的、それから日常生活に関連するというところでは、3014のところに「身体的・精神心理的な苦痛により日常生活に支障を来しているがん患者の割合」ということで、3割いらっしゃいます。こういったエビデンスを基に、ここに「社会的」ということを加えていただきたいということ。
 それはなぜ重要かと申しますと、相談体制のところで、先ほど別の委員からもありましたけれども、社会保障を周知する。それから経済的な側面でもサポートする。もちろん心理社会的な側面も重要です。これも踏まえた形で4期の計画の相談支援体制のところにもぜひ盛り込んでいただくような形で。もう一つは、今後の調査の中にもそこのところをぜひしっかり調査項目として入れていただきたいと思いました。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございます。
 今の緩和ケアと苦痛の問題はこの十数年みんなが悩んできたというか、WHOの定義も少しおかしなところがあるし、日本にそぐわないところもある。例えば「霊的の」というのは、ほとんど誰も分からないのです。それを結果的にどう整理してきつつあるかというと、1つは身体的な苦痛。心の苦悩。それから、苦痛ではないのだけれども、どうやって診療をうまく受けられるのか、お医者さんとの関わりはどうなのかとかという診療上の悩み。そして最後に今おっしゃったような社会的な課題というふうに大きく4つに分けられるのだろうなと思います。そもそも緩和ケアで言う「苦痛」というのは、終末期に専門家が整理した話なので、最期の段階での「苦痛」という整理になっていまして、ちょっと合わないところがあります。
 そういう観点で、診断当初からの緩和ケアも医療現場は大混乱に陥った部分で、一体何をやるのか、一体誰がやるのかということで、これも初期のがん対策推進協議会の中で数年間もまれた話です。それが今、こういう形になっているのですけれども、確かに「身体的、精神的、社会的」というのは残りますので、それを「緩和ケア」と呼ぶか否か。誰がやるかということも踏まえて。ただ、患者さんがそういう悩みを抱えることは間違いないので、それに対してどういう対処をするのか、がん対策推進協議会としてはどういう方針で臨むのかということが徐々に整理されていくのだろうなと思いますので、その文言、どういう出し方をするか、この点については事務局と相談をさせていただき、御意見を踏まえて改定していきたいなと思っております。それでよろしゅうございますか。
○小原委員 はい。ありがとうございました。
○山口会長 次に、谷口委員がお手を挙げておられたように思ったのですが、いかがですか。
○谷口委員 すみません。大分時間も過ぎているので下ろしたのですけれども、私から言いたかったのは1点だけです。コロナ禍でいろんな人がオンラインを使っているという話があって、相談体制のところで意見を言われた人がいらっしゃいましたが、オンラインのようなものは、施設整備にお金がかかるとか、プライバシーの問題をどう担保するとか、いろいろ課題はあると思いますけれども、いろんなやり方の選択肢を広げるという意味で、これについては積極的に今後検討したほうがいいのではないかなと思いましたので、一言発言させていただきます。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 それでは、池田委員、お願いします。
○池田委員 あまり時間がないということなのですが、ちょっとお話をさせていただければと思います。皆様のようにうまくお話ができないのですが、私が言いたいところは、まず就労支援についてということでお話がありましたが、就労支援について評価できるということで記載してあるのですが、現状として復職とか、就職の時点でも書類の時点で落とされてしまうとか、そういったお話もたくさん聞いていて、病気をしているということだけで断られてしまうという現状も多々あると思いましたので、ここの就労支援がまだまだ課題が多いなと感じたのが1点。
 あとは、先ほど三上委員から教育の話が出たのですが、治療後に復学をしたときに、学校によって評価の仕方が様々であるということがちょっと課題であると私は感じています。学校側の協力が得られないことによって、授業なりに出られなかったときの評価の違いが学校によって差が出てしまうということがあると聞きましたので、そこがまだまだ問題であって、授業に出られないときに、レポートなどで単位が取れるような仕組みが今もあるのですけれども、学校によってはそれが駄目だというところもありますので、均一化が取れないものかなと考えていて、そこをまた考えていかなければいけないなと思いました。
 前回の協議会のとき、最後に少しお話をさせていただいたのですが、小児がんの患者さんに対して、専門性に富んだ看護師の人材育成ということでお話を少しさせていただいたのですが、今回も41ページのところに「がんによる身体的な痛み」ということで、先ほども少しお話に出たのですけれども、ここは緩和ケアということだったのですが、身体的だけでなく、精神的な心の痛みといったこともAYA世代のがん。AYA世代だけではないのですが、とてもライフステージが多い時期ですので、このときにがんになるということに対して、精神的なものが多いと思いますので、その際に専門性の知識のある看護の方の役割がとても大きいと思いますので、前回もお話しさせていただいたのですが、今回も併せてお願いをしたいと思い、お話をさせていただきました。
 ありがとうございます。
○山口会長 後者の部分は多分人材育成のところに関わってくる話だと思います。教育のところは、今日文科省の方に来ていただいていますから御検討いただくと。就労のところは、池田委員からお話が何度かありましたので、これもまた考えていかなければいけない問題だと思っております。
 ありがとうございました。
 羽鳥委員、お願いします。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。今日はどうもありがとうございました。
 全体を通してですが、僕も厚労省の会議、例えば循環器病対策とか難病支援とか小児慢性疾患、特定疾患、特定健康診査などを見ていますと、ほかの疾患の対策に比べてがん対策は圧倒的に進んでいると思います。これから心不全パンデミックとか様々なことが起きてくる。比較を見ても明らかだと思います。ただ、子宮頸がんとか大腸がんとか幾つかの疾患についてはまだ十分ではないということで、子宮頸がんについてはワクチンもそうでしょうし、検診の仕組みも難しいところがあるのかもしれません。全体として諸外国に比べて検診の受診率そのもののデータがきちんと取れていないとか、仕組みの評価が難しい。プログラム制でないとか、いろんな問題があるかと思うので、その辺を次の第4期では真剣に討議していただきたいと思います。
 もう一点、緩和ケアの話もありました。僕は日本専門医機構のほうで仕事をさせていただいているのですが、そこでもいわゆる基本領域ではなくて、サブスペ領域としての緩和ケアとか、がんの化学療法について、患者さんから見れば、どうしても専門医の先生に診てほしいということがあると思うのですが、医師は一定の数しかいないこともそうですし、専門領域にどんどん深くなっていってしまうと、ほかのことが診られなくなってしまうということもあるので、あまり専門医指向にならないで、全体を診ていくような方策も大事なのだろうなと思うので、その辺も次の第4期のときには書き込んでいただければと思います。全体としてはすごくいい方向に向かっているので、大変感謝申し上げているところです。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 石岡委員。
○石岡委員 私、今の御意見に実は反対なのです。今、専門医機構のサブスペの議論がありましたけれども、そもそもこのがん対策というのは、より専門性の高い医療従事者を育成して、個々の問題に取り組めるような医療提供体制を構築するということが基本的な問題で、先ほど来例えば小児・AYA世代の問題、そういう専門の看護師を養成する、スペシャリストを養成するということは、このがん対策を推進する上では一丁目一番地だと思っています。
 医療従事者は当然広くがん、この高齢化社会においてはがん以外の疾患を併存する人が非常に多いということで、がん医療専門医、学会もそういった複合的な領域に対応できる専門医を養成する方向にかなりかじを切ってきていますので、それが専門医にこだわる必要はないということとは違うと思うのです。あくまで専門医であって、その専門医の教育の中で幅広く診られるようにするということに向かうべきだと思いますので、専門医にこだわる必要はないという意見には反対です。
○羽鳥委員 例えば緩和ケア学会では専門医数1,000のオーダーも行かないわけです。その一方で、がん拠点病院で必ずそういう専門医の先生を置かなければいけないということになると、どうしても欠格事項が出てきてしまうことが多々あるので、そうすると、拠点病院、あるいはがんを標榜することができなくなってしまったようなところが非常に増えてきてしまうということもあるので、少なくとも専門医機構の認定するがん専門医、あるいは専門医機構の認定するサブスペでなくても、学会認定、機構承認とか、そういう少し緩めのものがないと、恐らく日本の医療は回っていかないのではないかなと思います。
○石岡委員 そういう意味であれば反対ではないですけれども、ただ、あまり緩くする。具体的に言えばがん治療認定医。これは私も持っていますが、そういったレベルのものではこのがん対策に書かれているようなものには対応できないだろうと思います。ですから、あくまでも専門医ですよ。機構が認定するような。機構というのは、別な法人が認定するような、レベルはそれほど高くないけれども広い知識を持たせるような、そういった認定医的なものも含めてこの指定要件に入れるということに関しては反対です。
○羽鳥委員 その辺はぜひそうしていただきたいと思います。
○山口会長 会長として整理をさせていただこうと思うのですが、がん対策に向けて、長期的視野に基づいて専門医あるいは専門職を育成していくという石岡先生の御意見には誰も反対しないと思います。一方、現実の問題として、石岡先生よく御存じのとおり、47都道府県を比較しても専門医がほとんどそろっていない都道府県もあるわけで、歴然とした地域格差が存在しているわけです。多分羽鳥先生のおっしゃっていることは、理想はそうなのだけれども、では、あまりがちっと言ってしまうと、誰もがん対策に参加できなくなってしまうよということだと思いますので、お二方がおっしゃっていることは全くそのとおりだと思うのですが、今の話と長期的視野の話と、それで長期的視野に基づいて今から進めていく話、その辺をしっかり整理して事務局のほうで考えていただこうと思いますが、お二方、それでよろしゅうございますか。
○石岡委員 それで結構です。
○羽鳥委員 僕も結構です。ありがとうございました。
○石岡委員 全体のところについてまだ意見を言うところはありますね。後半の、今日の尊厳のところですね。まだ議論。
○山口会長 あと意見を言う機会は、ここが1回と、それから全体像をまとめたところでもう一回あります。
○石岡委員 分かりました。
○山口会長 飯野委員、お願いします。
○飯野委員 どこで言おうか迷っていたのですが、人材育成の話なども出ているので、お話したいことが2つあります。文言がどうかということではなくて、目標の設定の仕方とか、調査の仕方についてです。まず、目標の設定、例えば緩和ケアの研修修了者が何人とか、講座を設置している大学は幾つだとか、就労に関わる相談が何件、2万5000件を超えていますというような目標があるのですけれども、もちろん量で評価をしていくということも大事なのですが、もう少し踏み込んだことで言うと、質の評価といいますか、研修に参加した人たちがそれによって臨床でどのぐらい役に立っているのかとか、就労の相談を受けた後、就労がどうなったのかとか、例えばがん教育についても、外部講師の活用がまだ少ないという数のこともあるのですけれども、外部講師が来て教育がどう変わったのかとか、大変難しいとは思うのですが、数だけではなくて、質のところの評価ということも考えていかなくてはいけないかなということが1点です。
 もう一点は調査のことです。先ほど森内さんからがん相談支援センターの話もあったのですが、患者の3人に2人は知っているけれども、利用につながったケースは僅かだったと。利用しなかった人に対してその理由をさらに詳しく聞いてみるとか、例えばがん情報サービスについても、アクセスした人の7割は求めた情報にたどり着いたけれども、3割はたどり着いていないとすれば、その3割の人はどんな情報を求めていたのかさらに詳しく聞いてみるとか。対策に結びつくような深掘りした調査ということができれば、もっと具体的な提案ができるのではないかなと感じています。
 その2点です。
○山口会長 飯野委員が毎回質のことをおっしゃっていただいて、みんな大変そのとおりだなと思うのですが、この評価はなかなか難しいのです。数というのは割とすっと出てきますけれども、しかし、一人一人の評価というのは、例えば先ほどちょっと議論があった専門医の資格を取っていれば、これは質がいいのだろうと。認定医もある程度質がいいと思っておりますが、それ以外のところで相談支援センターの質の問題とかというのがなかなか困難が生じるなとは思いますけれども、何かいいお知恵はございませんでしょうか。
○飯野委員 患者調査とか遺族調査は今回もおやりになっているので、そこのところで利用者サイドの受けとめをきいてみるとか。相談支援の何がよかったのか、何が悪かったのかといったことをきいてみるということもあり得るのかなと思います。あまりいいアイデアがなくて申し訳ありません。
○山口会長 相談支援のほうは、先ほどもちょっと申しましたが、この世界は全ての人が相談支援に行くという話では決していないです。大多数は多分必要ないのだと思うのです。本当に必要な方だけが来ているというのは、現実として随分変わってきたと思いますので、後半の部分は確かにそのとおりかもしれません。
 この点について、ほかの委員の皆様から何か御意見ございますか。特に質の担保ということに関して。よろしゅうございますか。なかなか難しい問題だと思うのですけれども。
 事務局から何か。質と言われると。
○がん対策推進官 私たちとしてもそういった質の評価というのは非常に難しいところです。こういった基本計画の中でも、定性的なものというのは、今回の中にもいろいろと入れ込んでいるところではありますが、そういう形にどうしてもなってしまうというところです。いろんな御提案などを具体的にいただければ、それらを踏まえて検討することもできますので、ぜひ先生方のお知恵もいただければと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
 そのほかに御意見は。中釜委員、お願いします。
○中釜委員 中釜です。
 今の飯野委員からの御指摘で、従前から質の評価のことを御指摘いただいているのですけれども、確かに中間評価としてそれをどういうふうに今後の計画に書き込むかということは、なかなか難しいところもあるかと思うのですが、一方で、飯野委員が御指摘のように、これまでそれに資するような調査が行われて、具体的なデータが抽出でき切っていたのかということも課題としてあると思います。質の評価も目指すというような大きな理念みたいなものを書き込むというのは、一つの方向性としてあるのかなと思います。いつまでもそこが明確にならないと、何となくある事業を行ったとか、ある対策を取ったということで終わってしまう可能性があるので、最終的にアウトカム評価を目指すのだというように書きぶりを少し工夫していただくといいのかなと思いましたので、御参考いただければと思いました。
○山口会長 今の中釜委員の話も含めて、まずは数で何とかしようとするのです。数の次の質と言われると、学会の認定、受けているかどうかというところに話が進むか、あるいは例えば相談支援員でしたら、国立がん研究センターの講習を受けているかどうかというのが拠点病院絡みのクオリティーを保つテクニックと言っていいかもしれませんけれども、そういう形で進んできているのは事実だと思います。
 ただ、非常に細部にわたってこの質がどうかというのを認定する質の認定というのは、大変難しい問題だと思いますので、がん以外でそういう事例があるかどうか、厚労省として御検討いただき、ちょっと知恵を絞っていただこうかなと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、このパートについては意見が出尽くしたようですので、ここで休憩を取らせていただこうと思うのですが、これから10分間。2時55分に再開させていただきますので、委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 
(休  憩)
 
○山口会長 それでは、委員の皆様、再開させていただきます。53ページ「4.これらを支える基盤の整備」からの議論になります。まず、事務局から御説明をお願いします。
○がん対策推進官 それでは、資料3の53ページを開けていただければと思います。「これらを支える基盤の整備」についてでございます。(1)は「がん研究」というところでございますが、53ページの下から「がん研究10か年戦略」に基づき、順調な進捗であるが、各研究分野について、患者及びがん経験者の参画をより一層推進し、患者目線で、必要とされる領域の研究を推進していく必要があると記載してございます。
 54ページ目、「(2)人材育成」として、先ほども幾つか御意見をいただいたところでございますが、55ページの上、各専門職種に関して研修事業等を進めているところであるが、がんゲノム医療コーディネーター等の順調に増加している職種も含め、量的な推進だけでなく、今後のがん医療のあり方も踏まえた取組を、引き続き、文部科学省とも連携して推進していくと記載してございます。
 55ページ目、「(3)がん教育、がんに関する知識の普及啓発」でございます。
 56ページ、学校教育及び社会教育におけるがん教育やがんに関する知識の普及啓発について、更なる推進が必要とされているところ。特に、学校教育において、文部科学省と連携し、外部講師のさらなる活用を含め、がん教育の効果的な取組について引き続き検討していく必要があるとしております。
 57ページの「がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」として、「1.関係者等の連携協力」「2.都道府県による計画の策定」「3.がん患者を含めた国民の努力」「4.患者団体等との協力」「5.必要な財政措置の実施と予算の効率化・重点化」「6.目標の達成状況の把握」というところをまとめまして、59ページ目、がん対策推進計画の策定過程におけるがん患者を代表する者の参加については、国のがん対策推進協議会への参加割合を参考にし、各都道府県とも連携し、がん患者等の意見の把握及び施策への反映を推進していく体制を確保する必要があるとしているところでございます。
 以上、簡単ではございますが、事務局からの説明です。
○山口会長 それでは、今、御説明があった部分について御意見、御質問を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。先ほど前のほうで教育、人材育成、あるいは研究に関しては話題が出ておりましたので、そのときに御意見をいただいた部分が結構多いと思いますが、いかがでしょうか。石岡委員、お願いします。
○石岡委員 55ページのところですが、「各専門職種に関して研修事業等を進めているところであるが、がんゲノム医療コーディネーター等の順調に増加している」という書きぶり、それは確かにそうだと思うのですけれども、後で総論のところでも申し上げますが、全体としては増加しているけれども、私の調査では地域格差が非常に大きいという課題がある。このがん対策推進基本計画は基本的には1期から「均てん化」というのが一つキーワードになっている中で、全体としては増加しているけれども、地域間あるいは医療機関格差という問題が非常に大きな問題だというところの書き方がここに足りないのではないかと思います。「順調に増加している」という言い方を少し工夫して、「地域格差があるが」とかというのが。量的推進でなくて質の問題だと思うのですけれども。
 あと、ここに引き続き「がん医療のあり方も踏まえた取組」と書いていますが、例えば当初設定してある4022のがんゲノム医療コーディネーター研修会参加者数、これは厚労から私どもの学会に委託された研修会の修了者数を書いてある。その部分はいいのですが、現場で一番困っているのはここではなくて、学会認定の認定遺伝カウンセラーなのです。ですから、ここはもともとの指標がそれがなかったわけですからしようがないのですけれども、そういったほかの職種も必要だということも何か記載できるといいのかなと考えました。
 私からは以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 事務局からコメントをお願いします。
○がん対策推進官 御意見ありがとうございます。
 特にがんゲノム医療コーディネーター等の書きぶりであったり、他の職種も含み得るというところで、少し書きぶりの調整はしてみたいと思います。
○山口会長 長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 肺がん患者の会ワンステップの長谷川です。
 私はがん教育についてお話をさせていただければと思います。がん教育ですけれども、来月から高校の教科書にも入って、実際に小中高と現場で進められていっている。どうよりよいものにしていくか、どう運用していくかというところに入ったのだなと思っています。その上で、できれば中間評価の書きぶりに反映してほしいところということで2点挙げたいと思っています。
 1点目です。まず、今までやってきた実績を書いてはどうかと思いました。具体的に言うと、今、シンポジウムなどの実績、どんなことを今までやってきたのかということが書かれているのですけれども、それ以外にも、文科省はがん総合支援事業として外部講師のリスト化であったり、研修などであったり、都道府県が主体的にどうやって取り組めるかということを取り組んでこられたと思います。その辺のことがあまり書かれていないのです。今は本当にありたい姿、目標に向かっていく階段を設定していって、そこを登っていっているという段階だと思います。だったら、今までやってきたことはちゃんと書き込んで、次につなげていく。そんなふうに変えていただけるとうれしいなと思っております。
 2つ目です。都道府県のがん対策推進協議会との連携について文言として少し加えていただければなと思っています。これはどういうことかというと、国立がん研究センターの研究者やほかのがん教育に関わる研究者が教育委員会の困り事を調査している、そんな論文が出ています。その中で、困り事の多くががん対策の担当課がなかなか協力してくれない、連携がうまくいっていないなということが浮かび上がってきました。言葉を選ばずに言うと、都道府県のがん対策協議会側が教育委員会側にがん教育を丸投げしているみたいな、そんなイメージもその論文を見ると何となく読み取れる感じがします。
 そしてまた、私自身は神奈川県でがん教育を実際に外部講師としてやっている人間でもあるのですが、その肌感としても確かにがん対策協議会はがん教育を進める中に入ってきている印象はあまりないなと思っている次第です。したがって、どんなふうに運用していくべきか、よりよいものにしていくかという今の中間評価の提言に当たっては、がん対策担当課もがん教育というのはがん対策を推進する一分野であるといった認識に改められるような文言が入るとうれしいなと思っている次第です。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 前半のお話は2年ほど前のこの協議会で少し議論があって、その数値、実績を述べたほうがいいのではないかという議論があったと思いました。そのときは数字をまとめるのがとても困難だということで、現在に至っていたと思うのですが、長谷川委員がおっしゃっている実績は、全国的に、あるいは各都道府県でどれぐらいの教育の機会があったかというその数値をおっしゃっているのでしょうか。
○長谷川委員 いえ、細かい書きぶりとしてどのようなものが適当かと言われると、答えに窮してしまうのですけれども、文科省が現場のがん教育がうまくいくようにと言って、総合支援事業というのをつくってお金を出していて、実際にそこで実績として外部講師のリスト化であったり、実際の教員に対してがん教育とはどういうものだという研修をしていたり、いろんな活動がされていると思います。その辺のことを細かくは書かなくていいと思うのですが、今は国がやった年に2回のシンポジウムの数が1,000人行ったみたいなことが中間評価の文言に書かれているのですが、それを書くのであれば、全体的にいろんなことをやっているので、そういったことを総花的というか、全体的に書いたほうがいいのではないかなと思った次第です。それがまた次につながっていくといいなと考えています。
○山口会長 後半の部分の協議会と教育委員会との関連とか、教育状況というお話ですが、ちょっと推測の話もありましたし、都道府県によってこれは随分違うのだろうなと思いますが、谷口委員、島根県の状況は、今のお話から見てどうでしょうか。谷口委員、いらっしゃらないですか。
 分かりました。
○石岡委員 石岡ですけれども、山口先生、今の件でいいですか。
○山口会長 どうぞ。
○石岡委員 私は長年、宮城県のがん対策推進協議会に関わっておりまして、最初から十数年関わっています。今、2期目の会長をやっております。今の長谷川委員の御指摘は非常に大事なところで、がん教育というのは児童生徒、あるいは患者・家族も含めてですが、なかなかうまく進んでいないというのが正直なところです。宮城県においては十分に行われていない。
 私、どこかで申し上げたのかもしれませんけれども、これは各都道府県が自前で用意するよりも、もちろんツールや講師を紹介するということもあるのかもしれませんが、この問題については徹頭徹尾集約化したほうがいいのではないかと思っています。教育はどこの初等中等教育もインターネットの授業が普及しておりますので、がん教育に関しましては地域で対策するのではなくて、文科省がこの教育を義務化して受講させる、そういう仕掛けにしたほうがベースの部分での均てん化というのが非常に効率よく進むと思います。そのほうが都道府県の格差がすぐに埋まると思います。学校の教科書が全国共通なのと同じで、4期はこういったがん教育に関しては全国一律、同じ教育を受けさせるという方向にかじを切ったほうがいいと思うのです。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございます。
 では、そういう点を踏まえて、事務局、文部科学省の方から御意見を賜りたいと思います。
○がん対策推進官 文部科学省健康教育・食育課の方、いらっしゃいますでしょうか。
○初等中等教育局健康教育・食育課 文科省の健康教育・食育課でございます。
 御意見ありがとうございました。ここの記述についてどう書くかというのは、後で事務局とも相談したいのですが、幾つかの点についてお答えをしておきたいと思います。
 まず、やってきたところ、確かに理由はあって、来年度予算でも引き続きこのがん教育総合支援事業は続けていきたいと思っております。そういった中で、先ほどシンポジウムの話、いろいろな差があるのではないかというお話もありましたが、実際差があるというのは確かだと思っています。ですので、そういった点については、できるだけ好事例を共有化する。また、開催したときのポイントとなる点みたいなものはしっかりと共有しながら、全体の底上げも図りながら取り組んでいきたいと思っています。
 もう一つ、教育のやり方のお話がありました。まず、協議会の関係で自治体のがん対策課のほうが教育委員会に丸投げしているのではないかというお話ですが、実際外部講師をお願いするリスト化等々もお願いしておりますけれども、そういった中では、拠点病院をはじめとして、地域にどんな人材がいらっしゃるのかということがまずあって、それをリスト化しているということになりますので、その観点ではやはり教育委員会だけでやっているわけではなくて、都道府県のがん対策課もかなりいろいろとコミットしていただいていると我々は報告を受けております。
 全国一律でというお話がありましたけれども、まさにその観点から言えば、冒頭長谷川委員からも御紹介いただきましたように、全国一律の内容として疾病の問題のときにがんを取り扱うというのを今回の一連の学習指導要領の改訂の中で入れていった。それについて、今、いろんな事業を使いながら、例えば指導資料の改訂であるとか、参考資料となるものの改訂であるとか、シンポジウム、教員や外部講師の研修、そういったものを行っているところでございます。
 他方で、これを文科省の立場から言うと、地域地域でいろんな状況がありますし、外部講師の方々もいろんな方がいらっしゃると思っています。そういったものを生かしていくというやり方。あとは各学校の中で例えば子供の中とか先生の中に関係者がいらっしゃるようなことがあって、配慮しなければいけない場合というのもあるでしょうし、逆に言うと、そういったものを教育の中で生かしていくというやり方もあろうかと思います。いろんな教育、そういった目的、進め方、そういった多様性というのもあっていいのではないかと思っておりまして、そういったものを生かしていく部分ということでいけば、学習指導要領で全国で共通化している部分と、他方で各地域のいろんなやり方、取組、独自性、2つの部分を取り入れながらこのがん教育が進んでいくべきだろうと考えております。ですので、その辺りは今後も総体として進んでいくように我々としても関係省庁と連携しながら取り組んでいきたいと思っておりますし、また、関係団体とか関係省庁と連携をしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 では、今後厚労省と文科省との間で議論しながら、最終的に固めていただきたいと思います。
 それでは、松田委員、お願いします。
○松田委員 先ほどがん対策においては量だけではなくて質の議論が必要だというお話があったかと思いますが、私はがん対策において職域の果たす役割は非常に大きいと思います。そこで、先ほど御説明いただいた資料の56ページで、がん対策推進企業アクションの参加企業数というものが2018年と2020年で比較されています。2020年には参加企業が2割以上増えているのですが、増えた企業あるいは2割増えたことによって職域におけるがん対策がどうなったのかということが非常に関心のあるところです。例えばがん検診の実施状況とか、仕事と治療の両立支援とか、先ほどあった就労支援、がん教育、これらの企業ではどう変わったのか。分かっていることがあれば教えていただければと思います。
 以上です。
○山口会長 事務局からお願いします。
○がん対策推進官 正直に申し上げますと、我々として、ここの辺りについて新たに企業アクションに入ったこと等によってどういったことが変わったのかというところまでは把握し切れていないというところでございます。
○松田委員 分かりました。先ほど申し上げましたように、職域の役割は極めて大きいと思いますので、今後、単に企業アクションの参加人数だけではなくて、どうなったかということを職域全体として把握する仕組みが重要かなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山口会長 関連して、松田委員御専門のがん検診に関して、職域は非常に大きい部分がありますので、先ほど事務局から御紹介があった「がん検診のあり方に関する検討会」で職域のがん検診に関してはどういう議論。かなり深掘りされた議論が進み、例えば次の第4期にはそれを生かしていけるような状況なのか、あるいはこのあり方検討会では職域はまだあまり議論されていないのか、その辺りはいかがでしょうか。
○松田委員 ありがとうございます。
 「がん検診のあり方に関する検討会」では3~4年前に「職域におけるがん検診に関するマニュアル」というものを出しました。当初は「ガイドライン」という名前にしようと。さきのこの協議会でもお話をしましたけれども、「ガイドライン」というのは強制力を持たせるような表現なので、それは適切ではないのではないかということで、「マニュアル」という名前に落ち着いた経緯があります。ですから、法的な根拠がなく、企業もしくは健保組合が自分たちの努力の下に従業員の健康管理や福利厚生を目的としてやっているので、あまり縛りをかけられないけれども、やるのだったらこういうふうにしてください。具体的には職域におけるがん検診も市区町村がやっている検診と同じようにぜひやってください、精度管理もしてくださいということまでは書いたということです。ただ、それは拘束力がまだありません。それをもう一歩進めると、全ての就労者ががん検診を受けられるような体制に持っていかないと、日本のがん対策は十分な機能を果たさないと思います。行く行くは職域のがん検診も法律に基づいて行うという議論が必要になろうかと思いますが、まだそこまでは議論が進んでいません。やるのだったらこうしてください、手本は市区町村の検診というところまでは書き込んだというところです。
○山口会長 ありがとうございました。
 そのほかに御意見はいかがでしょうか。今のところ挙手機能ではどなたも挙げていただいていないようですけれども。小原委員、お願いします。
○小原委員 ありがとうございます。
 事務局から教えていただきたいというところです。58ページに「必要な財政措置の実施と予算の効率化・重点化」というところがあって、そのところで「近年の厳しい財政事情の下では、限られた予算を最大限有効に活用する」という文言があり、当然ながら財政というのは非常に厳しくなっていくというのは周知のことですけれども、1点は、このがん対策の予算概要というのがどういうふうに厳しくなっていったのかというのが、今までの中で資料がなかったのかなと思いますのと、それぞれの大きな全体目標のところで、多分厚労省のほうで予算化がされていますね。予防のところとか共生のところとか様々な。そこのところで今回の3期の予算がどれぐらいあって、どういうふうに今、執行されているのかということと、それから今、インパクトの評価をされていると思うのですが、コストパフォーマンス評価というところまでこの協議会でするのか、しないのか。それから、そこのところをどこかで評価されるのかというところを教えていただきたいと思いました。
 なぜかというと、先ほどどなたか委員がおっしゃっておりましたが、第4期の概算要求のところでも関連してくるので、予算のところと計画というところが関連して、私たちも考えていく必要があると思いますので、そこのところを私のほうで理解をしていないものですから、教えていただけたらと思いました。
 以上です。
○山口会長 事務局で分かる範囲でお願いします。
○がん対策推進官 このがん対策推進基本計画自体は政府として閣議決定しているものでございますので、予算自体は厚生労働省だけではございません。そういった点では、今、文科省さんにも来ていただいておりますし、厚生労働省の中でもがん以外の労働部局等々も入った形になっております。
 また、様々な医療提供体制の確保などに関しましては、予算として目には見えないけれども、診療報酬等々の中で手当てをしていくことで対応しているものもあるところでございます。
 そういった背景を踏まえた上で、例えば今年度の予算がどうなっているのか、去年までどうだったのかというところに関しては、もし御要望がございましたら、次回の協議会で資料を出させていただいて、こういう形でやっておりますとお示しすることは可能かと思っております。
 当協議会はがん対策全体を俯瞰して見る中で、例えば、こちら側により注力するような形としてはどうかといったご意見をいただければ、そういったことも踏まえて検討していくところでございます。ただ、ここに記載しております個々の事業の重点化、効率化等の議論に関しては、個事業を担当している検討会などの中でより精緻にやっていると認識しております。例えば「がん検診のあり方に関する検討会」の中では、がん検診を推進するための事業は厚生労働省として進めているものがございますので、その事業をどうアレンジしていくとより効果的になるか、効率的になるか、そういった議論も併せて行っているところでございます。ですので、本協議会においては、それぞれの事業の間の中でよりこちら側にシフトしていく、そういった大きな方向性などについて御議論、御意見を頂戴できればと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
 そのほかに御意見はいかがでしょうか。
 会長としてちょっと気になる点は、59ページの「がん対策推進協議会としてさらに推進が必要と考える事項」。要するに、これは都道府県の協議会への患者代表、あるいは患者支援団体の方の参加がやや少ないのではないかということに関する協議会としての必要事項なのですが、御参加の患者団体、患者支援団体の皆様におかれては、この文言でよろしいかどうかというのを念のため確認させていただこうかなと思いますが、御意見ございませんでしょうか。土岐先生、お願いします。
○土岐委員 患者団体とか患者団体さんとの話し合いの中で、こういうものに参加できるような知識とモチベーションがある患者さんがどれぐらいいらっしゃるのかなというのがあって、特に我々の学会では今後患者さん育成というか、患者さんに例えば臨床試験とか政策とかに参加できるような教育をもっとしなければいけないのではないかとか、そういう方向で動いていますけれども、皆さん方はこういう方に参加したいというモチベーションと知識、その辺りのことをどういうふうに感じておられるのか、常日頃聞きたいと思っておりました。ぜひこの機会に御意見を聞かせていただきたいと思います。
○山口会長 患者団体、患者支援団体の方、御意見はいかがでしょうか。「必要な事項」の3番目に「がん患者を含めた国民の努力」というのを強く言ったというのは、第3期の基本計画の特徴なのです。一言で言えば「患者参加」という言葉に多分つながると思うのですけれども、そうであれば、いろんなところのがん対策に患者団体、患者支援団体の皆さんの声がしっかり反映されるといいなと思っておりますし、国はこういう形で25%委員を入れていただいているわけですが、今回この文言に関してはこれでよろしゅうございますでしょうか。では、三上意味、石岡委員、長谷川委員の順番で御意見を賜りたいと思います。
○三上委員 「にじいろ電車」の三上と申します。
 私自身もこのがん対策の委員に参加する際にちょっと知識が追いつかないなというところもありました。今、コロナ禍の中でオンラインで全国の親の会の連携がすごく取れている中で、ピアサポーターの研修会であったり、基礎編からその次の段階を患者団体としてどうやっていくかとか、そして、薬剤開発、妊孕性だったり、それぞれこういう課題があるよというのを共有する中で、では、この項目についてはどこどこの親の会の代表の方が参加しようとか、そういうところで少しずつ私たちも知識を今、勉強しているところです。ただ、そういう勉強していく段階を、病院側のほうからどういうステップを踏んでいくと知識を向上させられるかとか、そういうところがまだできていないのかなという感じはあります。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 石岡委員。
○石岡委員 この記載に加えてジェンダーのことを入れたらどうかと思いました。女性ですね。この国の協議会は、先ほど数えたら、委員の中に女性が6~7名おります。一方、私は宮城県ですけれども、他県は調べたわけではありませんが、私どもの協議会ではたしか2人です。看護関係の方が1人と、それから1期から入っています患者の会の方で、その方はたまたま女性だということです。申し上げるまでもなく患者さんの半分は女性です。その割に女性の委員が各都道府県の協議会で少ないということもありますので、「各都道府県とも連携し」というところに何か関係してジェンダーのことも書ければいいのかなと思いました。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 長谷川です。
 まず、文言に関してですけれども、今までの議論を踏まえて国に合わせるというような書きぶりだったと思うのですが、非常にうれしいなと私自身は思っていました。
 また、石岡先生がおっしゃったとおり、ジェンダーであったり、年齢であったり、幅広い人が参加できる状況があるといいなと思った次第です。
 患者側のこういったところに参加する意識ということで言うと、確かに医療というのは施されるもので、自分も一緒につくっていくという感覚が患者一般にはそれほどないのかなと思っていますけれども、世界的に見ても今、いろいろ変わっていく過渡期なのかなと思っています。これについては患者側も一部声を上げているのもそうですし、先生方もすごく好意的に進めようと考えてくださっていて、もちろんこの協議会も象徴ですし、患者参画という意味では日本臨床腫瘍学会、日本癌学会、癌治療学会、それから各がん種、もしくはJCOGみたいな臨床試験グループだったり、例えば患者市民参画のグループをつくっていって、非常にフレンドリーに患者に配慮しながら成長させていってくれている、そのような場をつくってくださっていると思います。なので、あと数年ぐらいすると、先生方も、あ、こんなモチベーション、能力を持った患者さんがいるのだなと思われるようになるのではないのかなと思っている次第です。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 大西委員、お願いします。
○大西委員 キュアサルコーマの大西です。
 私も先ほどのジェンダーと、あと、ある都道府県では逆に固定化してしまっているところもあります。ですから、その辺の流動化、何年間に1回替わるとか、そういったことも必要ですし、出ることによって患者は勉強します。ですから、どんどん新しい人に入ってきてもらって、わが国のがん対策をぜひ勉強していただきたいと思います。ですので、当然複数名参加していただきたいと思います。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 中釜委員、お願いします。
○中釜委員 中釜です。
 59ページの最後の記載に関してです。これはいろんなステークホルダーの方々が協力をして進めていくという、これ以上の書きぶりはなかなか思いつかないのですが、ただ、57ページからのがん対策を総合的に推進するための事項として、様々な連携、協力、強化が必要だということがうたわれています。そのために国が定めた基本計画に沿って都道府県が施策を定め、さらに都道府県の役割として地域の連携病院と連携しながら、その地域でどうやって施策の実効性を高めていくのか。そこには最終的な医療の共有者である患者さんの目線からの参画も重要です。これを一体化して取り組むのだということは当初からうたわれている姿勢だと思うのですが、国の役割、都道府県の役割、地域医療の役割、患者さんの役割というところは、お互いの役割がオーバーラップする部分があると思うので、それを有機的・効率的に機能させるために、どういうふうにするとうまく連携をしながらよりよい対策につながるのかというところも踏まえた検討を進めるという意味での最後のこの書きぶりだと思いました。都道府県の役割、あるいは各ステークホルダーの役割について互いに共有し、さらに連携強化の在り方について進めていくことが重要だと思いますので、数値目標とは言いがたいですが、このような姿勢がニュアンスとして書き込まれてあるといいのかなと感じます。
 もちろん、これまでも基本法に基づいて取り組んできたと思うのですが、最終的に必要なものを広く課題点として拾い上げて、どういうふうにすると各地域に効率よく進められるのかというところについて、例えば今日も議論にありました地域格差はなぜ生じているのかというところを都道府県、あるいは地域医療、あるいは患者さんの目線で議論していくというところがこの3行の中にもう少し書き込めると良いと思います。今すぐには具体的な良い文章が思いつかないのですけれども、そういうことがあるといいのかなと今日の議論を聞いていて改めて思いました。もちろん私も考えますが、委員の先生方におかれましても、もしこの考えに同意いただけて、何かいい文案がありましたら、そういう追記の文章があるといいのかなと思いました。
 私からは以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見がなさそうなので、ここまでにさせていただこうと思いますが、追記ないしは修文に関しては事務局と相談させていただきます。
 今の患者会、患者支援団体の方からの御発言の中に、がんに関する知識あるいは医療に関する知識というお言葉があったのですが、私は率直に言ってそれは必要ないとは決して申しませんけれども、そのことをあまり意識されないほうがいいと思うのです。逆に言うと、医療関係者、医者、看護師、コメディカル全て、がんの患者になった方というのは非常に少ないので、みんな教科書、論文等を読みながら見よう見まねでやっているというのが真実なのです。そこを補っていただくのが、要するに、がんの患者になるとこういうことで困るのだよ、ここを何とかしてよということを発言していただくことが患者参加の、特に患者代表の委員の皆様のお役目だと思いますので、知識云々のことは必要ないと思いますし、我々としては患者に学ぶという姿勢で実際にはずっとやってきておりますので、そこを患者会の皆さんで共有していただけると、よりこの協議会等がよくなっていくのではないかなと思いますので、会長として一言申し上げておきたいと思います。
 それでは、次のテーマに移っていこうと思うのですが、これは時間のある限り取りまとめの段階になります。また1ページから戻って行けるところまでというのが今日の作業になります。
 それでは、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 それでは、冒頭から少し区切って御説明をさせていただければと思います。まず、7ページのところから始めたいと思います。7ページの前にも若干修正がございますけれども、「主旨」のところの最後の部分に「中間評価を行う」としたところでございますので、もしご意見があれば後ほどご発言いただいても結構でございます。
 7ページは「中間評価の要旨」ということでまとめております。前回、全体目標についてということで、1、2、3、それぞれ赤字で記載している内容で御提案をさせていただきました。その上で、最初の「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」という全体目標に対しまして、がん診療連携拠点病院等を中心に、がん医療の均てん化のため、診療提供体制の整備が進められてきており、一定の進捗が認められる。一方で、あらゆる分野で、がんに係る正しい情報の提供及びがん患者を含めた国民への普及啓発の推進が求められており、より効果的な手法等について検討が必要であると記載しているところでございます。
 さらに、「全体目標について」の1番目、がんの予防・がん検診につきましては、1番目の丸にがん登録に関する記載を少し充実させており、また、2番目の丸につきましては、感染症対策や治療方法の進歩などによる影響であったり、死亡率の減少に寄与する取組を地道に積み上げていく必要があると、内容の充実を図っているというところです。
 2番目の「患者本位のがん医療の実現」に関しましては、評価指標にない5大がん以外のがん種も含めと明確化し、更なる充実に向けてと追記をさせていただいているところです。
 8ページ目の一番上のパラグラフで相談支援及び情報提供という記載を入れ込み、また、最後の丸も一部追記しているところです。
 続きまして、9ページ目からの「全体目標についての進捗状況」というところで、ここも全体目標に関する状況をまとめているところでございますが、10ページ目、がん検診による早期診断を含む予防や治療の改善について、取組の対象を明確化しという形で追記しております。また、国民が利用しやすいがん検診の体制について、さらには諸外国のデータとも比較しながらと文言の充実を図っております。
 11ページ目、中間評価指標にないがん種、特に小児がん、AYA世代のがん、高齢者のがん、希少がん、難治性がんについてと、追記したところでございます。
 13ページ目、ピアサポート体制の充実も新たに追記しているところでございます。
 前回いただいたご意見を踏まえまして、反映させた点を7ページから13ページ目までのところで緑字で修正を行っているところでございます。
○山口会長 ありがとうございました。
 ここからはファイナルの一歩手前の議論というふうに御認識いただければよろしいのかなと思います。
 今の7ページから13ページまでの間で御意見を賜りたいと思います。石岡委員、お願いします。
○石岡委員 画面を共有させていただいてもよろしいでしょうか。
(資料を画面共有)
○石岡委員 これは見えますか。
○山口会長 皆さん、うなずいておられるので、大丈夫だと思います。
○石岡委員 イの一番の最初の7ページの新しく緑色で書き加えられたところについて、さらに私からの提案は、下の赤字部分の加筆をしていただけないかというお願いです。この文章は「がん診療連携拠点病院等を中心に、がん医療の均てん化のため、診療提供体制の整備が進められてきており、一定の進捗が認められる」ということで、順調に来ているという言いっぷりだと思います。目的はがん医療の均てん化ということです。しかし、この後、別のスライドでお見せいたしますが、それから先ほどもちょっと触れましたけれども、全体としての底上げは行われていますが、決して均てん化は進んでいないというのが私の意見です。そこで、「一定の進捗が認められるが、地域や医療機関の間に格差が存在する。また」云々として、「より効果的な手法等についての検討が必要である」という書き方はどうかという提案でございます。
 その根拠となるのは、文部科学省の医学教育課の方もいらっしゃって、よく御存じかと思いますが、文科省のプロジェクトでがんプロというのがございまして、私は15年間これに関わってまいりました。この前報告会をやりましたが、御存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、がんプロは1期、2期、3期で、5年ごとに行われて、この3月に3期が終了するプロジェクトです。その中で途中から小児、働く世代とか、ゲノム医療、ライフステージ、高齢者、AYA世代とか出てきましたけれども、もともとこれは均てん化という枠組みで進められてきました。私は東北大学を中心とする東北次世代がんプロフェッショナルの統括コーディネーターをずっとやってまいりました。この前、後ろのほうの薬物療法のところで、がん薬物療法の専門医の養成というのは進捗が思わしくないようなことを申し上げたのですが、これをよくよく調べてみますと格差の問題だということがよく分かりました。このグラフは、全体はこういう状況です。ここ3年間で少しずつ増えてきている。これは学会の調査のものです。
 これは都道府県、地域も含めたがん拠点病院にどのくらいいるかというグラフですが、国がんの2病院はこんなに数がたくさんいて、しかも増加率も非常に高い。都道府県がん拠点病院はそれなりに多いけれども、伸び率が国がんほどではない。地域がん拠点に至っては、増えてはいるけれども非常に低いレベルにあると思います。ですから、がん薬物療法、がんの化学療法の専門医というのは増えてはいるけれども、地域格差の問題というのはいかんともしがたい状況になっている。実際都道府県で人口当たりで調べてみましたけれども、これは8年間の統計ですが、高知県と宮崎県に至ってはこの8年間1人も養成されていないという状況です。
 これは8年前に調べたデータです。がんプロで、私どもの拠点が関係ありますがんプロ。全国がここです。ここで言うところのがん専門の医療従事者、薬剤師とか専門医とか看護師は大体100万人当たり100人いる。東北地方は、私の担当している4県は全国平均より低かった。しかし、県によって格差もありますし、医療職種によっても別な格差があるということが明らかだという状況です。
 最近の状況はどうかというのがこのグラフです。確かに格差は少し縮まったのですけれども、数は100人から全国も百六十数人になっていますし、私たちが関係している4県でも全体としては増えたわけです。しかし、依然として格差問題というのは解決していないということが明らかです。これは医師、専門医だけでないです。看護師とか薬剤師。先ほど出た認定遺伝カウンセラーの問題はここで調査しました。がんゲノム医療コーディネーターというのは研修会を日本臨床腫瘍学会でやっていますから増えているけれども、熱心な県とそうでない県というのは明らかだと思うのです。こういった問題を全国で調査していませんけれども、日本臨床腫瘍学会でこれを来年度やる予定です。
 私が先ほどからこだわっているところはここです。一定の進捗が認められるというのは、均てん化目的のために進捗があるというような書きっぷりですが、均てん化は多少は縮まった可能性があると思っていますが、しかし、底上げは図られているけれども、均てん化の問題は依然としてあって、それが地域の問題でもあり、医療機関間の問題であるというのは、データ的にも調べて、そうだと確信しています。したがって、ここの赤字の部分を加えてもらえないかというのが私の提案です。
 以上です。
○山口会長 先生、赤字の部分がちょっと読みにくいので、読み上げていただけませんか。
○石岡委員 「一定の進捗が認められるが、地域や医療機関の間に格差が存在する。また、あらゆる分野で」とずっとつながっていって、「より効果的な手法等について検討が必要である」というふうにしていただきたいなと思っております。
 以上です。
○山口会長 そうすると、先生のお考えは、もともと日本のがん対策は均てんが大きな目標であったので、その方向性を明確にしてくださいという御趣旨だと思うのですね。ただ、一方で、協議会の議論の中で集約化という問題も語られてきたと思うのです。例えば放射線治療を全ての拠点病院が同じレベルで持たなければいけないのかという議論は随分なされてきたと思います。特に拠点病院の指定、あり方検討会では、随分その議論がありました。ゲノムも同じだと思うのですけれども、その辺りの兼ね合いはどうお考えですか。
○石岡委員 ここで書いたのは、山口先生の御指摘のとおりですが、がんゲノム医療に関しても格差が明らかです。これはデータをまた別に持っていますけれども、今日土岐先生がいらっしゃいますが、例えば関西あるいは東京とかはがんゲノム医療中核拠点病院にぶら下がっている連携病院は、かなりの数がぶら下がっています。しかし、東北とか北海道、北陸といういわゆる地方色が強いところというのは、地域のがん診療連携拠点病院でありながら、がんゲノム医療連携病院になれない病院が非常にたくさんあるということで、そういった集約化をしているのですが、患者目線で考えたときに、その医療を受けられる人たちというのは集約化に対応した形で均てん化されているかというと、決してそうではないというデータも持っています。ですから、地域や医療機関の間に格差が存在するというのは、集約化が政策として取り組まれている例えば放射線とかがんゲノム医療においても全く同じことが言えるというのは私の手持ちのデータです。
○山口会長 分かりました。
 これは書きぶりが非常に難しいところがありまして、拠点病院の制度が2000年にできたときに議論が結構あったのが、全国の人が地方に国立がんセンターができるのだという夢を皆さんが持たれたのです。47の国立がんセンターが全国に散らばってできるというような議論もあったのです。ですので、均てんという問題の考え方と、一方で集約化という問題に関しては、言葉をかなり選んで使わないと誤解を招く可能性があるかなと思っておりますので、今の石岡委員の趣旨も踏まえて事務局で御検討いただくということでよろしいですか。事務局からコメントをいただきたいと思います。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
 土岐先生も手を挙げていらっしゃいますでしょうか。もちろん、協議会の中でいただいたご意見ですので、それを踏まえて検討ということになろうかと思います。その点はほかの方々も異論がないということを前提にということになるかと思います。
○山口会長 土岐先生からお願いします。
○土岐委員 ちょっと都会のほうの立場で。これは専門医のシーリングの話と似ていて、都会と地方で話をすると本当に話がかみ合わないところになってしまうのですが、確かに先生、教育という面を考えると、ハイボリュームとか都会のほうが有利なので、どうしても先ほどの専門医、薬物療法専門医が国立がんセンターにたくさんできてしまうというのは、しようがないかなという気はしています。教育的見地から専門医教育という立場になるとそうなってしまうかなと。それを補うのがいわゆる連携拠点。東北にはぶら下がることもできない病院がいっぱいあると言われると、心苦しいところではあるのですけれども、ある程度の範囲までは連携拠点化ができて、医療のレベルとしては均てん化が必要なのですが、施設を全部均てん化するわけにはいかないので、そこを施設同士の連携化で補うのが筋ではないかなと思っています。それといわゆる専門医教育の話が交じると、さらに話がややこしくなるので、そこはちょっと注意していかなければいけないと常日頃考えております。
 以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
 ほかにこの件について委員の皆様から御意見はいかがでしょうか。
 石岡先生がおっしゃったのは、私は実は東北のがんプロの委員をさせていただいていて、いろんな事情もその当時伺いましたものですから、均てんというのはそう簡単な話ではないなということは十二分に承知しているのですけれども、今の修文で御検討いただくということで、委員の皆様は特に反対はございませんでしょうか。
(首肯する委員あり)
○山口会長 では、ちょっと検討を進めて、また皆さんの意見を承るということに。ここは一番最初の部分で一番大事なポイントなものですから、かなり慎重に進めたいと思います。
 7ページから13ページまでの間でそれ以外に御意見等はいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、時間からいって今日のところはここまでかなと思いますけれども、次回で残された部分。今日の前半の議論の修文がこれに加わったところで全体をしっかり見たほうがいいなという気もいたしますので、会長としてはそういう形で進めていこうと思いますが、皆様から御異論がなければ、そのように進めさせていただこうと思います。特になさそうですので。
 それでは、私の司会の部分はそれで終わらせていただいて、あとは事務局にお返ししたいと思います。
 皆様、どうも御協力ありがとうございました。
○がん対策推進官 活発に御議論いただきましてありがとうございます。
 また、本日ご議論いただいた部分でもし言い忘れたことなどございましたら、事務局まで寄せていただければと思いますし、具体的な修文案などもメール等々でお送りいただければ、それらを踏まえて検討させていただければと考えております。
 また、次回以降の日程につきましては、追って連絡・調整をさせていただければと思います。
 引き続き我々としても所与の検討を進め、早期に中間評価報告書を取りまとめられるよう進めていきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
 

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線4605)